ポケモン小説wiki
BRAVE-紅蓮の勇魂-/Story.04 ―運命の予感―

/BRAVE-紅蓮の勇魂-/Story.04 ―運命の予感―

BRAVE-紅蓮の勇魂- by 狐眼




「寒っ!」
時空を越える旅を終えての俺の第一声がこれだ。
 ……なんか雪降ってるし……
念のため長袖で来たのが正解だった。
どうやら俺の居た時空とこの時空では、季節が違うらしい。
「……どうする?」
ブレイブはそのふさふさの体毛のおかげであまり寒さは感じていないようだ。
 ……いいなぁ……
「とりあえず、ここがどこなのかを調べないとな……」
俺はブレイブを抱き上げ、近くにあったポケモンセンターに向かって一歩踏み出し―
「うおぁらばぉうぼあぁ!?」
踏ん付けた丸い何かに足をとられ、盛大に転んだ。
「……大丈夫?」
ブレイブは俺が転ぶ直前に腕から脱出していたらしく、俺のすぐ横で笑いを堪えているようだった。
「ちっ……何だこれ?」
すぐ近くに金色の玉が落ちていた。俺の足元に居やがったのはどうやらこいつらしい。
「金色の玉……金の玉……金玉……まあいい。綺麗だし貰っておくか。」
俺は金玉をしまい、再びブレイブを抱き上げてポケモンセンターへと向かった。
(ブレイブたん、もふもふしててあったかいぉ……)


Story.04 ―運命の予感―


「いらっしゃいませ。」
ポケモンセンターに入ると、暖房の暖かい空気が俺の凍えた体を癒す。
センターの中には沢山の人やポケモンが居る。見たところ、かなりの強者達のようだ。
とりあえず、今は色々と聞き出すには人が多すぎる。それに、この世界について色々と知っておく必要もあるだろう。
俺は近くの棚にあった小冊子『トレーナー入門ガイドブック』を手に取り、空いているベンチに腰掛け読み始めた。



ご主人は本を読み始めてるし……やることないなぁ……
暇だし、とりあえず他のポケモン達と話でもしてみようかな……?
「おう、そこの坊っちゃん!あんたもフォースリーグに出るのかい?」
声を掛けられて振り向いた先には、随分と体格のいいカイリキーがいた。
「いや……僕は違」
「随分とカワイイ顔してんなぁ。ところで、俺とやらないか?」
カイリキーはニヤニヤしながらこちらを見ている。
……っていうか、話聞いてないし……
「や、やらないかって……何を?」
「そりゃあ、男同士でやると言ったらアナルセックスしかないだろ?」
カイリキーはさらにニヤニヤしながらこちらに迫ってくる。なんか恐い……
「あな……何?」
「アナルセックスだ。知らないみたいだから、やさしいお兄さんが教えてあげようk」
「おい!行くぞバッシュ!」
遠くから誰かの声がする。
「あ?もう終わったのか?」
カイリキーは声の主の方に向き直った。
「お前……またちっちゃな雄たぶらかそうとしてたのか?このショタホモが……」
「失礼な。俺は雄の悦びを知らぬ者に、誠意を持ってそれを教えようとしただけだ。」
「……まあいい、登録は終わった。行くぞ!」
「あいよ。」
バッシュと呼ばれたそのカイリキーは、彼の主人であろう男に付いていった。
 ……とりあえず、助かった、のかな?
その時だった。
突然カウンターの方が騒がしくなったかと思うと―
「きゃっ!?」
僕に茶色い何かがぶつかった。
幸い、軽くぶつかっただけなのでダメージは無かったが、茶色い何かはそのまま人込みの中に走り去って行った。



「誰か!捕まえてください!」
なんか騒がしくなってきたな。
そう思ってはいたが、今読んでいるこの本―『子供たちの幻想郷』というタイトルの本だが―これに夢中になっていたため、特に気にしていなかった。
「きゃっ!?」
ブレイブの軽い悲鳴に顔を上げ―
「ぬおぉっ!?」
茶色くてしかも重い何かが俺の顔を踏み台にして後ろの本棚に飛び乗ろうとする。
とっさにその茶色い何かに手をのばし、掴む……手応え有り!
その茶色で重い何かは本棚に届く前に速度を失い―
「痛っ!」
俺の頭の上に墜落した。
 ……ここに来てからろくなことが無いんだが……
「すみません……大丈夫ですか?」
一人の少年が走ってきた。
「ああ、一応な……」
頭の上の茶色い何かを下ろしながら答える。
『茶色い何か』はジグザグマだったようだ。
「すみません、アレクトが迷惑をかけてしまって……今日は予防接種を受けさせようと思って来たんですけど、恐がってるみたいで……。
僕はまだちょっと前にトレーナーになったばかりなので、言うこともあまり聞いてくれないんですよ……」
「そうなのか。」
「ところで、あなたもフォースリーグに出場するんですか?」
「フォースリーグ?」
俺は受付に目を向ける。
先程まであった列は既にほとんど消えていた。
さっきまでそこにあった集団はそれが目的だったのだろうか。
「いや、俺はまだトレーナーじゃない。」
「そうなんですか?意外です!」
これはチャンス。彼がまだ駆け出しトレーナーなら、初歩的な質問でも気軽に出来る。
「なぁ、よければ色々と聞きたいことがあるんだが?」
「はい!答えられることなら何でも!」
よし、情報源確保。
その時、向こうから彼を呼ぶ声が聞こえた。
「えーと、終わったらここに来てくれれば待っていますので。それでは。」
俺に一枚の小さな地図を渡すと、そのまま彼は受付の先へ歩いて行った。
……俺もそろそろ行きますか。
「俺らも行くぞ、ブレイブ。」
「ふぇ?うん!」



「こちらがトレーナーカードになります。無くさないようにお気を付けください。」
登録は簡単だった。ブレイブが健康診断を受け、俺がいくつか質問に答え、数分待って完了。
「こちらがトレーナー初心者にお配りしている心得になります。」
さっき読んだ小冊子とはまた別のものらしい。受け取っておくか。
「ところで、彼とはどのように出会ったのでしょうか?」
「うん?」
突然の質問に俺は思わず気の抜けた声で返す。
「家に帰る途中で倒れているのを見つけて……だな。」
「そうですか。」
担当の女性は何かを考えているようだった。
「何かあったんですか?」
「いえ、アンケートのようなものです。」
聞き返してみたが、あっさりと返されてはどうしようもない。
これ以上の手続きがあるわけでもないので、俺達はアレクトのトレーナーに会いに行くことにしよう。



……という訳で地図の場所に来たのはいいが。
「本当にここであってるの?」
左腕のブレイブがつぶやく。
「ああ、そもそも一本道だし間違えるはずがない。」
目印の時計台も橋も見つけた。位置情報に間違いはない。
「本当に?」
ブレイブが疑うのも無理はない。なにしろ俺達は――
「……おそらく。」
とんでもなく豪華な豪邸――だったはずの廃墟の前に立っていたのだから。
「地図の向きの間違いとかじゃないよね?」
「それはない。この時計台は大きいし目立つしそもそもひとつしかないし。」
なんかすごくカオスな展開になりそうだ。だがもう後に引く気はない。
「……信じていいんだね?」
俺はブレイブを首後ろに跨らせ。
「なんとかなるさ。」
豪邸の廃墟の門を押し開け、中に足を踏み入れた。


スカイ「設定キーON。ぎゅぅいぃぃぃぃーん!(←効果音)設定を変更しました。」
ブレイブ(イーブイ)「……なんでパチスロの設定音なの?」


トップページ   編集 凍結 差分 バックアップ ファイル添付 複製 名前変更 再読み込み   新規作成 ページ一覧 ページ検索 最近更新されたページ   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2015-11-13 (金) 00:29:13
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.