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2匹の相性は…

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2匹の相性は… 前編 


作者:COM

 まだ日も登りきらぬ薄暗い中、テントから出てきてから大きく伸びをしてから活動を開始する。
 と言ってもボールの中に戻していたポケモンを出してやり、手入れをしてあげたり、朝食の準備を始めるだけだ。

「おはようアネスタ」
「ガウ!」

 呼び出された相棒のルカリオは伸びをするまでもなく元気らしく、一つ元気のいい返事を返した。
 そしてもう一つのボールを取り出して放り投げると、その中からヌメルゴンが飛び出してきた。
 こちらはよく眠っていたらしく、ボールから出されたのに気が付くと長い体をぐにーんと伸ばして一つ気持ち良さそうに伸びをする。

「ヌメルゴンもおはよう」
「ヌメ」

 ヌメルゴンの方は呼んでからそのまま自由に行動させ、アネスタの方にはテーブルを出すのを手伝ってもらったりして、一人と二匹の分の朝食を作っていく。
 とは言っても今日もまだ移動のための食事なので軽めに済ませ、二匹のトリミングを行う。
 ポータブルシャワーでヌメルゴンの肌の潤いを保ち、アネスタの方もブラシを使って毛を梳いて布で鋼の部分を軽く磨く。
 手入れを終えると自分も今一度軽く体を伸ばしてから目の前に広がる湖の周りを歩き回って目的のポケモンを探す。

「スシー」
「シャリ……シャリ……」
「ヤードー……」
「うーん……よさげなカイリューどころかドラゴンポケモンすら見当たらん」

 周囲を軽く見渡してみてもシャリタツやヤドンの姿はあるが、ハクリューやギャラドスのようなポケモンはあまり岸の方には寄ってきていない。
 水上を素早く移動できるポケモンでも持っていれば良かったのだが、持っていない以上たらればの話をしても仕方がない。
 オージャの湖にはドラゴンポケモンを中心とした強いポケモンが多く住んでおり、良く言えば豊かな悪く言えば弱肉強食の生態系が形成されている。
 その関係上、ここで群れを取りまとめているようなポケモンはそれだけで優秀な個体である事が多い。
 自分がここに来た目的はただ一つ、ヌメルゴンのお相手を探す事だ。
 アネスタの方は自分もアネスタもリオルだった幼い頃から共に育ったポケモンだが、このヌメルゴンの方は昨日今日知り合ったばかりのポケモンだ。
 というのも、このヌメルゴンは自分が捕獲したわけではなく、自分が一時的に預かっているポケモンである。
 現在、パルデア地方には育て屋という他の地方ならばポピュラーな施設が存在しない。

『人もポケモンも長い時間の中でゆっくりと実ってゆくもの』

 という考えが根強いこの地方では主たるポケモンとの付き合い方は、より強さを求めて戦いに向いたポケモンを厳選し、戦術を磨くことではなく、人とポケモンとの一つの共存の形として助け合って成長してゆく事という付き合い方の方が多い。
 とはいえ、この地方でも強さを直向きに求めるトレーナーは存在するわけで、他の地方を見習って強さを競うための育成を求める人間も少なからずいる。
 自分はそういったトレーナーや、単純に卵からポケモンを育てたいという人のために独自にポケモンを繁殖させ、生まれた子供を依頼人に渡すブリーダーのような事を生業にしている。
 所謂隙間産業というやつだ。
 依頼者が今持っているポケモンよりも強い個体を望んでいるのなら、そのポケモンを預かってお目当てのパートナーを探して子供を産んでもらう仲人のような事をし、単に何かしらの卵が欲しいという場合はお望みのポケモンの卵を産める人馴れした個体を探して卵を産んでもらうといった感じで依頼人の要望を満たしている。
 今回のヌメルゴンは正にそれで、より強いヌメルゴンのためにヌメルゴンのお眼鏡に適う強いポケモンを探しに来たということだ。
 本当なら四天王ハッサクさんの切り札でもあるセグレイブでも探しに行きたい所だが、ものによっては数日から数週間掛かることのあるこの地道な作業をナッペ山でやる勇気はない。
 オージャの湖ならば、周囲の好戦的なポケモンの様子はアネスタの波動を読む能力で警戒してもらえば無用な戦闘を避けられるし、当のヌメルゴンを出したままにしておけば小柄なポケモンは驚いて寄ってこないため、番探しはそれほど苦戦することもない。
 どちらかといえば時間的な拘束が多いため、暇を潰す手段が少ないことの方が問題だろうか。
 結局その日も朝から探し続けたが、日が沈む頃になってもカイリューどころかシャリタツ達に囲まれて癒された程度だ。

「今日も収穫無し、か……」

 そらをとぶタクシー代も馬鹿にならない以上、あまりあちこちに行くのも難しいため、依頼が終わるまではその場を動くことができない。
 ポケモン達の方は楽しそうに遊んだり、自分の仕事の手伝いをすれば十分なのだろうが、現代人にはあまりにも暇だ。
 ロトムフォンで動画を見たりすることもできるが、あまり長時間使用するとロトムが活動出来るだけの電力を発電するまで眠ってしまうため頼るのも難しい。
 日が暮れてくるとあくタイプのような奇襲を得意とするポケモンが多くなってくるためすぐにテントへと戻り、サンドイッチを作ってすぐに眠る。
 ポケモンを手に入れてから卵を産んでもらうまでのお膳立てに時間が掛かることはよくあるが、ポケモンが見つからないまま数日経つのは珍しいパターンだ。

「……てことだから、多分もう暫くそっちには行けないと思うんだ」
「分かった。話ってそれだけ?」
「う、うん……」
「じゃ、明日早いからもう切るね。おやすみ」
「おやすみ……」

 言い切るのが早かったかすら分からないが、彼女のレイチェルはさっさと電話を切ってしまった。
 レイチェルは学生だった頃に知り合って、そのまま付き合いだした。
 二人共トレーナーとしての十分な素質はあったが、自分と彼女とではトレーナーの適正とでもいうものだろうか……それが違っていた。
 自分はどんなポケモンでも育てるのが上手く、彼女はポケモンをバトルさせるのがとても上手かったのだ。
 そんなこともあって学生時代の頃から自分が育て、彼女がバトルで好成績を収めるという流れができており、当時はかなり仲が良かったのだが……。
 アカデミーを卒業し、互いに進みたい道が決まってからは少しずつボタンの掛け違いのようなズレが生じ始めた。
 彼女はその優秀なトレーナーとしての素質から公認リーグトレーナーとして活躍し、自分の方は逆にトレーナーとしての腕は普通だったため、ポケモンを育てるのを活かせる仕事を探している内に他の地方には当たり前のようにあるポケモンブリーダーという仕事に目を付けた。
 それが見事上手くいき、噂が噂を呼んで今では予約待ちという状態にまでなっているため、ありがたい限りだ。
 しかしそれは自分の自由な時間が制限されることも意味しており、始めの内は長く町へ戻ってこない自分の事を心配して彼女の方から連絡してくれることも多かったが、今では自分の方が定時連絡を行わなければメッセージの一つもよこさないようになっていた。
 いずれは彼女とも結婚したい……と考えていたのだが、彼女も同じ気持ちでいてくれるとは残念ながら思えない。
 彼女とはもう夜の方も随分とご無沙汰だ。
 最早抜いた回数で言うならばロトムフォンが彼女のようになってしまっている。

『あっ……! あっ……! そこっ……!』

 もう何度見たかも分からないお気に入りのAVを再生し、テントの中で一人自らのペニスをシゴく。
 はっきり言って興奮度合いとしてはそんなに無いが、他に何も娯楽がない環境は嫌でもこういった娯楽でしか発散できない。
 しかし不意に自分の後ろでモンスターボールが作動する音が聞こえた。

「えっ!? ちょ……ダメだろ! テントの中で出てきちゃ!!」
「ヌメ~」

 どうやら暇過ぎたのはヌメルゴンの方もそうだったらしく、随分と不満げな顔をこちらに向けていた。
 だが問題はそっちじゃない。
 今自分はオナニー中で、いくらポケモンとはいえ見られるのは恥ずかしい。
 それにロトムフォンからも絶賛一番の盛り上がり所が流れてしまっている。
 どうやらヌメルゴンの方もロトムフォンの画面に写っている人間同士のセックスの映像に興味津々らしく、じっと見つめているため急いで映像を切った。

「ほら! 早くボールに戻って!」
「ヌメェ……」

 不測の事態で慌てていたが、ロトムフォンを止める方に気が行き過ぎてズボンを上げ忘れていたのは失敗だった。
 ヌメルゴンは不敵に微笑んだかと思うと、顔をこちらの方へと寄せてくる。

「うひっ!? ちょ……!? 何考えてんだ!!」

 ヌメルゴンが顔を寄せていたのは自分の表情を見るためではなく、まだ露出したままの自分のペニスを舐め上げるためだった。
 ぬらりとした感触に背中に電流が走ったような衝撃を覚えたが、急いで飛び退いた。
 急いでズボンを上げようとしたが、ヌメルゴンの触手がズボンの中へと滑り込み、グイグイとズボンを押し下げてゆく。

「ちょ……!! 止めろ!! マジで止めろって!!」

 必死に抵抗するがヌメルゴンの触手は非常に力強く、人間ごときの腕の力では勝てない。
 そのまま顔を寄せてくるためズボンは諦めて顔を塞き止めようと腕で必死に押し返そうとするが、ヌルヌルとした身体はとてもではないが掴みどころがない。
 このままでは依頼人のポケモンに性処理をさせている変態のレッテルを貼られてしまうためそれだけは避けたかったが、結局抵抗虚しく押し倒されてしまった。
 ヌメルゴンは頬を紅潮させて自分のペニスを興味津々で見つめ、スンスンと匂いを嗅いだ後、先程と同じようにペロリと舌で舐めてきた。

「あっ……! ヌメルゴン! 言う事を聞くんだ!! 下がれ!!」

 チャンピオンクラスにはなれなかったが、それでも自分だってナッペ山のジムバッジまでちゃんと持っている。
 ポケモンが言う事を聞かなかったことなど無いため、これでヌメルゴンも下がってくれると思っていたが、ヌメルゴンはお構いなしにフェラを続ける。
 手でシゴくのが殆どになっていた今、他人からのフェラチオはあまりにも衝撃が強すぎる。
 必死に何度もヌメルゴンに止めるように指示を出したが、全く言う事を聞かない。
 それどころか最初はただ舌でペニスの裏側を飴でも舐めるように舐めていただけだったのが、亀頭に舌を絡めてカリを擦るように絡めるようになり、そして上目遣いでこちらを見た後、パクリと口の中に含んでしまった。
 ちゅぶちゅぶと音を立てて吸い上げるようなフェラになり、流石にこのままではまずいと頭を掴もうとしたが、触手が腕に巻きついてそれを阻止した。

「ヌ、ヌメルゴン……! もういいから! 明日、ヌメルゴンの相手を見つけてあげる……から!」

 そう言ったが全く聞く耳を持たない。
 ヌメルゴンのフェラは昔一度彼女にしてもらったものとは比べられないほど気持ちが良い。
 溜まっていたこともあってこのままではヌメルゴンの口内に出してしまうが、自由を奪われている現状抵抗する術がない。
 ただただヌメルゴンが満足するのを指を咥えて見ているしかない。
 実際に咥えられているのは自分だが……ってそんなことを考えている場合ではない。

「ヌ、ヌメルゴン……! も、もう……!」

 末恐ろしいのはヌメルゴンの舌使いだ。
 最初は間違いなく拙かったのだが、この短期間の間にあっという間に何処を舐めればいいのかをあっという間に学んでいるようで、恐ろしい程心地良くなっている。
 結局ヌメルゴンは全く口の動きを抑えることはなく、溜まりに溜まった精液をビュクビュクと出してしまった。
 暫く得られなかった凄まじい開放感のある射精に思わず体を震わせるほどだったが、ヌメルゴンはそれを舐めとるように舌を這わせて出てくる精液を飲んでゆく。
 もう出なくなったのが分かると漸くペニスを口から出してくれたが、射精してからも舐められていたせいで未だ勃起したままだった。
 ヌメルゴンは恍惚とした表情を浮かべて口の中にある精液を全て飲み込んでいたようだが、触手の方は未だ離してくれていない。

「も、もういいだろ……? 明日いいオスを準備してやるから、今日の事は内緒にしろよ?」
「ヌメェ……」

 そう言ってヌメルゴンに開放してもらうようにお願いしたが、ヌメルゴンの瞳が怪しく光った。

「お、おい……まさか……?」

 ペロリと舌なめずりし、自分の悪い予感に答えるように触手で身体を持ち上げた。
 既にポケモンにフェラチオをさせたというだけでもまずいのだが、どうもヌメルゴンはまだ満足していないらしい。
 必死に抜け出そうともがくが、ヌメルゴンはこちらにお尻の方を向けてくる。
 そして代わりに丸まっていた尻尾で身体を拘束し、そのまま身体を密着させてくる。
 どう見てもヌメルゴンは自分とセックス? 交尾? 今はどっちでもいいがとにかくそういうことをしようとしているという事実だけは覆らない。
 当然抵抗しても全く意味がなく、独特の滑りがペニスの先端に触れる。

「た、頼む……! それだけは待ってくれ!!」

 必死の訴えも虚しく、ヌメルゴンの膣内にぬぶぶぶ……と飲み込まれていってしまった。

「な……なんだ……これ……!?」

 ヌメルゴンは人間よりも体が大きい。
 当然ドラゴンはそれに見合ったペニスを持っているためそれを受け入れるメスも膣は非常に深く大きい。
 だが、今挿入させられたヌメルゴンの膣の具合は人間のそれを遥かに超えている。
 非常に滑りのいい膣内なのに筋肉が発達しているのが、ぎゅうぎゅうとまとわりついて締め付けてくる。
 その上膣内がぐねぐねとうねってただ挿入しているだけなのに凄まじい快感の波が押し寄せてくる。
 その甘い誘惑に屈してしまいそうになるが、なんとか脱するために自由になった腕で尻尾の根元を掴んで離そうとするが、その途端に逃すまいとするように膣内がぎゅうぎゅうと収縮してペニスに絡み付く。
 脱するどころか捕らえられた身体をヌメルゴンは勝手に前後に動かし始め、その肉厚な膣内を余すことなく堪能させてくる。
 ニュブ……ニュブ……と音を立ててペニスがヌメルゴンの中を何度も往復し、どんどん快感を高めてゆく。
 ただの前後運動のはずなのに複雑に蠢く膣内が絡みつき、捻りを加えたような快感が全身を駆け抜ける。
 最早声を出すことすら適わないほどの圧倒的な快感に支配され、ただただヌメルゴンの求めるままにオスとして扱われる。
 次第にグチュグチュと立てていた水音はパチュンパチュンと激しい音に変わってゆく。
 ヌメルゴンの方からも漏れ出すような声が聞こえ、気が付けば自分からヌメルゴンの尻尾にしがみつき、腰を振っていた。
 この快感は到底人間では味わえない、本能に訴えかけるような名器だ。
 そのままドクン! と大きくペニスを震わせ、尻尾に身体を抱き寄せた。
 それに呼応するようにヌメルゴンの尻尾がギュッと体を引き寄せ、膣内から逃さないとでも言うようにぎゅううと収縮する。
 脈動するペニスをヌメルゴンの膣内は咥え込むように収縮し、精液がもう出なくなっても吸い付いて離さなかった。
 漸くペニスがヌメルゴンの膣内から解放され、ズルリと引き抜かれると、ヌメルゴンは身体を反転させて、どろりと精液が溢れ出す膣を触手で軽く開いて見せつけ、その上にそっと身体を解放する。

「……今日、だけだからな」
「ヌメ……!」

 一度最後までやってしまったのなら、二度でも三度でも変わりない。
 最早、自分から望んでヌメルゴンの誘いを受けた。
 服を全て脱ぎ、ヌメルゴンの相手よりも先に種付けをした証拠が溢れ出る膣に、最早何もなくても勃起した自らのペニスを宛てがう。
 ヌメルゴンの膣と比べれば人間のペニスはやはり小さいが、蠢いていたように感じたヌメルゴンの膣は間違いではなく、ただ恥丘に乗せていただけのペニスがその亀裂がひとりでに開いて飲み込んでゆくのだ。
 導かれるようにしてその魔性の膣に自ら滑り込ませてゆく。
 挿入する時は明らかに余裕があるはずなのに、中に入った瞬間に周囲の肉がオスを求めるように絡みついて凄まじい快楽を与えてくる。
 挿入しただけで全体をマッサージされるように掻き回され、思わず力が抜ける。
 尻尾の根元の辺りに位置するヌメルゴンの膣は尻尾で軽く身体を持ち上げて背中に添えられるだけで逃げ出すことが不可能になる蟻地獄のような形状だ。 
 だが最早逃げ出すつもりはない。
 少しだけこんな恐ろしい膣を常日頃から味わっているオスのドラゴン達に嫉妬したが、今この瞬間だけは自分がそのオスだ。
 そのまま導かれるままに三度目もヌメルゴンの中に精液をドクドクと放ったが、いくら溜まっていたとはいえ、そう何度も連戦できるほど人間は体力も精力もない。
 これで開放してくれるだろうと考えていたが、ヌメルゴンは不意にキスをして、大量の唾液を飲ませてきた。
 途端に心音が高鳴り、もう無理だろうと思っていたペニスがあっという間に力を取り戻す。
 心なしか、元よりも更に大きくなったように見えるペニスをヌメルゴンは愛おしそうに見つめて、迎え入れるように膣を拡げた。
 結局、その日は陽が昇るまで交尾をし続け、自分の体力が持たなくなって意識を失うように眠った事で終わりを告げた。
 翌日は泥のように眠り続けて昼過ぎに目を覚ましたせいでヌメルゴンのパートナーは見つからなかったが、約束通りヌメルゴンが交尾に誘ってくるような事態は訪れなかった。
 かくいう自分も流石にあまりにも激しい交尾で暫くは性欲も湧かなさそうな雰囲気だったため助かったが、もし次誘われば断れる自信がない。
 そのため翌日からは必死にお相手のドラゴンポケモンを探したが、湖の中心の方が生活圏であるカイリューは中々見つからず、結局捕獲できたのはあの日から実に一週間も後の事だった。
 当然、その間にまたヌメルゴンから誘われ、また抱いてしまったのだが、あの快楽を味わえば断ることは無理だろう。
 どうせ断っていたとしても強制的に交尾させられた可能性もあったが、なんとかカイリューが見つかり、そのカイリューをちゃんと気に入ってくれた事もあってもう気にする必要は無さそうだった。

「おー!! 確かに強そうなヌメラだ! やっぱりアベルに任せて正解だったな!」
「いえ……ではまた機会があれば……」

 その後は何事もなく、預けられたヌメルゴンと生まれたヌメラを渡して依頼を終えたが、その後もあの日の事があまりにも衝撃的すぎて忘れられなかった。
 暫くはヌメルゴンが人間と交わる事が癖になったのが原因で、依頼主を襲うようになったとでもクレームが来ることに怯えていたが、そういうことも起きずに時が過ぎていった。



   ◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇



 ヌメルゴンと交わってしまった日から数日経ったある日、依頼のポケモンの繁殖が想定していたよりも早く済んだため、久し振りにレイチェルのいる町へと寄っていた。
 消耗品の買い足しを終えてから彼女の所属するベイクタウンジムへと立ち寄ると、丁度勤務時間が終わったのか彼女も出てくるところだった。

「どうしたの? 急に来るなんて珍しいじゃん」
「今回の依頼が早めに終わってね。それでさ、よかったら一緒にご飯でも食べてから帰らない?」

 久し振りに出会った彼女の様子はいつもと変わりなく、相変わらずトレーナーとしての腕を磨いているようだ。
 近くのサンドイッチ屋に立ち寄って、互いの近況報告をする。
 先日あった出来事は伏せて、自分の方は割と仕事も順風満帆だと伝えると、逆に彼女の方はそうでもないらしいと溜め息を吐く。
 ただただポケモンの指揮をする腕があればいいだけではないのがジムトレーナーであるため、このジム独自の慣れない喜怒驚楽ヨガのインストラクターが面倒だとぼやいていた。
 キハダ先生が来る時は参加者がバトルをするので楽なのだが、そうでない場合はインストラクターとバトルをするためそのインストラクターがまだまだ慣れないそうだ。
 別のジムに行くことも考えたようだが、この地方はあまりバトルそのものに重点を置いていないため、あまりジムトレーナーを採用しているジム自体がない。
 バトル一本でやっていくつもりであれば、別の地方に行く必要が出てくるだろうが、彼女としては海外に行くつもりはまだないらしい。
 ポケモンの生態系を守るために国外への連れ出しには厳しい審査がある上に、テラスタルはこの地方独特のポケモンの変化であるため、別の地方に行けばその地方独特の戦術も学ぶ必要がある。
 彼女が国外へ出たがらない理由はそこにあるようだ。
 自分もポケモンブリーダーとして学びたいことが沢山あるため、もし国外へ行くというのなら喜んで一緒に行くつもりだが、当の本人にその気がないのなら難しいだろう。
 とはいえただ愚痴を聞く日々でも変わりはない。
 出来る事なら彼女には早めに国外へ行くのか、それともこの地で落ち着くのか決めて欲しいものだ。

「そうだ。ねえアベル。あんた何かいいエスパータイプのポケモン持ってない?」
「また唐突だね……。前も言ったと思うけど、俺は基本的にアネスタしか連れてないから、依頼が済んだらポケモンはそのまま逃がしてるよ。あ、そういえばケリーダは元気にしてる?」
「え? ああ、元気元気。ジムのポリシーでエスパータイプしか使えないから、何かいいポケモン準備してよ」

 そう言って彼女は急にエスパータイプのポケモンを準備して欲しいと言ってきた。
 前もそうだったが、彼女は大体急にお願いしてくる。
 学生時代もコロコロとあれを育てて欲しい、これを育てて欲しいとお願いされていたこともあって、ポケモンの育成はかなり得意になったと思うが、今はそれが更に酷くなった感じだ。
 それにケリーダの様子を聞いた時の反応も少し気になる。
 ケリーダとはアカデミーの卒業後、自分が連れていたパートナーの内の一匹を「アベルの代わりだと思って大切にする」と言われて渡したマスカーニャだ。
 アネスタとケリーダは自分にとって幼い頃から共に育った大切なパートナーであったため、入学前から卒業後もずっと大切に育てていた。
 当然、アネスタもケリーダも彼女に預けるとはいえ、離れがたい存在だったが、普段会えなくなるからどうしても預けさせて欲しいと懇願されて託した。
 それからは自分も彼女も仕事が忙しくて中々会う機会がなく、今回のように話題に出しても写真の一つも見せてもらえないせいで状況が分からない。
 学生当時のままなら少しは信頼していたかもしれないが、今の素っ気無い彼女を見ているとどうしても不安になる。

『とりあえず……何かエスパータイプのポケモンを渡す時に交換条件としてケリーダの様子を見せてもらおう』

 結局その日は軽い食事を済ませてから彼女の家に泊まらせてもらう。
 学生の頃はそれこそ毎晩のようにどちらからと言わずに夜の関係を求めていた。
 ちゃんとゴムを付けて、互いに身体を洗ってからベッドの上で身体を絡め合わせる。
 とても情熱的な夜を過ごしていたのだが……仕事をしだしてからはお互いに誘うような事もなくなった。
 方やフィールドワーク、方やエクササイズとポケモンバトル。
 お互いに肉体も頭脳も使う稼業であるため、夜になればすぐに寝る。
 とはいえ会話もろくすっぽせずに寝るのはまるで熟年夫婦ではないか。
 何度か誘った事も、やんわりとそんな事も伝えたが「疲れているんだから仕方がない」の一点張り。
 今日も勿論誘ったのだが、残念ながら返事はNOだった。
 自分としてはヌメルゴンの一件をなんとかして忘れたいという隠れた想いもあったため、少々いつもよりアピールしたのだが、逆ギレされて今はソファで眠らされている。
 家の中には特にケリーダの姿も無く、聞けばボックスに預けていると返ってきて、会わせて欲しいと言えばまた今度……。
 モヤモヤした気持ちが溜まる一方で家というリラックスできる空間のはずなのに、眠れない夜が続いたのはもう何度目かも忘れた。
 翌日、挨拶もそこそこに彼女に追い出されるように家を出て、急遽の依頼となるエスパータイプのポケモンを探しにゆく。
 彼女のオーダー故、即戦力が必要なのは間違いないため、人に良く懐いていて、高い素養を持つポケモンを探して捕まえ、ちゃんと愛情を込めて育ててから渡すのが一番だろう。
 そうなると暫くの間は自分と同行する必要があるため、依頼のポケモンと並行して進められるのは一つだけ有難い点だ。
 ロトムフォンのポケモンナビを頼りに周囲のポケモンを探しつつ、よさげなエスパータイプのポケモンを探して回る。

「お! ヒラヒナか。この子は確かエスパータイプだったな。どれ……小手調べだ。アネスタ!」
「ガウ!」

 近くにこちらを気にしているヒラヒナがいたため、アネスタを繰り出してバトルをする。
 といってもタイプ相性的に不利でも間違いなくアネスタの方が強いため、かなり手加減をしてこのヒラヒナのやる気を伺う。
 人間の連れたポケモン相手に明らかに勝てないと分かっていても立ち向かってくる、芯の強いポケモンならば強くなる見込みは十分にある。
 だからこそアネスタには軽くいなす程度に動いてもらい、ヒラヒナの潜在能力を覗ってみるが、その子はかなり前のめりだった。
 積極的に念力を使い、つぶらな瞳で見つめてアネスタのやる気を削ごうとし、チャームボイスで追撃を行ってくる。
 アネスタの軽い払いに当たって飛ばされてもめげずに浮かび上がり、攻撃の手を緩めようとはしない。
 ……うん、かなり将来有望だ。

「ヒラヒナ。もし君さえよければ、僕と一緒にもっと強くなってみないかい?」
「ピ?」

 そう言ってモンスターボールを見せると、アネスタがポケモン同士何かを伝えているらしく、ヒラヒナは戦うのを止めてその内容を聞いていた。
 自分の話していた内容を理解すると、パアッと表情を明るくしてモンスターボールの方へ近寄ってくる。

「決まりだね。これから暫くの間、よろしくね。ヒラヒナ」

 そう言ってボールをヒラヒナに当てると何度か揺れてヒラヒナがボールに登録される音が聞こえた。

2匹の相性は… 後編 



 ポケモンを育てるのはとても楽しい。
 この世には一〇〇八種類ものポケモンが確認されているだけでも存在しているとの話だが、その中で更に同種のポケモンだけに絞ったとしても、たった二匹として同じポケモンはこの世には存在しない。
 だからこそ、そのポケモンの癖や強みを理解して、長所として育ててゆくのがとても楽しいのだ。
 育て方が合っていれば、ポケモンはその思いに応えようと人一倍努力してくれる。
 だからこそ優しさと愛情を持って接し、共に強くなる喜びを分かち合う。
 どんどん育っていき、眩い光を伴って更に大きく成長する……そう、進化する瞬間はその中でも格別だろう。

「ピエェェェェ!!」

 手のひらサイズだったヒラヒナが見上げるほどの大きさのクエスパトラへと進化した。
 進化をひとしきり喜び合ってからいつものように次の依頼のポケモンを探すために移動しようとしたが、クエスパトラがその場に座り込んだ。

「クェ」
「え? もしかして乗れってこと?」
「クェッ!」

 ふわふわとした背中を見せつけながらその通りだとでも言うように顔だけをこちらに向けて返事をしてくる。
 モトトカゲにライドすることはよく聞くが、クエスパトラにライドするというのは中々聞いたことがない。
 ぽふんと柔らかい羽毛の上に腰掛けると、成程納得。
 サイコパワーを使って自分の体をうまい具合に固定してくれている。

「これは快適だね。ありがとうクエスパトラ!」
「クエェ」

 独特な揺れに揺られながら山道をかなりの速度で駆けてゆくのはかなりの爽快感がある。
 今回の依頼のポケモンというのは他でもない、ライドポケモンの代表格でもあるモトトカゲだ。
 街から街への移動は皆基本的に徒歩か空を飛ぶタクシーを使う事がほとんどだが、モトトカゲを手持ちに入れているのなら話は別。
 抜群の安定感を誇るモトトカゲならば長距離を移動しても全く疲れない。
 今の自分のように別のポケモンにライドする人も極小数存在はするが、相互利益のために人間を背中に乗せるモトトカゲと違い他のポケモンの場合はそれ相応の信頼の下に成り立つものであるため滅多にお目に掛かれない。
 少なからず自分の場合はとても大切に育てていると胸を張って言えるため、今回のように恩を返すとでも言わんばかりに背に乗せてくれるポケモンは多いのだが、こうやって色んなポケモンの背に揺られているとやはり他の地方に想いを馳せてしまう。
 荒々しい山道をこれまた怪獣のようなどっしりとしたサイホーンというポケモンに乗って走る地方もあれば、パルデアのように長く人を乗せて走る文化が存在するゴーゴートに乗って移動する地方も存在するそうだ。
 こちらの地方ではゴーゴートは随分と荒々しい印象を受ける分、乗り心地というものがかなり気になる。
 ラプラスというポケモンは海獣だが、人間を背中に乗せて移動するのが好きすぎて目的地に到着しても下ろしてくれない事もあるほど人懐こい性格らしく、水辺のポケモンに乗るのも中々に楽しそうだ。
 以前ドオーに乗せてもらったことはあるが、残念ながら彼等はそれほど足が速いわけではないため、もちもちの背中の感触を味わえたぐらいだったが、そうやって人間とポケモンとの様々な地方での独特の発展の仕方に想いを馳せるのはとても楽しい。

「ピエッ!」

 そんな妄想をしている内にクエスパトラが目的のモトトカゲを視界に捉えていた。
 野生のモトトカゲはその巨体に似合わずかなりの素早さで移動することができる。
 サイコパワーでジェットのように加速しながらモトトカゲと隣り合わせで移動し、モトトカゲをその気にさせる。
 最初はただ慌てて逃げ回るような動きだったが、こちらが単純に速度比べをしようとしているのだと気が付くとにやりと笑って更に速度を上げる。
 人間を載せていない時のモトトカゲは何度見ても度肝を抜かれる早さだ。
 だがサイコパワーで加速するクエスパトラの方はそれを更に上回る。
 人間の重さなど感じさせない恐ろしい加速でモトトカゲとその速さを比べる。
 予めライド用のゴーグルを付けておいたおかげで視界は保てていたが、既に生身の人間が耐えられる速度を越えていたため呼吸がかなり苦しかった。
 とはいえ走ることが得意なモトトカゲでなければライドポケモン用としては向かないため、必死に堪える。
 少しでも姿勢を低くして呼吸を安定させ、予めクエスパトラに伝えておいた通りモトトカゲが満足するまでチェイスを続ける。
 結局その後三十分もの間草原を走り回り、満足したのかモトトカゲは大きく息を切らせながら走るのを止めてこちらへと寄ってきてくれた。
 ライドポケモンとして申し分ない能力であることは間違いないため、これなら依頼者も満足してくれるだろう。

「クエスパトラもお疲れ様。後でご褒美あげるからね」
「ピエッ♪」

 走りきった後、直ぐに止まるのは身体に悪いため、軽く歩きながらモトトカゲに事情を説明し、その条件でもいいなら捕まえさせて欲しい事を伝えると随分と上機嫌ですんなりボールに入ってくれた。
 風を切って走るのが相当好きだったのか、人間と一緒にいれば食事にも困らず、好きなだけ走れるのをいたく気に入ったようだ。
 依頼者もライドスーツをバリッとキメてモトトカゲと共に風になるのが夢だったらしく、正に二人の相性は抜群というやつだろう。

「クエスパトラももう随分と成長したね。これならレイチェルに渡しても問題ないかな」
「クエェ……」
「そんな悲しそうな声を出すなよ。彼女はトレーナーとしての腕は俺なんかとは比べ物にもならないし、今はベイクタウンのジムトレーナーをやってるんだ。きっと毎日活躍できるぞ」

 クエスパトラの好物のモモンの実を与え、丁寧にブラッシングをしながらそう伝えると、随分と悲しそうな鳴き声を上げていた。
 確かにこのクエスパトラは他の育ててきたポケモンと比べても随分と自分に懐いてくれたが、かといってこれが今生の別れになるというような事態でもない。
 仕事の関係上、あまり会いに来れないだけでバトルの最前線で活躍するポケモンならばボックスに預けたままという事もないだろうし直ぐに合わせてもらえるだろう。
 問題はケリーダの方だ。
 あの子は特に大切なポケモンであるため、一目でも姿を拝ませてもらえないのは流石にもうそろそろ容認できない。
 クエスパトラのようにバトルで大切にするのならまだしも、ボックスに預けたままなのは話が違う。

「ピィ~……」
「ん? どうしたんだ? クエスパトラ。なんか変な動きをしてるけど……」

 もふんとクエスパトラの羽毛が身体に寄りかかったかと思うと、わさぁとふりふりの羽毛を大きく広げて頭を大きく左右に振っている。
 別に混乱だとかどこか調子が悪いといった様子でもなく、本人が望んでその不思議なダンスをしているのが分かる。
 上機嫌なのかとも思ったが、上機嫌な時は頭を撫でてもらいに来て首をひょこひょことさせていることが多かったため、どうも様子が違う。

「背中が痒いの?」

 そう思って背後に回ったのが悪かった。
 バサバサと羽ばたかせる羽の周りや背中を重点的にブラッシングしてあげても特に様子が変わらず、首を傾げているとクエスパトラの目が妖しく輝き、サイコパワーで体を拘束されてしまった。
 怒っているのかとも思ったが、サイコパワーを使ってきているだけで別に怒っている様子もない。
 そのまま体を地面に座らせられると、ガチャガチャと自分のズボンのベルトがひとりでに動き始める。
 いやいやまさかそんな……。
 これまでの人生、こんな経験をこんな短期間に味わわされたのは中々にない。
 と無駄に冷静な頭で考えていたが、状況はヌメルゴンの時よりもかなり悪い。
 あの時と違ってサイコパワーで拘束されているため抵抗することすらままならない。
 だがそんなことを考えている内に再び自分のペニスがポケモンに向けて晒される。
 前回の件はあの後軽く調べると、ポケモンとそういう関係を持つ人間が一定数いるという噂話程度の情報を見つけたこともあって、依頼者とあのヌメルゴンがそんな関係なのだろうと邪推することで納得させていたが今回はそうもいかない。
 何故ならクエスパトラはヒラヒナの頃から自分がしっかりと育てたポケモンだからだ。
 名前こそ付けてはいないが、アネスタと同様、大切な相棒として愛情を注いできたつもりではあるが、そんな意識をしたことは一度もない。
 一つだけ違うことがあるとすればヌメルゴンとの一件があって以来、少々ポケモンのお尻が視界に入るのは目に毒になっていた程度で、相も変わらず自分の夜のお供はお気に入りの動画のままだ。
 実家でAVを見ていた時と同じぐらいモンスターボールの音に警戒するようになっていたから当然ヒラヒナの頃からクエスパトラになるまでただの一度もそんな様子を見られたことはない。
 頭の中で色々と言い訳を探していたが、クエスパトラは先程の不思議なダンスを踊り、軽快なステップを踏みながら自分の身体の上へと移動する。
 わさぁっと覆い被さり、ふわふわの羽毛に体が包み込まれる中、ペニスの辺りだけ全く違う感触が伝わって来るのが嫌というほど鮮明に理解できる。
 炎タイプのポケモンが擦り寄って来た時のような熱いほどの温もりがペニスに添えられ、それが湿り気を含んでまとわりついてきた。
 まとわりつく、という感覚を遥かに超えている。
 ペニス全体が熱い物で覆われ、ぐねぐねと蠢く肉壁が奥へ奥へと飲み込んでゆく。
 ヌメルゴンのそれとは違う、優しく包み込むようでいてそれでいてしっかりと咥え込むような独特の感触。
 更にふわふわの羽毛を逆立てて体の上で全身を愛撫している。

「クゥゥ……」

 非常にリラックスした鳴き声を上げ、体越しにも聞こえるほどの音でジュッポジュッポと腰を大きく動かし始める。
 体内の熱さと外気の差がすごく、どこまでクエスパトラの体内に入っているのかが目視しなくても分かるほどの鮮明な刺激。
 そして腰辺りに当たる肉の感触が一際柔らかく沈み込んで深く深くへとペニスを包み込んでゆく。
 動かせない体の代わりと言わんばかりにペニス周りの感覚だけは鮮烈に体全体へと伝えられる。
 プチュップチュッと空気を含んだ水音が響き、ふわふわの羽毛ともちもちした尻周りの肉の感触が全身に襲いかかる。
 その後何度か激しいピストンを繰り返し、暖かい体液が腰の辺りを伝うほどクエスパトラも興奮していたのだろう。
 お互いの腰がぴたりと付くまで深く付き入れたまま、ぷちゅぷちゅと腰を軽く動かすような動きへと変わっていった。
 表面上は動きが少ないが、クエスパトラの中は荒れ狂う海のように荒ぶっている。
 今も首を左右に振りながら翼を大きく羽ばたかせているが、それと同じぐらいに腰を使ってペニスを揉みしだいてくる。
 ヌメルゴンの時もそうだったが、彼女達ポケモンのメスの腰の動きと内部の動きは人間のそれとは比べ物にならないほど貪欲だ。
 抵抗することができないまま、ひたすらに射精感が高まってゆく中、急にクエスパトラは腰の動きを止めた。

「ク、クエスパトラ……?」

 このまま中に出してしまうのはマズイという自分の心情を理解してくれたのか、と少しだけホッとしたが、そこで何故クエスパトラが急に自分を襲ってきたのかを理解できた。
 エスパータイプのポケモンは相手の心を読むことができるポケモンが多い。
 故に相手の心理を逆手にとって行動することができる。
 確かに自分自身の自慰行為を目撃されることはなかったが、ヌメルゴンの一件以降、無意識にポケモンのお尻を目で追いかけ、その度に邪念を振り払うように首を振っていたことを思い出した。
 クエスパトラのふりふりの羽毛、その中に隠れているぷりんとした肌色の部分がちらりと視界に映る度に多少の劣情を抱いていたのは間違いない。
 もしその思考を読まれていたのならば、この状況は正に自分が望んだ状況というわけだ。
 同時に今の自分の思考を読んでくれているのだからこそ、腰の動きを止めたのだろう。
 ヌポンッという勢いのいい音と共に熱いほどの体内からペニスが解き放たれ、暖かいはずの外気すらも涼しいと感じるほどの開放感を味わった。

「クゥゥ……」

 抜いてくれたクエスパトラは変わらずリラックスした時の声を出しながら、お尻を大きく持ち上げたまま自分の横に座り、先程まで自分のペニスが挿入されていた場所を見せつけてくる。
 つまり無理矢理にでも射精させるのではなく、自分の意思でなら問題ないだろうということなのだろうか。
 紅潮させた顔をこちらに向けて、じっと待っている。

「……ごめんね。クエスパトラ。ポケモンと人間とではこういうことはしちゃいけないんだ。それを分かってほしい」

 ならば自分もこの劣情をぐっと堪えるべきだ。
 あるべき姿は人間と良きパートナー。
 ポケモンを性処理の道具のように扱うのは違う。

「ピエェェ!!」

 残念ながらそういう意図ではなかったらしい。
 クエスパトラの瞳が一際大きくなり、妖しく光ったかと思うとまたしても体をサイコパワーで拘束された。
 そのままふわりと浮いた体はどんどん座ったままのクエスパトラの後ろの方へと吸い寄せられてゆく。
 要は襲った形ではなく、メスとしてオスに抱かれたかったから自分の意志で最後を出してもらいたかったということなのだろう。
 結局仮釈放された自分のペニスはあっという間に快楽の監獄へと再収監されてゆく。
 既に限界の近かったペニスはそのずぷずぷと飲み込まれてゆく刺激に為す術もなく、一番奥まで押し込まれると同時に果ててしまった。
 それと同時に体を拘束していたサイコパワーから解き放たれたが、ぎゅうぎゅうと収縮して絡み付く動きと射精の快感から全く身動きができず、そのままクエスパトラの柔らかな背に体を預けてただただだらしなく精液を望むままに解き放ってゆく。
 吐精の勢いが収まるとペニスを離すまいとしていた内部の収縮が収まり、ズルリと自身の体重で彼女の中から解き放たれる。
 クエスパトラはどろりと白いものが垂れる孔をこちらに見せつけるように腰を持ち上げ、先程までの妖しい瞳ではなく、愛しい人を見る艶めかしい視線を送っていた。

「クェェ……」

 その鳴き声の意図は嫌でも分かる。
 まだ満足していないと言っているのだろう。

「……今日、だけだからな?」

 そう、またヌメルゴンの時と同じ事を言いながら、結局クエスパトラに求められるまま何度も体を交わらせ、文字通り腰が砕けるまでその日はセックスをしていた。



   ◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇



「これからよろしくなモトトカゲ! あとアベルさんもありがとうな!」
「それじゃあまた御用があれば……」
「? 元気が無さそうだけどどうかしたのか?」
「あ、いや別に……。それではこれで……」

 まだまだ腰が筋肉痛に襲われていることと、少しずつ自分が人の道を離れているような気がして他人と目を合わせるのが恐ろしいとは口が裂けても言えないため、すぐにその場を去る。
 クエスパトラに跨って彼女のいるベイクタウンまで移動し、リーグ受付で時間を潰していると彼女が姿を現した。

「お待たせ。クエスパトラをいい感じに育ててきたよ」
「クエスパトラ!? あんた何考えてるのよ!!」

 きっと喜んでくれるだろうと思って見せたクエスパトラを見ると、彼女はかなりキツい口調でそう言いながら怒ってきた。
 仕事的にもかなり疲れが溜まっていたのか、それこそ烈火の如く責め立ててくる。

「あんただってジムチャレンジしたから知ってるでしょ!? リップさんと同じポケモンを使うなんてあてつけにも程があるって分かるでしょ!? せめてヒラヒナにしなさいよ!!」
「ご、ごめん……」
「大体あんたはいっつもそうじゃない!! 昔から微妙に配慮が足りてないっていうか……」

 彼女の逆鱗に触れた時はいつもこうだ。
 一方的に捲し立てるように言葉のタネマシンガンを浴びせられ、ただただ萎縮するしかない。
 でも、の一言でも言おうものならコノヨザルのような形相になる以上、ただただ黙って彼女の気が済むまで怒られ続けるしかない。
 そうすること数十分、漸く落ち着いた彼女の顔色を伺いながら自分の中の本題に移る。

「一応確認するけど……クエスパトラはどうする?」
「要らないわよ!! そんなゴミ!!」
「ちょっと待って」
「何? まだ何かあるの?」
「クエスパトラに謝って」
「はぁ?」

 彼女に逆鱗があるように自分にだって逆鱗はある。

「この子には高いポテンシャルがある。バトルに対する熱意だって人一倍だ。そんな子をゴミ扱いするのは聞き捨てならない。いくら自分のポケモンとしては扱えないとしてもそんな言い方はあんまりだろ!!」
「なによ!! バトルの腕もそこそこのクセにいっちょまえにポケモンの事を庇うなんて馬鹿なんじゃないの!? ポケモンの親気取りなわけ?」
「ポケモンは生き物だ。バトルのための道具じゃない。そんな基本的な事も忘れた人はトレーナーとは呼べるわけないだろ!!」

 仕事を始めてからはこれほどの大喧嘩は初めてだった。
 自分が何か言えば十言い返して来る勢いだったが、そんなことはどうでもいい。
 ポケモンは人間を信じてついて来てくれている。
 だからこそ人間はそんなポケモンの純粋な思いを踏み躙るような事があってはならない。
 ずっと前から感じていた彼女への違和感や募りに募っていた彼女の横柄な態度が気に入らず、ここ最近の彼女との関係の冷え込みもあって盛大に言いたい事を全部ぶちまけてしまった。
 少し前までは彼女と結婚することも考えていたはずなのだが……今ではヒステリックにこちらの人格否定をしてくる嫌な女にしか見えないのが恋の不思議な所だろうか……。

「もういい。別れよう」
「ハッ! 何上から目線で物を言ってるのよ!! あんたみたいなポケモンオタク、こっちから願い下げよ!!」
「待てよ!! ケリーダだけは返せ!!」
「ケリーダなんてポケモン存在しないわよ? オタクならちゃんとポケモンの名前ぐらい覚えていたら?」
「君に預けたマスカーニャの名前だよ!! ずっっっっとおかしいと思ってたけど、名前すら覚えてなかったんだな!!」
「要らないわよあんな何の役にも立たないポケモン!! 大体マスカーニャなんて幾らでもいるのに一匹に執着するなんて馬鹿なんじゃないの!?」
「君みたいな戦闘狂には分からないだろうね!!」
「返せばいいんでしょ!! あんたの!! 愛しの!! マスカーニャを!!」

 売り言葉に買い言葉。
 お互いに勢いのまま言葉をぶつけ合い、彼女はそのままロトムフォンからポケモンボックスにアクセスし、ケリーダの入ったボールを転送するとこちらに向かってぶん投げた後、ズンズンと音が聞こえそうなほどの歩幅で踵を返して去っていった。
 深い溜息を吐いた後、冷静になって色々と言い過ぎたと言葉が湧き上がってきたが、早速ボールから出したケリーダの姿を見た瞬間、その思いは全て吹き飛んだ。
 毛並みはボロボロ、長く陽の光も浴びていなかったのか、光を受けるための黒い葉の部分も元気がなくなってしまっており、花粉を作るための茎の部分が隠せないようになってしまっていた。

「ケリーダ……ごめん、ごめんよ……」
「ニャーゥ……」

 きっと寂しかっただろう。辛かっただろう。
 恨まれたって仕方がないはずなのに、ボサボサになってしまったケリーダを抱きしめると、昔と変わらずゴロゴロと喉を鳴らして同じようにギュッと抱き返してきた。
 心が苦しくなり、涙が溢れて止まらなかったが、もっと苦しいはずのケリーダは自分の事を心配するように頬を舐めてきた。
 いてもたってもいられなくなり、すぐにケリーダを連れてその足でハッコウシティへと向かった。

「かなり健康状態が悪いですね……。暫く分の草タイプ用の栄養剤をお渡ししておきますので食事に混ぜて与えてください」
「すみません。ありがとうございます」

 大きなポケモン治療センターにすぐに駆け込み、状態を見てもらったが軽度の栄養失調は見られるものの、それ以外は単に日々のケアが不足しているだけであるとの事だったため、深く頭を下げて栄養剤を受け取ってから病院を後にした。
 近くの空き地でゴワゴワになってしまった毛並みを丁寧に丁寧にシャワーとポケモン用の洗剤を使って綺麗にしてゆく。
 最早いつ頃から手入れをしてもらっていなかったのか分からないほど毛並みは薄汚れていたため、何度洗っても汚れが中々落なかった。
 漸く綺麗になった後は伸びきった毛を丁寧にトリミングしてもらい、一通り見た目だけでも元通りになった後はケリーダの体調を考え、食べやすいスープを購入して飲みやすい温度にしてから与えた。

「美味しいか?」
「ニャウ」
「ごめんな……」
「ナーゥ」

 謝る度にケリーダは謝らないでと言うように自分の頭を優しく撫でる。
 昔からそうだったが、ケリーダはとても穏やかで優しい性格だった。
 アネスタはリオルだった時はとてもわんぱくで、よくケリーダを連れ回して遊んでいたが、それに嫌そうな顔一つせずについて回っていたほどだ。
 成長してルカリオになってからはアネスタは自分の言葉をしっかり聞いて動く真面目な性格に変わったが、ケリーダの方は明るいのは昔から変わらなかったが、常に周囲の様子を見てサポートするような性格のままだったほどだ。
 自分やアネスタが喜ぶ姿を見るのが好きだったケリーダの健気さは、今見せられてもただただ心が痛むだけになる。
 アネスタかケリーダ、どちらかを彼女に預けさせて欲しいと言われた時、ケリーダが自ら彼女についていく意思を示していたのも、喜んでもらうためだったのは理解している。
 だがその結果ケリーダをこんな目に遭わせてしまったのは自分自身のせいでもあるため、爪の一つでも立ててくれたのならまだ理解ができる。
 しかしケリーダは怒ることも恨むこともせず、ただただ前と変わらず優しく微笑んでいた。
 暫くの間は仕事を休み、ケリーダの体調が回復することに注力したが、想像していたよりは医者の言う通りただただ毛並みが乱れていただけであり、体調の方は然程悪くなかったためかすぐに元気に走り回るようになってくれた。
 それからはアネスタとケリーダ、そして結局渡しそびれたものの、かえってそれでよかった結果となったクエスパトラも野生に返すべきか悩んだのだが、形はどうであれ自分の事を二匹と同じぐらい大切に想っていてくれている事が分かったため、ファボールと名付けて三匹を手持ちにすることにした。
 流れでこうなったとはいえ、移動用にライドポケモンが欲しかったのは事実であり、クエスパトラという少々特殊なポケモンではあるがライドさせてくれるのは非常にありがたい。
 おかげで仕事をこなすのにもファボールで目的地まで素早く移動できるようになったこともあって随分と便利になった。
 バトルなどの面においてもアネスタ一匹だけに頼らなくなった事で色々と融通が利くようになった。
 周囲のポケモンの警戒は今までのようにアネスタの波動を感じ取る力で行っているが、同時にケリーダとファボールも出せば警戒する範囲が少なくて済む。
 その上ファボールに乗って移動すれば不要な移動部分を警戒する必要もなくなるためアネスタの精神的な疲労の負担も軽減する。
 少々暴れん坊な気質のポケモンの相手も今まではバトルしかなかったが、ファボールに乗ってその場から急速離脱することも選択肢の一つとなり、ケリーダの出す甘い香りや手品による意識を逸らす事で戦闘意欲を削ぐ事が可能な場合はそうして鎮める事も可能になった。
 また少々荒業ではあるが、ファボールのサイコパワーを使えば相手を拘束したり、テレキネシスでの短時間の水上移動も可能となったことはかなり大きい。
 選択肢が増えたということはそれだけ対応できるポケモンも増えたということ。
 皮肉にもレイチェルと交際関係にあった時よりも心労も減り、仕事に集中できるようになった上に移動手段まで確保できてしまった事で随分と効率が良くなって休める期間が増える結果となった。
 そしてそんな穏やかな日々が続いていたある日、休みの期間を利用してずっと行えていなかったケリーダの快気祝い、そして新たに自分の手持ちのポケモンとして加わったファボールの歓迎会を兼ねて見晴らしの良い場所でいつものようにピクニックをすることにした。
 とはいえ、折角のお祝いなのでいつものようにただサンドイッチを作るわけではなく、奮発した材料を三匹が自由に選んでもらい、それで好みのサンドイッチを三つ、それと自分の特製サンドイッチを合わせた四つを切り分けてみんなで食べることにしたのだ。
 材料を奮発したこともあってサンドイッチパーティーは大盛況となった。
 アネスタはやはり普段からバトルで活躍してもらっていることもあってか、辛めのソースに肉が多めのスタミナサンド、ケリーダはビネガーなどの酸味の効いたソースをベースに野菜が多めのフレッシュサンド、ファボールはサイコパワーで普段から頭を使うからかホイップクリームをベースにたくさんのフルーツを乗せたスイーツサンドを作っていた。
 自分はいつものようにオリーブオイルをパンに塗り、いつもならここで他の調味料を使うところだが、秘伝スパイスという物を依頼者から報酬として受け取っていたため、これの甘い味と塩味をふんだんに使用したあまじょっぱい味をベースにした。
 具材はピクルス、レタス、オニオンを敷いてから贅沢に厚切りベーコンと焼きチョリソー、最後にスライストマトをトッピングしたデラックスバランスサンド。
 はみ出すほどの具材と秘伝と名打たれるだけあって芳醇な香りを放つスパイスが既に食欲を掻き立てる。
 きちんとみんなが作ったサンドイッチも含めて全部綺麗に四等分にし、それぞれの皿に乗せて早速希少な秘伝スパイス入りのサンドイッチを実食。
 口に含んだ瞬間広がる爽やかな甘味と塩味。
 それでいて決して食材を殺してしまうほどの強烈さも与えずにスッとベーコンや焼きチョリソーの肉の脂の味と絡んで引っ込んでゆく。
 ピクルスとトマトが程よく酸味を醸し出し、新鮮なレタスのシャキシャキとした歯ごたえの良さと新鮮なオニオンの絡みがマッチしている。
 我ながら素晴らしい出来だ。
 三匹とも自分のオリジナルサンドイッチには大満足したようで、そのままケリーダの野菜増し増しヘルシーサンドイッチ。
 ビネガーと酸っぱスパイスをベースにしつつ、酸味と相性の良いクリームチーズをふんだんに使用したバゲットの上にレタス、パプリカ、アボガドと豆腐という最近入ってきたヘルシーな食材が組み合わさり、程よい酸味が口と鼻の中を駆け巡ったあと、豆腐が食べ応えのある食感を生み出し、アボガドとクリームチーズのカロリーお化けが全体の味を非常に良くまとめていた。
 野菜を好んで食べないアネスタがとても美味しそうに食べているのを見るとこちらまで笑顔になる。
 続いてアネスタの肉肉サンドイッチを食べる。
 マスタード、チリソースをベースにこちらにも塩スパイスを使用していたこともあり、塩味が駆け抜けた後にピリリと舌に広がるチリソースの辛味と鼻に抜けてゆくマスタードとハラペーニョの辛味、そしてベーコンに生ハム、ポテトサラダとこれでもかと胃にずっしり来る食材達が使われているが、案外これらの食材とポテトサラダがいい感じに辛味を中和して程よい味になっている。
 辛い物が苦手なケリーダも美味しそうに食べている所を見るに、問題なさそうだ。
 最後にファボールのデザートサンド。
 あまスパイスを敷いてからベリージャムを塗り、その上に隠れるほどのホイップクリームを乗せて、リンゴ、キウイ、バナナ、パイナップル、イチゴを贅沢に使用したフルーツバスケットのようなサンドイッチは言うまでもなく甘くて美味しい。
 正にデザートに相応しい一品で、ファボールは自分で作った事もあってか大満足したようだ。
 ご馳走を平らげるとそのまま軽く全員のトリミングを行ってから日が落ちる前にテントに入った。
 これまでならみんなをボールに戻していたことだったが、折角なら昔のように一緒に寝たいと考えて少し大きめのテントを買い直していたためファボールだけは入る時に少し頭を下げないといけないが、それでも十分にスペースのある状態となった。
 明日以降のスケジュールを確認した後はすぐに仰向けになり、両脇にアネスタとケリーダ、足元にファボールが丸くなって久し振りにポケモン達と一緒に眠った。

「これから先もよろしくな」

 そう言って眠ったのだが……様子が変わったのはそれから殆ど間を置かずにだった。
 ここ最近はなんともなかったというのにどうにも息子が元気になってしまい、目蓋を閉じても眠れる気配がない。
 それはどうやら三匹の方も同じらしく、それぞれ甘える時の鳴き声がサラウンドで聞こえてくる。
 しまいにはケリーダの方が我慢ができなくなったのか、ふみふみと久し振りに両腕でこねられ始めたが、問題なのはそこがあからさまに股間の部分であること。
 いつもなら腕や胸、脚なんかの場所なのだが、明らかに意識してペニスのまわりをふみふみされている。
 軽く起き上がっていた程度だったペニスがその刺激のせいでパンツを起こしてテントになると、パンツ越しにケリーダが舌で舐めてくる。
 当然そんなことは教えた事はないし、過去にそういった経験もない。
 ヌメルゴンの一件以来、あからさまにポケモンに貞操を狙われるようになっている。
 大喧嘩から仕事が一段落するまでの間にも依頼者から預かったポケモンや捕まえてきたポケモン達がやたらと積極的に誘ってくることが増えているし、それを躱すためにボールを肌身離さず持つようになったというのに、遂にケリーダにまで狙われてしまった。
 いや、ケリーダだけだというのは語弊がある。
 今こうしてケリーダが股間をふみふみしながら布越しにペニスを舐めている真っ最中、アネスタの方も随分と乱れていた。
 腕にしがみつき、掌を自らの股間に当ててグイグイと指でアネスタの膣をまさぐらせさせられている。
 その上で腰を軽く振りながらベロベロと顔を舐めてくるのだ。
 顔を舐めてくることなら普段からあったが、明らかに舌で口をこじ開けて滑り込ませて口の中を舌が蹂躙している。
 ファボールも暗くてよく見えないが、バサバサと聞こえてくるため間違いなくあの求愛のダンスを踊っている。
 あの時見せた不思議なダンスはクエスパトラがよくオスとメスで行う求愛のダンスだということを後で調べたからこそ、今正に三匹に同時に襲われようとしている状況だ。
 アネスタとファボールはまだ分かる。
 この二匹は相手の感情を読み取る能力を持っているため、一瞬でも思考を過ぎった事があれば意識されるだろう。
 だがケリーダにはそんな能力はない。
 つまり一度でもポケモンとそういう関係を持ったことのある人間はポケモンにしか分からない独特の何かがあるのか、交尾相手として認識されるのだろう。
 ここ最近では当然ファボールも時折誘ってきても決して受けないようにしていたが、今日はどうにもおかしい。
 一度は経験を持ったファボールだけならまだしも、ただの一度もそういった経験を持っていない昔からの相棒であるアネスタとケリーダが激しく乱れている。
 過去に発情してしまった二匹を見たこともあるし、処理をしてあげたこともある。
 その時ですらこんなあからさまに自分をオスとしてみることはなかった。
 ならばもう原因はただ一つ。
 たった一度の過ちで、自分はポケモンにとって単なる相棒ではなく、オスとして見られるようになったのだと理解する他あるまい。

「……分かった分かった。降参だ。もう好きにしてくれ……」

 そう言ってパンツを下ろした。
 舐められ続けていたせいで完全に勃起したペニスがブルンと姿を顕にすると、ケリーダは今まで見せたことのないような恍惚とした表情で裏筋に舌を這わせてゆく。
 それを見ると今まで顔を舐め続けていたアネスタも、求愛のダンスを踊っていたファボールもあっという間にペニスの周りに顔を寄せてベロベロと舐めてくる。
 今この状況、美女三人に囲まれているのならば眼福といったところだが、問題はその美女が飢えに飢えた獣であること。
 アネスタが胸を跨いで座り、亀頭周りとカリ部分を重点的に舐め、それを押し返すようにファボールとケリーダが裏側をそれぞれ左右から舐めてくる。
 それぞれ質感の違う舌が我先にと唾液を混ぜ合わせる感触は正直尋常ではないほどに気持ちが良い。
 呼吸が浅く早くなってゆく中、顔の上にペタリと愛液にまみれたアネスタの膣が降りてきた。
 発情しきって膨れた膣肉がたまたま降りてきたのではなく、グイグイと口に押し付けてきている辺りわざとやっている。
 だがもう彼女達の望む通りにそこに舌を這わせる。
 多少の獣臭さはあるものの、普段から手入れをしていることもあってなんともないが、問題は尋常ではない量の愛液の方だろう。
 以前の発情の時とは比べ物にならない量で溢れており、舌で軽く内側を舐めるだけで溢れ出してくる。
 鼻息が当たる度にアネスタの膣がピクッピクッと収縮し、それに連動するように愛液がピュルッピュルッと溢れてくる。
 そうしてゆく内に先にペニスの方に限界が訪れ、ビクビクと体を震わせながら精液を三匹の舌の海に解き放つと、途端に魚が海面に姿を現したかのように荒れ狂う。
 溢れる精液を求めて舌の動きが倍以上の速さになり、かなりの量が解き放たれたはずなのにも拘らずにあっという間に舐め取られていった。
 次第にペニスを舐めていた三匹の舌は離れ、飛び散っていた残りの精液を求めて体中を舐め回される。
 正に快楽という名の拷問。
 負けじとアネスタの膣を舐めてゆくと、彼女も限界を迎えたのか、ビクビクッと体を震わせてから全身を弛緩させた。
 元のスペースに戻ると今度は当然のように自分の乳首を舐めてくる。
 レイチェルですらそんなことをしなかったのに、休む間も無く乳首を舐めては吸い上げ絶え間なく快感を与え続けるのだ。
 ケリーダの方も舐めるのを股間から指先に移していた。
 何処かを舐めて快感を与えていないと気が済まないのかと思える程だが、二匹が股間から離れたのはここからが本番だからだ。
 ファボールが背中を向け、あの魔性の肉壺をヒクつかせながらゆっくりと腰を落としている。
 何の抵抗もなくずぷぷぷ……とファボールの孔の中へと飲み込まれてゆき、あの快楽のミキサーのような肉壺を今一度味わわされる。
 再確認するまでもなく名器だ。
 ぷちゅぷちゅと水音を立てながらふわふわの尻が目の前で大きく揺れ、熱く蕩けそうな体内へと誘われる。
 根元まで入れてからぐりぐりと押し付けるようにして複雑に腰を振りしだき、今出したばかりだというのにお構いなく次の射精感を促す。
 既に一度目合った事があるからか、ファボールの体内は以前よりも更に凶悪になっていた。
 ぴったりとペニスの太さに合わせてまとわりつき、きゅうきゅうと軽く締め上げながらカリ首へとピンポイントで複雑な動きを合わせて絞り上げてゆく。
 そんな激しい責めを受けて耐えられるはずもなく、あっという間にファボールにもう無いと誓ったはずの二度目の射精を許してしまった。
 ぎゅうぎゅうと締めつけ、腰を大きく震わせながら射精の余韻を味わっているのか、ペニスの脈動が終わるまで決して離さずに絞り上げる。
 そしてジュポンと勢い良く引き抜かれると……どういうわけだか全くもってペニスは萎えていない。
 それどころかより強烈に反り返っているようにさえ感じる。

「ナーゥ……」

 次は私の番だとでも言うように、ファボールとケリーダが位置を入れ替わり、ペニスのすぐ下に座る。
 あてつけのように体を持ち上げて濡れた膣とペニスを擦りつけ、「今からここに挿入るんだよ」とでも言うように視線を送ってくる。
 ケリーダが元気になってくれたことは嬉しいが、こういうことの為に元気になってもらったわけではない。
 だが自分の意思に反するようにペニスが持ち上がり、早く挿入ろとでも言っているかのようにペチンとケリーダのお腹を叩く。
 ぐるぐると喉を鳴らす音が響く中、ケリーダの小さい膣が自分のペニスの形に膨らみ、ズブズブズブ……と飲み込んでいった。
 ファボールのゆったりとした膣内と違い、ケリーダは体の大きさに見合った小さな膣だ。
 いやそもそもなんでもうソムリエができるほどこんなに短期間で複数種類のポケモンと交わっているのかと思わず冷静に突っ込みたくなるが、突っ込んでいるのは幼少から共に育ったケリーダの女性器だ。
 猫らしい柔らかい体で腰と腰が当たる程根元まで咥え込み、今もギュウギュウと収縮して自分のペニスを味わっているかのように呼吸で体を上下させ、遠く明後日の方を見ている。
 ふと我に帰ったかと思うと、今度は根元まで入れたままゆっくりと体をグラインドさせ始めた。
 くちゅり、ぐちゅりと腰を動かす度に水音が微かに溢れて聞こえ、そしてそれがしっとりと濡れた体毛と自分の腰周りの肌と触れ合ってねちゃねちゃととても淫靡な音を奏でている。
 ケリーダの中に入ったままのペニスの方は彼女の腰の動きに合わせてびっちりと固定されており、コリコリとした感触を中心にぐりぐりと動かされているような快感に襲われる。
 走馬灯のようにケリーダとの思い出が蘇ってきては、そんな大切に育てたはずのポケモンと情事に耽っている事に凄まじい罪悪感が襲い掛かってくるが、大きく息を乱しながら必死に腰を動かしている恍惚とした表情を浮かべたままのケリーダの顔を見ると思わず薄れてしまう。
 成り行きとは言え、確かにこれはケリーダ自身が望んだことだ。

「ヌゥー……」

 体を倒して胸と胸を付け、上機嫌な喉の音を聞かせながらケリーダは顔を舐め回し、腰を小刻みに動かす。
 既に何度か大きく膣内が収縮しており、その度にプシュッと勢い良く愛液が吹き出す音を聞いているため、既に何度か絶頂を迎えているのだろうが、必ず精液を出してもらうまでは離さないとでも言うように腰を大きく素早くピストンさせ始めた。
 体を倒していることもあって、狭い膣内をゴリゴリと抉るように擦りながら高速で出し入れされるとそれまで一度も味わったことのない別の衝撃が快楽として送り込まれてくる。
 定期的にビクンッと体を大きく震わせて動きを止め、そして何度か呼吸をしてからまたピストンを続ける様は形こそ変わってしまったかもしれないがとても愛おしい。
 自然と手はケリーダの腰に動いていた。
 腰を掴まれると一際ビクンと大きく跳ね、そして意図を汲み取ったのかしっかりと首に腕を回して体を預けた。
 そして初めて彼女の腰を自分から動かすと、先程までと比べ物にならないほどぎゅうぎゅうと締め付け、必死に抱きつく腕にも力が篭っていた。
 愛しさがそのまま快楽として増幅されてゆく。
 快楽の海で溺れるケリーダを更にバチュンバチュンと音を立てて責め立てる。
 互いの鼓動が同調するように興奮が高まってゆき、それから数秒と持たずにケリーダの膣内に精液が解き放たれてゆく。
 ブピュリと狭い狭い膣内から押し出された精液が飛び出す音が聞こえ、それでも留まる事を知らずに自分のペニスは精液をドクドクと送り出してゆく。
 低い唸り声のような鳴き声と共にゴロゴロと喉を全開で鳴らして喜び、呼吸が落ち着いてくると昔甘えてきていたように優しく頬を舐めてきた。
 脈動が止まるとケリーダはそっと体を起こし、狭い膣内からペニスを開放したが、やはり異常事態は収まっていない。
 依然ペニスは天を衝かんとそそり勃ち、まだまだ子を成せると主張している。
 こんな事は無かった。
 異常事態に異常事態が重なり、何も理解が追いつかないが、それを理解させるよりも先にアネスタがそのままこちらに背を向け、ペニスに自らの腹を擦りつけている。
 アネスタは三匹の中で一番体が小さい。
 その上今までずっと我慢していたのかと思えるほど乱れていた。
 だからこそ怪我をしないか心配で仕方が無かったが、そんな自分の心配を余所にアネスタはすぐさま腰を浮かせて大きく膨れた陰唇をペニスに押し当てて拡げ、そしてそのままズブズブと飲み込んでゆく。
 意外や意外、心配したのが馬鹿らしくなるほどあっという間にアネスタの中に自らのペニスが吸い込まれてゆき、根元まであっという間に収めてしまった。
 ケリーダよりも余裕そうでびっくりしたが、似た体型のポケモン同士でもその膣内の感覚は全くの別物だ。
 アネスタの膣内は呼吸の度に鮮明な刺激が訪れる。
 格闘タイプということも相まってか、鍛え上げられた筋肉の収縮によってペニスがぐりぐりと強制的に転がされる感覚は他の誰とも違った。
 そしてグチュグチュと音を立ててピストンをし始めたが、これもまた違う。
 締め付けられる感覚からして間違いなく半分ほどはアネスタの膣内からは出ているはずなのだが、発情して大きく膨らんだ陰唇が伸びてぴったりとくっついているのだ。
 ふわふわとした肉のまとわりつく感覚と力強い膣内の収縮のコンビネーションは凄まじい破壊力がある。
 そして一番大きいのは少しでも自分の快感が大きかったポイントがあると波動で感じ取っているのか、それとも感覚で認識しているのかは分からないが、あっという間にその部分を責め立て始める。
 既に三度も射精した後と思えないほど明確な刺激を重点的に与えられ続け、あっという間に射精感を高められてしまう。
 最早痛みに近い快感だが、時折こちらへ向けられるアネスタの妖艶な瞳から彼女の必死さを思い知らされる。
 口にしていなかっただけでずっとこうしたいと思っていたのかもしれない。
 だがこれは忌避されるべき行為だったからこそ、ずっとこの機会が訪れるのを待っていた。
 漸く訪れたチャンスを逃す手は無いと言わんばかりに、必死に腰を動かして、そしてしっかりと咥え込む。
 アネスタにとってもこれは紛う事無き愛情なのだ。
 種も、これまでの関係も、それら全てを取っ払ってしまえるほどこの瞬間はアネスタにとってとても大切な時間なのだ。
 だがどんな時間にも終わりは訪れる。
 もう三度も精液を放ったペニスは非常に敏感になっており、そんな鮮明な刺激を与えてくるアネスタの腰使いを長時間耐えることは不可能だった。
 パチュンパチュンと軽妙な音を立てるアネスタの腰が自分のペニスがビクンと大きく跳ねると同時にビタリと一番奥で動きを止め、放たれる精液をしっかりと受け止めていった。
 もう四度目の射精にも拘らず、精液の勢いは収まることを知らない。
 大きく脈動しては次々に精液を解き放ってゆき、アネスタの膣内にも収まりきらないと言うようにブビュリと音を立てて溢れてゆく。
 そうして脈動が少しずつ弱まってゆくと……アネスタはおもむろにまた腰を動かし始めた。

「ま、待って!! ……今は……っ!!」

 いつもならば必ず言う事を聞いてくれるが、今日は全くもって聞く耳を持たない。
 弱まっていた射精感が今一度高まり、弱くなっていた脈動が破裂しそうなほど高鳴った心臓に合わせるように高まってゆく。
 そして腰をうねらせ、筋肉を使って巧みに精液を搾り取る。
 心配すべきは自分の体力の方だったと言わんばかりに貪欲に絞り出す。
 流石にこのままでは体が持たないと思い、呼吸を合わせてから上体を起こしてアネスタの身体に抱きついた。

「も、もう……止めてもらわないと……」
「ガ、グゥゥ……クゥゥン……」

 止めたはずなのにも拘らず、アネスタの膣内は先程までとは違いぎゅうぎゅうと締まる。
 それもその筈、アネスタのお腹は自分のペニスの形に膨らんでいるのが分かるほどくっきりと収まっている場所が分かった。
 一番奥に押し付けられているような状況であるため、先程までと違いアネスタも絶頂を迎えていたのだ。
 だが彼女が背を向けていたのは恐らくこうなっても刺が刺さってしまわないようにするためだったのだろう。
 そのためそのまま脈動が収まるまで静かに呼吸を整えて、そしてそっと開放した。
 足元には愛液と精液の混合液の水溜りができるほど溢れ出しており、これが到底自分やポケモン達から生成されたとは思えない。
 しかしそれでも自分のペニスは収まることを知らない。
 それは三匹の方も同じだったらしく、また次は自分の番だと言うようにファボールがゆっくりと自分の方へ顔を近づけてきた。



   ◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇     ◇



 結局、翌日の夕方近くに目が覚めただろうか。
 途中からは殆ど覚えておらず、全身の筋肉痛に苛まれつつも凄惨な現場の掃除をする頃には三匹の様子も元に戻っていた。
 掃除に関しても三匹とも積極的に行っており、少々気恥ずかしそうにはしていたが、それでもまた興奮して襲いかかるような素振りはない。
 それで余りにも気になり、夕食を食べながら件の秘伝スパイスの効能を調べてみたのだが、なんでもオカルト雑誌にしかその詳細は載っていないらしく、試してみたというブログの内容でもビンビンになって眠れなかったと書いてあった。
 どうも適量を守れば心身を回復する上にどんな食べ物とも合う万能スパイスらしいが、ちょっとでも過剰に摂取したり、他の種類の秘伝スパイスと混ぜて食べるとたちまちに有り余った回復効果が過剰すぎる精力剤のような影響を及ぼしてしまうようだ。

「……用法用量は適切に。ってことか……」

 とはいえ、雌雄の関係になりたかったのはファボールは置いておくとしても、アネスタもケリーダも本心だったらしく、改めてこれから先どうしたいか訊ねると少しだけ期待を込めるように尻尾を揺らしながら首を縦に振っていたのは少しだけ衝撃的だった。
 そのまま色々と大波乱のあった日々は過ぎ、三匹との秘密の関係は続いていったのだが……。
 いつの間にかテントの隅に身に覚えのない卵が三つ置かれていてパニックになるのは、それから随分と先の話になるとか、ならないとか……。


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Last-modified: 2023-01-23 (月) 05:22:53
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