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4th.6の出会い

/4th.6の出会い

writter is 双牙連刃
これは、作者の官能表現やバトル表現の執筆中に発生した「のほほん書きたいストレス」が形になった作品です。
ほぼ非官能です。イーブイです。主人公がまったりイーブイと触れ合う物語です。
更新は……時々されます。(主に、作者のストレスがマックスになった時)
結構ぼ〜っとしながら書いてるので荒い所があると思います。(私の作品に荒くないのなんてあるのか?)
そんな感じの作品です。まったりしたくなったら読んでやってください。どうぞ!
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 全く……だからこんなところ来たくなかったんだ。幾ら偶然こんな物拾ったからって……。
煩いし、筐体を睨み付けてるお馬鹿さん達がいっぱい居るし、狂ったように笑い出す奴が居るし。
多分もう二度と来る事は無い。自分からこんなところ来るもんか。

「お、おま、なんでそんな事になってる?」
「あ? こんなもんただ数字合わせるだけだろ? なんか癖みたいのはあるけど、眺めてりゃそれなりに慣れるし」

 今話しかけてきたのが、俺がここに居る原因を作った俺の友人。
捨てられてたコインケースなる物を二個も拾ってきた無駄ミラクルを発生させた阿呆だ。
あぁ、ここはゲームコーナーって呼ばれてる、人間の欲望の掃き溜めさ。こんなちっこいコインを集めるだけなのに夢中になったってまぁ、馬鹿を見るだけだ。
現にやる気の無い俺の周りには既に満杯のコインケースが二十個ほど並んでる。一箱に約千枚のコインが入るらしい。

「ってかお前どうしたんだよ? もう止めたのか?」
「いや、止めたって言うか、出来なくなったというか」

 ようは軍資金が尽きた、と。確かこいつ、息巻いて3万持ってきたとか言ってたけど、全部やられたっぽい。本当に馬鹿だな。

「だから止めとけって言ったのに……持っていきたきゃ勝手に持ってけよ」
「マジで!? じゃ、じゃあ、こんだけ貰ってっていい!?」
「ん」

 箱三箱か。残り十七箱……んだよ、もっと持ってきゃいいのに。
嬉しそうに戻って行ったぞ……さて、次はどれくらいもつかな?
ついでに、両隣に居た人達も「コインが尽きたぁぁぁぁ!」って叫んでたから四箱ずつ分けてあげた。うわっ、すげぇホクホクした顔で感謝された。こんなもんで喜んでくれるなら安いもんだ。
でも我ながら千円分の50コインから初めて増やしたもんだ。何倍だろうな? 十倍の二倍で一箱だろ? で、それが二十個……四百倍か。そう考えるとすげぇな。一日の八時間を要してるんだからそれくらいは稼がないと元取れないか。
んで手元には残り九箱、コイン9000枚が残ってるな。これどうすんだよ……。

「う、うわぁぁぁぁん……結局一回もフィーバーしなかったぁぁぁ」

 出ようかと思ってたら馬鹿が戻ってきた。見事に一箱を消失させてる。

「なんだ? やっと止める気になったのか?」
「もう止める……だって、このままやったらこれも無くなりそうだもん……」

 残ってるぎっしりコインケース二箱を見ながら溜息ついてら。それも稼いだのは俺だけどな。

「じゃあ出るか。あっと、これ誰かにあげるか」
「はっ!? 待て待て待て! コインにはちゃんと使い道があるんだよ! それ持ってこっち来いって!」
「あん?」

 持ってって……いや、これめちゃくちゃ重いから! とか思ってたらホールの従業員が台車持ってきてくれた。おおう感謝。
ほうほう、コインは退店時に変換所でポイントに換えるのか……あ、これ最近になってこうなったの? で、専用のコインケースが不必要になったと……。
友人が拾ったのは、どうやらその不必要になった廃品らしい。コインケースに替わり、コインホルダーなる機械を貰った。……これからこいつが使われる事は無いだろうけど。
最後に、この貯めたコインは隣の交換所で好きな物に交換出来ると説明された。そういえば、そんなものがあったんだ……興味無いから忘れてた。
とりあえず説明のお礼を言って、その場を後にさせてもらおう。

「よーし! 2000枚かぁ……何と交換できるのかなー!」
「ふんふん……あ、これ、他の端末にコインを分けられるのか。……おい、お前の端末貸せ」

 眺めてたらそんな機能があるのを発見。俺は景品とやらにそんなに興味は無いし、もう少しこいつに分けてやろう。

「な、なんだよ。まさか、今更返せ……とか?」
「違うって。いいから貸せよ」

 渋ってる友人の手から端末をふんだくって……あと2000枚くらいサービスで入れてやって、返す。

「お? おぉぉぉぉ! お前はなんだ!? 神の一種か!?」
「あほな事言ってないで早く入るぞ」

 すげぇすげぇと煩く騒いでる友人と一緒に交換所内に入った。……窓口が三つ並んでるだけの質素な部屋。色気無さすぎだろ。
おっと交換レート表があるぞ。えーっと、少なくても1000枚はあれば何かとは交換出来るのか。
なんか残すのも気持ち悪いしなぁ。もっとこう、ちょうど良くコインを減らせそうなのは……。
お! 6666枚! 6が一個欠けたら不吉な数字だな。ほんのちょっと残るけど、残りは友人にやるって事で納得して、これにしよう。

「すいませーん、6666枚の景品下さい」
「はーい! じゃあ、ホルダーを渡して下さい!」

 予想外に交換所の人のテンションが高かった。ビックリしたぜ。
出てきた手に端末を置いて……別な物置いたらどんな反応するかちょっと気になったけど、そこはぐっと我慢しよう。

「では、チェック入りまーす! ……オッケー! 確かに確認しました♪ こちらをどうぞ!」

 出てきたのは……モンスターボール一個? おいおいこれ二百円で買えるんだけど?

「あの……これだけ、ですか?」
「はい? これだけですよ? だってお客様の交換は、『イーブイ』一匹ですよね?」
「……え?」

 レート表チェェェェェック! 6666枚は……イーブイ。景品カテゴリーは、ポケモン。
ほぁぁぁ!? ポケモンも景品になってんのかよ! 道徳的にいいのかこれ!?

「おい! 終わったんなら早くどけよ!」
「あ、あぁ、すいません」

 しまった、ぼーっとしてたら後ろが大渋滞だ。怒られるのも無理は無い。
……結局、受け取ってしまった。どうしよう、これ……返品とか無理だよな。

「イーブイだ! 早く寄越せ!」
「ひゃっ! はいぃ! ただいま!」

 俺の後ろに居た人もイーブイか……人気あるんだな。

「ど、どうぞ!」
「よぉし! うへへへへ……」

 うわっ、なんだあの笑いは……キモい。
あの手の中のイーブイ……とりあえず合掌しとこう。南無。
でも俺の手の中にもイーブイ入りのボールがある。こいつ……どうすっかな? まずはここを出るか。

 友人は……あれ、まだ居ない。って事は置いて出てきたのか。別に構わんだろ。
うーん……折角だから出してやるか。うん、望むんならそのまま逃がしてやってもいいし。
ボールを押して、投げるんだったな。あ、俺トレーナーじゃない……なかったんで、ボールを使うのは初めてだ。
ほうほう、ぴかっとしてボールが割れたと思ったら出てきたぞ。ちっちゃいな……でもふさふさだ。これは凄い。
まずは……そうだな、挨拶か。

「よっ、オッス」
「オッ……ス?」

 我ながら挨拶と言うのか怪しい挨拶だな。しょうもな。
あ〜、微妙に戸惑ってる。そりゃいきなりオッスとか言われても困るよな。

「あ〜うん。俺はな? なんか、お前のトレーナーになった。よろしくな?」
「トレーナーって……何?」

 ……えっと、ポケモンを育ててる奴らだよな? 間違ってはいない。はず……。
それを分かりやすく説明すると……。

「ご飯とかをお前にあげる奴……ってとこかな?」
「ご飯!? くれるの!?」
「あ、あぁ……腹減ってるならやるぞ?」
「ちょうだい! お腹空いたよぉ!」

 おおう予想以上の食いつき。今なんかあったっけ? ……あった、カロリーメイトだけど。食わせても大丈夫だよな?

「今はこれしかないから、これで我慢してくれよ」
「これ食べれるの?」
「ん〜、食べてみて、美味しくなかったら残していいぞ」

 ちょっと匂い嗅いで、食べた。チョコ味だし不味くはないと思うんだが……。
一生懸命に食べ始めたから不味くはなかったみたいだ。まずは満足してくれるだろ。

「やったー! ミニリュウゲットしてきたぞー!」
「おう、やっと来たか」

 手に握られたボールを高々と掲げられてもどう反応すればいいか分からんぞ。
どうやら友人もポケモンを選んだようだな。そういえば、イーブイの下に3333枚でなんか書いてあったっけ。

「……それ、なぁに?」
「イーブイ。適当に枚数だけ見て決めて、貰ったらこいつだった」
「……何、してるの?」
「ん〜、スキンシップ中? みたいな?」
「美味しかった! ……もう無いの?」

 気に入ったみたいだな。あんぐり口開いて固まった友人をほっといて、もう一本のカロリーメイトもやろう。
さっきは地面に置いたけど、やっぱりあんまり良くないよな。持っといてやるか。

「なんだその可愛い生き物はー!?」
「だからイーブイだって。俺だってポケモンくらい知ってるぞ」
「うぉぉぉぉ……うらやまし過ぎるぅ。何その素敵動物」
「お前だってポケモンと交換してきたんだろ?」
「そうだけど……」

 そう言って友人が投げたボールからは……。

「……でかいな」
「だろ?」

 つるんとしたつぶらな目のポケモンが出てきた。……でかい。

「でも、可愛いじゃないか」
「だろー? おまけに種類がそんなに居ないドラゴンタイプだぜ!」
「ほーん」

 まぁその辺はどうでもいい。タイプとか説明されても分からんし。
出てきた奴……ミニリュウだっけ? さっきのイーブイと同じように戸惑ってますけど。

「とりあえず……挨拶とかすれば?」
「おぉ、そうだな。レッツ飲みにケーション!」
「……酒飲むのかよ」

 ……ん? 指が濡れるな。
イーブイが舐めてました。何時の間にかカロリーメイトは食べ終わってたみたいだ。

「今はもう無いんだ。我慢してくれよ」
「ううん、お腹いっぱいだよ」

 そっか、体が小さいから量もそんなに要らんのか。なるほどなー。
って、そういえば交換所の前でやってたの忘れてた。通りで周りの奴等がこっちをガン見してくるわけだ。
一先ず移動しよう。イーブイ持ち上げて……かるっ! 頭の上にでも乗っけとくか。

「おい、ここじゃなんだから移動するぞ」
「そういやそうだな。行くぞミニリュウ!」
「あ、はーい」

 どうやらあっちのミニリュウは素直みたいだな。
こいつはなんなんだろう? わがままじゃなさそうだけど。
……後ろから「イーブイ取るぞぇぁぁぁぁぁ!」「おぉぉぉぉ!」って聞こえたが気にしないでおこう。

 結局、今まだ茶色いもふもふを頭に装備している。首筋にイーブイの尻尾の毛がさわさわして少しくすぐったい。
あの後、友人はちょっとミニリュウと散歩してくるとの事でそのまま分かれた。
で、俺は今ポケモンセンターに向かっている。何故か? トレーナーとして登録する為だ。
予想外ではあるが、このイーブイが俺の初の手持ちポケモンとなる。となると、トレーナーとしてのライセンスは持っていて損は無いだろう。
ん? 俺がなんなのかって? 旅するプー太郎です。嘘、それは寒過ぎるってかホームレスだ。
でも似たようなものか……旅をしながら、着いた先で何でも屋をやる旅する万屋、『根無し草』ってのをさっきの友人とやってる。もちろん自営業&非公式だ。
それでもこの界隈ではそれなりに名が売れていたりする。「出会えば必ず願いが叶う何でも屋」……そんな事を言われてるらしい。
大した事はやってないんだがな? その辺は謎だ。

「あの……人間さん?」
「ん? あぁ、悪い悪い。頭の上は嫌だったか?」
「そうじゃないの。ビックリはしたけど……」
「おぅ、それはすまなかったな」
「じゃなくて、人間さんは……私のこと、暗いところに入れないの?」
「暗いところ? あぁ、これの中って事か?」

 ボールを見せたら震えたな。何かあるのか?

「入りたいのか?」
「……やだ」
「なら、お前が嫌じゃないならこのままだ」
「本当!?」
「本当」

 尻尾の動きが早くなったな。嬉しいのか。それならこのままでいいか。
とかなんとか思ってたらポケモンセンターに到着。登録の手続きは子供でも出来るらしいし、そんなに面倒じゃないだろ。
……あ、この紙書くの? はいはい。ちょっ、イーブイ落ちてくるなって。次は写真? そのままでいいのかって? 別に変なところはないだろ? ……あ。

「じゃあ、10分くらいで出来ますんで少々お待ちくださいね」
「やべぇ……やっちまった」
「? 人間さん、どうしたの?」

 どうしたのって……イーブイ、お前を乗せたまま証明写真を撮っちまったんですよ。どうすんだよ。俺はイーブイ乗せてないとトレーナーって認められなくなるのか?
いや……それはまず無いか。なんにせよ、これでクソみたいな宿で寝起きする生活からはおさらばだ。ここを宿泊施設に利用出来るようになるし。
あ〜、そういえばこいつに名前教えないとな。いい加減人間さんじゃなんとなくおかしいだろ。
って事は、こいつにも何か名をやらないといけないってことか。他のポケモンから呼ばれてた名とかあればそれでいいんだけどな。

「なぁ、イーブイ」
「ん? なぁに?」
「俺な、疾風って名前があるんだ。『ハヤテ』、な。人間さんって呼ばれるのもおかしな感じあるから、そっちで呼んでくれ」

 頭のイーブイを抱えて、目の前に持ってくる。
くりくりした目が俺を見てる。脇を抱えてるけど、大人しくしてるからありがたい。
ん〜、俺が名前をつけるなら……モコだな。このふわふわした毛は、それ以外の命名を俺に許さない。

「んでイーブイ、お前の名前は? 教えてくれよ」
「んと……人間さんの『ハヤテ』みたいの? ……無いよ。ずっと、イーブイって呼ばれてた」

 マジか〜……可哀想、なのか? まぁ、そりゃ感じ方はそれぞれだよな。
因みに自分でそう言ったイーブイはしょんぼりしてます。それなら、しょうもない名前かもしれんが、俺が名付けになろうか。

「じゃあ、俺が名前、やっていいか?」
「え?」
「お前の名前な、モコじゃダメか? よかったら、これからはモコって呼ぶけど」
「モ……コ……」

 やっぱりダメか? いやぁ、俺もネーミングセンスが無いと自分で自負してる。
あれ、涙目になってきた。どうしたんだ? お? 前脚にぐっと力入れだして……茶色が、目の前に迫ってくる。

「おふ?」
「うぇぇ……ハヤテ、ありがとう……」

 そ、そんなに喜ばれるとは思わなかったぞ。泣くほど嬉しいって……名前がよっぽど欲しかったみたいだな。
ん〜、ほのかな獣の匂い。顔に張り付かれてるんだからしょうがないか。それほど嫌いな匂いだったり、きつい臭いでもないし。

「ハヤテさ〜ん。トレーナーカードが出来……大丈夫ですか?」
「あぁ、平気ですよ」
「んっ、息、くすぐったいよ」

 だったら俺の顔面から剥がれてくれ。そんなとこにくっつかれてたら息が触れてもしょうがないだろ。
それにこのままじゃ前が見えない。とりあえず、剥がそう。

「む、と。あぁ、お待たせしました」
「いえいえ。仲がよろしいんですね」
「逢ったの、今日なんですけどね」
「そうなんですか? それでそんなに仲が良いのは素敵ですね」
「そうかもしれませんね」

 笑いながらトレーナーカードを受け取った。これでここ、ポケモンセンターの利用が可能になったわけだ。
そういえば……。

「モコ、お前……牝なんだな」
「えっ? そ、そうだよ? そんなの言われたら……恥ずかしいよ」

 おっ、尻尾で腹を隠した。ほうほう、この長い尻尾はこんな事も出来るのか。丁度体と同じくらいの長さだもんな。
恥ずかしがってる姿がちょっと可愛く思えたが、それならこのまま腹の方を向けたまま抱えてるのは悪いな。

「悪い悪い。じゃ、またここに乗っててくれよ」
「は〜い」

 頭にモコを再装備。ボールには入りたくなさそうだし、しばらくはこうなるだろうな。

「よーし! ポケモンセンター到着!」
「うおー!」
「あれ? あの人間さん……さっきハヤテと一緒に居た人間さんだよね?」
「……あぁ、名前は馬鹿で覚えていいぞ」

 まったく……ちっとは静かに出来んもんなのかあいつは。そしてミニリュウノリノリだな。類ともって奴かね?



 無事に無料の宿を利用出来るようになったのは良いんだが……よく考えると色々問題がある気がするな。特にトレーナー用の宿泊施設って辺りに。
基本俺は、というか俺達はトレーナーとしての本業をする気はさらさら無い。モコも戦闘が出来るようには見えないしな。

「で? 仕事は?」
「まぁ待ちなさいっての。今から確認するから」

 俺達への仕事の依頼は、こいつが立ち上げた根無し草のサイトに寄せられる事になっている。もちろん昼間にビラを少しずつ撒いてきている。
これによって警察の厄介になりかけた事もあるんだが……最近はそれも無くなった。なんでか? まぁ、これからこいつが言う事で分かるだろう。

「おっと来てるぞぇ! ふーん庭の草むしりに倉庫番、デパートの入店者数調査。……おっとぉ? 匿名希望はっけ~ん。何々? 『ある集団の行動調査を行ってほしい。詳しくは後日説明の為面会したい。良い返事を待っている』だってさ」
「大方、警察の手の出せない関係だろ。癒着の証拠でも見つけてくれとか言われそうだな」

 ま、こういう薄ら暗い仕事もやってるから非公式なんだよな。
ようは、警察が手を出せない状況にあるものを、権力行使出来る状態にしろって事だ。グレーを黒に、ってな。
もう何度もこんな仕事やってる所為で警察とも僅かながらパイプが出来てるんだよ。それが、ビラ配りで睨まれない理由。

「どうせこれ受けるんだろ? 後のは俺が受けるぞ」
「あぁ、頼んだ」

 色的に言えば白い依頼は大方をこいつに任せてる。前評判の、出会えば必ず願いが叶う~の行を生み出してるのはまずこいつだろう。俺、そういう類の事した記憶無いし。
さて、明日からは仕事だ。何日掛かるかが問題だな……。




「ご主人達の話終わったかな?」
「まだみたいだよ?」

 ハヤト、あの人間さん……馬鹿さんだっけ? と話したままで動かない。詰まらない……。
でもこのミニリュウ君見た事あるポケモンさんでよかった。すぐに仲良くなれたもん。

「あ~あ、早くご主人の話終わらないかな。僕に名前くれる事になってるのに」
「ミニリュウ君まだなんだ。私は貰ったよ」
「え!? どんなの!?」
「うん、モコっていうの」
「えー! いいなぁ! イーブイちゃんふわふわしてるから似合うよー」
「えへへ、ありがと」

 私の始めての、私だけの名前……嬉しいなぁ。
このベッドっていうのもふかふかしてて気持ち良いし、あそこに居たのが嘘みたい。
……他の皆は……何してるのかな……。

「待たせたな、モコ。部屋戻るぞ」
「あ、はーい」
「イーブイちゃ……じゃなかった、モコちゃんまたねー」
「うん、ミニリュウ君またねー」

 ハヤテにまた頭の上に乗せてもらって、馬鹿さんのお部屋から出たよ。……本当に馬鹿さんて言うのかな? ミニリュウ君は違うって言ってたけど……。
その隣が、私とハヤテが寝るお部屋なんだって。中は、馬鹿さんのお部屋と変わらないみたい。

「さて、飯はどうするかな……モコ、何か食べたい物あるか?」
「んと……最初に食べたあれ食べたい」

 あの茶色いの、凄く美味しかったもん。もう一回食べたいなぁ。

「あれか……買いに行くしかないな。よし、ちょっと散歩がてらに行くか」
「? お外、暗くなってるよ?」
「ちょっとだけさ。今日は天気も良いし、星も見えるかもしれないぞ」
「ほ……し……? それって、なぁに?」
「ん? 見たこと無いのか? それなら今から見れるだろうし、その時に教えてやるよ」

 そういって、ハヤテが私を抱っこしてくれた。頭に乗せられるんじゃなくて、そのままお外に出るんだ。……ちょ、ちょっとだけ……恥ずかしいよぉ。
暗いお外……ちょっと怖いな。でも今は……温かくて、ハヤテが居てくれるって分かるから大丈夫。

「ほらモコ、上を見てみろよ」
「上? ……わぁぁ……」

 お空が……光ってる。こんなの見たこと無いよ。
キラキラ光って、すっごく広くて、胸がドキドキする。

「これが星空。星は、空が暗くならないと見えないんだ。だからこれは、夜だけの物。俺が一番好きな空さ」
「ハヤテが一番好きな……お空」

 見てたら吸い込まれちゃいそう……暗いのって、ずっと怖いだけだと思ってた。でも、こんなに綺麗なのが暗いときにしか見れないものだなんて……。
わっ、ビックリした……。夢中で星見てたらハヤテが覗き込んでた。笑ってても驚いちゃうよ。

「気に入ったみたいだな」
「う、うん」
「もう着いたよ。買い物するから、また後でな」
「はーい」

 お店の中では頭の上なんだ……そっか、空が見やすいように抱っこしてくれてたんだ。腕の中、あったかかったなぁ。
帰りもまた、してくれるかなぁ……。


~しばらくした後~


「よし、飯も食べた事だし……モコに明日の事を話しておくか」
「明日の事?」

 夜のお散歩から帰ってきて、ご飯を食べ終わりました。うん、美味しかった。
それで、ハヤテが明日何をするか話してくれるみたい。そういえば、ハヤテって何してる人なんだろ? 人間は皆お仕事っていうのしてるんだよね。

「明日、実はちょっと危ないかもしれない事をする事になるかもしれないんだ。だから、モコの事はコウジに預けようと思ってる」
「コウジ……?」
「あ~……さっきの馬鹿」
「あ、ミニリュウ君のご主人だ」

 やっぱり名前あるんだね。ミニリュウ君の言ったとおりだ。
……え? 明日はハヤテと一緒じゃないの!? そんなのヤダ!

「一緒じゃ……ないの?」
「そ、そんな泣きそうな顔するなって。あいつだって悪い奴じゃないからさ」
「だって……」

 お外に出れたの今日が初めてなんだし、ハヤテがいい人だって言うのは分かったけど、他の人はまだ怖いし……。
一緒がいいよぉ。置いていかないで……。

「ぐぬぅ……本当に危ないかもしれないんだぞ?」
「危なくても、ハヤテと一緒がいい」

 それに、危ないってどんな事? ……痛い事なのかな? だったら、そんな事してほしくないよ。
座ってるハヤテのお膝に乗って、一緒に居ていいって言ってくれるまで動かないもん。

「……しょうがないな。本当に危なかったらコウジに預けるけど、話を聞くまでは一緒。これでいいか?」
「うん!」

 本当はずっと一緒に居たいけど、あまり我が侭言ったらハヤテが困っちゃうよね。
でも良かった、朝は一緒に居られるんだよね。

「ふぅ……じゃ、風呂でも入って寝るとするか」
「ふろ? それってなぁに?」
「……? あ、言葉として知らないだけか。体を洗うところの事」
「体を洗うところ……」

 それって、毛が濡れて冷たくなる所のこと? 寒いの嫌だよぉ……。

「ん? どうした?」
「冷たいの……やだ」
「……モコ、お前の居たところではどうやって体洗ってもらってた?」
「水がいっぱい飛んできて、体をごしごしされた」
「なるほど……裏は見せられたもんじゃないって事か」
「ハヤテ……?」
「大丈夫、そんな荒っぽい洗い方じゃないから。心配しなくていい」
「う、うん……ハヤテがそう言うなら……」

 ハヤテが今まで言ったことで私が怖くなる事は無かったし、ちょっと頑張ろう。



 ん、……俺は目が覚めてる、よな? 目の前が真っ暗なんだが?
規則正しく動く物が目の前にある。シャンプーの香りがするって事は……またモコが顔に張り付いてるみたいだな。よく息出来てたもんだよ。
確か昨日は風呂でモコを洗ってやった後に自分も風呂入って、モコが一緒に寝たいって言ったからそのまま寝た筈なんだが? モコ、寝相悪いのか?
モコが息をする度にお腹が顔に当たる。ってことは僅かに隙間はあるって事か。なるほどな。
どうする? 起きる為にはモコを顔から剥がす必要があるんだが、なんか気持ち良く寝てるみたいだしなぁ。
お? 扉がノックされてる音がする。多分コウジだな。

「んん……ん?」
「モコ起きたか? 顔から降りてくれー」
「え? わぁぁ!」

 いや、跳んで降りなくても良かったんだが……ふぅ、やっと朝日を拝めたな。
おや、モコが尻尾ガードの状態になってる。恥ずかしかったのか?

「ご、ごめんなさい!」
「いや、別にいいって。おっと、待たせるのも悪いな」

 さっさと扉を開けてやらないとな。まぁ、誰かはもう分かってるからいいけど。
扉を開けた先には……やっぱりコウジか。

「おっすー。今日は楽しいお仕事の日だぜぇ!」
「で、朝一で俺を起こしに来た理由は?」
「クウセンに起こされちゃって暇だったからお前を道連れにしようと思ってな!」
「ったく、いい性格してるぜ……ん? クウセン?」
「俺のミニリュウの名前! 良い名だろ?」
「まぁ、お前がいいならいいんじゃない?」

 冷めてんなーって言われたのをスルーして後ろに居たミニリュウ、クウセンにも声掛けてやった。お、嬉しそうにしてる。でかいが可愛げはあるじゃないか。
そうしてる間にモコが足元に来てた。こっち見てる……あぁ、乗せろって事か。

「よっと。これでいいか?」
「うん! おはようミニリュウ君、ば……コウジ……さん?」
「おはようモコちゃん! あ、僕の名前はクウセンになったんだ! よろしくね!」
「クウセン君だね、分かった!」
「……あの、ばって言ったよね? それになんで俺の名前に疑問系ついてんのモコちゃん?」
「あ、えっと」
「些細な問題だろ? さ、朝飯でも食いに行こうか」
「ちょっと待て! お前が爽やかスマイルをする時は何かある筈だ! モコちゃんに何を吹き込んだ!」

 そんな事を教えても面白くないだろ? 軽く流して、モコと俺について来たクウセンと一緒に朝飯を食いに行こう。
朝飯はコンビニの飯よりも、喫茶店のコーヒー付きのトーストなんかが良い。これが俺の自論。異論は認めるが俺はこれを変えない。
食える場所を探して……あら、ジョーイさん。ん、朝食? 今から食べに行くって言ったら行きつけのカフェテリアがあるらしい事を聞いた。ありがたいぜ。
無視された事に半泣きになったコウジが合流したところで、朝飯へ向かおう。

 天気は……晴れ、か。快晴なんて滅多にはないよなぁ。
まぁ、青空に浮かぶ白い雲っていうのも悪くない。鮮やかな白は純粋に綺麗だと思う。

「ちきしょー、無視するなんてあんまりじゃ!」
「何がじゃ、だよ。普通に喋れ普通に」
「ふーんだ、言われなくたって普通に喋るわい!」
「若干まだおかしいだろ」

 こいつはまったく……マイペースというかなんというかなぁ。
まぁ、今日も細かい仕事はこいつに殆ど任す事になるんだからあまり言わないでおくか。
言われた所は……ここか。オープンカフェ、なかなかいいじゃないか。
店員に一声掛けて席へ。メニューは、コーヒーとフレンチトーストでいいか。
最近はポケモンを出したままにしていい飲食店も増えてるから便利なもんだ。ここもどうやらそうらしい。
あそこにはフシギバナ出したままの人まで居るぞ。黒髪に和服か、似合う人には似合うもんだな。連れ歩いてるポケモンが見た目にそぐわないが。

「お待たせしました、どうぞごゆっくり」
「どうも」

 さて、飯も届いたし食うとするか。因みにモコは何でもいいって言うから同じくフレンチトーストにした。
見た目は同じだけど、調味料の分量なんかが違うらしい。取って食ったりしないがな。

「おーっし、今日のミッションの確認ダー!」
「うるせぇな……俺達だけじゃないんだから大人しくしろっての。モコやクウセンを見習えよ」
「うぐぅ、ポケモンよりもマナーがなっていないと申すか」
「事実だろ」

 現にモコもクウセンも実に美味そうに食事をしている。食べてる時は大人しくしてるもんだろ。
しょぼんとしながらノートパソコンを動かしだした。自業自得だ。
でも、こいつのパソコンが無かったら俺達は仕事が出来ない。仕事が出来ないって事は収入も無し。……何気なく俺達の生命線はこれなんだよな。

「うーん、やっぱり大物そうなのは増えてないな。多分お前はこれに付きっ切りになるだろ?」
「内容によるだろうけどな」
「まず、匿名希望で仕事を振ってくるって事は身分を明かすとやばいって事だろ? んなもんろくな仕事なわけ無いだろ」
「確かにな。何をやらされる事になることやら」

 俺達のサイトは、基本的にハンドルネームか本名を記入してもらう事になってる。閲覧やコメントはハンドルネーム、仕事の依頼は本名でなければ登録出来ないって仕様らしい。
が、例外的に匿名に出来る仕事っていうのもある。……報酬が5万以上の高額を出してる仕事だ。
俺達なんかにそんなに高額を出す以上、よっぽどの理由がある筈だ。庭の草むしりにそんな高額を出す奴なんて居ないだろう? 居たとしても、そんな奴は名を伏せる必要の無いセレブだろ。ネットで探せば幾らでも情報は入ってくるさ。
話を戻して……訳ありな場合、自分を特定されかねない情報はなるべく掲示したくないだろうって配慮らしい。コウジはちゃらんぽらんだが、その辺は頭が切れる奴さ。
もちろんこういう仕事は成りすましや騙しなんて事もある。現に俺も何度もその手の奴らに遭遇してる。そういう奴らへの対処も知ってなけりゃこの仕事は出来ないのさ。
逆に言えば、そういう奴ら以外ならば俺達を頼らざるを得ないほど切迫した事情がある仕事って事になるから完遂するのが絶対条件。……言ってたらなかなか重いなこれ。
ん? 俺か? それなりにそういう所に居た事があるって言えばいいか? まぁ、昔から似た事をしてきたって事さ。……人に言えないようなこともな。

「時間指定は……そっちはそろそろか。まっちあっわせーは……ん!?」
「どうした?」
「この店の名前は?」
「……サン・ミシェル」
「わお、ここだ」

 あらぁ、たまたまが功を奏したか。まさかここだとはな。
人目にもかなりつくし、どうやら騙しではなさそうかねぇ。

「じゃあ、俺達は邪魔になるだろうしそろそろ行くわ」
「オッケ、そっちもちゃんと働けよ?」
「わかっとるっちゅうに! クウセン、飯は食ったか!?」
「完食!」
「おっし! じゃあモコちゃんを……」
「あー、そりゃあいいや。預けなきゃいけなそうなら連絡入れてそっちに連れて行く」
「そうか? ……その方がよさそうだな」

 モコがちょっとムッとしながらコウジをじーっと見つめてる。奴め、モコの眼力に負けたな。
モコも大人しいかと思ったら芯は強そうだしな。あまり過信は出来ないが、多少なら俺のやってる事を見せても問題無いかもな。
勘違いしないでくれよ? 俺は始末屋じゃあない。ちょっとばかし、世の中の裏側を見てきてるだけさ。

「そんじゃ、気をつけてな」
「おう、そっちもな」

 さて、依頼者を待つとするか……因みに、俺達の顔写真がサイトに貼られてるんで依頼者ならば話しかけてくる寸法さ。
……ん、黒スーツの男か……多分あいつだな。

「万屋とはお前か?」
「分かってるから話し掛けてきたんだろ? このまま話を続けて良いのか?」
「……場数はこなしていると言う事か。ついて来てもらおう」

 一先ず合格、みたいだな。さぁて、何処へ連れて行かれるのかね?

「行くぞ、モコ」
「う、うん」

 妙に気迫のある奴だったからモコが畏縮してる。俺はもう慣れてるからなんとも無いがな。
ん? 俺の分の飯代はもってくれるのか。ありがたいじゃないか。
ふーん、歩いていく様子を見ると、どうやら後ろめたい事をしてる奴ではなさそうだな。周りを警戒してる様子が無い。
進む先にあるのは……警察署。なるほど、警察の関係者か。

「あんた警官か」
「捜査官だ。交通整備はしていないぞ」
「へぇ、意外にジョークも言えるか」
「からかうな。黙ってついて来い」

 おっと怒らせたかな。黙ってついて行くとしますか。
警察か……こういう風にはお世話になりたいが、通常の事ではお世話になりたくないところだな。
とりあえずは顔パスで……行けるのかよ。おいおい、幾らこいつの後ろを歩いてるからっていいのかよ。……こいつ、何者だ?
ずんずん進んで……第一会議室なるところに通されたぞ。

「適当に腰掛けろ。何か飲むか?」
「じゃあお茶でも。モコも何か飲むか?」
「ううん……」

 流石にビクビクしてるか。警察所って、独特の張り詰めた空気があるからな。
で、俺をここに連れてきた奴は、俺の分のお茶を頼んでくるそうだ。律儀というかなんと言うか……。
モコを落ち着かせるために頭から膝の上に下ろした。このほうがいいだろ多分。
おっとお帰りだ。さて、話を聞こうか?

「茶はいずれ来るだろう。では、話に移させてもらうぞ」
「あぁ、そうしてくれ」
「その前に……そのイーブイは?」
「ん? 気になるか? ボールに入るのを嫌うんで出してるんだが」
「そうか……ならばそのままでいい。今回やってもらう仕事に若干関与しているので気になったんだ」
「イーブイが、か?」
「そうだ」

 ひょっとして……あそこに関係してる事か? もう言わなくても分かるよな?

「今回行動を調査してもらうのは、あのゲームコーナーと呼ばれている場所に出入りしている集団だ」
「やっぱりか……イーブイって言うからそうじゃないかと思ったぜ」
「うむ、集団の名はファフニール。……強欲な者共には似合いの名だな」
「あぁ、神話の話か? 詳しくはないが、宝を独り占めしようとして殺された奴が確かそんな名だ」
「ほう、知っているか。まぁそれはいい。……前々から目を付けてはいたんだがな、こちらでは動けない理由があるのだ」

 単純に考えれば上からの圧力だな。何かしらのパイプがあるか、もっとどろどろしたもんか……。

「目を付けてるって事は、何かをやらかしてる可能性があると?」
「……ゲームコーナーでのポケモンの景品化、どう思う?」
「道徳的にはアウト。でも、合法化されてるんだから口出しする気は無し」
「なるほど、良識の持ち主だな。だが、そのポケモンの出所は知っているか?」
「いや……その辺の不透明にこいつ等が?」
「可能性、だがな」

 なるほどねぇ……つまり、俺の調べた事如何では、あのゲームコーナーの裏側も浮き彫りになるって事か。
ん? 裏側といえば……モコもそうだよな?

「モコ、お前もゲームコーナーに居たんだよな?」
「ゲームコーナーって?」
「あ、知らないか」
「ちょっと待て、そのイーブイはまさか……」
「実は、昨日ゲームコーナーでちょっとな」
「ふむ……実際に其処に居た者の証言か。聞いておいて損は無いな」

 そりゃ興味はあるよな。モコはどうやってあのゲームコーナーの裏側につれて来られたのか……俺も気になるし。

「モコ、お前は俺と会う前に居たところにいつ来たんだ?」
「いつ? 私は、あそこにずっと居たよ?」
「ずっと? ……あそこで産まれたと言う事か?」
「うん」
「あの中ではポケモンの繁殖も行っている……? いや、無くはない話か」

 つれて来るにしても、イーブイやミニリュウって割と珍しい部類のポケモンだ。収集にも手間が掛かるだろうしな。
でも、それの大元となったポケモン達は居る筈だ。最低、牡と牝一匹ずつ。
その辺を聞いてみるか。モコも嫌がってないみたいだし。

「じゃあモコ、新しくポケモンが居た所に入ってきた事はあるか?」
「新しいポケモン? うん、あるよ。でも、私とは違うところに連れて行かれてた」
「産まれたポケモンと外からのポケモンは別にされてたという訳か」
「……そういうポケモンさん、帰して、放してってずっと泣いてたよ。見てたら凄く、怖くて悲しくなった」
「なるほど……」
「きな臭さは割り増しになったな。……すまない、辛い事を思い出させたようだ」
「よく頑張って喋ってくれたな、モコ」
「うん。……皆、元気かなぁ」

 ……産まれてからずっと、外の世界に何があるかも知れずにいるなんて、あんまりだよな。
この調査でなんとか出来るかは分からないが、何か出来るかもしれないんだし、一丁気合い入れてみるか。

「……ポケモン達の為にも、そのファフニールって奴らに探りいれてみるか」
「依頼は受理、そう取っていいな?」
「あぁ、受けよう。それに、もう一匹話を聞けそうなポケモンを知ってる。そっちにも話を聞いてみよう」
「協力、感謝する。それ相応の追加報酬は出そう」
「了解。奴らの特徴なんかは無いのか?」
「服装等に統一性は無い。だが、一つだけ共通点として挙げられるのがネックレスだ」
「ネックレス?」
「ルビーが瞳部分にはめ込まれた小さな竜の模様の装飾が付いている。それを奴らは身に付けているのだ」
「目立つように付けてればいいが……探してみよう」

 なんとも豪勢な目印だな。どうやって稼いでるんだか……こっちは体張っても日に数万が限界なのに。
因みにこんな大口の依頼があった時な? 他の依頼じゃどうあがいても一万未満だぜ。

「奴らが黒だった場合、ポケモンをけし掛けてくるだろう。深入りはするな、何か分かればこちらに報告してくれ。署ではなく、俺個人に頼む」
「あんたの名は?」
「ゴウト、そう伝えれば俺に通すように受付には言っておく。頼むぞ」
「おぉ、茶を貰ったらな」
「……ちゃっかりしてるな」
「タダで貰えるもんについてはな」

 お茶一杯くらい貰ってから出掛けても問題は無いだろう。警察で協力者として茶を飲む機会なんてそうそう無いだろうしな。
しっかし、昨日世話になったゲームコーナーの裏側を暴きかねない事に首を突っ込む事になるとはなぁ……。
まぁ、仕事だからもちろんきっちりこなさせてもらおう。白であれ黒であれ、警察に目を付けられるのなら何かあるはずだ。
モコの発言から、あまりよろしい事をしているとは思えんし、思わぬ事実って奴が釣れるかもしれないな。


この作品の説明的な何か

 性懲りも無くまた書いた駄文です。以上。
嘘ですごめんなさいだから石投げないでください。
冗談は置いておいて、この作品は冒頭で書かれたように、作者ののほほん作品書きたい病が発症した所為で生まれました。
これからも、他の書きかけの短編小説なんかを更新した時についでに更新していく予定です。(現段階では、作者内にこの作品の明確な終わりはございませんw)
まぁ、そんな感じです。これからも肩の力抜いて読めるように書いていく予定です。

コメント欄も設置。ゆるーく感想やら愚痴やら書いてください。

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • 「旅するブー太郎」に見えて主人公はブースター?なんて思っちゃった自分ガイル
    ―― 2011-07-07 (木) 16:46:34
  • 俺ももふもふしたい!!
    よし、絶対イーブイ手に入れるぞ!!

    というか、ハヤテの実力凄いですね。
    ――涼風 2011-07-07 (木) 20:24:14
  • >>ナナシさん
    ダメージを与えようものならイーブイが「痛いよぉ…」って言いながら涙目で見つめてきます。
    さぁ、これに耐えられる人は居るかな!? 最強の防具ですw

    >>名無しさん
    それだとポケモンがトレーナーする事になっちゃ……ん? これは、閃きかもしれない!

    >>涼風さん
    もふもふしたいですねー。スロットで6666枚貯めたのは良い思い出です。

    ハヤテのあのシーンは書いている時に、ル〇ン三世の五〇衛門をイメージして書いてました。
    劇場版? のどれかにそんなシーンがあったのですw
    ――双牙連刃 2011-07-11 (月) 22:54:11
  • イーブイが顔に…好きですねぇ♪
    おもしろいです。
    とりあえず石投げときますね♪

    (石)======⊂(・ω・´)
    ――ポケルス以下省略 ? 2011-07-17 (日) 17:02:34
  • ふあぁぁあ!何これ可愛いすぎるぅw
    ―― 2011-09-16 (金) 20:55:16
  • >>ポケルス以下省略さん
    痛い痛い! 石ぶつけないで!
    イーブイ好きなら喜ぶことでしょう。これからも面白く出来るよう頑張ります!
    …返事が大変遅れてしまい申し訳ないです!

    >>名無しさん
    可愛さごり押しでいかせてもらいますw
    返事が遅れてますね…すいませんでした!
    ――双牙連刃 2011-09-24 (土) 03:02:02
  • これは続きを楽しみにせざるをえない
    ―― 2011-10-11 (火) 00:33:31
  • >>名無しさん
    楽しみにしていただいてありがとうございます! 今回はシリアス分? 多めの更新です。
    のほほん書きたいって言ってるのになぜこうなるのか? 作者の性分です…。
    ――双牙連刃 2011-10-12 (水) 10:18:03
  • ('∀'#)/おい、羨ましいぞ
    (・♭・#)ファキュー
    ―― 2013-06-09 (日) 21:23:43
  • おっと、この作品をお読み頂きありがとうございます。
    出会ってすぐのイーブイにこんなに懐かれてるのはやっぱり羨ましいですよねぇ。
    ――双牙連刃 2013-06-15 (土) 13:52:15
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Last-modified: 2011-10-12 (水) 00:00:00
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