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脇道4 教えて、ライト先生!

/脇道4 教えて、ライト先生!

writer is 双牙連刃

 新しく見つかった地方、タイプ、現象……未知の答えにあのポケモンが迫る!? な回でございます。長くないお話ですが、少しでもお楽しみ頂ければ幸いです。



 特にする事もなく、全員でリビングで寛ぎながらテレビを見ているんだが、そのテレビでやってる番組でとある地方の特集が放送されてる。
地方の名は、カロス。聞いた事の無い地方だが、どうやら他の地方よりも特殊な環境みたいだな。今、他の奴等のその話をしてるところだ。

「へぇ、フェアリータイプねぇ。他の地方では発見されなかった新しいタイプですって」
「僕達イーブイの進化にも、そのフェアリータイプになる進化が見つかったんだ。ニンフィアかぁ……」
「それに、今までに見つかってるポケモンでも、カロス地方のポケモンだとフェアリータイプを持ってたりするみたいッスね。不思議ッスねー」

 こんな感じにな。ま、ここはカロスでもなし、考えても仕方ないんだけどよ。俺達がそのフェアリータイプってのになる訳でもないしな。

「それに、ポケモンの特殊な進化も発見されたとあったな。最終進化や本来進化しないと言われていたポケモンにも起こる進化、か」
「メガシンカって言うのだよねー。あれなら僕も進化出来るのかなー」
「どうなんでしょう? テレビでは進化するのに特殊な条件があるって言ってましたけど……」
「リザードンとルカリオのメガシンカはもう見つかってるって言ってたね。なら、私も条件さえ揃えば出来るのかな?」

 んー、どうやら見てた感じ、メガ進化ってのは必要な物さえ揃えば出来そうだからな。レンでも出来る可能性はあるんでないのかね。
原理としては、紹介されてた二つの石の共鳴作用によって、ポケモン側の能力を開放してやるってのがいいとこかね。特定の鉱石によってポケモンの能力や身体が活性化させられるってなぁ進化の石なんかで実証されてるんだし、そういう能力を持つ石があってもそう驚く事はねぇかな。
メガストーンって方は恐らく、進化石とかの力が長い年月を掛けて一つの石に集積したもんだろう。特定のポケモンに反応するってのは、集積した各種の力の比率なんかで決まるんだろうな。
んで、キーストーンって方は一種の感応現象を起こす石と予想出来る。ポケモンとトレーナーの絆がどうとかって言ってる辺りを考慮すると、信頼関係にある両者間の意識をリンクさせるような効果があるんだろう。
そのリンクし増幅した念がメガストーンに作用、石の力を開放させてポケモンがメガ進化。……なんて予測は立てられるが、実物を見てる訳じゃないから確定した事は言えんな。あくまで、今得られてる情報から俺が勝手にそれっぽい答えを出しただけだ。

「……で、どうなのよ?」
「ん? 何がだ?」
「あんたさっきからずっとぼーっとテレビ見てるって事は、フェアリータイプとかメガシンカの事とか考えてたんでしょ? どうなのよ?」
「まぁ、一応な」
「って事は、師匠はそれの事を分かるって事ッスか!? やっぱり流石ッスね!」

 ……え? ちょ、なんでそういう風に繋がる!? 考えてたのは確かだが、分かってる訳じゃないからね、それ!?

「待て待て、俺はカロスなんてとこに行った事も無いし、単に今やってた内容をなんとなく整理してただけでだな」
「整理してたって事は、ある程度の答えは出来たって事でしょ? それでいいから話しなさいよ」
「ちょ、お前フロスト! 余計な事言うんじゃねぇよ!」
「って事は、やっぱりライト分かるんだ! へぇ、凄いなぁ」

 うっ、レンの一言から、全員から何かを期待したような視線を感じる……なんだよぅ、だから俺だって正確な事は分からんってのに。
とは言え、こうなってしまっては俺の面子としても完全に答えられませんでは立つ瀬が無い。一応、この中では一番知識に精通してるのは俺だろうし。

「だーもう分かったよ。俺だって実物に遭遇したり見た訳じゃないから、あくまで今のテレビからの情報を元に、俺なりに推理した結果って事にはなるぞ?」
「オッケイオッケイ! そんじゃあ一つ、ライト先生お願いします!」
「阿呆め、人間の、それも学校で色々習ってるおめぇに先生なんて言われる義理ぁねぇよ。……なら、ちっとばかし話すとするか」

 やれやれ、ちっとばかし面倒な事になったもんだぜ……。

~クエスチョン1 フェアリータイプって何?~

「とりあえず、何から話す?」
「じゃあ、僕から聞いていいかな?」
「ほいほい、リィは何が聞きたいんだ?」
「新しく見つかったって言う、フェアリータイプってなんなのかな? 今までは見つからなかったみたいだけど」

 フェアリータイプね。カロスってところ以外では、まだその存在が見つかってない新型のタイプ。これは、苦手なタイプと得意なタイプからどういったタイプなのかは推測出来る。
確か、ドラゴン系の技を無効化して、格闘や悪タイプの技に耐性を持ってるんだったな。んで弱いのが、毒や鋼タイプだったか……。
うーん……整理してみると判別し難いタイプだな、これ。感じ的には、強い力に対する為に生まれたタイプとも取れるかね。で、力を引き出す為に自然というか、大地の力みたいのを利用してるからそれらにダメージを与えるようなタイプに弱くなった……そんなイメージかね?

「確かに……ん? という事は、それ等に対抗しなければならないからこそ、このフェアリータイプは生まれたという事か?」
「さぁてねぇ……だが、ポケモンのタイプってなぁそのポケモンが主な生息域にしている場所の環境に左右される。フェアリータイプがカロスだけで見つかったって事は、そのタイプが生まれる必要があった何かがあったか居たか……それとも、土地にフェアリータイプを生み出す力の源があったか。まぁ、どっちかがあったと考えるのが妥当だな」
「そっか……なら、カロス地方なんて知らない僕達じゃ、フェアリータイプになる事は無いのかな?」

 いや、そうとは限らんな。現在、確かに俺達はフェアリータイプなんて物の力の性質を知らん。知らんから、それを使う事も出来ない。ま、当たり前だわな。
そんな俺達がフェアリータイプの力を使えるようになるにはどうすればいいか。簡単だ、その力を体験すりゃいいのさ。

「力を、体験……? どういう事?」
「実際そのカロス地方に行くってのが一番確実だな。その土地の空気や力に触れれば、俺達にも何かしらの変化が起こる可能性は十分にある。土地に行けないにしても、タイプとしてその力を秘めている技なんかを受けてみるっていうのでも可能かもしれんな」
「どっちみち、何かしらの方法でそのフェアリータイプっていう力に触れないとならないって訳ね。あんた簡単そうに言うけど、それが一番難しいじゃない」
「だーかーらー、俺はさっきのテレビの情報から分かる範囲でを答えてるだけだって言ってんだろ? 実施出来るかどうかは考慮外だっての」

 そもそもフロスト、進化しちまってるお前じゃ、あのニンフィアって奴にはなれんっつの。この中でフェアリータイプになれるポケモンは……可能性が残ってるのはリィくらいなもんだろうな。
いや、フェアリータイプの力に触れての変化が起こるって事も考えられなくもないか……変化が急過ぎる気もするな。多分何か起こるにしても、緩やかに変化していく程度になるだろ。
ま、何かが変わるとしても、能力的に変わるってだけで性格なんかにゃ影響は出ないと思うがな。

「どの道、このフェアリータイプを持つポケモンに遭遇しなければ話は始まらん、という事だな」
「そういうこった。まぁ、このカロス地方ってのがオープンな地方になったようだし、これから色んな地方にこのフェアリータイプも広がっていくだろうさ」
「なるほど……悪タイプに強くなるんなら、僕としては結構良さそうだけど」
「エーフィとフェアリータイプを両立ってのは難しいかもな。なんにでも短所があれば長所もある。逆もまた然りだし、完璧じゃないからこそ色々バランスが成り立ってるもんなのさね」
「バランスブレイカーの最終形態みたいなあんたが言ってもねぇ?」
「うるせぇやい」

 っと、オチも付いたところで、フェアリータイプについて俺が分かるのは、今のところはこんなもんかね。後は実際にその力に触れて試してみん事にはなんとも言えねぇや。

~クエスチョン2 メガシンカとはどういう現象なんだ?~

「ふむ、フェアリータイプについては概ね分かった。ならばライト、メガシンカの方はどういう物なのだ? テレビで見た限りでは、容姿も変わり能力も上昇していたようだが……」
「メガシンカか……確かに容姿なんかが変わるところを見ると進化とも言えるが、正確には『リミッター解除』って言った方が現象的にはしっくりくるかもしれないな」
「リミッター……解除? それってどういう事ッス?」

 ふむ、ならとりあえず、通常の進化とこのメガ進化の具体的な違いを明確にするところから始めるとするか。
まず、通常の進化っていうのの事から整理していこう。そもそも、進化ってのはなんなのか。
条件は様々だが、どういう進化にも必ず関わってくる物がある。それは、体に内包するエネルギー。どういう形であれ、進化をする時には何かしらの、それまでの体では扱いきれないエネルギーを体が抱えているってのが研究記録としてあるな。

「体が内包するエネルギー? それって、どういう事?」
「例えば、ポケモンが進化する一番簡単な条件として、経験を積み成長するってのがある。トレーナーであるそこのアホに分かり易く言えば、レベルの上昇だな」
「アホって!? ま、まぁいいや。確かに、大抵のポケモンはレベルが上がれば進化するけど、それって単に成長したからじゃないの?」
「なら考えてみろ。まずここに生まれたばかりのヒトカゲが居るとする。もちろん生まれたばかりだから年は0、レベルも1ってところだ」
「ほんほん」
「こいつをバトルを経験させてレベルをどんどん上昇させる。そして、ヒトカゲがリザードになる推定レベルである16になった。さて、ヒトカゲは進化をするか? なお、そこまでの期間は1ヶ月とする」
「そりゃあレベルが16なんだから進化を……あ、あれ?」

 このヒトカゲは一年経ってないんだからまだ0才だ。が、経験を積んでレベル16っていう強さにまでなった。故に進化する。……これは、成長によって進化したと言えるか?

「確かに、少し成長って言うには早い気がするわね」
「そう、幾らバトルを経験して技術や能力が上がったとしても、容姿がそこまで変化する訳じゃない。人間で言えば、0才の赤ん坊が立って歩いて鉄アレイ持ち上げてるようなもんだ」
「怖っ! なんじゃそりゃ!」
「もちろんそんな力を赤ん坊の姿のままで行使するなんて事は出来やしねぇ。力には、それに見合った器を用意しなきゃ溢れて器を壊しちまうからな」
「……そうか、それで進化を起こすんだね。力を使えるように、体っていう器が変化するんだ」
「正解だぜリィ。そう、一見すると成長と進化は同一の物と思われるが、実際は切り離して考えるべき物なんよ」

 無論生きていれば様々な事を経験していくし、経験はやがて力になる。そして力がつけば進化をする。そういう点で言えば、成長=進化って事も間違ってはいないがな。
少し話はずれたが、成長=進化じゃないって事になると、ポケモンは何があって進化するのかはもう分かっただろう。強くなり増幅した自分のエネルギーを制御する為にポケモンの体が起こす反応、それが進化だ。

「なるほど、こうして進化という事をじっくりと考えた事は無かったが、考えると確かに成長よりもその方が確実のように思うな」
「あぁ。そしてこのエネルギー進化理論なら、石を使っての進化も説明が出来る。あれは、進化の石の中にある力をポケモン側が受け取る事によって起こる進化だからな」
「じゃあ、懐き進化はなんなのよ? あれは、特定の誰かの事をポケモンが信頼して起こる進化でしょ?」
「誰かを信じる力が進化を促す……って言うと美談になるんだが、ロジック的に話すとこれが面白くもなんともない進化になっちまうんだが、それでもいいか?」
「……やっぱりいいわ。なんか、夢も何も無い真理を突き付けられそうだし」

 それがいい。懐き進化ってのは、特定の誰かに向けられる感情の増加によって、ポケモンの精神的エネルギーが増加して起こる進化だからな。基本は経験進化と何も変わらん。……とは言え、俺の中にある研究データの中でも、解読しきれてない部分があるってのが本音なんだけど。
精神エネルギーの増加による進化って事なら、なぜ憎しみや悲しみでは進化しないのかって疑問点が残ったままなんだよ、これ。一応精神状態のプラス面が進化を促すエネルギーとして適した物だからって事になってるが、確定するには実験不足だったんだろう。元々、あの研究所のポケモンで精神的に追い詰められてないポケモンなんて居なかっただろうし、そっちのデータが不足してんのは分かりきった事だ。
っつー事で、フロストが折れてくれたのは結果オーライ。進化についてはそんなもんでいいだろう。

「なるほど、進化というのも、深く考えると奥深いものだな」
「そういうこった。んで、この進化とは違うメガシンカについてが今の本題だったな」
「そうだったッス! 師匠がさっき言ったのはリミッター解除だったッスけど、そもそもリミッターってなんなんスか?」
「リミッターって、機械が壊れないように機能を制限する時に使われる物ですよね? ポケモンは生き物ですよ?」
「どっこい、ポケモンどころか、動物にはあるリミッターが生まれた時からずっと掛けられてるんだぜ。体が出来る限界を超えた力を使えないようにな」

 皆不思議そうな顔してら。何も難しい事を言ってる訳じゃあねぇのにな。
物は試しだ、ここはハヤトの奴に生贄になってもらって、動物に掛けられてるリミッターって奴を見せてやるとするか。

「おいバカ。ちょっと腕をこっちに伸ばせ」
「バカって俺!? な、なんだよぅ」
「他に居るか? ちょっとじっとしてろよ……ほれっ」
「いででででで!? のぉぉぉ! 右腕はそっちに曲がらない! 曲がらないったらさ! ウェイト! ウェーイト!」
「んー? ライトが言ってるリミッターって、もしかして痛いってことー?」
「ほほぅ、なかなか意外なところから答えが出たじゃねぇか。プラス、正解だぜ」

 答えが出たんで、奴の右腕を開放してやった。別に折る気なんか無かったし、十分に手加減もしたんだがな。
そう、動物に掛かっているリミッター……それは痛みだ。痛みがあるからこそ、その痛みを感じる限界点以上に動物は力を出せないようになっている。
挙げていくとまだまだあるんだが、今回の説明で必要なのは痛みだから、それだけを利用させてもらうぜ。

「痛みが、リミッター? どういう事?」
「誰だって痛いと思った事はそれ以上やろうとしないだろ? もし俺がさっき奴の腕を痛いってところで止めずに曲げようとし続ければ、どうなってたと思う?」
「折れるに決まってるでしょ! 関節一個増えるとか洒落にならないから!」
「うるせぇなぁ、本当に折ったろか。とにかく、痛みを超えて無理をするとその部分が壊れる。だから、壊れないようにする為のリミッターが痛みって訳だな」

 ぎゃあぎゃあ喚く馬鹿を黙らせて説明を続ける。っつっても、動物に組み込まれてるリミッターの正体はこれで分かっただろうがな。

「ふむ、ポケモンや動物にもリミッターがあるというのは分かったが、それとメガシンカがどう繋がるんだ?」
「……最終進化や、元々進化しないポケモンってのは、言わばそこが限界点。力を引き出せる最終到達地点だって言える」

 が、どんな生き物でも本当の100%の力ってのは出せないようになっている。体が壊れないよう、使って大体10~20%程度だろう。まぁ、一般的に言われてる比率だがな。
それを超えれば体にダメージが発生し、良くてその部分が壊れ、最悪死に至る。限定的に、火事場のバカ力なんて形で使われる事もあるがな。
で、メガシンカで引き出しているのは、普段使っていない部分の力。本来なら引き出されない筈の部分の力を引き出してるんじゃないかってのが俺の見解だ。能力の開放……本来なら反動で体がダメージを受ける筈だがな。

「本来使う事の無い力を開放する、か……聞こえとしては強力な力のように聞こえるが」
「強力なのは間違い無いだろう。が、俺としてはあまり使っていい力だとは思えんがね」
「ホワイ? なんでさ? そんなにパワーアップ出来るなら使ってみたいと思うっしょ?」
「あのな、なんで先にリミッターの説明したと思ってんだよ」
「そうか、限界を、リミッターを超えた力は……体を壊す」
「そう。どういう原理か、さっきの番組ではメガシンカにデメリットは無いように言われてた。実際はどうなのか分からんが、リミッター外しってのはあくまでイレギュラーな力よ。やらないでいいなら、それに越した事はねぇさ」

 楽観的に考えてたであろう全員が、難しい顔して考え込んじまったな。まぁでも、そんなにお手軽に力が手に入るなら誰だってそれを使えるように目指すだろうさ。それがされてないって事はお察しって事なんだろう。
仮に本当にノーリスクでその力が使えるとしても、強過ぎる力は心を蝕む。強い力に心が飲まれれば、待ってるのはどの道化け物の道だ。得なくて済む力なら、持つ事も無い。……持ってる奴の戯言だって、言われたとしてもな。

~クエスチョン3 ライトさんの力はメガシンカ?~

 ま、こんなところでメガシンカの俺的見解は終わりだ。するにしても、こいつにそれを扱う技量があるようにも見えんしな。

「凄そうだと思ってたけど……なんだか、ライトの話を聞いてたら怖くなっちゃった。無茶をしても、良い事って無いもんね」
「そういう事。まぁ、実際デメリットが無いなら、一度くらい使ってみてもいいかもしれんがな」
「うーん……」

 ん? なんかリーフがまだ考えてるみたいだな。どうしたんだ?

「どうしたリーフ、まだ何か引っかかるのか?」
「あ、いえ、大した事ではないんですけど……なんだか似てるなーと思ったんですよ」
「何がだ?」
「メガシンカ後のポケモンって、言ってみるとポケモンの限界を超えた状態なんですよね。それって……ライトさんの能力みたいじゃないですか?」

 ……俺!? この話の内容から俺が出てくるですと!? これは予想外なんだが!
いやまぁ、俺の能力も言っちまえばポケモンの限界を超えた力だがな? 俺の場合はリミッターを外すんじゃなくて、元々リミッターが無いって言う方が正しいんだが。

「え? ってことは、ライトはメガシンカしたサンダースって事?」
「いや違うからねリィ!? 俺は普通のサンダースだって!」
「普通のサンダースが、未だ研究中の新しいタイプや未知の進化に自分なりにとは言え、答えを出せるかしら?」
「それに、師匠の力も速さも、っていうか全部の能力がポケモンとして桁違いッスよね」
「それで普通と言われたら、世のサンダースはなんだという話になるな」

 えっと、成長したイーブイ、とか? いや、ブイズは皆そうだけどよ。俺は突然変異体だからなぁ……それを言う訳にもいかんし。
そもそも俺はメガシンカをする条件を満たしてない訳でだな、そんなもんが出来る訳が無いのだよ。皆分かってて言ってるんだろうが。

「あまりからかうなっての! 普通ってのはその、撤回してもいいが、俺がサンダースだってのは変わらん事実だ」
「まぁそれはいいとして、実際メガシンカでこいつ並の能力値になるとしたら、そりゃあもう大惨事なんじゃないの?」
「あのな、メガシンカでの進化は一時的にしか持たないって言ってただろ? 常にそのままの状態にゃ出来ないってんなら、そう問題は起きないと思うが」
「ふむ、つまり常に異常な身体能力を維持し続けるお前はメガシンカをしている訳ではない、と」
「ライトさんの場合はリミットが無い……アンリミテッドってところですかね。あ、なんかメガシンカより格好良いかもしれないです」
「……はぁ、もうなんとでも呼んでくれ」

 アンリミテッド、ね。確かに、言えてるのかもしれないな。際限無く力を振るえる化物。特殊変異体……アンリミテッド。
なんてな。そんな小洒落た名前、俺には必要無いさ。俺を表現する物で一番なのは……ま、やっぱりライトって名前かね。
俺が始めて選んだ、俺の存在の証明。それが、ライトって名だ。俺が俺である為の、大きなピース。

「アンリミテッドか……僕としては、やっぱりライトはライトって呼びたいな」
「ふふっ、私もリィちゃんと同じかな。ライトは、ライトって呼びたい。そのままで居て欲しい」
「お、おう……俺もその方がいいしな」
「……妬けるねぇ」
「妬けるわねぇ」
「ふむ……」
「やっぱりリィっちもレンの姉貴も師匠の事分かってるッスねー」
「ライトにライト以外の呼び方なんて居るのー?」

 ……一部を除いて、お前ら全員俺の拳で宇宙へ旅立たせてやろうか。しばらく星の海で遊泳してろ。
もういいか。俺の事なんて、そう触れて面白いもんでもねぇし。
とにかく、皆が聞きたい事には答えた。これで俺のお役目は終えたと。あー、なんか微妙に肩凝ったぜ。

「さて、もう答えるべき質問は無いな? この会、お開きにさせてもらうぞ」
「えー」
「えーってリィ、他に何か聞きたい事なんてあるのか?」
「うーん……ごめん、やっぱり無いや」

 他の連中にも聞いてみたが、どうやら当面の疑問は解決したらしい。寧ろ、されない困るが。
なんにせよ、新たなもんが見つかってまた世界が騒がしくなりそうだぜ……俺に被害が出ないなら、そう構う気は無いけどな。


~後書き~
 という訳で、脇道というより件の物をこの世界ではどう扱うかという説明回でございました。色々急に変えると不具合が出てきてしまうので……。
こういう説明をさせると、ライトって存在が居るのが有難い限り。博識だから独自の見解もスラスラ出してくれそうですしw
とにかく、新光の面々が新タイプと争う事があるのか、メガシンカを目撃するのかは先々のお話で……あ、あるのかなぁ? とにかく、今回はここまで。お読み頂きありがとうございました!

最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • 新作キター(゚∀゚)ー!!

    お疲れ様です!
    流石はライトですね。新タイプや新しい進化に対しても、その類いまれない博識っぷりを発揮するとは...

    俺にも色々と教えてください!アンリミテッド・ライト先せ(殴)
    ――通りすがりの傍観者 ? 2014-09-10 (水) 09:28:52
  • 新作キター!!
    お久しぶりです、双牙連刃さん、最近ラノベの買いすぎで生活スペースが圧迫されている196です。
    今回も楽しく読ませていただきました。特にフロスト姉さんの「バランスブレイカーの最終形態みたいなあんたが言ってもねぇ?」と言うところが的を射ていて読んでいて面白かったです。
    次回の作品も楽しみに待ってます。執筆頑張ってください!応援してます!
    ――196 ? 2014-09-10 (水) 16:21:02
  • あちこちに影響をもたらしていますねフェアリータイプ
    さらにメガ進化というNew感覚な戦いもできるようになりましたしね あーレンさんは要注意ですね
    気を付けるんだぞアンリミテッド・ライト先s……(宇宙遊泳
    ―― 2014-09-18 (木) 22:14:09
  • >>通りすがりの傍観者さん
    ライトの中には、ポケモンについての基礎知識や何かが詰まってますからね、それを利用すると仮説としてなら答えを出せちゃったりします。改めて、チート性能な主人公だな…。
    と、ここで少しライトからのコメントを頂きましょう

    ラ「アンリミテッドってリーフが勝手に言った事だからね!? 俺自身が名乗った事じゃないからね!?」

    との事ですw お読み頂きありがとうございます!

    >>196さん
    ラノベの買いすぎw ど、読破が大変そうですねw
    本当に、フロストが言う通りライトはあらゆるバランスを破壊していくだけの能力があるポケモンですからねぇ、フロストが呆れながらそう言ったのも頷けてしまいますw
    これからも少しづつですが頑張らせて頂きます! ありがとうございます!

    >>9/18の名無しさん
    本当に、新たなタイプの登場は(作品)世界を震撼させますからね…扱いが難しいものです
    更にメガシンカと…まぁ、この作品でメガシンカに該当するのはレンだけですから、そこまで被害はありませんが、これから増えたらどうしようかと思案しているところでございます。
    しかし、アンリミテッド・ライトが広まってしまったw ライトが頭を抱えてる姿が容易に想像出来てしまう…w ありがとうございました!
    ――双牙連刃 2014-10-03 (金) 14:31:48
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Last-modified: 2014-09-10 (水) 06:53:15
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