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Sequencer 1 ハジマリ

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Sequencer 1 ハジマリ





1

ノックス学園の入学式。晴れ晴れしい舞台であるはずが、今日は曇りだった。
私は校門へと続く生徒達の列の最後尾についた。

ノックス学園とは、ここらの学校と比べてずば抜けて偏差値が高く、この地域の優秀校の代名詞。それだけに人気が高く、私は一年間骨を削って勉強し、やっとこ入学できた。
しかし、私の友達は皆他の学校へ行ってしまって、私だけ一人で不安だった。更に言うと、他の生徒について行けるか心配だ。
列が進むにつれ、私も少しずつ移動する。空は曇天模様。私の不安をかりたてている気がする。

最後尾である私の後ろから人の声がした。
「あ〜あ〜、リンファのせいで最後尾じゃん。」
「ごめんて。だけと間に合ったから別にいいじゃん。」
と、能天気な声が張り詰めた私の脳へと容赦なく入ってくる。
「さてと・・・今日何すんだっけ?」
「え〜っとね・・・。あッ、入学のしおり忘れたんだった。」
「はぁ!? 馬鹿じゃないの!? 確か・・・入学式が終わった後、クラス発表みたいなことして・・・その後休み時間。その時間に寮に届けられた荷物を解く・・・みたいな?」
「ピリカだってしおり忘れてんじゃん・・・お互い様じゃ・・・」
「はぁ!? あんたと一緒にすんな! 私はあえて持ってこなかったの!!」

そんな後ろのやり取りを、私は笑いを堪えながら聞いていた。
「あの、しおりでしたら貸しましょうか?」
私は良くお節介者と言われる。自分でも自覚しているが、困っている人を見ると放っておけない性格なのだ。
私は、しおりを忘れたのであろう後ろのピカチュウとリーフィアに声をかけた。
「あぁ〜、ありがとうございます。」
先に手を出したのはリーフィアだった。が、隣のピカチュウがリーフィアの手を払いのけ、先に私のしおりを受け取った。
「ありがとう! 困ってたんだよね・・・あ、クラス発表の前に寮で荷物開けか。」
私は苦笑を浮かべた。

列も進み、校門前で配っている制服代わりのリボンを受け取り、私は校内奥へと進んだ。
校門を過ぎてから目に付くのは庭園を貫く一本道。左右の花壇には鮮やかに彩る花が並び、黄や青などの色が正しく並んでいる。真ん中には噴水が置かれ、綺麗な庭をさわやかな雰囲気にすると共に、学校に入って来た者を和ませる。噴水からは人工の小川が四方に流れ、小さい橋がかかっている。水の流れる音が、また心を落ち着かせる。学校の敷地の一部だとは思えなかった。
先程の不安な気持ちは消え、足が軽くなった気がする。
入学式は校内奥の体育館で行われる。私は何となく走ってみた。


2

入学式(入園式)も終わり、生徒達は指定された寮へ移動するよう言われた。
私は019号室。女子寮2階にある部屋だ。緊張しながら部屋へと向った。
これからこの学校で過ごす上、クラスメートはもちろんルームメートとは仲良くしなければいけない気がする。一年間肩身の狭い思いなんてしたくは無い。
私と仲良くしてくれる人は居るだろうか? 私だけ輪から外されないだろうか? と、入学式前の不安な気持ちがよみがえってきた。

私は019号室の戸をノックした。
返事は無し。そっとドアを開けてみた。
部屋は思ったより広かった。12畳くらいだろうか。部屋奥の隅に二段ベットが置かれている。二段ベットが3つ、この部屋は私を入れて6人で過ごすのだろう。
部屋の真ん中には大きいテーブルが置かれていた。周りには椅子が4個。窓辺に2個置いてある。
そして、壁際に空の本棚。冷蔵庫。タオルかけにハンガーが置かれている。流石は優秀校だけあって充実している 気がする。

窓辺の椅子には眼鏡をかけたキルリアが座っていた。日に当たって読書している。
私はそっと声をかけてみる。同じ学年だから敬語も要らないだろう・・・と思ったが。
「あの・・・すみません。」
どうしても初対面の人には敬語を使ってしまう。悪い癖だろうか?
「ん?」
キルリアは本を閉じ、眼鏡を少し上げて私の方を見た。面と向って見ると可愛い。そして声も優しかった。
「ここの部屋の子・・・ですよね。私、この部屋に住むことになりました、エーフィのエレアノールです。よろしく・・・」
私が喋っている途中、キルリアはクスクスと笑っていた。
「堅苦しいよ。敬語も要らない。」
「そう・・・かな?」
少し顔が熱くなった気がした。
「私はキャスリン。まあ、好きに呼んでね。よろしく。」
「うん。よろしく・・・。」

私が握手を求めようと手を差し出そうとしたした瞬間、部屋の外からやかましい声が聞こえた。
「何であんたと一緒なのよ!?」
「しらないよ・・・」
「ったく・・・」
ドアがノックされた。




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Last-modified: 2009-12-01 (火) 00:00:00
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