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DELI HELL BIRD

/DELI HELL BIRD

⚣要素あり?


「あなたは実にいいお客さんですよ」
 パタパタと重そうに部屋の窓へと飛んで来てデリバードは、大きく息を吐きながら、担っていた袋をおもむろに床に置いた。少し黄ばみのある袋が、うごめいている。ヒゲのような白い毛並みは少し乱れて、サンタというよりは山籠りをする仙人のように見えた。一息つくたびに少し出たお腹をポンと叩くのが、このデリバードの癖のようだった。つぶらと言われるような瞳は、催眠術にでもかかったみたいに半ば閉じかかっている。自分が夢や希望を届ける存在だということを、うっかり忘れたかのように呆けた表情をする一瞬に、この運び屋を宿命づけられた鳥の悲哀が凝縮されているように見えた。
「まったく。どいつもこいつも口を開けば」
 うんざりしたように、デリバードは嘴を開いた。まるでそこから丸いタバコの煙が吹き出してきそうだったし、その臭いはきっとコーヒーと混ざり合った刺激臭だろうと思えた。
「ヒバニーが欲しいだのリオルをくださいだの好き勝手なこと言うんです。私はその度にいちいち説明してやらなきゃいけないんだ。連れて来れないことはありませんが、少なくとも百人先まで予約で埋まってますよ、って。そんなこと、考えなくたってわかるでしょうに。経済の原理ってのを理解してないんです奴らは。しかし、大半の客はろくに聞く耳を持たない。サンタなんだから持って来れるだろとか、金なんていくらでも出すんだからとっとと連れて来いよの一点張りです。やんなっちゃいますよ。ろくでもない大人のお願い事は、子供よりもタチが悪いもんです。それに、欲しいものをなんでもくれるサンタなんて作り話だってことを知っているくせに、自分の時だけ都合よく知らないふりをする。私もこの仕事を長いこと続けてきたから、いい加減慣れましたけどね。でも不愉快になることは多々、あります。ええ、デリバードにだって、五分の魂はありますよ。やれやれ……」
 そんなにエースバーンやルカリオが欲しけりゃ、自分で捕まえりゃいい、なんだったら自分がなりゃあいいんだ。苦労鳥なデリバードは控えめに毒づきながら、傍に置いた袋を軽く叩いた。
「それに比べて、お客さんは流石です。流行に右倣えしがちな意志のない連中とは違って、色好みの道をしっかり持っていらっしゃると見受けられました。まさに現代の世之介ですな。お客さんの『お願い事』を受け付けた時、正直言ってなんというか、驚いてしまったのですが、いや、私としてましては、初心に返った気持ちにさせられました。何せ、最近はもっぱらウサギ追いしかの山でして……まあイヌもですが……コブナ釣りしかの川だっていいもんじゃあないかと思うのですがね」
 きつく縛っていた袋の口を開けると、デリバードは頭を突っ込んで、中にあるものと激しく格闘した。しばらくして、戦いに勝利したデリバードが誇らしげにそれを袋から引きずり出した。
「申し訳ありません。袋の中で少々パニックを起こしていたようですね」
 胎盤から漏れ出した嬰児のように、一匹のガメノデスが倒れていた。体中を赤いリボンでぐるぐるに巻かれ、それを振り解こうとして、余計に絡まっていた。
「私としても久々に翼のなる仕事だったと自負しています。わざわざカロスはアザール湾まで飛んでいって、生のガメノデスを捕らえるだけではなく、然るべきコンディションで、お客様に提供せねばいかんというのですから、デブなこの身が引き締まる思いでしたよ、ははは。一から仕込むのは大変な作業でした。しかし、何よりウサギ追いしかの山から解放されたこともあって、私も随分仕事に力が入りましてね……」
 デリバードは話しながら次第に上機嫌になっていった。そういう者にありがちなように、アズール湾でガメノデスを捕まえるまでの顛末を、その日の天気や潮の香りやら、どうでもいいところまで事細かに語って止まらなかった。
 ガメノデスの頭部にあたる部分の目が開いて、不安そうに辺りを見回した。ガメノデスを構成する他のカメテテたちも次第に夢うつつから醒めて、どよめくように蠢いた。
「この子は私が自信をもって送る、厳選された個体です」
 と、得意げにデリバードは言った。両翼を腰にあてて、えっへん、とでも言いたげに弛んだ腹が揺れる。
「今更説明する必要ないかとは存じますが、ガメノデスは七体のカメテテの集合体でして、普段は頭部のカメテテの意識の下で動きますけれども、それぞれに多少の差はあれ、理性やら感情やらが備わっています。ですから、時には各々の意識が目覚めて、勝手に動き出し、中心の頭に干渉するなんてこともあります。お客さんからのご依頼を受けて、私が重視したコンセプトは、ズバリ、『秩序と無秩序の均衡』です。七体の性格が全く一致せず、なぜ一体のガメノデスとして成り立っているのかわからないような個体を、私は額から汗水垂らして探し出したのです」
 デリバードは軽くガメノデスの頭を小突いた。手のひらのような頭部が、ゼニガメが反射的に首を甲羅に引っ込めるように、縮こまった。両肩から生えたカメテテは、左側は怒ったようにうねり、反対側のカメテテは驚きのあまり真っ直ぐになって硬直した。両腕、両足のカメテテたちもまた異なる反応を示した。
「愛を為すうえでもっとも快いことは」
 遠回しな言い方をしながら、デリバードは話を続けた。
「やはり、相手の多種多様な反応を楽しみ比較することにあるのではないかいうのが、長く勤めてきた私の自論です。俗っぽい話ですが、生意気なエースバーンと冷静なルカリオを二匹並べて交互に犯せば、それはまあ、大概のお客さんは興奮するでしょうな。性も経験によって磨かれうるものですからね。文字通り淫乱なのもいれば、控えめなのもいるし、耐え忍ぶのもいる。そういうのを同時に、ビールを飲み比べするみたいに味わうというのが粋、なのです。積極的なのと、消極的なものを一緒に凌辱すれば、興奮は二倍、三倍にもなるというのが私の一家言であります。すると、このガメノデスは、意識が七つあって、それだけでも十分ではありますが、私はそんなことでは妥協しません、かつ、そのどれもが水と油であるかのような別々の個性を有しているのです。しかも、意識全体を司る頭部が臆病で、いささかこの群体を率いる資質に欠けているというのも、重要なことです。少しの動揺で、統率の取れていないタイレーツさながらに散り散りバラバラになって、全身を侃侃諤諤させるというわけです」
 デリバードは、コンセントの絡まりを解くかのように、ガメノデスを縛る赤いリボンを取り払った。ガメノデスはデリバードの視線を察して、おずおずと決まり悪そうに立ち上がった。直立したその姿を、デリバードは出来のいい盆栽を眺めるかのように、距離をとりながらあちこちから眺めては感心する。
「体つきも野生味があります。無骨ながらしなやかで、雄々しさと女々しさがちょうどいいバランスを保っておりましていい雄ですよ。ええ、私はこの子をアズール湾の浜辺の岩から見つけ出せたことに誇りを持っています。ですから、手塩をかけて、お客さんのもとへお届けできるように、誠心誠意、頑張ったのです」
 デリバードは困惑するガメノデスに近寄り、気安く組んだ肩をポンポンと叩いて元気付けようとした。まるで自分たちは気の置けない者同士だと思い込んでいるようだった。手つきはいやらしく、胸と腰の石突のような岩とをつなぐほっそりとした胴体を撫で回していた。デリバードに促されてガメノデスは、おもむろに跪いた。
「調教はしっかりと済ませてあります。私たちの業界では『すごいとっくん』と言うのですが。うちで行っているリザードン型ディルドを用いた擬似性交試験では、なかなかいい反応を見せました。フェラチオもイラマチオも入念にシミュレーションを重ねて、しっかりとその喜びを教え込ませておきました。さらに、アナルにはローターを常時仕込んで最高度で前立腺を刺激させて立派に『覚醒』させてあります。まるで、腰に巻いて腹筋を鍛える機械みたいにビヨビヨビヨビヨ、とです」
 デリバードは黄ばんだ袋から手際よくゴム製の簡素なディルドを取り出して、ガメノデスの眼前でポケじゃらしのように揺らした。頭部にあたる部分が、揺れるディルドの動きを目にすると、顔を赤くしながら拳を握るように爪で顔を覆った。両肩のカメテテは目を背けたり、呆気に取られて硬直し、左腕は頭部を押しのけるように我先にとディルドに絡みつき、右腕は少し距離をとって、頭部と左腕の様子をじっと伺っていた。両脚は萎えたように小刻みにふるえていた。
「ガメノデスは、非常時になるとそれぞれが勝手に動いて暴れ出すとは言いましたが、その点も心配はありません。これもまた、『秩序と無秩序の均衡』というもので、快楽という点に関しては、この子はいずれも適度に結びつくのです。レアコイルのように、引きつき合いながらも反発しあう、あの微妙な距離感のもとでこの子は快楽に浸り、抵抗し、恥じらい、積極的になり、控えめになり、恐怖し、己が身の上を呪うのです。だからといって、この子がお客さんを拒絶するわけではありません。『それにもかかわらず』、この子はお客さんのことを心から愛することでしょう」
 ガメノデスの頭部がディルドの先端を咥え、恐る恐る舐め始めた。口のない左腕が嫉妬深そうに頭部のフェラチオを見つめている。右腕がにじり寄るように近寄ってきた。左肩は悍ましげに全身を横に振り、右肩はちぎれそうなくらいに体を後ろに捻っている。ガメノデスは綺麗な水音を立てながら、デリバードとディルドを交互に見やりながら、上手にフェラチオをしてみせていた。手のような頭を萎れさせながら奉仕している姿は、ペニスを舐めていると同時に大切に握りしめているようにも見えた。
 デリバードはあいた翼で、ボタンのような出べそのような腹の白い毛をぎゅっと押すと、それが何かの合図であるかのように、視線はガメノデスに合わせたまま、袋の中からローターを取り出すと、ディルドをガメノデスに咥えさせて背後に回り、四つん這いの姿勢にさせた。
「ご覧ください」
 まるで工事現場を案内するかのように翼を指しながら、デリバードは話を続ける。
「ガメノデスのアナルの周りは、不自然でない程度に岩を掘削してあります。お客さんが正常位や後背位をするのに、なんの支障もありません。腰周りが岩に覆われていますから、一般的にガメノデスは岩の微かな隙間から垂れ流すように排泄等をするために、ペニスもアナルも必要最小限なものになっておりますが、その点も抜かりなく、しっかりとした拡張処理を施してありますから、どんな男根だろうと対応可能です」
 説明を続けながら、デリバードは岩に穿たれた穴からガメノデスのアナルへ埋め込むようにローターを押し込むと、電源をオンにした。最高度に設定されたやかましい電動音が響きわたると、バットを思い切り振ったような宙を切る音とともに、腰を覆うパンツのような石突が高く突き上がった。左半身は上がり、右半身は垂れた。左足は暴れ回り、右足は引き攣った。
「ほら、こうやってちょこっと前立腺を弄ってやるだけでコレです。感度については、私は絶対の自信を持っております。対魔忍の一歩先を行く感度、というのが私が調教する上でのポリシーですから。淫乱という程度の浅い言葉では到底集約できないほどに、この子にはA感覚の快楽というものを教え込んでおきました。ええ、こう見えて、多少は足穂は愛読しておりましてね、はい」
 ガメノデスの腰の石突の裂け目から、アーボックかハブネークの舌のようなペニスが生え出てきた。窓から吹き付ける風にも、煽られるほどに弱々しい立ち方だった。
「あいにく、これが勃起時のペニスになります。一応、性交前にフシギバナやラフレシアの毒を配合した精力増強剤を経口摂取ならびに、肛門摂取させれば大きくならないこともないですが、まあ誤差の範囲です。しかし、たとえばレディバやイオルブのものに比べれば、まだ立派な方です。それに、お客さんはもうキーの実のようなありきたりの男根では物足りなくなったでしょう? むしろ、こんながめつい雄がこんな貧弱な性器しか持ち得ないところに、神秘を感じるのではないでしょうか」
 ほとんど蔓のようなガメノデスのペニスを翼で弄びながら、デリバードはディルドを頭部の口腔の奥へ、えずくほどに突っ込ませた。再びローターの電源を入れて、三箇所を同時に攻め立てられた七体の集合体は悶絶し、興奮し、絶句し、赤面し、陶酔し、嫉妬し、呪詛していた。中枢を司るガメノデスの頭部と胴体は、全体からの多種多様な反応を制御しきれず、それに揉まれながら全身を震わせ、ゲンガーに取り憑かれたようにのたうち、我慢して縮こまると、両目からは涙がこぼれ、顔面が薔薇のようにほの赤くなり、不器用に腰を上下させた。
「ガメノデスの神経中枢が混乱しているところです。混乱といっても『秩序と無秩序の均衡』の下においてですがね。まさしく器官なき身体です。これは一個の哲学です。ホモのためのポモ、だ。全体と部分の関係が曖昧化し、倒錯している姿は、タマタマですとか他の群体には見られぬ特徴です。何せ、七つの意識が一つの体にあるのですから。まさしく、色好みには無限の可能性を孕むと言えますし、この子はその可能性を存分に発揮してくれることでしょう」
 デリバードはディルドを一際激しくガメノデスの口腔に出し入れさせた。コンセントの線のようなペニスを片翼で強くきり揉みした。ローターは最大度のまま振動し続けていた。避けられない快楽に対して、カメテテたちは阿鼻叫喚の体だった。その歓喜と絶望の渦に巻き込まれながら、ガメノデスは頭部を硬直させ、腰部の岩を床に叩きつけるほどまでに上下させ、枝のようなペニスから思いがけず多量に射精すると、性エネルギーを放出した疲れか、気を失ったように床に突っ伏した。シュルシュルという息の音が、微かに聞こえた。
 根本を押さえつけて、出涸らしの精子を搾り出すと、デリバードは満足げにうなずいた。たわわに揺れる腹の毛から、濁った汗が分泌されていた。
「いかがでしょう? これはごくごく基本的なプレイではありますが、それでも随分と面白い、そそられる反応をするでしょう? ですが、そんなものではありません。七体が異なる反応を見せ、その混濁が中枢のガメノデスの意識にダイレクトに放出されることで、愛を為すたびに、微妙な違いを楽しむことができるのです。いわば、ローグライクなセックスです。千回ヤれる子です。千回ヤっても飽きない子です。不思議な子です。私もずっとこの子の調教をしていましたが、いやあ、まるでこの子だけじゃなく、自分まで開発されたような気分になりました。私としても、ガメノデスなどというのは初めて扱ったんですがね、正直な話、単に違う種族の子たちと乱行するのとは、全く質が違う。新感覚だとこの私が保証します。ね? もう相手したくてたまらなくなったでしょう? はははは、やはりあなたは実にいいお客様だ……」
 小道具を手際よく、くたびれた袋に詰めると、デリバードは上機嫌に料金の内訳を伝え、電子決済用の端末を差し出した。
「『デリ・ヘル・バード』をご利用いただきありがとうございました。いいプレゼントになることを心からお祈りします。メリークリスマス、ついでに、よいお年を!」
 やれやれ、来年はいい年になるといいですが。中年太りした運び屋鳥は独言ち、ぐったりと倒れたガメノデスを一瞥すると、真っ白な息を吐きながらさっきよりは軽快に窓から外へ飛び出して暗闇の中へ消えていった。



メリークリスマス! あけましておめでとう!
サンタさんからのプレゼントだ! これで来る年は安泰! 行く年よさらば!



それはともかくガメノデス。
真剣にエロを書こうとすると、これは大変な作業になるんじゃないか。最低でも8P、単体でも7P相当……1つのカラダに7つの意識……
ガメノデス、それ自体が芸術たりうるエロになのではないか? 群々

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Last-modified: 2020-12-25 (金) 16:46:13
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