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2文字の言葉

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2文字の言葉


蒼海



短いようで長い2文字。でもそれは長いけど短い2文字。その言葉を伝えるだけなら一瞬なのに、その一瞬がとても長く感じてしまう。
『好き』と相手に伝えるだけなのに、伝えることができないこのもどかしさ。
そのもどかしさのなかに、今ある想いを伝えることができたとしても、今までみたいに接することができる自信もない自分もいる。さりげなく好きなポケモンがいるか聞こうとしたえれども、それもできない。もし自分以外の子が好きだったらと考えると不安になってしまう。大好きなのに、この世界で1番愛おしくて、1番近くにいてほしいのに。
でも、いつからこんなに胸が苦しくなるほど好きになったのだろう…小さい頃からいつも一緒に遊んだ。何かイベントがあると、2匹揃って参加して楽しんだ。他のポケモンには相談できないことも、よく聞いてもらっていた。
だから幼馴染だとしか思っていなかったのに、いつ、こんな気持ちになったのかが、自分でもわからない。
誰かを好きになったことは何回かあったけど、これほど強い気持ちを感じたのは1度もなかつた。
「どうしたの?マイナン?」
声をかけてきたのはクラスメイトのパチリス。今年のクラス替えで同じクラスになってから仲良くなった一人。何でも相談することはできないけども、私の悩みを打ち明けることのできる数少ない親友。そんな彼女は、私がいつもと違うように見えたのか声をかけてくれた。
「パチリス、あのね」
私は今感じていることを告白した。それを親身になって聞いてくれたパチリスは
「多分それ、恋してるんじゃないかな?今まで感じたことのない気持ちでいるんだよね?」
そう問いかけてきた彼女に私はコクンと頷く。パチリスに相談して、本当に好きなんだって実感した。他の誰かにとたれたくないことが普通だということも、教えてくれた。
でも、恋がどんなものなのか、パチリスに聞いても、友達として好きな男の子はいるけども、本当に好きになったことはないからそれがどんなものなのかは、わからないって…
それが、私のなかに残った不安の一つ。他に相談することができるのは誰だろう?こんな話をしたのもパチリスが初めてだったし、あんなこと聞かされたら、もし同じポケモンを好きだったらと考えると聞くのが怖くなって結局聞けなかった。
それから数日が経った。この日は遠足でふれあいひろばにきた。
春の陽射しが心地よく、時折吹いてくる風が気持ちいい。私は自由時間が待ち遠しくて仕方なかった。だって、こんなにあったかくて、風が気持ちいいのに遊べないなんてもったいない。でも、先生のことだから景色がいいから写生でもやろうかっていいだすんだろうなあ。先生雄なのにたまに雌みたいなこと言い出すところが嫌だ。
みんな遊びたくてうずうずしているけど、どう判断するのかな?荷物はみんなお弁当としおりくらいしか持ってきていないからまさかねって思ってたら…
結局午前中は景色がいいから写生でもやろうってなった。せっかく天気もいいのに遠足にきたのだから無理やり授業にしなくてもいいのに。しかも先生、人数分の鉛筆と消しゴムまで用意していた。芯がおれてもいいようにって迷惑なことに一人2本ずつ、しかも鉛筆削りまで用意している。無意味にバッグが大きかったのはこれが理由だったのだと思うと絵を書くのが嫌いじゃないのにいやになってくる
でも、なんだかんだ言っても描くからには納得のいくまで描くなんて。誰かに聞かれたら笑われそう。
描き始めてからどれくらい時間たったんだろう。気が付いたらみんなお弁当を食べているか、自由時間になって遊んでいるかのどちらかだった。私も描き終えた画用紙を先生に渡して、用意したお弁当を食べようとしたら
「マイナンもこれからお弁当なんだ、一緒に食べてもいいかな?」
声をかけてきたのはディグダ。彼も絵を描くのが好きでいろいろ話している間に仲良くなることができた。もちろん断る理由なんてないから彼の誘いに応じる。
やっぱりディグダとの会話は今日の遠足で描いた絵について。こうして自分で描いた絵を話したりするのは少ないからディグダと話している時間は楽しい。
でも、ディグタが突然
「マイナンは好きな奴いるの?」
急にこんなこと聞かれて私は驚いた。今までこの話をディグダとはしたことがなかったからよけいかもしれないけど…
「いきなりこんな話してごめん。でも最近ピカチュウの奴がさ」
この一言で胸の奥がドクンとなった。これがこの前パチリスに言われた、恋しているということ?でも何でディグダのピカチュウという発言だけでドクンとしたんだろう。
そのあとディグダとの会話はほとんど耳に残らなく何を話したのかほとんど覚えていないくらい胸がドキドキしていた。
私はピカチュウのことを本当はどう思っているのかが、だんだんわからなくなってきた。異性として好きなのか、それとも友達として好きなのか。こんなに深く考えたことなんて1度もないから自分の気持ちに自信がなくなりそうで、これからどうピカチュウに接していけばわからなくなってきた。
「おはよう」
 いつもの朝にするいつもの挨拶。パチリスやディグダ、他のクラスメイトとも交わす変わらない日常。その中で1つだけ違ったこと、ピカチュウにした挨拶がなんだかぎこちなかった。みんなと変わらない挨拶をしただけなのに、このドキドキは何なのだろう?これがピカチュウを好きだということ?今の私にはこれがピカチュウと、他の男の子に抱いている気持ちとは違うものなのもわからない。
 本当にピカチュウはただの幼馴染の存在なのか、それとも私にとって大切でかけがえのない存在なのか。それともそれ以外の何かなのか…
 それでも、今一つだけ私の中にあるたしかな思いじゃないけども、強い気持ちがある。それは、ピカチュウが他の女の子と仲良くしている姿をみたくないこと。もし、仲良くするのであれば私だけでいてほしいこと。これが好きだという想いなのかはまだわからないけど、ピカチュウに伝えることができるなら今ある気持ちをそのまま伝えたい。
 世界の誰よりも君のことが『好きだよ』って
 今の私には長い2文字かもしれないけど、短い2文字の言葉。その想いをいつになるかはわからないけど伝えたい。
 『好き』という短いけど、長い2文字。長いけど、短いこの2文字の言葉を、想いを君に届けるね
 


あとがき
この作品は、以前サイト運営をしていた時に書いた作品をリメイクしてみました
ヒロインがマイナンなら相方はプラスルにするところですが、王道すぎるので、執筆するときにプラマイは没案にしていました
視点小説も久しぶりに書くと難しいな





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Last-modified: 2012-06-17 (日) 00:00:00
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