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1人と7匹の物語 ・ 第2話 ・ 前途

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第2話・前途
<新たな登場人物>
バショク(19)・バリョウの弟、頭は良いが、「大雑把だから、外科には向いていない」と父から
言われている。
知力90 武術70 教養72 魅力75

コヨウ(55)・バリョウの恩師、ラクヨウ国立大学医学部教授
知力97 武術34 教養86 魅力91
 
 長かった大学の春休みも、そろそろ終わろうとしていた。と、そんな時事件が起こった。
 バリョウは、自宅のリビングで一人本を読んでいた。医学部なので、日頃忙しく、何もない休みというのは、貴重なものだった。
「兄さん、大学から電話」
 と、バショクの声。しかし、大学のほうから個人に電話することはまずない。いったいどうしたというのだ。
「わかりました。では、すぐに参ります」
 バリョウは、すぐに家を出た。そして、駅へ。が、運の悪いことに電車は事故とかで、止まっていた。
「こうなれば、あの手を使うか・・・」
 バリョウは、ボールからウィンディを出した。
「すぐに、大学に向かってくれ」
「え、電車は?」
「よく見ろ」
「あ・・・。よし、全速力でとばすぜっ」
 そういうと、流星のごとく突っ走り、10分で大学に着いた。
 大学の正門前には、警察やら、マスコミでごった返していた。そのため、そう簡単に中には入れそうもなかった。
「裏門に回るか・・・」
「そいつは面倒だな」
「えっ!?、よせ!」
 ウィンディは持ち前の脚力で、マスコミや正門の頭上を飛び越えた。
「ふっ。我ながら見事な大ジャンプだった」
「・・・」
 バリョウは別に咎めなかった。というより、いちいち反応するのが面倒なだけだったのだが。
 構内では、コヨウ教授が待っていた。聞くところによると、昨夜、大学に泥棒が入ったらしく、その標的となったのが、コヨウの研究室だったのである。盗まれたのは、コヨウの論文と、何故かバリョウが提出したレポートだった。
「実はね、ここの大学の電話ほとんどに盗聴器が仕掛けられていてね。それで、直に君を呼び出したのさ。携帯は、電波を拾われる可能性があるからね」
 しばらく、二人は話していたが、この用意周到、かつ奇妙な物取りのなぞは深まるばかりだった。
 バリョウは、大学を出て、途中、リクソンの家に寄った。が、リクソンも似たようなことが大学で起きたといっていた。リクソンは文学部。医学とはちっとも関係のない分野だ。ますますなぞは深まるばかり。バリョウは、もやもやしたものを抱えながら家へと帰った。

 しばらく後、リクソンは7匹を引きつれ、バリョウの家に行った。この間のお礼も兼ねて、というわけだ。
「えっ、いいよお礼なんて、消毒して包帯巻いただけだし・・・」
 と、バリョウは遠慮していたが、
「じゃあ、好意を無にするのも悪いから」
 と、リクソンの言葉に甘えることにした。
 レストラン「カンコウ」で、バリョウ、バショク、リクソンの3人で食事をした後に、帰路についた。
 その時、バショクが
「後をつけられているぞ」
 と言った。が、同様のことは、エーフィも感じているらしく、さらにブラッキーが、
「怪しいやつがいるのは、後ろだけじゃない・・・。・・・そこかっ!!!」
「シャドーボール」を放った。
「誰っ!?出てきなさい!」
 シャワーズが近づこうとすると、向こう側も攻撃をしてきた。シャワーズは素早い動きで避けたので、攻撃は当たらなかったが、近くの電柱にそれが命中し、根元から倒れてしまった。何て破壊力だ。
 その攻撃の主が姿を現した。この前のヤツではなかったが、仲間だとみて間違いはなさそうだった。
「グフフ、よくよけたな。おまえらを消すのがオレの仕事だ。野郎ども、やっちまえっ」
 ニドキングがそう命令すると、リクソンたちの背後から何だか、ガラの悪そうな、それでいて弱そうなのが出てきた。とにかく数は多いが、それだけで勝ったつもりなのだろうか。リクソンたちは言う。
「何か・・・」
「頭悪そう・・・」
「IQ5だな」
 人間に侮辱された「ザコ集団」は、リクソンたちめがけ突進してきたが・・・リクソンたちがかわしたので、何匹かは塀に激突して気絶した。まぁ、倒すのは簡単だが、一気に殲滅しないとさっきの電柱同様「犠牲者」がでてしまう。
「リクソンっ、ここは私に」
 1対15なので、数で見れば、グレイシアが不利なのだが・・・、何も知らないザコ共は、一斉にグレイシアに襲い掛かっていったが、やはりそれは、無謀というものだった。
「極寒の世界、味わせてあげるっ!」
 急に気温が下がったかと思うと、強烈な冷気がザコ共を殲滅し、氷づけにした。今のは、どうやら
「ふぶき」らしい。
 リクソンたちは、この芸当に拍手を送っていた。グレイシアは、少し顔を赤くして、
「全然、大したことじゃないわ」
 と、謙遜して言った。
「ちっ、ならば貴様らだけでも・・・」
 が、シャワーズの「ハイドロポンプ」の直撃で、10メートルも後ろに飛ばされてしまった。
「ぐぅぅ、くそっ、覚えてろ」
「あっ、逃げる気だぞ」
 バリョウが声を上げると、
「そうはいかないっ」
 と、エーフィが持ち前の超能力で、ニドキングの動きをとめ、体を宙に持ち上げた。
「畜生、下ろせッ」
「うん、わかった」
 5メートルほどの高さまでいったときにエーフィは超能力を解いた。
「ゲッ・・・」
 気づいたときにはもう遅い。そのまま、地面に落下して、今度こそ本当に瀕死になってしまった。
「じゃあ、帰ろうか。あれ、バショク君はどこへ行った」
 すると、バショクは30前後で上下黒にサングラスという格好をした男を引きずってきた。
「誰?」
「こいつ、どうやら、さっきの連中の、いわば司令官みたいなヤツだよ。物陰から成り行きをみていたらしく、ニドキングがシャワーズにやられると逃げようとしたんで、とっ捕まえたという訳」
 人間がポケモンに命令して誰かに危害を加えようとしたのなら、その者は罰せられる(教唆罪)。
とりあえず、バショクの捕まえた男を警察に突き出して、家に帰った。
「ふぅ。しかし、今日のみんなの戦いぶりはすごかったな。いつの間にあんなに強くなったのか」
「ところで、リクソン。あいつら、何者なんだ?」
「さぁ、でもなんかこれ、相当大きな事件になりそうな気がするな・・・」
「え、何で?」
「・・・いや、そんな気がするだけだ。」
「・・・でも、そうだとしら、ヤバイんじゃない?」
「ああ・・・」
 重い空気が立ち込めた。
「でも、みんなが無事で良かったです」
 リーフィアがそう言うと、
「そうだな」
 と、リクソンは言って、リーフィアの頭をなでてやった。リーフィアは嬉しそうに尻尾を振り、
「リクソンさん。だーいすき」
 と、胸元に飛び込んだ
「あっ、リーちゃん、ずるいっ」
 シャワーズが飛びついてきた。
「や、やめてくれ・・・。ちょっと重い・・・」
 まぁ、悪い気分ではないけどな。
 また、いつものにぎやかな家に戻った。

   「第2話 ・ 前途」 終わり
                                    続く 


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Last-modified: 2009-12-01 (火) 00:00:00
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