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羽毛布団

/羽毛布団

生きてた人GALD
良い子は進まないほうがよろしい内容になっております。そっと閉じてください。


久々の視線の少なさに安どのため息をもらしながら、うつむいた顔を持ち上げた。晴れた視界には赤に染まりだした青色に白い斑点模様が広がる。
うつむくほどは顔傾けずに、見下ろす程度にすると眼下にはどこか見慣れた街並みにやや残念な気もしたが、普段よりも味の違う空気でごまかした。
ずいぶん山奥にまで足を進めてしまったせいか、今日中に山を下りきるのは諦めた。登り切っていない、つまりは半分にも達していないのに降りるとなると出発地点に戻るということになる。
つまり、ここで引き返してしまうという選択肢として負けた気がして、山で一日は過ごすと決めたのは数日前にも思える。日が傾きだしたことを言い訳に、寝床を相方に探させに向かわせて一人で座り込んでいる。
五月蠅いは、余裕を見せてこちらをリードしてくるに付け加えて上から目線という耐えかねない空間から逃げ出せたのだから、一息ついでにお茶でもすすりたいところである。
木々の間を吹き抜けて、ほほを冷たく撫でるのに体を震わせながら、帰りを待っていた。こういう通り風の質の悪いところは葉を揺らして音を立てるせいで落着けないところにもあった。
結果的に体を縮めながら心細さを誤魔化そうとしても、徐々に暗くなる周囲の雰囲気が心を沈めようとしてくる。そんなこちらを手繰る手から逃れるように、相方の戻る一縷の希望を握りしめていた。
段々葉と枝、葉と空の境界線が曖昧になっていき、黒で塗りつぶされていく。視界の色の偏りが、心境を傾かせて今にも立ち上がりたくなる足をなんとか抑える。集合地点から離れるということは、同時に自分を見失わせるということになる。
唯でさえ鈍い光を捨てて、どこへ歩けというのかという話にもなってくるので動かないのが最善なのである。命を天秤にかけないでもしない限り、死地に迷い込もうとするのは蛮行ともいえる。
取り払えない不安を隣に座らせながら、何を友として信じるべきなのかを悩んでいた。横から伸びてくる手を弾くようにして、孤独に飲まれないようにやり過ごしていた。
やり場のない静寂を抱えて迫る暗闇と遠のく太陽の光に、伸ばせる手もなく足を手繰り寄せて吹き抜ける風を耐えしのいだ。
何時間なのか何分なのか、数秒だったのかもしれないが、数えたくもない時間が途方もなく過ぎ去って、何からも置き去りにされてしまった感覚に苛まれていると、ようやく終止符が打たれることになる。
微かに聞こえたその音が、たとえ空耳であったとしても吸い寄せられるように立ち上がった。徐々に音波を拡大しながら、こちらに接近してくるそれは間違えであっても周囲をさがした。
やがて、羽ばたく音源は降下をはじめて目の前に降り立ち行き過ぎることもなく、地面にそっと降り立って翼を閉じた。
人のロングヘアーみたく赤い後ろ髪で黄色い髪の毛を挟んで背中にかけている。同じように赤い尻尾はピンとたちながら、髪の毛は重力に抗うことなく垂れ下がる。
背中は茶色で表は白いととそんなに目立つ色でもなく、そのせいもあって尻尾やトサカがかえって目立つカラーリングになっているが、それ以上に体自体が大きいので目立つことに変わりはない。
大きさ自体人のそれとはさほどかわりないので、飛んでいれば目につくのも無理はない。体重のほうは聞くとただでは済まないだろうがとりあえず自分より軽いということだけはいえる。
「やっとか。」
「あら、寂しかったの?」
「寒かっただけだ。」
「情けない鼻水。」
一人で飛行を楽しんで帰ってきた相方のほうは、寂しくなんてちっともないかのようにからかってくるだけである。何を不安になっていたのか、負けた気がしてくるのは先ほどとは真逆だった。
適度な寝床の捜索に当たらせて、こっちは待機班としてこの場に残っていたのであったが、どうやら収穫はあったようで早速誘導してもらうことになる。
当然正規の道からは外れるので、もともと心もとない一本道ではあったがそれてみると随分と愛おしくもなる。
頭上を木々にここまで覆われるとここまで引き返したくなるのかというほど、戻りたくもなったが路上で一夜過ごすのもまた危険が多い。
背に腹は代えられないと一歩を踏み出してはまた後悔しながらも、前進して草をかき分けていく。幸いこちらの背ほどあるようなものはなかったが、暗闇で視界が悪いのに草で余計に見えないとなると抜け出したいのに早く進めない。
心苦しさからの解放に向かって駆け出したくもなるが、見えない足場にバランスを崩されそうになりやめて歩くことにした。
相方のほうはといえば空がフィールドなので日が沈みきってしまうと下が見えなくなりはするが、ぶつかるものなどそうは存在するものではない。
つまりは安全圏からこちらを見下ろしているのである。人が歩くのよりもはるかに軽そうに空を仰ぐそれは、疲れているこちら側のペースのそれとは異なる。
ついていくには辛いペースであるに加えて足場が慣れないせいで、影が遠くなっていくのは仕方がなくても追いかけたくなる。
無理に進んでしまい足を草木が絡めとろうと引っかけてくるのを、正面突破して千切りながら引きずっていく。洞穴までたどり着くころには明らかな通り道が出来上がっていた。
相方のほうは翼を畳んで地面に体を下して待ってました露骨な姿勢で意思表示を図っている。暗く口を開けて待っているその先には流石に光なしでは進みたくないということだろう。
火や一般的な生活面は人の担当で、探索や戦闘は鳥の領分となっているため、ここから仕事をしなければならないのはこちら側のほうなのである。
背中の荷物から火起こし一式を取り出して、鳥のほうには枝を集めるようにいうと飛ぶのさえめんどうなのか疲れたのか、地面をぴょんぴょん跳ねながら枝を咥えて持ってくる。
穴の暗闇を払い終えるまでには、外が完全に暗闇に食らいつくされていて頼みは焚火だけになっていた。
火を囲んで缶詰を適当にあさっているような感じで、魚を取ってきたりとか獲物をしとめたりして焼いたりしているわけではない。
缶詰と呼ばれる人類の進化の軌跡によってもたらされる奇跡を糧として、飢えをしのいでいる。いくら手がない鳥とは言っても蓋さえあいていれば嘴で中身をつつきまわせる。
この怪鳥の不思議なところとしては何故かツナ缶といわれるものが好きなようである。魚で育ったわけでもなく、マヨネーズがかけてるわけでもないのに何故かツナ缶をつつくことが好きなようである。
猫が魚をくわえるとはよく聞くものであるが、嘴に肌色の身を咥えてそのまま飲み込んでいる横顔は幸せそうで悪い気はしない。食い方そのものは荒々しく上品さのかけらもない、ゴミ袋をあさるそれである。それでも地面にこぼさずに食べているのは上品なうちなのだろう。
同じようにして缶詰を消化してそそくさと疲労を抜く準備に入る。何かを組み立てることもなく、寝袋を出して終わりである。めんどくさいとかそういうはなしで、単純に疲れて寝るだけしか選択肢がないからである。
寝るといっても、寝袋の中に体をうずめてそのまま夜を耐え抜くというもので風に直接当たらない分ましではあるが寒いことに変わりはない。地面の上に布団一枚で寝ているのだから背中もそんなに暖かいわけでもない。
焚火も消し去って、穴の入り口からの光で薄暗い、けれども温かく触れる光もなく、鳥肌が立ちそうで身を縮めた。
そんな肌に毛布をかぶせるように、柔らかい感触とともに重さがのしかかる。寝袋をうまく開けて間を割って入ってくる。
「どうしたの、物思いにふけっちゃって。」
「とりあえず、重い。」
額を軽くつつかれて、眠気が飛び去ってしまう。顔は笑顔なのに背中が冷え込んでくるのは気のせいだろうと目を開いた。目の前に顔があるのはおおよそ想像通りであったのでそこまであわてることもなかった。
「寒いならボールに戻すぞ。」
「あら、お姉さんが体を貸してるのに冷たいじゃない。」
不気味に刺すような細い目が嫌いな大人びた目のようで鋭く睨み返した。今更なめられているいうな立場の人間が威厳を示そうとして背伸びしたところでどこにも届かないのである。
「連れ出しておいて、早速そういう釣れない態度はないんじゃないの?」
「仕方ないだろ、お前しか俺の手元にいなかったんだしさ。」
どこが気に入らなかったのか、今度は膨れて頭を強めにつつかれた。そのうち嘴が赤色になる日がこないことを願いながら頭を触って怪我を確かめた。言ったことに間違いはないのにと頭を撫でまわしてみると、これといった傷口は見当たらなかった。
このご時世10歳にでもなれば世界に飛び出していくというのは不思議な話ではない。そんな中十代後半に入っても、ろくに外に出れる気配がなく、減っていく周囲の人間に拳を作ることしか許されなかった。家出をするという手もあったが、しょせん子供の考えることなどどこかで寂しさや不安に突き当たるものである。
ごねることはできても、それが限界で外に出る機会を自分で作り出すことは到底かなわなかった。庭でぴょんぴょん跳ねるポッポを眺めて遊ぶ程度のことしかできなかったのである。そこそこの庭の大きさで、塀で囲まれているものの飛んでくるものはどこかしらからやってくるし、どこから抜け道で入ってくる者でにぎわうこともある。
野生の生物と出会うことに関してはそんなに苦労することもなく、一日張り付いていれば種類に偏りがあるが見つけることは造作もない。しかし、街中というのもあってか大型のポケモンが飛んでくることはないし、ほとんどが小型の鳥ポケモンに限られていた。更に、あたりを荒らしかねないポケモンは町のほうでも対策していることもあってさらに種類は限られていた。
要するに、一日で出会うことができるが一日で飽きるという反面があり、ポケモンだと騒いだところで同じようなものばかりで量産された日用品と感覚が変わらないものである。昔は走り回っていた庭にも窓から眺める程度の存在に10歳に差し掛かるころには成り下がっていた。
それ故に外の世界に興味が向きはしたので、とりあえずという形で庭にいる手ごろなポッポにボールを投げたわけであったが、捕まえたものの叱られながらも一緒に暮らすというところに持ち込むのが限界であった。
しかし、そこで夢を捨てきれずに庭にくる小型ポケモンを相手に鍛えようとして庭を荒らして再度怒鳴られることになってのは懐かしい思い出であるが、街中でポッポとかいう心細い戦力で戦っていくことを強いられてしまった。それでも、負けることを覚悟して必死に目標に向かってもがき続けたが他にも大きな問題が出てくることになる。
この鳥は早起きなせいで、毎朝しっかりと起してくれる上に口が達者な正確なおかげで何かする都度、何かしら言ってくれたり背を向けたりと好き勝手にやってくれるのである。性格のせいか、性別のせいか、部屋で暴れるということはなかったが、その分言葉をまき散らしてくれた。
揃う酷い条件の中でもつづけられた救いは、このポッポがそれなりに動いてくれてなぜ捕まったのか不思議なくらいな立ち回りを見せてくれた。かいあって、置き去りにしていった同級生らや親類にも勝率は高いものを叩き出せていた。当人の実力か、こちらの支持のお蔭か着実に成長を果たして一度目の進化をしたときは夢中で抱き寄せた記憶もある。
十代にはいったというのに随分と子供じみたテンションの上がり方で、いい思い出なのか恥ずかしいのか今の自分ではそうは真似できないということである。そんな喜びに対してもピジョンになった彼女も喜んでくれていた。急に身長がこちらに迫ってきたことに変な焦燥感を抱いたものも覚えている。
次に二回目の進化を迎えた時には自分自身もそれなりの精神年齢を備えていたのか、そこまで喜ばなかった気がしたが彼女も不満そうにしたのはその日限りであった。体の進化とともに精神面も成長していっていたのだろうがそのまま日常生活にも溶け込んでいった。
そうやって互いがそれなりに成長してきた頃合いもあって、ついに飛び出してきたというわけである。それなりの知識を詰め込んで飛び出したのはよかったが、そうは問屋がおろしてくれないのかこうして苦労して寝ているわけである。
「そういう鈍いのはお姉さん感心しないわ。」
何か返事を返そうとしたのに何か噛むには固すぎる異物が口の中に入り込んでくる。その異物を押し出そうとすると、柔軟性のある生物が口内にさらに侵入してくる。吐き出そうにも口の中にずっぷり入り込んでおまけに歯がささらない。
口が動かないなら手を動かそうとしても自分自ら寝袋に入ったのだから、袋の鼠もいいところである。つまりはされるがままに解放されることを待つことしか選択権が与えられていない。ねっとりと、水よりは弾性があるのにお湯よりは温いのに、風呂に浸るより体温が上昇する。
最初は驚いて言葉を発そうとしたのは反射で仕方のないことであるが、嘴にぶつかって痛みでさらに悲鳴を上げて二度噛みしてその場で轟沈した。こちらとしては驚きでもごもごする一方であったが、相手のほうは嫌に積極的でなかなか解放してもらえない。
ようやく口内から抜け出したときはまずは大きく深呼吸して、酸素に舌を伸ばした。ピジョットの方は満足げに口元を舌で濡らしてから、見下ろしてくる。
「寒いんだし、いいでしょう?」
「いいわけないだろ、戻れ。」
「だめよ、これからなんだから。」
そういって再び口元をふさがれて数分ねっとりした空間に閉ざされる。すると正常なのを悔やむべきか体のほうはしっかりと答えてくれているようだ。口元は固い感触に反して口内は柔らかい感触で口元だけが変に苦しい。押しで力を超える圧力がぐいぐいと口の中にめり込んでくる。息をまともに吸えないせいか、崩れていくペースが相手に飲み込まれていく。
もともと押さえつけられているのもあって、体重をかけられる相手側の優位は変わらない。そう、諦めがつきそうなのに何故か抵抗するのはどこか恐怖しているのかもしれない。何かが変わってしまう気がする。失う変化が怖くて引き返そうとする足。それを手繰り寄せようとする手が力強い。
雰囲気に押されてと、人間でもないのに変な気配りもあって、十分に力を入れれないのに対して、相手はお構いなく押してくる姿勢である。その上に羽毛の感触が意識させてくることもあって、テンションが分からない方向へ高飛びもしている。乗られているのに重さよりもぬくもりを感じる所が布団離れさせてきそうである。
それでも間際にまで追い込まれたのもあって数分間のもつれ合いの末に何とか彼女を押し返しては見せる。
「そんなに不満かしら?」
「そういう問題でもない。」
「男のくせに根性ないなんて、情けない。」
押し返したとはいっても嘴を押し出しただけで、状況は改善できていない。それ以上に嫌味な視線を向けてくる彼女は、スイッチが切り替わったのかよく言えば主人をなめていて、悪くいうなれば引き返すつもりはなさそうである。
だから自分の足の付け根の間をこちらの足の付け根の間にこすりつけて挑発してくるのである。どれだけ言い訳をならべても、こうも逆なでされると寝てたとしても起こされるものである。今回の場合はもともとそれなりにやる気があったようで、押し付けた時から彼女は上機嫌であったが。
「後悔しても知らないからな。」
無理やり寝袋を脱ぎ捨てた。無理やりの脱出にファスナーが悲鳴を上げるがそんなことをお構いなく、飛び出して目の前に食らいつく。後ろが地面だとかそういった配慮もなく飛びついてそのまま押し倒す。
寝袋を壁にして触っていたのとは違い肌で感じる羽毛というのは感触がとてもよく、普通に布団として使う分には申し分ない。ただ今回は違うのだ、安心に手を伸ばしたわけではない。ある意味ではその安心を壊すような行動でもあり、積み上げてきたものを壊す可能性は十二分にある。
それを対価にしてまで得たいものがあるといえばそうではないが、欲望を捨てきれずに切り込んだ。触る感触も一つの求める要素であるのに、一層何かが加速していく。表面を撫でるような機会もあったので、新鮮味があるわけではない。
けれども、撫でるだけではなく羽毛を束ねてそのままがっしり掴む段階へ踏み込む。触れるタイミングがあったとはいえ、肌がこすれる程度でくすぐったい感覚があるレベルでしか起こりえなかった。鷲掴みによって得た感触はまた何かを突き動かした。
彼女の方もあれだけ煽っておきながら、覚えのない積極性に押されて視線のやり場を困らせた。そこで一周回ってきて顔色を染めることで気持ちを発散して、強気な笑みを浮かべるのだがそんなことはこちらに伝わらない。
押している立場であるはずなのに、変な闘争心が駆り立てられる。負けん気がそのままベルトを邪魔なズボンを投げ捨てさせる。翼を大きく広げたまま、彼女も察しはしてもこれといって逃げる様子もなくただ視線だけで抗力を向けてくる。
「どうなっても知らないからな。」
「あらあら、ここまでセクハラしておいて逃げるの?」
どこまでも好戦的な姿勢を貫く彼女を、期待してるんだろとでも挑発してやればよかった。安い挑発に乗ったのも半分、残りは欲望に駆り立てられたのが理由で羽毛のさらに奥へ手がのりだした。
包んでくる羽毛の保温効果も当然ながら、彼女自身の体温もある。体温に羽毛が温もりを上乗せすることで他の存在に触れていることを間近に感じる。肉体自体は筋肉質というわけでもなく肉付いている。掴んでみると、手に感触が持てるぐらいは簡単につかめる程度に柔らかい。
そこで初めて尖っていた嘴が緩んだ。頭に響きながらも、嫌気がささずに弾む声を力に一気にアクセルを踏み込んだ。正直なところ鳥類の体格なんて勉強をしたことがないし、生物よりも天体の方が得意な人間であるので確信はなかった。確信はないにしろ人体と部位のついている場所は察しがつくのもあって、人ならそこにあるはずの場所を荒らした。
予想は外れることなく足の間にそれを見つけてからは、そこに囚われる。初めて触った感想はすぐに口から出た。
「お前も案外余裕がないんじゃないか。」
「お姉さんのことを馬鹿にしてるのかしら。」
強がっていても指が中に侵入する前からここだと自ら濡れることで主張をしていた。否定する姿勢を崩そうと指が彼女の体内で動き回る。耐えかねた彼女は翼の先からピクリと動き始めたので、更に勢いを上乗せして動作を激化させていく。
反応して液体も漏れだしてくる中で、擦れる動作が加速していくので勿論音も立つようにもなるが、それを中和せるように彼女もまた口を動かしだした。擦れた反動で漏れ出す液体は足の付け根の谷間の羽毛を濡らしていき、徐々に染まっていく。
指にも随分と液体が絡みついて取れなくなり、余計に滑るようになってしまっている。湿り気だけでも高揚してくるものがあるのに、作業を中断するなどできはずもない。餌に群がる魚と何ら変わりのない野生に飲み込まれていく。
喘ぐ彼女に何も言葉をかけることもなく、唯ひたすらに欲望だけを発散していく。しかし満足しかのように突然に手を止めたが、それはただ不満足なだけであった。
「ここまでしてるなら問題ないよな。」
「お姉さんは知らないわよ。」
「口の減らないやつ。」
高まりが抑えきれなかったものを湿った毛にあてがう。擦れる毛がくすぐったいがもうそんな感触だけでは満足できないし、するわけにもいかなかった。彼女も当てられただけで固さを感じたのか流石に目線を横に逸らした。
ここまで踏み込ませておいて急に恥ずかしいアピールをされるとなんだか調子が狂わされる。両手で毛をかき分けて照準を合わせる。何をするか、この状況にまで展開すれば察しがつかないのは鈍すぎる。
抵抗を押し切りながらも中へと欲望を押し込んでいく。押し戻そうとする力がへんに働くせいもあるが、何となく目を閉じて歯を食いしばっていることが一つの要因だろう。ここにきて恐怖が足止めするのは乙女である。
そんな彼女の頬に手を当てると、視線をそらしながらも目を見開いた。どこか間が悪く目線は依然とこちらに向いてこない。ただ恰好がつかないと言わんばかりに尖っている嘴を更に尖らせた。子供を慰めるようにして頬撫でると、そのまま欲望の塊はすんなりと入った。
数分前の反発は嘘のように根元まで飲み込んで、彼女にそのまま抱き付いた。彼女の方はといえば息も荒く、落ち着きがない。そんな彼女思ってなのか欲望が抑えきれなかったのかわからない。
答えるように彼女は翼を背中に回して、こちら側の胸に頭を摺り寄せた。返答が返ってきたのを理解してそのまま単調な行動を始めた。ため込むだけため込んでいたこともあって、理性の歯止めが利きにくくなっている。
ぬるぬる動き出すものだから、体はつられて彼女を荒らす。ブレーキのない車のようにただ進み続ける。快楽をガソリンにして走り続ける。
単調な動きであるために速度を上げるぐらいしかできることがないために、フルスロットルで疾走していく。
「ちょっ、待って。」
「さっきまでの余裕はどこにいったんだッ!」
喘ぎながらかき消されていく彼女の言葉に確かに返事はしたが、要望に応える気はさらさらなかった。欲望にハンドルを任せている以上はそうは簡単に落ち着かないのである。
先ほどは十分にしておいたお蔭で、音はやみそうになく擦れあう都度の快楽というものはこれ以上の物にはならない。あとは蓄積するだけである。
事故になりそうな危険な運転でもどこかでうまくバランスをとりながら走り抜けていく。ぶつかりながら、車体を削りながら、周辺の景色を壊しながら、止まらない。
お互いの壊れていく意識の欠片には確かに彼女の顔が反射する。こんな時に、いやこんな時だからこそ昔の彼女の姿が、温もりの記憶が深呼吸する。
ここまで近くにいるのに、そんな記憶が遠く感じさせた。だから片方の翼を背中から外して片手で握りしめた。太くなく、握りしめれば折れてしまいそうなのに、確かな存在の厚みを感じた。
その手を握り返せるほど器用な部位ではないが、彼女も力を加えて答えようとしてくる。だから止まらずに進んでいく。
「いいんだろ?」
「知らないんだからッ!」
最後には威勢の良い返事が返ってきた。それに応じて深く突き刺して蓄積した快楽を吐き出した。彼女もその快楽物を押し返すようにして体を震わせた。
そしてそのまま背中においていたもう一枚の翼を地面に落として呼吸を整理しようとした。相方の方もそのまま脱力して彼女の上へと倒れ込んだ。
寝袋よりも羽毛布団のほうが寝心地はよさそうである。


久しいので誤字が多そうですね。


何かありましたら

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Last-modified: 2015-05-12 (火) 01:20:13
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