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黄道十三星夜話

/黄道十三星夜話

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ご参加ありがとうございました。


作者:ユキザサ


序文 

 
 これは空に輝く星々のお話。その星々に紐づけられたとあるポケモン達が織りなす物語である。


射手のお話 




フードの紐を絞ってスコープ代わりにしてもう一度矢羽根を引く。
「射るっ!」
 少し離れたところに用意している的。そのど真ん中にボクの放った矢羽根が突き刺さる。
「流石ね。ジュナイパー」
「うわっ!って何だお前か」
 集中していたからか周りが見えてなく、僕は突然の来訪者に驚き声のする方向へ振り向く。そこにはクスクスと笑っている見知った顔があって、僕はひどく脱力した。
「また何の用だよ」
「ちょっとね」
 同じ時期に代替わりの相手に選ばれた同郷の友人であるアシレーヌが星の様な黄色い髪を靡かせながらボクの隣に座った。
「いやぁ、そろそろ私もここから出ていかないといけないから最後に色々話しとこうと思って」
 ここに居るポケモン達はいつまでもここに居れるわけじゃない。よりその星に近いポケモンが現れたら代替わりしなければいけない。そうすると先代は星の代理ではなくただのポケモンに戻る。目の前のこいつももう少しでただのアシレーヌに戻る。笑うこいつを見て少し辛くなる。その笑顔が少しの哀愁を含んでいたから。だからとんでもない事を口走ってた。
「もしド真ん中を射れたら。また会いに来てくれ」
「えっ……?」
 アシレーヌが何か言う前に僕は矢を構えて的を見る。
「当たれっ!」
 本当に自分らしくないこんな熱くなって。でも……絶対に外せないそう思ってボクは矢を放った。
 放たれた矢羽根は一直線に的の真ん中を貫いた。
「正直貴方からそんな事言われるなんて思ってもなかったわ」
 そう言うとこいつは僕の頬に口付けをした。顔が熱くなる。
「なっ、なっ、なっ!」
「大丈夫!貴方が的を外しても私来るつもりだったし」
 固まってる俺を見ながらこいつはいつもの笑顔に戻って……
「恋する乙女の行動力舐めないでよね!」
 そう彼女は笑顔で言い放った。



蠍のお話 




 我は武者。名にも武者という名前が含まれておる。
「暇だ……」
 だが、いかんせんこの星の大地は平和すぎる。我としては心躍るような戦いがしたいわけだが、やはりここではそんな事が出来る訳がなく、ただ毎日毎日自分の身体を鍛えるだけである。
「あの……」
「むっ!」
 突然の来訪者。まさか敵襲かと僅かに心を躍らせながら振り返るとそこには見慣れぬ者が居た。桃と水色の体色どこか西洋の魔女というものを感じさせるような出で立ち。敵意は感じない。
「初めまして。まだお会いしたことが無かったと思いましてごあいさつに伺いました。お……いえ、アシレーヌ様からお噂はかねがね。ブリムオンと申します。以後お見知りおきを」
「あ、あぁ。わざわざ出向いて貰ってすまない。我はグソクムシャ今後ともよろしく頼む」
 そういえば、乙女は近々代替わりするとは聞いていたが、元々我は自分の場所から動く事が滅多にないので、どのような者が引き継いだかは知らなかった。
「あっ、ここ怪我してますわ」
「あぁ、鍛錬の最中に引っ掛けでもしたのだろう。時期に治る」
「失礼しますね」
 そう言うと彼女は帽子から伸びている手の様な部分で我の怪我に触れた。その瞬間温かな感覚に包まれたちまち怪我が治癒した。
「鍛えるのもよろしいですが。怪我にはお気を付けくださいね。それではまた」
 そう言うと彼女は去っていった。なんだあれは……!
 立ち振る舞い、星夜に輝きながら靡く髪も全てが優雅。彼女が自分にない物をすべて持っているかのように感じた。
「う、美しい……!」
 これを巷でよく言う恋というものなのだろうか。



天秤のお話 [#7T3YIQ5] 




 とある時、私の元に一匹のポケモンが訪ねてきた。自身を天才と名乗るそのものは曰く地上のモノでありながらこの星の大地を誰よりも知っている者だと。ならばと思い私はその者に尋ねた。どうして私がこの星に選ばれたのか。
「そうだなぁ。これはボクの憶測だけど、地上では君の種族は王になれる人間を選定するポケモンとか言われてるんだよね」
「何だ真実は分からないのか」
「天才でも分からない事はあるよ。特に君たちの事は毎日調べても追いつかない位だ」
 そう言うとその者は軽く欠伸をしながらクルリと身を翻した。
「ボクだって寝惚けて気づいたらここに居たからね。天文学者として答えを見に来るってことは基本したくないからもう地上に戻るよ」
「でもこれだけは言える。君が選ばれたのには何かしらの意味がある。それはボクじゃなくて君が気づかなきゃいけない事だと思うよ」
「ふふっ、確かに答えを聞いてしまうのはつまらないかもしれないな。礼をいう天才天文学者」
「あー馬鹿にしてるでしょ!まぁ良いや。じゃあボクは地上に戻るよ。また縁があれば」
 そうしてその者はスーッと地上に落ちていった。まるで流れ星のように。そういえば名前を聞き忘れていた。いや、今度巡り合えた時また尋ねればいいか。盾の内側から覗いた星の海に私は笑みを溢した。



乙女のお話 




「じゃあこれからよろしくね。ブリムオンちゃん!」
 そうお姉さまは言って私の肩を叩く。いや実際は髪だけど。
「正直自信が無いです。私先輩みたいにお淑やかじゃないし。すぐ手が出るし」
 最後の方は少し声を小さめにして言った。でも事実だ。全ての行動が乙女らしいお姉さまに比べてしまったら私は乙女だとは言えない。ある程度隠せてもどうせすぐにボロが出てしまう。
「ふふっ」
「わ、笑わないでくださいよ!」
「いや、ごめんなさい。私も代替わりしたときは貴方と同じ気持ちだったからつい。そうね、じゃあ昔話をしましょっか」
 お姉さまは優しく笑いながらとんでもない昔話を喋り始めた。
「これは私と先輩しか知らない話なんだけどね」
「それ、私なんかが教えてもらって良いんですか?」
 お姉さまは平気と一言言うと話を続けた。お姉さまの先輩。サーナイトさんの話を。確かに乙女と呼ばれるにふさわしいポケモンだ。文句のつけようもない。でもその後が問題だった。
「先輩雄だったの」
「は?」
 私のその反応を見てお姉さまは大きな声で笑い始めた。
「私も代替わりの時は貴方と同じで自信なかったの。その時にこっそり先輩が教えてくれたの」
 まぁ、手違いでなっちゃったらしいけどねと言うとお姉さまは私の頬に鰭を添えて話を続けた。
「その時に先輩が言ってくれてね、別に乙女にふさわしいとか関係ない、自分らしくいればそれでいいって。だから貴方も貴方らしくいればいい。変に気負わないでね」
「分かりました」
「不安なことがあったらいつでも呼んで相談に乗るから」
 そう言うとお姉さまは笑顔のまま鰭を振って別れを告げた。そんな優しい本当のお姉さまみたいだった先輩を私は心から尊敬した。



獅子のお話 




 久しぶりに新顔が来た。それもまだまだ幼い子供たちが五匹も。僕も最古参ではないが橙と黒縞の立派な毛皮も所々白毛が含まれるくらいには結構な齢にはなってしまった。
「そろそろ僕も一区切りかもしれないな」
「そうなの?」
 ビックリした。聞きなれない声その方向を振り向くと幻がいた。
「まさか天からの使いか?」
「いやいや、そもそもここ空でしょ」
 そうクスクスと笑うと願い星はひらひらと私に近づいて来た。
「いやぁ、ボクの見立てだと君はまだまだ平気だと思うけど」
「何を根拠に……」
 ウインクをしながら僕の眉間に小さな手を突いた。
「ボクこれでも天文学者で天才なの。だから星の寿命とかある程度分かるんだ」
 子供の様にくるくると私の周りを揺蕩いながら……
「要は気の持ちよう。君はまだまだ頑張れるよ。ボクが保証する」
 そう言ってどこかに消えてしまった。
「気の持ちよう……か」
 確かに最近は少しネガティブになり過ぎていたかもしれない。
「おじさーん!」
「今日も面白いお話聴かせてー!」
 入れ替わりのように今度は新しい星の子供達が現れた。そうだな、まだいなくなるには少し早いな。
「うん、良いよ。じゃあ皆ここに座って」
 よっこいしょと声を出しながら子供たちが座りやすいように横腹を僅かに曲げて伏せる。キラキラとした目をする。子供達を見て僕も昔の自分の事を思い出す。
「それじゃあ今日の話は昔話をしようか。君たちが来る前のこの星の大地の話と……」
 大きく星の大地の空気を吸う
「悪戯好きの流れ星の話をしようか」



蟹のお話 [#1UYEbXB] 




「何してるの?」
「ん?」
 夜空に鋏をかざしていると、突然横に見新しい顔を見た。愛らしい小さな羊が一匹興味津々と言った顔で私の顔を覗き込んでいた。
「これかい?これはね星の力を整えているんだよ」
 そう言いながら私は両の鋏を夜空に輝く星々を切るように動かす。
「ととのえる?」
「星々はね放っておくとね勝手に結ばれてしまうんだよ。だから私がこうやって時々整えているんだ」
「せっかくくっついたのに離しちゃうの?」
 少し寂しそうな眼をして幼羊は私を見上げる。至極当然の疑問だ。彼が言う通り折角くっついたものを切り離してしまうのは少し切ない。整えている私も毎回少しはもの悲しい気持ちにはなる。
「君はここに居るポケモン達に役割があることをエルフーンから教えてもらったかい?」
「ううん」
「そうか。帰ったらエルフーンに教えてもらいなさい。まだ難しいかもしれないけどいずれ分かるから」
 付き合いが長いからエルフーンの事はある程度理解をしているがめんどくさがりの彼の事だ、教えるのを面倒くさがっているか、はたまたこの幼羊が成長してから教えるつもりなのか。
「じゃあ、一つだけ質問しようか。君が友達と一緒に居て木の実が一つしかない。君も友達もとてもお腹が空いている。そんな時君はどうする?」
「きのみをはんぶんこする!」
 屈託のない笑顔で彼は間髪入れずにそう答えた。自然と優しい笑みがこぼれる。
「その気持ちを忘れないでいてくれれば、いつか私の役割の意味が分かるかもしれないね」



双子のお話 [#8kBC1eO] 




双子ん弟がおる。
双子ん兄がおる。

 前ん奴らは双子じゃなかっっとかいうて本物ん双子ん俺達んことえろう気に入っとった。
 まぁ、実際の所そげなこと俺達には関係なか、任しぇられた仕事ば二人でこなすだけや。星の力ば増やすとかいう俺達にしかできんことらしい。丁度良う前任も電気ば使う奴やったけん俺達にとっては丁度良かった。ばってん、問題が一つ。
「兄しゃん腹減った。あっやっぱ平気」
「お前俺だって腹減ったっちゃん、いやそうでもなかかも」
「「本当に君たちは面白いねぇ」」
 種族柄くるくると模様が変わる俺達ば赤耳と青耳がケラケラと笑いよーことや。
 ばってん仕事が終わった後は食べ物ばくるーけん文句は言えん。



牡牛のお話 




 昔はこの大地をこの自慢の足で縦横無尽に駆け巡っていたものだ。だが、今となっては年のせいか以前のように長い間走ることが出来なくなってしまった。
「そろそろ私も代替わりの時期に来たのかもしれないな」
 いつかパッとその相手が現れると考えてはいたが気付くとこんなに長い時が過ぎていた。背中に乗っている乙女の後継をちらりと見ながらため息を吐く。
「おじさんどうしたの?」
「何でもないよ」
「疲れちゃった?」
「そうかもしれないね」
 そう言うと乙女の後継はぴょんと私の背中から飛び降りて、隠れた目を見なくても分かるくらいの屈託のない笑顔を浮かべて言葉を続けた。
「じゃあアタシがお歌を歌ってあげる!最近お姉ちゃんから教えて貰ってるの!」
 そう言ってこちらの答えを聞く前に彼女は歌い始めた。そう言えば今の乙女は大層歌が上手いと射手星の若造から聞いていた。ふむ、教える者が上手いのもあるが彼女のまだまだ拙い歌も誰かを想う気持ちがこもっているからか胸のうちにあった不安な気持ちが消えていく。
「どお?」
「上手だな。元気が出たありがとう」
 感想を言うと足に力を籠める。
「歌のお礼だ。しっかり捕まっていろよ」
「わーい」
 またぴょんと背中に乗った彼女が私の角を持ったことを確認すると、星の大地を駆け抜ける。まだまだ私も捨てたもんじゃないと思いながら足に力を込めて大地を蹴っていく。
「はやぁい!」
「そうだろう!」
 翌日から酷い筋肉痛に苛まれたのは言うまでもない。



牡羊のお話 




「んじゃまぁ、後はよろしく」
「最後の最後まで適当ですね先輩は」
「お前が聞き分け良いから助かってるだけだって」
 そう言って先輩は気持ちのいい笑顔でボクに笑いかける。
「お前は俺なんかよりもよっぽど羊だし。最古参だった俺もこれで漸く引退できる」
 少しもの悲しそうにしている先輩を見て、少し不安になる。今回代替わりした所は全員同郷の奴だから友達がいない訳ではない。それでも羊星に居たのは本当に長らく先輩だった。
「じゃあ、先輩から最後のお願いだ」
 くるりと回って先輩は言葉を零した。
「射手星と蠍星のその間を北に少し行った先に俺達の友達になるはずだった奴がいる。そいつの事をよろしく頼んだ」
「頼んだって……先輩が行けばいいじゃないですか」
 至極当然の質問を投げる。別に代替わりしたからってここに来れなくなるわけじゃない。
「新しい奴と友達になった方があいつのためだし。俺はもういいんだよ」
「?」
 何を言っているのか良く分からなかった。でも先輩からの最後の頼みなんて言われたら断れるわけがない。
「分かりました」
「よしそれでこそ俺の後輩だ!まぁちょくちょく来るつもりだから」
「結局来るんですね……」
「俺は綿毛だぞ?風が吹けばどこへでも行ける自由な奴なんだよ。だからお前も自由にやればいい!」
 風に乗りながら先輩は他の星にも届きそうな大声でそう言うとそのまま飛んで行ってしまった。最後まで本当に勝手な先輩だったけどこういうところだけ本当に先輩っぽいからたちが悪い。
「先輩。本当にお疲れさまでした」
 最後にもう一度だけボクは精一杯の敬意を表して夜空にお辞儀をした。



双魚のお話 [#1kEoUtr] 




ある所に美しい魚がいました。
ある所に勇ましい魚がいました。
その二匹は生まれた場所も性格も全く違うのにいつも一緒に居ました。

「どうして君たちは一緒に居るの?」
 広大な星の海を共に泳いでいる私たちを見つけて今まで見た事のない来訪者はそう尋ねてきました。隣を泳ぐ口下手な彼はちらりと私を見ると困ったような顔で、まるで私にどうにかしてくれと言っているようでした。
「初めまして流れ星さん」
「アレ?もしかしてボクの事知ってる?」
「いいえ。さっき上から落ちてくるのを見まして、それがまるで流れ星みたいだったので」
「なるほどね」
「先ほどの質問ですが、答えは単純ですよ」
「なんだい?」
「大好きな相手と一緒に居たいと思うのは至極当然だとは思いませんか?」
 そう答えると隣で泳いでた彼は少し驚いて咳き込んでいましたが。流れ星さんはふむふむと頷きながら。
「素敵な話だね」
 そう笑いました。



水瓶のお話 




「おじ様、いかがですか?」
「うん、とても美味しいよ」
 良かったと私は胸を撫でおろす。お茶を入れる事に関してはこの星の大地で一番うまいという自負はある。それでも実際に感想を聞くまでは不安だった。
 大きな身体のおじ様は獅子と呼ぶにふさわしい威厳を持っていて、かっこいいし。幼いころからよくお世話になったのもあって今なお私がこの星の大地で一番お慕いしている。
「でも、君たちも立派に成長したね。これでここも安心だなぁ」
 いつもの笑顔でそんな事をしみじみと言うものだからつい本音がポットから零れてしまった。
「長生きしてくださいね……?」
 そう言うとおじ様は少し驚いたような顔つきになると大きな前足で頬を掻いた。
「あはは、そういう事言われるとまだまだがんばらないとって思っちゃうね」
 その優しい笑顔を見ると体の内側が沸騰したんじゃないかと思うくらいに熱くなる。せめて、元気でおられる間は私をお側に居させてください。



山羊のお話 




「正直そろそろ後輩が出来てもおかしくないと思う」
 代替わりを済ませた元羊の友人に俺は愚痴をこぼす。
「何を今更。それに後輩なら色んな所に居るだろ」
「そういう後輩じゃなくて俺も世代交代したいって話」
 そもそも羊はちょくちょく出てくるのに山羊は俺ぐらいしかいないときた。先代のメブキジカさんだって、なんで俺?とか言ってた始末だし。
「じゃあ、それっぽい奴と適当に代替わりすればいいだろ。蠍みたいに」
「羊か牛になって被るだろ」
 話に飽きてきたのかフワフワと浮きながらエルフーンは欠伸をした。
「それっぽい奴が現れるかどうかはお上次第な所があるからなぁ」
「次に期待かなぁ」
「まぁそれまではお前が頑張ればいいんだよ。ゴーゴーっとな!」
 どや顔でそう言い放ったエルフーンから顔を背けながら俺はこいつの後釜になった羊がまともであることを願った。



蛇のお話 [#0B0yQKR] 




ある所に独りぼっちの草蛇がいました。草蛇は一匹自分がいる所から壁を挟んで星の大地を見つめていました。そこには十二匹の星の化身達が楽しそうに仲良く暮らしていました。蛇はとても寂しい気持ちになりました。どうして私は独りなの?と心にモヤモヤした物が増えてきたそんな時とある羊が現れました。
「そういえばどうしてここが分かったの?」
 フワフワの白い毛皮に茶色い二本の角。悠久のように長い時間私は独りだった。それなのに最近突然彼がフラっとやってきて私とお話してくれるようになった。でも、本当に彼が来たのは突然。
「先輩がね、君の事教えてくれたんだ。この場所に友達になれたはずだった奴がいるって。ボクはその言葉を信じてここに来ただけ」
「先輩?」
 そういえばずっと前ここに誰かが来た気がする。遠い昔私がまだツタージャだった頃、フワフワと風に浮きながら私に泣かないでと言ってくれた誰か。どうして忘れていたんだろう。でも、その誰かのおかげで今私は独りじゃない。
「じゃあ、その先輩にお礼を言わなきゃね」
「えっ?」
 小さく呟いたその言葉は小さすぎて隣の彼には聞こえなかったらしいけど、もう一度心の中でその誰かにお礼を言う。
「ねぇ、その先輩の話もっと聴かせて?」
 ありがとう。きっと今もどこかで笑っている誰かさんへ。


後書き 



 序文にも書いた通りこれは空に輝く星々のお話。その星々に紐づけられたとあるポケモン達が織りなす物語であり、その一片を十三個ほどかき集めた物です。
この広大な星の大地には数多の星座が輝いていますそれこそ無限のように。実際問題本当にこんなことがおこっているのかどうかは皆さんの判断にお任せします。なにがしかの強い力や想いが星座になって夜空に上ったのだとボクは考えています。豊かな星々がいつまでも見続けられる平和な世界になるようにとボクは今日も夜空の大地に祈ります。
―天文学者 ジラーチ―





「で、これは結局ジラーチの考えたお話なの?実際にここに行った話なの?」
 天文室でこの本。いや手記を見つけた新人二匹がそんな質問をボクに投げかけてきた。世界を救ったって言うのにこの二匹は未だ調査隊としての使命感は人一倍強いらしくてついに星についてまで調べ始めた。
「うーん。どう考える?」
 望遠鏡をのぞきながらボクは二匹に質問を投げ返す。質問に質問で返すのはナンセンスだけど今回は許して欲しい。
「正直ジラーチの事だから本当の可能性も高いと思う。だって何個かお話に出てきたのまんまジラーチだよね?」
「さぁ、どうだろうねぇ」
「あー、またそうやってはぐらかす!」
「じゃあ、ヒント。彼らのお話が少しでも気になったのであればいつでも夜空を見上げてみなよ。輝く十三の星々が見えるはずだから」
 ポカンと首を傾げる二匹を見ながらクスリと笑う。星の大地は広大だ。簡単に答えを教えてはくれない。だからこそ天文っていうのは面白いんだから。

真の後書き 

元々は普通に一個のストーリーだったんや信じてくれ(開幕言い訳スタート)
ですが、逆にこれで良かったかなと思ったところもあったりなかったりしております。投票コメントにもあった通り種族がはっきりしてない等荒削りすぎる点が目立ちますが。投票してくださった方への感謝と一読していただいた方へも感謝いたします。本当にありがとうございました!

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Last-modified: 2020-03-01 (日) 00:26:27
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