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BCローテーションバトル奮闘記・第四十二話:陰陽師に相談だ

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BCWF物語
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10月1日 火曜日

 森林エリアにて、ポケモンたちの技の指導の最中のこと。モウカザルやエテボースの面倒を見ていた俺の横で、スバルさんがスマートフォンでポケモンを撮影している。スバルさんのスマートフォンには、カメラで撮影したポケモンのレベルを計ったり、特性やおおよその性格までわかると言う優れたスキャンアプリがあるのだ。
「あぁ、もう……まただ!!」
 それに表示された結果を見て、スバルさんが毒づく。最近スバルさんが荒れていて、俺もその理由は知っている。
「また性格が変わったの……?」
「あぁ、そうだ……今度は真面目だったモウカザルが臆病な性格になってしまった……まったく、どうしろと」
「それって、ある意味得なんじゃ……」
「まあな。だが、対戦用ではなく番犬として育てるのであれば、真面目な性格のほうがずっと役に立つと言うものだ。それに、こいつは物理型で育ててきたからな……今から育成方針を特殊型にシフトさせねばなるまいな。
 そのためにはいろんな木の実を食べさせてやらなきゃならん。攻撃に使う筋肉を減らし、瞬発力を上げる筋肉を……あぁ、もう! 今までの育成レポート全部破棄だ、コンチクショウ!」
 あーあ、口が悪くなってるよ、スバルさん。
 最近のスバルさんや職員さんはこの現象に悩まされている。最近、ポケモンの性格が変わるのである。それも突然……すでに人間にも影響が出ているこの現象は、ダークライやビリジオンがこの街に訪れる前という、はるか昔にもあったことだし、今でもイッシュ中でごく稀に起こっていることではある。
 この現象によっていきなり性格が変わったポケモンは、時折特性まで変わってしまい、その事実に怯えて野生下では『隠し穴』と呼ばれる小さな穴を掘ってそこに縮こまって暮らしているような個体になってしまうという。本来は群れで生きるような個体でさえそうなるのだから、飼われているポケモンだって怖くて仕方が無いのだろう、こういう状態になった個体は、「しばらくは怯えて調教がまともに出来ない始末だ。

 何でも、このような現象が起こるのは、このイッシュ地方が夢の世界『ハイリンク』との境界線が薄い事が原因らしい。そのため、『夢の中の自分』と『現実世界の自分』との霊が入れ替わってしまい、それによって夢の中の自身の記憶と現実の中の自身の記憶がごっちゃになる結果、特にポケモンは強い影響を受けてしまうのだ。
 このモウカザルも特性が鉄の拳になっており……まぁ、それはいい。この子は俺達育て屋が卵から育て、販売用にしようとしているポケモンだからまだいい。だが、この現象が預かっている最中のお客様所有のポケモンだとどうなるのか? 預かったポケモンが流行り病にかかった時など、育て屋の責任でなくとも育て屋の管理責任という事になってしまうのが実情だ。今回も、育て屋の責任ではないのに責任を取らせられかねないのが今の法律の現状である。
 そして、『また』というからには、当然お客様のポケモンもそういう状態になっているのである。電話越しとはいえ、スバルさんが2回ほど頭を下げている光景は、彼女の完璧な仕事を見ていると信じられない光景である。最近になって頻発しだしたこの現象……一体なんだというんだ?

「あぁ、もう……くそ。カズキ、ちょっとお使いを頼みたい……」
「え、あ、はい……」
 なんだろう、このタイミングで。
「あぁ、お使いは今日じゃない。明日になるんだがな。あまりに性格が変わってしまったポケモンの例が多いものでな……他の子の様子も一通り見ておきたい」
「それで今日は全員をスキャンしているんでしょう? 今まで何人くらいみつかったの?」
「以前のものと合わせて4匹の性格が変わっている……そのうち、育成方針でどうにかなるのは2匹だ。あとの2匹は、お客様がクレームをつけたり、特性のせいで今までの調教方針が台無しになってしまっている。今のところ目立った変化がある奴はその4匹以外にはいないが……全く、頭が痛いよ」
「うーん……そりゃ問題だなぁ」
「あぁ、問題だ。ゆえに、私も問題を解決する方法を探していたんだが、この街の陰陽師ならば、その症状を治せるそうなのだ……性格や特性を元に戻せるとかなんとか」
「そんなの出来る人いるんだ。知らなかったな……」
 へぇ、徒感心したように俺が呟くと、スバルさんは笑う。
「ビリジオン・ダークライ感謝祭や、ダークライ・ビリジオン感謝祭の祭主を務めているのは、その陰陽師だぞ。この町じゃそれなりに有名人だ」
「あ、そうなんだ」
「ついでに言うと、あの祭りで『BCWF陰陽師』と言う名前でバンドをやっていた奴がそいつだ」
「えぇぇぇぇ……? あれが?」
「『あれ』呼ばわりとは酷いなお前。陰陽師とは、占星術を生業として世の中の吉凶を占い、また呪詛やたたりなどから身を守る手段を持つ者。独特のステップの禹歩(うほ)とよばれる歩法で世の気の流れをある程度制御したりとか、そういう感じで運気をあげたり不幸を回避したりする事にかけては結構なスペシャリストだぞ。副業や趣味が何であれ、尊敬してしかるべきものだ」
「うーん……でも、バンドとかやっているイメージがなぁ……陰陽師って言うと、もっとこう。厳かと言うか……ゆったりと暮らしているような印象があったもので」
「それは古いイメージだな。実際はかなりファンキーな奴だぞ。それに、最近まで性格が変わったのを治せることなんて知らなかったから話題にも上げなかったが、あいつはポケモンレンジャーに入ったら明日にでもトップレンジャーになれるレベルの化け物だ。一対一(サシ)で戦えば私でも勝てんぞ」
「どんな化け物ですかそれ」
「どんなって、化け物と言うか変態だな。ポケモンレンジャーでは、トップレンジャーと呼ばれる領域に達した人間の事を『変態』と呼ぶんだ。人外、化け物、変態の順番で強くなってな。例えばここホワイトフォレストには、『戦闘中に棒を硬くしたりやわらかくしたりする変態』がいるぞ」
「キズナから聞いたことがある……何でも、聖剣士の角や骨、腱や毛皮などの素材を使うことで、自身の殺気に応じて威力を変える弓矢を用いた達人だそうだ。マジックルームで銃を使えない状態にしたら、そいつに遠距離攻撃で勝てる奴はいないとすら言われている人だっけ?」
「あぁ、その陰陽師はそれら変態に並ぶレベルの実力者といってよい。喧嘩は売りたくない相手だな」
 スバルさんはその人の事をよほど気に入っているのか、少し口元に笑みを浮かべていた。というか、そういう情報は一体どこから仕入れたと言うのか……。
「ともかく、明日の朝にそいつの元へとポケモンの特性を戻すように依頼してほしいんだ。それで、育成方針を何とかしなくとも大丈夫なようにしたい」
「了解。陰陽師の所だね……」
 祭りの時のバンドマンの人の顔……そんなの良く見て居なかったけれど、どんな人だろうか。
「あぁ、それと……この前、アオイから貰ったポケモンの事だがな。今日付けで正式に私の手持ちとなったのだ」
「あ、うん。それはよかったけれど……それがどうしたの?」
「あのポケモン、この育て屋の商品にするつもりなのだが、お前が育ててみないか?」
「え……いいの?」
 俺の問いに、スバルさんはああと頷く。
「お前の育て屋としての実力を見てみたい。売買が成立した際に、もろもろの経費を差し引いた額をお前に給料として出すつもりだから、しっかりと育てると誓うなら、お前に育てさせるつもりだ」
「ぜひ!」
「よかろう。それは今後お前が旅に出たときの資金にさせるつもりだ。来年にはカロスへの輸入規制も緩和されるから、きっちり働けよ」
「はい!」
 なんか、陰陽師の話のついでという感じで話された割には、俺にとっては飛び上がるように嬉しい話であった。それに、トレーナーとしての武者修行にも行かせてくれるつもりらしいので、そっちもまたすごく嬉しい。
「ボールは、仕事が終わってから渡す。今日の夜から、お前が育てるのだぞ。あと、お前はまだ2級免許を持っていないから、ポケモンを持ち出す際は6匹までを厳守しろ。法律だからな?」
 スバルさんは微笑んでそう告げる。俺の実力を買ってこんな申し出をしてくれているのだとしたら、是非ともそれに応えないと。あのアヤカとかいう馬鹿の所に居た時よりも、強くなれるように頑張らなくっちゃ。




 翌日、お客様から性格を元に戻してくれと依頼を受けた4匹のポケモンと、護衛(大金を持たされているので)兼足代わりに使わせてもらったトリニティとで陰陽師がいるという寺院へ向かう。バンドなんてやっている陰陽師が住んでいるということで、一体どんなファンキーな見た目の住居かと思いきや、中は意外と普通であった。
 いや、むしろこの一帯だけ俗世から開放されたような、そんな静けさが辺りを包んでいる場所である。と言うのも、周りはドーナツ型の防風林のようなもので囲まれて、その内部に広大なドーナツ型の砂利。その中心にはさらにドーナツ型の池があり、さらにその中心にやっと館がある。朱色に塗られたその館は、ウタンの実のような、鏡餅を3段にしたような、そんな感じの外見に、丸い小窓がついている。
 どうにも、室外機やパイプやら電線やらが伸びておらず、エアコンの類のようなものが見られないが、もしやそういうの無しで仕事をしているのだろうか?

 いやぁ、静かにすごせそうでいい場所ではないか。ホワイトフォレストでもここまで静かな場所はそうそうあるまい。その館のてっぺんには天文台なのだろうか、ガラス張りの360度見渡せる天窓。星が綺麗な日は星の観察が進みそうだ。
 そして、表には『ポケモンアレルギーの方はご一報ください。予約の上で対応させていただきます』との張り紙がでかでかと張られている。そんなにポケモンがいるのであろうか?
「ごめんください」
 その厳かな雰囲気を感じながら館の門をくぐり、受付へと行く。受付には和装の礼服のようなものを着ていて、朱色の烏帽子を被っている男性が待ち構えていた。袖が広すぎてすごく邪魔そうだ……。
「いらっしゃいませ。ご用命をお伺いいたします」
「あ、はい……どうも。あの、最近この街で頻発している、人間やポケモンの性格が変わってしまう事に関しての相談なのですが……」
「はい、分かりました。最近多いのですよね……お客様も、ご自身の手持ちが?」
「いえ、ウチは育て屋を経営しているのですが……その、お客様や、販売用のポケモンがいくらか被害にあってしまったので……なので、お支払いの際は領収書をお願いしたいのですが。税金の関係もありますし」
「えぇ、構いませんよ。人数はどれくらいでしょうか?」
「あ、えーと……4匹です」
「4匹ですね、了解です。ポケモンの大きさは問わないので、料金は1匹あたり5500円で、合計2万2000円になりますが、よろしいでしょうか?」
「はい……よろしくお願いします」
「それでは、こちらにお名前と電話番号を……企業の方でしたら、法人名をお願いします」
 ネットで料金を調べた時も思ったが、意外と安いものである。これ以外にも仕事はあって、占いとか厄除けとかもやっているようだが他の仕事もたいした料金ではないし、意外と客は来るのだろうか? いくらここら辺が安い土地とっても、広大な土地を維持するには少しばかり土地にかかる税金が心配である。
 まさかそれを何とかするためにバンドなんてやって儲けているんじゃ……いや、考えすぎか。そもそもバンドなんて儲からなさそうだし。
「はい、それでは受付の準備が終わりましたので、2階へどうぞ。当主様がお待ちです」
「ありがとうございます」
 料金は一応後払いである。理由は、失敗するかもしれないからとの事。そんな恐ろしい事をネットで世界に向けて言うのは、失敗の経験でもあるのだろうか? いや、でもこの陰陽師はトップレンジャーに明日からでもなれるような腕前だとスバルさんも言っていたんだ。
 そんなに何回も失敗するような輩が、スバルさんにそう言わしめるわけもあるまいし。きっと、自戒のための宣言だろう。

 階段を上ってゆく。壁面に沿って取り付けられた階段は、一段一段よほど丁寧に作られているのか、まるで靴の底に吸い付くかのような感触だ。足音も全くと言っていいほどしないし、すごい作りである。
 20段ほどのその階段を上りきると、そこに陰陽師はいた。なんというか、ゆったりとしたデザインの和装礼服の装いは変わらないものの烏帽子なんかの色は、先程の受付の男性の白ではなく黒である。身分が高い証なのだろうか。
 まぁ、そんなことはどうでもいい。重要なのは、ここに漂う圧倒的な獣の匂い。育て屋のポケモンの寝床に匹敵する濃い匂いだ。これ、ポケモンにアレルギーをもっている人は一発で死ぬんじゃないだろうか? だからこその外の看板なのだろうけれど……うーむ。
 ざっと見た感じで、ファイアー、アバゴーラ、ボーマンダ、ウインディ、メロエッタ、ゴチルゼル、アブソル、ムシャーナ。何気に伝説のポケモンがたくさんいる辺り、有能なトレーナーなのだろうか。
 毛皮のさわり心地がよさそうなウインディに背を持たれかけ、自身も床に腰を置きながらアブソルに肘を置いている。しかし、物凄く暑そうな組み合わせだと言うのに、意外と涼しい。アバゴーラあたりに吹雪でもしてもらっているのだろうか?
「こんにちは」
 と、俺が頭を下げると――
「こんにちは」
「こんにちは」
「こんにちは」
 3人ほどから答えが返って来る。人間は1人しかいないはずだけれど……。
「あの、今挨拶を返してくれた人って……」
「俺と」
「私と」
「ワシじゃ」
 順番に陰陽師の人、アブソル、メロエッタである。
「ポケモンが……肉声で喋ってる?」
「ほほう、まるで喋るポケモンでも見たような顔じゃの」
「そうね。一体何を見ていると言うのかしら?」
「お前らだよ!!」
 俺の驚きを、茶化すようにアブソルとメロエッタが会話する。思わず大声でつっこんでしまったが、実はゾロアークとかに化かされているなんてことはないだろうな?

「こらこら、客人をからかうものではありませんよ。君達」
 アブソルの首の皮をつかみながら、陰陽師のお兄さんが言う。あの、首の皮ってチョロネコじゃないんだから……
「あの、貴方が……安倍(あべの) 輪月(ワヅキ)さんですか? あ、私はカズキと申します……よろしくお願いします」
「いかにも。この街で陰陽師をやっております。こいつは我が家に先祖代々伝わるポケモン、アブソルのコクビャク君です。喋った事に驚きました?」
 笑顔で言い終えると、掴んでいた首の皮を離す。生まれたてのチョロネコみたいな扱いしちゃって……
「まぁ……テレパシーで喋ったりする子は1人知っておりますが、肉声で話す子は初めてなので……」
「あらぁ、喋るポケモンを知っているだけでも貴重よ、ウフフ」
 ボイスフォルムのメロエッタの声は、非常に良く通る声で言う。今まで聞いたどんな女性の声よりも綺麗だな……

「こいつら、100歳超えているんだ。特にメロエッタはおばさんなんてレベルじゃない、もはやババアなんだ……」
「あらー、ひどーい。こんなに若々しい見た目をしているのに、そんな言い方は酷いんじゃないかなぁ? ほら、お肌綺麗でしょう? まるで陶器のように真っ白な肌、タマゴのようにつるっつるよ。触ってみる?」
 まだ階段から上りきっていないというのに、この始末。いつになったら俺は階段を上りきる事が出来るのであろうか?
「えーと、じゃあ……触ってみます」
「きゃー! 可愛い男の子に触ってもらっちゃう! これでまた若返るわー」
 なんなんだこの女(?)は。そう思いつつ触ってみると、確かにこれはすごい。メロエッタのお肌はまるで大福のように柔らかな肌……指が抵抗なく沈み、その感触を指先に伝えてくれる。調子に乗って掴んで頬を伸ばしてみると、流石に手首をはたかれた。
「もー、触ってみるかとは聞いたけれど、そこまでべたべたしないでしょ普通。あ~ん、でもこれでより若返ったかもしれないわー。プラス思考プラス思考」
「このメロエッタ、テンション高いっすね……」
「だってー、ストレスなく楽しく暮らすのはお肌や髪を元気にする秘訣よ。歌もダンスも若々しくありたいのよー、メロエッタとして」
 メロエッタはそんな事を言いながら赤らんだ頬を隠して目を逸らす。今の会話の中にどこに顔を赤らめる要素があったというのか。
「そんなことよりも、そろそろ仕事のお話をしたいのですがー……」
 ものすごくめずらしい子達だけれど、仕事で来ているのだから、いつまでも夢中になっているわけにもいかないだろう。
「あらら、意外と淡白なのね。他の人は結構興味を持ってくれるのに」
「育て屋をやっていれば珍しいポケモンなんていくらでも見られますからね。そうだ、よろしければ育て屋で育てられてみませんか? 宣伝になりますし、男との交尾も若さの秘訣になりますよ」
「やだ、大胆。私惚れちゃう! で、でもこんな私の十分の一も生きていないような子に育てられるだなんて、なんか悔しいの」
「いいじゃないですか。ウチの育て屋のいい宣伝にもなりますし……そちらのアブソルのお兄さんも」
「お、ワシか? そんな事を言ったのは、スバルとかいう女以来じゃのう……あやつもわしを育てたいとか言っておったわ」
「あー……母さんと知り合いなんだ……」
 スバルさんの例の言動の理由がわかった。知り合いなんだ。

「……お前とあの女が親子だと? 人間の顔はよくわからんが、雰囲気も匂いもまるで別物じゃないか?」
 アブソルが言いながら、こちらに歩み寄ってくる。ところで、俺はいつになったら2階に上がれるのか。
「あぁ、血は繋がっておりませんので……」
「ふむぅ……だが、確かに同居はしておるようじゃのかすかに匂いが残っておる」
 アブソルは、俺の服の匂いを嗅いで、俺の言葉が真実である事を確認する。
「なるほど、血は繋がっておらぬか。じゃが、気質もどうにも影響されているようじゃ」
 アブソルが笑う。しかし、本当に人間のように普通に喋るなぁ……この子。いや、100年以上生きているみたいだから、子という表現はおかしいかもしれない。
「あのー、それでスバルさんとはどういう関係で……」
「あぁ、それはあれだ。あいつが育て屋を建てたいって時に、どこに育て屋を建てればいいかを占ってやったんだ。それで、地脈の様子とか、本人の中にある気の力とか、そういうのを総合してあそこに決めさせたんだ。あ、ついでにサイフとも相談させたがね。
 あいつがあの場所で育て屋を成功させたのは1割くらいは俺のおかげだって、自負しているよ」
 それだけの事を言うだけの自信があるとは……相当の腕なんだろうなぁ、この人。あと、微妙に顔立ちも整っていてイケメンだ。
「しかし、母さんは貴方の事をポケモンレンジャーに入れば明日にでもトップレンジャーになれるって言ってましたけれど、何かあったのですか……あの人と?」
「別にぃ……いや、ポケモントレーナー同士、ちょっとばかしバトルをしただけだけれど。その時は、フルバトルで6体1の大差で勝ったっけなぁ。俺が6体先に倒して、あっちがやっと1体を倒せたってところ」
 いやいやいや、育て屋創設時点での母さんの強さは知らないけれど、それって何気にとんでもないことなんじゃないの?
「えー……あの母さんを……倒したんだ」
「俺の家、代々ポケモントレーナーとしても有名なんだ。ワタリとか、ワラキアって人知らないか?」
 知っているも何も……
「白の樹洞と、黒の摩天楼の番人ですよね。それぞれ、最高難易度のステージの……確か、ご当地ヒーローの中の人をやっているとか」
「あぁ、街の代表だからな……俺はその孫と子供に当たる人。爺さんが引退したら俺がワタリの代わりに白の樹洞に行くんだ……はー、やってらんねぇ」
 そう語るワヅキさんは、物凄くけだるそうであった。それだけの実力を持っているのに、もったいない。

「ところで、お仕事の件だけれど……育て屋ってことはあれかな? ポケモンの性格が変わったとか、そんな感じの依頼かな?」
「えーと、まさにそれです。うちの育て屋も、性格が変わる謎の現象に困っておりまして……」
「ふぅん……なるほど。やはり、この街にいる限りは逃れられないか……」
 ワヅキさんの口ぶりからも、これが町中で起こっている現象だというのが伝わる。
「それでは、仕事を始めようと思いますので。ポケモンを出してください」
 物腰柔らかに言ってワヅキさんは床を指し示す。
「あ、はい。どうも……」
 母さんからあずかったポケモンは、性格が陽気になってしまったランクルス。のんびりやになってしまったガーディ、照れ屋になってしまったヒヤップ、真面目になってしまったボスゴドラなど。育て屋としては、これだけサイズが違うと、食費と蚊の関係もあって同じ期間預かるにしても値段を変えざるを得ないのだけれど、陰陽師の仕事ではサイズとかは関係ないのかな? サイズに関わらず値段が一律というのは不思議な感覚だ。

「んー……可愛い子達ばかりだな。やー、ガーディもモフモフしていてかわいい……懐かしいなぁ、この感覚。お前もそう思うだろう? ビャクエン」
 ワヅキさんは、ガーディの首周りを撫でてあげながら、自身のウインディに振り返る。ウインディはガゥッと低く轟く声で鳴き声をあげる。流石にあいつまでは喋らないか……。
「そしてこいつはひんやり……してないな、ぬるい。ぷにぷにした感触は嬉しいけれど、夏にこれはなぁ……逆に暑苦しい」
 ランクルスに対しては酷い口ぶりだ。ご愁傷様。
「そして、こいつはゴツゴツとつるつるのコントラスト……あぁ、ひんやり気持ちいい」
 今度は、ワヅキさんがボスゴドラにじゃれ付きだす。
「あ、危ないですよその子!」
 というか、危なすぎる。真面目な性格と言っても、それはボスゴドラにとっての真面目……つまり、縄張り意識は平均的なボスゴドラより高いってことで……ましてや、性格が変わってしまったということは、ポケモンは霊魂に刻まれた記憶と体に刻まれた記憶との違いに戸惑っていると言うこと。
 今の世界の環境に慣れないから、非常に臆病だしストレスも溜まっている状態なんだ。つまり非常に攻撃的だ。案の定ボスゴドラは咆哮を上げて爪を振り上げている……死ぬぞあの人……ズシーン
「本当だ、危ない」
 ズシーンって、どういうことだ? 爪を振り上げたボスゴドラは懐に入り込まれたかと思うと、足をかけられ軸足を崩され、体が浮き上がったかと思えば投げられていた。ズシーンというのは、その時地面とボスゴドラが接触した時の音だったらしい。見事な背負い投げだ、物凄く見事な。
「うーん……確かに必要以上に気が立っているな。夢の自分と現実の自分が入れ替わって、戸惑っている証拠だな。これは早期に何とかしないと」
 なるほど、スバルさんがこの人の戦闘能力を評価するわけだ、うん。
「よしよし……お前も大変だな。本来は大人しくていい子なんだろうに……こんな目にあってしまって」
 どこの口がそんな事を言うのか。背中から落ちたボスゴドラの腹をなでて、柔和に笑う。
「よし、ユメマクラ。始めようか」
 あ、かまって貰えなかったヒヤップ涙目。ワヅキさんは、ムシャーナのほうを向いて呼びかける。
「へー……ムシャーナを使うのですかぁ」
「あぁ。俺らの仕事の基本はムシャーナに頼ってる。幽霊と戦うときも、夢の世界と繋がる時もな。それに、何かあってもいいように、育て屋にもムシャーナの育成を依頼しているんだぜ。今は別の育て屋で育ててもらった子を利用しているが、万一の事があれば君の育て屋にもお世話になるだろうね」
「そ、そりゃあ……どうも」
「ふふ、利用するような事態にはならないでほしいのが本音だがね。生き物はいつか死ぬから、仕方ない……さて、ユメマクラ。俺の足元に」
 ワヅキさんは、静かに呼吸を整え、足元のユメマクラに神経を集中する。そして、呼吸を数秒止めたかと思うほど静かになると、瞬間人が変わったように目を見開いて、足を振り上げ――
「おら、夢の煙、出せ!」
 サッカーボールキック!! 痛そう! と思ったが、意外とけろっとしている。
「ムシャーナに何やっているんですかー!!」
「夢の煙を出しているのよー……法力を込めた足で蹴り飛ばせば夢の煙が出るんだけれど……どこで間違って伝わったのか、いつの間にかただ蹴れば夢の煙が出ると思われているようになっているのよねぇ……これが。プラズマ団の虐待事件とかもあったらしいし」
 メロエッタが答えてくれる。なるほど、良く分からんが夢の煙が無いと困るのだろうし、夢の煙を出させようとする行為自体は納得だ。
「いやいやいや、荒っぽい……」
 でも、もう少しやりかたってものがあると思うのだけれど。蹴りで出すとか荒っぽいでしょうに……
「そんなことよりも、出てくるぜ」
 言われて、吹っ飛んだムシャーナを見てみると、鼻の辺りから夢の煙を大量に出している。そちらの方に、
「夢の世界にあまねく、生き物達の霊魂よ。我、安倍輪月の名に於いて命ず。自身のあるべき体に戻り、そしてその体に居ついた魂を帰るべき場所へと戻したまへ」
 ようやくそれらしい感じでワヅキさんが詠唱を始める。すると、ムシャーナが出した夢の煙が、徐々にポケモンの形をとるようになる。それぞれ、ヒヤップ、ボスゴドラ、ガーディ、ランクルス。ワヅキさんがその煙におもむろに近付くと、次はそれを強引につかみ取る。
「おら、こっちだ」
 そのまま鷲づかみにした煙を引きずって一つ一つそれぞれ対応した本体に放り込む。
「おら、入れ!!」
 夢の煙を蹴り飛ばして中にねじ込むと、追い出されるように出てきた煙と言うよりはもやのような、非常に頼りないもの。
「あれは……」
「ほとんど実体化していない夢の国から迷い込んできた霊魂じゃ。夢の煙を含ませれば、もっとはっきり見えるようになる……が、まぁ。もう終わりじゃな」
 アブソルの言葉通り、そのもやのような霊魂はゆっくりと空気に溶けるように消えていってしまう。あれが入り込んできたせいで、性格とか特性が変わっちゃっていたのか……へぇ。
「オラ、次はお前だ!」
 そして、繰り返すこと計4回。

「ふぅ……」
 それら一連の事が終わると、ワヅキさんは肩の力を抜いてため息をつく。
「性格が分かるアプリってあります? 多分、成功していると思うんで見てくださいな」
「あ、はい」
 ワヅキさんに言われてスマートフォンでポケモン達を撮影する。指でタッチして画面上のポケモンを写し取ると、連れてきたポケモン達の輪郭線に画面上で枠がつけられる。それらをタッチし、スキャンの結果を表示させると、全ての性格が元に戻っている。
 ランクルスはおっとりした性格に。ボスゴドラは勇敢な性格に……ヘヴィメタルに変わっていた特性も石頭に変わっている。ヒヤップは冷静な性格、ガーディは真面目な性格に。確かに完璧に治っている。
「全部、成功ですね……こんなに簡単に」
「あのなぁ、お前。簡単って言うけれど……あれ意外と大変なんだぞ? 例えば陶芸とかって簡単に見えるけれど、職人技が光っているんだからな? あれだけできるようになるまで何年修業したことか」
 ワヅキさんは、渋い顔をして苦言を呈す。
「え、いや……」
「ほら、結構手の平汗だくで……どうだ? 大変そうな仕事だろ?」
「っていうか、もう少し術者っぽくならないかなーと思ったのですが……蹴りだと可哀想……」
「あー、無理。全部を術とかサイコキネシスとかの類でやるとなると、修行の時間が増える。体を鍛えて、物理的に夢の煙をひねり出した方がよっぽど健全だし……手っ取り早い」
 力を入れる方向が間違っている気がするっ!
「どっちにしろ、どうだっていいじゃない。仕事は成功しているわけだしさ……それに、ポケモンたちもほら、ボスゴドラももう落ち着いたようだね」
 ワヅキさんは、ボスゴドラの腹をなでて笑う。それは貴方に怯えているだけじゃないかな、うん。

「仕事ってのは、結果が全てだ。もちろん、間に犯罪行為を挟んじゃいけないというのはどんなお仕事でも鉄則だけれど、そんなに硬くなることはないんじゃないかな? 荒っぽくても、最初に蹴りを入れる部分とか、マジで素人じゃあれの半分も夢の煙は出てくれないぞ?」
「はぁ……なるほど」
「ま、蹴りで夢の煙を出す行為の見た目が悪いのは認めるよ。でも、そんなことより効率を重視したほうがいいんだ、この仕事は」
「確かに、結果がともわないことには……うーん……」
 それに慕って見た目を気にしなすぎな気もするけれど。
「それより……お前、霊に取り憑かれているぞ? 3人ほどの幽霊に。1人は母親っぽいが、御祓いしとくか? 悪いものっぽいし」
「え……」
「なんだ、信じられないって面しているな? こういう商売だ、信じられない奴から金を取るわけにも行かないし、お金を払うのがいやなら御祓いはしなくても構わん」
「いや、3人という数に思いっきり心当たりがあるので……出来れば御払いを頼みたいのですが」
「ん、了解」
 お金が新たに手に入ると分かってか、ワヅキさんが笑う。

「それじゃ、追加で料金5000円になるけれど構わない?」
「あ、はい……それくらいならお小遣いで何とかなりますので……ところで」
「うん、何?」
「夢の煙で実体化した霊って、俺でも触れます?」
「元々、ポケモンにも協力して退治してもらうために、ああやって実体化させるための煙だ。出来るよ……幽霊と会話でもする気かい?」
「いや、母親を殴りたいんです。いいですか?」
「ほー……親不孝な奴じゃのう」
 アブソルが乾いた笑い声を上げる。なんというかまぁ、人間くさい子だ。
「逆です、子不幸な親だったんですよ」
 アブソルの呟きに、俺はそう返す。親がまともだったらこんなことしようとなんて思わないさ。
「ふむ……いいよ、殴っても。でも、危険だから怪我しても知らないよ?」
 そんなときのために鍛えているから問題ない。
「様子を見てやばそうだったらやめますよ」

「そうかい。まぁ、夢の煙が無いと実体化出来ない霊なんて、ポケモンよりかは弱いから安心して。じゃあ、ユメマクラは俺の脚の前に」
 また、儀式が始まった。今度もまたユメマクラは死ぬんじゃないかと思うような勢いで蹴り飛ばされるも、結構けろっとしている、そうして現れた三つの霊魂のうち二つを、ワヅキさんが懐に忍ばせていた短刀で切り刻んで消滅させる。ちょっと待て、御祓いにも周りのポケモンは飾りですか!? いったい何のために周りのポケモンを待機させているんだ。
「はい、これで斬ったり蹴ったりしてれば消滅するよ」
 夢の煙で出現した母親の霊魂は、煙と人間の中間のような見た目をしていた。分厚い綿ボコリを全身に纏った人間のような。それを人間と呼んでいいのかわからないが、かろうじて上半身だけ原形はとどめているそいつは、明らかにさっきの篭った目で俺を見ている。下半身には足がなく、まるでランプの魔人のようだ。
「死んでまで俺を恨みたいのかよ……クソババァ」
 まずはとび蹴り。それで怯ませ、反動で一旦距離をとると一気にナイフを振りぬく、まずは手。相手の攻撃力、防御力を奪うにはもってこいだ。ざっくりと斬れば、面白いように手首が両断される。生物を切った感覚じゃない……へぇ。もう一方の手を慌てて引いたので、こっちは懐に向かってナイフを突き入れる。ナイフは大した抵抗もなく、深々と腹に突き刺さり、幽霊は消滅した。
「へー、すごいねぇ。ナイフを振り回す事にまったく迷いも抵抗もないし、それに扱いなれている。何、人でも殺した事があるの?」
「育て屋じゃ、職員自らポケモンと戦うこともあるので……それに、たまにホワイトブッシュで狩りをやったりしています。人殺しについてはノーコメントで」
「なるほど……あの育て屋の育成方針は聞いた事があるけれど、君みたいな小さな子供でも、ポケモンと戦わせられるのか。そういう環境におくと、人間って強くなるもんだね。ともかく、これで霊が今後何か悪い事をすることもないと思うよ……まぁ、何があったか詳しく詮索はしないけれど、あんまり人を殺すと祟られるよ?」
「俺が……殺したって、分かるんですか?」
「いや……そんな気がしただけ。俺は警察じゃないから、君を捕まえる権限とはないし、詮索はしないよー。こういう街に暮らしていれば酸いも甘いも色々あるからね。人殺しをしたって不思議じゃないさ」
 なんとまぁ、恐ろしい。この人を敵に回したら、多分この街じゃ生きていけないな……。詮索はしないといいつつも、俺を見る目は危険物を見ているような目であった。ヤバイな、目をつけられたかな……
「それじゃ、今日の所はもう大丈夫だよね? 受付でお金を払って、気をつけて帰ってねー」
 取りあえず、今日のところはそれ以上何も言われることなく、ポケットマネーを放出しつつ全ての清算を終えて帰宅した。あの陰陽師……頼りになるっぽいけれど、なんかいろいろ見透かされている感じで怖いなぁ。その怖さが、スバルさんに感じたときのように気のせいならばいいのだけれど。

「おい、小僧」
「は、はい!?」
 帰ろうとしたときに、アブソルが声をかける。
「年末年始に向けて、原因は不明じゃが、この街の住人の多くに死相が出ておる……特に小僧は……かなり死相が濃い。お前の近しい人が死なぬように、気をつけておけ」
「どういうこと、ですか?」
「知らぬ。バイオテロかも知れぬし、ハリケーンや隕石などの災害かもしれん。じゃが、年末年始に……何かある。お主か、それに近しい人が……」
 アブソルは流暢な人間の言葉で不吉を予言する。
「ま、街にいるものに死相が出ておるのなら、街にいなければ良い。そうするのが一番じゃろうな。なに、運命などいくらでも変えることはできる」
「は、はぁ……」
 なるほど、かつての時代ではアブソルは嫌われていたと聞いたが、そういうことか。こういった力を持ちながらも、言葉が伝わらずに姿だけを現すというのならば、かつての時代にアブソルが嫌われた理由も分かる気がした。
「肝に銘じます」
 その予言、覆す事が出来るのならば、教えてもらってありがたいことこの上ない。俺は頭を提げてお礼をし、その場をあとにする。
「小僧自身が死ぬなよ」
「……はい」
 そのアブソルの声を背中で聞いて、俺は部屋を後にする。アブソルの言葉が何を意味するのか、今は分からないが気を引き締めなければ……。でも、年末年始? 一体何が起こるんだ?















コメント 


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  • >2014-08-24 (日) 01:50:16の名無しさん

    コメントどうもありがとうございます。今回の作品は今までになく長期間の連載になってしまい、まさかのXY発売と重なってしまいましたが、最後まで書ききれてよかったとおもいます。
    次の作品はここではなく、別の場所、別の作品ですが、私に関係のある場所を回ってみれば作品の投稿に気が着けるかも知れませんので探してみてくださいな。

    ここで登校するのはいつになるかわかりませんが、再びここで会いましょう!
    ――リング 2014-08-29 (金) 23:26:10
  • 長い間の連載お疲れ様でした!

    密かに毎週楽しみにさせて頂いておりました。
    色々と思う所もあるのですが、長々となってしまいそうなので…、とにもかくにも、良い作品でした。

    次の作品も期待してます、。
    ―― 2014-08-24 (日) 01:50:16
  • >sunsetさん
    コメントどうもありがとうございます。時系列がおかしいのはミスでした。お恥ずかしい所を晒してしまいましたね。
    キズナとカズキの強さですが、設定上は一応レッドを超えない程度の強さなのです。レッドなら恐らく高確率でバンジロウに勝っている事でしょう。比較対象がおかしいせいで弱くは見えないですがね。
    また、二人の場合は優秀なライバルと優秀な支障がいたことが大きいのではないでしょうか。

    物語はあと3話ほどなので、8月で終わるとおもいます。それまでどうかおつきあいくださいませ。
    ――リング 2014-08-05 (火) 22:48:52
  • 決勝の前にキズナvsバンジロウを入れたんですね。試作にはないシーンなので新鮮でした。ただ時系列がおかしいように感じます(既にトウショウ手に入っている描写があったり、試合終わった後に決勝がこれからだという描写があったり。急いで書いたのかな?)
    結局勝てなかったキズナですがカズキのように格上相手に一矢報いているわけで二人の成長というものを感じます。ほんとに小学生かこいつら(蹴
    この作品も残すところあと僅かですね。最後まで楽しみにしてます。更新頑張ってください。応援してます。
    ――sunset ? 2014-08-01 (金) 00:53:56
  • >2014-01-11 (土) 17:00:50の名無しさん

    あの人は大して悩んでいないところとか、そもそもそんなに悪い事だとか思っていないので、あんまり話が通じないとおもいます。
    アオイさんは中学生の乙女なんです、多感な時期だからこそ悩みが深くなるのですよ。
    ――リング 2014-01-17 (金) 00:29:39

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Last-modified: 2013-11-07 (木) 15:14:00
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