桜花
自由な太陽と優しさの月 作・桜花
この話は、キャラ視点です。予めご了承下さい。
賑やかな街中を、僕、ブラッキーは、トレーナーと共に歩いている。僕は今、ご主人と共に、街に買い物に出ている。それは今日の夕食の買出しなんだ。
『今日は何にするのかな・・・・?』
そう僕が思っていた時だった。
「!?」
僕の隣を、薄紫色の体で、二又が分かれた尾をチラつかせているポケモンと擦れ違った。慌てて僕は振り返ると、そこには一匹のエーフィが居た。エーフィは僕の視線に気付いたのか、止まって一度振り返ったけど、すぐに歩いていってしまった。そしてその瞬間、僕は気付いた・・・あのエーフィに恋をしてしまったという事を・・・
※ ※
賑やかな街中を、この私・エーフィは歩いてる。元々から野生だった私は、死に物狂いで野生の世界を生きてきて、そのお蔭で野生のポケモンはおろかトレーナーのポケモンでさえ簡単に勝利する事が出来て、自由に生きてくる事が出来た。
「!」
その時私は、前方から1体のポケモンと、一人の人間が歩いてくるのが見えた。ポケモンは私と同じイーブイの進化系だった。
「・・・幸せそう・・・」
私は楽しそうに笑うそのブラッキーが、何故かとても羨ましく見えた。その脇を静かに通り抜け、先に行こうとした。
「?」
私は背後に視線を感じ、振り返ってみた。すると今通り過ぎたブラッキーが私の事を見ていた。けれど私は踵返し、そのまま進んでいった・・・。
※ ※
「どうしたブラッキー?」
僕のご主人が、今のエーフィを見ていた事に気が付いた。
「あ、いや・・・今エーフィがすれ違ったから・・・」
「そっか・・・早く夕飯買って帰ろうぜ!」
「う、うん・・・」
歩きながらご主人に言われ、僕はご主人の後に付いていこうとした。けど僕は何故か、先程のエーフィが気になり、後ろを振り返った。
「ブラッキー?」
「・・・・・ごめん! 僕ちょっと!・・・」
「あ、ブラッキー!」
ご主人の声も聴かずに、僕は先程のエーフィの後を追った。その後をご主人が追いかけてきた。
※ ※
先程のブラッキーとすれ違ってから私は、街にある公園に来た。
「今日は此処で野宿ね」
幸いにも夕暮れだった為、人も全く居なくて、私はベンチの上に乗り、其処で丸まった。
「!」
その時私の近くに、さっきのブラッキーがやって来た。
「・・・何か用?」
私は少々嫌な口調で、そのブラッキーに話かけた。
※ ※
「・・・何か用?」
僕がそのエーフィに近づくと、エーフィは何故か嫌な口調で訪ねてきた。
「あ、いやその・・・君野生のポケモン?」
「そうだけど」
「そうなんだ・・・」
警戒しているのか、エーフィは堅い口調を崩さなかった。するとそこに、僕のご主人がやってきた。
「あ、ブラッキー、やっと追いついたぞ」
ご主人は僕とエーフィを見ながら言った。
「貴方のトレーナー?」
エーフィは睨む様にご主人を見ながら言った。
「うん・・・」
「トレーナーまで居るって事は・・・私を捕まえる気?」
そう言うとエーフィは、ベンチから降りて、僕の目の前で戦闘態勢に入る。
「ちょ、ちょっと待って! 別に捕まえるわけじゃなくて・・・」
「じゃあ何? それ以外に何かあるの!?」
エーフィは強い口調で僕に尋ねてきた。
「その・・・君と一緒に居たくて・・・」
僕は顔を赤らめて言う。するとエーフィは溜息混じりに言った。
「・・・貴方馬鹿? それ捕まえたいっていうのと、殆ど意味同じじゃない!? ってか何で一緒に居たいの? まさかさっき擦れ違った時に惚れたっていうの!?」
「・・・・」
僕は本当の事を言われ、黙ってしまった。
「図星ね・・・いいわ、今から勝負しましょう、貴方が勝ったら、そのトレーナーのポケモンになってあげる。けど私が勝ったら、私の事を諦めてもらうわよ!」
「う、うん分かった。ご主人も良いよね」
「あ、ああ」
「それじゃあ、もう少し広い所に行きましょう」
エーフィはそう言って歩きだし、僕もご主人もその後を付いていった。
※ ※
で、私はブラッキーとその主人を連れて、公園の広場まで来た。そして私とブラッキーは3m近く離れて向かい合う形で並んだ・・・しっかし、普通見た瞬間に惚れる!? マンガじゃあるまいし・・・まっ、とりあえず適当に戦ってみましょ・・・
※ ※
エーフィは僕の3m近くの所で僕の方に向かう様にしている。僕は戦う前にご主人を見た。
「ご主人、お願いがあるんだけど」
「何だ?」
「この戦いは、僕の我が儘みたいなものだから、ご主人の指示じゃなくて、僕自身で作戦を考えて戦いたいんだ。だからお願い」
「・・・分かった。頑張れよ!」
御主人から承諾を得て、僕はエーフィの方を再び向いた。
「準備は良いわね? じゃあ始めるわよ!」
そう言うとエーフィは、かなりの速さで僕に向かってきた。恐らく電光石火だろうけど、見切れない速さではないので、僕は紙一重で避けた。
「!!!」
避けられると思わなかったのか、エーフィは避けた僕を見て、驚いた表情していた。
「くっ!」
もう一度電光石火をしてきた。今度も僕は避けた・・・けどこの先は違う。僕は避けた直後、技を避けられて一瞬隙があるエーフィに、黒いエネルギー球・シャドーボールを放った。
「くっ・・・」
エーフィはダメージを受けると感じて目を瞑った。けど僕が狙ったのはエーフィではなく、エーフィの手前の地面だった。
ガァァン!!!
シャドーボールは地面に命中し、砂埃を舞い上げた。そして僕はそれと同時に、電光石火でエーフィに接近した。
ドンッ!
「きゃ!」
電光石火状態の僕は、砂埃によって視界を遮られたエーフィに命中した。かなり威力は弱めたけど、僅かにダメージがいった様で、エーフィは悲鳴を上げた。
※ ※
・・・電光石火を喰らった瞬間、私の脳裏には「敗北」という二文字が浮かんだ・・・あ~あ・・・これで私の自由な旅は終わりか・・・地面に倒れた私は、勝利を得ようとしているブラッキーを見つめた・・・。
※ ※
電光石火を喰らって、エーフィは地面に倒れた。エーフィは僕を見つめていた。此処でもう一度攻撃すれば、僕の勝ちだけど・・・
「ご主人・・・帰ろう」
「えっ!」
「えっ?」
僕の帰宅宣言に、ご主人もエーフィも驚いている様だ。
「どうしてだ、ブラッキー? あと少しで勝てるのに!?」
「そうよ! どうして此処まで来て止めるの?」
ご主人もエーフィも理由を訪ねてきた。
「・・・そのエーフィは自由に生きたいみたいだから、そんなエーフィを束縛するみたいな事は、僕はしたくないから・・・」
「ブラッキー・・・お前は優しいな」
ご主人は僕の所に来て、僕の頭を撫でながら言った。
「・・・・・」
エーフィは何も言わなかった。威力は弱めたから、エーフィのダメージは少ないはず・・・僕はご主人と共に帰ろうとした。その時・・・
「待ちなさい!」
帰ろうとした時、エーフィが声をかけてきた。振り返るとエーフィは立ち上がって、僕の前まで歩いてきた。
「何?」
「・・・・・いいわ、貴方のトレーナーのポケモンになってあげる」
「えっ!」
僕は耳を疑った。
「でも・・・君は負けてないんだよ、其れに自由に生きたいんじゃ・・・」
「あーーー!!! うるさい! 貴方と居たいから行くだけ! それだけの話よ!」
と、僕の言葉を抑えて、エーフィはそう叫んだ。暫くポカンとしてたけど・・・
「・・・フフ」
何故か僕は自然と笑顔がこぼれた。
「・・・アハハ」
それはエーフィも同じだった。
「ほら、私は疲れてんだから、早く貴方の家に案内しなさい!」
エーフィのそう言われ、僕とご主人は笑いながら家に向かって歩きだし、その後をエーフィが付いてきた。少々キツイ言い方をするエーフィだけど、自由が好きな太陽は、この僕ブラッキーの優しい(と言われている)月の家族になりました。
完
あとがき
「長らく放置していて、真にすみませんでした。一度は内容変更を考える程のとんでもない駄作であり、このエンディングにする為に、数多く内容削ったりしましたが、皆様やチャットの方々のおかげで完成させる事が出来ました。皆様本当にありがとうございました。これからも桜花を宜しくお願いします。それでは」
最新の10件を表示しています。 コメントページを参照