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見た目じゃない

/見た目じゃない

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 『見た目じゃない』
              作者:かまぼこ
              注:人×ポケ描写があります。

「ごめんなさい。やっぱり私、あなたのことは……」
 好きになれそうに無い――。
 段々と肌寒くなってきた秋風の吹き抜ける中、美人な俺の――『元』彼女は、初めてのデートで
心を弾ませる俺に、冷めた目でそんなことを言った。
「じゃ、そーゆーことで」
 俺に一通り「嫌い」な旨を告げると、目の前の彼女は、俺のほうを振り返りもせず、
足早に去っていった。この事実に俺は愕然とした。
 そんな。
 今まで俺は、彼女のことを理解しようと、受け入れようと頑張ってきたのに。
 好きだったのに。
 だが、彼女は俺を受け入れてはくれなかった。
 俺を理解しては、くれなかった。
 どうしようもない現実に、俺は体を震わせた。

「うおぉぉぉをををああああ! バッキャロォォォーーーーーー!!」
 近所迷惑を顧みず、俺は喉の奥から声を出して、堤防の道を疾駆した……滂沱しながら。
 河原で憩っていた人やポケモンが、俺の心も知らないでこちらに目を向けてきたが、
もう知らん。構うものか。
「どちくしょおおおおおおおをを!!!」
 畜生! 何だってんだあのくそアマ!!
 今になって新しく「好きな人が出来た」だぁ!?
 しかも嫌いな理由が、『見た目』だとぅ!!? 『好みじゃない』とな!?
 そんな自分にはどうしようもないことを色々と指摘された。
 俺に色々至らぬ点があったのはわかるし、そんなにイケメンでもないのは否定しない。ええ。
 でも見た目の問題の関しては、『じゃあ何でOKしたんだよ』と言い返したくなる。
 ようやく俺が彼女に思いを告白したときには、まんざらでもなさそうにOKしてくれて、
俺は舞い上がるほど嬉しかったのに。「やはり男は見た目じゃないのだ」と、実感していたのに。
 一度受け入れておきながらも突き放されてしまった事実が、俺の心をより痛めつけていた。
「結局貴様の好みは見た目だけかぁあああい!」
 再び叫んで、俺は爆走を続けた。

 暫くして息が切れてきたので、俺は立ち止まって呼吸を整える。
 ひとしきり叫んで落ち着きを取り戻したおかげか、冷静にさっきの出来事を振り返る。
「……」
 しかし、彼女からそういわれることは、なんとなく予想がついていた。
 そして……これでよかったのかもしれない、とも思えた。
 元々、俺と彼女とは性格も好みも、考え方も趣味も全部違うし、合うハズもなかったのだ。
 それに彼女は俺と同い年だが、社会人だし、俺のような落第生などと付き合っている暇は無いのもわかる。
 しかも彼女は美人で、以前からかなりモテているという事は知っていたし、他にも彼氏がいるらしいという噂も、
知人から聞いていた。 
 彼女のほうも元々消極的だったみたいだし、色々違いすぎたから、仕方が無かったのだ。
 残念ではあるが、そのほうが俺にとっても彼女にとっても良いことなのだと、心に言い聞かせる。
 ただ、最終的に見た目で判断されてしまったのは、非常に業腹だが。
「はぁぁ……くっそお……」
 俺は深く嘆息し、さっきまで爆走していた堤防の道を後にした。
 しかし、面と向かって嫌いと言われると、やはり心はズタズタに傷つく。
 泣きたくなってくるくらい、ガラスのハートは粉微塵。しばらくは立ち直れなさそうだ。
 恋どころか、普通の人付き合いにすら、自信をなくしそうだった。
 ともかく、俺の恋はこうして終焉を迎えた。さようなら俺の初鯉……じゃなかった初恋。
「どーせ俺は見た目も悪いダメ人間ですよーだ……」
 子供みたいな自虐を呟きつつ、俺は心を少しでも軽くすべく、ある場所へと脚を進めた。
 こんなとき、男が心に深い傷を負ったときに必ず必要な、心の癒しを求めて。


「チックショ~なぁにが「見た目がダメだから」だぁ」
 ベロベロンに酔った俺は、夜道を歩きながら呂律の回らない愚痴をこぼした。
 フラれてすっかり心が腐った俺は、飲み屋へと向かった。
 人間、辛い思いをしたときは酒を飲んで、こうして愚痴をぶちまけてしまうのが、
心の健康を保つためにはよいことなのだ。
 本来、俺は酒はあまり得意じゃないが、今はとことん飲みたい気分だった。
 だから俺は飲みまくって、少しでも今日のことを忘れようとした。
 しかし、何杯飲んでもあの女の嫌悪を露にした嫌な表情が脳裏に浮かび、
そのたびに酒を追加しては、喉に流し込んでいった。
 結果、俺はぐてぐてになって、住まいのアパートへの帰路についている最中だった。
耳孔に届く声や音も、エコーがかって頭はもうワユンワユン。
 頭の片隅で「少し飲みすぎたな……」と反省しつつも、なんとかあの女のことを思い出さないように
必死であった。
「男は見た目じゃねぇだろうがよぉ……」
 まったく。男が見た目で決まるなら、世の中のイケメン以外の男はどうすればいいというのだ?
 勝手なことをいいおってからに……。
 脳内でも愚痴を呟きつつ、俺は繁華街を離れ、近道をすべく公園の中へと入っていった。

 深夜の公園は、大体は誰もおらず静寂に包まれているものだ。
 しかし、俺が入り込んだその公園は、不幸なことにカップルだらけだった。
 順調に恋路を進む連中ばかり。
 しかも周りに目をやれば、野生ポケモンのカップルも無数にいる。
 左を見ればニドランの雄と雌が愛おしそうに互いに体をこすり付けあい、
右を見れば、エーフィとブラッキーが互いの体をペロペロと舐めていた。大爆発しろ。
「あーくそっ……」
 俺は小声で、悪態をつく。ポケモンまでもが仲を深めている様子を目にして、
とたんに自己嫌悪が始まって、絶望的な気持ちになる。
 俺はダメ人間。こういうのは俺には縁の遠い……否、縁の無いことだったのだ。
 仕方が無いことなんだと思う。
 だから、羨ましくなんかない。絶対。いや多分……。
「うう……頭いてぇ」
 公園を抜け、昼間爆走した堤防の道に戻ってくると、酔いが酷くなってきて、頭痛までし始める。
 同時に視界が揺れはじめ、とうとう俺はバランス感覚を失って転倒し、草の生えた堤防の斜面を転落した。
 もうどうなってもいいや。という捨て鉢な考えまで浮かんで、俺は重力に身を任せ、下の川に向かって転がった。
 ばしゃあん!
 俺は頭から川に突っ込んだ。
 これで俺が溺れ死んだら、俺らしい末路だと思えた。俺のようなダメ人間には、こんな最後がお似合いだと。
 しかし、幸い浅い川だったから、体が沈み溺れるような事は無かった。
 水に浸かったのは頭だけで、他の部位や所持品の入った鞄は水没を免れる。
 冷たい川の水が俺の顔を舐り、酔いきった頭を冷やし、醒ましていく。
「あー……」
 呻いて、何とか体を起こす。濡れた髪の毛が額にくっついて非常に不快だ。
 相変わらず頭が痛いが、既に夜遅く、早く帰らなければならない。俺はふら付く脚で、もう一度体を立ち
上がらせようとしたとき、あるものが目に入った。
「……あん?」
 近くにある橋の下の暗がりの中で、何かが動いたのだ。何かが、橋の下にいる。
 俺は気になって、ゆっくりと橋の下まで近づいてみると、その形が段々と見えてくる。
 その正体は人間ではなく、どうやらポケモンのようだった。
 だが、何か様子が変だった。蹲って、体を震わせているようにも見える。
「……? おい……どうしたぁ?」
 一体何をしてるんだ……? 気になった俺は朦朧とした頭で、ソイツに声をかけてみたが、
その直後、俺の意識は途切れた。


「う……ん」
 呻いて、目を開けると、目の前に見知った光景が広がっていた。
 木板の張られた天井に、そこから吊り下げられた蛍光灯。
 俺の住まいである、アパートの部屋だった。
 俺はゆっくりと体を起こし、周りを見回した。
 中古家具屋で安く買った冷蔵庫。ちゃぶ台の上に置かれた購入したばかりのマンガ雑誌と、
愛用の湯飲み。間違いなく俺の部屋だった。
「ウ……痛ぇ」
 そして、二日酔いで痛む頭を動かして、昨日に起きた出来事を思い返す。
 女にフラれて、傷心を癒そうと飲み屋に行って、飲みすぎてフラフラになって店を出て……
 それから先が思い出せない。
 どうやって家まで戻ってきたのかも、よく覚えていない。それにこうして布団に入ったことも、
まったく覚えていなかった。
 確か、店を出てから近道して川へ戻ってきて……。
 そこまで記憶を辿っていると、突然フラれた女の顔が脳裏に浮かんだ。
 あの憎々しいゴミを見るような目。忌々しい言葉の数々。
「クソっ!」
 ドンと、俺は拳で畳を叩きつつ、胸中であの女を呪った。
 その時であった。もそり。と俺の布団の中で何かが動いたのだ。
「……ん?」
 更にもそもそと、立て続けに掛け布団が動いた。
 何かいる。
 そう思って、俺は戦慄した。
 先日、何故か家に野生のヤブクロンが入り込んで騒ぎになり、大家にお小言を言われた
ばかり(俺のせいにされた)だったので、また何かそいつが入り込んでいるのかと思い、
俺の額につめたいものが流れる。
 ちなみに、ヤブクロンは裏のゴミ捨て場からきたらしく、後に大家が
侵入経路だったであろう流し台の小窓を修理してくれたので、ポケモンが入り込む
ようなことはそれ以来無かったのだが、まさか、また……!
 そう思いながらも、俺はその正体を確認しようと恐る恐る掛け布団を捲った。
「……はっ?」
 その正体は、ヤブクロンではなかった。
 それは、体長が大体1メートルくらい。手足は短く、茶色っぽい体をしている
二足歩行の丸っこいポケモンだった。その後頭部には、茶色のブチ模様が一つ。
 それが、俺の股座でうつ伏せになって寝息を立てているのだ。
「んぅ……」
 そんな声を出しながら、ソイツは寝返りを打った。すると、その顔がハッキリと見える。
 ソイツの顔は、一言で言うと渦巻きだった。正確に言うと、両目にあたる部分が、
左右対称の渦巻き模様になっていて、まるで、マンガのキャラクターが目を回した時のような
顔をしたポケモンだった。
 ポケモンにはあまり詳しくない俺だが、コイツは前にテレビか何かでみたことがあった。
 確か、いつも混乱しているようにフラついて動き、体のブチ模様は個体によって異なっているという、
ブチパンダポケモン『パッチール』とかいう種族だ。
「お……い。何してんだ」
「ん、んぅ~……」
 その声で目覚めたのか、そのパッチールはゆっくりと体を起こし、その特徴的な顔を
俺に向けた。
「んぁ……おはようございますぅ」
 気だるげな声で、パッチールは言った。その声色から、雌のように思えた。
「おはようございますじゃねぇ! お前は何で俺の家にいるんだ!?」
 語気を荒くして話しかけると、ソイツは何となくむくれた顔をして、言った。
「むっ! 何ですかソレ。昨日の夜、あなたが誘ったくせに!」
「はぁ!?」
 まったく記憶に無い。俺はそんなことをやったのか?
「私はいいっていったのに……あなたが無理やり連れてきて……」
「ちょっと待て!俺が一体何をした!?」
 なにか人聞きの悪いことを言われて、俺は思わず声を出した。
「昨日の夜、あなたの方から私に声をかけてきたんじゃないですか」
 言われて、俺は頭に疑問符を浮かべながらも、記憶の糸を再び手繰った。
 おぼろげだが、少しばかり覚えているような、いないような……。


 確か、あの後橋の下でコイツを見つけた俺は――蹲っているコイツに声をかけた。
 すると、コイツは、
「な、何ですかあなた……」
 まぁ、見慣れぬ人間に声をかけられたら、人間だろうとポケモンだろうと不審がるに決まっている。
 当たり前の反応だろう。
 だが、その時俺は確かに気づいていた。その目に、涙が浮かんでいることに。
 何か悲しいことがあったことは、一目でわかった。
 それでコイツはこんな橋の下で、独り泣いていたのか。
 このとき俺はパッチールのことが気になって、失恋のことなど既に頭から失せていた。
「何があったか知らないが、そんな所じゃ寒くないか?」
 今は秋とはいえ、段々と冬に近づいてきて夜はかなり冷える。こんなところにいたら、
いくらポケモンでも体調を崩してしまうだろう。
「あなたに関係ないじゃないですか。余計なお世話です。ほっといてくださいよ……」
 そういって、パッチールはそっぽを向いた。
 だが、俺は放っておけなかった。放っておいてはダメな気がしたのだ。
 それは、元々俺がお人好しなせいもあるのかもしれない。
「でもよ……何だか悲しそうじゃねぇか」
 俺は、酔っているせいもあって勢いづき、相手の心にずけずけと入り込むように言葉を発した。
「どうでもいいでしょう……せっかく死のうとしてたのに、余計な事をしないでほしいです……。
私なんて、ほっといて下さればよかったのに……」
 その一言を聞いて、俺は眉をひそめた。だったら、尚のことこのまま放っておくわけには行かなかった。
 その気持ちが、酔っている俺を突き動かしたのか、口から言葉が自然と漏れ出た。
「そうか。そりゃ悪かったな。でもよ、何があったか知らないが、泣いてても状況は良くならないぜ……?
それに、せっかくのかわいいお顔が台無しになっちまうぜお嬢さん?」
 普段の俺なら、恥ずかしくて絶対言わないようなことをキザな口調で言ってしまう。
 酒の力恐るべし。
「え……」
 その言葉に、パッチールは顔を上げ、意外そうにグルグルおメメで俺を見た。
「でもまぁ、そうやって言い返せる気力があるなら、きっと立ち直れるさ。
確かに辛かったのかもしれない、でも生きていれば、いいことも悪いこともある。
ムダに命を散らすよりも、前向いていい事を探したほうが、よっぽどいいと思うんだ」
 本当に何を言ってるんだ俺は。他人に説教できる立場じゃないってのに。
「だ、でも……へっくし!」
 パッチールはおおきなクシャミを一発かますと、身震いした。その様子を見て、
「とにかくこんな寒い所にいるより、どっか他の所へ行こうぜ。どうせなら、あったかい所がいい」
 そういって、俺はパッチールを抱えあげた。
「ちょ、ちょ……!」
 パッチールは若干抵抗を見せたが、すぐに体を落ち着かせた。 
 なぜかは解らないが、敵意は無いことだけはわかってくれたようだった。

 そうして俺は、コイツを連れてアパートに帰ったのだった……。


「あ……う……」
 所々不鮮明ながらも昨夜の出来事を思い出し、顔を真っ赤にして俺は呻いた。
 確かにコイツに何か色々言ってた記憶はある。が、まさか普段の自分とは思えぬくらい、
そんなキザったらしい言葉を連発していたとは……。
 はっ、恥ずかしい……! なにやってんだ俺。真っ赤になった顔から火が……それどころか――
爆発(ぶゎぁくはつ)ッ!!」
 どっかぁぁぁん! と、あまりの恥ずかしさに、俺の顔面は意味不明な掛け声と共に“大爆発”した。
 昨夜公園のポケモンカップルに大爆発しろと胸中で呪ったが、まさか俺が大爆発することになるとは。
「それに、『一緒に寝れば寒くない』みたいなこと言って、私をお布団の中に入れたんじゃないですか。
まぁ、確かに暖かかったから……よく眠れましたけど」
 少し顔を赤らめて、パッチールは言った。
 なるほど。それで今のこの状況に至る訳か……と納得しながらも、俺は自分の放ったらしい
言葉の数々に、胸中で悶絶していた。
 ううむ。酒は人を変貌させるという話は聞いたことがあるが、自分も例外ではなかったということか。
 今度から気をつけなければ。
「し……しかしだな……何で昨日、あんな所で泣いてたんだ?」
 あまりにも恥ずかしい話から話を逸らすべく尋ねると、パッチールはグルグル顔を悲しげに曇らせる。
(コイツ、結構感情が顔に出るんだな……)
 パッチールのことはある程度知っていたが、写真や本などでしか見たことが無かったし、
酔っ払いのような動きをするというので、少々失礼だが……思考もまともに働かないような
種族なのかと思い込んでいた。
 だが、コイツを見てそうではないことが理解できた。
 こんな顔だがちゃんと感情が表情に表れるし、しっかりとした考え方も出来る。
 今まで、俺はコイツらのことを見た目で判断していたのだ。
 それは、今の俺自身が一番嫌うやり方だったから、コイツに対して何だか申し訳ない気分になった。
「なにがあったのか、よかったら聞かせてくれるか?」
 昨夜、コイツが何故あんな寒い橋の下で泣いていたのか気になっていた。
大きなお世話かもしれないが、何か力になってやりたかった。そう思ってしまう俺は
やっぱりお人好しなのかもしれない。
 すると、しばしの沈黙の後、俯いてパッチールは口を開いた。話してくれる気になったようだ。
「たしかに、あなたのおかげで昨夜は暖かく過ごせました……でも、面白い話
じゃないですよ……?」
「わかってる」
 そんなことは、泣いていた時点で既に承知している。
「……私、あそこで死ぬつもりでした」
 昨夜出会ったときも、コイツはそんなことを口にしていた。
 しかし、何故だ? ワケを気にしつつも、俺はコイツの言葉に聞き入った。
「あそこで、川に身を投げて死んでやるつもりでした……彼を見返すために」
「どうして、またそんな……」
 バカな考えを――そう続ける前に、パッチールが告げる。
「それは――」
 その時であった。
 ぐぅぅ~~。
 そんな気の抜ける音が、部屋に響き渡った。俺のものではない。となると……
「……」
 パッチールは、恥ずかしそうに腹を押さえていた。

 とりあえず、コイツの空腹を満たしてやるべく、俺は冷凍庫に入れて凍らせておいた
食パンをオーブントースターで焼き、パッチールに差し出してやった。
 パンの賞味期限は短いが、凍らせておくとかなり長くもつのだ。
 パッチールは、焼けたばかりのパンを口で冷ましながら、ゆっくりと齧って、
腹に収めていった。
「おいしい……です」
 そういうコイツの表情は、明るく可愛らしいものへと変わっていた。
 さっきの「死にたい」発言がウソのようだった。その様子を見て、少しばかり可愛いな、
と思いながらも、俺は再び尋ねた。
「……で? なんで死のうだなんて思ったんだ?」 
 するとパッチールは、咀嚼を止めると、小さく声を出した。
「好きな雄に……「お前はダメだ」って言われました……」
「え……?」
「……好きな雄に、フラれちゃったんですぅ!!!」
 パッチールは涙を浮かべて叫んだ。
(えぇ~!?)
 おもわず、その声が口に出てしまいそうだった。失恋だったのかよ。
「な……そんなことで?」
 死のうとしてたのか――と言い切る前に、パッチールが声を荒げて言い返した。
「そんなことって何ですか! あなたが言えって言ったのに……!」
 そういうと、そいつは浮かんだ涙を手で拭った。
「そうですよ……今まで好きだった雄に……「お前はブチがないから」って。
今までずっとそんなこと言わずに、付き合ってくれていたのに……」
 パッチールは、とうとう号泣して両手で顔を押さえる。
「……」
 ソレを聞いて俺は言葉を失ってしまった。そしてよく見るとコイツには、言葉通り顔にも耳にも、
特徴的なブチ模様が一つもない。そんな……こんなとぼけた姿をしている連中にも、
そんな理由で相手を好き嫌いするやつがいるというのか。
「ぶ……ブチがないから嫌われたのか……?」
 恐る恐るそう尋ねると、コイツは顔を抑えたままこくんと首肯する。
「で、でもお前、頭の後ろにブチあるじゃないか」
「それはどのパッチールにもあるんです! 私は、顔のブチは一つも無いんです……。
だから私は、彼に捨てられてしまったんです……」
 嗚咽混じりに、コイツは続けた。
「彼は……特徴的なブチを持っている雌の子が好みだったんです。にも関わらずこんな特徴の無い私にも、
優しく接してくれたんです……だから、嬉しかったんです。なのに……
今になって、「やっぱりお前じゃダメだ」って……うぅ……」
「お……」
 そんな呻きしか、出なかった。
 しかしひどい話だ。見た目で好き嫌いを判断されるとは。しかも一度は付き合っておきながらフったというのか。
 コイツの元・彼氏とやらは随分と――
「ん……?」
 そこまで考えて、ふと昨日のことを思い出した。
 そうだ。俺も昨日、ほぼ似たような経緯でフラれたばかりだ。
 見た目がどうこうという話も、最初は付き合ってくれたけど、やっぱりダメと告げられた経緯も、ほぼ同様だ。
(コイツ……俺と同じ……?)
「好きだったのに……私も愛していたのに……うっ……」
 悲しげな嗚咽が、部屋を満たした。
 これは――なんとも。コイツも俺と同じ境遇で、失恋を経験した。
 だから、自分のこととは思えなかったし、少しでも元気付けてやりたくなった。
「あーまぁ……なんだ。でも、そんな事で嫌うなんて、お前の彼氏も案外心狭いな」
 つい、そんな言葉が口に出てしまった。パッチールはばっと顔を上げる。
その口元は少し怒りに歪んでいたが、俺は続ける。
「だってそうだろ。お前という存在を、一度は受け入れたのに、ブチがないという理由で
ポイしたんだろ? 見た目だけで判断するなんて、随分とひどいんじゃねーか?」
「……」
 無言のまま、パッチールは俺を見ている。
「お前にゃ酷な話だと思うが、その彼氏とやらの優しさは、その程度のモンだったってことだ。
男も女も、そんなことで相手を値踏みするようなヤツとなんぞ、付き合う必要は無いと俺は思うぞ」
 そう。問題は見た目じゃない。と俺は思う。大事なのは内面、優しさだ。
 正直、同じ理由でフラれた俺には、こんなことを言う資格は無いのかもしれん。
 だが、同じだからこそコイツには元気になってほしいと思う。
「まぁ大丈夫だって。そのうちきっとお前のことをわかってくれるいい男が見つかるさ」
 そうだ。そんなヤツに関わる必要は無い。それに何も相手は同種族の雄だけとは限らない。
タマゴグループが同じなら、別種族の彼氏だって出来るはずだ。
 それならば、ブチの有無がどうこうという下らん理由で仲違いすることもあるまい。
「あなたに何がわかるってんです……」
「や、俺もな、昨日女にフラれたばかりなんだよ」
 落ち込みつつもまだ怒りを見せるパッチールに、俺はそう告げると、
昨日俺が体験したことを手短に話してやった。

「デート前に……フラれた?」
 口をぽかんとさせて、パッチールは言った。
「だからさ、何となく今のお前の気持ちはわかるよ。だからこそ、そいつのことは
スッパリと忘れて、新しい恋を見つけたほうが、死ぬよりも有意義ってモンだと思うぜ?」
「……」
 俺は、優しく微笑んでそう告げたが、コイツは相変わらず俺をずっと見つめている。
 とはいえ、すぐにはムリだろう。俺だって、昨日の件はしばらく忘れられそうに無い。
 コイツの心の傷が癒えるのには、まだ長い時間がかかるだろう。
「……でも私にはブチがないから……その彼氏だって、やっと出来た大切な雄だったんです。
こんな私に、新しい彼氏なんて出来るわけが……」
 悲観的に、パッチールは言った。ブチがないことで、自分に自信がもてないのか。
「でもよ、ブチ云々はその彼氏の好みなんだろ?」
「……そうですけど……」
「なら大丈夫だろ。少なくとも、ブチがなくたってお前は可愛いと思うぞ?」
「え……」
 それを聞くとパッチールは、意外そうに口をあけた。
 俺は人間だから、パッチール達の好みはよく解らないが、少なくともコイツは可愛いと思う。
 どう可愛いかというと、見た目は目を回しているようにしか見えないが
さっきからの、怒ったり泣いたり、喜んだり……そういう喜怒哀楽の変化と、
そのおかしな見た目との差が、コイツのかわいさを引き立てているような感じがしたからだ。
 それは、ブチの有無など問題にならないくらいだと、俺は思った。それだけは、本音だった。
 俺もパッチール達のことを見た目で判断していたから、コイツに向けて放った言葉に自信を持てなかったが、
とりあえず言うべきことは言った。これでコイツも新しい恋を見つけて、幸せに生きていけるはずだ。
「だから、それ食ったら帰りな。仲間とか、そういうのが心配するだろ」
 そう。こんなダメな俺とは正反対に、うまくやっていけるはずだ――。
 世の中は広いし、きっと、コイツのことを解ってくれる雄ポケモンもいる。
「近くまで送ってやるから――」
 そういって、外出の身支度をしようとした時だった。
「待って下さい!!」
 突然、パッチールが声を大きくした。
「せめて……お礼をさせてください」
「別にいいよ」
 酔っていたとはいえ、俺の方から誘ったのだ。そんなものは必要ない。
コイツが新しい相手を見つけて、幸せになってくれればそれでいい。
 だが、コイツは強く続ける。
「このままじゃ、私の気が収まりません。それに……」
「それに?」
「そ、それに……」
 聞き返すとパッチールは俯いてしまう。恥ずかしがっているようにも見えたが、一体なんだというのか。
「お、お願いがあります。私に特徴を持たせてほしいんです!」
「へぇ?」
 その言葉に、俺は怪訝声を上げた。
「私……何の特徴も無いこんな自分を変えたいんです。人間のあなたなら、何か方法を知っているでしょう?
お願いします!」
「お願いったって……」
「どうか、お願いです!」
 ここまで強くお願いされると、断るのも悪い。十数秒間の黙考の末、俺は決断した。
「仕方ねぇな」
「は、はい! ありがとうございます!」
 その言葉に、パッチールは顔を明るくした。
 これもまた、見た目との差によって、格段に可愛く見える。
 今日はバイトもないから時間は十分にあるし、コイツの為に何かしてやるのも悪く無いと思ったから、
俺はコイツの願いを受けてやることにした。
「あ、あの……今更ですけど、あなたのお名前は……」
 そういえば、名乗るのを忘れていた。
「『コウジ』。そういや、お前の名前――」
 言いかけて、俺は言葉に詰まった。そりゃそうだ。野生ポケモンに名前なんてあるはずが無い。
「ふふ……あなたの好きに呼んでいいですよ」
「そ、そうか。じゃあ……」
 そういったので、俺は何とか呼び名を考える。まぁ仮につける名前だし、適当でいいか。
安直だが、茶色いし目がクルクルしてるから……
「じゃあ、「クルミ」とか」
「わかりやすい名前ですね……ま、いいですよそれでも」
 いいのかよ……まぁ、名前の概念が無いポケモンには、特に何でも良いのかもしれないが。
「じゃ、よろしくお願いします。コウジさん」
 こうして俺は、コイツに付き合ってやることにした。


 朝食を終えると、俺はパッチール――クルミを連れて、外に出た。
 特徴を持たせろとは言っても、俺はポケモンに関しては疎い。
 とりあえず簡単に特徴を持たせるためには、まず見た目に変化をつけるのが一番だと思い、
俺は近所にあるポケモン専用のアクセサリーショップを目指すことにした。
「しっかし、特徴ねぇ……」
 まだ午前で人の少ない商店街を進みながら俺は呟いた。ポケモンの特徴なんて、
今まで考えたことも無い。どうすればいいのか正直よくわからないことばかりだ。
「なにか目立つものがほしいんです。一目で私とわかる感じの……」
「それで、どうする。その彼氏とやらにまた会いに行くのか?」
 少し意地悪に、俺は尋ねる。
 フラれたというのに、コイツはまだ彼氏とやらに未練があるのだろうか? 
 すこし特徴をつけたところで、一度フラれた相手に会ってもうまくいくとは思えない。
「いいえ……あの彼氏はもういいんですよ。あなたの言うとおり、ひどい相手でしたから。
でも、新しい恋をするにしても、準備をしたいですし、そのために自分を変えたいんです」
 まぁ、言わんとしてることはわかる。自分を変えたいというのも理解できるが、
俺はポケモンには疎い。ましてクルミは野生の個体。
 野生下で、人間基準の特徴などつけても、通用するかどうか。
 ヘタにやったら、かえってコイツがポケモン社会で後ろ指をさされる事態にもなりかねん。
 そうなれば自信をなくしているコイツを余計に追い込むことにもなる。
 結構、責任重大なこと……かもしれない。
「うーんでもなぁ……」
「……まずあなたの思うとおりに、やってみてほしいんです」
 少し自信をなくして思い悩んでいる俺に、クルミはそう返した。
「まぁ、お前がそういうなら……」
 人間基準の特徴でもいいという覚悟なのか、それともヤケになっているのか。
 まぁコイツがそういうのだから、俺も出来る限り頑張ってみよう。

 ショップには数多くのポケモン用アクセサリーが並んでいた。
「色々あるなぁ……」
 店内を見回しながら、俺は呟く。
 ポケモン用の服や帽子なども揃っていて、店内にはそれらを身に着けたポケモンの
写真も飾られて、参考になりやすい。
 中には、舞台女優のごとく衣装で着飾り、もはや何のポケモンだかわからないようなのもある。
(流石に原型がわからなくなるのは、飾りすぎだよな)
 特徴が多すぎても、かえってそのポケモンらしさがなくなってしまう。
 やはりこういうのは程々でいいのだと思った。
 とりあえずもっとも解りやすい特徴をつけるために棚を見て回ると、ある棚に目が留まる。
 そこには、ポケモン用の「リボン」が多数並んでいた。
「リボンか……」
 カラーバリエーションも様々で、主に雌のポケモンにつけるためのものだった。
 トレーナーが連れている雌ポケモンにも、つけられているのをよく見かける。
 そしてリボンといえば、人間社会の中では女の子を現す記号の一つ。
 これがあるだけでも、クルミの可愛さを引き立てられるし、特徴にもなるのではないか。
 そう思うと、俺は何色かあるうちの中から、黄色のリボンを手にとって、試着ブースへと向かった。
 とりあえず耳にでもつければどうだろうと、俺は姿見の前で試しに黄色いリボンをクルミの耳の根元につけてみる。
 元々パッチールの体色は茶色系統で地味目なのもあって、明るい黄色のリボンは一際目立っていた。
「どうだ?」
「わぁ……」
 そんな自分の姿を見たパッチールは、感歎の声を出した。
「どうですか……私、かわいいですか?」
 そういって、クルミは嬉しそうにその場で体をくるりと回して見せた。
「ん……あぁ、可愛いな。可愛くなったよ」
 リボンをつけることは人間の基準かもしれないが、これで可愛さ……雌らしさは確かに増した。
 ただし、これが同種族のポケモンの好みに合うかどうかはわからんが。
「これで……ブチがなんとかなればなぁ……」
 少し残念そうにパッチールは呟いた。
「こればっかりはどうしようもないさ。それに、下手に色々盛ってお前らしさが
なくなるのも勿体無い気もするんだ」
「……!」
 するとパッチール――クルミは、ばっと顔を上げて、
「お前の『特徴がほしい』って……自分を変えたいって気持ちもわかるけど、
俺はやっぱり見た目だけで相手を判断したくないんだよ。肝心なのは中身だよ、やっぱり」
 それだけは本音だった。やっぱり、見た目だけで判断するというのは、相手にも失礼だし、
なにより相手を深く知ることが出来ず、互いに理解しあうことも出来ない。
「それに、ブチが無いのも一つの特徴だと思うんだよ」
 ブチがないことを気にしているコイツには、失礼な言い方になるかもしれないが、
ブチがないことが、クルミである証なのだと思えた。これだって立派な特徴だ。
 というより、ブチのあるコイツの姿が、想像できない。
仮にブチがあったとしても、それはクルミじゃない別のパッチールなような気がする。
「だからよ、別にブチがないのをマイナスに捉えることはねぇって。お前は充分、可愛いよ」
 そういって、俺はコイツの頭を撫でてやった。短い毛の触り心地が心地よい。
 やはり相手は見た目で判断してはいけない。ブチがなくともコイツはコイツなのだ。
 ブチがなくたって、コイツは可愛い。断言できる。
「……私、そんなこと言われたの初めてです……」
 クルミは顔を赤らめモジモジする。その仕草も充分に可愛い。
「……その、フラれた彼氏にもか?」
 クルミは、無言で首肯した。
「……だから、その……嬉しいです。少し元気出ました」
 そういってクルミは笑顔を作った。やはり悲しみに沈んでいる顔よりも、
笑顔のほうがよりかわいい。
「そ、そうか……?」
 誉められれば嬉しいのは誰だってそうだろうが……なんか、そんな態度を
されるとこっちも照れくさい。

「一応これで特徴はついたな」
 リボンの代金を支払って店を出ると、俺はクルミに言った。
「ええ、あなたのおかげで少し自信もつきました……でも、まだ……」
「もう十分特徴ついたと思うけどな……まだ何か必要か?」
 たまっている洗濯物も今日中に何とかしたかったから、俺は明るいうちに家に戻って
洗濯をしたかった。しかしクルミはまだ何かが足りないらしい。
「特徴は付けて貰いましたけど、私はまだあなたにお礼をしていません。
それができるまでは、傍にいさせてもらいます」
 キリっとして、クルミはそう語った。
「礼なんていいって。それよりも、お前が早く新しい相手を見つけてくれれば、
俺はそれで大満足だよ」
「新しい……相手……」
 するとクルミは途端に悲しげな声で言うと俯いた。
「あ……」
 しまった! よく考えればコイツは自分に自信を持てずにいて、
フラれたという彼氏を作るのにも苦労したといっていた。そんなコイツに「新しい男を作れ」とは、
酷と言うものだろう。 
「す、スマン……」
「あ……の。あの、私は……」
 俺は謝罪の言葉を口にすると、
 そういうクルミの顔は赤い。本当にどうしたというのだろうか?
「私は……私は……」
 何なのだろう。そう思いながら言葉の続きを待っていたとき、体に何かがぶつかり、
俺はよろめいた。
「おう兄ちゃん、どこ見とんのや」
 俺の目の前で、ドスの聞いた声を放ったのは、目付きが鋭い怖いお兄さんだった。
 髪は茶髪で体中はピアスだらけ。見た所、年は俺とそんなに離れてはいないようだが、
いかにもな風体のニーチャンであった。
「あ、すみません」
「すいませんじゃねーじょぉ? 服汚れたジャネーカヨ」
 謝罪したが、お兄さんは変なイントネーションで因縁をつけてくる。
「あー痛え。骨折れたわーこらポッキリいっとるわーどーしてくれんねん」(棒読み)
 今度は棒読み気味でそんなことを言ってくる。ンなわけあるかい!
 そんなことを思わず口に出してしまいそうだったが、次の瞬間、ニーチャンは俺に掴みかかる。
「オウ払うもん払えやゴルァ。いしゃよぅはううてうーとおやんおお?」
 何言ってるのかわからないが、なんとなく金を要求しているのはわかる。
 しかし、はいそうですかと要求を呑むわけには行かない。地面に倒れたわけでもないから
明らかに服なんか汚れていないし、軽く接触した程度だから、怪我などしていないはずだ。
 恐らく、金を毟れそうだからと俺を標的にしてわざとぶつかってきたのだろう。
「払えんのか? なら埋め合わせをしろや」
 そういうと、ニーチャンはモンスターボールを放ると、ポケモンを繰り出した。
 中から出てきたのは、以外にも大柄のポケモンだった。
 灰色と銀色の2色の体に2本の大きい角が前方に突き出ている。
 確か鉄を食って生きているという「コドラ」とかいうポケモンの最終進化型で、
名前は……ええと、確か『ボスゴドラ』だったか?
 とにかくソイツはボールから出るなり、ニーチャンに代わって俺の胸倉を掴みあげる。
「わりーな。俺ら金に困っててよー。貸してくれよぉ。じゃねーと、
お前さんの顔、穴だらけになるかもしれんぜぇ?」
 くっくと笑いながら、ボスゴドラもそんなことを言う。このトレーナーにして、このポケモンあり。
 冗談じゃねぇ。今はバイトの給料日前で大した金はない。こんな誰かもわからない、
それもこんな強引なやり方をする輩に、金なんぞ貸せるか。
 抵抗はしたい……が、相手は強そうなポケモンを繰り出してきたうえ、俺はポケモンを持っていない。
 ヘタに抵抗すると、ボスゴドラが言ったようにされてしまう可能性は大!
 畜生、どうすれば――
「離れなさい!!」
 俺が対抗策の思案に暮れているとき、そんな鋭い声が響き渡った。すると次の瞬間、茶色い何かが
ボスゴドラの体に組み付くと、ボスゴドラの体はぶわと宙を舞い、地面に叩きつけられた。
 解放された俺は、転びそうになったが、踏ん張って転倒を免れる。
「コウジさん大丈夫!?」
 俺の目の前で、パッチール……クルミが、声をかけてきた。
「今の……まさかお前がやったのか?」
「……来ますよ!?」
 俺の問いには答えず、クルミは身構える。ポケモンに疎い俺は相手のボスゴドラが
何のタイプかは全く知らなかった。でも、様子を見る限り今の攻撃はかなり効いた様子だ。
「なんや、ポケモン連れとるんかいな。んでも貧弱そうやなぁ……こら楽勝やで。
“突進”や! ボコボコにしたれ!」
 ニーチャンはエセジョウト弁でボスゴドラに指示を出す。ソレを受けボスゴドラは
クルミに向かって突進していく。対するクルミはボスゴドラより体も小さい。
 ぶっ飛ばされてしまうのは明白だった。しかし、
「はぁっ!」
 叫ぶとクルミは、奇妙な踊り始めた。こんなときに何やってんだ! と思ったその時だった。
 こちらに突進して、クルミを吹っ飛ばすはずだったボスゴドラが、急に近くのゴミ捨て場に突っ込んだ。
 ポリバケツやビニール袋やらが辺りに散らばった。
「な、なんや!? どうしたんや!」
 状況がわからないようで、ニーチャンは困惑した声を出す。このニーチャンも、
そんなにポケモンには詳しくない様子だ。
 ゴミまみれで立ち上がったボスゴドラだったが、何か様子がおかしい。
 よく見れば、目を回してフラフラしている。
「な……何やったんだ?」
「“フラフラダンス”、敵を混乱させる技ですよ」 
 訊くと、クルミは勝ち誇った顔をしていった。
 今の奇妙な舞は、技の一つだったのか――そう俺は感心していると、
ニーチャンは相変わらずのエセジョウト弁でヒステリックに叫んでいた。
「しっかりせんかい! もう一度突進や!」
 再びボスゴドラに攻撃の指示を出した。だがボスゴドラは、その指示に従わず
いきなり自分の顔を殴りつけた。
 混乱状態になっていると、時折命令を聞かず自傷行為をすることがあると
聞いたことがあるが、今まさに、ソレが起きていた。
「はっ!!」
 その光景を見るや否や、クルミは掛け声とともにボスゴドラへ向かって駆けた。
 想像していたようなフラフラな動きではなく、しっかりと一直線に、敵に向かって疾駆する! 
 パッチールは、いつもフラフラしているのではないのか……!?
 そんなことを考えている間に、クルミは混乱して自由に動けないボスゴドラに近寄ると、
 両手を使って、その体を掴んだ。
「ふぬうっ……!」
 力を込めると、なんとボスゴドラの体が持ち上がったではないか! 
 さっき投げ飛ばした時と同じ技らしいことはわかったが、
 相手とは体格もぜんぜん違うクルミに、まさかこんなパワーが秘められているとは!?
「でやぁぁああああああああああ!!!」
 そんな雄雄しい叫びと共に、クルミはボスゴドラの体ををブン投げた。さっきよりも高々と、力強く!
 ズッガアアァァァアアン!!!
 投げられたボスゴドラは、轟音と共に近くのブロック塀に衝突して突き崩し、
それっきり沈黙した。
 クルミが勝ったのだと理解するのには、数秒の時間が必要だった。
 ニーチャンは、呆然と崩れたブロックの中に横たわるボスゴドラを眺めている。
「今のうちです!」
 ニーチャンの様子を見たクルミが、俺の手をとって小声で逃げるように促すと、
野次馬が集まってくる前に、俺たちはその場を後にした。

 住宅街を走りぬけ、住まいであるアパートに急いで帰宅した。
「……しばらくあそこは通れないな」
 玄関に座り込んで、息を切らせながら、俺は呟いた。
 あれだけのバトルを繰り広げたわけだし壊れた塀を弁償しろとか言われたら特に困る。
「大丈夫ですよ。私は全部見てましたし、あなたは悪くないのは
わかっています。仮に何か言われても、私がちゃんと説明しますよ」
「……にしてもお前、結構強いのな」
「そうですか?」
「それにさっきの技、最初のときよりも強くなってなかったか?」
 さっきボスゴドラをブン投げたあの技……最初よりもかなり威力が高くなって
いたような気がした。
「ああ、多分、威力が高くなったんです」
「へ?」
「あの技……何か使うたびにパワーが漲ってくるんですよ」
 あとでスマホで調べてわかったことだが、クルミがボスゴドラを投げとばした技は
“馬鹿力”という格闘タイプの技だった。
 しかしこれは、使うと攻撃力が落ちてしまうというデメリットがあるもので、
普通は一回きりの、切り札的な技であるらしかった。
 そして、パッチールの中には、稀に“天邪鬼”と呼ばれる、能力が逆転する特性を
持つものがいるという。
 簡単に言うと、攻撃力を挙げる技を使うと逆に下がり、攻撃力が下がる技を使うと
逆に上昇するというものだ。
 つまりさっきのバトルは、通常は能力がダウンしてしまう“馬鹿力”を、
特性が天邪鬼であるクルミが使ったことにより、コイツの攻撃力が逆に上昇し、
更にボスゴドラは格闘技が弱点であったことに加え、フラフラダンスによる混乱もあって、
コイツが勝利できた……ということだったらしい。
 見た目とは裏腹に、かなりパワフルな奴だったのだ。
「でも、助かったぜ。ありがとうな」
 俺はそう礼を言った。本当に助かった……コイツがいなかったら俺は連中の
されるがままだったろうし、怪我をしたかもしれない。
「いえいえ。あなたが無事で……私も……本当に……グス」
 すると、クルミは何故か体を震わせ始めた。
「お……おい?」
 怪訝に思って顔を覗き込むと、クルミは目に涙を浮かべて鼻をすすって、
もう飽和寸前といった様子だった。
 確かにコイツのおかげで俺は助かったが、なにも泣くほどのものだろうか?
「どうしたんだよ?」
 聞くと、クルミは目元を拭ってから、
「うう……コウジさんが、無事でよかったです……ああ、あああ……」
 クルミは俺にすがり付いて泣き崩れた。
「ゑ、な……?」
 本当にどうしたんだ? 俺は困惑して、声が裏返った。
「な、何をそんなに泣いてるんだよ……?」
「だって……私、あなたのことが……心配で」
 クルミは鼻をすすりながら告げる。心配してくれるのは嬉しいが、何故そこまで俺のことを
思ってくれるのだろうか?
 俺とコイツは昨夜知り合ったばかりで、それほど深い関係とは言えない。
 俺の手持ちというわけでもないし、なんでコイツはそこまで……?
「な、泣くなよ……」
 そういって、俺は元気付けようと笑顔を浮かべて見せると、
「も、もう! まだ解らないんですか!!?」
 クルミは叫んだ。その表情は怒りを抱いているわけでもなく、悲しんでいるわけでもない。
 どちらかといえば、恥ずかしくて困っている感じだ。そして、ほんのりと紅潮してもいる。
 赤くなった顔。
 そして、泣くほど俺のことを心配していること――。
 これらを踏まえて、俺は思考をめぐらせる。すると、一つの答えに行き着いた。
 まさか。もしかしたらコイツは……。
「お前……もしや」
 おずおずと口を開いた俺に帰ってきた言葉は、想像通りに、衝撃的な内容であった。
「そうですよ……わ……私は、あ、あなたのことが、好きになったんです!」
「え……えええ!!」
 思わず、驚きの声を上げてしまった。
 いやだって、そんな……そんなこと急に言われても。
「お、俺は人間だぞ!? お前だってポケモンで……」
「あなたは……私のこと理解してくれました。それに、かわいいって言ってくれました……。
こんな私に付き合ってくれるいい人だって思って、だから、あなたの好みの雌になりたくて……」
 言われて俺ははっとした。
 そういえば、思い当たることがある。
 さっきの『あなたの思うとおりに、やってみてほしい』という言葉。
 店でのコイツの様子。
 ということは、「特徴をつけたい」「次の恋の準備をしたい」というのは方便で、
本当は俺の恋人になりたくて……俺好みの雌にしてほしくて、全て任せたということか?
「確かにあなたと私は、種族も違います。でも……でも、好きになっちゃったんです!」
「でも、俺とお前は合ったばかりだぞ!?」
 そうだ。まだ互いのこともろくに知らないのに、いきなりスキとか言われても、困る。
 ……て、そういう問題ではなく!
「落ち着け! 落ち着いてよく考えろ! それに人間とこんな関係になったら、お前だって……」
「それは、あなたのポケモンになれば問題ないでしょ? 人間がポケモンを連れていることは、
珍しいことじゃないですし」
「そういうことじゃ……落ち着いてよく考えよう! な!?」
 一時の気の迷いで、誤った感情のままに動くのはよくない。
 俺がそう言葉を続けようとしたとき、またもクルミの顔が悲しみに歪む。
「ポケモンが人間に恋しちゃ、いけないんですか……?」
 涙を浮かべて訴えるクルミ。そんな様子も可愛らしい。思わずドキッとくるくらいに、かわいいのだ。
 まるでクルミから、たくさんのハートが出ているように見えなくも無い。
 ……といかんいかん! なに気を取られているんだ俺は! これじゃ俺は変態だ。
 俺は勢い良くかぶりを振って、気を取り直そうとした。
 が――
「スキ……です♪」
 その甘い一言で、俺の心の何かが粉々になって四散した。
 本当に可愛い。さっきよりも、格段に可愛さが増した気がした。
 こんなグルグル顔なのに、魅力的……ミリキ的だ。脳髄が融解し始める。
「あ……うう」
 魅了され二の句が告げなくなっている俺に、クルミはゆっくりと近寄ると、
俺の口に己の口を重ねた。途端にクルミの舌がねじ込まれ、俺の舌と絡まる。
「ん……む」
「ふ、く……」
 ぴちゃぴちゃと音が室内に響いた。舌触りは……最高。
 俺の口の中を、クルミがうねり、舐めつくしていく。
 それに、クルミのふわふわな毛並みが肌に触れて、とても心地いい。
 俺の初めてのキスがポケモンとは……でも残念なようで、同時に少し嬉しくもあった。
 俺は、初恋の女にフラれてしまった。でもコイツ――クルミは、俺を好きだと言ってくれた。
 クルミが俺を受け入れてくれたという事実が、俺の心を満たしていた。
「ふぁ……」
 息が続かなくなったのか、クルミは口を離した。
 はぁはぁと、俺もクルミも息を荒くしていた。
「どう……でしょ?」
「……よ・かった……」
 俺は、素直に感想を漏らした。いまの口付けは本当に良かった。
 こういう場合は、憤るべきなのだろうが、出来なかった。何もかもが
魅力的で怒りもわいてこない。それどころか、もっとしていたいとも思えた。
 愛おしい。もっとコイツのことを知りたい。
 コイツと一緒にいたい。もっと、コイツと――
 そんな感情が、心の底から一気に湧き上がって来る。
「もっと……してたい」
 自然と、そんな言葉が口から放たれた。
「うふっ、それよりも……私はあなたともっと良いことしたいです……」
 笑みを浮かべて、クルミは俺に抱きついてくる。なんとも言えない香りが、
俺の鼻腔に入り込む。甘いとか良い香りとかではないが、不思議と心地の良い香りだった。
「いいのか?」
「いいんですよ……コウジさんは、私の好きな相手なんですから……」
「よし……わかった」
 そういうと、俺はクルミの体を抱えあげて、布団が敷きっぱなしになっている寝室へと向かった。
 布団にクルミを横たえると、俺もその横に体を横たえ、毛布を被せた。
 そして、クルミの体をぎゅっと抱いて、その温もりを全身で感じた。
 クルミも同様に、力を込めて俺の体に抱きついてくる。
 フワフワな毛並みの感触が全身に伝わり、俺の心は愛しさで一杯になる。
 そして、ゆっくりと、クルミの全身を満遍なく撫でてみた。
「や……」
 胸の辺りを撫でたとき、クルミは体をびくりとさせた。外見だと毛並みに隠れて
わからないが、しっかりと丘があるのが感知できた。やはりコイツは、雌……
女なのだ。進化はしない種族らしいが、それでも立派な大人なんだとわかった。
 そして、クルミの短めな両足をゆっくりと開いてやると、茶色の毛並みの中に、
美しい一輪のお花が俺を迎えてくれた。その美しさに、俺は覚醒状態となる。
「キレイだな」
 思わず感想が漏れる。美しさに魅了された俺はそのまま花に手を伸ばす。
「ん……」
 花の蕾に触れるとクルミは甘い声を出した。その声をもっと聞きたい
衝動に駆られて、俺は花のマダツボミを指で撫で回した。
「んあっ……!」
 直後、俺の手に局地的豪雨が降り注ぎ、俺の手の平は冠水してしまった。
 でも不快ではなかった。むしろ気持ちいい夏の雨のような感覚だった。
 クルミも気持ちよかったのか体を小刻みに震わせている。
「ん……そろそろ、お願いします」
「わかった……」
 耳元で、クルミが甘く囁くと、少し体を動かし、コイツに覆いかぶさるようにする。
「ん……」
 俺の分身がずっと中に入り込む。暖かく柔らかく、形容しがたい感覚が俺の全身を走った
直後、何かに触れる。それはコイツがまだ愛を知らない証。
 彼氏がいたというのに、これは意外――。
「……前の彼氏とは、そこまで行きませんでした。誘ったりもしたんですけど……」
 俺の考えを察したのか、クルミが告げた。
 そうだったのか。前の彼氏は、コイツとそこまでの関係になるつもりは無かったのだろう。
 そう考えると、何となく俺の心にも寂しさが押し寄せたが、同時に俺がコイツを幸せに
してやりたいと思えた。
「……痛いぞ。大丈夫か?」
「大丈夫。来て下さい」
 決意をしたクルミの許可を経て、俺は体をゆっくりと動かし分身を沈めていく。
 嫌な音と感覚がして、クルミの表情が苦しげに歪んだ。
「お、おい……」
「だ、大丈夫です……そのまま……」
 そういって、クルミは涙目で笑顔を浮かべた。こんなに痛そうにしているのに。
 その健気さに、俺はますますコイツが愛しく感じられた。
「じゃあ……お願いします」
「わかった」
 泣き顔で求めるコイツの望みをかなえるべく、ゆっくりと俺は体を動かし始める。
「う……あああ……」
 動くうちに、俺にも心地いい感覚が伝わってくる。もっと、もっと……。
 その感覚を求めて、俺は体を動かす速度を速めていく。
「あっ、あ……あっ……」
 段々と、コイツも声を上げてくる。その声も、俺の心を激しく燃焼させる石炭となって、
心の炎に投入されていく。
 その動きを繰り返していくうち、俺も限界が近づく。
「う……クルミ……俺もう……」
「はぅっ……いいですよ……あっ……来て下さい……」
「わかっ……!」
 俺は動きの速度を最大まで上げると、クルミが俺をぎゅうと締めつけてきた。
 それを契機にして、クルミへの想いは最高潮に達し、俺はクルミの奥深くへ愛の証を渡した。
「好き……だ」
「私……も」
 俺たちは全てが互いに一つとなり、互いの身を任せながら、再び口づけをした。


「……それにしても……本当に俺で良いのか?」
 洗濯物を洗濯機に放り込みながらも、俺は居間で洗濯物干しを手伝うグルグルな彼女に問うた。
 好きになり、勢いで結ばれてしまったとはいえ、コイツはやはりポケモン。
 こんな関係になったら俺もコイツも、色々と困ることがあるだろう。
 それに俺はかなりダメな部類の人間だ。
「だから、いいって言ったじゃないですか。私はあなたの雌になるって決めたんです」
 言いながら、クルミは洗濯を終えたばかりの俺の衣類を、窓の外にある物干し竿に干していった。
「……私は最初、あなたのことをあんまり信用していませんでした。
どうせ、私の不幸を笑いにきた人間なんだろうって。それに何だか、冴えない顔をしてましたし」
 言われて、俺は少しムッとした。冴えなくて悪かったな。どうせ俺はイケメンじゃないよ。
 だがクルミは続けた。
「でも、違いました。こんな私の力になってくれたし、かわいいって言ってくれて、
元気をくれました。とっても優しい人なんだってわかったんです」
 そういうクルミの笑顔からは、もう失恋の悲しみなどは感じられなかった。
「あなたのおかげで、色々解ったんです。コウジさん、言ってましたよね? 
やっぱり『見た目じゃない。肝心なのは中身』だって。私もそう思えたんですよ。
元彼氏のことも……私の特徴のことも、あなたのことも。
思えば私、好きな相手が出来ると、つい夢中になってしまう所があって、
そのせいで、前の彼氏に嫌われたのかもしれません。それに良く考えたら前の彼氏は、
私といるときは、あまり笑顔ではいませんでしたし」
 それは、うん。わかる。俺をのことを好きになったと告げた後は、本当に早かった。
やっぱりその強引さが、前の彼氏に嫌われた理由らしい。だがそれも、コイツの魅力の
一つかもしれないと思う。
「……それは俺のほうも同じだよ。お前達のこと、見た目だけで誤解してた」
 その生態も、そしてコイツ自身のことも。
 俺はまだコイツの一部しか知らないのだろうが、なかなかにガッツがあり、
それでいてパワフルで、ちょっと強引な所もある、かわいい奴だった。
 ヒトもポケモンも、見た目じゃないのだ。こいつと知り合って改めてそう思えた。
「失恋の経緯も同じですし……私達って、似たもの同士なんですかね」
「かもな」
 そういって、俺たちは苦笑した。
「だから私、コウジさんのそばにいたいんです……あなたの彼女として」
 その言葉に、俺はしばし考える。
 こんなにも俺のことを思ってくれる相手が出来たのは初めてだし、
俺自身も、コイツはかわいいと思う。だから正直に言えば、離れたくない。
コイツはポケモンだから、俺の心の迷いが完全になくなったといえばウソになるが、
コイツと一緒にいたい。心からそう思えた。
 だから俺は、首を縦に振ると、クルミは涙を浮かべて喜んだ。
 良くも悪くも見た目だけじゃ、相手のことはわからない。だから、相手のことを知るためには、
見た目で判断してはダメなのだ。
 それに気をつければ、こうした出会いもきっと巡ってくるのだと思えた。
 こうして、俺の部屋に家族が一匹増えた。
                           おわり。


どうも。かまぼこです。今回は大会に初めて参加しました。
一票入れてくださった方、本当にありがとうございました。

・>面白かった。
 感想ありがとうございます。そう思ってくださりとても嬉しいです。
 パッチールは元々旧ルビサファ時代から何となく気になっていたキャラの一匹だったのと、
BW2にて特性、天邪鬼を手に入れたことに加え、ポケダンシリーズではかなり表情豊かに
描写されているため、そのうちパッチールで小説を書いてみたいなと思っており、
今回それを形にすることが出来ました。
 今回はそれで、色々な意味で「見た目じゃない」ということを表現すべく、
親近感を持たせて読みやすくしたつもりでしたが、インパクトの強い参加作品が多く、
どうにも地味目で印象に残らないものとなってしまったようです。
もっと精進せねばなりませんね……。

↓今後の作品作りにも繋げるべく、指摘やご意見、ご感想などいただけると嬉しいです。


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Last-modified: 2017-11-20 (月) 22:13:55
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