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1人と7匹の物語・番外超短編作品1

/1人と7匹の物語・番外超短編作品1

<この話の登場人物>
トウイン(1073~1147)・セイリュウ国ショカツ朝(987~1425)期の宰相
シュゼン・カンネイ父子の先祖。公明正大で名宰相とされる
知力94 武術77 教養93 魅力91
 
<登場ポケモン>
エルレイド(24)・前首相シュゼンの第2秘書・性別 牡
体力79 攻撃82 防御75 知力91 教養88


※それ以外に関しては、「登場人物と場面設定をご覧ください」(作者・呂蒙)
 

 カンネイが家に帰ると、1匹のポケモンと数人の使用人が出迎える。
「お帰りなさいませ」
「あ、エルレイド。父さんは?」
「当分は、別邸の方にいるとの事です」
「うん、そう。わかった」
 部屋に入ると、カバンを置いて、テレビをつける。丁度、ニュースの時間だった。近頃は、物騒な事件を報じるニュースが多い。
 別のチャンネルでは、コントがやっていた。訳のわからない芸人のギャグを見て笑う。が、どうしたことだろう。この虚無感は・・・。10畳ほどの広さに自分一人。大笑いしても、時間の経過と共に
薄れ消されてしまう。残るのは、この虚無感だけ・・・。
 食事ができたというので、1階の食堂に行く。しかし、家族は一人もおらず、いるのは使用人だけ。カンネイは、母親の顔を知らない。カンネイの生後間もなく病死してしまったからだ。父親も特殊な仕事をしているので、一緒に過ごすということも少なかった。それ故、寂しさを紛らわすためによく友達と遊ぶのだが、使用人からは、
「カンネイ様、あなたは、宰相トウイン公の末裔なのです。国家の未来を背負うため・・・」
「わかりました・・・」
 相手が、使用人なので反抗する気にもならない。ああ、リクソン家が羨ましい・・・。
 数日後、ちょっとした事件が起きた。
 それは、雨の日の出来事であった。傘を差して大学から帰ってくると、家の前に何かが落ちていた、というより倒れていた。
「こ、こいつって・・・」
 黄色い体毛を持ち、首の周りは白い毛で覆われていた。キズだらけだったので、とりあえず手当てしてやらないと・・・。
「えーと、マキロン、マキロン(消毒薬)・・・。あった。後はガーゼと包帯」
 とりあえず、手当ては、終わった。そして、カンネイは、リクソンに電話をかけた。
「あ、リクソン?ちょっと聞きたいことがあるんだけど・・・」
「え?何?」
「サンダース、家にいる?」
「いるよ」
「ホント?」
「ああ」
「あ、そう。それを聞きたかったんだ」
「??」
 電話を切った。
「うーん・・・」
「あ、気づいたか」
「え?ここどこ?」
「オレの家」
 サンダースは巻かれている包帯を見て、
「助けてくれた、の?」
「まぁ、そういうことになるかな?」
「あなたは、いい人間みたいね・・・」
「???」
 カンネイは後日その言葉の意味を知ることになった。
「ところでさ、性別って、牝?」
「そうだけど?」
「あ、そう。(やっぱ、あいつとは別人か・・・)」
「ところで、あなた・・・」
 あ、名前ね。
「申し遅れた。オレは、カンネイ。トウイン公の25代後胤にして・・・」
「??? ずいぶん長い名前ね」
「あ、いや。カンネイでいいよ」
 全く、使用人どもが変なことを吹き込むから覚えてしまったぞ。
「ね、カンネイおなかすいた・・・」
「何かとってくるか」
 厨房の冷蔵庫へと行った。中を探すと、フランクフルト=ソーセージがあった。これでいっか。
 部屋にも小さい冷蔵庫があるのだが、あそこには・・・と、サンダースの悲鳴に近い声が・・・。
「あ、やっぱり」
 部屋の冷蔵庫には、「デンマーク=ブルーチーズ」をいれておいたのだ・・・。酒のツマミに買っておいたのだが、臭いが強烈なので、鼻の利く種族にとっては、激烈な悪臭になってしまう。
「はい、ご飯」
「ありがとう」
 ソーセージを食べ終わると、サンダースはこんな事を聞いてきた。
「ねぇ、兄弟とかっているの?」
「いや、オレが生まれてすぐに母が病死して、父も再婚してないからいるはずがない」
「あ・・・悪いこと聞いちゃったわね・・・。実は、私には妹がいるの。でも、生き別れになっちゃって」
「そうか・・・大変だな・・・」
 他にも、事情がありそうだったが、カンネイはあえて何も言わなかった。



               1人と7匹の物語・番外超短編作品1・完結
 



 


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Last-modified: 2009-12-01 (火) 00:00:00
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