ポケモン小説wiki
雪の降り積もる朝 後編

/雪の降り積もる朝 後編

作者:想夏 ?

前編 ?はこちら

携帯で編集しやすいように分ける事にしました。
これからも雪の降り積もる朝、よろしくお願いします。


「お前らとうとう付き合うことになったのか。良かったな。」
次の日、俺はまたレクにリンとのことを報告した。やっぱりリンと付き合うことになったのを一番速く伝えたかったのはこいつだからだ。
「ああ。付き合えることになったのはレクのおかげだよ。ありがとな。」
「俺じゃないって。リンちゃんのおかげだろ。」
「まあ、そうだけどな。」
…でもやっぱりレクに相談したこともあると思うからな。
「……でも少し言っていいか?」
「ん?」
一体なんだろう?
「ほとんどリンちゃんが勇気を出しただけで、お前から何か行動を起こしてないんじゃないか?それって男として情けなくね?」
「うっ……」
手痛い所を突かれた。確かに俺からは何もしてない。
「はあ、いいのかよそんなことで。これじゃすぐに飽きられるぞ。……まあ、リンちゃんはそんなことしないだろうけどな。とにかくしっかりデートとかはお前からしっかりリードしてやれよ?」
……確かに。やっぱり誰だってそう思うよな。
「ああ。これからしっかりやってみるよ。」
「それでよし。まあ今はとにかくおめでとう。俺もそろそろ彼女作ろうかな。」……意外だ。レクはあまり彼女が欲しいとは言わないのに。好きな人でもできたか?
「おーいレク。ディムってリンちゃんと付き合い始めたのか?
今までそんなに付き合いのなかったクラスの男子が声をかけてきた。……また何か言われるのかな。
「ああ。こいつ付き合い始めたぞ。良かったよな。」「お、おいレク。」
そんなこと言ったらクラスの連中に……覚悟s
「本当か?あのリンちゃんがなあ……良かったじゃねぇかディム。おめでとう。」
へっ?今おめでとうって言った?
その一言をきっかけに俺の周りに男子だけでなく女子まで集まってきた。それで何故かブーイングじゃなく祝福の言葉をかけてくれた。クラスの奴等ってこんなに良い感じだっけ?
「みんなありがとな。……頑張ってリンを幸せにします!」
その言葉で「よくいった。」とか「その調子。」とか俺をはやしたてる。今まであまり自分からクラスに関わろうとしなかった俺なのに、こいつらは俺の幸せを喜んでくれた。……リンと会わなければ知らなかったのかもしれないな………こいつらのこんな素晴らしい一面を。

――これをきっかけに俺はクラスの奴等ととても楽しい毎日を過ごすようになった。
リンとどうなってるかって?リンとは……
「あの映画すごく良かったよね。」
「ああ。あの二人の絆がとても強くて良かったよな。俺らもあんな絆で繋がってるかな?」
「たぶんもう繋がってるよ。もしかしたらそれ以上だったりして。」
「かもな。」
今日は映画を2人で一緒に見た。まあ、デートだ。
こんな感じでリンのコンテストの練習の合間にデートを重ねている。でも、キスはあれ以来一度もやっていない。まあ、お互い恥ずかしくて、な。
……レクとはああ約束したけどやっぱり難しいな。
「ディム、あの喫茶店で休憩しようよ。」
「ああ。じゃあ行こうか、リン。」
「うん。」

「お待たせしました。コーヒーでございます。少し熱いので気をつけてください。」
注文したコーヒーがきた。俺はブラックでリンは少し砂糖を混ぜて飲む。
「今日も面白かったね。」
「ああ。今日だけじゃなく、最近本当に楽しいよ。」
本当、リンと会ったときから楽しく毎日を過ごせてる感じがする。
「何かディム変わったね。」
「どこが?あまり自覚がないんだけど……」
何か変なことをしただろうか。
……また頭の中にレイアの言葉が甦る。1人になった時、不安になった時に今でもまだ頭によぎることがまだあるのだ。『リンはもっといいひとと付き合える』って。
「うーん、何かって言われても……笑顔が変わったかな?」
「笑顔?」
どうやら悪い所とは違うようだ。……俺の考えすぎか。
「うん。何かすごく笑い方が自然な気がする。今の笑顔の方が好きだな。」
なるほど。確かに無理に笑うことがなくなってきたしな。
「……多分リンに会ってから毎日が楽しくなったからかもな。」
その言葉によってリンは顔を赤くする。俺そんなに恥ずかしいこといったかな?……言ったかもな。
「そういわれると嬉しいけど、少し恥ずかしいかな……あ、ありがとうね。」
「あ、ああ。」
そして、2人して顔を赤くする。しばらく2人して相手となるべく目を合わせないようにコーヒーを飲むことに集中していた。
「……リ、リン、そろそろ外に出るか。」
「そ、そうだね。」
そういって、リンと一緒に喫茶店を出て、駅への道を行く。外には雪がちらちらと降り始めていた。
――ここまではいつもと変わらなかった。そう、ここまでは……


まだ駅に着く前、リンが突然何かに気付いた。
「あっ、お兄ちゃん。」
リンが向いている先を見上げると、かなりかっこいいクチートがいた。どうやらあれがリンのお兄ちゃんのようだ。ってなんかどこかで見たような……
「おう、リンじゃないか。久しぶり。」
「久しぶり。いきなり帰ってきて仕事はどうしたの?」
「ああ、最近この辺りがロケ地だからしばらく家から通うことにしたんだ。」
ロケ地って……ああ!!
思い出した。この人は最近有名な俳優のルチース。男女問わずとても人気で、この人が出たテレビドラマは毎回30%以上の視聴率を記録している。そ、そんな人がリンの兄貴……
「あれ?このルカリオは?」
「あっ、まだお兄ちゃんには紹介してなかったね。私の彼氏のディムっていうの。」
い、いきなり俺についての話?とりあえず挨拶しなきゃ。
「あ、あのディムです。は、は、初めまして。いつもテレビ見てます。」
「おう。こちらこそよろしくな。」
かなり慌ててるな俺。まあ彼女の兄貴でかなり有名な人なんだったら誰だって慌てるよな。緊張しないで話せる人がいたら見てみたいよ……
「ってことは今までデートってことか。熱いねお2人さん。」
「もう、やめてよお兄ちゃん。」
リンの兄貴の言葉で俺とリンは顔を赤くした。結構恥ずかしいもんだな。何かいっつも顔を赤くしてばかりだな俺。
「2人とも初々しいねぇ。と、それはおいといて、ディム君だっけ?ちょっと話がしたいんだけどいいかな?」
……俺に話し?何だろう。
「…分かりました。リン、ちょっと待ってて。」
「えっ、うん。早く戻ってきてね。」
そして俺とルチースさんはリンから見えないぐらいに離れて話すことにした。
「いや、悪いねいきなり。」
「いえ、構いませんよ。それで話しって……」
「ああ、率直に言うぞ。お前リンと上手くやっていく気はあるのか?」
「……それってどういう意味ですか?」
……何か嫌な予感がする。まさかリンと別れろって話じゃないよな?
「リンとは軽い気持ちで付き合ってる訳じゃないよな?そんなんだったら今すぐリンと別れろ。軽い気持ちで付き合い続けたら、俺が痛い目あわせてやる。」
と凄い剣幕で俺を睨み付ける。
……予感的中。ここはしっかり答えなきゃ駄目だな。
「軽い気持ちで付き合ってません。俺はリンとこれからも付き合っていくつもりです。」
いくら有名な奴だからってここでリンと付き合うのを止められてたまるか。
「へえ、じゃあ軽い気持ちじゃないって具体的に示してくれよ。」
……具体的にか、どうすればいいんだ。
「俺がリンを幸せにします。」
「幸せっていうけど君ができるのか?正直釣り合ってないって言われたことがない?」
「うっ……」
ルチースさんが言った通り、確かにレイアに言われたことがある。やっぱり誰から見てもリンと俺は釣り合ってないのか?俺はレクやルチースさんみたいに凄い奴じゃない。周りから見てもやっぱり釣り合ってないのかもな。
……俺はリンと一緒にいちゃいけないのか?
「何も言えないのか……そんなんじゃリンが君といたら安心できないな。」
「……くっ。」
……リンが俺を幸せに出来ても、俺はリンを幸せにできないのか?
「……その様子じゃ、君自身がリンを幸せに出来るか悩んでいるようだね。」
「……」
……そういえば、リンは俺の為にいろいろしてくれたのに、俺はリンの為に何もしてないんじゃないか?
「それじゃ軽い気持ちじゃないってことが分からないよ。それでもいいのか?」……幸せにするどころか、俺はリンに何もしてやれないのか?
「はあ、君にはがっかりだよディム君。これからはあんまりリンに近づかないでくれ。」
「…………すいません。失礼します。」
俺はその場から立ち去った。リンと釣り合ってないことに反抗できない自分が、リンの隣にいれない自分が、リンに何もしてやれない自分が、とても辛くて、悲しくて、とても悔しかった。
……俺と一緒にいるとリンがだめになってしまう。だから、リンとは会わないようにしよう。
そう心の中で思いながら俺は1人で電車に乗って家に帰ってしまった。


あれから1週間が経った。俺はいつもの電車より早く乗ったり、放課後は早く帰ったりしてリンと会わないようにしてきた。すれ違った時も目を合わせないようにしていた。
しかし、今日はグランブル先生に手伝って欲しいことがあると言われ、遅くまで校舎に残っていた。
「よし、プリントの整理終わり。悪いな付き合わせて。」
「普段から整理しておいてくださいよ。明日までに書類提出だからって生徒に自分の机の整頓任せちゃ駄目でしょう。」
「今度から気を付けるよ。じゃあ早く帰れよ。」
「言われなくても帰りますよ。大体あなたがこんなに遅くさせたんでしょうが。」
「そうだな。帰り気を付けてな。」
「はい。さようなら。」
と、俺は玄関へ向かった。すると、下駄箱にいたのは……
「あ、ディム……」
リンがいた。もうてっきり帰ったと思ったのに。
「リンか……どうした?」
「えっと、先週先に1人で帰ったじゃない?一体どうしたの?お兄ちゃんが何か言ったの?」
先週の詳しいことはルチースさんから聞いていないみたいだ。しかし、俺からあの出来事は喋りたくない。
「いや、何でもないよ……」
「何でも無いわけないじゃん!じゃあ何で一緒に登校してくれないの?何で一緒に帰ろうって言ってくれないの!?何でいつもみたいに笑ってくれないの……」
そう言うとリンは目に涙を溜めた。それをみて俺の心にチクッとした痛みがあった。
……リンを泣かすなんて、やっぱり俺がリンと付き合っちゃいけないんだ。
「お兄ちゃんがひどいこと言ったんなら謝る。だからお兄ちゃんの言ったことなんて気にしないで。」
リンが俺に訴えかけるように言った。
「……ごめん。しばらくリンとは会えない。俺はリンと一緒にいちゃいけないんだ。俺がリンとつりあえるように、リンが幸せになれるようになるまでしばらく会わないようにしてくれるかな。」
「な…んで……」
俺の言葉でさらにリンは泣いた。頬には涙が川のように流れている。
「リンと付き合える自信がないんだ。周りからみても俺がリンと付き合ってるのはおかしくみえてると思うし。」
「でも……」
「ごめん…どうしても無理なんだ。」
俺がそう言うと、リンは何も言わず、泣きながら走って行ってしまった。
………これでいいんだ。俺なんかよりもっといい奴を見つけるさ……
しばらくその場に立ち尽くしていると、頬が何故か冷たく感じた。触ってみると……
俺は……泣いていた。涙が空気に冷やされて冷たくなったらしい。
俺は改めて気付かされた。リンがどれほど俺の生活に関わっていたのか、どれほどリンが好きだったのかを。
俺は長い間、その場で堪えきれない涙をただ流していた。


「今まではリンと一緒に帰っていたんだよな。」
あれから1週間がたった。俺は独り言を呟きながら、また涙を流していた。ここ最近は涙腺が壊れやすくなっていた。
……相当重症だな、俺。
「ったく、そんなに好きなら何でまだリンちゃんを突き放すような事してんだよ。」
いつもの聞きなれた声に俺は振り向く。
「レク……」
「みずくさいんだよ。何で俺に相談してくれないんだよ?友達だろう?」
やっぱり気づいていたのか……
「実は……」
俺はリンの兄貴がルチースだったこと、そのルチースに言われたこと、そして、リンにつらい言葉をかけてしまった事を話した。
リンと元の関係に戻る事は難しいかもしれない。戻ったとしても、ルチースさんに認めてもらう事は難しいかもしれない。でも、それでも、リンとの仲が戻るための方法が何かつかめる事を祈りながらレクに話した。
「……ふーん。で、お前はこれからどうしたいの?」
「リンとの仲を取り戻したい。……けど今の俺じゃ駄目なんだよ。………リンとは……つりあってないんだ。」
そう、今の俺じゃ……
「はぁ、中学校の頃のお前は違うだろ?」
「中学校の俺?」
「あぁ、その頃のお前はとにかく1つのことに夢中になってた。なんでも真正面からぶつかっていってただろ?何でそれをださない?」
「あの頃の…」
「走る事に夢中になってたあの時期だよ。」
俺はそのころのことを思い出していた。

中学校の頃の俺はとにかく走る事に夢中で、一番速いポケモンになることを目標にしていた。だが、リオルだった俺は周りの平均並みだった。それでも、いつかは速くなると信じてとにかく一生懸命に頑張ってみた。ルカリオになって、神速を使えば速くなる事を信じて。
高校になってからはやっぱり種族的に一番速くなる事は無理なんだと悟り、昔ほど走らなくなったが……
「俺はお前のそんなところが中学校の頃は羨ましかったんだ。あの頃みたいに頑張ってみれば、誰だってお前とリンちゃんが似合わないなんて言わないよ。」
「レク……」
「お前ならリンちゃんを幸せにできるよ。もともと、リンちゃんがお前の事が好きだって言ってくれたんだろ。もう少し自分に自身持てよ。」
「あぁ。」
やばい。また涙が……
「とにかく、今度はお前からリンちゃんに自分の気持ちを伝える番だぞ。しっかりやれよ。」
「ありがとうな、レク。」
……お前と友達でよかったよ。

「俺は今まで……」
その夜、俺はリンに言うべきことを考えた。あんな事を言った後だから、すぐに伝わらないかもしれない。
でも、しっかりと今度は自分から伝えたい。つらい言葉をかけてしまったことを謝る為に、今までの気持ちがリンにしっかりと伝わるように。
俺にとっての幸せはリンが傍にいてくれることだから……
外はちらちらと雪が降り始めていた。

次の日の朝、雪がかなり降り積もり始めていた。
まるで、リンと仲良くなるきっかけを与えてくれた朝のように。
「電車がまた止まりそうだな。……リン、この電車に乗るかなぁ?」
俺は前と同じ席に座り、リンが来る事を待っていた。
しかし、リンがいつも乗車してきた駅に着いても、リンは見当たらない。
ルカリオの能力である波導の力で探しても、電車にリンはいないようだった。

「そりゃそうだよな……」
あんな事があっったんだから仕方がないか……
今日は電車が学校の近くの駅までぎりぎり走ってくれたため、学校には行けた。雪で止まっているので帰りは難しいかもしれないが…
俺は学校に着いた時にまた波導の力を使ってみた。だが、リンは見つけられなかった。
「リン……」
俺は暫く自分の机でうなだれていた。
「ディム!大変だ。」
レクが慌てた様子で教室に駆け込んでくる。
「いきなりどうした?」
レクに尋ねてみると、
「リンちゃんが昨日、コンテスト会場で倒れたらしい。」
…………えっ?


俺は教室を飛び出した。
レクからもらった情報によると、ここ最近のリンはコンテストの練習をまるでサイコキネシスで操られた人形のように、目が虚ろになりながら体が壊れそうなほどやっていて、昨日突然倒れてしまったようだ。だから今日は自宅で安静にしているみたいだ。
……俺がもっと早く答えを見つけていればこんな事にはならなかったのに。
そんな事を考えていたら、誰かにぶつかってしまった。
「いてっ、おいディム授業が始まるぞ。そんなに慌てて何処に行くつもりだ?」
ぶつかった相手はグランブル先生だった。
「すいません。俺にとって大事な用事ができてしまって今からそっちの方へ行きたいんです。」
「…それは学校よりも大切なのか?」
グランブル先生はものすごい形相で俺を睨んできた。
今までの俺だったならここで逃げていただろう。だが、
「大事な事です。今行かないと絶対後で一生後悔すると思うんです。」
「……しょうがないか。まぁ、後悔しないように頑張れよ。」
「はい!」
俺は学校を出る。暫く走り続けて何とか次の電車が発車する時刻までに駅にたどり着いた。だが……
「電車が止まってる……」
どうやら雪の影響で運行停止となっているみたいだった。リンの家まで走るしかない。
「リンに速く会いたいのに……久しぶりにあの技を使うか。」
俺は脚に自分の力を集中させて走った。使える種族が少ない最速の技、『神速』だ。
早くリンに会いたい。早くリンに自分の想いを伝えたい。そのためにもっと速く、速く……
ふと、前にも誰かの為にこんな風に走った事があったことを思い出した。あの時も確かクチートだったような……
いや、今考えるのはやめよう。今は1分1秒でも速くリンの元へ辿り着きたい。

そろそろリンの家が見えそうなとき、見覚えのあるクチートがいた。あれは…
「ルチースさん……」
俺の声に反応して、ルチースさんがこっちを振り向いた。
「ディム君か。君が何でここにいるんだ?」
まだルチースさんにはリンと付き合うことを認めてもらっていない。認めてもらえるのは今しかないだろう。
「リンが心配なので会いにきました。」
「へぇ、君が?」
「はい、それとルチースさんの問いかけの答えを出してきたので、それを聞いてもらう為です。」
「……聞かせてもらおうかな?」
「はい、……確かに俺だとリンを一番幸せにすることはできないかもしれません。それどころか、今みたいにリンを悲しませてしまうかもしれません。」
……それに、これまではリンに頼ってばっかりで自分から行動してこなかった。
「でも、やっぱり俺にとって一番傍にいて欲しいのはリンなんです。俺にとって本当に大切な存在なんです。リンのことを想う気持ちは…たとえ、ルチースさんにだって……誰にも絶対に負けません!これからもリンの事は誰にだって譲る気持ちはありません!!……これが俺のリンとは軽い気持ちで付き合ってないという答えです。」
俺は一言、一言、力を込めて叫ぶように自分の決意を話した。
暫く俺とルチースさんはお互いに視線をそらさずにただ黙っていた。同じ威嚇の特性を持っているグランブル先生よりもいかつい顔ではないのに、迫力はとても凄かった。ずっと見ているとたじろぎそうになる。俺の心臓が自分の体で響いていた。
どれぐらいそうしていたのだろうか、俺にとっては気の遠くなるほどの長い沈黙の後、ルチースさんが口を開く。
「君の想いは伝わったよ。ディム君だったらリンを任せてもいいか。君だったらリンを幸せにしてくれそうだし…まあ、リンの事を頼んだよ。」
「はい!!」
ルチースさんにリンと付き合うことを認めてもらえた。そのことが本当に嬉しかった。
「リンは自分の部屋で横になっていると思うよ。それじゃ、俺は仕事だから。」
「分かりました。ありがとうございました。」
俺はすぐにリンの家に向かって走り出す。
「……あーあ、リンにも彼氏ができたかぁ。もう少し俺の可愛い妹のリンでいて欲しかったけどなぁ」
何かルチースさんが独り言を呟いていたが、俺はそれが聞こえないほど集中してリンの家に向かった。

俺はリンの家の前に着いた。玄関の前にはリンのお母さんがいた。
「ディム君?」
「おはようございます。それでリンは?」
「今は何とか元気よ。それよりもちょうど良かった。今から外せない用事があって、リンを看病できないのよ。『もう元気だから私は1人で大丈夫よ。』ってリンが言ってくれたからそっちのほうに行く事にしたんだけど……ディム君にリンをお願いしてもいいかしら?」
「えっ、で、でも……」
リンと俺だけが家の中に2人きりって…安心できるものなのか?
「心配はしてないわよ。大げさかもしれないけど、今から貴方達が結婚しますって言っても、私は反対しないし。むしろ喜んで賛成すると思うわ。」
けっ結婚って……
「分かりました。リンの看病は任せてください。ずっと見てますから。」
俺は顔を赤面させながらリンの看病を引き受けた。
「ええ、晩ご飯の頃に帰ってくる予定だからそれまではお願いね。」
「はい。」
そして俺は家の中へ入り、リンの部屋の前へ立つ。
走って弾んだ息を整えてから、リンの部屋をノックした。


いよいよ、か……
「あいてるよー。」
リンの声を聞き、俺は部屋に入る。
「あ、ディ、ディム……」
リンは俺が入ってきたので驚いてしまった。あの放課後から一度も会ってないんだ。来るとは思ってなかっただろうな。
「具合はどう?」
「う、うん。まあまあ……かな。」
少し戸惑いながらも俺の返事に答えてくれた。少しは元気になったみたいで良かった。
「倒れた理由は聞いたよ。ごめんな。」
「う、ううん。別に大丈夫だよ。私が勝手に自分で頑張って倒れただけだし。」
「でも、あの放課後の時は本当にひどかったと思う。辛かっただろ?」
「そ、そんな事ないよ。そんなに気にしないで。私は本当に大丈夫だから、ね?」
「そう言ってくれると少しほっとするよ。……そういえば、どうしていきなりコンテストを倒れるほど頑張ったんだ?コンテストの大会が近いのに、今倒れるのも逆に危ないんじゃないのか?」
いつもリンはコンテストを頑張っているのに、誰よりも頑張っていると思うのに、なんで倒れるほど練習していたのかが少し疑問に思っていた。
「えっとね…」
と、そこでリンの顔が赤くなった。
「あの放課後の後、私なりに考えたんだ。ディムが付き合える自信がないっていうから、どうしたらそんな事考えないようにしてくれるかなって……それで、考えたのがコンテストのあの演技なの。ほら、前にディムと初めて会った日をテーマにして考えたって言ったでしょ?それでいろんなことを思い出して欲しくて…私が告白した時に言った事とか……だから、演技を頑張って、ディムに見てもらえたときに思い出してもらえたらって、とにかく頑張ってたんだ。……やっぱり変だよね。」
そういう気持ちで頑張ってくれてたのか……本当に嬉しいな。
リンはいつも俺の心の内側から温めてくれる。それにいろんなことを教えてくれた。誰かを大切にする気持ち、誰かを思いやる気持ち、そして誰かを好きになる気持ちも……
リンに会ってから俺の世界が少しずつ、けれども大きく変わっていった気がする。リンの事をやっぱりこれからは絶対に離したくない。
「そんな事を考えてくれていたなんてな。ありがとうリン。……それで、さ。話があるんだ。聞いて欲しい。」
「うん。」
だから、しっかりとリンに伝えなきゃな。
「俺さ、ルチースさんにリンとは本気で付き合ってるのか?それが本当に証明できるのか?って聞かれたんだ。で、そのときはしっかりとしたルチースさんに認めてもらえるような返事が返せなかったんだ……自分に自信がもてなかったんだ。俺がリンにできる事、俺みたいなやつがリンと付き合っていける事。それがないような気がして……」
……そう、だから俺は今までリンを傷つけてしまった。
「……そんな事ないよ。」
突然、リンが口を開いた。
「えっ?」
「覚えてる?ずっと前に捻挫した私を抱えて走ってくれた事。あの時本当に嬉しかったんだよ?そして今も私の為に学校を休んでまで来てくれた。」
捻挫……ああ、あの時のクチートはリンだったのか。
「だから、私はディムのことが好きになったんだよ?ディムじゃないと幸せになんかなれないよ。」
目を少し潤ませながらリンは俺にそういってくれた。
「そうだったんだ。本当に嬉しいよ。それで、さっきルチースさんに会ってきて、いったんだ。もしかしたら今みたいに泣かしてしまうことがあるかもしれない。けど、リンへの想いは絶対に誰にも負けないって。それで、ルチースさんに認めてもらえたんだ。」
リンは相槌をうちながら聞いてくれる。……よし、ここからが俺にとって大事な告白だ。俺はいったん深呼吸をして言葉を続ける。
「俺から告白できなかったから今言うよ。……俺はリンとずっと一緒にいたい。リン、お前の事が好きだ。これからは絶対にお前の事を離さないから。」
リンの目から涙が零れた。
「うん。私もあなたのことが好き。良かった、ディムが私のことを好きなままでいてくれて。」
その言葉は本当に嬉しかった。リンにつられて俺も涙を流す。
そして、俺たちは二度目のキスを交わした。でも、初めての時よりも長く、深い口付けだった。お互いの涙が混ざって、少ししょっぱい味がした。
俺はリンと付き合い始めた時よりもさらにリンの事が好きになった。これからももっとリンのことが好きになっていくと思う。
外ではまた雪が降り始めていた。


俺たちはベットに横になった。お互いの想いを相手に届けるように、1つに溶け込むように何度も何度もお互いの舌を絡めあう。
「リン、このまま先まで進んでいいのか?」
リンがそこまで望んでいないようだったら嫌だから、俺はリンに尋ねてみる。
「うん。……私はディムと1つになりたいよ。」
「わかった。……途中で嫌になったら言っていいからな?」
俺はまたリンにキスをした。そして、リンの首、手、腕、もう他にするところがないほどいたる所にキスをする。

だんだんとリンの呼吸が荒くなってきたところで、リンの胸をできる限り優しく揉んでみた。少々小ぶりだけど、俺にはちょうどいい感じがした。リンの胸はとても柔らかくて、気持ちよかった。
時々あげるいつもとは違う声に俺はだんだんと興奮を覚えてきた。俺はリンのだんだんと硬く、ぴんと起っていく乳首を軽く摘まんだ。
「ひゃ!!摘まんじゃだめぇ。」
「リン、普段の声も可愛いと思ってたけど、今の声も可愛いよ。」
「う、ディムのいじわる……は、恥ずかしいよ。」
しばらく乳首をいじっていたら、少しずつ声がだんだんと大きくなってきた。
俺はリンの秘所に触れてみる事にした。
「あ……」
触ってみると、そこは少し湿っていた。リンを見てみると、少し恥じらいと緊張が混ざったような顔をしていた。リンは俺と目が合うと、すぐに俯いてしまった。
リンの1つ1つの仕草が本当に可愛くて、胸の棘はあたらないようにしながら、思わず抱きついてしまった。
「ディ、ディム!?」
「……リン、しばらくこうしていようか。」
「う、うん!」
リンの顔はたちまち笑顔になり、しばらくお互いが腕に力を込めて、ぎゅうっと抱きしめていた。凄く満たされた想いが溢れてくる。
だんだんリンの体から力が抜けていくのを感じた。やっぱり緊張していたみたいだ。今日はこのまま抱き合ったままでもいいかもしれない。別にこれからもリンとは恋人同士なわけだし、今日だけしかできないわけでもないから……
そんな事を考えていると、リンが、
「……ディム、続けていいよ。早くしないとお母さんが帰ってきちゃうよ。」
と言ってきた。……でもリンはこのままでいいのかな?
「このまま先に進んでもいいのか?別に今日じゃなくてもいいんだぞ?」
「うん。さっきも言ったようにディムとやっぱり1つになりたい。心のどこかで、ずっと繋がっているって思い続けたいよ。」
「…分かった。じゃあまた始めるよ。」
そうしてまだ少し湿っている秘所を俺はまた触り始めた。
俺はリンに気持ちよくなって欲しくて、ただ夢中にいじった。
「リン、気持ちいい?」
「あ、そんなこと聞かないでよぉ。……な、なんか変な気分に、あん……なってきたかな?」
そろそろイきそうなのかな?
「そのまま俺に任せて。」
俺はリンが一番感じていたようだった秘所の豆みたいなところに口をあて、それを吸った。
「あ、ぁぁあっ!!」
艶やかな声を上げ、リンはそのままぐったりとベットに身を投げ出した。
「リン、気分はどう?なんかふわっとした感じかな?それより……」
いきなり視界が反転した。リンと俺の位置が逆転をし、リンが俺のお腹に乗って背中を向けていた。
「今度は私がディムを気持ちよくさせる番だよね?」
と振り向きながらいつもとは違う妖艶な大人っぽい笑みで笑いながら、俺に言った。

そして、リンが俺の反りたってしまっているアレを舐め始める。
「ちょ、ちょっとリン?き、汚いって。」
「ディムだから全然平気だよ。」
と言ってそのまま舐めるのを再開した。
その行為が続いていき、俺の下半身は湿っていく。
「くぅ、リ、リン。」
だんだんと理性が蕩け始め、昇りつめていくのが分かる。でも、
「ふぅ……ちょっと休憩。」
「……え?」
リンが俺のお腹に座って休憩をし始めた。
「あっ、ごめん。もっとやって欲しかったよね?」
と、なぜか凄く明るい顔でさっきまでの反応をみれば分かるような質問をされた。
「あぁ、凄く気持ちよかったし。」
「なら良かった。でも、ちょっと流石に疲れたからもう少し待っててね。」
「あぁ。」
確かに、身長差があるからリンにとっては疲れるだろう。病み上がりでもあるし。しばらく休憩をして、俺たちはまたキスから始めた。
お互いの唾液を交換したり、体温を確かめ合っていると、突然俺の下半身に快感が走った。目を開けて、そちらを見てみると……
「!?」
リンの頭のツノが俺の下半身を舐め始めていた。
リンを見てみると……目が笑っているように見えた。

何かをリンに言おうとしても、口が塞がれている為、何を喋れない。俺はキスを続けながら、下半身から来る刺激に耐え続けた。
キスは二人の息が続くまで続いた。
「ぷはぁ、リ、リン。いきなり……くぁ。」
「ふふ。気持ち良い?」
俺の顔を眺めながらまだツノで俺を弄る。俺はリンの性格がどんどん壊れていっているような気がした。
「そ、そりゃ気持ちぅ、良いけどさ。」
「良かった。……もっと気持ちよくし・て・あ・げ・る。」
いや、気がしたじゃない。明らかに壊れている。
背筋が少し寒くなった。
「お、おいリ、うあ。」
今度はツノと口の両方で俺を攻め立て上げる。……とてもじゃないが長くは耐え切れそうになかった。
あまりの攻めにとうとう限界が訪れそうになった。
「リン、や、やめ……?」
下半身に刺激がなくなってしまった。……何かものたりなかった。
途中で打ち切られたのはこれで2度目な事もあり、俺はリンに怪訝な顔をしてしまう。
「あれ?やっぱり舐めないほうが良かった?ディムの為に尽くしてみたつもりなんだけど……」
「い、いやそうじゃなくて……」
あまりにも恥ずかしくて言えない。このまま続けて欲しいなんて……
「けどどうしたの?ちゃんと言ってくれないと分かんないよ。」
そしてにっこり笑いながらこんな質問してきた。
……これは絶対分かってて聞いているよ。リン、いきなりどうしたんだよ!?
でも、欲望には勝てなくて……
「……もっと続けて欲しい。」
「うん。わかった。」
そうしてまたあの行為が始まった。


「くぁ、うわぁぁぁ。」
あの攻めによってとうとう俺ははててしまった。
あまりにも快感が強すぎて、息切れさえしてしまっている。
「はぁ、はぁ、リン、ちょっと疲れた。」
「ふぅ、お疲れ様。私もちょっと疲れちゃった。」
「じゃあ、もう少し休憩してからにしようか。」
「うん。」
次でいよいよ……か。
ふと、俺は自分のアレを見た。精液で塗れてしまったあれ……ってあぁ、重大な事忘れてたぁ!
「リン、風呂場ってどこ?」
「ふぇ?い、1階だけどどうしたの?ってディム!?」
俺はすぐさま風呂場に行って、体を洗った。



はぁ、はぁ、ちょっと流石に辛いかも。
俺はさっきまでの行為でふらふらになりながらも、神速を使って急いでコンビニに向かっていた。
……あれがないと、流石にやばいもんな。
「いらっしゃいませ。」
「す、すいません。あ、あの……。」
「どうしました?」
コンビニの人に怪訝な顔をされる。ど、どうやって聞いてみよう?
「あ、あの……最近久しぶりに帰ってきた兄貴に買って来いって言われて……。」
「何をでしょうか?」
「えっと、こ、コンドーム……。」
店員と俺の周りの空気が一瞬凍りついた。みえみえな嘘だったか?
「貴方のお兄さんもひどい事をなさいますね。貴方のお兄さんもルカリオでしょうか?」
よ、よかった。ばれずにすんだ。俺はそのまま店員さんにこれだと教えてもらい、コンドームを買って、神速でまたリンの家に急いで向かった。
は、恥ずかしかった。あの店員さん、雌だったしな。
俺は精神的にも肉体的にもふらふらな状態で力を振り絞って走った。

リンの部屋になんとか到着。部屋をでてからかかった時間は……30分位かな?
……少し匂いを消すためにシャワーあびすぎたかなぁ?でも、匂いが残ってて周りにばれたら、明らかに今すぐに使いますって言ってる感じで恥ずかしいし……。
とにかく俺はこれ以上リンを待たせたくはないと思い、部屋の中に入ろうとして……え?
り、リンが自慰をしていた。あのツノを自らの部分にあてて……。
な、なんか見ていると今すぐにでも襲いたくなってきそうな気分に陥る。
「うぅ、ディム、ディムゥ。」
最中に入るのはなんだか気が引けてしまい、それが終わるまで待っていた。
……ツノの使い方が上手かったのは、この使い方をしていたからなのかもな。
「リ、リン。は、入るよ。」
「あ、ディム!!」
俺が部屋に入った途端に、リンがいきなり抱きついてくる。……うっすらと涙を浮かべていた。決して行為をしていたからというわけでもないようだ。
「ひぐっ、えぐっ、良かった、ディムが戻ってきた。」
「リン、いったいどうしたんだ?」
「うん、だ、だって、いきなり部屋からで、出ちゃうから、私のことが嫌になって帰っちゃったのかなって……。」
あ、あぁ、なるほど。俺、何も理由を言わずに飛び出しちゃったっけ?
「リンの事、俺は絶対に嫌いにならないよ。何でそんな事思ったの?」
リンの顔が急に赤くなる。
「う、うん。あの、私のディムに対してやったことが嫌だったかなって……。」
あ、あれか。確かにいつものリンとは性格が違っていて、怖かったな……。
「そんなことで……、そういえばなんであんなことをしだしたんだ?確かにいつものリンとは違う感じがしたんだけど……。」
「あ、あのね、お兄ちゃんの部屋にあったエッチなビデオであんな事やってたから、雄ってあんな事が好きなのかなって……。」
あんの糞兄貴ーー。リンにそんなもの見せるような環境作ってんじゃねぇよ。しかも、そんな趣味してんのかよ。
俺は一気にルチースさんの事を幻滅した。
「それは好きな人は好きかもしれないけど……リンはリンのままで大丈夫だよ。俺の為にと思ってやってくれたんでしょ?ありがと。……結構、気持ちよかったよ。」
「う、うん。分かった。……それで、どうしてディムはいきなり外に?」
「あ、あぁ。このままやったら子供ができちゃうかもしれないからさ。避妊用具を買ってきた。」
「あ、そっか。」
そこでまた俺たちはお互いに顔を赤くする。
俺たちはこんな付き合い方がやっぱり一番だよな。お互いの心が通ってるみたいな感じがやっぱり安心するよ。
俺たちはそろそろ1つになる時を迎えようとしていた。

「い、いくぞ。」
「う、うん。」
ゆっくりと、ゆっくりと、リンが痛くならないように少しずつ……。
だんだんと何か暖かいものに包み込まれていく感覚が訪れる。
いっきにその感覚を味わいたくて、すぐにでも体を奥まで沈めたくなるが、リンの為にぐっとその考えを自分の心にしまいこむ。
そして……ついにしっかりと俺とリンは繋がった。
「リン、大丈夫か?」
「う、うん。今の所は何とか。」
今までで一番の熱い抱擁。これまでよりも深い繋がり。
ここまでいった事になんともいえない幸福感が訪れた。
俺は今までのリンとの思い出を思い出した。俺のせいでリンとすれ違ったりしたけど、今度からは絶対にリンを離したくない。
「ディム、そろそろ動いていいよ。」
「わかった。辛くなったら言えよ?」
「うん。ディム大好きだよ。」
それは部屋全体に響かないほど小さな声で、ただ1人、俺にだけ向けられた言葉。俺しか聞けない彼女の想い。
心臓の鼓動のように、たまに激しく、時には安らかに、途切れることなく続いた。
これからもずっと1つに、心も体も1つの共同体のように、混合物ではなく化合物のように、ずっとリンと繋がっていたい。
でも、やはり生きている限り、寄り添う事はできても、2つが1つになる事はなく、そろそろ最後に向かう時を迎えてしまって、
「ディ、ディム。そ、そろそろ。」
「俺もだ。リ、リン。」
俺たちは2人で同時に――。



次の朝、雪が昨日よりも控えめに降っていた。
思えばリンと会ったきっかけはいつも以上にたくさん雪が降っただけ。けれどもリンの存在に触れて得たものはとてもかけがえのないもので。
俺はいつもと同じ席に座って学校に向かった。そして……。
「おはよう。ディム。」
「おはよう。リン。」
「えっと、昨日はごめんね。」
「何のこと?」
別に謝る事は何もなかったような気がするけど……。
「だって、昨日改めて思い返してみると、は、恥ずかしくて……。ディムに対してあんな事。」
あぁ、リンが豹変したかと思ったあれか……。
だんだんとリンの顔が赤くなっていく。
「確かにあれは驚いたよ。あそこまで激しくするなんて……。」
「い、言わないでぇ。」
リンは顔を手で隠し、俺と目を合わせないようにした。
リンの一つ一つの動作がたまらなく可愛く、愛しい。
「あ、そうだリン。こっち向いて。」
「えっ?」
振り向きざまにリンの唇に俺の唇を当てる。
「昨日言い忘れてた事があって……リン、俺もお前の事、大好きだよ。これからもよろしく、な。」
「もぅ、いきなりすぎるよ。……私の方こそよろしくね。」
そういって、リンはこれから訪れる春を知らせるかのようなとても暖かい笑顔を見せてくれた。





 -END―


とうとう執筆終了しました。長かったようで、短かったようで……。
最後まで雪の降り積もる朝に付き合っていただき、ありがとうございました。
この2匹は別の形でまた出したいなぁ。


感想等コメントよろしくお願いします。

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • リンが可愛いすぎてつらい…
    てか、ルチースーーー!!!リンちゃんの周りにどんな環境作ってるんd(ラスターカノン
    ――アルファ ? 2012-09-29 (土) 09:31:52
お名前:

トップページ   編集 凍結 差分 バックアップ ファイル添付 複製 名前変更 再読み込み   新規作成 ページ一覧 ページ検索 最近更新されたページ   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2009-12-01 (火) 00:00:00
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.