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Neverland

/Neverland

Lem


R-18G等に該当する描写があります。

Neverland 


 呼び声が聞える。
 それは現か夢幻か。

 泥の海を声が貫く。
 切り離された意思だけがそれに気付いた。

 深淵に落ち行く我が身だけが事の有様を傍観者として。
 手放された手指がじたばたともがく。

 救いを求めてか。
 或いは。

 未練からの執着による足掻きか。



 薄暗い小部屋に白光が射した。
 氷室の如く冷え切った箱の外壁に走る生温さよりも、節目に侵食した光の暴力が覚醒を促し、逃れようとして身じろぐ所を轟音が阻んだ。
 一声、二声を無視し続けるも、三度の声は無情にも薄い外壁を崩しに掛かり、露になった意識が弱々しく呻く。
「先生、起きて下さい。何時まで寝転がっているんです? まだ悪夢にでも囚われているんですか? どれだけ寝転がってても現実は終わりませんよ」
「朝から気の滅入る様な一声を掛けないでくれ給えよ」
「始めの一声で起きればそんな気分にならなくて済むんですよ」
 ああいえばこういう。立場上の礼節等何処へやらという関係に男は然したる気にも掛けず、寝台から未だ朧気な足取りを下ろしている。
 習慣的な反応が男の口から零れるが、助手と思しき女の態度は依然として辛辣だ。
「お言葉ですが先生。時刻はもう正午を過ぎています。おはようと掛け合うには遅すぎる頃合かと」
「……おはよう」
「おはようございます。いい夢は見れましたか?」
 最低限の乗りに付き合ってくれる辺り、二人の関係は決して険悪なそれではないと窺い知れた。
「あんまりいいものじゃなかったな」
「あら。本当に悪夢だったんですか」
「どうだろうな。それより正午過ぎだって?」
「はい。正午過ぎです。正確な時刻を知りたいですか?」
「結構。君の参照時刻は円周率の暗記同様に頭が痛くなる」
「残念です」
 至極残念そうにも見えない助手を尻目に、白衣に袖を通しつつ後の診察予定の患者の日程を訊く。
「先生、まだ寝惚けてらっしゃるんですか? 今日は仕事ではなくて帰国の予定日でしょう」
「……後何時間かね?」
「予定通りなら約5,400秒後でしょうかね」
「随分と間があるね」
「そのまま寝かせておいても宜しかったのですが、大分うなされてましたからね。そんなに嫌な夢だったのですか? 何でしたら診てあげますよ?」
 最後に患者との挨拶回りも考えていたが、ここじゃあ厄介払いができて清々したと鼻で笑われるのが落ちだろうと嘆息する。
 それならば助手の成長具合を見守ってやるのが精神衛生上は遥かに良い。宜しく頼むと男は腰を寝台の上へ落ち着ける。助手もそれに倣って男の傍に腰を下ろす。
 どんな内容だったかを助手が訊く前に男の口から本題が発せられた。



 それは夢と称するにはあまりにも恐ろしく、されど夢であれば良かったとも思える内容だった。
 鼓膜を揺さぶる細波、退いては迫る度に足先を濡らす感触、照りつける太陽の輝きを砂が吸い、うつ伏す少年の全身を焼く。
 朦朧とした意識でさえその生き地獄には堪えられないのか、影を求めて地を這いずった。細く伸びる歪んだ斜線を時間が消化していく。
 影が少年の全身を飲み込んだ所で意識は途切れ、世界は暗転し、夜が訪れた。
 地上の星と月は手を伸ばせば届きそうな程に近く、少年の不慣れな眼でも闇が切り払われて見える。然しながらそれは少年にとって安全を齎す加護ではないと言う事を後に知る。
 無垢な赤子でさえ知り尽くしている恐怖の権化とは常に傍に在るものなのだから。
 木々や草木から覗く不可侵の暗い瞳が少年を見つめる。ぞっとする感覚を覚えつつも少年はそれから目を反らす事すらできない。
 反らした分だけ闇は手を伸ばして這い寄ってくる。今、瞬きをするこの瞬間でさえも。
 だからこそ人はその恐怖に手を伸ばす。待ち続ける事や孤独に堪え忍ぶ事こそが精神を蝕み、自らの妄想が己自身を滅ぼす。自滅に至る破滅を選ぶ位ならば、自ら勇んで死地へ立つ。
 何時死ぬかも分からない瞬間を自身で決めた時、人は恐怖から解放される。その先に希望があろうと絶望があろうとも。
 闇との距離を詰め、深淵が少年を飲み込んだ。そこから先は進んでいるのかも後退しているのかも分からない。
 天上を見れば隙間からは淡い光が零れて落ちるのに、地上は灯火ですら見えない。
 それでも少年は佇む事だけは選択しなかった。心だけは呑まれまいと勇んで歩を進める。
 遠くで遠吠えが響いた。二度目は先よりも近く、三度は直ぐ傍から聞えた。
 あまりにも早すぎる距離の狭まりに少年はとうとう自らの意思で足を止めた。
 息を殺し、冷たい闇に抱擁されながら顛末を伺うと、やがて妙な事に気付く。
 獣の声に混じって人の声がするのだ。それも一人や二人ではなく、大勢のだ。集落でもあるのだろうかと一縷の灯火を見出した少年は誘われる侭に呼び声に釣られていく。
 だがそこでも少年が見たものは地獄だった。
 あるものは口という口を獣で塞がれる女性を、あるものは獣を貫きながら自身も貫かれる男性を、何れも人という人が原型を留めない程に、獣という獣に満たされていた。
 そこには人間と呼べる要素が何処にも存在せず、未だ人間で在ろうとする自身がそこへ踏み入れば忽ちに彼等の同族へと堕ち果つるだろう。
 あまりにも恐ろしく、年端も行かぬ少年は漏れそうになる悲鳴を両手で押し殺し、ゆっくりと後退する。灯火が遠くなり、やがて闇に呑まれて消えて何も見えなくなる。されど獣の呼び声は相変わらず周囲に轟き、いつのまにかそれ等の対象が自身に注がれていると見知った時にはもう形振り構っていられなかった。
 我武者羅に辿った道を戻り、海岸を目指して駆け抜ける。
 すぐ背後から獣の足音が、掛け声が、吐息が、耳を撫でた。半狂乱に陥った意識と体が縺れ合って転ぶ。起き上がる手間すら惜しいと少年はそのまま両手をも脚として闇を駆け抜けた。
 不慣れかつ不恰好な走法に二度転び、三度も転んでそのまま転げ回って漸く闇の領域から脱出を果たす。
 すぐさまに背後を振り返る。変わらず鎮座する闇だけがあった。
 恐怖に呑まれても尚、闇を見てしまう事の避け得ない本能に少年は酷く狼狽した。呼吸を整えようと躍起になっていると闇から何かが出てきた。
 嗚呼、獣だ――!
 そこから再び狂乱の狭間へと自ずから飛び込んだろう。だがそうはならず、少年はにじり寄ってくる獣の一挙動を網膜に焼き付ける。
 闇から這い出た獣の全身が星や月光に照らされて影を帯びた。
 墨で染められた朱色の鬣と手足、瞬きする度に浮かび上がる大小の楕円はどことなく神秘性を残し、全身に覆われた闇は次第に首周りへと集中すると、暗い濃紫が先の神秘性を確たるものとして纏い始めていく。
 見蕩れている内に足先まで詰めた獣が済んだ水色の双眸を携えている事が分かる。
「逃げなさい。ここに居ては駄目。貴方はこの島から逃げなくちゃ駄目」
 何故か懐かしい感慨が目前の異常事態を飲み込んだ。獣が喋る等という未知の領域を侵している事すらその時の少年にはどうでもいい事だった。
「ここは何。何故僕はここに居るの。それに島って――」
「説明してる暇は無いの」
 眼光が鋭くなり、僅かに獣独特の威圧を感じて口を噤む。獣の視線が反れると少年もそれに釣られて視線を動かす。
 救命ボートと、遠くで煌々と燃える船の残骸が視界を満たした。脳裏にフラッシュバックする映像で自分達の乗っていた船が難破した事を確信する。然しながら落ち込んでいる暇等は与えられず、少年を急かす様にボートの傍へ獣が催促を促す。
 混乱しつつも少年はボートの端を掴み、地を蹴り出すと、獣がボートの中に何かを投げ入れるのが見えたが、既に冷たい海の中へ身を沈めている以上確認は後回しにされた。
 ある程度軌道に乗り始めた所でボートの上に乗り、少年は島の方を見る。
 獣の姿は何処にも無かった。それどころか島そのものの姿も確認できなかったのだった。
 何もかもがあやふやな侭、悪戯に時間だけが経ち、潮風と太陽が消耗し切った体力を着実に削っていく。指一本すら動かせない気だるさに圧し潰され、磨耗した精神が少年を次なる夢の世界へ導くのに時間は掛からなかった。
 揺り篭を高波が襲い、少年の意識は海の底へと引き摺られる様に堕ちていく――。



「以上が悪夢の内容ですか?」
「そこから先は見た事が無いからね。そこで僕は目が醒める」
 悪夢?
「夢にしては具体的ですね」
「実体験から来る PTSD だからじゃないかな」
 実体験? PTSD?
「さらっとネタバレしないで下さいよ。私が診る意味が無いじゃないですか」
「まぁ本当に夢だったらどんなに良かったかって思うよ」
 そうね。夢は自分にとって都合の良い言い包めのツールだものね。
「夢だったのかもしれませんよ?」
「はは、そうだったらいいね……もうそろそろ船の来る時間かい?」
 手はず通りの反応。ここまでは予想通り。けれどその次は?
「そうですね先生。船の来る時間ですね」
「……あんな悪夢を見た後じゃあ気乗りしないな」
 警戒してる? 揺さぶりをかけるか?
「じゃあ中止にします? 別にここでの仕事がもう無い訳ではありませんし、引き続き御勤めなさってもいいと思いますが」
「いや、帰るよ。気乗りしないのは本当だけど、何だか僕は帰らなくちゃいけない気がするんだ。それも今直ぐに」
 もう少し揺さぶる。
「何方かを待たせていらっしゃるのですか?」
「いや、僕に肉親は居ない。血の繋がりのあるものは皆あの海に沈んだからね。何故帰りたいのかは僕にも分からないんだ」
 獣の本能……といった所だろうか。帰巣本能が彼に呼びかけているのかもしれない。最後の揺さぶりを掛ける。
「寂しくなりますね。私もここでは先生以外に親しい間柄は居なかったものですから」
「すまないね……餞別って訳じゃないけれど、君にこれを貰ってくれないか」
 石。一種の識別名で言えば宝石とも呼ぶが、私には何の意味も価値もない。
「何ですかこのペンダント」
「あの悪夢の様な生存から僕が肌身離さず持っていたものだ。姉の形見として持っていた」
 姉。
「お姉さんがいらしたのですか」
「……どうだったかな。もしかしたら母のかもしれないし父のかもしれないし全くの赤の他人のものかもしれない」
 記憶が混濁しているのだろう。無理に整理させると危険かもしれない。助け舟を出しておくべきか。
「いたんですよ。お姉さん」
「だといいね」
 平静を確認。最終確認に移る。
「でもいいんですか? そんな大事な物、私受け取れませんよ」
「いいんだ、貰ってやってくれ」
 No-S-00571. Everstone の放棄を――
「訳をお聞きしても?」
「意思を手放したいんだ。自らの意思で、過去に怯える己の幻影を解き放ちたいんだ」
――確認。
「……そうですか。分かりました」
「ありがとう……すまない、体の良い厄介払いみたいな役割を押し付けて」
 改善の余地、無し。
「その代わり見送りませんからね。これでお別れなんて私は嫌ですから」
「はは。僕もそうしてくれると助かる。湿っぽいのは苦手でね」
 私も助かりますよ。本当に。湿っぽいのは、見たくありませんから。
「お元気で」
「君も」
 次第に遠くなっていく足音。携帯電話を取り出す。コール音。
――No-S-00571. Everstone の放棄を最終確認。改善の余地無し。対象が見え次第、殺処分せよ。アウト。



 直ぐにそれが夢だと分かった。
 どちらが日常か分からなくなる程に繰り返される悪夢。
 けれど本当の現実と夢はどちらだったのだろうか。
 そうした葛藤も今日限りだと男は胸中で勇んでいた。
 だが、それはいつも繰り返し見る悪夢とは異なる動きを見せていた。
 夢の中には続きが存在していた。
 雲ひとつない星空と下弦の月に照らされる様にあの島が浮かんでいる。
 男は下弦の月に腰掛けて地上を見下ろしていた。
 煌々と燃える船は無く、静寂だけが世界を満たしている。
 やがて海岸に何かが打ち上げられた。
 あのボートだ。そして誰かが乗っている。
 しかしながら星や月明かりを持ってしてもボートの中は見えず、闇だけがもぞもぞと蠢いている。
 何とか確認できぬものかとまごついていると地平線が赤らみ始め、同時に男の乗っている月も又地平線へと落ち始めていた。
 徐々に鮮明になっていく島の造形とは裏腹に男の立ち位置は遠くなる。このままでは島の造形を見る事は出来ても細部までは確認できないのではないかと不安を覚えたが、幸い島の変化が起こるのが早かったらしい。
 男は海岸に打ち上げられたボートへにじり寄る影を見つける。
 あの獣だ。何度も邂逅したあの獣が、ボートの中を確認しようと飛び乗っていく。
 それまでは見えなかった闇の中身がもぞりと蠢き始める折で、男の体はつるりと滑り落ちる様に月から落ちていった。
 徐々に狭まる海面への衝撃に備えてか、自然と瞼が固く閉ざされ、豪快な着水音ではなく、泥沼に落ちた様な粘着質な音を立てて沈んでいった。
 闇だけが広がり、呼吸ができない男の頬を何かが舐めた。
 生温い感触に男の意識は一気に引き上げられ、閉じた瞼が思い切りに開く。
 水中でもなければ泥の中でもなく、男は地上に打ち上げられた魚とも海草とも言い難い反応をしながら飛び起きた。
 状況を把握しようとあちらこちらへ忙しなく目配せつつ、身体に異常は無いかを確認しようとして異変に気付く。
 男は人の手をしていなかった。朱色に染められた尖爪は血を塗り込めた様に暗く、そこから伸びる全身への黒毛、朱と闇が交互に入り乱れる腰下まで伸びた鬣が生えている。
 それのみならず、男の胸中を満たす安堵感、充足感、幸福感へ。
 傍らの小柄な獣が男へ小さく囁く。
「おかえりなさい」


 No-S-00571. 罪状-強姦及び殺人

 飼主との性行為に了承があったのかは不明。警察が駆けつけた折も絶息している飼主へ執拗に性行為を繰り返し、また愛の告白らしき言葉をも繰り返していた模様。
 人語を解する程度の知能があると見られ、将来的な犯罪者の減少を計るべく Lobotomy operation を行い、保護観察の下に改善の措置を取らせる。

 術後の反応は大人しく素直な反応を見せるも、一週間後に幻覚や幻聴が聞えると訴え始め、一ヶ月後には妄言や妄想に入り浸り、それに反応してか凶暴な一面を露呈する。
 二度目の Lobotomy を行い、また彼にはこの島(監獄)の派遣として呼ばれた精神科医としての設定を与える。第二の人生を踏み外す事無く期間内で生活できるか否かを観察する。
 期間は一年。最終日に帰巣本能に働きかける様に洗脳が成されるも、半年と経たずに実験は失敗。
 最終日に確認の判断材料とする Everstone を放棄し、改善の余地は見られないと判断し――
「――射殺、と。上がどれだけ非道かろうが最後位は人として扱っても罰は当たらないでしょうよ。そうでしょ先生」
 筆を置き、遺体袋から覗く獣の頬を撫ぜる。鬣を梳くと赤黒い血がべっとりと掌に付着した。指先で己の唇に血を上塗り、獣にそっとくちづける。赤い血化粧を確認して遺体袋の封を閉じ、顔が見えなくなる直前で小さく耳元へ囁いた。
 Good night...sweet dreams...The Neverland is waiting.



 後書

 どうも。仮面つける必要あるのと言われました。私です。
 正直を言えば仮面着けた所で、癖の強すぎる私の文体はあってもなくても変わらないみたいな御約束が付与されているので、今後も改善されることはないでしょう。改悪ならば喜んで。

 本作はあるひとつのからくりが仕込んであります。何の事だろうと思った方は本文で余白になっている不自然なスペースを反転してみて下さい。
 何故この様なつくりにしたのかを語れば、まぁ気分です。ちょっとした悪戯心です。冗談です。
 いまや当たり前にネットがあるこの時代です。小説も一昔の様な紙面だけの媒体ではなく、電子機器へも幅を広げています。
 私は小説を読むなら本でなければならない頭の固い猫なのですが、それはさておき電子機器での、いわゆるネットで見れる小説においてネットでしか表現できない方法というものは無いだろうか。
 そんな疑問から生まれたのが本作の構成です。
 決して票数を減らす為に、最下位狙いの為に一芝居打った訳ではありません。はい。
(現に憎き1票を投じられました。ありがとうございます。オ・ノーレ……!)

 石という題材でしたが、私はあんまりポケモンゲームをプレイしないのでシステム面での発想はちょっと即興できる自信がありませんでした。
 そういう訳で石を用いた言葉遊びを、石や意思や医師等、色んな所で注釈がないと気付きにくい又は分かりにくい繋がりがばら撒いてあります。
 あれですね。なんちゃってミステリーとかなんちゃってホラーとかなんちゃって推理とか。
 終わってみると大体そんな感じの作風が何時の間にか形成されてます。
 新しい試みに挑むというのも影響してか、今回は6時間とちょっとで一つできました。
 もっと時間を掛けて読者に分かりやすい様な修正をするのが多分正しいのかもしれませんが、私は天邪鬼なので後面倒臭がりさんなので最下層を目指します。天国よりも地獄へ行きたい派です。

 さて冗長になりがちな作者の声は空き瓶に詰めて海へぽーい。
 簡潔にスタッフロールを流し凪がし。



 監獄島。
 人に害を成したポケモンが送られるポケモンだけの収容所。
 別名として保健所という名も持つ。
 本島とは離れている為、一般的にその存在は政府の上層部を除いて知らされていない。
 体裁として改善を尽くす面も存在するが、その実態は殺処分による措置がはるかに多い。
 Noの後に付けられる英数字は危険度の等級、下三桁に固体No、その前が収容順となる。
 また危険度の等級の内でもSは死刑囚の頭文字の意味も含む。



・No-S-00571、先生(精神科医)、少年(夢)

 人に感化されすぎて心を壊したポケモン。種族名はNo.571ゾロアーク。
 獣の愛はとても純粋で無垢で時には残酷な程に直向で勝手。
 人に憧れ、人を愛し、人に成ろうと己を偽り、人に成った。

 夢の内容は全て偽りで、彼の深層心理に残る心の欠片が見せた幻影。
 何処までも直向な愛が彼を殺したが、何処までも愚直な愛が彼を生かした。



・助手

 No-S-00571の監視員。
 劣悪な環境に長らく勤めての影響か。彼程ではないにせよ彼女もまた精神を病んでいた。
 通常は術後の記憶の奔流や混濁を防ぐ為、以前の関係者は総替えされるが彼女は上の反対を押しやって引き続き監視を勤めた。

 情が芽生える様に彼女の中にも愛が存在したが、歪んだ愛が彼に追いつく事は無く、記録を提出後自殺。



 それでは開催に携わった関係者、参加者、読者の皆々様、管理人様へ。お疲れ様でした。
 次の地獄ステーションでお待ちしております。

 ああそれと投票してくださった一名様は名乗り出てください。
 地獄行きへのチケットを用意してご招待致します(笑顔)


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Last-modified: 2014-01-19 (日) 07:43:00
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