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風邪と貰い火と

/風邪と貰い火と

執筆者文書き初心者
獣姦描写があります。ご注意下さい。


本編 


 ああ、怠い。いや寒気がする。じゃなくて何だか身体が熱い。それとも頭がぼうっとしているのか。もうこの際何でもいいよ。とにかく何もしないだけでも辛いんだ。
 午後を過ぎた辺りから前触れも無く突如、僕の身体は崩れ始めた。この突然の異変に自分でも信じられないくらいだ。
 そうなると講義なんて右から左へ筒抜け状態で聴く余裕は無い。ましてや手を動かして話をまとめるなんて以ての外である。あの講義はまさしく死線を彷徨うものだった。
 そして今はおぼつかない足取りでアパートの階段を上っている。塗装が剥げた古めかしい手摺に掴まり、一歩また一歩と苦しいながらも上る。何時もは他愛無い筈の階段が、今の僕には呼吸を乱す程にきつい。額からは汗が滲み出てくる。
 血が滲む思いで上りきると、疲れの所為か身体がふらつく。でも倒れる事は無く、重たい足運びで目前の自宅を目指す。直ぐに入れるよう、上着のポケットから鍵を取り出し掌中に納める。
 遂に自宅のドアの前に辿り着き、鍵で施錠を解除する。最後の力を振り絞り、重い金属のドアを開いた。

「おかえり」
 そう言って出迎えてくれたのは、ご自慢の九本の尻尾をゆさゆさ揺らし、深紅の瞳に黄みがかった体毛のポケモン、キュウコンだった。ふとしたきっかけで、この家で一緒に暮らしている。
「ただいま……」 
 力無く受け答えし、キュウコンを撫でてあげる。いつもはもふもふして気持ちがいいのに今の僕にはちっともそれが感じられない。だから何時もより撫でてやる時間は短めにして、布団に向かって歩いてはその後ばたりと力が抜けたかに倒れこむ。
 ああ、まだ着替えてないや。でも怠いし、このまま堕ちていくのもいいかもな。
 意識が朦朧としているからもう考えるのも嫌だ。思考回路を停止してしまいたい。だから瞼を閉じて、意識は夢の彼方へ、と思った矢先に、
「ちょっと、帰ってきたばかりなのに、寝るってどういう事?」
 キュウコンに起きろと言われるばかりに、前脚で身体を揺さぶられる。しかも少し怒り気味である。さっきあまり撫でなかったからか。
「風邪っぽいからもう今日は寝る。御飯は木の実があるし独りでお願い……」
 もう駄目だ。身体活動に限界だ。このままくたばるしかない。
 そうして、僕の意識は忽然と途切れた。

 口に違和感を感じる。甘いような酸っぱいようなどちらともつかない味がする。且つ液状のものが何かを通して口に流れこむ。
 これは何なのか。そもそも僕はどうなったんだ?
 瞼を開いてみると、そこにはキュウコンの顔が眼に飛び込んできた。
「ああ、気が付いたようね」
 にこりと微笑み、安堵するキュウコン。しかしそれと合わせてほんのりと頬が赤い気もする。僕の風邪が移ったのだろうか?
「駄目だよ……離れてなくちゃ、僕は風邪なんだから……」
「大丈夫、私がちゃんと看病してあげるから、ね?」
 そう言われて、僕は気付いた。俯せで倒れて寝たにも関わらず、仰向けの状態になっている。布団もしっかりと被っているのだ。キュウコンがわざわざしてくれたに違いなかった。
 胸の奥底が温まる感触。
 有難う、僕はそう言って、まだ重みのある手を伸ばし、キュウコンを優しく撫でてやる。ふさふさしていて柔らかい。そのうえ暖い。
 照れくさいのかキュウコンは眼を逸らし為に下へ俯く。でも頬は包み隠せず紅く染まっている。
 でも流石に彼女の許容範囲を越えてしまったのだろうか、九つもある尻尾の内一つが僕の手を避けた。
「ほら、風邪ひいているんだから安静にしないとっ」
 そうだね、と僕は答えて手を布団に入れて被り直す。眼を閉じて再び寝ようとすると、
「ああっ、ちょっと待って」
 キュウコンに言われて眼を開ける僕。対するキュウコンはいつの間にか口に何かを含ませていて、それを噛んでいる。
 その光景を僕は唯唯ぼんやりと眺めていた。だからキュウコンがしてきたことに反発が出来なかったのかも知れない。
 風邪をひいた時と同様に何の前触れも無く、キュウコンは僕の口を奪ったのだ。
 そしてキュウコンは舌を僕の口内へと侵入させては液状の何かを移してくる。それは甘いような酸っぱいようなどちらともつかない味がした。
 口での受け渡しが終わるとキュウコンは潔く口を離す。その口元には果肉が垣間見えた。
 キュウコンは舌で口元を舐めとると、僕に言った。
「やっぱり少しくらいは栄養取らないと」
 その言葉を聞いて、起きた当初の口の違和感が何なのかがはっきりした。キュウコンが木の実を噛んで飲みやすいよう液状にしてくれたのだと。
「有難う、もう大丈夫だから」
「いや、まだだよ。ちょっとお邪魔するね」
 そう告げると、キュウコンは僕の布団へと入り身体を寄せて密着させてくる。そして前脚を僕を抱くかの如く絡ませてくる。
「寒気がするんだったら、私が温めてあげる。余分な熱は私が貰ってあげるから、いつでも言ってね?」
 キュウコンは種族上炎タイプだし、特性に至っては貰い火だ。だから熱を受け取るのも貰うのも両方可能だ。だから風邪をひいている僕の体温を調節しようって事なんだろう。
「……うん、分かった」
 もっとくっついていた方が調節しやすいだろうと、僕の両手をそっとキュウコンに添える。キュウコンの温もりが肌を通して伝わってくる。決して熱くはない、優しげな温かさが。それは何処かで感じた気がするものだった。遠い昔に感じた温もり。だから苦しくても心が安らげる。
 もう身体は寒くなかった。だけど熱くもなかった。日溜のような優しい温かさであった。

 翌朝目覚めると昨日の怠さとは一変、清々しい気分で満たされていた。布団の中で大きな伸びを一回し、その後布団を跳ね除けた。
「ふぅっ……ふわああっ」
 最後に大きな欠伸をし、僕はすくっと軽やかに立ち上がる。本当に昨日が体調不良なんて嘘みたいだ。
 一生懸命に看病してくれたキュウコンに感謝しなくっちゃ、ってあれ?
 ……なんで裸?
「わああっーー!」
 恥ずかしさの余り、僕は慌てて布団に戻る。でも布団に戻ると隣りには、
「うーん、朝から五月蠅いよ……」
 そう、キュウコンがいたのだ。一つの布団にふたりで寝ていたのであった。だからキュウコンからは裸体が見えないように布団を抱え込む。
 キュウコンは眠たいのか瞼を重たそうに開いて、眼をぱちりぱちりと瞬きする。そして僕の顔を見るなり笑みを浮かべ、
「おはよう!」
 悪気なんて無さそうな屈託の無い笑顔だ。それ故に恨めしい気もする。
「おはよう。ところで僕が裸になっているのさ!」
「えー、汗かいてたし、それに素肌の方が熱の調整がしやすいんだもん。お陰で風邪が治ったでしょ?」
「まあそうだけど……」
 そう、風邪は無事に治った。だがしかし解せない。
 今冷静になって考えれば昨夜は赤裸々な事ばかりしている。口移しとは言え、傍から見ればディープキス。体温調節とは言えども、傍から見れば抱き合っているのに等しい。
 もう頭を抱えたい。これは一線を越えていると言っても過言ではない。僕は目の前にキュウコンと……。
 風邪の次は羞恥心の所為で身体を火照ざるを得なかった。




 キュウコンと一緒に寝てからというものの、僕の中の歯車は気持ちが悪い程に噛み合っていなかった。隙間が生じてきっちりと回転しないのだ。
 風邪が治って講義に集中出来ると思った矢先の事である。どんなに話を聴いていようとも、ペンを動かそうとしても意識はキュウコンへとすり替えられていく。いま何をしているのかだとか、ちゃんと御飯は食べたのだろうかとか、他愛も無い事ですら気に掛けてしまう。
 そして今まで寝るのは別々だったのに、
「今日もお邪魔させて貰うね」とキュウコンを何も抵抗するなく同じ布団へと受け入れてしまっている。
 でも少しだけ理性が働いているのか僕は、寒い冬だけだからね、と何時もと変わらない言葉で釘を刺しておく。
 確かにキュウコンと一緒に寝るのは温かく、今が冬だという現実を忘れてしまうくらいだ。それ故にキュウコンを止められない。キュウコンの温かさを欲してしまっている。僕はキュウコンを優しく抱いて、伝わる温かさを感じ取る。
 身体が温まれば、次第に瞼が重たくなり眠気は襲いかかってくる。そして身体の欲求に従って目は閉じられていく。
 閉じる際にキュウコンの綺麗な紅の瞳が暗闇でも目に入った。だけど取分け気には掛けず瞼を閉じた。
 このまま直ぐに朝まで眠りに就いてしまえば良かったのに、
「ぐぅっ……」
 突然、何かに身体を圧迫されてしまい、喘ぎ苦しむ。咄嗟に足掻こうと手や足を必死に動かそうとするが、既に自由は奪われてぴくりともしない。
 この家に不審な人物が入ってきた或いは潜んでいた、とは考えられない。戸締まりはいつもちゃんとしている。それ以前にこの気配には覚えがある。
「キュウ……コンっ」
 僕は目を開いて確認した。キュウコンが僕の上へとのしかかっているのだ。九本もある長い尻尾を幾つか使って僕の足を差し押さえ、腕に至っては前脚で押さえつけられている。
 いつの間にキュウコンは僕の腕から抜け出したのだろうか。僕は眠たさで気が緩んでいた所為か、ちっとも覚えが無かった。
「ふふっ……」
 困惑している僕を見てキュウコンは妖しげに笑う。僕とは違ってこの状況を楽しんでいる様だ。空いている尻尾がゆらゆら揺れるのはキュウコンが上機嫌の証、と僕は知っているから。
 キュウコンはロコンの頃から悪戯が酷く好きだった。だから、今回も単なる悪戯だと思いたくなるが、これはそうとは思えない。キュウコンの表情から、キュウコンが漂わせている雰囲気から、僕はそう察知せざるを得ない。そしてキュウコンから、
「こういうの期待していたんじゃない?」
 そう言われて、僕は驚愕してしまう。その上、反論しなくてはならないにも関わらず、返す言葉が見つからないのだ。
 そうかもしれない。
 胸の内で認めてしまう。期待していたからこそ、僕はキュウコンを布団に招いていたのかもしれない。
「まっ、牡と牝同士が一緒にいれば期待しないのも無理はないわね」
 終いにはキュウコンに宥められてしまう。そして僕はそう言われても心中は晴れなく、尚更もやもやしていく。心の何処かで何かが噛み合わない。足りない部品がある。
「じゃあ、キュウコンは――」
 僕に期待していたの?
 口にしようとした言葉は紡がれなかった。
 突然、キュウコンが僕へ覆い被さり唇を奪ったからだ。その時に僕の脳内ではあの日の出来事が鮮明に思い出された。でもあの日とは似ても似つかぬ物に違いなかった。
 優しく丁寧に、
 押し付け貪るかに、
 割物を扱うかに慎重に、
 躊躇う事無く強引に、
 母性溢れる様に、
 情欲に溺れる様に、
 キュウコンの行為はあの日とは全然違っていた。でもそれに対して僕はあの日と同じように受け入れるだけ。キュウコンにされるがまま。
 拒もうとすれば出来る筈なのに、敢えてされるのを望んでいる。熱くて舌が火傷してしまいそうなのに望んでいる。そしてキュウコンから温もりを貰おうとしている自分がいた。
 僕は無抵抗のまま、キュウコンに舌を絡まれ、唾液を交換され、歯まで舐められ、口内隅々まで堪能されてまるで玩具であった。キュウコンの欲求を満たす為の格好の玩具。
 欲求が満たされたのかキュウコンは僕から口を離した。その際に唾液が糸を引き、汚ならしかった。綺麗好きなキュウコンとは到底不釣り合いな物が、口元から垂れて体毛を汚していく。
 暑さからなのだろうか、キュウコンの輪郭がぼやけていく。蝋燭の火の様にゆらゆらと。蜃気楼の如く定まらない。
「ふふっ……」
 また彼女が妖しく笑う。何がそんなに楽しくて笑うのか、何がそんなに嬉しくて笑うのか今の僕には理解が出来ずにいた。少なくとも、今、は。
「キスしただけなのに、もうこっちは元気なの?」
 ねぇ、と尻尾を使って僕の下腹部を擦る。すると僕の一物が一際出っ張っていて存在感を誇示しているではないか。
 それに気付いた僕が耳や頬に熱を帯びるのには時間が掛からなかった。恥辱の所為からか僕はキュウコンから目を逸らざるを得ない。キュウコンのにやけ顔を見ていると益々恥かしくなるからだ。
「風邪の時はぐったりしていたのにねぇ……。それとも我慢出来なかったのかしら」
 最近やってないだろうし、と口遊むキュウコン。それもからかう様にだ。そんなキュウコンの態度から僕の事情なんてとうに見透かされているに違いない。
 確かに、やってはいない。
 これだけは確証を持てる。年がら年中、キュウコンが家にいるからそんな機会は無い。ましてやキュウコンと一緒に暮らしてからは、する気にも起きなかった。だから僕がしていないと、側にいたキュウコンも首を縦に振る筈。
「じゃあ私が机の引き出しにあったものを燃やしたのも知らないだろうねぇ」
 あんな気持ち悪い物をさ、と最後に凄みを利かして付け加える。それを聞いた途端に僕の背中からは冷や汗が滴り始める。ああ、これは拙いなって。
 そもそも僕にプライバシーは無いのか、キュウコンからしたら無いんだろう。
 炎タイプのポケモンは情熱的であるが故に嫉妬深いから気を付けて下さい、とこのアパートでブースターと暮らしている人に言われたのを思い出したが時既に遅し。どうにもならない。
「火遊びはよくない、よ」
 苦し紛れに出た台詞は説得力が欠け落ちていた。だからこそキュウコンは、
「そうね。火遊びはよくないからこちらで遊ぼうかしら」
 ぐいっと尻尾によって器用に下着ごとズボンを下ろされて下腹部がまる出しになる。そうすると僕の一物は包み隠さず剥き出しとなる。キュウコンに見られて恥かしいのに、僕の一物はそれの所為でどんどん脈を打って大きくなる。
「あらあら……」
「ぁう……」
 終いには僕の一物はキュウコンに向かって反る。性欲によってきつきつに膨れ上がっている。
 キュウコンの視線は僕の一物に釘付けであった。頬をほんのり紅くしながらもじっと見つめている。異性の生殖器をそんなに見て何が良いのだろうか。見られてる立場からすればこの上無く恥かしい。
 キュウコンの前脚が僕の一物に近付いてくる。恐る恐るゆっくりと前脚を動かしては僕の一物に触れようとする。最初はちょんと一瞬だけ触る。次は一物と肉球が優しく触れ合うくらい。今度はそのまま押していき、一物を倒そうとするが、前脚を一物から離すと直ぐに起き上がる。
 そこでキュウコンは肉球で僕の一物全体をなぞっていく。その際に一物は刺激されて心地良い感覚が僕の身体に走る。それで僕は身体をぴくりと身動ぎしてしまう。それに気付いたキュウコンは面白そうにもう一度なぞる。そうするとまた僕は反応してしまう。
「気持ち良い?」
「……気持ち良くないって言ったら嘘になるかな」
 事実、キュウコンに弄られて一物は先端からは透明でぬるぬるとした液体が漏れる。身体が快感に対して反射してしまっている。これは最早、動かぬ証拠だ。
「……じゃあ、尻尾と口、どちらがいい?」
 悪巧みでもあるような、牡を虜にさせる妖艶な顔色でキュウコンは尋ねてくる。そして唾液が纏りついた舌を見せ、九つある尻尾をゆらゆらとゆっくり振る。付け加え、目差しでさあどっちにするの、と訴えてくる。
 これはやばい。
 危険だと感じ取っている。選べばこの先どうなるのか、想像がついてしまっている自分はもう末期な訳なのだが。
「あえて選ばないってのは」「無し、だよ」
 僕の言葉に割り込んで言うと、キュウコンは脅すかに、ぐぐっと胸に置いていた前脚に力を入れていく。このまま放っておけば僕はぺしゃんこに踏み付けられてしまう。
 今後を占う二者択一。思わず唾を飲み込む。背中からは仕切りに汗が滲み出てくる。どちらにせよキュウコンにされてしまうのは目に見えているのに。
「……せめて尻尾で」
 口は流石に抵抗があった。いくらなんでも、自分の汚ならしい一物を咥えさせるなんて考えられなかった。だって僕はキュウコンが――。
「お望み通りに尻尾で遊んであげる」
 するとどうだろうか、忽ち僕の一物はキュウコンのもふもふしている尻尾で包まれる。それも一本だけでは無く二本で挟む形で。毛先がちくちくと一物を刺激してくる。これだけでも快感が伝ってくる。それなのに、
「それじゃあ、いっきまーす」
 楽しそうに一言告げて、尻尾を動かし始める。キュウコンは尻尾の間に挟んだ一物を扱いて僕を更に快楽へと陥れていく。何度も一物を扱かれていき、その度に一物から透明な液体を漏らしてしまう。そうしてキュウコンご自慢の整った尻尾を濡らして汚していくのだ。
「あはっ」
 自分が汚れていくのにも関わらずキュウコンは嬉しそうに行為を続けていく。止めて欲しいと思ってもそうする術なんか無く、僕はやられ放題。そしてキュウコンは僕が善がる様子を見てご満悦な表情を浮かべるのだ、まるでその姿はサディストである。そうなると、傍から見れば僕はマゾヒストと言う事になる。
 時が経つに連れて、僕の一物の所為なのか部屋には淫臭が立ち籠め始める。尻尾で扱くときに生じる音、僕の喘ぎ声までもが部屋を満たしていく。それらは僕とキュウコンが身体を合わせている事を認めざるを得なくさせる。
 一線なんて風邪の時に越えてしまった筈。でもその時は記憶があやふやであったし、こんなに淫らな行いはしていなかった。それに僕自身、キュウコンを唯の――。
 快感と背徳感、この二つが背中合わせとなっていた。だけど快感が募るにつれて背徳感なんてものはどうでもよくなってしまうのだ。動物ってのは欲望に従順なのだから。もしかしたらキュウコンはそうやって僕が堕ちるのが面白くて仕方が無いのかもしれない。
 身体はキュウコンから熱を貰って、布団を汗で濡らす程になっている。汗はだらだらと垂れ流れて、ひく事を知らない。加えて身体の熱も。暑過ぎて自分がどろどろに溶けてしまいそうになる。
 一物を尻尾によって刺激され、もうすぐ節度を越えてしまう。そうなると、僕はキュウコンに白濁液をぶちまけてしまうのだ。
 ほんの僅かな理性が僕に投げ掛ける。このままで良いのかと、このままキュウコンを――。
「キュウ、コンっ……尻尾を」
 離してくれないか、そうじゃないと僕は君の綺麗な尻尾を益々汚してしまう。
「嫌よ、逃す訳ないじゃない」
 そうしてキュウコンは、にぃ、っと嫌らしげに笑うのだ。僕の懇願なんか躊躇いも無く蹴飛ばす。蹴飛ばして僕を突き落とすのだ、快楽へと。
 さっさと出せと言わんばかりに先程よりも素早く尻尾で扱かれる。ただでさえ、出さないようにするだけで精一杯なのに。こんな風にされたら耐えられる筈がない。
「くぁっ……ぁああ!」
 最後の悪足掻き。僕はじたばたと手足を動かしてこの拘束から逃れるようとする。だけど、ポケモンであるキュウコンの方が力が上手である為にそれは無駄だった。前脚で押さえ付けられた腕はびくともせず、ましてや尻尾で差し押さえられた足もろくに動かせない。そして抵抗は、失敗だった――。
「っぁあああ!」
 遂に溢れ出てしまった白濁液。もう歯止めはきかない。キュウコンの美しい尻尾を僕はこれで汚してしまうのだ。尻尾だけじゃない、きっと身も心も全てを。
 欲望まみれで汚ならしくて、鼻を覆いたくなる程臭くて、ぬるぬるとして気持ちが悪い、この白濁液。異性であるキュウコンはそう捉えるに決まっている。
 キュウコンはただ呆然と僕を見つめている。しかし口元はそこはかとなく歪んでいる。余程、尻尾に纏りついた感触が不快であったろう。
「だから……尻尾を離してって言ったじゃない」
 僕は白濁液が拭ける物は無いかとちらちらと左右を見渡す。そして布団の脇にティッシュ箱があるのに気付いた。でも腕はがっちり固定されているからキュウコンに言う。
「ねえ、前脚をどかし……て、よ?」
 すると、まだ温かい頬に冷たい水が落ちた。今までずっと暑かったから、うんと冷たく感じた。今までそんな姿は見た事無かったから尚更冷たく感じた。
「……そんなに嫌だったのね」
「なに、が」
 僕は怖くなった。本当に先程までの彼女なのかと。あんなに僕へ余裕を見せつけていたのに。
「とぼけないでよっ。さっき怖い顔するくらい私が嫌いだったのね!」
 キュウコンがそう言うと、また冷たい水が僕の頬へと落ちた。もう僕の頬は温かくなんか無かった。
 怖い顔。
 白濁液が出る矢先の前、僕が抵抗した時に作ってしまった表情。
 あれは違う。
 キュウコンに向けたものじゃない。僕は汚すまいと必死になっただけであってキュウコンに対してなんかじゃない。
「違うって僕はただ」「じゃあ何で今まで私を襲わなかったの?! ずっと私は期待していたのにっ!」
 泣きながら怒鳴られて、挙げ句の果ては告白紛いなのも言われる。一辺に問題が飛んできて僕はどうすれば良いのかと頭を抱え込みたくなる。元々、キュウコンが夜這いなんかするからこうなったからなのに。でも此処で戸惑ったら瞬く間にキュウコンが悲しんでしまう。
 キュウコンの前脚に力は入っていない。僕はキュウコンの前脚を避けて、身体を起こしては――。
 力一杯、キュウコンを押し倒してやる。
 いきなり倒されて慌てた様子のキュウコン。それでもまだ体毛を濡らしている。炎タイプであるキュウコンならこのくらい直ぐに乾くのに。それが出来ないくらいにキュウコンは傷ついた。
 今すぐにでも理性を食いちぎって襲いかかりたい。でも言わなくちゃ伝わらない事もある。
「僕は今まで君が大事だから大切にしようとしてきた。だからこれまで君とはしたくなかったんだ」
 自分で言ってて小っ恥ずかしいがそこは我慢しなくちゃならない。
「だけどあの日の感触が忘れられなかったし、あの日から僕は君に夢中だった。それまではずっと一緒に暮らせるだけで充分だった。でもね」
 心の中が晴れない理由が分かった。噛み合うのに足りなかった部品が何なのか見つかった。
「やっぱり僕は君を自分の物にしたかったんだ。襲いかかって目茶苦茶にして自分の色に染めたかったんだ。そんな僕に君が心を許すなら、僕は君を犯すよ」
 あの日は彼女から温もりを貰った。今度は僕があげる番。そうして僕は強引に深い口付けをしてやる。僕の舌は彼女の舌を捉え、離さずに絡めてく。舌を通して彼女を優しく温める。
 今までは自分から行動に移さなかった。だけど、もう違う。
 僕は積極的に彼女へと向けてあげる。心の底に閉まっといた感情を曝け出していく。
 口を離せば銀色の糸が引く。糸が僕と彼女を繋ぎ止める。
 彼女の頭から毛並みを手でゆったり梳いていき、頬の辺りまで運ぶ。丁度濡れてしまったところを手で拭いてあげる。例え乾かないとしても、だ。
「もう、大丈夫だから」
 そう言って、僕は彼女を宥める。それを聞いた彼女も安心してなのか少しずつだけど温もりが戻ってくる。
 僕は彼女が落ち着いて安心した――筈であった。
「さっきのプロポーズって捉えて良いんだよね?」
 彼女は泣いていた面影は無く、けろりとして嬉しく綻びる。それに頬を仄かに紅く染めて可愛いと言えば可愛い。だが、問題はそこではない、存外立ち直りが早い事だ。どうしてあんなに泣きわめいていたのにこうも立ち直れるのか。
 ――って、もしかして。
「どうだった? 私の迫真の演技は?」
 ふふん、と彼女は得意げになりながら尻尾を振る。
 一杯食わされた。
 いやまさか騙し討ちをされるとは。結局、僕は彼女に翻弄されていた。全ては彼女の思惑通りに動いていたのだ。
「いくらなんでもこれは酷い」
「私が悪戯好きなの知ってるでしょ? ロコンの頃からの付き合いなんだから」
 それもそうだけど、と僕は口にするがそれ以上は言えなかった。思わず溜め息を一つ吐いてしまう。僕の決死の告白は何だったのだろうか。
 ま、いっか。
 僕はこれからも彼女に悪戯されて、その度に苦労をするんだろう。良い意味では、きっといつまでも僕は退屈しないんだろうな、彼女のお陰で。もうそれが当たり前だ、僕と彼女の人生においては。
「で、犯すんじゃないの? 私をさ」
 そうやって彼女はまた僕をからかう。どうしたの、やっぱり無理なんじゃないの、と言いながらにやにやして僕を見つめている。
「言われなくてもやるよ、後悔しても知らないんだから」
 僕は彼女の下腹部へと右手を這わせていく。柔らかな体毛を掻き分けながらお目当ての物を探していく。大体位置は掴んでいるが、直ぐに行ってはつまらない。ゆっくりと焦らしながら、だ。
 段々と手がそれに近付いていく。その証拠に、もふもふである体毛が徐々に湿っぽくなっている。
「なんだかんだで余裕無いんじゃないの? 触れてもないのに、こんなになって」
 指先を彼女の恥部に入れるとくちゅり、と水っぽい音が響いた。入れた途端に粘液が指へと纏りつくが不快には感じない。もう十二分に湿ってるそこは指先が溶けてしまいそうなくらいに熱い、火傷になりそうだ。
「まだまだ平気よ」
 身体の反応とは裏腹に強気な態度をとる彼女。そんな彼女を壊したくて僕は行動に移す。
「じゃあ遠慮なく指を動かさせて貰うよ」
 恥部に入れてある指を出したり入れたりする反復運動を始める。その時毎に恥部からは卑猥な音色が飛んできたり、分泌液が外へと流れ出ていく。
「っぁ……ぅ」
 気持ちが良いのを悟られまいと何とかして声を押し殺そうする彼女だが、やっぱり気持ちが良いのか漏れ出してしまう。
「聴かせてよ、君の鳴き声を」
 指をもう一本入れて二本で彼女の恥部を掻き混ぜていく。我慢出来なくなるように、と。嫌でも反応して貰おう、と。
「あっ……駄目だってえっ」
 案の定、甲高い声を上げて彼女は善がる。時々、身体をくねらせたりして快感を受け止める。その光景は僕の性欲を更に駆り立てるくらい淫らである。
 こうやって喘ぐ彼女を眺めていると前と立場が完全に逆転していると気付いた。彼女と同じ立場になってみて、僕は先程の彼女があんなに楽しそうにしていた理由が判明した。
 僕は彼女を苛めている。だけどそれが楽しいと思えるのは彼女の反応一つ一つが――。
「らめぇっ」
 耳鳴りがする。不快感は一切無い。寧ろもっと聴いてしまいたいくらいの中毒性。
 僕が行為に熱中していくと、彼女の瞳が澱んでいく。彼女の口元からだって恥じらう様子も無く唾液が一筋垂れている。彼女はもう僕に溺れている。僕も彼女に溺れているけど。
「そういえば、君は尻尾を弄られるの嫌だったね」
 そう、彼女は僕が尻尾を触るのを毛嫌いしていた。もし無理矢理にでも触ろうとすれば、容赦無く火炎放射が飛んでくる。
「なんで嫌がるのかずっと疑問だったけど、もう分かったよ。だってそこは」
 君の性感帯だからね。
 空いている左手を使って長い彼女の尻尾を一本、力強く握る。勿論、にやりと微笑んでおくのを忘れない。
「ぁあああっ!」
 彼女の恥部から勢い良く液体が噴出した。指にはべっとりと液体がつく。それだけでは収まらず、手の平までもが濡れていく。言うまでも無く恥部周辺の体毛もである。
 絶頂を迎えて、ぐったりした様である彼女。呼吸は乱れ、息遣いが荒い。深紅の眼光はくすんでしまい、依然虚ろである。
 やり過ぎてしまった。
 途中から随分と羽目を外してしまった。自分の欲望に忠実になり過ぎて、彼女を顧みていなかった。僕に落度がある。
「ねえ、大丈夫――」
 彼女を心配して声を掛けた。それなのにどうして僕は、
「ぐふぅ……」
 突如身体を仰向けに叩きつけられるのだろう。布団があるとは言え、背中に痛みが走る。
 起き上がろうとして手を床に着けようとするのだが、動かない。もう一度動かそうとするが、相変わらずだった。
 なんでだ、とは言っても見当はついている。
「動けないでしょう? 私が神通力で動かないようにしてるもの」
 又もや、彼女に身体を覆われる。意地の悪い事に、またまた薄笑いを見せつけてくる。
「尻尾は触らないで、って言ったよね?」 
 彼女は笑っている筈。だけど、背中に悪寒を感じるのは何故だろう。それと同時に、彼女が僕に行使してる神通力が強くなっているのは気のせいだろうか。
「あんなに言ってたのに、ねえ?」
 顔をどんどん近付けて迫ってくる。お陰で僕は彼女と眼を逸したくても逸せなくなる。要するに逃げ場が無くなってしまった。
「話せば分かる、話せば――っ」
 やはり、彼女に言い逃れなんては無効である。
 僕の言葉を相手にせず、彼女は僕の首筋を噛み付く。流石にがぶりと思い切りではない。けれども優しくでもない。
 丁度、跡が残るくらいに。
 僕は呻く。首筋から伝わる鈍い痛みの所為で。
 おまけに彼女はそれだけで止まらず、皮膚をちゅうちゅうと吸ってくる。吸血するかの如く。
 貧血でくらくらしてしまいそうだ。
 そう思っていても、僕の身体は頑丈なのかそうには至らない。それどころか、逆に反応してしまうのだ、首筋は僕の――。
「此処、敏感だもんね」
 その通り。やっぱり伊達に同居してはいない。
 噛み付き、吸血、両方から解放されたのに首筋がまだ疼く。和らぐどころか付き纏うのだ。
 それにこの跡、外に出歩く時、どうすれば良いのか。
「さてと……始めましょうか?」
 彼女は尻尾で僕の一物をしっかりと締め付ける。ご丁寧に、真上には彼女の恥部がある位置で。
 恥部からは行き場を失った愛液が滴る。愛液はやがて僕の下腹部へと垂れていく。その光景が卑しくも美しい、官能的である。
「……じゃあいくから」
 彼女は腰を徐々に下ろして恥部を僕の一物へ近付けてくる。ゆっくりと慎重に。少しずつだけど距離を埋めていく。
 恥部が一物の先端へと当たる。そして一物は尻尾から解かれる。このまま彼女が更に腰を落とせば間違いなく一物は飲み込まれてしまう。
 だけども彼女は躊躇わず腰を落としていく。すると一物が瞬く間に熱いものに包まれていく。
 最後に肉と肉同士が触れる。完全に僕の一物は見えなくなってしまった。もう僕と彼女は繋がっているのだ。
 その上、彼女の攻撃は止まらない。僕に有無を言わさずに腰を動かしてくる。僕の一物は彼女の肉壁で締め上げられる。
「あぁっ!」
「うあ……」
 今まで味わった事の無い感覚。これまでのとは訳が違う。
 じっとしているだけなのに汗が止まらない。
 彼女とこんなに密着している為なのか、それとも別の所為か。とにかく身体が火照る。
 彼女が乱暴に跳ねる度に、ぐちゅぐちゅと僕の一物は膣奥を刺激する。それも何度も何度も飽きることなくずっと。それ毎に僕と彼女は快楽で満ちていく。
 結合部からは卑猥な音色を響かせ、僕達は悦を含んだ声を漏らす。それらは聴覚を刺激する。立ち籠める汗の臭いやら愛液やら様々な淫臭は嗅覚を。
 彼女が僕の上で乱れる姿はとても淫猥で。理性は失われ、涎を垂らしながら狂ったように僕の上で暴れていく。
 対する僕も物足りなさを感じて、自ずから彼女を突き上げていく。肉と肉がぶつかりあって音が部屋に響いていく。気が付けば、神通力の効力は無くなっていたようだ。
 手足の自由を取り戻した僕は両手で彼女を抱き寄せて、熱い接吻を交わす。ただひたすらお互いの舌を貪りあう。快楽という甘い蜜を求めて。
 きもちいい。
 一度体験してしまえば、もうこの快感からは抜け出せない。満足がいくまで、動けなくなるまで続けるしかないのだ。我を失う、とは正にこの事なんだろう。
「んっ!」
「くっ!」
 快感はピークに達して、お互い身体がびくびくと震える。抑えきれなくなった僕の一物からは白濁液が、彼女の恥部からは愛液が噴出する。
 彼女の膣内を白濁液が汚していく。隅から隅へと汚し、膣内を満たしていく。満たされてしまって行き所のない白濁液は結合部から愛液と混じり溢れてくる。
 だけども僕らは取り分け気にしない。これで終わりではないから。
 溢れてくる混合液には目もくれず、また行為を再開していく。まるで狂ったように。
 相変わらず彼女は僕に向かって腰を落とす。相変わらず僕は彼女に向かって突き上げる。
 僕は彼女から熱を貰う。彼女は僕から熱を貰う。それは終わりが無く、限りなく続く循環だった。
 そう、僕らは熱に飢えた獣なのだ。


 翌朝目覚めると清々しい気分ではなく、気怠さ満たされていた。布団の中で大きな伸びを一回し、その後布団を跳ね除けた。
「ふぅっ……ふわああっ」
 最後に大きな欠伸をし、僕はずっしりと立ち上がる。本当に身体が重たい。
 なんでこんなに身体が重たいのだろうか、どうしてこんなに疲労感があるのか。それに、
 ……なんで裸?
「わああっーー!」
 恥ずかしさの余り、僕は慌てて布団に戻る。でも布団に戻ると隣りには、
「うーん、朝から五月蠅いよ……」
 そう、彼女がいたのだ。一つの布団にふたりで寝ていたのであった。だから彼女からは裸体が見えないように布団を抱え込む。
 彼女は眠たいのか瞼を重たそうに開いて、眼をぱちりぱちりと瞬きする。そして僕の顔を見るなり頬を紅く染めて、
「おはよう、お父さん」
 と言うのだ。それも嬉しそうに尻尾を振りながら。
「おはよう、ってお父さん?」
 なんで僕がお父さんなんだろう。まだ僕は単なる大学生に過ぎない。だからお父さんと呼ばれる筋合は無い。
 でも困惑状態の僕に対して、彼女はいやに上機嫌で、
「うん、お父さん。だって……ねえ? あんなにたっくさん私に出してくれたでしょ?」
「っ!」
 彼女に言われて、やっと思い出した。脳裏に昨日の出来事が焼きついて鮮明に蘇る。
 今冷静になって考えれば昨夜は赤裸々な事ばかりしている。彼女に押し倒されて、犯されて、告白して、かと思えば僕が彼女を押し倒し、仕舞いにはお互い身体を委ねあっているのだ。
 もう頭を抱えたい。これは一線どころか、人として踏み外していると言っても過言ではない。僕は目の前にいる彼女と……。
 彼女と同じく僕の頬が火照る。身体も火照ざるを得なかった。これが風邪の所為であったらいいのに。でも、
 もうこの風邪は治らないだろう。僕の側に彼女がいる限りは。


後書き
冒頭は第一回一レス小説大会の出展部分。官能描写は後から付け足しました。
官能描写が少しごちゃごちゃしてしまった感じが。それに冒頭部分に比べて大分時間が掛かってしまった。
もっとすんなり書き上げられれば良かったかなあと。

それにしてもキュウコンはエロいイメージしかないですw
それにポケモンの技って結構卑猥(蹴


番外編 おもらしきつね 

お漏らし描写があります。ご注意下さい。

「ああ、キュウコン、もふもふしててやっぱり良いよ」
「そ、そう……それは良かったわ……」
 僕は彼女と横に寝そべっては、向き合いながらぎゅっと抱き寄せていた。そうして手を彼女の体毛に沈めては幾度となく撫でていたのであった。
 いつもであったら、私の毛並みはやっぱり良いでしょう、と胸がまな板でも胸を張ろうとする彼女だが今日は何故だか反応が薄かった。それに違和感を覚えながらも僕は夢中で彼女を撫でる。
 彼女の背中、お腹、尻尾と手を這わせては撫でていく。相変わらず彼女の体毛はふんわりとしていて布団よりも柔らかであった。その柔らかさを堪能しようと僕は顔を彼女の胸の毛へと沈めていく。すると、やっぱり包み込まれるような柔らかさが顔から伝わってくる。
 このまま彼女を抱き締めて、顔を沈めたまま眠ってしまいたかった。しかし、彼女ときたら変に震え始める。最初は気のせいだと思って、僕は彼女を抱き締めたまま離さないでいた。だが、彼女が僕の拘束から逃れようと身体を動かすのである。
 じゃれあいたいのかな、そう思った僕は彼女の事を逃がすまいとぎゅうっと抱き締める。だけど彼女ときたら前脚や尻尾を使って僕から離れようとしてくる。そうはさせまいと、彼女に負けじと全身に力を加えていく。
「ちょ、ちょっと……」
 彼女が僕に呼びかけるも、僕は無我夢中で抱き締める。それに顔は彼女の胸の体毛に沈めているか寝たふりを決め込む。いつも僕の布団に入って睡眠を邪魔してくるのは彼女なのだから、このくらいはしたってバチは当たらないであろう。
 しかし、今日の彼女はやっぱり変で妙にそわそわしている。普段の彼女ならば抱いて欲しいって言わんばかりに、僕を押し倒してまで抱かせようとしてくる。なのに、今日は反対で僕の拘束から逃れようとしている。やがて諦めたのか前脚や尻尾で引き剥がそうとはしなくなったが、彼女の身体がびくびくと震えている。炎タイプである彼女が寒さで震える訳がないので、急に震えるのは明らかに可笑しかった。
「ぁ……ゃ……もぉ……」
 そして、敏感なところは何ひとつ弄ってはいないというのに、彼女からは何故か喘ぎ声が漏れ始めてくる。それで様子が可笑し過ぎると感じた僕は急いで、彼女の胸に沈めていた顔を上げるが既に時が遅かった。
 彼女が目を瞑りながら顔を真っ赤にしていた。そして僕の下半身のあたりから生暖かい感触がした後に、下の衣服が濡れ始めていく。最初は、彼女が何をしているのか全くもって分からなかったが、徐々に漂い始めてきた鼻先をつんと刺激する異臭によって事態を把握する。
 道理で、彼女が落ち着きなかった訳だと納得したが、悠長に納得している場合ではなくて事態は一刻を争う。相変わらず、僕の衣服には侵食しているし、彼女に至っても瞼から涙が零れ始めてはぐずる。
「っく……えっぐ……」
 いくら化かすのが上手い彼女といえども、漏らしたとなると本気で泣いているであろう。僕は彼女の瞼に溜まっている涙を拭いては、頭を撫でては慰めてやる。
「トイレに行きたかったんだね……ごめんよ」
 そして謝る。謝ったどころで赦されない気がするが、謝りたくて仕方がなかった。しかし、彼女の涙はぽろぽろと溢れてくるばかりで止まらない。そして、その間にも僕の衣服は侵食され続けている。
 自分の衣服も濡れてしまっているのもあるが、彼女を早急に洗ってやらないといけない気がしてきた。それに、このまま居たって彼女の自慢の毛並みが汚れていくし、自分の衣服も洗わなければならない。
 そうして、僕は彼女を抱き締めたまま身体を起こしていく。突っ立っているとぽたぽたと雫が零れてしまうので急いで脱衣所へと向かい、服も脱がずに彼女を風呂場へと連れていった。
 風呂場に着けばいくら汚れようとも掃除に困ることはない。僕は、一旦彼女をそっと降ろすと自分の衣服を脱いでいく。下着までがっつり濡れてしまったので脱ぐしかないが、彼女の前で愚息を曝け出すのは憚れる。彼女に裸体を見せるのは初めてではないし、これまでにも見せたというか見られた事はあるがどうも慣れない。しかし、状況が状況なだけに致し方なかった。
「っ……ご、めんなさい……ぅ」
 僕が身に纏うもの全部脱ぐと、彼女が泣きながら謝ってくる。ぽろぽろと、止めどなく涙を流しながら。彼女が謝ってきているが、この状況を作り出してしまったのは明らかに僕の所為である。罪悪感に包まれている僕は、彼女の頭を撫でては宥めるしかなかった。
「いや、僕が悪くてキュウコンは悪くないよ……」
 まさかトイレに行きたかっただなんて思いはしなかった。だから、彼女はあんなに身体を動かしては僕から逃れようとしたのだと思った。
 顔を真っ赤にしながら依然として泣きじゃくる彼女。彼女の下腹部の体毛は湿っており、漏らしたのを物語っていた。そして、換気扇を回し忘れて入った風呂場には如何わしい臭いが立ちこめてくる。
 別に意識してはない筈だった。でも、彼女の下腹部をよく見てみると、体毛が湿っているのもあって秘部が露わとなっているのである。その光景を見てしまうと、僕は口の中に溜まっていく唾液をごくりと喉を鳴らして飲まざるを得なかった。
 そして全裸にもなっているせいか、段々と意識せざるを得なくなる。一刻も早く、彼女を洗ってあげないといけないのだが、風呂場に漂う猥褻な臭いが却って興奮を煽るのである。現に、萎えていた筈の愚息はみるみるうちに立派な逸物へと成長していってしまう。
 熱り立ってしまった我が逸物。彼女の視界には涙でまだ淀んでいるのか、息子が映っていないのがまだ救いか。いや、救いなのだろうか。僕は気付いたら、彼女の頭を撫でている手とは別の方で逸物を握り締めていた。そして僕は彼女の目先で逸物を扱き始めていたのだ。
 目の前で恥じらうこともなく扱いているというのに、彼女は気付かない。いくら涙で視界が悪いとは言っても、そんなに気付かないものなんだろうか。
 彼女が気付いてないのもあって、僕はますます挑戦的になっていく。彼女の目の前で扱いていた逸物を、今度は彼女の鼻先に擦り付けてやった。すると、いくら何でも嗅覚が人間より鋭いのもあって、彼女の身体がびくっと反応する。そんな反応をされてもなお、僕は逸物の先端を彼女の鼻先に擦り付けて刺激を得る。
「ちょ、ちょっとこれって……」
 彼女は目を丸くしながらも気付いているであろう。でも確証は得ていなかったのか、前脚で瞼を擦っては涙を拭き取る。拭き取ると言っても彼女の紅い瞳は潤んでいた。そして瞼をぱちぱちとさせて、視界をはっきりさせる。予想していたとはいえ、それでも驚いたのか彼女の口がぽかんと空いた。
 そりゃ驚くであろう。僕が彼女の鼻先にぐりぐりと擦り付けて自慰をしているのだから。別に僕は彼女の鼻先じゃないと自慰が出来ないような変態ではない。たまたま彼女の鼻が目についただけであって、それこそ彼女の何処の部分であっても構わなかった。
 僕の逸物の強烈な臭いが、彼女の嗅覚を刺激する。そんなもんだから、彼女は僕の逸物を払い除けようと前脚を動かしてくる。でもそうはさせまいと、僕がぼそっと呟いた。
「キュウコンったら、僕におしっこを掛けてマーキングしたのになあ?」
 すると彼女の前脚がぴたりと止まった。まさに反論出来ないと言った様子であった。しかし、彼女は慌てながらも不注意の事故であったと主張する。
「ち、ちがうわ……あれはわざとなんかじゃ……」
「ふうん。でも、僕だって君にマーキングする権利くらいはあるよね?」
 僕がそう言えば、彼女は黙り込む。そして正論だと言わんばかりに前脚を大人しく床に置いた。彼女が折れた光景を見て、僕は思わず口元を釣り上げて笑ってしまう。
 我ながら腹黒いと思う。ついさっきまでは彼女は悪くないと宥めていた筈なのに、今じゃ横柄な態度をしているのだから。いつも彼女に主導権を握られているからその腹いせと言っても良いかもしれない。
 彼女の鼻先に何度も逸物を擦り付けてやる。今頃、彼女はねじ曲がるくらいの強烈な臭いで頭がどうにかなりそうになっているのだろうか、それともあまりに臭いがきつ過ぎて嗅覚がまともに機能しなくなってしまっているのか。どちらに転んでも構いはしないというか、どうでも良かった。一刻も早く、彼女の顔を汚してしまいたかった。
 何度も逸物を擦り付けていれば、募る快感によって先端部分から我慢汁が溢れ始めてくる。それは逸物から伝って彼女の鼻へと垂れていく。鼻に液体が入ってきたのもあって、彼女は口を開いて呼吸をし始める。だが、その光景を傍から見れば、彼女が逸物をお預けにされて興奮してるようであった。
 現に、彼女の口からは涎が零れはじめてくる。彼女は涎を舌で掬い取るのだが、その姿が逸物を欲してやまないように映る。そりゃ目の前に逸物を差し出されて、何も出来ないのはもどかしいであろう。彼女の口に逸物を入れてやってもいいのだが、それではいつもと変わらないからあくまでも鼻に擦り続ける。
「ぁ、はあ……そろそろ出そう」
 何度も鼻に擦り続けて、逸物はそろそろ限界を迎えようとしていた。このまま彼女の鼻に擦り続けるのも悪くはないのだが、それだと少し時間が掛かる。僕は、彼女が口呼吸しているのもあって逸物の袋の部分を彼女の鼻に置いていく。次に、腰を少し動かしては、鼻で袋にある玉を刺激するように押し付けるようにしてやる。そして、逸物を握り締めている手を先程よりも素早く前後に動かす。
 袋も刺激されてることによって、先程よりもとてもきもちよかった。ただでさえ、出る寸前であったのにこうなると、絶頂を迎えるのは時間の問題である。自分でも狂ったように逸物を扱いてはそして、
「いっ、くぅっ!」
「きゃあっ!」
白濁液を彼女の顔へとぶち撒けていった。ぴくぴくと逸物が脈を打つのに合わせて白濁液が溢れてくる。彼女は、顔に掛けられたのもあって悲鳴を上げては、目に白濁液が入らないように急いで瞼を閉じた。
 彼女の顔には白濁液がべっとりと付着して、垂れていく。いつもは口か尻尾で果てるのもあって、彼女の顔が白濁液で汚れる光景を見るのは初めてであった。普段の自分ならこんな嗜好は持ち合わせていないのだが、今の自分は彼女の顔が白濁液まみれになって思わず口元が緩んだ。
 一通り射精を終えて、逸物の先端部には白濁液が残る。それを僕は掃除させるために彼女の口の前へと差し出してやる。すると、彼女も分かった様子で舌先でぺろりと舐めた。
 絶頂を迎えて、彼女も汚して一通りは満足したつもりであった。でも、白濁液にまみれた彼女の顔を見ているともっと穢してやりたいという欲が渦巻いてくる。
「あ、う……」
 彼女の方もまさか顔に掛けられるとは思っていなかったらしく、涙目になりながら僕の方を見てくる。普段なら僕を手玉に取るようにしてくるのに、萎縮してるとなると違う感情が芽生えてくる。それは彼女を困らせては苛めてやりたいというものだった。
「キュウコン、かわいいよ」
 僕はにたあと汚らしい笑みを浮かべて言った。彼女の方はちっとも嬉しくないと言わんばかりに、白濁液で汚れた顔を前脚で拭いていく。しかし、粘着質な白濁液がそう簡単には拭き取れる訳がなく、拭こうとすると却って逆効果にべっとりと絡みついていった。
 顔は白濁液の異臭、下腹部は自身の尿による異臭と、普段の綺麗好きな彼女からは想定も出来ないくらいの汚れ具合だった。そんな彼女をもっと汚してやろうと、僕は座り込んでいる彼女を押し倒してやった。
「やあっ!」
 呆気なく後ろへと倒れた彼女。一応、浴場の壁に頭がごつんとぶつからないように配慮はした。倒れた事により、顔から尻尾まで彼女の全身がよく見える。特に、股に至っては広げているから下腹部の辺りがよく見えた。
 そして僕は、間髪入れずに彼女の下腹部へ顔を沈めていく。彼女は下腹部に顔を近付けさせまいと股を閉じようとするのだが一足遅く、却ってがっちりと僕の顔をホールドする形となってしまう。
 彼女の下腹部は漏らしたという事もあって湿っていた。それに加え、鼻に突き刺さるような強烈な臭いがした。でも鼻を覆いたくなるような不快感を与える臭いではなく、ずっと吸っていたくなる。故に僕は、すうはぁ、すうはぁ、と何度も深呼吸をしては香しい臭いを嗅いでやる。
「やぁ、いまはきたないからやめて……」
 ただでさえ、漏らして汚ないところだと言うのにこんなに臭いを嗅がれるとなると、彼女は恥ずかしくて仕方が無いであろう。そんな彼女の恥ずかしがる姿を見たいものだが、顔を秘部に沈めている以上は見れないのが残念である。
「きたないんだったら、きれいにしてあげるよ」
 僕はそう言って、口から舌先を出してはぺろりと彼女の秘部を舐めた。すると、彼女は身体をびくっと身体を震わせる。そんな反応が可愛らしいものだから、僕はぺろぺろと舐めていく。
 彼女の秘部だけでなく、彼女の秘部付近の体毛も舐めていく。先ほど、彼女が漏らして濡れてしまった箇所を丁寧に舐め取ってあげるのだ。間接的に飲尿してるようなものだが、別に気にならなかった。それに、よく考えてみたら彼女の秘部を舐めたのは初めてであった。
 炎タイプだからなのか、それとも興奮してるのか、彼女の秘部は熱かった。舌が火傷しそうなくらいに熱くはないが、ずっと舐めてると低温火傷しそうだった。
「そ、そんなとこ、きたないからはやくやめてよ……」
 彼女が懇願するように言ってくるが、僕は無視をしてぺろぺろと舐めていく。体毛、秘部、と舐めて大分綺麗になったとは思う。その代わりとして、僕の唾液が纏わり付いたのだが。僕は舌先を一旦、秘部から離しては彼女にこう告げる。
「キュウコンだって前に僕の舐めただろう? だから人の事は言えないよ」
 僕だって、自分の逸物をわざわざ舐めさせようとは思わない。だけども、前にしたときは彼女ときたら舐めてきたのである。今に至っては立場が逆だが、言っている事も正反対で思わず笑ってしまう。
 僕にそう言われて、彼女は何も言えない様子であった。おまけに彼女の場合は神通力でどうにか僕の行動を止めるという選択肢があるというのに、そうしない理由は心の何処かで気持ち良くなりたいと思っているからに違いない。
「それに、キュウコンは汚くなんかないよ」
 僕はそんな恥ずかしい台詞を躊躇うことも無く言うと、あくせくと舌先を動かし始める。彼女の秘部を念入りに舐めた後は、舌先を蜜壺に入れたり出したりして彼女に刺激を与えてやる。
「ぁ、はっ……ぅん」
 ぴく、ぴくん、と小刻みながらに身体を震わせる彼女。甘い声も漏らし始めるようになってきて、きもちよくなっている何よりの証拠であった。そして蜜壺という名に相応しく、彼女の蜜壺からは愛液が滲み出てくるようになってくる。それを僕は舌先で掬ってはごくりと喉を鳴らして飲んでいく。
 炎タイプの秘部は熱い。熱いのだが、砂漠にあるオアシスのような愛液で喉や舌の渇きを癒していく。彼女の愛液は決して美味しいとは言えない。だが、自然と飲んでしまうのである。彼女だったら全てを受け入れられると思ってしまうくらいに。
 彼女の蜜壺から滴る愛液によって、舐めても舐めても綺麗にならない。先ほどは彼女のおしっこで汚れていた体毛も、今では愛液が汚す要因になっている。汚してしまうのならいっそ派手に汚れてしまえばいいと思った僕は、蜜壺に出し入れしていた舌先を彼女の陰核へと押し当てた。
「ひゃあっ!」
 彼女が甲高い声を上げるとともに、身体が素っ頓狂に跳ねる。敏感なところを弄られて反応せざるを得ない、といった具合だ。
 敏感なところならば、ますます弄りたくなる。彼女は尻尾が敏感だから弄りたいのだが、普段僕が弄ろうとするとろくに触らせて貰えず、更には怒ってくる。尻尾がろくに触れない分だけ、僕は陰核を舐めてやろうと企む。
 先ずは普通にぺろりと一舐めする。続いて、ぺろぺろと舌先を擦り付けるように何度も舐めてやる。そうしただけでも、彼女からしてみれば辛いのか身体ががたがたと震え始める。
「そこ、ぃやぁっ……」
 彼女が甘えた声で言うのだが、僕はだんまりを決め込む。いやと言われたら尚更やめたくなくなるし、彼女がきもちよくなっているのならこのまま絶頂を迎えて貰いたい。自分だけ射精をして満足するのも良くないと思うし。
 陰核を中心にして、彼女の秘部を舐め続ける。時々、単調にならないように陰核を舌でぐりぐりと捩じ込むように舐めてやったり、蜜壺の方に舌を入れてやる。そんな風にしていれば彼女の方も限界に近付いてきたらしく、
「き、きちゃ……かおはなして……」
とあまり呂律の回っていない口調でもって言ってくる。だが、当然ながら顔を離す気なんてさらさらない僕は舌を動かすのを止めなかった。陰核を責め続けてやれば、彼女の嬌声がけたたましくなっていく。そして終いには、
「ぁあああっ!」
風呂場に響き渡るどころかアパートの隣の部屋まで響き渡りそうなくらいに喘いで、彼女の蜜壺からは盛大に愛液が噴き出した。僕は急いで口を秘部に付けて愛液を受け止めるのだが、彼女の噴き出した量は多くて受け止めきれなかった。故に、彼女の愛液が口元から垂れるとともに首筋まで伝っていく。
 流石は炎タイプということもあり、彼女の愛液は白湯でも飲んでるかのように熱かった。しかし、それでも僕は舌が火傷しない程度にはごくごくと喉を鳴らしながら飲む。愛液が熱いのもあって飲むだけでも身体が火照っていき、額や背中からは汗が滲み出てくる。
 一通り飲んだ後で、僕は彼女の秘部から口を離した。すると、愛液を噴き出したという事もあり彼女の秘部付近の体毛はお漏らしをした以上に湿っていた。体毛がべったりと濡れているのもあって、普段なら体毛で見えない秘部が垣間見えている。
 彼女は口をあんぐりと開けながらぜえぜえと息をしている。そして、口元からは綺麗な彼女にはそぐわない涎がだらんと垂れている。絶頂を迎えたのもあって、身体の昂りで落ち着けないという状況であった。顔には相変わらず僕の精液が掛かっており、力が入らないのか股を開きっぱなしで愛液に塗れた秘部が見える。そんな乱れた彼女の姿を眺めていると、僕の下腹部には再び熱が集まってくる。
 僕は逸物を握り締めて固さを確かめる。強度的に彼女を突くのには十分であった。故に、僕は彼女の秘部に口ではなくて今度は自分の逸物を当てがった。
 彼女としてはまだ気付いていないのか反応がない。僕は彼女の秘部にすりすりと逸物を擦り付けてやるのだが、それでも反応がない。意識が完全に飛んでしまっているのか、はたまた朦朧としているだけなのか。
 僕は強引ながらも彼女の蜜壺に自分の逸物を一思いに入れてやった。ずちゅっ、と卑猥な音が響くとともに彼女の悲鳴が風呂場中に響いた。
「んあっ!」
 逸物を奥まで沈めると流石に彼女の方も目が覚めたようで、紅い瞳に生気が戻る。瞼をぱちぱちとさせては事態の把握に努める。しかし、僕の逸物はもう彼女の中にまで入り込んでしまっているし、彼女に覆いかぶさって逃げないようにしている。主導権は最早こっちが握っているようなものだ。
 僕は最初から飛ばすように腰をでたらめに打ち付けてやる。彼女の中はすっかり良い具合に濡れており、逸物を前後に素早く動かすのは容易かった。それもあって、余計に僕は彼女の奥を激しく突いてしまう。
 彼女を犯す、というのは久々かもしれない。いつもは彼女の手玉に取られて、自分がやられっぱなしというのもあるのだが。情けない姿を何度も彼女に晒しているが、今日だけは違うところを見せつけていく。
 僕が腰を動かす度に、ずちゅり、ぬちゅっ、と猥褻な音を響かせる結合部。結合部の辺りはすっかり愛液やら我慢汁やらで湿りきっている。そこから漂ってくる臭いも強烈なものであった。それでも厭わずに腰を降り続ける。いや寧ろ歓迎であった。布団の上じゃないから後始末を考える必要なんて無く、こうなったらとことん汚れてやろうじゃないかという意識はあった。
「んあっ……はげしいよぉっ!」
 ついさっきまでは止めてだのなんだの口にしていた彼女だが、本番になるとやはりその気になるらしい。前脚や尻尾を僕の身体に添えて、すっかり受け入れる態勢になっていた。彼女の表情も恍惚としたものになっており、僕が腰を動かす度に悦んでいる。
「キュウコンっ……きゅうこんっ!」
 僕はひたすら彼女を呼んで、懸命に腰を振り続ける。彼女の中は熱くて、更には肉壁との摩擦熱で逸物が溶けてなくなりそうだった。だがそんなのは構わずに僕は彼女の膣奥を幾度となく突いてやる。
 風呂場だと言うのにサウナ室にでも居るようだった。汗がもう止まらない。額から滲み出た汗は頬を伝った後に顎から落ちて、彼女の体毛にまで落ちていく。彼女自身が自分の体毛を汚しているのではなく、僕の方が彼女を穢していた。
 彼女の胸元に手を置いては、体毛を掻き分けてはある部位を探していく。腰を動かしながら探しているのもあって、お目当てのものはなかなか見つからない。それに彼女のは人間に比べて小さいから尚更だった。
 何度も胸元を掻き分けて、指先がある突起に引っかかって漸く僕は気付いた。そして、その突起を指の腹で優しく引っ掻けば彼女の肉壁が締まる。それと伴にに彼女は甲高い声で鳴くのだ。
「やあっ」
 相変わらずの小ささであった。彼女はポケモンだから先ず胸の膨らみなんて無いし、乳首に関してもミルタンクではないから大きくなんかはない。真っ平ら過ぎて揉むのなんて出来ないから普通の人ならば面白みがないだろうが、彼女の乳首は複数あるから弄り甲斐があった。
「あはっ、うん、ぁ……」
 ひとつ弄ったらまた別のところへ、そしてまた触ったら違うところへ。そんな風にあらゆる箇所を弄っては彼女の反応を愉しむ。箇所によって、彼女が感じるところとあまり感じないところがあるから緩急を付けながら堪能する。
 興奮からなのか、こりこりとして固さのある彼女の乳首。指で何度も弾いたり、摘まんでやったりすればポケモンである彼女も気持ち良さげに嬌声を発する。本来ならば、子供に母乳を与えるために存在する器官である筈なのに。しかし、孕んでもいない彼女の乳首を搾ったところで母乳なんて一切出てこない。代わりに、彼女の蜜壺からは愛液が溢れてくるのだが。
 度重なる刺激によって、はしたなく口元から涎を垂らしてすっかり快感の虜となった彼女。僕を見る紅い瞳も焦点が定まっているのかどうか最早分からなくなっている。ただただ、僕に突かれて悦ぶだけになっているのである。
 股はおっ広げて、前脚は僕の身体に添えている彼女。ポケモンである彼女としたら人間がやるような体位は不慣れだろうが、よく合わせてくれている。
「キュウコン、出すよっ!」
 そう言って、僕は腰を動かす速度を上げていく。すると、彼女の身体と自分の身体とが激しくぶつかり合う音が風呂場によく響く。彼女の方も、最早何を口にしているのか言葉に出来ないくらいの擬音で喘いでいる。額から滲み出てくる汗を拭き取る余裕もないくらいに、彼女の中へと忙しく沈めてやる。
 そして最後に思いっきり突いてやれば、肉棒は爆ぜるかのように精液をぶち撒けた。
「ぁああっ!」
「うぐっ……!」
 肉棒から全身にかけて快感が駆け巡るとともに、絶頂でびゅくびゅく、と精液を出していく僕の肉棒。二回目の射精にも拘らず精液の量は相変わらずで、彼女の蜜壺内をどんどん満たしていった。
 彼女の方も、最後に僕に突かれたからか身体をぷるぷると震わせるとともに愛液を噴水のように噴き出させた。そうして、僕の下半身へと派手にかけては汚していくのである。汚すと言っても、既に汚れているから大して変わりはないし、もう汚れてもどうでも良かった。
 射精を迎えた直後はぴくぴくと大きく脈を打っていた肉棒であったが、時間が経つにつれて落ちついてくる。精液が終わった頃合いを見計らって、僕は肉棒をゆっくりと引き抜いていく。すると、愛液と混ざり合った精液がどろりと彼女の蜜壺から溢れてくる。その様子からも、自分でも信じられないくらいの量の精液を出したのだと実感する。
 蜜壺から出てきた肉棒は硬さを失って、先端部分がだらんと項垂れている。その光景を見て、僕自身にもどっと疲れが襲いかかってきた。倒れられるなら後ろに倒れて寝っ転がってしまいたいが、風呂場で狭くてそれは出来ない。その代わりとして壁を背もたれにして座り込む。
 彼女の方もぜえぜえと息を切らしたまま反応がない。僕と彼女、お互いに絶頂の後の疲労感が落ち着くまでは言葉を交わすこと無くただぼうっとしていた。
 

「もう……いくらなんでもあれは酷いんじゃないかなあ」
「……あの、その、ごめん」
 彼女の有り余るくらいの体毛を泡立てては洗いながら、僕は謝る。謝るなり、彼女がいいよと直ぐに赦してくれるあたりそんなに怒ってない様子であった。魔が差したとは言え、彼女に痴態を晒してしまったのに自己嫌悪したくなる。実際、
「もう番いになってるんだし、私をそんなにマーキングしなくても平気なんだけどなあ」
彼女が格好の材料を見つけたと言わんばかりにからかってくるものだから、僕は思わず溜息を吐きたくなる。いや、彼女を洗う筈が逆に性的な行為へと持っていった自分がどう考えても悪いのだが。
「それに、随分と積極的だったからこっちも興奮しちゃった」
 そして頬を赤らめながらにっこりと笑う彼女。僕は思わずこのえろ狐は、と言いたくなる。だが、彼女が漏らした姿に興奮するような奴が何も言い返せる訳がなく、僕は言葉を飲み込む。飲み込む代わりに、手に持っているスポンジをせっせと動かして彼女の体毛を洗ってやる。洗ってやるのだが、尋常じゃないくらいに体毛が多くて一部分洗うのにも時間が掛かる。
 とりあえずお腹までは無事に洗い終えた。スポンジにポケモン用のボディソープを足しては、スポンジを泡立てていく。泡立てた後に次の部分を洗おうとするのだが、僕はある事に気付いて手が止まってしまう。
 彼女の下腹部に差し掛かってしまったのである。これまでは念入りに洗っていたものの、下腹部となると事情が変わってくる。いや、情事の後だからどうってことない筈なのだが、それでも僕は洗うか洗わまいか悩んでしまう。その間に彼女がどうしたのっていう目線で見つめてくる。そして勘付いた彼女が言ってくるのである。
「ちゃんと、洗って欲しいなあ」
 わざわざ”ちゃんと”にアクセントを付けてくる辺りあざとい。僕が適当に洗って誤魔化そうとしているのを彼女はきっと見透かしていたであろう。そう言われてしまった以上は腹を括って洗うしかない。
 僕は仏頂面になりながらも彼女の下腹部にスポンジを当てていき、ごしごしと体毛を擦ってやる。最初のうちは体毛を単純に洗っていけばいいからどうにかなる。しかし、体毛を洗っていけばある部位が露呈し始める。それは当然ながら彼女の秘部である。精液を注いだのもあって、もちろん秘部まで念入りに洗ってやらなくてはならない。
 彼女の秘部なんて何回も目にしてきた。だが、生物学上では牡と言うのもあって、見れば自分自身の下腹部に熱が溜まっていくのを感じる。先ほどあんなに出したのにも拘らず、牡の性には逆らえなかった。
 とりあえずは秘部をスポンジで擦ってやる。しかし、彼女が甘えた声を漏らして反応してくるのである。
「ぁっ、ぅん……ふぅ……」
 絶対わざとであろう。現に、力に関してはそんなに加えてないつもりだ。僕の興奮を煽ろうと、彼女がわざとらしく甘い声で僕に囁いてくるのである。
 そんな甘い声を出されたら余計に気が気じゃなくなる。だから僕は適当に洗って、スポンジを秘部から彼女の脚先へと動かそうとする。しかしその矢先に、
「ねえ、まだ十分に洗ってないよ?」
と洗い残しがまだあると言わんばかりに口にしてくるのである。無視したくなったが自分でもちゃんと洗っていないというのを自覚しているのもあって、反論は出来ずに渋々秘部を洗う。だが洗ってやれば、やはり悦のこもった声を漏らすのである。
「うん……そこ……ぃい」
 洗っているこっちからすればたまったもんじゃない。いや、下腹部にはどんどん溜まっていくのだが。スポンジ越しとはいえ、傍からみれば愛撫しているようなものだ。また、泡である程度は見えなくなったものの彼女の秘部を眺めていたら、萎縮していた筈の肉棒に固さが戻っていく。その光景を彼女に見られまいと空いている手で隠そうとしたのだが、
「ふうん、それで奥まで洗ってくれるの?」
と言われて先手を打たれてしまう。いやいやそんな訳無いでしょ、と僕は首を横に振ろうとしたのだがそうは出来なかった。自分の身体だから自分の意思には当然逆らう筈がないのにも拘らず。
 そして、気付けばスポンジを握っていた手までもが動かなくなった。こうなってくると、ある事をされているのだと確信せざるを得ない。彼女に向かって口を開こうとした矢先に、僕の視界はぐらりと揺らぐ。先ほどまで彼女の秘部を見ていたというのに、風呂場の天井へとすり替わっていた。少しした後で、彼女がいかにも滑稽そうに笑った顔をしながら、僕の瞳を覗いてくる。
「あのさあ……」
 僕は呆れたように溢したが、当の彼女は悪気が無いと言わんばかりにすました顔をしている。押し倒されたら洗えるものも洗えなくなる。まだろくに洗ってないところもあるというのに。
「洗ってくれないなら自分で洗うから、そのままでいてね」
 と、にっこりと満面の笑みで言ってくる彼女。神通力で僕の身動きを取れないようにしているというのに、どの口が言えるのだろうが。
 彼女は胸元にべったりとくっ付いた泡を前脚で取っては、僕の肉棒に泡を塗りたくっていく。その所為で、ただでさえ固さを取り戻していた肉棒がますます固くなっていく。おまけに、彼女が脚の裏でふにふにと触ってくるから尚更反応してしまう。
 入れるのには十分なくらいに肉棒が固くなると、彼女が僕を覆っていく。洗っている最中というのもあり、彼女の体毛がいつものもふもふとした感触は打って変わって、ぬるぬると滑りを帯びている。手に握っているスポンジなんかより泡立っている彼女の体毛で身体を洗ったらきっと気持ちいいであろうと考えてしまう。
 そうして秘部に肉棒を当てがう彼女。彼女が少し動いただけでも直ぐに入りそうなくらいに寸止めをされる。ここまでされたら、する気なんて無かった筈なのにしたくて堪らなかった。
 我慢の限界と顔にも書いてあるのか、彼女がくすくすと声に出して笑ってくる。僕は顔が真っ赤になるくらい恥ずかしくて仕方が無かったが、羞恥心なんかよりも一刻も早く肉棒を彼女の中へと入れて欲しかった。
「ふふ、それじゃあ――」
 念入りに、洗おっと。そう言って彼女は腰をすとんっと降ろすと、ボディソープの泡が僕へと落ちてくるとともに肉棒が再び温かく包まれた。
 当然ながら彼女の洗い方では綺麗になる筈がなく、また洗う手間が増えたのは言うまでもない。


原稿用紙(20×20) 35.6 枚
総文字数 12656 文字
行数 162 行
台詞:地の文 784文字:11872文字

あとがき
気晴らしがてらに書いてたら、内容が気づかないうちにニッチなものになっていたオチ
キュウコンは綺麗って認識がありますが、綺麗な仔ほど無性に汚したくなりますよね(屑


感想、コメント色々どうぞ


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Last-modified: 2012-12-05 (水) 00:00:00
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