まえがき
ー真実は/事実は。
なんなんでしょうね/どうなのでしょうね。
はじめましての方ははじめまして、何度もお読みいただいています方はありがとうございます、特ルリ(とくるり)と申します。
ポケダン話で前々から脳内にあったものをごく短い短編として出力させていただきます、もしよろしければお読みいただけましたら幸いでございます。
ごく普通の、ありそうなポケダン世界。
ですが、あるものが欠けていたら。
今回も、お読みいただきました全ての方に感謝を!ありがとうございます。
エピローグ1
「……キミの師匠のことは、残念だった」
「……うん」
悲痛な面持ちで、チラーミィは俯く。
「私にとっても彼女は師匠であり……いつだってきらきらしていた、部屋も、本人も」
いつだって、奇麗だったこの部屋を。
引き払わなければね。
一人では大変だろう、女手でよければ手伝うよ。
―僕の前で。
―気丈なチラーミィは、薄く積もった埃を尻尾で掃う。
―それこそが手向けだとでも言うかのように。
―夏の残光を、見ながら。
「絶対!絶対何か間違ってる、もう一回ジバコイル保安官さんに訴えて……おい!保安官!どうせザル捜査なんだろ!」
「ナンデスト?!コレハマギレナイジジツ……」
「……ううん、もういいんだ、二人ともやめて」
―原因が知りたいわけじゃない。
―理由がわかりたいわけじゃない。
彼女の人柄を知っているフォクスライからすると、決して納得はできないかもしれないが。
―それでいつものように彼と保安官を対立させるわけには、なおさらいかない。
―不幸と不幸を重ねるわけにはいかないのだから。
―夏の残光の、場違いにやさしき色の下で。
エピローグ2
「……スカーフ、まだ見つかってないそうだなー?」
「……ないはず、ないんですけれどね……」
沼の底も探したし、川の畔も探したけれど。
それでも見つからないのは、もしかしたら夢なのだろうか。
ウパーさんと一緒に、いっそそれが夢ならいいと話す。
「……出来た後輩だったよ、彼女は―……おいらの成長をあっという間に追い抜いて、それだけで……」
それだけで、いいのに。
遠くへいってしまったんだから……なー。
―激するわけでもなく。
―黙するわけでもなく。
―ただそこには、「どうして?」がある。
―その、いつも笑っていた彼の表情に。
―夏の残光を、避けるように。木陰に入るように。
エピローグ3
「……おい、オマエを助けに来るあいつ、どうしたんだよ」
「……師匠ですか?彼女なら……」
……そうなのか。
―一歩も引かない。
―引くわけにはいかない。
―自分のために。
―今はいない、あの人のために。
その様子を見て、ブラッキーは神妙な面持ちになる。
「あー……アタシはさ、今までずいぶんオマエら子弟に嫌がらせをしてきた……それは、個人的な嫉妬心と羨望からだったーアタシには……オマエのような弟子など、いなかったからな」
―……今更、許してと言うつもりはない、とでも言うかのように。
―悪辣に、悪躍に、悪の教授は笑う。
「……それでもさ、そういうのって……そういうのって、ないわ……「そうなってほしい」わけじゃなかった……ただ、こんな日がずっと続くと思って……ただ……」
笑わなければならないから、わらう。
……そっとその、ビロードの背中を摩った。
―夏の残光と、秋の気配を前に。
エピローグ
―聞いた?
―ええ、キノガッサさんのお師匠様のことでしょう。
―あのエーフィさんは……
死んだって/全裸で外に出て逮捕されたって
―聞いてる。
どうしてなんだろうね/どうしてなんでしょうね。
―残されるのは、誰より彼女を慕っていたお弟子さんなのに。
もう肉体が死んでしまったら/もう社会的に死んでしまったら
―決して、元に戻ることはないのに。
どうしてなんだろうね/どうしてなんでしょうね。
あとがき
ー真実は/事実は。
なんなんでしょうね/どうなのでしょうね。
お読みいただきありがとうございました。
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