writter is 双牙連刃
イエイ、やっちまったぁ! PC使わず(リアル)メモ帳にだらだら書いてた奴が完成を迎えちまったい!
折角なんでこっちに投下。こんなのばっかり書いてる駄目野郎です。
官能は入ります。三回くらいの更新で全部載せてしまいたいですねー。
ではでは、スタートですよー。
私には、好きな景色が二つあります。
一つは、お気に入りの日向ぼっこが出来る草原に寝転がりながら見る青空。
もう一つは、その青空をふっと陰らせて、私の前に現れる彼女の笑顔……。
流れる白を目で追いながら、吹き渡る風をその身に感じる。私にとっては、この上なく幸せな時間です。
本来私の種族は穴蔵の中で過ごす者が殆どで、こんな事をしている私は『お前は変わり者だ』とよく言われます。気にした事はありませんがね。
名声よりも、この心地良さのほうが私を遥かに満たしてくれますから。
丁度良く体も温まってきた事ですし、少し眠りましょうか。雲行きも、雨は降らなさそうですし。
……と、思ったのですがどうもそうはいかないようです。足音を消そうとはしているようですが、踏み締める事となる草の音までは誤魔化しようがないでしょう。
「そ〜っ、れ!」
「ふぐぅっ」
いつもの事なのでお腹に力を入れてたのですが、やはり声を漏らさずに耐える事は出来ませんでしたか。
目を開けるとそこには、悪戯っぽく笑う彼女がそこにいます。私に馬乗りになった状態で。
「……毎度言いますけど、恥ずかしくないんですか?」
「毎回聞くけど、なんで顔色一つ変えないの? 牝としてちょっと傷付くなぁ」
馬乗り=開脚した状態で私に乗っているという事。私以外の牡ならば、湧き上がる衝動もあるかもしれませんね。
私もありましたよ確かに。……毎度毎度同じ体勢を取られるので免疫が出来てしまいましたがね。
「牝としての自覚があるならば、少しは自重しなさい」
「こんな格好見せるのはサンドパンにだけだよー。これでも私、大人しくてお淑やかで通ってるんだから」
「何処がですかまったく」
私のお腹をポフポフと叩きながら笑っているのが大人しいと言うのなら、世の大半の者は引っ込み思案と呼ばれるレベルですよ。
存分に軟らかさを堪能したからか、彼女も私の隣にコロンと横になりました。
「ん〜、気持ちいいね〜」
「やれやれ……こんな所に居ないで、他の友達と遊んでた方が有意義なんじゃないですか?」
「いいの。あたしはここに居たいから居るんだから。それに……」
「それに?」
「……やっぱりいいや」
「なんですかそれは?」
「気にしなくていいのー」
相変わらずのマイペースですね。まぁ、彼女らしいと言えばそうなんですが。
「そうだ! あたしね、オボンの実が生ってるところ見つけたんだ! 食べに行かない?」
「オボンの実ですか……また珍しい実を見つけましたね」
「でしょー! ほら行こっ、サンドパン」
「こ、こらっ、私は行くなんて一言もいってないって、引っ張らないでライチュウ!」
こうしていつも、私は彼女に振り回される。でもそれが嫌だった事は一度もありません。
変わり者と呼ばれ続ける私を、からかってくる事も無く付き合い続けてくれるのは、彼女だけですからね。
私達が知り合ったのは、私がサンドで彼女がまだピカチュウだった時の頃です。
その頃から私は、穴の中で道を掘り進めるよりも地上を散歩する事の方が好きでした。
同年代の子を何度と無く誘って一緒に外へ出ようとした事もありましたが、他の子は皆すべからく、親が穴を掘った後に見つかる鉱石等を集めるのに夢中で、誰も地上に興味を示す者はいませんでした。
『地上に出るのは大人になってから』、私の居た群れではそう定められていました。
子供の非力なときに地上に出るのは危険だし、食料を得る以外の目的も無いからというのが理由です。……私はそうは思いませんでしたがね。
穴の出口から少しだけ覗ける青……私はそれに強く惹かれ、抜け出す事を選んでいました。
……今はもう群れを離れ、独自で掘った穴をねぐらにしているのでとやかく言われなくなりましたが、親と一緒に暮らしていた時は、抜け出す度に叱られたものですよ。
そんな散歩をしている最中でした。切り株に座って俯いてる彼女を見つけたのは。
「どうしたの?」
「……お友達が、誰も来ないの」
先に声を掛けたのは私のほうでした。
彼女は寂しそうにポツリと答え、耳や尻尾も元気が無くなっていくのが見てとれましたね。
「なら、僕と遊ぼうよ!」
「え? 遊んで、くれるの?」
「うん!」
思い返せば、小さい頃のほうが私は行動派だったと自分でも思います。決まりを破ってみたり、知らないポケモンと遊んでみたり、今の私ならやりません。……多分。
因みに後日談ですが、この日彼女の友達は皆偶然来れなくなっただけで、彼女が爪弾きにされてた訳ではありませんでした。彼女に必死に謝っているポケモン達を私も見てるので確かです。
その日は本当に楽しかった。今まで一匹だけで歩き回る以外の事を外でした事がなかったので、暗くなる直前まで彼女と遊んでいました。……帰ってからこっぴどく怒られましたけど。
その日を境に、私の散歩は彼女と遊ぶ為の外出に変わったのは言わずもがなでしょう。
「……あー、美味しかった! あれ? サンドパンまだ食べてなかったの?」
……昔に思いを馳せてたら、どうやら彼女はオボンの実を平らげ終わったようです。いやはや、ぼ〜っとし過ぎました。
「今から食べますよ」
「もー、牝の子を待たせるなんてしちゃいけないんだよー?」
「食事くらいゆっくりさせて下さいよ……」
私の性格が冷静になったように、彼女の性格も変わりました。主に、明るさにプラス補正がされて。
咀嚼を繰り返して、オボンの実は見事に芯だけになりました。軽く穴を掘って、土の中に埋めておきましょ。
「お待たせしました」
「よろしい。ねぇ、今から何しよっか」
そうですねぇ。食べる物は食べたし、群れに居る訳でもないのでする事はありません。……日向ぼっこくらいですかね?
「どーせ日向ぼっこしか思いついてないんでしょー」
「うぐっ、ち、違いますよ!」
「ホントー?」
見透かされている……だ、だってねぐらを拡げる必要は無いですし、それなりの年になって遊びまわるのもどうかと思いますしねぇ。
そんなに覗き込まないで、近い、近いってば。
「ふふっ、ドキドキした?」
「いや、えっと、し、してません」
「えー? 本当かなぁ?」
うっ、ちょっ、ちょっと近付いたらぶつかるんですけど。密着し過ぎですってば。
「……あたしは、ドキドキしてるよ」
「え? ……」
間近にある彼女の顔は赤みが差して、いつもとは違う雰囲気を出しています。
それにつられて自分の顔にも熱っぽさを感じられましたので、恐らく私も赤くなっているのでしょう。
「ラ、ライチュウ?」
「動かないでね」
声が聞こえたと思ったら、私は温かさに包まれていました。ライチュウが、私を抱く事によって。
今回はここまで! 次の更新は近い内に……します! 言わないとずるずるモードに入るから!
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