by アルテ
八年前、俺は顔を隠して人(ポケモン)を殺す兵器として生きていた。
もう流れる涙はとうに枯れ果て、悲しくても涙は一粒も頬を流れなかった。
やりたくてやった訳じゃない。
自分を見つめる幼い瞳。俺がただ腕を一振りするだけで白目を向いて絶命する。これから楽しい日々を描いていただろうその人(ポケモン)の命を、夢を、希望を……俺が奪ってしまった。
一人だけじゃない、両手では数え切れない程の命を、この腕一本が次々と殺めていった。
今でも耳に残る断末魔の叫びと、命乞いをする悲痛な声―――……。
いつも体が静止する時は、ただ沈黙の世界が広がっていた。
視界の大半は死体と血液で支配されていた。この光景に何度嘔吐感を抱いただろうか。手に残る肉を切り裂く感触がその嘔吐感を催促させる。
――いっそのこと、この腕を引きちぎり自分が絶命したかった。
けれど、
体が言うことを聞かなかった。
全ては…実験だった。
俺は…研究の実験台だったんだ。
俺は…騙されていたんだ。
それは最初から分かっていた。ただの実験で人(ポケモン)を殺すなんておかしいと…。けれど、俺は研究者への憎しみを頭に思い描くだけで行動には…移せなかった。
理由は簡単、その頃の俺はまだ幼かった。幼さ故の大人に対する恐怖が凄まじく、いざとなると体が硬直してしまったからであった。
俺には研究者共から貰った不思議な力が体の中に潜んでいる。次々と人(ポケモン)を殺めたあの力が…。
俺にはこの力があるのに……
くそやろう…。
自分自身にも苛立ちを覚え、それ以来何かあると自分で自分を傷付けるようになっていた。
それは自分にとって、数少ない溜まりに溜まったストレスの発散につながっていた。痛みなんて感じなかった……もう、あちこちの神経がイカれていたせいだったのかもな。
――それ以来、無力、という鎖が俺の体を心を縛り付ける。何も出来ずにただ、言いなりになって同じことを繰り返す。
もう、気が狂いそうだった。
肉体的にも精神的にも限界がおとずれていた。具合が悪くなっても薬なんて出しやしない。代わりに怪しげな注射を度々打たれるだけ。
生きる希望も夢もとうの昔に失っていた俺。何を言われてもただすんなりと頷くだけで、すでに廃人化しつつあった。自分でも理解していた、もう駄目だ、と。
窓から見る景色は
――そんな時だった。
俺にもう一度生きる希望を与えてくれた…俺に温かい光を照らしてくれた…命の恩人の「師匠」に出会ったのは――……。
「――三年間もこんなとこにいて…凄く辛かったでしょう?でも、もうあたしが助けに来たから安心しなさい!あたしはどんな依頼でも笑顔で引き受ける 何でも屋 だ!」
甘い香水を纏って、俺の目の前に現れた。その時の俺はただ呆然と眺めていただけだと思う。
それは「師匠」と初めて出会った瞬間であり……
俺、蒼い閃光が誕生した瞬間だった。
なんかぐだぐだな始まり方になってしまいましたね;すいません;
後ほど時間を見つけて修正したいと思います。
何かあればどうぞ。