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襲、そして・・・

/襲、そして・・・

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・襲、そして・・・

ある日、太陽が何時間も前に沈んだ午後11時45分過ぎ頃・・・・・
とある人気(ひとけ)が全くしなくなった。暗い道を一匹の♀キュウコンが歩いていた・・・
彼女は自宅へ帰る途中だった。ふと、何かを感じたのか後ろを振り向く・・・・しかし夜の闇が辺りを包んでいるだけであった・・・・
「気のせいかしら・・・?」
首を傾げて彼女はまた歩き始める・・・・すると微かに後ろから足音がした。彼女はとっさに後ろを振り向く
しかし、誰も居ない・・・気味が悪くなってきて、彼女は走り始める。
タッタッタッ・・・
誰かが闇の中追いかけてくる!姿は見えないがあきらかに追いかけられている!
彼女は全速力で駆け出した!・・・・・しばらくして息を切らしながらも走っていた彼女の視界に自宅が映った!
「あともう少し!」
そう彼女が呟いた時だった。突然目の前に何者かの影が現れる!
すぐに引き返そうとするがその何者かの目が光った!





・・・・・そのキュウコンが気が付いた時、彼女はボロボロの体で病院のベットに横たわっていた・・・・・



『昨夜、また3週間前から続いている。ポケモンが夜中に襲われる事件が発生しました。近くにお住みの方は十分に警戒してください』

「また、この事件か・・・・私が襲われたらその犯人をボコボコにしてやるんだから!」
私はテレビのニュースを見ながらも、そう呟く
近所でこの事件が連続発生している。夜道、突然ポケモンが襲われて体中に怪我をしているのが次の日に見つかる事件が多発している
しかも皆、襲われた時刻、状況が同じく・・・・同一犯らしい
「姉さんの顔、少し怖いよ・・・」
私が振り返ると一緒に暮らしている弟のサスが立っていた
「ごめーん、サス。怖かった?」
サスは頷いて返す
「私の親友も襲われてね・・・だから仕返しがしたくてね・・・・」
私はテレビをリモコンで消す。すると消えたテレビの黒い画面にリーフィアの私の姿と弟のサンダースの姿が映る
「さてと・・・朝の散歩に行こうか?」
「行こう、姉さん」
私と弟は家を出た・・・・
そして近くの川に行き、いつもの様に川沿いの道を弟と歩く
川に沿ってこの道はあるが、この道に沿って桜の木が植えられている。
天気は快晴、季節は春、道に沿って続く満開の桜は綺麗だ・・・・風が吹くと桜の花びらがひらひらと舞う
「姉さん綺麗だね」
「本当ね」
毎年この光景を見る度に思うけど本当に綺麗・・・・
「リネ、お早う!」
その声に私は振り返る、そこには私の親友であるエーフィ・・・じゃなくてエメが立っていた。
「エメ!?大怪我して入院してるんじゃなかったの?!」
「大丈夫、大丈夫!昨日完治して退院したから」
「は、早くない?だって、貴女が全身傷だらけで倒れているところが見つかって1週間しか経ってないわよ?」
「別にもう直ったし細かい事は気にしない、気にしない!・・・それより今日さ午後から友達と花見するんだけどリネも来ない?」
「分かった。行くわ」
「じゃあ去年と同じ場所で午後また会おうね!・・・あっ、リネは手ぶらで大丈夫よ!」
エメは走っていった・・・その姿はやがて消えて行った
・・・・その後に私と弟は散歩をして帰ってきた。それからしばらく家でくつろいでいた
「姉さん、そろそろ時間じゃない?」
「そうね、じゃお留守番頼むわよ・・・?」
私は家から出て朝の散歩の時通った。川沿いの桜が咲く道へと向かった
他にも花見をしに来た人は沢山居たがすぐにエメの姿を見つけた
エメの所へ行くとエメは私の知らない♂のブラッキーと話していた
「来たよエメ」
「あっリネ!ちょうど良かった貴女の事話していたのよ。ほら自己紹介!」
そう言ってエメは隣のブラッキーを肘で軽く突付く
「は、はじめまして・・・ネムって言います・・・よろしくお願いします・・・・・」
やっと聞き取れる程度の声の大きさだった。私、雄のブラッキーってイメージ的に結構強気な方だと思ったんだけど・・・・
イメージ、崩壊したわ・・・・
「私はリネ、よろしく」
ネムというブラッキーの前に手を差し出す。ネムはちょっと戸惑いの表情を浮かべたが少し震えながらも私と握手をした
「さて、お互い紹介が終わったし後は皆を待つだけね」

・・・・それからしばらくして友達が皆集まった
「乾杯!」
親友のエメの掛け声と共に楽しい時間は始まった。そして皆でワイワイして楽しい時間はあっという間に過ぎて
気が付くと夕方になり、陽が沈み始めていた
「そろそろ私帰るね」
「じゃあねリネ」
私は皆と別れた。しばらくすると家に着いた・・・辺りはもう暗くなっていた・・・・玄関の扉を開けて中に入った
「ただいまー」
「お帰りなさい姉さん」
弟のサスが迎えてくれた
「楽しかったけど疲れた・・・!」
私は自分の体をソファに投げ出す
「私、ちょっと疲れたから寝るねサス」
「おやすみなさい姉さん」
サスは笑顔を返してくれた。私は目を閉じて夢の中へと入っていった・・・





・・・・その日の午後11時45分過ぎ頃
キュウコンが襲われた所からそんなに離れていない所にある人気(ひとけ)が全くしなくなった森の中を一匹の♀アブソルが歩いていた
近くの草むらには何者かが潜んでいた・・・・
「兄さん」
「分かっている・・・」
僕は草むらから出てアブソルの歩いている少し先に立った。辺りは暗い為アブソルは気が付いていない
相棒がアブソルの背後を取ったのを確認するとアブソルに急接近し、怪しい光をお見舞いする!
技を喰らったアブソルはその場で倒れる。
すぐに相棒がアブソルに近づき、強力な睡眠薬を飲ませる
「・・・やらなきゃいけないのか」
「何言ってるの?兄さん、やらなきゃどうなるか分かっているんでしょう?」
「・・・ああ」

そして次の日、アブソルは瀕死の状態で見つかった・・・・
キュウコンの時の様にニュースに取り上げられた
そのニュースを見たリネは・・・・
「何の目的でこんな事が出来るのかしら!」
「・・・まぁ、まぁ」
「サスは何も思わないの?!こんな事件が最近ずっと続いてるのよ!・・・許せない!」
「そりゃー・・・酷いと思うけど・・・・」
「そう思うでしょ!・・・あっ!いい事思いついた!」
サスは何かを感じたのか忍び足で逃げていこうとする
「サス!」
「は、はい!」
「ちょっと話があるの」
私はサスの首を掴んで引きずっていく・・・・
「頼むから勘弁して~」
サスの言葉を気にせず私はそのまま弟を引きずって行く・・・・
バタンッという音がして私の部屋の扉が閉まった。
弟を掴んでいた腕の力を抜く・・・弟は私の腕から解放された
「・・・よし、サスよく聞いて」
弟の方を見ると聞かないふりをしていた・・・
「サス!」
「は、はい!何でしょうか・・・・」
「今晩、犯人を私達で捕まえるわよ!」
「ええ!?」
驚きすぎだと思う・・・
「・・・で、でも犯人の場所が分かるの?」
「あっ・・・・」
しばらく沈黙が続く・・・そして弟はこう言ってきた
「じゃ、じゃあ行けないよね・・・?」
「いいえ、なら襲撃事件が多く発生している所へ行けば遭遇できるはずだわ!」
「でも・・・犯人は一瞬で相手を気を失わせてしまうってエメさんが言ってたじゃん・・・・」
「それなら・・問題ないわ」





その夜・・・・

暗闇の中をあの二匹が歩いていた。
「姉さん・・・本当に大丈夫なの・・・・」
「男の子でしょ?しっかりしなさい」
「でも、相手はプロだよ・・・?」
「大丈夫」
弟は落ち着きが無かった
男の子なのに・・・・弟の将来が心配だ・・・・・
そうしている間に気が付くと襲撃事件が多発している場所に着いた
道は左と右に分かれていた・・・・
「ここら辺だわ・・・サス、手分けして探すわよ」
「ええ!?」
「犯人は一人で歩いているポケモンを狙って襲ってるの、だから分かれた方が遭遇しやすいのよ」
「・・・分かった」
サスはしぶしぶ私から離れて右の道へと進んだ。私は左の道へと進んだ・・・

・・・その後、辺りを探し回ったが犯人は見つけられなかった。気が付くと私は森の中に入っていた
「仕方ないわねサスと合流して・・・・(!)」
引き返そうとした時、何か・・・何か嫌な気配を後ろから感じた気がする!
私は辺りを見回すが誰も居ない・・・それに誰かが居る気配すらしない
(気のせい・・・・?)



危なかった・・・もう少しで相手に姿を見られてしまうところだった。
とっさに近くの背の高い草むらに隠れて良かった
「兄さん大丈夫?」
相棒が僕のことを心配して声を掛けてくる
「大丈夫だ」
「結構、勘が良いみたいだし他をあたらない?」
「確かに・・・罠を仕掛けたのに全て突破されるとは・・・・」
「じゃあ行きましょ」
「ああ」
僕と相棒が立ったその時
「そこにいるのは誰!?」
『!』
小声で話していたのに何でばれた!?
「ばれたからにはしょうがない、行くぞミメ」
草むらから相棒と僕は出る
「喰らえ!」
僕は技、怪しい光を発動する。相手のリーフィアはその場で倒れる・・・
罠は突破されたが技は当たった
「・・・ふぅ」
緊張が取れて僕は大きく息を吐いた
ミメは睡眠薬を手に、リーフィアへ近づいた。そして薬を口に入れようとした時だった
「隙有り!」
そう声が聞こえたかと思うと僕の相棒ミメの体が中に浮く・・・僕はミメを落下する直前に受け止めた
「やっぱり思ったとおりだったわね・・・」
声のする方を向くと怪しい光を喰らったはずのリーフィアが正気になり立っていた!
「5分は効いている筈なのに!」
「それもそうよ、私はラムの実を何個か持っているもの!」
『!』
その言葉を聞き、僕とミメの間に緊張が走った。非常にまずい事態だ・・・・
「さてと、相手が二体だったのは予想外だったわね・・・」
「どうするミメ?」
「どうするって戦うしかないでしょ兄さん!」
「さて、行くわよ。親友の分も頑張るんだから!」
相手のリーフィアは葉っぱカッターを連射してくる
「兄さん!」
ミメの合図と共に相棒は攻撃を避けて、僕はリーフィアの後ろに素早く回った。そして口にエネルギーを集め始める
リーフィアの葉っぱカッターを避けながらミメはリーフィアに接近して電光石火を決めた!攻撃を喰らったリーフィアの体は宙に浮いた・・・
「今よ兄さん!」
ミメの合図で僕は溜めていたシャドーボールを放つ、ミメは冷凍ビームを放つ。宙に浮いてるリーフィアは身動きがとれずに
二つの攻撃を同時に喰らった。空中で爆発が起きてリーフィアの体はそのまま地面に叩きつけられた
「うっ」
叩きつけられた際にリーフィアは小さな声を上げる
リーフィアの体は傷だらけだった。こんな傷じゃあ、もう立てないだろう・・・・
ミメがすぐに薬を手に、近づく・・・・
「ま、まだよ・・・」
『!』
あの攻撃を喰らってまだ立ち上がるとは・・・・
「昔から体力には自信があってね!」
元気を取り戻したリーフィアは口の形を丸める・・・・まさか!
「ミメ!耳を塞げ!」
「えっ?兄s・・・」
「♪~」
遅かったか!ミメはリーフィアの草笛を喰らって眠ってしまった・・・・
「これで私と貴方、一対一という訳よ」
「くっ」
僕は戦闘体勢を取る
相手は葉っぱカッターを繰り出してきた。僕は電光石火を発動して、攻撃を避けながら目標に近づく
そして僕の体がリーフィアに当たって相手の体が宙に飛ぶがすぐに電光石火を返されて僕は地面に叩きつけられる
「女だからって甘く見ない方が良いわよ!」
「くっ・・・」
ダメージで両前足に力が入らなくなった
このリーフィア強い・・・本当に♀なのか?電光石火を一回喰らっただけでここまでとは・・・・
足に力が入らなくなった為僕はその場からシャドーボールを連射する。しかし攻撃はすぐに避けられてしまう
そしてリーフィアは技、リーフブレードを発動する
僕はとっさに技、守るを発動して攻撃を跳ね返した。跳ね返して、相手が怯んだ一瞬を僕は見逃さ無かった
不意打ちを相手に喰らわせる!
リーフィアの体は後ろに吹き飛ばされた後、木に当たって地面に叩きつけられた
それでも相手のリーフィアはなんとか立ち上がった
『はぁ・・・はぁ・・・』
リーフィアと僕はお互いに体力が残り少なく息が荒かった
僕はシャドーボールを発射する態勢になったが発射する直前にリーフィアの電光石火を喰らって後ろへ飛ばされて仰向けになった
立ち上がろうとするが体が言う事を利かなくピクリとも動けない
タッ・・・タッ・・・タッ・・・
リーフィアが近づいてくる・・・・もう駄目だ・・・・僕は終わるんだな・・・・・ミメ、こんな事に巻き込んですまなかったな・・・・
僕はそう覚悟した・・・

「ふぅ・・・思ってたより強かったわね・・・・」
私は、眠っている襲撃犯の一人と少し先で動けなくなったもう一人の襲撃犯を見ながら呟いた
犯人が二人っていうのも予想外だったし、意外と強かったのも予想外だった。
「さてと・・・」
私は攻撃で動けなくなった襲撃犯の方へと歩く・・・私の攻撃で体中傷だらけになった相手の姿が目に入るが辺りが暗い為に良く見えない
目を凝らして見ると相手はブラッキーという事が分かった。
顔を見ようと覗き込むが相手は必死に顔を逸らして顔を見せまいとする
「じれったいわね!」
少し頭にきた私は強引に引っ張る・・・するとブラッキーの顔が私の眼に映る
(!・・・かっこいい・・・)
そう心の中で呟いてしまった。でも・・・こんなかっこいいブラッキー見た事ない・・・・・
私の頬が赤くなっていくのが嫌でも分かった・・・
(な、何で私赤くなってるの!?・・・もしかしてこいつの事好きになっちゃったの・・・・?)
相手のブラッキーは私が頬を赤くしているのを見てどうしたものかと私の眼を覗いてくる・・・・
ブラッキーに見つめられれば見つめられるほど私の心臓の鼓動が早くなる・・・
(それにしても・・・・この顔何処かで見たような・・・・?)
私の頭の中でもやもやした記憶が蘇ってきた・・・・





・・・・・私は家から出て朝の散歩の時通った。川沿いの桜が咲く道へと向かった
他にも花見をしに来た人は沢山居たがすぐにエメの姿を見つけた
エメの所へ行くとエメは私の知らない♂のブラッキーと話していた
「来たよエメ」
「あっリネ!ちょうど良かった貴女の事話していたのよ。ほら自己紹介!」
そう言ってエメは隣のブラッキーを肘で軽く突付く
「は、はじめまして・・・ネムって言います・・・よろしくお願いします・・・・・」
やっと聞き取れる程度の声の大きさだった。私、雄のブラッキーってイメージ的に結構強気な方だと思ったんだけど・・・・
イメージ、崩壊したわ・・・・
「私はリネ、よろしく」
ネムというブラッキーの前に手を差し出す。ネムはちょっと戸惑いの表情を浮かべたが少し震えながらも私と握手をした・・・・・





「ああ!確か・・・ネム・・・・?」
「!!」
私がそう呟くと相手のブラッキーは驚き、全身を硬直させる・・・
「ま、まさか貴方・・・!?」

・・・・相手のブラッキーと私は相手の心の内を知ろうとしばらく見つめ合っていた・・・・
ブラッキーの瞳は綺麗な澄んだ目だった。
(こんな純粋そうな目をしているのになぜこんな事が出来るのかしら・・・?)
私は心の中で呟く
「ねぇ、貴方」
私がそう話しかけた時、ブラッキーの体が緊張しているのか小刻みに震えているのに気が付いた
「貴方、今日の昼に会ったわよね?ネム・・・だったわよね?」
「・・・」
相手は黙ったままだ・・・・
「答えた方が良いわよ、私の方が有利な方なんだから!」
私は胸を張ってみせる
「そうです・・・」
やっと口を開いたか・・・・
「何で貴方がこんな事をしてるか知りたいわね」
「・・・言えません・・・・」
「どうして?」
「信じてもらえるはずがありませんから・・・・」
「そんなの言ってみなきゃ分からないでしょ?」
「本当ですか・・・・?」
「ええ」
「実は・・・・

・・
・・・
・・・・今から3週間前の事だった。

「やっぱり此処からの眺めは最高ね兄さん」
「ああ、本当だな」
妹のミメと山の頂上の展望台から夕焼けでオレンジ色に染まるシンオウ地方を手すりに寄りかかりながら見渡す・・・・
海が光を反射してオレンジ色にキラキラと光る・・・・
風も心地よい程度に吹いていて気持ちいい・・・・
「ねぇ、兄さん・・・」
「なんだい?」
「兄さんは彼女とか好きな人っているの?」
「いないよ・・・」
「・・・そうなんだ」
僕はミメが少し喜んだ様に見えた。
「そう言うミメは?」
「私?・・・彼氏はいないけど好きな人はいるよ」
「誰だい・・・?」
「ヒントをあげる。結構身近な人よ」
ミメの僕以外に身近な人って言ったら・・・・
「分かんない!」
「正解は私の目の前にいる人♪」
「ミメの目の前・・・?」
僕はキョロキョロする
「私の目の前って言ったら兄さんしか居ないでしょ♪」
「ふぅ~ん・・・・って僕?!」
「そうよ兄さん」
ミメは少し頬を赤くしながら笑顔を見せる
「何かの冗談だろ・・・・?」
「ううん、本当よ兄さん」
ミメは僕に抱きつく
僕の顔が赤くなっていくのが分かった
「本気で好きなの・・・兄さん」
「ミメ・・・」
僕はミメを抱き返しながらも頭を撫でてあげた

・・・・しばらくして
「そろそろ暗くなるし帰ろう、ミメ」
そうして展望台から去ろうとした時だった。いきなりミメが何者かに後頭部を殴られて倒れた!
「ミメ!おい、しっk・・・」
その時僕の後頭部から衝撃が伝わってきたかと思うと視界が真っ白になった・・・・





・・・気が付くと僕は何処かの牢屋に入れられていた。
体を起こして辺りを見渡すと、どうやら他にも僕以外のポケモンが捕まっているようだ・・・
ふと気が付いたが皆、手首に鉄の輪が付いていた・・・
牢屋は一本の長いコンクリートの細い道の両側にあり結構遠くまで直線に続いていた。牢屋の左右と後方は壁に塞がれていたが道側は壁が網目状になっていた
今気が付いたが僕の右前足の足首にも他のポケモンと同じく鉄の輪がはめられていた・・・・
(ミメは何所に行ったんだろう・・・・)
内心、妹のことが心配だ
まずは手首にはめられた鉄の輪を取ろうとしてみる・・・
ガチャ、ガチャ・・・
(あともう少し・・・!)
そして取れそうになった時だった
「止めた方が良いぜ、そこのブラッキー」
その声に僕は左の方を見る・・・左側の壁に半径5cm程度の穴が開いていて、そこからニドキングが僕の方を見ていた・・・
「何でですか?」
「その鉄の輪は外すと爆発するようになっているんだ」
「ええ!?」
僕は輪から手を離す
「俺は何度も、輪を外して爆発死していったポケモンを見てきたから分かるんだ」
「有難う御座います」
「礼には及ばないぜ、ところでお前は何て名だ?」
「ネムって言います・・・」
「ネムか・・・俺は二グって言うんだ。よろしくな」
ニグさんは笑ってみせた
「こちらこそ、二グさん・・・ちょっと質問して良いですか?」
「ああ、何だ?」
「此処は何所ですか?」
「夜悪団という悪の組織の牢屋だ。」
「夜悪団?・・・聞いた事ありませんが」
「何たって、この組織はまだ表に顔を出さずにある計画を進めているんだ」
「ある計画・・・?」
「ある兵器があって、夜悪団は表に顔を出す前にその兵器の活動に必要なエネルギーを集めているんだ」
「そのエネルギーとは何ですか?」
タッ・・タッ・・タッ・・
僕がニグさんに質問の返答を聞く前に誰かが近づいてくる足音がした。
「お迎えが来た様だ。ネム、頑張れよ」
「頑張れよって、何がですか?」
「いいから何も無かった様に見せかけろ」
ニグさんに言われたとおりに僕は倒れていた所に座った
すると牢屋に一人の人間が入ってきた
「目を覚ました様だな、来い!」
その人間は僕の首に足首と同じ鉄の輪をつけて輪に鎖を付けて、僕を牢屋の外へと引っ張っていった・・・

そして長い長い廊下を歩き始めた・・・
(ミメはどうしているんだろう・・・)
妹のだけが頭に浮かぶ
それからしばらく歩いて階段を何回か上りある部屋の扉の前に連れてこられた
「入れ」
男はそう言うと鎖を外した。一瞬逃げようという考えが浮かんだがそんな事をしたらミメを見捨てるのと同じだ・・・
仕方なく僕は扉を開けて中に入る
真っ暗な空間を手探りで進んでいくとやがて椅子が一つあった。
「そこに座れ」
前方の方から声が聞こえるが暗くて首から下しか見えない
僕が椅子に座ると後ろから男が二人現れて椅子に僕を縛り上げた。天井から光が指してきて僕を照らす。そして僕の隣にも同じく光が指すとそこには・・・
「兄さん!」
「ミメ!無事だったのか」
ミメも僕と同じく椅子に縛られていた
「さて、君たちをさらったのには理由がある。私達はある計画を進めるのにEエネルギーが必要なんだ。そのエネルギーを君達に集めて貰いたい」
「E・・エネルギー?」
「そうだ、ポケモンにダメージを与えると発生するエネルギーだ。生物の眼には見えないが使い方によっては強力な物になる」
「何で僕達がお前達に協力しなければならない!」
「兄さんの言う通りよ」
「これを見てもそんな事が言えるのか?」
その男の後ろの方の天井のライトが点いて映ったもの・・・それは!
「ミナ!」
「お兄様・・・」
そこには妹の妹、ミナがボロボロの体で倒れていた・・・ミナはミメと同じくグレイシアだ。
「どうだい?協力するかしないかだ」
「分かった。だからミナには手を出さないでくれ」
「よかろう」
「兄さん!?」
「お母さんとお父さんに死ぬ直前に頼まれただろ!ミナをちゃんと見てくれって!それに家族じゃないか!」
「・・・・ごめんなさい兄さん・・・」
僕とミメの縄が解かれた。そして僕の手にガラスで出来た小瓶とその栓を渡された。小瓶には緑色の不思議な模様が描かれていた・・・
(ミナ、死なないでくれよ)
「こっちだ」
僕とミメは男の後に連いていった
・・・しばらくすると僕達は建物の中から出てきた
「今からお前達にはエネルギーを集めてもらう・・・やるかやらないかはお前達次第だ。しかし妹の命が掛かっている事は忘れずにな」
その男はそこまで言って笑い始めた。出来る事ならこいつの首を絞めてやりたかった・・・でも、それは出来ない・・・・
「どうした?早く行かないのか?私の気が変わったらお前の妹がどうなっても知らんぞ?」
「行くぞミメ」
僕達が進み始めると男は、またこう言った
「そうそう、失敗したら警察の牢屋行きか・・・あるいは此処の地下にある牢屋に入る事になるから気をつけな!」
ニグさん達の事か・・・?
「あの閉じ込められてる野郎達は皆、失敗したか依頼を拒否したからあそこの牢屋にぶち込まれたんだ。
お前もせいぜいそうならないように頑張りな!ヒャハハハハハ!」
この男の笑い声は何ともうるさいものだと思いながら僕はミメと共にそこを去った
・・・」

・・・・
・・・
・・

・・・そして現在
「・・・という訳です・・・・」
僕はどうしてこうなったかを全て目の前のリーフィアに話した。
「そんな事があったんだ・・・・」
リーフィアはそう言った。相手のリーフィアは何故だか分からないが優しい表情を浮かべていた
どうしてだろう・・・この事は誰にも話さない・・・誰も信じないって心に決めたのに・・・
このリーフィアに対して僕は何故此処まで話せるんだろうか・・・・?
「貴方・・・泣いてるの・・・・?」
「えっ?」
僕は自分の頬に手を当ててみた・・・手を通して冷たい涙が頬を伝っている事が分かった・・・・
何で僕は泣いているんだろう?これからきっと警察送りだからか?ミナの事が心配だからか?
どんな時だって泣いた事なんて一度も無かったのに・・・・
涙を流しながら戸惑っている僕を見てリーフィアは腕で僕の涙を拭った
「!」
「貴方、きっとずっと辛い事ばっかりだったんでしょ?」
確かに小さい頃に親を亡くして・・・それからは僕と妹二人で辛い日々だった・・・・
気が付くと僕はリーフィアの胸で号泣していた・・・・リーフィアは嫌がりもせず優しく抱いてくれた・・・
何で今日の昼に会ったばかりの僕に優しくしてくれるのだろう?それに僕は相手のリーフィアが憎んでいた存在ではなかったのだろうか?
何故・・・?
自問するが答えが見つかるわけが無い・・・・
僕はしばらくリーフィアの胸で泣いていた・・・しかし相手のリーフィアは泣いている僕を優しく抱きしめるだけではなく僕の額を撫でてくれた
どうして此処まで優しくしてくれるのか?僕はそれを思いながらも泣いていた・・・・



・・・それから何分か僕は泣いていた・・・しかしやがて僕の涙は止まった。何故抱いてくれたのかリーフィアに聞こうとした時にこう相手は言った
「実は私も幼い頃に両親を失ってね・・・弟と二人暮らしなんだけど・・・・どう?私達と一緒に住まない?」
「え!?」
本当に何故ここまで・・・優しいのか・・・・
「何で僕にそこm・・・」
僕が言い終わる前にリーフィアが僕の口を人差し指で塞いだ
「遠慮はいらないわ私たちと一緒に暮らしましょ」
「で、でも・・・僕の妹・・「大丈夫」
「私に考えがあるから・・・さ、行きましょ?」
「そこまで言うなら・・・」
何で此処まで親切なんだろう・・・それに何故僕もここまでこのリーフィアを信じて連いて行けるのだろう・・・・
そう考えながらも僕は眠っているミメの体を背中に乗せてリーフィアの後に連いていった。
「私が担ごうか?さっきの戦闘で疲れてるだろうし・・・」
「良いです。兄として・・・・」
と言いながらも僕の足が少しよろけた
「無理しなくて良いわ」
リーフィアはミメを背中に乗せてまた歩き始めた・・・・
「ネム君?」
「はい・・・?」
「私はリネ、改めてよろしく」
リネさんは手を差し伸べる。今、リネさんには悪いけど・・・今、相手の名前を思い出した・・・・
「よろしくお願いします・・・」
リネさんの手を握って握手を交わす

本人らは気づいていないがその二人を見ている影が後ろに存在していた・・・・

トントン
誰かが僕の肩を叩く・・・・僕が振り返ると目の前に黄色い顔が映る
「うわっ!」
驚いて僕は尻餅をつく
「サス!もしかして今の話し聞い・・・てた・・・・?」
コクッ
そのサンダースは首を縦に振る・・・知り合い?
「し、知り合い?」
「弟よ」
「話は聞いてたよ、僕は何も言わないよ・・・僕はサス、ネム・・・だったよね?よろしく」
目の前に手が差し出された・・・
僕はその手を握る
こうして僕達はまた歩を進めた。風が少し寒かった・・・やがて一つの家の前に着くとリネさんは止まった
「此処よネム君」
そしてリネさんに連れられて中へと入った
「おじゃまします・・・」
「ネム君、ただいまじゃないの?もう此処は貴方の家でもあるんじゃない?」
「た、ただいま・・・」
ちょっと照れくさかった・・・
リネさんの弟は家の奥へと入って行った
「とりあえず疲れたでしょ?お風呂に入ったら・・・?」
「・・・そうするよ」
「お風呂へは、そこを右に曲がってこう行って・・・こう・・・」
「リ、リネさん・・・・?」
風呂への順路を教えながらも僕の体に自分の体をリネさんは密着させて来る・・・
「体、冷えてないかなぁ・・・って思って」
リネさんは顔を赤くする
「・・・だ、大丈夫です」
とりあえず風呂へ向かう・・・・
(えっと・・・此処を曲がって・・・・こう行って・・・・あっ、あそこだ)
リネさんの指示通りに進むとお風呂場に着いた
僕はお風呂場に入りシャワーを浴びた。それから湯船に浸かった
湯加減は少し熱めだけど気持ちいい・・・・
(・・・ゆっくりお風呂に入ったのは久しぶりだな・・・・)
そしてそのまま浸かっていると何だか疲れからか、うとうとしてきた・・・・
(・・・駄目だ・・こんな所で・・・・)
僕はだんだん意識が消えていった・・・・



ネム君がお風呂に向かってから30分位経った
(どうしたのかな・・・・?)
心配になった私は立ち上がった
「サス、ちょっとネム君のこと見てくるね」
「分かった」
私はお風呂場へと向かった・・・そして扉を軽くノックした
「ネム君ちょっと入るよ?」
・・・返事が返ってこない
「ネム君?」
私は扉を開ける・・・するとネム君は湯船でのぼせているようだった・・・・
(あらら・・少し温度が高すぎたかな・・・・?)
湯船は熱いのが好きな私はいつも湯船の温度を少し高めに設定している。
(でも、ネム君には温度が高すぎたようね・・・・・しょうがない私のせいなんだからね・・・・)
私はネム君の体中をタオルで拭いた後に背中に乗せた。ネム君の体はかなり温かった・・・・
そして背中にネム君を乗せたまま、私はまずリビングに寄った。
「サス、ネム君をベットに連れていって寝かせるから後はよろしく」
「分かったよ姉さん」
サスの返答を聞き、ネム君を二階の寝室に連れて行った・・・というより負ぶっていった・・・?
そしてネム君をベットに寝転がせた。その横にはネム君の妹ミメが寝ている・・・・ミメは私がネム君がお風呂に入っている間に此処に寝かせた
二人の兄弟の寝顔は互いに違う進化、つまりブラッキーとグレイシアになってもそっくりだった。
私は寝室の窓を開けた。涼しい風が入ってくる・・・・
(何だか私まで眠くなっちゃった・・・・)
私は布団に入った
(おやすみネム君・・・)
ネム君の額に私はキスをして瞼を閉じた・・・・



・・・・顔に朝の心地よい日差しを感じる・・・・僕はゆっくり目を開ける
すると目の前にはリネさんの顔が映る・・・僕は思わず顔を赤くする
(確か昨日、お風呂で気を失った気がするけど・・・・もしかしてリネさんが?)
そのリネさんは優しい表情を浮かべながらすやすやと静かな寝息をたてていた・・・・
「兄さん」
「!」
振り向くとそこには気を取り戻したミメ寝ていた
「ミメ!」
僕は妹に抱きつく
「大丈夫か・・・?」
「うん・・・兄さん、ところで・・・・此処は?」
・・・僕はミメが意識を失ってから何が起こったか全て話した

「じゃあ、ミナはどうするの兄さん?」
「リネさんが良い案があるって言ってるから大丈夫だ・・・」
「分かったわ」
ガサガサ・・・・
僕が振り返るとリネさんが起きた様子だった。
「お早う御座いますリネさん」
そう声を掛けるが返答が無い・・・・よく見るとリネさんは目が半開きで完全に起きていないようだった。
ガバッ
『!』
いきなりリネさんは僕に抱きついてきた
「・・・おやすみぃ・・・・Zzz」
「リネさん・・・・?」
僕とミメは顔を見合わせた
「ね、寝ぼけていたみたいね・・・・」
「そ、そうだな・・・」
僕とミメは苦笑いした
「ふぁ~あ・・・」
今度はリネさんの弟サスが起床・・・・
「ん?もう起きたのか・・早いなぁ・・・・」
目を擦りながら話しかけてくる
「お腹空いているだろう?一緒に下に降りよう」
「大丈夫、まだお腹は空いて・・『グウゥゥゥ・・・・」
僕とミメのお腹が鳴る・・・
「ハハハ、お腹は正直のようだね!」
僕達は顔を赤くするしかなかった
「Zzz・・・」
「とりあえず、俺の姉さんをどうにかしなきゃな・・・・」
サスは僕のお腹に抱きついているリネさんを見ながら呟き、それから僕の方へと寄ってきた。
「姉さん・・・起きて」
サスはリネさんの体を揺らす
「Zzz・・・」
相変わらずリネさんは僕に抱きついたまま寝息をたてている・・・・
・・・それから10分経って色んな事を試した結果。
「Zzz・・・」
「起こそうとするこっちが疲れちゃうよー・・・・」
サスは疲れはててその場に寝転がる。その様子を見てミメは微笑する
「しょうがない」
そう言ってサスは右前足に小さな電気の球を作った・・・・ま、まさか!
「ネム、お前も痺れると思うがちょっと我慢してくれ」
「まままま待ってよ!やりすぎでしょ・・・!」
「大丈夫」
「大丈夫じゃ・・@#пゞф〒ζ~!!!」
全身に電気が走って僕の意識が一瞬消えかけた・・・しかし電気が弱い為にすぐにビリビリ感が消えた・・・・
ブチッ
(あれ・・・?今変な音がしたような・・・・)
「サ~ァスゥ~~~!!」
リネさんが起きたかと思うと目つきが・・・「サスー!!」
「おっと・・・これは・・・まじ、やばい・・・・・」
サスは後退りする
その間にもリネさんからは殺気が・・・・
次の瞬間サスは部屋から全力で逃げ出した
「逃がさないわよー!!」
リネさんはすごいスピードでその後を追いかける
ガタン!ドカドカ!ガタガタ!
家中から物音がする・・・そして地面が少し揺れている・・・・
「大丈夫かな・・・サス君・・・・」
「さ、さぁな・・・・」
僕達は家中から聞こえる音に耳を傾けるしかなかった・・・・

・・・それから5分経ってもまだ続いているようだった・・・・
ドカッドカッ!ドドドドドド!
「さっきより音が大きくなってない?」
「確かにな、だんだん大きくなっt「隠れさせて!!」
サスが突然部屋に入ってきた。しかし隠れる場所は特に無い・・・・何を思ったのかサスは僕の背中に隠れた・・・
「ばればれじゃない・・・?」
「・・・確かに」
「ネムを盾にする!」
「ええ!?」
「大丈夫だよ!姉さんの狙いはこの俺だから」
「だからっt「サ~ス!」
リネさんが入ってきた・・・・ちょ、顔怖い・・・・・
「サスは・・・・?(!)」
あ~あ、もう見つかったみたい・・・・ぼ、僕は知らないからな!
リネさんは僕の方に歩いてくる
「ネム君、ちょっといい?」
「は、はい・・・・」
僕はミメの隣に行った。サスとリネさんの目が合う
「ね、姉さん!俺が悪かったから勘弁して!!」
サスはそう言いながら後ずさりする
「駄目」
「そこを何とか・・・!」
「・・・駄目」
次の瞬間、サスの足に突然地面から草が巻きつく、サスは身動きが取れなくなった
「覚悟しなさい」
「姉さん止めて・・・!」
「兄さん、サス君が可愛そうよ助けてあげて・・・!」
「でも・・どうすれば・・・・」
僕はどうすれば良いか分からないけど、とりあえずリネさんとサスの間に立った。
「ネム君?」
「リネさん止めてあげて・・・お願いだから」
「えっ・・・」
「リネさんがそんな事するの僕は見たくないよ・・・!」
「ネ、ネム君・・・」
リネさんは頬を赤くする・・・・
「そうね・・・ネム君がそう言うなら・・・・」
「・・・ふぅ」
サスは安心したのか大きく息を吐く・・・
「ただ条件があるの」
「じ、条件・・・?」
「で、その条件というのがこれ♪」
チュ
「えっ?」
『!?』
僕は今何が起きたのか理解できなかった。・・・リネさんが今、僕の口にキスした気がする・・・・後ろを振り向くとミメとサスは驚いていた
「リネさん・・・?」
「うふふ♪」
リネさんはスキップをしながら部屋を出て行った・・・
「・・・」
「に、兄さん・・・今のは?」
「わ、分からない・・・」
僕達はしばらく沈黙していた・・・・
「・・・・と、とりあえず朝食にしようぜ」
サスの言葉に僕達は部屋から出た。そしてサスの後を僕とミメは連いて行く・・・
階段を下り、リビングに入ると良い匂いがしてきた。どうやらキッチンでリネさんが朝食を作っているようだ・・・
サスはソファに座ってテレビを点ける。僕もそれに従った
「私、リネさんの手伝いしてくるね」
ミメが僕の耳元で囁く
「分かったよミメ」
ミメは台所へと向かった
それからはサスと一緒に朝食が出来るまでテレビを見ていた・・・20分位経った。
「ネム君、サス、朝食よ」
リネさんとミメがテーブルに朝食を並べる
「待ってました!」
サスはすぐに席に着く、僕も立ち上がって席に着く
『『いただきま~す』』
朝食はオムライスだった。
「どうネム君?」
「おいしいよ、リネさん、ミメ」
「そう言ってくれると嬉しいわ」
「有難う兄さん」
こんなにおいしい手料理は久しぶりだ・・・・三週間前からまともな物を食べてなかったもんな・・・・・
その日の朝、リネさんの家はにぎやかだった。

そして、その日の昼頃・・・・
僕達は玄関に居た。
「じゃあ行って来るね」
『いってらっしゃい、リネさん』
「夕方には帰ってくるだろうから留守番よろしくね♪皆」
チュ
「・・・あっ」
『!』
ガチャ
リネさんは扉を開けて外に出かけて行った
これでリネさんにキスされたのは二回目だ・・・・あれ?でも二回以上の気もする・・・・・もしかしてこれがリネさんの挨拶の方法みたいなもの?
隣を見ると二人とも前と同じく驚いていた。
「兄さん、もしかして私が気を失っている間にリネさんと何かあった訳?」
ミメが少し涙目になる
「べ、別に何もないよっ!!」
「ふ~ん・・・・」
ミメはそのまま二階に向かった
「もしかしてお前とあいつの間に何か出来てるのか?」
「えっ?何が?」
「片思いとか・・・」
「片じゃなくて両だと思うよ」
「えーーーー!!お前ら両思い!?」
「・・・そんな驚く事なのか?」
「当ったり前だろ!兄弟だぞ!?」
「別に良いじゃないか」
僕はリビングへと向かう、サスは後に連いてくる・・・・
「なぁ?ネムは姉さんのことどう思っているんだ?」
「どう思ってるって、優しい人だなぁ・・・って」
「そっちじゃない、好きとか嫌いとかそういう意味で」
「どうしてそんな事を聞くの?」
「いや、だってさ姉さんはお前の事が好きみたいだぞ?」
「ええ!?」
「ええ!?ってお前分からなかったのか!誰が見たって分かるぞ、お前もしかしてそういうのは鈍感?」
そういえばリネさんの親友エメさんにも言われた気がする・・・・
「・・・多分」
「そうか・・・やっぱりな・・・・まぁとりあえず両思いのミメに謝ったらどうだ?」
「でも、どうやって・・・・」
「謝ってだめなら・・・」
サスは僕の耳元で囁いた
「ええ!!?そ、そんな事出来ないよっ!!」
「男だろ!しっかりしろ!大丈夫だ。両思いなんだから・・・それにお前はあいつの兄なんだろ?」
「・・・うん・・」
「ほら、行って来い」
サスに促され僕は二階へと向かう・・・
ミメの姿を探すとミメはベットの中に蹲っていた・・・・
「うぐっ・・・ひっく・・・」
ミメは泣いていた・・・出来ればそっとしてあげたいのだがそうしたら多分、もっと落ち込むだろう・・・・僕は言葉を発した
「ミメ、さっきはすまなかった・・・ミメはさっきの僕の返事を聞いてリネさんと僕の間に何かあると思ったんだろう?
でも、僕はリネさんとそういう関係じゃないんだ。信じてくれミメ・・・本当の事を僕は喋ってるんだ・・・・」
ミメの返答は無い・・・・自分の妹に向かって喋ってるのに緊張してあまりうまく言えなかった。
「嘘でしょ?兄さんは私に嫌われるのが嫌で嘘をついてるのよ!」
僕はミメの方へと歩く、そしてミメの傍に座る
「嘘なんかじゃない本当だ。僕がミメに嘘をついたことがあるか?」
「この部屋から出ていって兄さん」
「断る」
「出て行っててば!!」
ミメが睨みつけてくる
どうやらサスの言ったとおりにするしか無いらしい・・・・
「出て行かないなら・・・!」
ミメは口に冷気を集束する・・この距離で撃たれたら大変だ!
僕はとっさにミメの両腕を掴む!
そしてミメの腕を引き寄せる。そして・・・
「!!?」
僕とミメの唇が重なる・・・ミメは驚いて体の力が抜ける。僕はその隙をついてミメを押し倒す
その反動で僕とミメの唇はさらに強く重なる・・・ミメは腕に力を入れて少し抵抗するが僕は思い切って舌をミメの口内に侵入させる。
「!!!」
舌をミメの舌に絡ませる・・・舌からは今まで感じた事のない快感が押し寄せてくる・・・!
舌を絡ませれれば絡ませるほど快感が押し寄せてくる。それと同時にミメの抵抗も弱くなってくる、そして最終的にミメも自ら舌を絡ませてきた・・・・

・・・やがて僕は口をそっと離す
「兄さん・・・」
「僕は一度も嘘をついたこと無いだろう?それに・・・これからもだ・・・」
「兄さん、兄さん・・・私・・・・」
ミメは涙を浮かべる
「大丈夫だ謝らなくて良い、僕は怒らないよ」
僕はミメの涙を拭ってあげる
「とりあえず下に下りよう」
「・・・うん」



・・・時は過ぎて夕方5時頃
ガチャ
「ただいま~」
リネさんの声だ。足音が聞こえてきてリビングの扉が開く、リネさんがリビングに入ってきた
『お帰りなさいリネさん』
リネさんは笑顔を僕とミメに返す・・・サスは上に居る
タッタッタッ・・・
リビングに姿を現したのはサスかと思ったがリネさんの親友エメさんだった
「エメさん!?」
「私、貴方達の手助けしようかと思ってね」
「何がですか?」
「リネから聞いたわ、貴方達は妹を助ける為にポケモンを襲っていた訳ね?」
「ご、ごめんなさい!エメさんも一回襲った事があったけどあの時はよく顔を見てなくて・・・!」
過去にエメさんを襲ってしまった事がある・・・・あの時は物凄く暗かったし、顔も見えなくて襲ってしまった・・・・
エメさんだったというのは後になって気が付いたのだ・・・・
「大丈夫、別に気にしてないわよ」
「で、ネム君は奴らのアジトは何所にあるのか分かってるのよね?」
「はい・・・逆に質問しますが分かってなきゃエネルギーを集め終えたら何所に行けばいいのですか?」
「あはは、そうだったね・・・で、本題だけど明日その奴らの所へ乗り込むわ」
「何言ってるんですか!まだ表に顔を出してないとはいえ結構強いのが沢山居ますよ!?」
「大丈夫よ忍び込んでささって行ってミナを取り返してささって帰るだけよ♪それにどうせ防犯カメラとか無いでしょ?」
「確かに・・・防犯カメラとかは一つも無かった・・・・」
「じゃ、決まりね♪」
「・・・うん・・・・」
うまくいくといいが・・・
「サスには私から言うわ」
エメさんがそう言って上に上っていった・・・



・・・それからまた時間が経って午後10時頃・・・・・
僕達は布団に入っていた。
「・・・ネム君、起きてる?」
隣に居るリネさんが話しかけてくる、僕とリネさん以外は既に寝ていた・・・
「ネム君は誰か彼女は居るの?」
「えっ・・・僕は・・彼女はいないけどミメの事は好きですよ・・・・」
「どうして・・・?」
「親が死んでしまってから大切に育ててきた二人の妹の一人だし・・・・それに正直に言ってお互い好みなタイプだし・・・」
「ふ~ん・・・・」
何故そんな事聞くんだろう・・・・サスが言ってたように僕のことが好きだからか・・・?でも僕の何所に惹かれたんだろう・・・
「結構、一緒に長年暮らしてきましたし・・・」
「・・・う~ん」
「どうしたんですか?」
「いや、何でも無いわ・・・とりあえず寝ましょ・・・?」
リネさんに言われ、僕は瞼を閉じた・・・

翌日、僕は目を覚ました・・・というより妙な感覚がして起きたといった方が正しいかもしれない・・・・
「!」
そっと瞼を開けると目の前にリネさんの顔が映る・・・妙な感覚はリネさんが僕にディープキスをしている為だったのだ!
リネさんはどんどん力を入れてディープキスをしてくる
(息が・・・)
あまりに力強くやってくる為に僕の呼吸が止まる
僕は腕を動かそうとするがリネさんの腕の力によって動かない・・・体を動かしてリネさんを退けようと試みるがリネさんの力で封じられる
(意識が・・・)
だんだん意識が遠のいてきた・・・僕は最後の力を振り絞りリネさんを押した!
やっとリネさんの体が離れて息が出来るようになった。それからはしばらく部屋中に僕のぜぇぜぇという呼吸が響いていた
リネさんは僕の耳元に近づいてきて喋りかけてきた
「ネム君・・あの、私・・・そのね実は貴方のこt「ふぁ~あ」
僕とリネさんは視線を移す、サスが起きたところだった
「あれ?二人で何してるの?・・・もしかして姉さん告はk」
不意にサスの体が少しの間、宙に浮いた後地面に叩きつけられた
・・・・どうやらリネさんがサスに電光石火を喰らわせた様だった。
「姉さん何すんだよ!」
「貴方こそ何よ!人がせっかく良いタイミングを掴んだのに!」
喧嘩を始めるリネさんとサスの間に僕が入る
「二人とも喧嘩は止めて!」
リネさんはサスを睨みつけた後部屋から出て行った。
「どうしたの兄さん?」
「何かあったの?」
いつの間にか起きたミメとエメさんが尋ねてくる
「まぁ、色々とね・・・」
僕は適当にごまかす・・・サスはぶつぶつ言いながら部屋を出て行った
「とりあえず行こう」
ミメとエメさんと僕は階段を下りリビングへと向かった
リビングにはリネさんが居た
僕はリネさんに尋ねた
「さっきリネさんが言ってましたが『良いタイミング』って・・・・どういう意味ですか?」
「べ、別に何でもないわ・・・」
リネさんが頬を赤くする
「サスとは仲が悪いんですか?」
「うん、ちょっとね・・・たまに喧嘩するし・・・・とりあえず今日の午後9時過ぎに行こうかと思うんだけど・・・・」
「午後9時ですか・・・それは何故ですか?」
「暗闇に紛れた方が接近しやすいし、万が一の時に逃げやすいでしょ?」
「そうですね」
(待ってろミナ、もうすぐ助けてやるからな・・・)
それからは僕とミメが奴らのアジトの周辺の地形やアジト内の構造を思い出しながら紙に写して皆で作戦会議を立てて話し合った
「よし、これで良いわね・・・皆、頑張るわよ!」
『『おーーー!』』



そして午後9時、ついにこの時が来た・・・
すでに私達は家の外に出ていた。
「じゃ、エメ、テレポートよろしく~」
私は親友に話しかける
「まかせてリネ、ネム君奴らのアジトを思い浮かべながら私の体に触れて」
「さ、触るんですか!?」
「私に触るのが嫌なの?ネム君は」
「えっいや、そういう訳じゃなくてですね・・・女の子の体に触れるのはどうかと・・・・」
頬を赤くしてモジモジするネム君は可愛かった。
「ネム君、大丈夫よエメはそういうの気にしないから♪」
「は、はい・・・」
私の言葉に少し安心したネム君はエメの体に触れる
「リネとサスも私の体に触れて」
エメの言葉に私も手を伸ばす
「行くわよ、皆」
シュンッ
一瞬視界が真っ白になった後に気が付くと私たちは何処かの真っ暗な森の中に居た
月光さえ周りに沢山生えた木々に遮られて全然辺りが見えない・・・
「ネム君何所?」
「此処だよリネさん」
「兄さん何も見えない!」
「暗すぎだろこれ」
「暗いわね・・・」
私たちは手探りでお互いを確認しようとする
本来夜に活動する種族のネム君だけはこの暗闇でも目が見えるらしかった
「きゃ、何所触ってんのよ!」
ドカッという音がする
「仕方が無いじゃないか見えなかったんだから!」
サスとエメにトラブル発生、私は声しか聞こえないがクスクスと笑う
トントン
誰かの手が私の肩を叩く
「リネさん」
「ネム君?」
「そうです」
「よ~し・・・」
手でネム君の体を手探りする
「ちょ、リネさんくすぐったいです」
・・・あった。ネム君の首
私はネム君に抱きつき、首に舌をゆっくり這わせる
「あぅぅぅ!?リネさん何を!!?」
もっと焦ってるネム君の声が聞きたい・・・
ぺロぺロ~
「うぐっ、あっ、ちょっとリネさん暗闇に紛れて何をやっているんですか!!」
「別に?」
「別にじゃないですよ僕の首を舐めたりなんかして!」
お互い小声で話している為エメ達には気づかれない
「エメさん、サス君、此処に居たんですね」
エメ、サス、ミメは合流できたらしい・・・・
私はネム君の耳朶を咥える
「!!?」
そして舐め回す
「リネさん・・・ッ!駄目ですってば・・・!!」
別に良いじゃない?好きなんだから
「どうしようかな~」
「リネさん!」
「しょうがないわね~」
私は渋々ネム君から離れる
「連いてきて下さいリネさん」
ネム君の尻尾を私は咥えた
「リネさん!?」
さっきから焦ってばかりのネム君はとても可愛らしかった
「んら、んえぇー」(ほら、行けー)
「リネさんったら・・・」
私は笑顔を浮かべる
ネム君は尻尾を私に咥えられながらも歩く・・・やがてエメ達と合流する。エメ達に見られてしまうから私はネム君の尻尾を離す
「ネムく~ん此処であってるの~?」
「はい、確か向こうに・・・あっ、ありました」
暗闇でよく見えないが明かりが少し見える
私達は暗闇でも見えるネム君の後ろに連いて行った・・・・



・・・数分後
僕達は歩き続けて灯りの近くに着いた目の前の藪に皆で慎重に顔を出す・・・というより藪の隙間から向こうを覗くと言ったほうが良いかもしれない
藪の向こうで見たもの、それは小さな物置みたいな倉庫の様なものだった
中に入れる扉のところに電灯が光を発していた
「本当にこれがアジト!?」
「うん」
エメさんの質問に答える
僕は辺りを観察して危険が無い事を確認した。
「入るよ、皆」
扉の前に立った。自動ドアの為、勝手に開く
僕が中に入ると皆も後に続いた
「・・・」
エメさんは僕の言う事が信じられないという表情を浮かべる
それもそうだろう・・・此処には初めて来る人はダンボールが沢山積まれただけの小さな倉庫としか思わないだろう・・・・
倉庫の三分のニがダンボールだ。入り口に入って手前の三分の一が開きスペース・・・
ダンボールは天井まで積まれているが天井とダンボールの間が少し空いている
「エメさん僕をダンボールの上の空いている所に乗せて」
エメさんは半信半疑ながらも僕をその空きスペースにサイコキネシスで移動させる
僕はダンボールと天井のわずかなスペースを這いずっていく・・・・壁に㊦という文字が書かれていた
(確か・・・)
指で〔下〕という字をなぞる・・・
ピッー
という小さな音がする

      1 
     2  9
      3   5
      4
     678


㊦という文字が↑の記号に変わった
僕は数字に指を当て続けて指を動かすと壁に描かれた数字が指に沿って動く

      324
    5 1 6
      7
     8 9


僕は↑の様な形に数字を動かした。するとミメ達の方でカチッという音がした・・・
「兄さん開いたわ」
「ああ」
ミメ達の方へ這いずっていく・・・ふと振り返ると
数字が〔開〕という文字に変わっていた
ダンボールから僕は飛び降りる・・・地面の一部がから取っ手が生えていた。その取っ手を掴んで引き上げると下への階段が姿を現す
「入って、皆」
ミメと僕以外は驚いていた・・・僕達は階段を下っていった・・最後に僕が床を階段側から閉じた
カチッ
という音がして取っ手が床に引っ込む・・・多分壁の〔開〕という文字は㊦に戻っている筈だ・・・
僕は先に降りて行ったミメ達の後を追った
階段はやがて終わり通路が姿を現した・・・通路は色々な方向に枝分かれしている
「ネム君案内お願い」
「通路から行くのは危険ですから・・・」
僕は天井を見る・・・皆も天井を見る。通気口があった
「エメさん出来ますか?」
「まかせて」
エメさんは念力で通気口を塞ぐ網のネジを緩めて網を取り外した。網が取り除かれて入れるようになった通気口が姿を現す
そしてエメさんは僕の体をサイコキネシスで浮かして通気口に入れた。僕の後にリネさん、ミメ、エメさん、サスの順で通気口に入れられた
通気口内は這いずって動ける程度の大きさだった
その為、僕達は這いずって前進し始めた・・・
やがて通気口は左と右に分かれていた
(どっちだったけな・・・)
僕は必死に思い出そうとする
後ろをふと見るとミメの下は鉄板ではなくさっき通気口に進入した時と同じ網があった
「ミメ、網の隙間から下の通路に何か標識みたいなものは無いか?」
「えっと・・・あ、ありました。右が▼左が▲ですよ兄さん」
「有難うミメ」
僕は右へ分かれている通気口を進み始めた・・・皆も後に連いてくる

・・・それからは何回か左や右に曲がった。下の通路に敵が何人か通っているのが見えた
「よし此処だ」
「此処は何所なのネム君?」
「すぐに分かりますよ、エメさんお願いします」
エメさんは念力でネジを取り除いて網を取った。僕はそこから顔を出して辺りに敵がいないか見渡す
・・・誰かが来る気配はしない僕は通路に飛び降りた皆も後に続いた
目の前に一つの扉が姿を現す
「入るよ、皆」
扉は自動ドアの為、近づくとすぐに開いた
中に入るとあの時見た光景・・・様々なポケモンが牢屋に入れられているのが目に入った
きっと此処にミナが居る筈だ・・・・
ミナを探しながら歩いていると少し先にこちらに背を向けている敵の隊員が一人・・・・
「リネさん」
「何?」
「あいつに聞きたい事があるので協力してくれますか?」
「・・・あっ、そういう事ね分かったわ」
リネさんの返事を聞き敵の背後から僕とリネさんは近づく・・・そして僕は敵の足目掛けて電光石火、リネさんは倒れた敵の首にリーフブレードをつきつける
「ちょっと聞きたい事があるんだ。手首についた輪はどうやったら外せる?」
「何故、お前達に言わなきゃならない!」
「リネさん」
僕が合図を送るとリネさんは敵の首にさらにリーフブレードを近づける
「分かった、分かった!向こうの階段を上ってすぐの部屋に入れ、そこで4083と打ち込め」
「有難う」
怪しい光を発動して隊員を気絶させた
「よし、皆行こう」
僕達は駆け出した隊員が言っていた階段を上ろうとしようとした時だった
「お前、ネムか?」
「!」
聞き覚えのある声だ・・・僕が左に視線を移すとそこには・・・・
「ニグさん!ミナ!」
一つの牢屋に二グさんとミナが閉じ込められていた
「お兄様!」
「ミナ、此処に居たか」
「こいつのことは俺が見てたぞ安心しろネム」
「ちょっと待っててください、今、輪を外すパスワードを打ち込んできます」
僕は階段を上った。扉が目の前と右の二つあった・・・目の前の扉には▲、右には〇と書かれていた
右の扉に僕は入った。色んな機械が設置されていた・・・その中に他のより大きな機械があった。

パスワード
_ _ _ _


画面にはこう書かれていた
僕は4083と打ち込んだ・・・するとピーという音がして色々なメニューが出てきた
メニューの中に輪と書かれている項目を見つけた。
それを押すと『輪を開放しますか?』と出てきた・・・僕はまよわずYを押した
下のほうからガチャという音がした・・・
「これでよし」
さらにメニューの所にいい物を見つけた!
「仕返しがこれで出来るぞ・・・」
僕はその項目を選択した



ガチャという音がして二グとミナの輪が外れた。周りを見渡すと他のポケモンの輪も外れた・・・
皆、輪が外れて喜んでいた!私はニグとミナが閉じ込められている牢屋の扉を開けた。
開けた時に気が付いたが牢屋側からは開けれないが通路側からは鍵が無くても開けるようだった
「二グ、ミナ、早く出て」
私は外に出るように促す・・・
二人とも外に出た
「お姉様!」
「ミナ!」
ミメとミナは互いに抱き合い再会の喜びを分かち合った・・・その時だった
〔警告、警告、侵入者有り、侵入者は北口から逃げた!直ちに総員迎え〕
このような機械的な声で放送が掛かった直後、ネム君が階段を下りてきた
「今の聞いた?北口って言うのは此処の反対側なんだ。だから南口から皆、逃げればいいんだ!」
「なるほど、これで安全に帰られるとも言っていいんだな?」
「そうだよサス」
私達は牢屋に捕まっていたポケモン達を解放した。そしてネム君と私が先頭に行き皆を導いた・・・
そして私達がテレポートで来た辺りまで走って引き返した
「皆さん互いに手を結び輪を作ってください!」
ネム君の呼びかけに皆、手を繋いで一つの大きな輪が出来た
「エメさん出来ますか?」
「ちょっと人数が多いわね・・・誰かもう一人、手伝ってくれれb「もしかしたら私がお役にたてるかもしれない」
一人のフーディンが話しかけてきた
「私が手伝う、何しろ私達を助けてくれたからな」
「お願いします」
エメとそのフーディンは意識を集中し始める
(7、6、5・・・)
ネム君が小声で何かカウントダウンし始めた
「皆さん準備は良いですか?」
エメの声が聞こえた
「皆さん行きますよ」
(3、2、1・・・!)
ネム君のカウントが終わったと同時に爆発音が聞こえた!私が後ろを振り返ると奴らのアジトが吹き飛んで煙を上げていた・・・
その光景を見た瞬間に私達の視界が真っ白になった・・・。



・・・だんだん視界が回復してきた
「皆さん無事に到着できましたか?!」
僕が見渡すと「大丈夫」という返事が返ってきた
「ふぅ・・・疲れた」
エメさんが額の汗を拭う
「皆さん、各自自分の所へ帰って行って下さい」
僕がそう促すと皆、捕まる前の自分の所へ帰って行った・・・
時刻は日付が変わり午前2時だった・・・・今、リネさんの家の前に居るのは僕、リネさん、ミメ、ミナ、エメさん、サス、ニグさんだ。
「ニグさんは帰らないんですか?」
「もちろん家に帰るが此処から近いし、お前達に礼を言わなきゃな」
「礼なんていらないですよ、僕の命だってニグさんのおかげで今、此処に僕は存在しているんですから」
「分かった。・・・家も近いしまた近い内に会おう」
「それまでお元気で」
僕達はニグさんに手を振って見送った・・・二グさんの後姿はやがて見えなくなった
「さてと、僕達も帰ろう・・・といっても家は目の前だけどね」
「そうねネム君、これで一件落着だし入りましょ」
「じゃあね、皆」
エメさんは手を振りながら自宅へと帰って行った
僕達はリネさんの家に入った・・・今の時刻にやること、それは一つしか無い・・・・
皆、上に上がって寝室へ向かう・・・そして皆で布団へダイブ!さっきの奴らのアジトへ侵入した時の緊張が切れて
自然に疲れと睡魔が襲ってきて皆、すぐに眠りの世界へと入った。僕も瞼が重い、自然に僕も瞼を閉じた・・・・



翌日・・・僕が起きて時計を見てみると時刻は午前12時39分だった。
(こんな時間に起きたのは初めてだ・・・いつも7時頃だったのに)
周りを見渡すとリネさん、ミメ、ミナ、サス・・・皆、寝ていた・・・・
皆、よく見るともうそろそろ起きる様だ・・・僕はとりあえず下へ降りた
「久しぶりに作ってみようかな」
僕は台所へと向かった



朝、目覚めてみるとネム君の姿が見えない・・・
「何所に行ったのかしら・・・」
「分かりません・・・」
ミメに質問したがミメも分からないらしい
ふと、下から良い匂いがする気がする・・・
「何だか良い匂いがしない?」
「確かにしますね」
「俺もするぞ」
「・・・(コクッ」
私達は下に降りた。どうやらリビングから匂いは来ている様だ・・・
リビングの扉を私は開けた・・・
「お早う御座いますリネさん」
「!」
そこにはエプロンを着けたネム君がテーブルに食事を並べていた
チャーハンと唐揚げだった
「これ全部ネム君が作ったの・・・?」
「はい」
ネム君は笑顔になる
「とりあえず皆さん食べましょう?」
「ええ・・・」
私達は席に着いた。
『『いただきます』』

・・
・・・
『『ごちそうさま』』
ネム君が作ったチャーハンは私が作ったのよりおいしかったと思う、それに今まで食べたチャーハンのよりおいしい
細かく刻んだ玉葱が入ってたけど玉葱本来の甘みが出てたと思うし・・・唐揚げもどうやったらあんなにジューシーに出来るんだろう・・・
「ねぇネム君」
「何ですか?」
「ネム君の作った料理、少し悔しいけど私の作った料理よりおいしかった」
「有難う御座います」
「なぁなぁネム、お前もしかしてコソ練してた?」
「コソ練?」
「人に隠れて裏で練習する事だよ」
「こら!サス!」
私は弟の頭を軽く叩く
「気にしなくていいですよリネさん、まぁ結構昔から練習してました。コソ練ではないよサス」
「へぇ~」
「ね、ねぇ・・・ネム君」
「どうかしましたかリネさん?」
「今度、私に料理のコツとか教えてくれる?」
「僕でよければ良いですよ」
「有難う!」
ネム君に料理を教われるのを考えると何だか胸の内が騒いだ・・・どきどきするっていうか嬉しいというかそんな感じだった



その日の夕方・・・
「ねぇネム君、今から散歩に行こうと思うんだけど一緒に来ない?」
「別に良いですけど・・・?」
僕は後ろに振り向く
「ミメとミナも行くかい?」
『うん』
僕、リネさん、ミメ、ミナは家を出た。僕達はリネさんの後を連いて行った
やがて一つの川に着いた。リネさんは川沿いの道を歩き始めた・・・道には桜の花びらが沢山落ちていた・・・・
今もたまに道沿いに並んで植えられた桜の木から花びらが落ちてくる
「ネム君、知ってる?」
「えっ・・・何がですか?」
不意にリネさんに話しかけられて返答が少しおかしかったかもしれないがリネさんは言葉を続けた
「桜の花びらが舞ってるでしょ?花びらが体の何所でもいいから体の上に落ちるとその人は幸せになれるって聞いた事があるの
実際に幸せになったていう人は沢山いるって!」
「へぇ~」
「何だか良い話ですね」
「お兄様の頭の上・・・」
「ん?」
僕はミナに言われて頭のうえに手を乗せてみた・・・何かある・・・・
それを掴んで顔の前に持ってくる
『あっ!』
「・・・花びらだ」
「お兄様だけではなくお姉様とリネ様の頭の上にも・・・」
『本当!?』
リネさんとミメは頭の上に手を置く
『本当だ!』
「ん?ミナ、お前の頭の上にも・・・」
「あっ、私も・・・乗ってる」
「皆そろって幸せに過ごせるかもな」
「きっとそうなるよ兄さん」
「そうね」
「ああ」
そして僕達はまた歩き始めた

・・
・・・
・・・・僕達はそのまましばらく散歩を楽しみ、暗くなってきたから家に帰ろうという事になった
「雲行きも怪しくなってきたねリネさん」
「ええ」
暗くなってきただけではなく雨が降りそうだ・・・見渡す限り雲が全て真っ黒、僕達は駆け出す。
ポツッ・・・ポツッ・・・
「降ってきた!」
全速力で皆、家へ向かう
ポツッ・・・ポツッ・・ポツッ・ポツッ、ポツッポツポツポツ
家まであと少し!その時だった
「(!)・・・ネム君先行ってて」
「えっリネさん!?」
僕がそう言ったときにはリネさんの姿は見えなくなっていた・・・
「リネさん速い・・・」
「お兄様、急がなくては!」
「分かってる」
僕達はまた駆け出した。30秒後・・・
家に着いて僕は扉を開けてミメとミナを中に入れて僕も最後に入り、扉を閉める
上から声が聞こえてきた
「風呂、沸かしてあるぜネム~!」
「有難うサス!・・・ミメ、ミナ先に風呂に入ってくれ」
「兄さんは?」
「ほら早く入って体を温めないと風邪引くぞ?」
「兄さんが風邪を引いちゃう」
「大丈夫、風邪は引かないさ・・・それに兄は普通、妹や弟に先に行かせるんじゃないか?・・・弟はいないけどな」
「なら一緒に入ろうよ兄さん」
「私も・・・同じ意見です姉様」
この言葉には正直、信じられなかった
「な、何言ってるんだよ!この年だろう!」
自分でも頬が赤くなるのが分かった
「もしかして私が兄さんに告白したの忘れたの?」
「わ、忘れるわけ無いじゃないか!」
「なら良いでしょ?」
ミメが突然僕の右前足を掴んだ
「ミメ?」
ミメはそのまま僕を引っ張っていく
「ちょ、ちょっとミメ!?」
僕はそのままお風呂場まで引っ張られた
なんと強引なんだろう・・・って気付いたらミメに背中を石鹸で洗われてるし
しかも前はミナが洗ってるし、前はさすがに自分で・・・と思っていたら洗い終わった
シャワーで僕の体に付いた泡やシャンプーを洗い流す・・・恥ずかしいけどお礼を言わないt・・・ってミナ!?なんとミナは僕のモノを咥えていた!
抵抗しようとするがミメがいつの間にか僕の前の左右の足を抑えていて動けない!
「兄さん、実はねミナも兄さんの事が好きなんだって♪」
「ミメ、お前g・・んが!?んん!!」
ミメに口を口で塞がれた。さらに舌を侵入させられる
僕はミメに押し倒されて口はミメに、下の方はミナにやられていた。
・・・理性も消えかけている・・その時だった!
「お~いネム何所だー」
「!」
サスが下に降りてきたようだった!
しかしミメとミナは構わず続けている・・・・
僕は理性を取り戻して全力で抵抗した!そしてミメとミナの手から逃れた
「兄さん!」
僕はそのまま風呂場を出てタオルを腰に巻きつけ走る!体はまだ濡れているがそれどころじゃない
途中、リビングの前でサスに遭遇する
「どうしたんだネム!?そんなに急いで」
「すまない!それどころじゃないんだ!!」
僕はそのままサスの横を通り二階へ上がって行った・・・
「変な奴・・・」
サスの声が聞こえたが気にしている場合ではなかった
寝室に着くと僕はタオルで体を拭いた
それから10分後
「ふぅ・・・」
大きな溜息をついた。一時はどうなるかと思った・・・
僕はベットにうつ伏せに身を投げ出す
「何だか疲れた・・・」
そのまま目を閉じようとした時だった
コンコン
「兄さん良い?」
「ああ」
扉を開けてミメとミナが入ってきた
「兄さんさっきのもしかしてまだ怒ってる?」
「いいやーー?」
うつ伏せのまま喋ってるから声が変かもしれない・・・要するに顔を布団に沈めている。顔を上げる体力も残っていない・・・
「さっきはごめんなさい兄さん・・・その・・抑えられなくて」
「別に気にしなくていいぞーー・・・・」
「有難う兄さん」
「もう寝ていいかー・・・?」
「うん、おやすみなさい兄さん」
「ああー・・・」
ミメが部屋の電気を消した
「なぁーミメー・・・」
「何?兄さん」
「リネさんはー?」
「さっき帰ってきたよ」
「分かったーおやすみミメ、ミナーー」
「おやすみ兄さん」
「おやすみなさいお兄様」
僕は瞼を閉じた。すぐに意識が消えていった・・・



気が付くと僕は目を開けていた。でも辺りは真っ暗、まだ朝は来てない様だ・・・時計に目をやると午前2時26分を指していた
(眠気がしないや・・・)
全く眠気がしないので僕は立ち上がった。散歩でもしようと思い寝室から出て階段を降りた。何故かは分からないがリビングのテーブルに文を書いた紙を置く
玄関から外に出る・・・月を見ると満月だった・・・・
満月の光を浴び、僕の体の黄色のリングが光る・・・日光もいいが月光も好きだと思った
しかし歩き出そうとした時だった。
(誰かの視線を感じる・・・)
辺りを見渡しても誰も居ない・・・でも視線を感じる
(不気味だな・・・)
満月の光があるから少し明るいとはいえやはり夜だ・・薄暗い・・・

(やっぱり引き返そう)
近くの桜が咲く川の近くに来て思った。
やっぱり視線はまだ感じる・・・
引き返そうと僕が振り返ると
「こんばんわ」
「うわっ!!」
驚いて尻餅をつく、視線を上に向けると見知らぬヨノワールが目の前に居た
「ん~、やはりか」
「?」
僕はそのヨノワールを見つめる
「これはこれは失礼しました」
ヨノワールはそのまま僕に背を向けて僕から離れて行った・・・
(何だったんだ・・・)
僕が立ち上がるとまたそのヨノワールこっちに来た
ガシッ
いきなり僕の首を掴んだ
「うっ!?」
「おっと忘れるところだった」
「なに・・を・・・・」
「ハッ!」
ヨノワールの目が白く光ったかと思うと何だか僕の頭の中が真っ白n・・・・





翌日・・・私は体を起こした
ザーザーザー
外は物凄い大雨だった・・・
「ネム君お早う」
大抵、いつも私より早くネム君は起きるから・・・って、あれ!?
隣に寝ているはずのネム君が居ない・・・まぁもう下に降りたんだろう
私は下に降りた・・・あれれ!!家中探したがネム君が居ない
「ネム君!」

「ネム君!」

「ネム君!」
タッタッタッ
「どうしたんですかリネさん?」
「うるさいな姉さん~朝っぱらからどうしt・・グワッ」
私は焦りの一身でサスの首元を掴みながら状況を伝えた
「ネム君が居ないのよ!!!」
「耳元で大声出すな!」
「本当ですかリネさん!?」
「ええ、家中探しても居ないのよ!!!」
「だから耳元で大g「黙ってて!!!」
「兄さんは勝手に家から出る人では無いですし・・・」
自然に私達はリビングに向かった・・・すると
「リネさん、机の上・・・」
「あっ」
テーブルの上にはメモが置いてあった・・・内容は・・・・

散歩に行ってくるよ  .ネム
時刻は午前2時31分

何故か時刻まで書かれていた
散歩にしては長い、気が付くと私達はどしゃぶりの中、傘を手に外へ飛び出していた
「ネムー!」
「兄さんー!」
「お兄様ー!」
「ネム君ー!」
「皆、別々に分かれてネムを探そう」
「そうね」
私は川の方へ向かった
ミメとミナとサスは別の方向へ向かっていった
私は雨の中、胸騒ぎがして走り出した
(ネム君、何所に行ったの・・・!)
途中、エメに逢った。
「リネ、どうしたの?すごく急いでいるみたいだけど」
「ネム君が居ないの!」
「ネム君が!?」
「ええ」
「ちょっと待って」
エメは目を瞑った・・・エメが意識を集中し始めると額の宝石が紅く光り始めた
「・・・分かった。ネム君の気配は・・・まずい!リネ、連いて来て!」
何が何だか分からないけどネム君が危ないらしい!
私達二人は走るのに傘は邪魔だから傘をたたんで全力で走り始めた
ザーザーザー
雨に当たりながらも私達は走った
・・・数分後
近くの川に着いた。いつもは右に行くのだがエメは左の道を走り始めた。
私もそれに倣う
・・・さらに数分後
赤色の鉄橋が見えてきた。川の水は雨でいつもより増えて、流れが速くなっていた・・・もしもこの状態で誤って川に落ちでもしたら命はまず、無いだろう・・・
「ほらリネ!あそこ!」
エメがそう言って指差す、私はその先を見て驚きの声を上げた!ネム君は鉄橋から流れが速くなっている川に飛び降りようとしているのだ!
私達は鉄橋に向かって走った!あと25m程という所でネム君は重心を前に掛け始めた!
このままでは危ないと私は判断し、電光石火で一気に距離を縮める
ネム君の体が橋から離れた瞬間、私は腕を思いっきり伸ばしてネム君の後ろ両足を掴んだ
「エメ、手伝って!」
しかしエメが来ない・・・・どうしたものかとエメの方を見ると・・・・
「!」
大雨の中、エメと見知らぬヨノワールが戦っていた!
(駄目!私一人じゃネム君が!!)
雨で濡れた私の毛とネム君の毛が互いにすべすべしている為、ネム君の体が徐々に私から離れていく・・・
「ネム君!ネム君!」
私は自然に涙を流していた
・・・そして、ネム君の体が私の手から離れた瞬間!
「ネム君ーー!」
ガシッ
「えっ・・・?」
誰かの手がネム君の体を掴み、引き上げた!
その正体を確かめようと私は隣を見るとそこには大きな体の・・・・「ニグさん!」
「よう」
「どうして此処に?」
「たまたま通りかかったんだ」
ニグさんはネム君の胸に耳を当てた
「・・・大丈夫だ。気を失っているだけだ」
「良かった・・・」
私はホッと一息ついた
「でも、おかしいな・・・気絶したのは数時間前みたいだ」
「どうして分かるの・・・?」
「そういう仕事をしているからな」
「レスキュー隊・・・ですか?」
「ああ、ハイパーレスキューの方で隊長をやっとる・・・さて、お喋りはここまでだ。あのヨノワールを何とかしないと」
エメはヨノワールと互角の戦いをしていた
ニグさんはヨノワールに向かって走り出した
ヨノワールはニグさんに気付き避けようとしたが避ける直前に雷パンチを繰り出し、相手がその威力に怯んだ隙に水の波動を至近距離で放つ
どちらも見事に決まり、ヨノワールは悲鳴を上げながら数十メートル後ろに吹っ飛ばされる
ニグさんは右腕を上に上げた。ヨノワールの体が地面に着いた瞬間に二グさんの右腕が振り下ろされる
ビシャーン!
一線の眩い光がヨノワールの体に当たる!ニグさんの技、雷は雨で濡れた相手の体には結構なダメージを与えた
シュンという音がしてヨノワールの姿が消えた
「・・・さてと、俺はもう行かなくては・・ネムを頼むぞ、意識を失っているだけだから風呂に入れてやれ・・・体が冷えているからな」
「分かりました」
「じゃあな」
ニグさんは去っていった。私はネム君を背中に乗せた
(冷たい・・・)
ネム君の体は長い間雨に打たれたらしく冷たかった
「リネ、家にネム君を送ろう・・・サス達にはテレパシーで伝えておいたわ」
「ええ」

・・・数十分後
私は家に入った。エメは用があるのでさっき別れた
ガチャ
「ただいまー」
『おかえりなさい』
「おかえり」
私は背中に乗せたネム君を風呂まで運んだ
「姉さん、俺がやっとくよ」
「いいわ、私がやる」
「それってどういうk「分かってるわよ」
「え・・・」
サスが口を開けたままポカーンとしているのを見て私は笑った
そして意識を失ったままのネム君を背中に乗せたまま私はお風呂に入った
・・・しかしこの後、ある事件が起こるとは私にはまだ予想できなかった・・・・
私はお風呂でネム君の体を洗い、次に自分の体を洗った。そして湯船に入った・・・ネム君は気を失っているため私が抱きしめてネム君が沈まない様にした
・・・数分後
ネム君の体は十分に温まった。いつの間にかネム君は寝息をたて始めた・・・その寝顔が可愛く3回程口にキスをして上げた♪
湯船から出てタオルでネム君と私の体を拭いた後、お風呂から出た
そして二階の寝室へ向かい、ネム君をベットに寝かせた
「おやすみネム君」
私は階段を下った・・・



・・・此処は何所だろう・・・?
辺りが真っ白で何も分かんないや・・・その空間にあるものは自分だけ・・・・
重力も何も感じない・・・僕はその空間に漂う・・・・
しばらくそのまま・・・でも、ある時・・・・遠くに黒色の何かが・・・・でも遠すぎて分からない・・・・
時間が経つと遠くに見えていた・・・・黒色の何かがだんだん近づいてくる・・・・・
いや、僕が近づいているのかもしれない・・・・・障害物が何一つ無いためよく分からないが・・・僕はその何かに吸い寄せられているように感じた・・・・・
やがてその何かの正体が分かった・・・・僕と同じブラッキーだ・・・・
でも不思議な事に遠くからは黒色に見えたのに近づけば近づくほど相手の毛はだんだん灰色に・・・・やがて灰色もだんだん薄くなっていく・・・・
そして僕が相手の体に触れた時にはその人の体毛は白色になったかと思うと突然、黄金色に輝いた!
「うっ」
その眩しい光に僕は腕を顔の前に持ってくる
ビシャーンという音がして視界がだんだんぼやけていった・・・・



ビシャーンという雷の音がした。雨は十分強いのにだんだん強くなってきた
その時ガタン!という音が上から聞こえてきた
(ネム君・・・?)
私は立ち上がり、階段を上った。そして寝室に入るとネム君はベットの横でつまり地面だがうつ伏せでこちらを見てポカーンとしている
「ネム君!気が付いたのね!」
私はネム君に抱きつく
「良かった・・・・」
「・・・君、誰?」
「えっ・・・」
私は耳を疑った。冗談じゃないかと言おうとしたけどネム君は真剣な顔で見つめてくる・・・
「そんな・・・どうしたのネム君?私の事忘れちゃったの?リネだよ?リ・ネ・だよ?」
ネム君は首を横に振る
「聞いた事無い名前・・・それにネムって誰?」
「えっ・・・」
その質問に私は動揺を隠せなかった
「何言ってるの?貴方はネム・・・ネム君だよ?」
「僕はネムっていうんだ・・・へぇ~」
「・・・もしかして記憶喪失・・・・・」
「それは分からないけど覚えている事といえば僕がブラッキーていうポケモンだという事だけ」
「嘘・・・嘘よ・・・そんな・・・何で・・・何でよ!!」
「僕に言われても分からないよ・・・ところで此処何所?」
「私の家よ、質問に私は答えた。今度は私が質問させてもらうわ・・・何か・・・何か他に覚えてないの?」
「うーん・・・ヨノワールに何かされた位しか覚えてない」
私は希望の光が少し見えてきた気がした
「そのヨノワールは何を貴方にしたの?」
「よく分からないけど、何か技を当てられて・・・それから頭の中が変なふうになって・・・・後は何も覚えてない」
(あいつが・・・ネム君を・・・)
でも、あいつは戦いの後に姿を消した・・・・希望の光は消えてしまった・・・・
(どうすれば・・・どうすればネム君の記憶を・・・・)
「どうしたの君?涙が溢れてるけど・・・」
(えっ・・・)
頬に手を当てると涙が私の頬を伝っていた・・・すぐに私は涙を拭う
「大丈夫、何でもないわ」
「色々と僕が迷惑を掛けてるみたいだね・・・」
「そ、そんな事無いわ!心配しなくていいわ」
時計は午後3時56分を指していた
「とりあえず此処で待ってて」
「・・・はい」
私は下に降りた。そしてリビングに向かった
ガラッ
「リネさん兄さんは・・・どうしたんですか?そんな険しい顔して」
私は今、何があったか話した
「そんな・・・兄さん・・・」
「ネムのやつ記憶喪失って事は、もう・・・俺のボケにツッコミ入れてくれないのか・・・・」
「ええ、そうかもしれないわサス・・・」
皆、顔が暗くなった。私もそうだが・・・
(あら?)
ミナだけが暗い顔にならない・・・それどころか何か言いたそうな顔をしていた
「どうかしたの?ミナ?」
「えっと・・・あの・・・昨日、夢を見たんです」
「夢?」
「はい、夢というよりテレパシーと言った方が良いかもしれません」
ミナは少し手足をもじもじさせながら言った
「そのテレパシーって?」
「昨日の夜遅く、私は気が付くと真っ白な空間にただ一人・・・重力を感じず、ただ漂っていました」
「それから?」
「・・・しばらくそのままでしたがやがて私の目の前に突然伝説ポケモンのユクシーが現れたんです。古い本でしか見た事無かったので私は驚きました
そのユクシーは言いました『貴方のお兄さんが記憶を失ってしまったようです』って、私は驚きの声を上げました。ユクシーはさらにこう言いました
『でも、安心して下さい・・・私の所に来てくれれば記憶を取り戻させられます』と言いました」
「へぇー」
サスが相槌を打つ
「そう言ってユクシーは私にピンク色の布と同じくピンク色の紐が付いた鈴を渡しました『この鈴が私の所へ案内してくれます。では、また会いましょう?ミナさん』
とユクシーが言った途端に私は気が付くとベットで寝ていました。でも右手にはちゃんと鈴がありました」
「その鈴は!・・・今何所に!?」
「取ってきますリネさん」
タッタッ
ミナはリビングから飛び出して行った
・・・数十秒後
タッタッタッ
「取ってきました」
ミナの右手にはピンク色の布と同じくピンク色の紐が付いた鈴が握られていた
私はその鈴を受け取った。そして鈴を揺らしてみた
リリ~ン♪
その音色は何だか心地よく、優しく、心が落ち着く気がした。この鈴一振りでどんなに辛い事も忘れてしまうと言っても大げさじゃないと思う・・・
「いい音色だな・・・」
「でも、どうすればユクシーの元に導いてくれるのかな・・・」
「う~ん・・・」
・・・数十分後
結局、話し合っても分からないという事で行動あるのみという結果になった
私は皆に一度鈴を持たせた・・・が、何も分からなかった
「お兄様はどうでしょうか?」
ミナの意見に皆、賛成した
私達が寝室に入るとネム君はちゃんと私の指示通り待っていてくれた
「ちょっとこれを付けてみて」
私はネム君に鈴を手渡す。
「何かを感じる・・・」
「本当!?」
「うん」
そう言いながらネム君は自らの首に鈴を巻きつける・・・すると鈴が黄金の光を放ち始めた!
「・・・『連いて来て』って」
「えっ?何が?」
「見えないんですか?貴女達の後ろに黄金に輝くブラッキーが立っているんですが・・・」
私達は後ろに振り向くが何も居ない・・・
「どうやら僕にしか見えない様ですね・・・ブラッキーが『早く連いて来て』って言ってますよ」
「じゃ、連いて行きましょ皆」
ネム君は私たちには見えないブラッキーの後に連いて行く・・・私達はネム君の後に連いて行く
やがてネム君は家の外に出た。雨はさらに強くなっていた・・・まるでバケツをひっくり返したみたいに・・・雷までたまに鳴っている
私達は傘を手に取った。どしゃぶりの中また、歩き始めた
・・・数分後
ネム君が止まったのはエメの家の前だった・・・
「うん・・・分かった」
「さっき言ってたブラッキーと話してるの?」
「うん、ブラッキーが『エメさんのテレポート使う必要があるから中に入ろう』って」
「ちょっと待って」
私はインターホンを押した
ピンポーン
・・・・ガチャ
玄関の扉が開いてエメが出てきた
「どうしたのリネ?皆、そろって・・・」
私は事情を話した
「・・・分かった。入って」
私達はエメの家にお邪魔した・・・
「で、そのユクシーの所にはどう行くの?イメージが無いとテレポートは出来ないし・・・」
「ブラッキーが『イメージを送る』って言ってるよ」
「・・・あ、何処かの洞窟が見える」
「ブラッキーが『僕の用はもう済んだ。僕はもうこれで』あっ、消えちゃった・・・・」
「皆、手を掴み合って輪を作って・・・」
皆、手を掴み合って小さな輪が出来た
「よし、行くわよ」
シュン
私達の視界が真っ白になった・・・





・・・その後、私達は無事にユクシーと会ってネム君の記憶を元に戻してもらった。ネム君の記憶が戻ると私は嬉しさのあまりネム君に抱きついた
ユクシーにお礼を言ってテレポートでエメの家に帰ってきた・・・エメにもさよならを言って私達の家にどしゃぶりの中帰って来た
「ふぅーびしょ濡れだ」
玄関でサスが体に付いた水滴を体を揺すって撒き散らす。その水滴がネム君、私、ミメ、ミナに当たる
「ちょっとサス!こんな所で水滴を撒き散らさないでよ!」
「おっと、ごめん」
「もー」
「それにしても兄さんの記憶が戻って良かったですね」
「ええ」
「ごめんなさい、リネさん迷惑ばかり掛けて」
「別にいいのよネム君、貴方が責任を感じる事は無いわ」
「・・・はい」
そう私が言ってもネム君は少し気にしているようだった
・・・ところで何か忘れている気がするが・・・・あっ!そうだエメに誘われてたんだ
「ねぇネム君、ミメ、ミナ、サス、じつわねエメに一緒に明後日一泊二日で近くの山、気楽に山登りになんか行かない?って誘われてるんだけど皆も一緒に来る?」
「エメさんとリネさんが良いとおっしゃるのなら・・・」
「私も」
「わ、私も同じ意見です・・・」
「俺は遠慮しとくよ」
「どうしてサス?」
「俺は友達の家で泊まってワイワイする約束してるんだ。ちょうどかぶってるし、ネム達で言ってこいよ・・・それに、コソコソ・・・・」
サスはネム君の耳元で最後に何か囁く
「ええっ!?何言ってるんだよサス!」
「男だろ?がんばれよ」
「僕にはそんな事出来ないよ・・・・!」
また何か馬鹿な事を私の弟が言ってるようだ・・・・
「サス、ネム君をからかうのは止めなさい」
「はいはい・・・」
こうして私達は明後日、山登りに行く事になった



リネさんが二日前に言っていた山登りの日が来た。リネさんはバックに荷物を入れていた
荷物の中には8枚タオルがあった
「リネさん、この8枚のタオルは何に使うんですか?」
「4枚は私とネム君とミメ、ミナの汗拭きタオルとして一人一つ持たせるけど残りの4枚はエメが必要になるから持ってきてって」
「残りの4枚はエメさんは何に使う為に持ってきてと言ってるんでしょうか・・・?」
「さぁ・・・?エメは私にも教えてくれなかった・・・」
その短い会話が終わると同時に荷物の準備が出来た。
「さて、エメの家に行くよ」
リネさんの言葉で僕達は玄関に向かう、出かける直前にサスが見送りに来た
「山登り頑張れよ」
僕達は頷いて返事をした。扉を開けて外に出ようとした時、サスが話しかけてきた
「ちょっとネム、待ってくれ」
「?」
サスが僕の耳元で囁いた
(頑張れよ)
「何が?」
(昨日言った事だよ、ほら分かるだろ)
「・・・(!)またそれ!?僕には出来ないって言ったじゃないか!」
(お前なら出来る)
「そ、そんな・・・」
リネさんがこちらを不思議そうに見ているのにサスが気付くと僕の背中をポンと叩き(頑張れ)と言ってきた
断じて僕はそんな事しない・・・
そう僕は思いながらリネさん達とエメさんの家に向かって歩き始めた

・・・数十分後
僕達はエメさんのテレポートで連れて来られた山に来た。そこで思ったのは他にも沢山登山する人がいる事
それは良いのだが僕らのグループは僕以外全員雌だという事が気がかりだった
はたしてリネさん、エメさん、ミナはこの山の頂上まで行けるのか?それが一番の問題だ・・・
ミメは僕と色んな所を行ったから僕と同じ位体力がある筈だからそんな心配は要らない看板を見ると標高は1017mと書いてあった
まぁ・・・誘ったくらいなんだから大丈夫だとは思うけど・・・・
「さぁ登るわよー!」
『おー!』
「おー!です。」
僕の心配を他所にリネさん達はハイテンションだ・・・
そしてエメさんを先頭に、リネさん、ミメ、ミナ、僕、という順番になった
リネさん達が登れるか心配だったので荷物は僕が持つと言った。すると・・・
「いいわ、ネム君にムリはさせたくないもの・・・だから私が持っておくわ」とリネさん
「別に軽蔑してるって訳ではないですけど、僕は雄、リネさん達は雌、雄が雌にムリをさせる方がおかしいんじゃないでしょうか?」
「そ、それもそうね・・・」とエメさん
「じゃあお願いできる?ネム君」
「ええ」
僕はリネさんから荷物を受け取り背中に乗せた。荷物はそれなりに重みがあったがそんなにきつくは感じない
また僕達は頂上めざし、上りが続く山道を歩き始めた
頂上までは殆ど木製の階段がジグザグに続いている・・・何段あるんだろう?数えるのも気が遠くなりそうだ・・・



・・・一時間後、食事を取って数十分が経つと予想通りの結果となった。
「はぁ、はぁ・・・待っでよ゛~」
「ちょ、声怖いですよエメさん・・・」
登山前の予想は的中してしまって、順番が変わってしまった・・・・順番は先頭が僕、次がミメ、リネさんとミナ、エメさんだ。
「休憩しよう」
『賛成』
「さ、賛成です」
「はぁ・・・はぁ・・・駄目よ・・まだ行げるわよー・・・・・」
「さっきからそう言ってそんな事になっちゃったんじゃないエメ!それに体が持たないわよ」
「そうですよエメさん」
息を少し整えてからエメさんはまた言った
「しょ・・・しょうがないわね・・・・」
しょうがないわねって・・・それはエメさんの方じゃないかと内心思った
道脇に少し空間があり、そこにベンチが三つ置かれていた・・・・この山には休憩できるようにと、関係者がベンチを設置してくれているのだ
一つは他の人が座っている・・・僕とミメ、リネさんで一つ・・最後の一つはエメさんが座った
エメさんの荒い息が聞こえてくる・・・ミメは僕と同じく少し疲れているがまだまだ行ける様だ
リネさんはそろそろ休憩が必要という位の体力残量、ミナも同じ位・・・エメさんは見ての通り体力を使いきってベンチでぐたーとしている
そのエメさんにミナがこう声を掛けた
「エメさん少し触りますね」
「・・・コクッ」
体力が無いためエメさんは声を出さず、頷いた・・・エメさんの右前足をミナは両手で掴んだ
するとミナの手の平に冷気が漂い始めた
「涼しい・・・」
エメさんが呟いた

・・・それからミナは同じようにエメさんの体に弱い冷気を当て続けた。その結果・・・・
「復活ー!」
エメさんが立ち上がった。傍の看板を見ると現在、僕達がいる標高は900mだ
「あと117mですよエメさん」
「よし、行きましょ!」

・・・さらに数十分後
頂上についに着いた。
「とうとう着いたな」
「そうですね兄さん」
「何だかすごい達成感があるわ」
「体力が限界でもエメは歩いたもんね~」
「ま、まぁね」
その後、しばらく頂上で休んだ・・・リフトに乗って下山する事になった
「ねえ、リフトはどういう組み合わせで乗る?」
「別にどうでもいいですよ」
「でも、一人余るんではないでしょうか?リフトは二人乗り、私達は5人・・・」
「そうね・・・」
「だったら私が一人で」
エメさんが言った
リフトは僕とミメ、リネさんとミナ、エメさんとなった。そしてリフトで下山中・・・
「ねえ兄さん」
「何だ?」
ちゅ
「!?」
「前も言ったけど大好きよ兄さん」
「僕もだよミメ」
もう一度、軽くだが互いの唇を合わせた
数分後、リフトから降りるとエメさんが言った
「さ、旅館に向かうわよ」
『『旅館?』』
「今日の疲れを取るのよ一泊して」
「その宿泊料とかは?」
「大丈夫よ私が奢るから」とエメさんが胸を張る
「太っ腹ー♪」リネさんが横から笑顔で褒める
こうしてその夜は旅館で泊まる事になった・・・

・・・数時間後
僕達は今着いたばかりだが旅館の部屋の中にいた。二階の部屋で番号は2-17だ
此処の旅館は意外と大きい・・5階まである・・・・・荷物を僕は部屋の隅に下ろした
時刻は5時47分、何故こんな時間かというとさっきまでそこら辺を皆でぶらぶらしていたからだ・・・
部屋は2つあって、一つはテレビやソファ、テーブルなど家具が置いてある。窓は大きく、そこからの眺めは最高だ
もう一つの部屋には大きなベットが2つ、ふかふかしている
「6時30分に夕食が運ばれてくるんだけどそれまでちょっとこの旅館を見て回らない?」
『「賛成」』
「賛成です」
エメさんの意見で僕達は部屋を出て旅館を歩き回った……その結果こういう事が分かった
1階は大広間、調理室、大浴場などがある
2階~5階は客室
屋上は植物や花が植えられていて光合成をする植物によって新鮮な空気が吸える……
全部回り終わり部屋に戻った時、時計は6時40分を指していた
僕達の部屋に入ろうとすると2人の旅館の女性スタッフが部屋から出てきてこう言った
「当店のご利用有難う御座います。お食事をお出ししましたので食べ終わりましたらベルをお鳴らし下さいませ」
そう言って二人の女性スタッフは頭を下げて去っていった……僕達は部屋の中に入った
するとテーブルに沢山の料理が並べられていた。

……食事が終わるとベルを鳴らしてスタッフを呼び、食事を片付けてもらった。
その後エメさんの提案でお風呂に入る事にした。荷物から一人一枚づつタオルを出して持った。
そして部屋を出て、階段を降り、ちょっと歩くと大浴場の入り口に着いた。
左が男湯、右が女湯だ。
「ネム君、また後でね~」
「はい」
リネさんの言葉に返事をしつつ、男湯の扉を開ける。隣からリネさん達が扉を開けて中に入る音が聞こえてきた。
扉を開けると更衣室があり、その先が大浴場だ。ふと壁を見ると紙が張られていた……内容は

扉の近くにありますボタンを押していただくと扉の外側に使用中札が出ます。   店主

僕はそのボタンを押した。すると扉の外側で木と鉄がぶつかる音がして札が出てきた。
と同時に隣からも同じ音が聞こえてきた。タイミングがピッタリだなと内心思いながら僕は大浴場の扉を開けて中に入る。
室内には4・5種類の浴槽があり、どれも大きい。露天風呂もある……壁は黒色で、スタッフが念入りに掃除しているのかピカピカだ。
シャワーを浴びて浴槽に入り、しばらくゆっくり湯に浸かっていると……
「ネム君~」
壁の向こうからリネさんの声が聞こえてきた。
「はい?」
「外の方に来てー」
「そ、外の方?」
「露天風呂の事~」
そういう事かと内心思いながら僕は返事をして外に出る。
外は中の壁とは違い、男湯と女湯を境は木で出来た壁だ。高さは10m位だ。
露天風呂の色は白色だ。僕は湯に浸かる……此処から見えるのは今日登った山……近くに他にも沢山の山がある。そして山の近くには町が広がる……
太陽は沈み、辺りは暗くなり、町の家々の光が明るく輝く……そして山は緑とピンク色だった。
山が所々ピンク色に見えるのは、きっと桜の木なのだろう……浴槽の近くにも桜の木があり、その花びらが風に吹かれて舞い落ちる。
「良い所ね此処」リネさんの声だ……
「でしょう?だから此処を選んだのよ」とエメさん
「ねぇネム君?」
「はい?」
「こっち側に来られる?」
「えっ?」
僕は聞き間違えたのかと自分の耳を疑った。
「どうなのネム君?来れる?」
そう言われて事実だという事を知らされた。
「私達と一緒に入ろう?」
僕は自分の顔がどんどん赤くなっていくのが分かった。
「な、ななな何を言っているんですか!?僕とリネさん達は異s」
「別に良いじゃない?使用中札があるから誰にも見つかる事はないし?」
「そうよ兄さん、一緒に入ろう?」
「ミメまで……わ、分かった……」
「じゃネム君、この壁をどうにか越えてきて」
超えるって……10m位あるのにどうやって…………そうか!
僕は浴槽から出て近くの桜の木を登り始めた。途中何回か落ちそうになったが木の壁より僕は高い所にいる。
「へぇ~木を登ってきたか……」
「ネム君って木登りできるんだね」
「兄さん気をつけてください」
ミメ達が心配して見守る中、僕は思い切ってジャンプした。……うまく木の壁の上に乗り、そこからまた飛び降りた。
「すごいネム君!」
「お兄様、お怪我はしてらっしゃいませんか?」
「大丈夫」
それからは露天風呂に浸かりながら色々な事を話した。自分の過去やその頃の心境を初めの方は話した。
その後は自分の趣味や自己紹介をして、お互いに質問しあったりした。よく考えると僕への質問が集中的だったと思う……
しばらくそうやって時間を過ごした……
「そろそろ出ようか」
エメさんの声で皆お風呂から上がって自分達の部屋へ向かった。
部屋に着くと浴衣姿で、片手にリネさんが配ったコップに入った飲み物を手に、皆でTVなどを観てゆっくりする事になった。
……一時間位経った時だった。
「兄さん、私もう寝るね」
「おやすみミメ」
「ミメとネム君は奥の方のベットね」
リネさんの言葉にミメは頷いた。この部屋の隣の部屋はベットが2つ、その隣の部屋にベットが3つ配置されている。各部屋は扉で仕切られている。
時刻は午後9時07分……山登りで疲れたのだろう……でも僕はミメの頬が赤くなっているのを見た気がした。
しかし、はっきりと見る前にミメは扉の向こうへ行った。
多分気のせいだと僕は自分に言い聞かせた。
でも、気のせいでは無いものを僕は感じていた。体中がなんだか熱い……何故かは知らないが自分の心臓がどんどん早くなるのが分かる。
幸いリネさん達はこちらを見ていない……僕は残っていた飲み物を一気に飲み干した。すると視界がぼやけはじめた……
もしかしてリネさんに渡された。この飲み物が……いや、リネさん達は何とも無いから僕の体の調子が悪いだけだと自分に言い聞かせた。
「リネさん、僕、もう寝ます。おやすみなさい」
「おやすみネム君」
早めに寝た方が良いと思い、立ち上がり寝室に向かう為扉を開けて扉を閉めた。
扉を閉めるときに僕はリネさんが僕に向かってニヤリとした気が僕はした……
ベットが2つ……リネさんとエメさんがこの寝室で寝るようだ。奥の方にもう一つ扉があった。
その先の寝室が僕とミメ、ミナが寝る部屋だ。
僕は扉を開けて中に入った。ベットが3つ配置されていて真ん中のベットにミメは寝ていた。
窓からは月光が入り、部屋の中が少し明るい……夜空には星が沢山輝いている。
僕はミメの右側のベットに入った。左側の方のベットは今は空いているがその内ミナが来て寝るのであろう……瞼を閉じて僕は夢の中へと入ろうとした。
……しかし5分位経った時だった。
誰かが僕の体を軽く揺すった。僕が目を開けると目の前にミメが映った……ミメは何か落ち着かない様子だった。
「に、兄さん……」
「なんだい?」
「何だか眠れなくて……兄さんと一緒に寝ていい?」
「えっ?!」
反射的にミメの言葉に驚いた。
「駄目……かな?」
ミメの頬が薄暗い部屋の中でも赤くなっているのが分かった。
「べ、別に良いけど……」
僕はベットの右側に寄り、ミメは僕のベットの中に入ってきた。互いに背中を合わせるような態勢で寝転がっている……
長い間一緒に居た妹とはいえお互いの背中が布団の中で密着するのは緊張する……ミメも同じような事を考えているようだ。
「ねぇ兄さん……」
「何だい?」
僕が返事をするとミメは少し間を開けてからこう言った。
「兄さんとこうして同じ布団に入るのは久しぶりだよね」
「そうだな……」
ミメの体は冷気が少しだけあり、そのミメの体に触れていると涼しい……
「二人きりで同じ布団に入るのは何回かあったけど今みたいに言葉を交わすのは初めてだよね?」
そういえばそうだ……二人きりで布団に入るのは何回か過去に経験があるが言葉を一切交わしていなかった。
「……そうだな」
「兄さん今まで私を大切にしてくれて有難う」
「どうしたんだいきなり?」
「私が今、此処に居るのも兄さんが色々と助けてくれたからだし……感謝したくて」
「別にお礼はいらないよ、家族じゃないか?」
「うん、そうだね。これからもよろしく、兄さん!」
「ああ」
その会話が終わった直後に体中が沸騰するように熱くなってきた……息もだんだん荒くなってくる。
そして気が付くと無意識に僕はミメに後ろから抱きついていた!
「に、兄さん!?」
ミメは動揺している。
「ごめんミメ、体が勝手に……」
「兄さん、私も何だかさっきからおかしいの……体中が熱いの」
「ミメもかい?」
「うん……」
どうやらミメも同じ事を感じていたようだ……
「に、兄さん……」
「何だい?」
「えっと……そのね」
ミメは少しもじもじしてからこう言い放った。
「兄さんとやりたい……の」
頬を真っ赤にしながらミメは言った。……って、ええっ!!?
「い、今なんて?!」
「き、聞こえなかったの兄さん?だからこういう事がしたいの!」
「んん!!?」
ミメは僕の口を自らの唇で塞いでいた!
……しばらくするとミメは口を離した。
僕は自分の心臓が飛び出そうなくらい脈打っているのが嫌でも分かった。
「駄目……かな……?」
ミメはそう言いながら上目遣いで聞いてくる。その表情や横になっているミメの姿勢が物凄い色気を発している……妹がこんなにも変わるとは……成長というものが少し怖くなった。
「兄さんの大きい……」
「え?」
ミメの視線の先には僕のいつもと比べると信じられないほど膨張した自分のモノがあった。
「ご、ごめん!」
僕は慌ててそれを隠す。
「兄さんのそれで私のあそこ……貫いて……」
そのミメの言葉が引き金となり、一気に殆どの理性を失い気が付くとミメを四つん這いにさせて後ろからミメの秘所を舐め回していた!
「に、兄さん!?あっ……ひゃ、そ、そこは!!」
両前足でミメの腰を掴み、舌で僕はミメの一番敏感な所を的確に舐めていた。
「だめぇ、んぐぅっ!……らめめぇぇぇ!!!」
僕に敏感な所を的確に素早く責められていたミメはすぐに絶頂を迎えて大量の愛液を放ち、イった。
「……はぁ……はぁ」
部屋にはミメの荒い息が響いていた。
僕はミメを仰向けにして股を開脚させる……するとミメの愛液で濡れた秘所が丸見えになる。そこは鮮やかなピンク色だった……
僕はミメの秘所にモノを挿れ始める。
ズププププ……
「うぅ……!?」
ミメは小さく喘ぐ、ミメの腔内は僕のモノがギリギリ入った。さらに僕は腰をどんどん沈めて膜を破り、最奥部に到達した……
「兄さん……」
ミメは僕の背中に腕を回して僕を抱きしめる。僕もミメの背中に腕を回して抱き返す。
「動いて……兄さん」
「分かった」
ジュプ、ジュプ
「あっ……んっ……」
ミメは腰を動かす度に小さく喘ぐ。
僕はだんだん腰の速度を上げる。上げれば上げるほどミメの喘ぎ声は大きく、早くなっていく……同時にモノを伝わって来る快感も強くなる。
「ミメ、僕、もうイきそうだ……」
「兄さん、私も……」
「外に出すよミメ」
「えっ!?駄目、兄さん!中に出して!!」
「でも、そしたら!」
「良いから兄さん!」
ミメは腕の力を強めて思いっきり僕を抱きしめた!
「ミ、ミメ!?」
「外に出させないんだからね兄さん!!」
「ミメ、や、止めろ!……っ!」
「兄さぁぁぁん!!」
僕達は同時に絶頂を迎えた。そしてミメに抱きしめられた腕を外す事も出来ずミメの腔内に出してしまった!
「兄さんの……熱い……」
「良いのか?」
「私、兄さんの子を授かっても良いよ……」
「ミ、ミメ……」
自分のモノを僕はミメの秘所から抜いた。すると僕達は自然に眠くなり、そのまま眠りに落ちた。



「もうネム君ったら……ネム君、おきて!」
私はネム君の体を揺する。
「おはようございますリネさん……」
ネム君は眠そうに目を擦る。
「どうだった?昨日は楽しかった?」
「へ?何がですか?」
半分まだ寝てるネム君はすごく可愛らしかった……そりゃー眠いよね~昨日の行為のせいで♪
「惚ける気?ネム君は自分の妹とヤったんでしょ?」
ネム君は私の口からそう言葉が出てきた瞬間に体中が凍ったように硬直した。
「え、あ、その……」
半分パニックを起こしているネム君も可愛かった。ネム君は一気に眠気が取れたみたい……
「大丈夫よネム君、怒っては無いから♪……それより妹さん起こしてあげたら?」
「え、あ、は、はい……」
ネム君はミメを起こした。
「朝食食べたら家に帰るから支度してね♪」
私はそう言い扉を開けて部屋から出た。

扉が閉まると僕は思った。何でリネさんはあんなに上機嫌なんだろう……
だって僕とミメが昨日の行為をして喜ぶとは思えない……もしかして内心かなり怒っているのではないかと心配だ。
「どうかしたんですか兄さん?何か考え事をしているみたいですけど……私でよければ話に乗りますよ?」
「べ、別に何でもないよミメ」
ミメは首を傾げた。

……その日の夜11時、僕達は数時間前に我が家に着いた。サスはまだ友達の家に泊まっていた……
「何でしょうかリネさん?」
僕はリネさんに寝室に呼ばれていた。リネさんの横にはミメとミナも居る……ミメだけが僕と同じく少しオドオドしている。
「朝も言ったけどミメとネム君はヤったんだよね?」
ミメの顔からは血の気が引いた。
「!」
ミナの顔のには衝撃が走った。
「は、はい……」
僕が返事をするとしばらく沈黙が続いた……そして沈黙を破ったのはリネさんの言葉だった。
「よく出来ました♪」
『えっ!?』
リネさん以外、その場に居る皆が声を上げる。
「実はね私、扉の向こうから見てたの」
その言葉に僕とミメは頬が赤くなるのが分かった。
「さらにもう一つ言いたいことがあるのネム君」
リネさんはミナの背中を軽く押した。
「お、お兄様……」
「何だい?」
「じ、実は私……お兄様の事が好きなんです!」
まさかの展開に一瞬、気絶しそうになった。
「実はね……私もなのネム君」
「ほ、本気ですか!!?」
思わず疑ってしまう。リネさんはミメに何か耳元で囁く……
「良いのですか!?」
リネさんはミメの返答に頷く
「ネム君、なら行動で示してあ・げ・る♪」
次の瞬間、リネさんとミメ、ミナが僕に襲い掛かる!
「アーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」







……その後、ミメ、ミナ、リネさんはお腹に小さな命を授かった。
僕達4人は一生一緒に生きる事を誓い、今も一緒に幸せな生活を送っている……


襲、そして・・・完結


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Last-modified: 2012-04-28 (土) 00:00:00
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