ポケモン小説wiki
貴方へと捧ぐ、愛の初夢

/貴方へと捧ぐ、愛の初夢

Writer:&fervor
*官能小説です。そういった表現がいくつも含まれておりますので、お気をつけ下さい。
*また、この作品は人×ポケ、4P、同性愛を含んでおります。駄目な人はお帰りください。


除夜を過ぎ、新たな年の幕開けを果たしたこの夜。元旦を迎えるべく、月は山の後ろへと急ぐ。
闇はまだ外を支配している。屋内もそれは同じで、明かりらしきものは、機械の灯す小さなランプが数個だけ。
そんな中、ご主人は柔らかなベッドで眠っている。時折漏れるするりとした音で、ご主人が安息していることが分かる。
隣でふよふよと、あるいはひらひらと宙に浮いている数個の紅い珠。闇夜に融ける紫色の身体をした私は、ご主人をひたすらに見つめている。
冷蔵庫のモーター音、風が窓を叩く音、そして主人と私の吐息。静かすぎるが故に、そんな音が事細やかに認識できる。
遠くに聞こえる踏切の音も、ホーホーの鳴く声も、車の走り去る音も、それぞれを聞き取れるほどに、ただただ静か。
そんな中、掛け布団二枚にくるまっているご主人。――私にとっては、あまりにも無防備な姿で横たわっていた。

ご主人に出会ってから、もう三年以上。結局、去年もこの想いを伝えられなかった。
どれだけ想っていても、どれほど愛していても、……立ちはだかる壁はあまりにも強大。
人間とポケモン――種族の差。いくらもがいても、その差を乗り越えることは出来なかった。
私はご主人のポケモン。でも、それ以上の関係でありたい。友達よりも、相棒よりも、ずっとずっと、近い関係で――。
それだけを願い続けて、それだけを望み続けて、私は今までご主人の側にいた。ご主人に出会ったときから、ずっと。
なのに、ご主人は私に気付いてくれない。私の、本当の気持ちに気付いてくれない。……悔しかった。
もちろん、それが普通で、当たり前のことだけど。それでも、ご主人には気付いて欲しかった。

繰り返される自問自答。いつまでも終わらない葛藤。幾度も首を横に振ったこの考えに、身体はもう賛同している。
駄目。こんな事をしても意味がない。それどころか、ご主人を裏切ることになる。ううん、それは分かってる。……だけど。
――だけど、その関係でいられないなら。せめて、せめて今年初め、今夜くらいは。今だけは、と。
その場で宙を舞っていた身体が、自らの意志に反して――しかし、自らの意志に素直に――動き始める。
ご主人と一夜を、この初めの夜を共にしたい。ご主人と繋がっていたい。それが偽りでも構わないから……。

ふわりふわりとご主人の枕元へ漂い、やがて間近にて静止する。その次に、私はその安らかな寝顔を見つめた。
そのまま私は思念を集中させ、ご主人の夢に干渉し始める。――駄目だ、駄目だと自らを律する声が、遙か遠くから私の意志に呼びかける。
介入し終えたその瞬間、ふっとご主人の顔が歪み、再び無表情へと戻る。ご主人の夢は、これで私の意のままだ。
でも、ご主人が今見ている夢は初夢。一年を占うとも言われる、その大事な夢を。……私なんかが穢してしまって良いのだろうか。
今ならまだ戻れる、どうして私は()めないのか。どうして……。――やがて、私の僅かばかりの理性と正義は、その存在を私自身に否定された。
もう何も邪魔する物はない。……夢さえ支配してしまえば、身体も私の思うがまま。たった一時(ひととき)でも、ご主人を私の物に出来る。
……最初で最後の、ご主人との目合(まぐわい)。だからこそ慎重に、そしてゆっくりと。だって……大切にしたいから。ご主人と一緒の、最後の時間を。
これが終わればもう、今年からは……私の側に、貴方は居なくなる。貴方の側に、私は居なくなる。今夜限りで、私は――。
くすぶる火種に投入され続けた燃料。溜まり続けた感情は、堪えた時間を示すかのごとく大きく弾けて。
消し止めるための物も、消し止めようとする者も存在しえないこの空間で。私の意志は、ただひたすらに燃え上がっていた。


まだ私が進化もしていなかった頃。私の住処は、ぼろぼろになったビルの中だった。
人間が放置して、誰も住まなくなったそのビルの7階。私はいつも、そこで昼夜を過ごしていた。
辺りを見渡しても、あるのは何本もの柱だけ。恐らく、昔は会社があったのであろう、広々としたフロアが広がっていた。
昼は、微かに入り込んでくる日の光が窓際を照らす。夜は、月の光が、そして街灯が窓際を照らす。
そんな殺風景な場所で、私はいつも独りぼっちだった。友達と呼べるポケモンは、誰もいなかった。

この廃ビルに入ってくるポケモンはたくさんいた。恐らくは人間に捨てられたポケモン達が。
私は彼らに声を掛けた。友達になろうよ、と。一緒に遊ぼうよ、と。でも、帰ってくる返事はどれも似たり寄ったりだった。
馴れ馴れしい奴だ、うっとうしい奴だ、お前となんか一緒にいられるか、邪魔なんだよ、……。
私は諦めなかった。新しいポケモンが来る度に声を掛けてみた。何度も何度も声を掛けに行った。
それでも……結果は一緒だった。何度も罵られた。何度も傷つけられた。何度も何度も――。

時には怖がられたこともあった。時には拒絶されたこともあった。ゴーストポケモンというだけで、私を忌み嫌う者もいた。
私はひたすら恨んだ。私は何もしていないのに。私は何も悪くないのに。私はただ、生きているだけなのに。
私はただ、友達になりたいだけなのに。私はただ、一緒に笑って過ごせる仲間が欲しいだけなのに。
それなのにどうして?どうして私だけこんな目に――?

一度は全てを投げだそうかとも思った。一度は全てを壊してみようかとも思った。……でも、私はそうしなかった。
分かっていたから。それが意味のないことだって。そんなことをしても、何も変わらないんだって。
だから私は耐え続けた。一日、一週間、一ヶ月、一年、……。いつまでもいつまでも、ただひたすらに耐え続けた。
だけど、やがて限界が近づいてきた。長年耐えてきた身体も心も、もう傷だらけだった。諦めが、私の心の直ぐ側まで来ていた。
――そんなときだった。ご主人が私を救い出してくれたのは。同時に、私がご主人を想い始めたのは。

今でも鮮明に思い出せる。月明かりだけがほんのりと見える、静寂そのものの廃ビルの中に、人間が入り込んできた。
普段ならあり得ないこと。この時間に誰かが来るなんて。ましてや人間が――。
その人は階段をゆっくりと登って来ていた。7階にいた私の元には、乾いた足音が、連続して飛び込んできた。
一分が経った?いや、三十秒だったかもしれない。でも、二分は経っている気がする――。
やがて、規則的に刻まれていたリズムが、ふと崩れた。私は階段の方を向いた。……そこには、一人の人間が佇んでいた。

しばらくの間は、沈黙が続いた。暗闇の中で、私と彼は、永遠の時を過ごしているかのようだった。
やがて彼は尋ねた。泣いていたのは君か、と。私ははっとなって、彼から目を背けた。……恥ずかしかったから。
……全てを我慢していた私は、いつしか泣くことを覚えていた。涙は私の悲しみを、僅かばかりでも洗い流してくれていた。
誰にも気付かれないように、みんなが寝静まった夜に、たった独りで、そっと――。
彼は聞いていたのだろうか。毎晩毎晩、私が静かに泣いていた、その微かな声を。
詮索する間もなく、彼は再び私に尋ねた。僕と一緒に来ないか、と。私は驚いて、もう一度彼の方へとむき直した。
彼は笑っていた。優しさという物が、そこから止めどなく溢れているようにも見えた。
彼は臆することなく、そしてその笑顔を絶やすことなく言った。僕が君を助けてあげるよ、と。
助けてあげる。その一言で、私は彼に飛びついた。彼の胸にぶつかり、彼の顔をしっかりと見つめて。
彼はもう何も言わず、その笑顔のまま、私をそっと抱いてくれた。温かで細い、しかし逞しい腕で、胸で。
私も笑顔を返そうとした。それでも、私の瞳からは涙が溢れてきていた。いくら止めようとしても、その感情は止まらなかった。
私は暫く、彼に抱かれて泣いていた。声を殺して、それでもなお嗚咽しながら、まるで子供のように泣きじゃくっていた。
ずっと留めていた感情が、心の中で膨れあがり、流れてくる。悔しさ、悲しさ、寂しさ、辛さ、……。
私の全てを、彼はじっと、そして優しく、包み込んで、受け止めてくれた。


思えばあの時からだ。ご主人に恋をしたのは。……最初はただの、感謝の気持ちだと思っていたけれど。
今だから分かる。この気持ちはただの感謝なんかじゃない。もっと大きくて、もっと強くて、もっとずっと深いもの。
ポケモンが人間を愛するなんて、正直言って変なのかもしれない。それでも、この気持ちだけは本物だ。
嘘偽りなんて無い、本当の気持ち。……だけど、なかなか伝えられない。たったこれだけのことなのに。

……私は、ご主人のことが――あなたのことが大好き。誰よりも、何よりも。

でも……この気持ち、私は直接貴方に伝えられなかった。私が臆病だったから。私が遠慮しすぎていたから。
だから、その代わりに。強引でも良い。一度だけで良いから。……貴方と交わりたい。貴方と一つになりたいの。
やってはいけない、ってことは分かっているつもり。だけど、もう我慢できない。もう……後には戻れない。
貴方は夢の中で、貴方の望む物と、望む形で交わればいい。私はここで、独りで貴方と交わるから……。


僕は……そう、ポケモンでありたかった。出来るなら、人間の居ない平和な場所で暮らしたかった。
機械もない、電気もない、便利でもない。……あるがままの暮らしをしてみたかった。
ただ純粋に生を求める世界で、自然と共に生活してみたかったんだ。
もちろん、これも人間から見た一方的なものだって事は分かってるつもりだ。でも僕は、やっぱりポケモンになりたい。
そんな生き方が、僕の憧れであり、望みであり、願いであり、……叶えてあげたい、叶えて欲しい、夢なんだ。

それに、もしポケモンになれたなら……あの壁も越えられる。あの差を埋められる。
毎年想いを伝えられなかった。俺は人間。あいつはポケモン。――禁断の恋だ、こんなの。
今年こそは、と意気込んでみても、結局その想いはくすぶり続けるばかり。それが実を結ぶことはなかった。
だから、せめて初夢だけでも。……ポケモンになる夢を見てみたかった。そして、出来るなら、あいつと一緒に――。


ほのかに薫る青々とした草原。遙か頭上で煌めく日輪の輝きは、茶色と緑色に塗りつぶされている。
塗り残された白銀色の光――葉と葉の隙間、枝と枝の間隙さえもくぐり抜けてきたそれ――が、広大な森を精一杯照らす。
その光の筋に突き刺されて、思わず目がくらんだ僕。どうやら、少々眠りすぎたみたいだ。
前足を大きく、そして後ろ足を少し。前へと動かし、大きく一伸び。さっきまで小さく丸まっていた背中に刺激を与える。
続けて大きな欠伸を一回。首を、そして体を大きく振れば、身体も意識もようやく目覚めてくれる。
日も程良く照り、暖かな陽気。こういうときはやはり、頭、それと首回りの毛がうっとうしい。
もちろん、体温を下げるためには重要な物だけれど。それでもやはり暑苦しいのに変わりはない。
いくら熱さに強いとはいえ、やはり普通に、暑いものは暑い。自分のオレンジ色の体も脚も、それを感じさせるのに一役買っている。
そんな暖かさの中で、僕は朝ご飯を求め、近くの湖へと歩を進めることにした。

そろそろ付く頃か。これでようやく涼めるはず。そう思い、小走りで最後の道のりを駆け抜けようとしたその時。
横から来た何かに、僕は身体ごと吹き飛ばされていた。恐らくは生き物……ポケモンであろうその何かに。
立ち上がる間もなく、僕は仰向けのまま、僕より一回り大きなそのポケモンに押さえつけられていた。
灰色、そして黒に近い体毛。赤い瞳が、鋭い牙が、僕の眼に映る。匂いも考えれば、牡のグラエナ、だろうか。
とにかく、僕はそのグラエナに捕まったようだ。僕が藻掻けば藻掻くほど、載せられた足に力がこもる。
毛が弥立(よだ)ち、冷や汗が僕の足にしみ出してくる。炎を吐こうにも、体温を急上昇させようにも、爪を突き立てられた状況ではどうしようもない。
……もはや、逃げることなど敵わない。僕はこのまま彼の、彼の群れの栄養分と化すのか。半分諦めて、僕は足掻くことを止めた。
そうしたとたん、僕の諦めを感じ取ったのだろうか、彼は僕を抑える力を少し弱め、同時に仲間を呼んだ。
一匹は、黒い身体と頭には大きな角。もう一匹は、オレンジと黒の縞模様の体毛、顔、首、足にはクリーム色のふさふさした毛が。
どういう事だろうか。狩りをしていたのならばグラエナがもう十匹はいるはず。だが、出てきたのはグラエナではない――。

突如、僕は息をすることが出来なくなった。正確に言えば、口をふさがれたのだ。彼の、大きな牙が覗く口に。
そのまま、彼の舌が僕の口内へと進入してくる。拒もうとしたが、足、そして爪で押さえつけられ、脅されればどうしようもない。
為されるがまま、僕はただ呆然と事の成り行きを、まるで他人事のように見守っているばかり。
ちらりと横を覗けば、残りの二匹が僕に近づいてきていた。――まさか、これは……。

もちろん、僕自身にはそんな趣味はない。少なくとも、牡同士でそんなことをしたいとは思っていない。
だが、別の問題があった。僕自身それはうすうす気付いていたことだ。だが、こうもはっきりと現れるとは。
身体が熱い。まるで、内側から太陽が燃え上がっているみたいだ。それほどまでに、興奮していた。
重ねて言うが、僕は牡になど興味はない。……それでも、この特殊な状況が、僕に興奮――それも性的な――をもたらしていた。
いつ命を削られるかも分からない、自らはもはや彼らに服従するしかない、この緊迫した状況が。
受け、と言えばいいのだろうか。とにかく僕は、過度に興奮してしまうのだ。その状況に。

一体どれほど経っただろうか、あるいはほとんど経っていないのだろうか、一気に苦しくなり、僕は彼にそれを訴える。
もう駄目だ、そう思った瞬間に、彼は僕から口を離した。彼と僕の口の間には、とろりとした液体が糸を紡ぎ、光り、解れ、溶ける。
その輝きのなんと艶めかしいことか。見るものを惑わすような、不思議で妖しげな光に、暫し僕はうっとりとしていた。
その油断の合間に、僕の身体は新たな刺激を受け取っていた。もっと詳しく話すとすれば、僕の象徴そのものに。
股を大きく広げられ、露わになった僕の象徴に、もう一匹――ウインディは舌を這わせていた。
痺れるような快感が、身体全体にまで及ぶ。自らの意志とは無関係に漏れ出た声は、そう、まさに喘ぎ声と呼ぶのにふさわしかった。
荒い息が、ねっとりとした唾液が、ざらついた舌が、荒々しく、かつ巧みに僕の象徴を撫で上げる。
僕はいつの間にかそれを求め、抵抗を忘れ去っていた。それほどに魅力的だったのだ。生まれる快感が、この服従感が。


ご主人の息が荒れてきた。夢を覗けば分かる。ご主人は今、グラエナに押さえつけられている。そして次に――。
私はご主人の唇を奪い、彼の中へと舌を這わせる。夢の中と同じように、くまなく舐り、唾液を交換し合い、ひたすらに絡ませる。
ご主人が息切れを起こす寸前、私は口を離す。私とご主人との間には、ねっとりとした感触の糸が、柔い月明かりに照らされ、ほのかに煌めき、(ほど)ける。
艶やかな光沢が私を(いざな)う。自制心、羞恥心、そして理性。唾液の橋と共に、その全てが消えて無くなる。
気持ちの準備を整えた私は、そのままご主人の身包みを剥がし、ご主人の股を広げ、ご主人の象徴にそっと口を近づけて――。
その瞬間、ご主人の身体がびくり、と跳ねた。同時に、何とも形容しがたいような、まさに喘ぎと呼ぶにふさわしい声が、ご主人の口から漏れた。
大きく、堅く、そして正直に熱り立ったご主人の象徴を、しっとりと濡らし、舐り、絡み、そして愛でる。
私は既に、ご主人のその逞しい象徴の虜になっていた。舐めるだけじゃなく、もっと、もっと先へ――。

一呼吸置き、私は一気に、何の躊躇も無くご主人の象徴にしゃぶり付く。口の中でより堅くなったそれに唾液をまぶし、くまなく、そしてひたすら愛撫する。
ご主人の身体は幾度となく痙攣し、ぴく、ぴくと蠢いている。その淫らな様が、私をさらに深い、魔性の谷へと突き落とす。
動きはさらに加速し、激しさを増す。舐るだけではなく、ひたすら吸い付き、時には細い穴を少しばかりこじ開ける。
決壊を寸前に控え、喘ぎをより一層大きくしたご主人を見て、私はある行動を取った。……私は口を離し、そっとご主人から離れたのだ。
瞬時に止む喘ぎ。止まる痙攣。そして何より、半ば不満そうにひくひくと動くご主人の象徴に。私は眼を、心を奪われた。
もっと……もっとご主人に、快感に溺れて欲しい。心ゆくまで弄り続けて、自ら求めるまでになってもらいたい。
ふつふつとわき上がる衝動が、私の頭を支配し、やがては身体を支配し、そして行動へと表れていった。


一体、どれほど舐められただろうか。僕の象徴は痛々しいほど張り詰め、彼の唾液でてらてらと光っている。
そして次の瞬間、そこが受け取る感覚に変化が訪れた。それと共に、僕へ伝わる快感が数倍にも膨れあがった。
中空を見つめていた自らの視線を移せば、本来あるべきはずの場所に、僕の象徴は見えない。代わりにあるのは、彼の凛々しい顔。
舐るだけでは飽きたらず、どうやらそれを口に含んだらしい。僕の……その部分が熱い。まるで融けそうなくらいに。
自然と漏れる乱れた声、自然と反応する自らの身体。残りの二匹に見られながらのこの状況で、僕はむしろ快感さえ覚えていた。
見られる悦楽。同時に、自らの象徴も彼の新たな動きに悦びを覚えている。僕はただ、その状況に身を任せ、うっとりと快楽に浸っていた。

しかし、次を期待した僕に突きつけられた現実は、想像とはかけ離れたものだった。
あと少し、と言うところで口を離され、口惜しそうにぴくぴくと動く僕の象徴。僕自身もまた、もやもやとした気持ちが残っていた。
今なら逃げることも出来る。でも僕は、僕の気持ちは……。……求めていた。欲していた。続きを……彼らの攻めを。
駄目だ、ここで逃げないと……。理性では分かっていても、やはり強大な本能の前には太刀打ちできない。
すっかり彼らの虜となった僕は、いつの間にか物欲しげに彼らを見つめていた。僕の尻尾は、地面を擦りながらゆらゆらと振られていた。
それを見て満足したのか、彼らは次なる行動を開始した。今度は先ほどまでただ傍観しているだけだった黒――ヘルガーも動く。
彼は僕の象徴へ、そしてウインディは僕の乳嘴(にゅうし)へと前足を伸ばす。残ったグラエナは、僕の口へと近づいてきていた。
だが、そこにあてがわれたのは彼の口ではなく……彼の象徴、まさにそのものだったのだ。


私はご主人が舌を出し、舐める動作を始めたのを見て、私の秘部をそこへとあてがった。
私のその部分から流れてくるこの刺激は、まさに快感と言うにふさわしい、何とも心地よい、痺れるものだった。
少しざらついた表面が、私の丸い割れ目をなぞる度に、私の口からは思わず鄙猥な声が漏れる。
癖になりそうなその生暖かな、じっとりとした舌使いに、私は暫し身体を委ねる。
やがてご主人は舌を引っ込めた。私はそれを察し、すぐさまご主人の口を私の蜜壷で塞ぐ。
少々苦しそうにしながらも、しっかりとした、且つ淫乱なその舌技。私の身体は、正直に反応を返していた。
私自身のカーテンで覆われ、ご主人の顔を見られないのが残念だけど……今はそれ以上に、とにかく気持ちいい。
蜜壷から、止めどなく、じわりじわりと液体があふれ出してくるのが分かる。
ご主人の息継ぎを待ちながら、私は何度もご主人の舌に身を委ねた。ご主人が、そして私が満足するまで、何度も。


僕のものよりも遙かに巨大で逞しいそれが、僕の口の中へと進入してくる。噎せ返るような雄の匂いが、僕の口の中へと充満する。
時を同じくして駆け巡る快感。胸の突起を吸われ、同時に爪でこり、こりと転がされる。依然として僕の象徴は多量の唾液に覆われている。
三カ所を同時に攻められ、本来ならば確実に"辛い"と形容されるべきであろうこの状況さえも、僕は楽しんでいた。
世間一般で言うならば、"堕ちた"とでも言えばいいのか。とにかく、僕は彼らを受け入れ、彼らに僕の身体の全てを託していた。

音で言うならば、二カ所からはじゅるじゅると。一カ所からはピチャピチャ、こりゅこりゅと。何とも淫猥な音が響いている。
だが、それだけではとうてい表現しきれないほどの鄙猥さが、この場を支配している。
晴れ空の中、淫らに絡む四匹の雄。噎せ返る匂いはとうてい華やかとは言えない、何とも生臭いもの。
しかし、そんなことも気にならないほどに。僕も、そしてかの三匹も興奮していた。
皆が皆、どことなくとろりとした、馨しい目つきをしている。……尤も、雄でその目つき、というのは想像しがたいものがあるのだが。
そして何よりも、艶やかで艶めかしい、淫乱にいきり立った四本の、(おのおの)の肉棒が、より一層その場の空気を盛り立てていた。

しかし、なおも続くこの行動に、僕はいささか不満を感じ始めていた。……出来るのならば、その先が欲しい――。
そんな欲までもが生まれ始めた僕は、恐らく完全に彼らのもの――彼らの所有物――となっていたのだろう。

それを察したのか、ふと全員が行動を中断する。またもや寸止めを食らった僕の象徴は、もう我慢できないとばかりにわめき立てていた。
やがて、僕は目で合図をされる。立て、と。そして僕の……穴をこちらに向けろ、と。
もはや何の戸惑いもなかった。ただひたすらに、彼らのその立派なもので僕を貫いて欲しかった。滅茶苦茶にして欲しかった。
僕はゆっくりと立ち上がり、ウインディに僕の後ろをさらけ出す。尾を高く上げ、ひたすらに振る。その仕草は、まさに雌が雄を誘うときのそれと同じ。
まずはグラエナが僕の下へと潜ってきた。僕自身の猛る雄へと舌を伸ばし、さらにはそこを口で覆う。ぬらり、としたその衝撃一つでさえ、僕の最後の壁を崩すのには十分。
だが、ここで果ててしまうのも情けない。せめて彼らが"最後"をしてくれるまでは――と、最後の一念を振り絞って応戦する。
そして、今度はヘルガーが僕の口へとやってくる。差し出された彼の棒に、僕は必死で奉仕した。早く早く、と催促の意も込めて。
その従属ぶりに満足したのか、ウインディは僕のその穴に、彼の象徴をあてがい、そして――。


ご主人が不満を夢の中で訴え始めた。それに気付いた私は、ご主人の口から私の丸みを離し、いよいよ、とその準備に入る。
私のその割れ目も、既に受け入れる準備は整っていた。十分すぎるほどに濡れ、甘い蜜を垂れ流している。
――これでようやく。ようやく、彼と私は一つになれる。どれだけ夢見ただろう、この光景を。
あの頃から、ずっとずっと望んでいた夢が、願っていた事が、ついに現実に……。
私はそっと移動して、ご主人の象徴の真上へと浮かぶ。後は、そのまま腰を沈めていくだけ。
ちょん、と先端が触れただけで、私もご主人も大げさな喘ぎと反応を示す。そして――。


そして――。
――ズプリ、とでも言えばいいだろうか。何とも淫らな音と共に、象徴が()の中へと刺さってくる。


熱い。とにかく熱い。太く、堅いそれが今、僕の純潔だったその穴へと差し込まれた。
今まで誰の進入も許してはいなかったそこは、必死の抵抗を見せる。……痛い、痛い、痛い、痛い。
それしか言葉が出てこないほどに痛い。しかし、一向に抜いてくれる気配はない。それどころか、徐々に奥深くへと入ってきている。
未だに(ほぐ)れないそこ。無意識のうちに力を入れてしまっていたようで、ウインディは僕にそれを訴えてきた。
それを聞いて、僕は身体の力を抜き、深呼吸をする。そして、彼の挿入と共に一気に息を吐き出す。その効果あってか、一気に彼は奥へと突き進む。
時を同じくして、残り二匹の動きも活発になる。痛みで少し遠ざかっていた絶頂が、一気に現実味を帯びたものへと変わる。
痛みは依然として残っている。だが、それが徐々に快感へと変わってきているのも分かる。
そして、さらに奥へと到達し、ある一点を突かれたその刹那。僕が今まで堪えてきたものが、さらなる快感と共に解き放たれた。
呻き声なのか、喘ぎ声なのか、よく分からないような声と共に。僕は、白濁した自らの子種を、勢いよく放っていた。
それはまずグラエナへと襲いかかり、彼は噎せつつ、僕の雄から顔を遠ざける。その後は床へと何度も何度も放たれる。ガクガクと震える足が、自らを支えきれずに崩れそうになる。
しかし、それをウインディは器用に支え、再び抜き差しを開始した。同時に、残りの二匹も彼らの役割を果たし始める。
ヘルガーも堪えきれなくなったのか、ついには腰を振り始め、僕の口へと抜き差しを始めた。
グラエナは僕の放った精を舐め取りながら、敏感になった僕の象徴を再び撫で、そして舐め上げる。
そして、数度の挿入の後に。ウインディは軽く唸ると、僕の中にその熱い精を放ち始めた。
その量の多さに、僕の腹部はひときわ膨れあがり、そして熱く燃えたぎる。……今まで味わったことの無いような快感が、僕の中に注ぎ込まれる。
大量の精を放ち、満足したのか、ウインディはそっと彼の棒を僕から抜き、脇へと退いた。――だが、それだけでは終わらない。
次に控えていたのは、先ほどまで口で腰を振っていたヘルガー。その後にはグラエナも控えているはず。
僕の快感は終わらなかった。内側を擦りあげられる度に悶え、叫び、乱れ、果てる。
快感に溺れ、悦びを求め、ただひたすらに懇願し、服従している僕は、もはや彼らの"玩具(おもちゃ)"でしかなかったのかもしれない。


熱い。とにかく熱い。太く、堅いそれが今、私の純潔だった割れ目へと差し込まれた。
今まで誰の進入も許してはいなかったそこは、必死の抵抗を見せる。……だが、既に十分解れていたそこは、抵抗空しくあっという間にそれを受け入れた。
堅く、立派な、逞しいそれは、私の柔らかな内壁を擦りながら、徐々に奥深くへと潜ってくる。
はぁはぁ、と荒い息づかいが、彼の、そして私の口から漏れる。時折混ざる声は、間違いなく淫らな喘ぎだろう。
やがて、腰を沈めていた私の元に、ささやかな抵抗がやってきた。……これを越えたら、私はもう、本当に純潔ではなくなる。
……でも、それでもいい。私はむしろそれを望んでいる。ポケモンと人間、例え種族は違っても……この愛だけは、本物だから。
一呼吸置き、私はさらに深く、力を込めて腰を落とした。何かが裂けるような感覚。多少の痛みと共に、私とご主人は……一つになった。
私のその割れ目から、少量の血のような黒く濁った液体が垂れ、ご主人の身体を少しばかり汚す。ご主人のその、逞しくも華奢で、細身の身体を。
それでも、もう二度と戻れない。一線を越えず、ずっとパートナーだった私たちには。一定の距離を保ってきた私たちには。
私の中に生まれた鈍い痛み。それが引くのを待ってから、私は全てを終わらせるべく、そのための行動を開始した。
ためらうことなく、一気に最深部まで腰を下ろす。かと思えば、すっと腰を上げ、即座にご主人の象徴を私の割れ目の中で撫で上げる。
再び腰を落とせば、何とも心地良い、そしてそそるような、まさにこの場にふさわしい水音が空気に波を立てる。
断続的に続く音、連続して行われる腰の上下に、ご主人は、私は、例えようのない快感を覚え、本能のままに喘ぐ。
身体と身体がお互いに触れ合い、お互いに撫ぜ合う。声と声が、そして音と音が重なり合い、淫らで熱い響きを奏でる。
闇を引き裂くのは音だけ。ほのかな明かりに映し出されるのは、一人の人間と、一匹のポケモンが重なり合う姿。
私も、そしてご主人ももうそろそろ限界が近づいている。……これで、これで最後。
ひときわ大きく腰を引き、勢いを付けて、一息に下ろす。限界まで熱くなった私の中で、ご主人の象徴が暴れ出す。
同時に私も大きな声を漏らしながら、大量の蜜をはき出す。私の中では、内壁がきゅっと引き締まり、ご主人が放った精をくまなく搾り取っている。
私の身体が燃えるように熱い。私の中が焼けるように熱い。ご主人の身体に寄りかかり、私はご主人の顔を覗く。
喘ぎながらもどこか幸せそうな表情を見せるご主人。その顔を見たとたん、私の中で再び何かがわき上がってくる。
再び体勢を立て直し、もう一度ご主人との繋がりを求める。快感に酔いしれ、悦びを求めるご主人を攻め抜くために。
夢の中で、そして現実(ここ)で、悶え、叫び、乱れ、果てるご主人と共に。私はいつまでも、私の所有物(おもちゃ)で遊んでいた。


僕は一体、何をしていたんだっけ。ただ、身体が酷く疲れている。同時に、妙に気分が高ぶっている。
僕一人立っている、この暗闇の中に。現れたのは一匹のポケモン、僕のパートナー、ムウマージ。
彼女は何も言わず、ただ僕を見つめている。何かを期待するような眼差しで、何かを求めるような眼差しで。
その眼差しには、何か重大な意味が込められている気がする。そしてそれは、僕がもっとも欲しかった気持ち、そんな気がする。
僕は尋ねた。君は、僕のことが――、と。その先を言わずとも、彼女にその気があるのなら、分かってくれるはずだ。
彼女は答えた。私は、貴方のことが――、と。そうか、悩んでいたのは僕だけじゃなかったんだ。
もう、自分の気持ちに嘘なんかつきたくない。だだっ広い黒の空間の中、僕と彼女だけがそこに居た。
僕は彼女をそっと抱きしめる。そして、彼女の顔を真横に見ながら、そっと呟く。
――パートナーなんて垣根は越えて。お互いに恋をするものとして、いや、その先……夫婦として。
――一緒に、居てくれないかな?
彼女はそっと呟いた。闇にかき消されそうなほど小さな声で、ただ一言。そして――。


目を開けると、凄まじい光が、辺りには炸裂していた。眩い輝きが、辺りには広がっていた。私は……。
私は辺りを見回した。ご主人が使っている、見慣れたベッドの上だった。だが、その上にご主人は居ない。
どこを見ても、ご主人が居ない。あの後寝てしまったんだとしたら、ご主人はきっと、全て知ってしまった。
全てを知ってしまったんだとしたら、当然ご主人は怒っただろう。きっと、もう私を捨てて、どこかへ……。

金属がふれあう音、何かが動く音。ガチャリという音と共に、部屋のドアがすっと開いた。
そして、その先に立っていたのは一人の人間。見間違うはずもない、確かに私のご主人だった。
どうして、と私は思わず口走った。あまりにも衝撃的だったからだ。ご主人の顔は、怒ってなどいない。いつもと同じ、朗らかな表情。
そして、ご主人は確かにこう言った。僕は、君のことが――、と。小さく、ぽつりと、でもしっかりと。
ご主人の顔はまるで逆上せたかのように赤かった。それでも、私の返事を待って、ただ静かに立っていた。
私はどれだけ罪深いことをしただろうか。どれだけ申し訳ないことをしただろうか。……それでも、ご主人は私を好いてくれている。
嬉しかった。とにかく嬉しかった。私の全てを見て、私の過ちを知ってもなお、ご主人は私を……。
ご主人が私に伝えてくれた。ありったけの気持ちを。なら私は、それに答えるだけ。
私は覚悟を決めた。この言葉を伝えようと。嘘偽りない、本当の気持ちを伝えようと。そう、私は――。
私は、貴方のことが――。ただそれだけを、こっそり、ひっそりと伝えた。しっかり、はっきりと伝えた。
それを聞いたご主人は、私の元へと駆け寄り、私をそっと抱きしめた。ご主人の顔は今、私の真横にある。
ご主人の鼓動が、私の身体に伝わってくる。ご主人の身体の熱が、私の身体に伝わってくる。
――パートナーなんて垣根は越えて。お互いに恋をするものとして、いや、その先……夫婦として。
――一緒に、居てくれないかな?……細々と紡がれた言葉の羅列を理解した私。もう、言う言葉は決まってる。
ただ一言。ただ一言、私は小さく、且つ力強く、言葉を返した。これからを共に過ごす、最高のご主人……夫に対して。

宜しくお願いします――、と。


初日に照らされた一人と一匹の顔が、そして口が、ふわりと重なる。
初夢が今、正夢に――。



最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • ムウマージ寝てたんですねw -- ? 2009-01-01 (木) 02:32:58
  • 自分の主人を現実と夢で犯すムウマージが最高でした。良い小説を見させてもらい、ありがとうございます。 -- ガルトル ? 2009-01-01 (木) 09:44:49
  • いいはなしだなー -- 2009-01-02 (金) 01:10:47
  • >>リングさん
    何せ夢ですから。前のようなものもあり、今回のようなものもあり……です(笑
    ものすごく良い子です。こんなポケモンが家に……まさに夢のようですねぇ。

    >>GALDさん
    こんな夢が見られます。相手を焦らせば焦らすほど(ry
    新年早々こんなもの投下してしまいましたが……気に入っていただければ幸いです。

    >>fighterさん
    喪中なのですか、それは大変ですね……心中お察しします。
    こんな奴ですが……、応援していただけますか、本当にありがとうございます。

    >>眞さん
    どうやら寝てしまっていたようですね。ですが、結果は良い方に転んだようなので、むしろよかったのかな、と。

    >>ガルトルさん
    夢でも真でも、二つを同時に味わえるのはやはり魅力的ですね。さすがはムウマージ(笑
    良い小説かどうかは分かりませんが……(汗)、気に入っていただけたようですね、嬉しい限りです。

    >>↑
    久々のハッピーエンドだったのですが、お気に召したようで……ありがとうございます。

    返信が遅れて申し訳なかったです。
    皆さん、わざわざコメント本当にありがとうございました。 -- &fervor 2009-01-04 (日) 00:17:51
  • 俺も襲われたいと思った俺は異端ですか?
    ……御主人サイド読んでるだけでとんでもないことになった -- 2009-02-10 (火) 14:12:39
  • >>↑
    コメントの返信遅れてしまいまして、ごめんなさい。
    そう言っていただけると嬉しいですね。いえ、いいと思いますよ~。
    コメントありがとうございました。 -- &fervor 2009-02-20 (金) 23:26:10
  • 人×ポケモンで結ばれるのは許せるとして・・・(性的な意味で)  夫婦まではいきすぎかと(逝きました) -- メタリック ? 2009-07-02 (木) 18:00:47
  • 彼らが望んだことですから、きっとこれで良いんだと思いますー。彼らの幸せを願ってやってくださると嬉しいです。
    コメントありがとうございました。 -- &fervor 2009-07-05 (日) 10:51:45
  • ご主人サイドが予想外にエロくて驚愕。
    やはりポケモンは♂でもいいものだと痛感させられました。
    素晴らしい作品をありがとうございます。
    ――KELP ? 2010-09-27 (月) 03:12:29
  • >>KELPさん
    雄は雄で良いものなのです。こういうの嫌いじゃないですし……w
    楽しんで頂けたなら幸いです。コメントありがとうございました。
    ――&fervor 2010-11-20 (土) 23:36:11
お名前:

トップページ   編集 凍結 差分 バックアップ ファイル添付 複製 名前変更 再読み込み   新規作成 ページ一覧 ページ検索 最近更新されたページ   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2009-12-01 (火) 00:00:00
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.