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赤い彼女六節

/赤い彼女六節

久しぶりの更新です
シャオルーク


「兄さん!ちょっと来てー!」
「なんだよリム…」
リムに呼ばれて出てきたのは市場で売ってあった青い方の置物に似た生物。
リムがラティアスとすればまさかこいつは…
「…あ、え……まさか…ラティ…オス…?」
「…ッ……!!おいリム!この人間は一体なんなんだ!?」
その生物は俺の姿を見つけるなり、目付きを変えて攻撃体勢に入った。
「わっ…わわわっ…なんだってんだよ!俺が一体何したってんだよ!?」
訳の分からない俺は震える足で必死に後退りするしかなかった。
「黙れっ!この場所と俺達の姿を見られたからにはただで帰す訳にはいかないッ!」
「はあ!?意味分かんねぇし!ちょ、何で!?何でぇッ!?」
青い生物は怒りながら体の前に光を溜め始めた。
明らかに死を覚悟してもいい程の凄まじい殺気に、俺の足は逃げる事さえままならない程に震えていた。
何故俺がこんな目にあわなければならないのか、
ここに連れてこられたのは俺なのに、
俺はむしろ被害者なのに、
…駄目だ。事情を説明しようとしても口が動かない。
いや、この様子だと説明している間に殺られてしまうだろう。
そして光が段々と大きくなっていく。
『…ッ……!震えるな!俺の足!動け!動けよ!』
俺は震える足を必死に動かそうとしたが、まるで金縛りにあっているかの様に言う事を聞いてくれない。
そんな俺の前で光は更に大きくなっていく。
「消え失せろッ!ラスターパーーーー!!」
「ぐっ…!」
「ちょっと待ってよ兄さん!!」
身構えた俺の前にリムと名乗る生物が青い生物を止めに入った。
「…ッ……!?どういうつもりだリム!俺達の姿を見た人間は跡形もなく消し去る事が俺等の掟だ!そこをどけッ!どかないと言うのならたとえ妹であろうとも容赦はしないぞ!」
一度は動揺の様子を見せた青い生物だったが、再び先程の凄まじい殺気を体にまとい、こちらを鋭く睨み付けてきた。
「話を聞いてよ兄さん!この人は私を助けてくれたのよ!それなのに恩を仇で返すなんて駄目よ!」
その言葉を聞いて青い生物は驚いた様にこちらを見詰めてきた。
「こいつが…お前を…?」
更に青い生物はグッ、と俺に顔を近寄せ、疑わしい目付きでゆっくりと一周回って俺を見渡した。
「………。早とちりして悪かったな。俺はラティオスのラグナだ。こっちは妹のリム。」
やっと怒りが収まったのか、ラグナと名乗る生物は力を抜くと、どうも冴えない自己紹介をしてくれた。
『助かった…』
と、一件落着に思えたが、ふと冷静に物事を思い返してみると、
ラグナとやらの妹のリムとやらを輩から助けたのに無理矢理ここに連れてこられたうえに、命まで奪われそうになった。
次の瞬間、俺の安心の感情は怒りの感情へと変わっていた。
ここに来るまでの様々な怒りの記憶がいりまじり、俺は爆発寸前まで追いやられた。
「…納得いかねぇ。」
「ん?」
「納得いかねぇっつってんだよクソ野郎があぁぁ!!」



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Last-modified: 2011-12-28 (水) 00:00:00
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