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絆〜遠い日の約束 一日目 夜

/絆〜遠い日の約束 一日目 夜

作者:COM


『そういや…そんなことがあったな…思い出したくもない記憶だ…』
レイの今の歪んだ信念を生み出した、忌まわしい記憶だ。
それを思い出したため、あまり寝覚めはよくなかった。
『結構寝ちまったな…そういや…キッシュは起きたのか?』
そう思い、寝室に行くと…まだ寝ていた。
スヤスヤと寝息を立てている。しかし、そこでガーディのセリフが脳裏をよぎった。
《お前!変なことする気じゃないだろうな!》
そんなことを言われたためか、全く意識していなかったのにドキドキしてしまう。
『眠っている…このまま…襲い掛かることも…いやいや!何を考えてるんだ俺は!』
そんな葛藤を一人でし、そしてついに彼女の肩に手を伸ばし…
「おい!起きろ!いつまで寝てんだ!」
揺すり起こした……
『俺の馬鹿!なんてもったいないことを!…』
そんなことを知ってか知らずか、キッシュは起きた。
「うぅ~ん。あれ?ここは…?」
「俺の家だ。気絶したから今までここで寝かせてやったんだよ。」
「そうなの?ってことはわたし…負けっちゃったんだ…あ~あ。」
『なんか…調子狂うな…こいつのペースに巻き込まれると…』
「とにかく、ありがとう!それじゃあね!」
そう言って出て行こうとしたキッシュを
「おい!待てよ。俺が勝ったんだ。勝った奴の言うことに従いな。」
そういって呼び止めた。
『誰がこんなチャンス逃すものか…せっかくなんだ…可愛がってやらないとな…』
「分かったわよ~もう…」
そう言ってキッシュは戻ってきた。
「それで?わたしはなにをしたらいいの?終わったらすぐ帰らせてもらうわよ。」
『終わる?フフッ…甘いな…』
レイはふと、不敵な笑みを浮かべ、そしてこう言った。
「今日からお前は俺の性奴隷だ。帰れると思ってたのか?」
「なによ…それ…」
「フンッ。嫌とは言わせない。それが野生(ここ)のルールだ。」
「いや…あの…そうじゃなくて…セードレーってなに?」
まさかの返答にレイは驚きを隠せなかった。
「え…えぇ!まさか…本当に知らねえのかよ!」
「うん。ねえ。セードレーってなに?教えて。ちゃんとそのセードレーってのするから。」
「え、えぇぇ!その…性奴隷ってのは…その…」
いつの間にかレイの顔は真っ赤になっていた。無理もない。
まさか性奴隷に関することを自分の口から目の前のメスに言わないといけないのだから…
そのままかなりの時間が経ち、日もすっかり落ちたころ、
「……て言うのなんだけど…分かったか?…」
「う~ん。いまいち分かんなかったけど、要するに奴隷なんでしょ?分かったわ。」
「なんか…違う…」
しかし、顔を真っ赤にしてでも説明した甲斐はあった。そこでレイはこう切り出した。
「その…だから…俺と…こ、こ交尾してくれ!いや、違う!交尾しろ!」
「ごめんなさい。それだけは絶対にできないわ。」
『はい!ダメでしたー!』
そう心の中で呟きながら、レイは少し泣いていた。
「えっと…なんでダメなんだ?」
「わたしは、もう心に決めた人がいるの。だから、処女はその人に…」
『負けた…完敗だ…』
ガクッっと肩を落とす。無理もない。
要するに今、サラッと彼氏がいるということを宣言したのだから。
「分かったよ…じゃあさっさとその彼氏のとこに行けよ…」
もう…涙しか出なかった。が、キッシュは意外なことを言った。
「えっとね…今、その彼を待ってるの。」
「え?この森に住んでるんじゃないの?」
「うん。わたしはこの森で待ってるの。」
「じゃあ、その彼氏が来るのを待ってて、なんで俺の申し出を飲んだんだ?」
とレイはおかしな質問をした。
野性のルールで勝ったものの言うことは絶対に聞かなければいけないのに…
「その人はね…今、遠いところにいるから…それまでは私がここにいないと…」
『これは…まずいことを聞いたな…』
どう聞いてもこの言い回しはもう、その彼氏が死んでいることを意味していた。
「でも、それはそれ、これはこれ。わたしはちゃんと奴隷として頑張るからね!」
そういってキッシュはニッコリと笑って見せた。
「いやいやいや!待て!どこの世界にそんな献身的な奴隷がいるよ!」
そう聞くとキッシュは
「わたしが知ってる奴隷だった人は、いつも笑ってたわよ?」
と極当たり前のように言ってきた。
「いやいや…奴隷ってのはもうちょっと…こう…」
そこでレイを激しい頭痛が襲う。
―――『ここは…どこだ…』
あたりは暗く、月明かりが射している。
そしてその月明かりにさらされている、無数の鮮血。
それもおびただしい量の血が撒き散らされている。
よく見れば血どころではなく、人のものであっただろう、肉片、
腕のようなもの、そんなものがゴロゴロと転がっている。
「やっぱりお前じゃなきゃ駄目だな。他のは使い物にならない。」
そんな低い男の声。そしてその男の声は続けて
「お前ならアレをどうにかできるよな?」
そう、言ってきた。
「はい!仰せの通りに。」
なぜか俺はこの悲惨な状況で、今からそこに突っ込めと言われて、
満面の笑みで答えていた。するとその男は
「やはり、お前はいい奴隷だ…さあ行って来い。」
そう言って、俺はその血の海に駆け込んでいった。
―――「…イ。レイ…。レイ!大丈夫?」
ふと気付くと、心配そうにキッシュが俺の顔を覗き込んでいた。
『さっきのは…俺の記憶なのか…?』
「大丈夫?急に倒れたけど…」
とキッシュが声をかけてきた。
「ああ。大丈夫だ…ちょっとめまいがしただけだ…」
そう言ってごまかした。
「本当に大丈夫なの?急に倒れたし…」
となぜか初対面のはずのレイのことを恐ろしく心配している。
「平気だよ。この通り、なんともない。」
あまりにも心配していたのでレイは宥めるように優しく喋りかけた。
レイにも何故そうしたのかは分からなかったが、とりあえず落ち着いて欲しかった。
『しかし…このまま何もせずに寝るのは勿体ない。どうするかねぇ…』
そうは思ったものの、彼女は処女。しかも先約有り。
そして本人が言ったにもかかわらず、かなり恥ずかしい。
そこであることを閃いた。
「じゃあさ、キッシュ。キスしてもいいかな?」
「え?あ、うん。別にいいけど…」
かなりキッシュも驚いていた。あまりにもレベルが下がったからだろう。
そして返事をしてすぐ、キッシュは目をつぶって待っていた。が、
当の本人はまさかそこまで積極的だとは思っていなかったようで、顔を真っ赤にしている。
震えながらもゆっくり顔を近づけ、そして唇が重なった。
しかし、一瞬でその行為は終わった。レイにとっては一生にも程近い時間だったようだが…
「え?おしまい!」
とキッシュはもう一度驚かされた。かなり不満げな顔をしている。
『あれ?なんで不満そうなんだ?何か期待してたのか?でも…キスってこれしかないような…』
無知なだけであった。首をかしげ、レイはもう一度キッシュのほうを見ると、
キッシュは頬を膨らませて怒っているように見えた。
『やめろ!その顔は反則だ!可愛過ぎる!!』
そう心の中で思いながら顔を少し逸らし、キッシュに
「きょ、今日はこれで終わりだ…もう寝ていいからな…!」
と言った。すかさずキッシュが
「あなたはどこで寝るの?」
そう聞かれる。当たり前だ。一人暮らしなのにベッドが二つもあるのはおかしい。
「俺はあっちで寝るから!そこでお前が寝ろよ!い、いいな!」
そう言って寝室から出て行くが、他に寝る場所などない。
『どうするかねぇ…流石にキッシュの横で寝たら俺が恥ずかしすぎて死ぬ。』
そう思い、ふと視線を前に向けるとソファが待ってましたと言わんばかりにそこにちょこんと
あった。
『仕方がない。ソファで寝るか。』
そう思い、もう一度ソファで寝始めた。


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  • コメントありがとうございます。
    稚拙な文ですが、楽しんでいただけたのなら嬉しい限りです。 -- COM 2023-05-12 (金) 14:23:03
  • >>名無しさん
    返信遅れました
    何度も読んで頂けて幸いです。
    ――COM 2013-05-28 (火) 23:14:58
  • 10回読みました。凄く面白かったです!
    ―― 2013-05-25 (土) 13:16:04
  • >>ピカチュウ大好き人間さん
    わざわざこんな作品まで目を通していただけるとは…
    実はこれが私の処女作なんです。
    なんで構文がめちゃくちゃなんですよ…お恥ずかしい話。
    ――COM 2013-04-10 (水) 19:54:20
  • 質問で~す!
    これの何処が黒歴史何ですか?
    ――ピカチュウ大好き人間 2013-04-09 (火) 21:15:14
  • 感動しました。
    ――せいさん ? 2012-04-22 (日) 14:55:18
  • コメントページを作成しました。
    ――COM ? 2011-12-06 (火) 23:52:35
  • 私はこれを読みながら、誰かの考えを読んでいるような気がした。 驚くべきことに、私は謎めいたものではあるが、毎秒読むのが大好きだった。 まるであなたの人生の詩を読んでいるような気分でした。 --

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Last-modified: 2011-11-09 (水) 00:00:00
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