ポケモン小説wiki
Q

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更新状況と諸注意 

停滞しています。
更新回数:7
※二行の空白の後は時間がたち、視点が変更されるところがほとんどです。*1



「ようこそ神秘の島ピレッタへ。私はこの島の観光課に勤めておりますクルサです。こちらがこの島の地図となっております。何かありましたら観光課までお願いします。電話番号はこちらに……」
一般人に観光課職員とは、相当観光客不足に悩まされているようだな。
「ありがとうございます」
 俺の名は三浦雅哉。トレジャーハンター。さっきもらった地図を見ながら見た目もろそうなホテルへ。と言っても寝る場所の確保だけなので荷物を置いてリュックを背負って、さあ出かけるぞ。おっと、忘れるところだった。出てこい、俺の仲間たち!


 紹介しよう。まず、俺の1番のパートナー、ヤミラミのヤム。小さいころから俺は好奇心旺盛で、洞窟の中で迷ったところをヤムに助けられた。それに宝探しもうまい。さすが俺のベストパートナー。話が脱線する前に次へ移ろう。
 つぎはスワンナのスウィン。上空から海底まで、多くの場所に移動できるので重宝している。おそらくヤムの次に長い時間一緒にいるだろう。が、島へは船で来たので今日初めてボールから出したことになる。ちなみに触り心地、乗り心地共にとてもよい。柔らかな羽毛を撫でにいきたいが紹介に話を戻そう。
 トロピウスのトロプ。食料が無くなった時とかにいると便利。首のフルーツはとても甘い。糖分補給にはもってこいだが、俺にはちょっと甘すぎる。
 次はエルレイドのエルレ。戦闘員。大抵のトレーナーじゃまず勝てない。ポケモンの回復もできる凄い奴。戦闘中のエルレは恐ろしいオーラをまとっている気がする。エルレが負けた時、俺はドリュウズのリルドを使う。
 リルド。戦闘はもちろん、地底の探索の時も役に立つ。でも余程の事が無いと使わない。遺跡とかを壊しそうだからだ。それにスピードはいいがたまに石が飛んでくる。掘ってもらっているのでぜいたくを言うつもりはないが。
 最後にアマルルガのイルガ。もともとは友人のポケモンなのだが、訳あって預かっている。
「さあみんな、出発だ!」

Q ~謎と仲間と本当の宝~
作者:No Name

「なあ雅。ヤムは別として俺たちはボールにしまうんじゃねーのか?」
言ってきたのはエルレ。ちなみに俺のことは雅と呼ばせている。みやびじゃないからな。
「それもそうだな、戻れ」
と言いながらヤム以外のみんなをボールに戻した。

1 迷いの森 

 俺は今ヤムと一緒に島の一番南にある港の近くで手帳と島の地図を見ている。潮風が気持ちいい。ちなみに手帳には住民に尋ねた情報から噂話までメモしてある。
メモを見る
「ヤム、どこが怪しいと思う?」
「迷いの森」
即答された。
「何でそこにしたんだ?」
「勘」
はっきりと言ったな。
「じゃあ迷いの森だ」
 迷いの森は……北に3kmか。歩いて行くことにしよう。ヤムの言うこと、しかも勘を信じて大丈夫なのかって? 実績があるから大丈夫だ。それに、ロマンがあるじゃないか。自分でも意味不明だ。


 おじいさん発見。年齢は、65歳位かな。さっそくインタビューしよー。
「迷いの森について何か知りませんか?」
「危険という事以外は何も知らんが」
うそー。島民でしょ。
「ありがとうございました」
「悪いね」
情報つかめず。あ、僕ヤムね。今森に移動中。情報を多く手に入れたいから、道行く人に声をかけてる。でもここはもう道とは言えない気がする。車はまず無理だね。パンクする。
 結局情報を得ることなく森の入り口っぽいところに着いた。目の前には木がいっぱいある。みんな探検とかしなかったのかな。
「出てこい、スウィン」
「雅、どこ行けばいい?」
スウィン姉さん張り切ってるね。僕のが年上なんだけどね。精神年齢的には僕はまだ子供だからね。ピーターパン症候群*2だってたまに言われる。
「とりあえず森の上を飛んでくれ」
「了解!」
そして僕たちは姉さんの背に乗った。


 雅を乗せて飛ぶのは久しぶりね。とはいっても2週間ぶりだけど。昔は毎日のように乗せてたからしばらく温もりを感じてないと寂しくなるのよね。そういえば今日はトロプには会えるのかしら。一回並んで飛んでみたいのよね。もちろん、どちらが飛ぶ能力に優れているか競争したいだけだけど。何か期待した人は私が精いっぱい懲らしめてやるわ。まぁ雅がそんなこと許さないでしょうけど。わかってるでしょうけど私はスウィンよ。
「スウィン、大丈夫か?」
「ボーっとしてた。森の上だよね」
「ああ。気をつけろよ」
じゃあ飛びますか。


 やはり空の旅は気持ちいい。これ以上のさわり心地のものはおそらくない、それくらいスウィンの羽毛はサラサラでフカフカだ。この羽毛は誰にも譲れない。森の捜索をしないと、とはいってもヤムだよりだからほとんど何もしないのだが。おっと、ヤムに呼ばれた。
「ヤム、何か分かったのか」
「この森、特にここはすごい力で守られてる。結界かなにかかなぁ」
何かすごい力、ねぇ。結界というと、ポケモン、おそらくエスパータイプが関係しているのだろう。ここは森の大体真ん中あたりか。
「そうか。また何かあったら教えてくれ」
「雅、ちょっと止まるよ!」
今度はスウィンか。緊急事態らしいな。どうしたのだろうか。
「どうした?」
「何かが私の前に、このまままっすぐ進むのは無理だわ」
前には何もないが、さっきヤムが言っていた結界と何か関係があるのだろう。
「そうか。ではここでとどまっていてくれ」
「了解」
周りに怪しいところは、ないか。上は空と雲だけ。では下だな。やはり森か。
「やっぱり森に何かあるみたい。でもこれ以上を調べるためには森に入らないといけないよ、雅」
ヤムか。俺と同じ結論に至ったみたいだな。
「スウィン、ここからエネルギー、つまり俺らの前にあるものの周りをまわってくれ。もちろん、無理はしなくていい」
「わかった」


 はぁ、さすがに私でもきついわね。何もないけど何かが私を進ませてくれない。さっきから飛びながら入ろうと挑み続けてるけど、雅もああ言ってたし、素直に回ることにしよう。
 それにしても今日の雅は本気ね。いつもと口調が違う。真剣なると途端に口調が固くなるの。確か、これが雅本来の口調だったわね。私たちと仲良くなろうとして緩く振る舞っていたんでしょうけどね。そんなことしなくてもいいのに。口調っていえば私もそうね。いつからかこんな口調に。それでもたまに地が出るから、どっちつかずなのよね、私。いけない、もうすぐ一周するわ。
「雅、そろそろ一周するわよ」
「了解。着いたら一時停止、また声をかけるからそうしたら森の入り口まで戻ってくれ」
「着いたわよ」
話している間についた。目印を落として、私に声をかける。
「よし、戻ってくれ」
当たり。では少しスピードを上げて戻りましょう。


 今私は奴らの様子を伺っている。奴ら私の存在に気付いてないようだな。私が誰か? それはトップシークレットってやつよ。


 今僕らは森の入り口にいて、これから入るってとこ。
「行こ、雅」
「そうだな。スウィン、ゆっくり休んでいてくれ」
冒険にLet’s go! でも雅は真剣だな。ふざけるわけじゃないけど。


 何処まで行っても森森森。ああだるい。もう三十分は歩いたよ。ポケモンは全く出てこないし。でも確かに力の強いところに近づいてる。それだけが気力をつないでる。雅は無言でマーカーを置いてるし、ああーつまんなーい。
「ヤム、これを見てみろ」
「これは、あの空から落としたマーカー?」
「ああ。この先はちょっと覚悟が必要みたいだ。いけるか」
「もちろん!」
これこそ冒険って感じだよね。
「それと、ちょっと耳貸して」
「なになに、うん、うん、そうだね、それがいいよ」
ちょっとした話をね、この話は2人だけの秘密。1人と1匹? まぁいいや。そのうちわかるよ。


 何の話をしているのだ。小癪な奴らめ。まあいい。宝さえ手に入ればな。フフフ……ハハハハハハ


 何処からか笑い声がしたが、気のせいにして放っておこう。それよりここの調査だ。とりあえずコンパスを取り出してみよう。案の定狂っているようだ。ここまで見印を付けて歩いてきたのはどうやら正解だったようだ。結界とヤムは言っていたが、魚の罠と言えばわかるだろうか。一度深く入ったら出られない、そのような感じだ。結界からは出られることを確認した。上空のそれはどうやら空からの進入を防ぐためのものだったのだろう。
 ではこのまま目印を着けながら先に進もう。古典的な方法だが、確実に帰れる方法の一つだ。足元に注意して、おっと。これはなんだ? 人骨? これなら誰も入ろうとしなかったわけだ。ただ森が危険というわけではなく、実際に失踪した人がいるから森は危険、そう教えられたみたいだ。なら柵で囲めばよかったものを。そうできなかった理由があるのか。謎は深まるばかりだ。
「雅、ここに何かあるよ!」
「これは、石版か?」
 地面に埋まった石に文字が彫られている。これは古代文字か。この手の物が多いからこういうものも読めるようになった。トレジャーハンターとして当然のスキルなのだから、それなりに勉強もした。
「読み上げるぞ。私はこの地にあなたを誘った者だ。私に会いたければ、真の心を持ち、真っ直ぐ進むべき道を進め。そうすれば、道が見えるはずだ。邪心を持っていたからって殺されるなんて、ひどい話だ」
 命をなんだと思っているのだろう。しかし、これはこの先にいるものがとてつもない力を持っているということも指し示している。ちなみに現代語に脳内で翻訳した。カメラは案の定故障している。メモするしかないか。
 一体何者なのだろうか、誘った者とは。ここまで来て引き下がるわけにはいかないのがトレジャーハンターの性。しっかり目にモノを見せてもらおう。
「ヤム、誰かいると思うか」
「さあ、ここはすごいエネルギーがあるんだ。野生の勘とかで探るのは無理そうだよ。でも一応見破ってみる?」
「ああ。よろしく頼む」
 もう野生ではないと思うのだが。彼の見破るが周りの物質に反応する。しかしそこには何も現れない。何もないということは……あそこか。
「雅、もう1つ石板があるみたいだよ」
「もう1つか。わかった。どこだ?」
「あっち」
ヤムの指差した方向に確かにあった。
「読み上げるぞ。私はそう簡単に見つけられない。なぜなら身を隠さなければいけない理由があるからだ。しかしここまで来て何もなしでは可哀そうだ。だからここに2つの鍵を置いて行くことにする。1つ目の鍵は向こうの石版だ。もう1つの鍵はそこの草むらの中にある。あなたと会えることを楽しみにしている」
石版に矢印が付いている。1つ目の矢印は確かにあの石板を指しているな。では草むらは、あそこか。
「ヤム、もう1回見破るを頼めるか」
「結構キツいけど、やってみるよ」
狭い範囲だが見破るは成功したようだ。あれは棒か? とりあえず触れてみよう。
「お疲れ様、ヤム。この棒に触れてみよう。これでおそらく帰れる」
「わかった。せーの!」
体が軽くなる感覚を覚えた後、眼前の景色に色彩が増えた。

2 真の洞穴 

 あれは便利な仕掛けだね。わざわざホテルの前まで連れてってくれたもん。
「さっきの文に『真の心を持ち、進むべき道を進め』ってあったよな。あれって真の洞穴のことだろ?」
 確かに。それなら帰される理由もわかる。でもそこまでたどり着くには真の心を持ってないといけないんじゃなかったっけ?
「まぁでももう空が赤くなってるんだ。続きは明日考えよう」
続きは明日ね。僕ももう疲れたし、ゆっくり休むことにしよう。


 姉さんの背に乗って洞窟の入り口にとーちゃーく。明け方の風が気持ちいー。うわっ、これまたちっちゃい洞窟だなぁ。まぁ僕からすれば十分大きいんだけどね。これじゃあイルガもまともに通れない*3よ。
「雅、早く入ろう」
「そうだな」
 そういえば雅カメラ直ったみたいだね。カメラ見ながらニコニコしてる。
「じゃあ行こうか」


 雅がまたマーカーを置いてる。分岐はこれで6つめかな。左ね、わかった。そういえば迷いの森の時も思ったけどポケモンが全く出てこないな。何か特別な力でもあるのかな。あるとは思うけど。おっと、また分岐だ。しかも3つにわかれてる
「雅、どっちにするの?」
「右だ」
「理由はまた直感?」
 首を縦に、ということはやっぱりそうなんだよね。
 でもなんか聞こえる。ゴロゴロ言ってるけど大丈夫なの? ここはポケモンがいるみたいだよ!
「エルレ、出てきてくれ」
「雅、なんか用か? またバトルか?」
「必要になればな。ここにいるということは相当強い力を持っているだろう。気を付けてくれ」
 どうやらポケモンのいる場所についたみたい。洞窟の中のわりに明るいのに、ちっとも見つからないよ。と思ったら足もとにいた。イシツブテかな? イシツブテだね。
「雅、イシツブテがいたよ」
意外だね、こんなところにイシツブテがいるなんて。ってことは今までたまたま出くわさなかっただけなのかなぁ? そういうことだよね。
「相手が勝負を仕掛けてきそう……にないな。何か聞いてくれ」
さっきから全く動いてないもんね。目は開いてるから寝てるってことは無いだろうけど。
「イシツブテさん、ちょっとお話伺ってもいいですか?」
「……」
まさか気づかれてないとでも思ってるのかなぁ?
「イシツブテさーーん、きこえますかーー」
「何だ何だうるさいなぁ」
聞こえてたみたいだね、よかった。子供っぽい声だな。
「どうしたの坊や、ここがどこか知ってる?」
「ううん、知らないや。パパかママなら知ってたかもしれないけど」
「だって、雅」
過去形なのが気になるけどここで雅にバトンタッチ。
「君のパパやママはどこにいるんだい?」
「わっ、人間! あっちいけ」
人間嫌いってことはどこかから避難してきたってことかな。
 そういえば気付かなかったんだね、雅の存在に。
「わかった。じゃあ諦めるよ。悪いなエルレ、役目はなかったみたい」
「そうか、雅、ボールの外でついていっていいか」
「ポケモンがいるってことはいつ戦闘になるかもわからない。その方が助かるよ」
どうやらエルレ兄さんもついてくるみたい。僕たち3人、1人と2匹? 2人と1匹? は洞窟の中を進んでいった。


 雅についていくのはいつ振りだろう。1か月ぶりだったか。懐かしいな。あの時もまた洞窟だったか。おっと、また入口に戻ったか。あぁどこまで行けば辿り着けるのだろう。もう7回目だ。入るたび正解のルートが変わるらしい。3回目に2回目と同じルートを通ったら戻された。ここまで来ると疲れるな、足が。最近バトルぐらいしか動いてなかったからなぁ。しかもイシツブテ以降ポケモンが全く出てきてないし。
 また足腰鍛えないとなぁ。1回目の15個目の分岐以降先に進めてない。ただ1回目の15個目の分岐のとき7つに分かれてたもんなぁ。もうじきリルドが出てくるだろ。
「リルド、出てきてくれ」
やっぱり。
「雅、どうした?」
「この洞窟の下は掘れるか」
リルドが地面を叩いてる。地面の質でも調べてるんだろ。
「うーん、無理っぽい」
珍しいな、大抵できるってのに。
「そうか、残念だ。リルド、戻るか、それともついてくるか」
「戻る」
戻るんだ。意外だな。あいつも俺みたいにボールから出されることは多くはないはずなんだが。体が赤く光り、ボールに吸い込まれて、消えた。いつ見ても不思議だ。
 そういえばこの地面そんなに硬いのか? 試しに掘ってみよう。全然掘れる気しねぇ。じゃあ割れるか……かた! 
「いったい!」
「エルレ、大丈夫か」
「ああ、とりあえずは。にしても硬いぞここ」
何せ格闘タイプの俺でも硬いと思ったんだから。
「怪我するなよ」
もう歩いていくしか道はないな。


 もうここの探索を始めて2時間か。今回やっと16個目の分岐だ。次は、俺の勘が後ろだと告げている。今までこの案を無視し続けてきたが、ここまで何もないとなるとやはり後ろなのだろう。
「次は後ろだ」
「もうここまで来るとそれしか道はないよね」
 先が開けてきた。出口か。ここは、草原だな。そうか後ろだったか。これは盲点だったな。本当にここの住民は探険をしないんだな。誰か気づいてもおかしくないと思うが。
「着いたぞ。誘った者、そろそろ出てきたらどうだ?」
結構大声で言ったが、反応がない。まだ出てくるつもりはないということか。
「ヤム、見破るを頼む」
「任せといて」
 毎度思うがこの技は凄い。あらゆるものの位置が一瞬で把握できる*4というのは宝を探す上でとても助かる。
「本当にあったんだな。雅、石版あったぜ」
見つけたみたいだな。
「今行く」
あったあった。
「読み上げるぞ、ここまで来たようだな。次は私の友達を訪ねてくれ。とても広いところにポツンとあるが、結構目立つので大丈夫なはずだ。しかしたどり着く前に死ぬか諦めることとなるだろう。帰り道は向こうだ」
 例によってカメラは壊れており、メモを取る。矢印の先にはまた棒があった。
「帰ろうか」
 目の前には潮風に蝕まれつつある建物が建っていた。

3 海底遺跡 

 宝石が見つからなかったからかヤムがすごい落ち込んでる。
「とても広いところ、それは海だ。つまり次の行き先は海底遺跡」
 またスウィンの手を借りることになるな。昔旅した先で手に入れた秘伝マシンNo.6のダイビング、今は廃番になってるとかなってないとか。よかった、手に入れといて。
 それにしてもあのヒントは何なんだ? 森に行った後で草原に行かないと辻褄が合わなくなるぞ。それともわかってたのか? この地ってのはあの森の事だったのか?
「イシツブテ、いつまで着いてくるつもりだ」
 このイシツブテ、ちゃっかり着いてきてたんだよなぁ。帰れって言っても帰らないし。
「パパとママを見つけるまで」
パパとママを見つけるって、あの様子だとポケモントレーナーに捕まってるはずだが。
「君のパパとママは人間に捕まったんでしょ」
「違う。確かに人間に襲われたけど、ボールには入らなかったんだ。僕をあの洞窟に置いてって、絶対にここから出ちゃ駄目だって、それで……」
 泣いちゃだめだ。同情してしまう。
「その人間はどんな恰好をしてたんだ?」
「リルドさんの頭みたいなのを持ってて、白とか黄色の丸い帽子を被ってた」
 作業員か。どっかの山で鉱石でも掘ってたのか。山っていったら島の大きさに見合わないでっかい山があったはずだ。傾斜がとても急で山というより崖に見えるらしいが。
「それでも捕まってない確証は無いな」
 それに、最悪の場合殺されている。どうやって岩みたいなのを殺せるかは不明だか、その死石*5を1度だけ見たことがある。しかも同じイシツブテを。だから余計に心が痛くなる。
「そういえば君の名前は?」
「ロットン」
6トン? な訳ないか。
「ロットン君、君のパパとママはなんていうポケモン?」
「どっちもゴローニャ」
「わかった。だが次行く場所は水の中なんだ。手持ちも6匹いる。だから君を連れてはいけない」
弱点の塊の中に入れるわけにもいかないからな。
「山とか洞窟とかに寄ることがあったら連れてってやるが、今すぐ行きたいなら他を当たってくれ。あと、もし見つけたらこのことを伝えておく。それまではあの洞窟にいたほうがいい」
 俺だって見捨てるようなことはしたくない。だがここで甘えさせてついていくなんて言われたら困る。みんな覚悟をもってここまでついてきてくれたんだ。ヤムは別かもしれないが。
「ヤム、行くぞ」
「アイアイサー」
「エルレ、戻ってくれ。スウィン、海岸まで頼む。ここから北北西だ。よろしく」
「本当に行っちゃうの……」
「じゃあな」
懇願の眼差しを振り切って俺らは海底遺跡へと向かった。


「雅ー、ビーチが綺麗だよ」
「おお、本当だな。カメラを持ってこればよかった」
雅やっぱりカメラ持ってきてなかったんだ。さすがに2回も狂わされると嫌になるよね。
 ロットン君を置いてったこと後悔してるはずだよ。顔が曇ってるもん。
「それよりなんか暑くない?」
日光を黒が吸収してとっても熱くなってる。体が燃えちゃうってぐらいに。でも雅はそんなに暑くないみたい。風が気持ちいいとか言ってる。うらやましい。つよがりで言ってる気がしないでもないけど。ウェットスーツ黒いし。
 エネルギーの塊があったのはどうやらあの森だけだったみたい。でもはっきり言ってすごい。悪タイプを持つ僕を移動させるなんて。何で最初は疑問に思わなかったんだろう。まだまだってことかな。
「スウィン、あそこの特別海の色が濃いところに着地してくれ」
どうやら着いたみたいだ。わかりやすいね、すごいディープブルー。そして姉さんが羽ばたきながら……着水
 僕らを全く濡らさないってのは凄い技術がいるって言ってたけど、水しぶきひとつ出さないのはさすがだね。まぁすぐ濡れるんだけど。
「ヤム、これを口に咥えて、いくぞ」
僕たち3人、1人と2匹? 2人と1匹? は水の中に潜った。


 水の中はやはり心地よい。あの気温下で直射日光を浴び続けたら、誰だって冷たい水が恋しくなるはずだ。ふつうは日陰だろうが。冷たさが身に染みるが、それもおそらく束の間ですぐに寒さに変わるだろう。水中活動はあまり好きじゃない。どうやら入口についたみたいだ。あれは、空気か? 何故ここに空気? まぁいい。入ってみよう。
 ここは本当に空気があるみたいだな。周りにあるのは、海藻か? さっきから『か』が語尾に付く疑問文を多用している気がするが、おそらく気のせいだ、おそらく。
 辿り着く前に死ぬと言ったわりに空気はあるみたいだ。言ってることと実際が矛盾しているような気がするが。それとも文明が進んでおらず空気の供給手段がなかったということか。いや、陸上と水上の両方で活動できるポケモンもいたはずだ。現に今スワンナに乗っている。そうなると過去にポケモンはいなかった時代があることになるが、あの文字が使われていた時代には既にポケモンは存在している。不思議だ。それを解明しに来たのだから不思議でないと困るといえば困るが、ここまで来ると誘った者が馬鹿に思えて仕方がない。そう……
「雅、壁壁!」
目の前に石の壁が、危なかった。
「ありがとう、ヤム」
「集中してよ、ここはどうやら行き止まりっぽく見せかけてる場所みたいだし、何か仕掛けがあったら嫌だし」
スイッチを探せというやつだ。ひどいことにたまに見せかけの仕掛けがある。半年前位だったかに行った洞窟で押したスイッチから毒矢が飛んできた時には久しぶりのスリルを味わわされた。トレジャーハンターの寿命は短い。仕掛けに掛かるか、飢え死にするか、たとえしなくてもストレスで寿命が縮む。いつまでみんなといれるだろうか。
「雅、ボーっとしてないでちょっとは考えてよ」
そうだな。怒られる前に正解のスイッチを探そう。


 雅、ちゃんと集中してよね。僕だけ探すなんて不公平だよ。別に探さなきゃいけないって訳じゃないんだけど、まあ探さなきゃいけないんだけどってどっちなのさ。探すんだけど。今誰か見破る使えばいいじゃんって思ったよね。あれはあんまり使いたくない。あれもんのすごく疲れるんだもん。ポケモン1匹のみ相手に使うなら50回*6は軽く使えそうだけどあんまり広い範囲に使うと相当疲れる*7。迷いの森の時はもうあと2,3回しか使えないってぐらいだったね。特別目が優れているわけじゃないし、宝石だし。ゴーストの力なのか経験のおかげなのかいつの間にかかなりの範囲見破れるようになったけどね。あ、あったあった。
「雅、スイッチ見つけたよー」
「じゃあ押してみてくれ。まわりには何もないからな」
押したけどこれ足場動いてない? 落ちるのとか嫌だよ。うわああ、足場と地面がずれていく。
「ヤム、こっちへ来い!」
わかった。とりあえず様子を見よう。
 へこんでいった足場は、水の中に沈んで、消えた。そのかわり、棒が出てきて、上に上がって、天井近くまで上がって、天井が開いて、天井が開いて!? 棒が伸びていく。棒が止まった。
「ねぇ雅、上と下どっちに行こう」
「とりあえず、上行ってみよう」
雅はいつだって冷静だね。じゃあ上行こう。


 昇り棒を昇るいつ以来だろうか。今まで山や崖ならたくさん上った。だが棒という仕掛けは今までなかった。経験不足なのだろうか。とりあえず棒に触り、掴む。棒を足で挟み込み、自動的に運ばれるみたいだ。
「ヤム、これ掴まるだけでいいみたいだ」
「わかった。おー、これは便利だね」
その先にある通路を進むとしよう。ここまでトラップが無いのが不思議だが。


 なんか祭壇らしいところについた。誘った者の友達がここにいるはずだけど、どこだろう。それか石版かな。石版は、あれか。
「雅、石版あったよ」
「そうかそうか。今行く」
 そういれば雅は全然石版見つけれてないね。
「読み上げるぞ。よくここまで辿り着いた。しかしその友達は亡くなってしまって……私のように体が丈夫ではなかったみたいで、とても残念に思っている。今は亡き友達の為に黙祷をささげてほしい。次はひたすらに高い山、出口はあちらだ」
なんか急に悲しい話になっちゃったね。とりあえず黙祷しよう。

4 断崖高山 

 気がついたらロットンが足元にいた。ロットンには驚かれたが3回目ともなれば慣れる。次は山登りか。いや、崖登りだな。またスウィンを出すことになるか。
「いつからそこにいたんだ? ロットン」
「ずっとここにいたよ」
「そうか。次は山に行く。ついてくるか」
「うん!」
「崖は登れるか」
「大丈夫。子供だからってなめちゃだめだぞ」
「ああ、わかったよ。ヤムは戻ってくれ」
頼もしいことを言ってくれる。ヤムは一応戻した。下手に疲れられても困るからな。このままトントン拍子でいくといいんだが。
「じゃあ行こっか」
「うん」
そう言ってることだし、行くとするか。


 これで遠かったらどうしようかって思ったけど結構近くて助かったよ。転がるのももう疲れた。でも次は崖のぼりだ。張り切っていこう。
「ロットン、急に手を上げてどうしたんだ?」
「いや、なんでもないよ」
「これから崖をのぼるが、一回休憩するか?」
「いや、まだまだいけるよ。このままいこう!」
「あぁ、わかった」
雅の顔が一瞬暗くなったけど、まぁいいや。
「疲れたら先に言うんだぞ」
「お互いにね」
休憩したかったのは雅の方なんだろうね。僕は全然大丈夫だけどね。子供だからってなめないでほしいや。
「大丈夫だっと」


今回はここまで。あまりにもおかしすぎたのでちょっとカットしました。
そして謎の人物はどうなったのか。まだ明かしません。


何かあれば

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お名前:

*1 2連続で雅、2連続でヤムが各1回ずつ
*2 大人になりたくない大人のこと
*3 アマルルガの高さ:2.7m
*4 幻影の覇者ゾロアークでコーダイはこの技の効果を見ることができた
*5 イシツブテやイワークのような岩っぽいポケモンの死骸
*6 見破るのPPは40だが最大まで上げると64に増える
*7 コーダイの手持ちのカゲボウズは相当優秀だ

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Last-modified: 2014-04-10 (木) 07:45:00
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