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穴倉の中で

/穴倉の中で

「すみませんね……突然あいたいだなんて」
 小さなポケモンしか入れない、暗い穴倉の中で、エモンガは言った。
 僅かな明かりの中二人は寄り添い、手探りでお互いの存在を感じあう。
「もう臨月ですね」
 壁にもたれかかったアイアントは、エモンガの膨れ上がった腹を顎先で撫でて満足そうに金属を擦る音を鳴らす。耳の奥を引っかくような不快な音ではなく、爪とぎの上手いキリキザンが石をなでるような、心地よい音。
 その音を聞いて、そよ風を楽しむように耳を動かすのは、お腹に子供を抱えているエモンガであった。
「相変わらず、心地よい音ですね」
 と、エモンガは言う。聞いていて耳を塞ぎたくなるような音ではないが、聞き続けたくなるような音ではないというのに。愛する人の出す音だと思うと、なんだか許せてしまうまではいいだろう。心地よいとまで思ってしまうのだから、恋というものはたいしたものだ。
「最近、ご主人とはどうなの?」
「そりゃもう、相変わらずですよぉ……どこで処理しているんだか知りませんけれど、全然求めてきませんし、こっちが誘っても妊婦とは嫌だなんて生意気を言って……」
「生意気って言うか、それはある意味当然ですよ、フウカさん」
 アイアントは苦笑する。
「私だって、顔がそっくりの双子が並んで誘惑してきたら妊婦じゃない方を選びますよ」
 フウカという名のエモンガに、だから主人のことを変なところで悪く言ったら可哀想だとアイアントは笑う。
「でも、そんなの関係無しに、愛してあげれば良いのにね。せっかく卵グループも一緒なんだから」
「そうですよ。別に妊婦じゃない私のほうが好きだったとしても、それはそれで構わないんです。でも、あの人ッたら……キザミさんと違って、私の事を家政婦かなんかだと思ってますもの。毎日顔をあわせるのだからラブラブとまでは贅沢言いませんけれどねー」
 はぁ、とフウカはため息をついた。
「たまにで良いんです。誰かに大切にされているって実感が欲しくなりますよ」
 そういって彼女は仰向けになって天井を見上げる。

「私が愛しますよ」
 キザミと呼ばれたアイアントは言う。
「本当にその気持ち、嬉しいんですけれどね。素直に喜べない自分の運命を呪いたくなります」
 きっぱりと言い切ったキザミに、フウカはそんなんじゃダメなんだと遠まわしに言う。
「愛してくれなくっても、悪い人じゃないから不幸になって欲しくないですし……貴方に頼りたくは無いんですがね……」
「罪悪感は忘れましょうや。私が貴方を大切にするって事は、貴方の大切なものも大切にするってことなんですから」
「物は言いようですよね。不倫なのに」
「そういう味気の無い言い方はちょっと……そうなんですけれど」
 二人のため息が穴倉の仲で響く。
「ロマンチックにするべきなんですかね? たまに分からなくなります……バレンタインだからって、こうして呼ばれてみましたけれど、いまいち持ってきたチョコをどうすれば良いのかも分かりません」
「くれれば、いいと思うよ」
 実もふたも無い事を言うキザミの言葉に、フウカは笑う。
「そうですね……はい、どうぞ」
 微笑んでチョコを渡して、気分よさそうにゆったりと息を吐く。
「バレンタインは大切な人に贈り物をするイベントでしたっけ」
「う、うん……というか、本当に何も知らないんだね……」
「自分で言うのもなんですが、箱入り娘でしたから……」
 恥ずかしそうにエモンガが頬を赤らめ、目をそむけた。
「大切な貴方相手に、こうして渡すのは、罪じゃないですよね?」
「旦那さんには渡したのかい?」
「もちろんですよ。渡しましたよ……受け取ってすぐにテーブルに置いて出かけちゃいましたけれど。でも、いいんです……受け取ってくれただけでも。主人が私の事を家族だとか、そういう風には認識しているってことですし。
 愛されていなくっても、嫌われて無ければ……追い出されていなければ、まだ生活くらいはできますし」
「そんな低い望みじゃダメだと思うよ? このままじゃお腹の子だって、教育とか諸々を丸投げされちゃうんじゃないの?」
「あー……確かに大変ですがそれならそれで、私好みに育て……られないですよね」
 自嘲気味にフウカは笑う。
「きっと、あの人の事ですし、習い事とかいろいろさせるに決まってますし……」
「いっそのこと、駆け落ちでも出来れば楽なんですけれどね」
「無茶言わないで下さいな、キザミさん」
「わかっていますよ。もちろん、貴方の生活を壊す気はないですよ、フウカさん」
 そうやってキザミがやさしい言葉をかけると、フウカは恥ずかしそうにキザミの手を取る。
 普段は伏せた体制でいるアイアントにとっては貴重な腰掛けた体勢。前足がフリーになっているので、キザミの手を握るチャンスは壁にもたれかかっている時でもなければ訪れない。
 ゆるゆると前足と手をからめ合わせられ、それに応えらるようにキザミも前足を絡める。
 互いに求め合っているのがわかって嬉しいが、それでも罪悪感が勝って気分は乗り切らないため、手の動きはよそよそしい。

「……駆け落ち、したいですね」
 フウカはため息をしつつ、キザミの前足をぎゅっと握る。
「ない物ねだりはいつだって不毛です……やめましょうよ」
「わかっていますよ」
 ない物ねだりをすることで罪悪感よりも欲求が勝ってしまったのか、フウカはキザミに体を寄せ、鍬の形をした顎に舌を這わせる。
 鉄の味が舌の上に広がり、じわりじわりと小さな舌が犯されていく。
 自分の夫との情事では決してありえない味を感じて、自分が今している背徳的な行為を理解し、フウカにはスイッチが入る。
「へへ、今いけないことしちゃってますね」
 と、フウカが言う。
「……いけないですね」
 キザミがそう答え、二人は悪戯をした子供のように笑う。やがて、舐めるだけだったその口付けは、どちらともなく激しくいやらしく、絡みつくようになっていく。
 息もだんだんと荒くなり、しかしお腹の子供を労わらないといけないために無茶は出来ないので、フウカが仰向けに倒れこんだら、キザミはお腹になるべく触れないように彼女への口づけを続ける。
「もう興奮してきちゃいました?」
 そんなキスを続けているうちにキザミの身体には、不可抗力の反応が始まる。論が下半身に意識を集中すれば、見ないでもわかる自分の体の変調が訪れている。むしろ暗くて見えないので、手探りで探し当てたそれを握ってフウカは尋ねた。
「ま、まぁ」
 包み隠すことも言い訳も出来ないので、恥ずかしげにキザミは答えた。

「なら、いつものように愛してくださいよ、キザミさん」
 暗い穴倉だというのに恥ずかしがって目をそむけながらフウカは言う。
「そう、させてもらいます」
 と言って、キザミは押し倒したフウカの股座を顎で弄る。尖った顎先では挟まないように、鍬形の顎はぴったりと閉じたまま、じっくりじわじわと愛撫を始める。
 内側こそ殺傷にも捕食にも適した形状となっている顎ではあるが、外側は普段の生活でいろんな場所に引っかかったりしないように滑らかになっている。
 程よく火照ったフウカの身体が、その顎の冷たさに触れてピクリと体を振るわせた。
「ん、ん……」
 その時走った戦慄のおかげで、フウカは反射的に神経を研ぎ澄ます。
「いつもと同じ。優しい手つきですね」
「手じゃないですが、そう言っていただけると嬉しいです」
 安心して緩み切った声のフウカに褒められ、キザミは気を良くして愛撫を続ける。
 続けているうちにフウカの顔もほころんで、暗がりと言えど息遣いでそれがわかるほどに体が火照る。
「あのぅ、キザミさん」
 甘えた声でフウカはキザミを抱きしめる。お腹の子供に触らないように、控えめな力で抱きしめると、キザミは控えめな頬ずりで応えてくれた。
「せっかくのバレンタインだっていうのに、主人が何も反応してくれなくって、寂しいんです……」
「ほんとうに、君みたいに健気な子をどうして無視するんだろうね……子供だって、順調に育っているのに」
 そう言って、キザミはフウカの腹を枕にするように顔を当てる。もう赤ん坊は活発に動く時期を過ぎたが、それでも生命の躍動を感じられればとキザミは耳を澄ませた。
「あの人、家の財産を守ることにしか興味がないのですよぉ……いや、本当に。だけれど、さすがに浮気しているとばれたら怒るんでしょうねぇ……名誉が傷つくとかなんとか難癖付けて」
 本当にひどいなぁ、とフウカは弱々しくため息をつく。
「釣った魚に餌を上げないのが悪いのですよ」
「絶対そんなこと言っても納得しないと思いますよぉ」
 フウカは肩を竦めて苦笑した。

「そうですね……しかし、本当にバレンタインでも何のアクションも見せないなんて罪作りですよね」
「バレンタインに浮気するわたしたちの方がよっぽど、ですけれどね」
「違いありません」
 なんて認めつつも、全く動じることなくキザミは笑う。
「それよりも、せっかくのバレンタインなんですし、それらしくしてみませんか?」
「と、言いますと?」
 キザミの提案にフウカが興味深げに首を傾げた。
「たとえば、私も貴方のためにチョコを用意したんですが……」
「えー……じゃあ言ってくださいよぉ。私も欲しいんですけれど」
「まぁまぁまぁ、焦らず焦らず……でも、普通にあげるだけじゃつまらないでしょう? だから、私のチョコと貴方のチョコ……自分が相手に渡すべきチョコを自分の体に塗って舐めあうとか……」
「えー」
 わざとらしく驚いて、フウカは笑う。
「なんですかそれ、馬鹿みたい」
 あんまりにばからしく、笑ってしまいながらフウカが言う。
「やっぱりだめですか?」
 キザミもまたわざとらしく笑い、問い返す。
「フウカさんをもっと甘く甘くして、食べちゃいたいと思ったんですけれど……そして、ホワイトチョコと普通のチョコが混ざって最強、みたいな」
「どういう発想しているんですか、キザミさんは……」
 呆れたようにフウカは笑う。
「いやだって、私だって……貴方と今以上に親しい中になれたなら、いろいろ試したいこともあったんですよ。こんな性癖、親しくなければ打ち明けられませんし」
「変わった趣味をお持ちのようで……」
「面目ありません」
 キザミは小さくなって、笑ってごまかす。
「ただまぁ……こんなバレンタインという日だからこそ、こんな趣のあることもやってみたくてですねー……」
「大体、こんな穴倉じゃ私の事が見えないじゃないですかぁ……そんなチョコ塗れの姿も見えませんよ?」
「見たいんじゃないんです。食べたいんですよ……いわばカニバリズムです。愛する人を食べてしまいたくなるような……そんな欲求がありましてねぇ」
「はぁ……食べてしまいたいくらいかわいいとか、そういう表現はありますけれど……要はキスだけじゃ物足りないってことなんですかねぇ?」
 フウカが首を傾げる。
「そんな感じです。骨まで愛したい……のですが、本当に食べるわけにもいかないので。自分でも、変った趣味だと思います。でも最近は、こういう形でチョコを渡すのも流行っているんですよ?」
「本当ですかぁ?」
「お風呂にする? ご飯にする? それとも私? なんて有名な決まり文句があるじゃないですか。それと同じです」
 自嘲気味にキザミは笑い、ため息をついた。

「そうだったんですか。ちょっと恥ずかしいけれど……いいですよ。キザミさん」
 ため息をついたキザミに、フウカが優しく語りかけて笑う。
「良いの?」
「わ、私は……貴方からもらったチョコは普通に食べたいですが、キザミさんがそういうのならば……意外と行けるかもしれませんし……」
 キザミの『骨まで愛したい』という言葉に、興味だけは一人前に湧いたらしくフウカは恥ずかしそうに言う。
「まぁ、物は試しって言うじゃないですかぁ……」
「そう言ってくれるなら……」
 キザミは荒くなりそうな呼吸を押さえつけ、平静を保つよう努める。
「甘えちゃおうか……な」
「焦らないで下さいよー?」
 いくら平静を保とうとしても、どれだけ暗闇でも。目がぎらついているのがなんとなく雰囲気で分かるらしく、恐怖というにはぬるいが、謎の危機感を感じてフウカは苦笑する。
「だ、大丈夫ですよ。怪我させたりなんて絶対にしませんから」
 興奮していることを自覚しているのか、自分の言葉を反故しないようにと思いながらキザミは言う。
「絶対ですよ?」
「絶対です」
 念を押され、苦笑しながらキザミは頷く。
「それじゃあ、お願いします。キザミさん」
「はい……じゃあ、ちょっと失礼して……」
 逸る気持ちを押さえながら、キザミは、先程フウカからもらったチョコを咥え、ラスターカノンの熱で溶かす。
 直後、まばゆく光が灯り、眩みそうになる目をフウカは手で覆う。
 そうこうしているうちに、熱を帯びたチョコレートがフウカの体の上に落ちる。火照った体によくなじむ暖かなチョコレートは、生温くって気持ちいいけれどてむず痒い。それがいくつもいくつも点々フウカの体に滴ってゆき、フウカの毛皮はチョコ塗れとなった。
 温められたチョコは強く香り、土と石の匂いしかしない穴倉に濃厚な甘みとほのかな苦みの香り。狭いおかげか、むせかえりそうなくらいに強い匂いが辺りを包んでいる。
 すでにしてその匂いだけで唾液が滾り落ちそうなキザミは、こぼれないように唾液を啜ってから顎を開閉させカチカチと小気味よい金属音を鳴らした。

「良い香りですね……」
 ラスターカノンを終え、再び暗がりとなった穴倉の中でキザミが言う。
「美味しそう、ですか?」
 明らかに興奮しているキザミを見て、フウカは尋ねる。
「えぇ、美味しそうです」
 暗黒の中でキザミが微笑んで、フウカの体に口付ける。大きな顎が非常に邪魔なので、顎はフウカの体には触れず、キザミは前足でチョコを掬い取るようにして、手に取ったそれを舐める。
 キザミは掬っては舐め、掬っては舐めを繰り返し、やさしく掬い取られる感覚に、フウカの身体の火照りは徐々に膨れ上がる。
「キザミさぁん……」
 恐らくはうるんだ瞳でフウカがふやけた声を出した。
「もう焦らさないで下さいよぉ」
 ただ中途半端な愛撫のような状況がじれったく、フウカが甘えて懇願する。
「いいのかい?」
「というより、お願いします。我慢できなくなっちゃって……」

 すっかり蕩けきった秘所を晒し、フウカは言う。
「そっか、なら君からもらったチョコも……」
 キザミは暗がりの中でも、敏感な嗅覚は起ち上る匂いを目ざとく見つけ、鋼鉄の身体から露出した肉々しい部分を彼女に触れさせる。
「大切な君の子にもチョコを分けてあげないとね」
 ふふふ、とばかりに怪しげに微笑んで、キザミは細かく砕いたチョコを再びラスターカノンの熱で溶かし、それを秘所へと突っ込んだ。
「な、何しているんですかぁ……」
 思いっきり顔を熱くしてフウカはキザミの行動を咎める。
「君はやっぱり箱入り娘なんだね」
 だが、小馬鹿にしたようにキザミは笑う。
「世間じゃこういうのも流行っているんだよ?」
 軽く嘘をついて、キザミが微笑む。ラスターカノンの光も消えて暗がりの中、互いの顔は見えないが微笑んでいるとはっきり分かる口調に騙されて、フウカは頷いてしまう。
「なら、そうですか……仕方ないですが……」
 頷いても心配そうにフウカは曇り顔。
「そうそう。大丈夫だって……私に任せてください」
 そんな風に根拠のない自信が心配の原因だというのに、キザミは根拠のないことを言って笑う。
「んもぅ……お願いしますよ?」
 そんなわかっていないキザミに一抹の不安を抱きながらも、フウカはキザミを受け入れる。
 とにもかくにも二人の行為は始まった。フウカは先ほどチョコをつっこまれたことで、何があるわけでもないがなんとなくの不安を抱えている、
 そんな気持ちでキザミを受け入れる者だから、緊張して固まった体はまるで処女のよう。
 そんな初々しい反応見たさにこんな変わった茶番をやってみたが、それは効果てきめんだったようだ。固く縮こまった体は、いつものようにリラックスした彼女と違い、少々触れただけで大げさに反応してくれる。
 溶けたチョコも潤滑油となり、容易に先端を受け入れた彼女の秘所だが、緊張のせいだろうかいつもより締りがいい。思わぬ形で名器となった彼女を、キザミは存分に突きまわす。
 もちろん、お腹の子供を気遣うことは忘れず浅めの挿入は崩さずにだが、アイアントという種族持ち前の瞬発力の高さで前後する素早さは目にも止まらない。カチカチと地面の小石と脚があたって鳴らす音も絶え間ない。

「ちょ、激しい、ですよ」
 途切れ途切れにフウカは言うが、やめてとも嫌とも言わない。たまに聞こえる喘ぎ声とも相まって、満喫していることは伝わった。
「まだ喋られるんですね……そうだ、いけない口は塞いでしまおう」
 キザミはそう言って一物を秘所から引き抜き、自分が彼女に渡したチョコをぱっくり開いた口に咥えさせた。
「これでもう、喋られない」
「ほんなぁ……」
 唇を動かせず、不明瞭な言葉でフウカは言った。
「じゃ、また行きますよ」
 そんなフウカの物欲しげな声色など、右から左へ受け流してキザミは挿入を再開した。今日は少し意地悪に決めてみたが、たまにはこういうのも悪くないとキザミは思う。
 キザミの前後運動で、フウカの体は小さく揺さぶられ、擦られ、突かれるたびに下半身が熱くなる。キザミは全身から熱気を発して、金属の表皮はほんのりと暖かい。だが、下半身の熱さはには及ばず、熱を帯びた一物は今やはちきれんばかりの劣情を抱え込んでいる。
「いいですか、フウカさん?」
 そろそろいい塩梅だろうと思い、キザミが口にする。どうせ、タマゴグループも違ければ、妊娠中なのだから中出ししても構わないだろうと。互いに望んでいるこの行為の結末を、今迎えても良いのかと了承を取った。
「おね、がい、します」
 はっはと、息を付き、途切れ途切れにフウカは言う。途端、先程まででも十分に速かった前後運動を加速させほどなくしてすべての欲求をぶちまけた。
 互いに、荒く息をつく
 フウカはいまだに余韻に浸って虚ろな目をして、キザミは満足したうえで魂が抜けたように大きなため息をついた。

「はぁっ……結構溜まっていたんですね」
 フウカは余韻を発ち生きるように一度ため息をつく。
「バレンタインって初めてですけれど、これでいいんですよね?」
「うん……も、もちろん」
 暗がりの中、目を逸らし気味にキザミは答える。

アリエモ.jpg


「なんだか、本当に変わったことをやりましたが、いつもより楽しんでいただけたようで何よりです……街の人たちも大胆なことを考えますよねー」
「いやぁ、本当だよね。ははは」
 ウソがばれないかとひやひやしながらキザミは笑ってごまかした。
「あーぁ……やっぱり、貴方と同じくらい主人もノってくれたらいいんですけれどね……主人、愛してくれないのに、すぐに中に出したがるんです」
「愚痴ならいくらでも付き合いますよ」
「そうですか? それじゃあ、お願いします……」
 キザミがフウカの言葉に耳を傾けると、フウカは性交の後始末も済まないうちに語り始めた。
 浮気という関係の中で愛を語らう二人は、自分たちの境遇を呪うように、いつまでもない物ねだりの会話を続けて、気がすんだらまた日常へと戻って行く。今日ばかりは理性の箍を外したキザミも、この人時が過ぎればまた理性の仮面をかぶって生活をする。
 そんな日々を憂うように、二人の会話はいつまでも続くのであった。







この話を書いたやつは誰だ!! 俺だ!!
とある方が描いてくださった素敵な挿絵を参考に書いたらこうなりました。
うわぁい、私も変態の仲間入りだぁ。


お名前:
  • 「腹を顎先で撫でて満足そうに~~石を“な”でるような、心地よい音」 「チョコをどうすれば良いのかも“分”かりません~~“わ”かっていますよ。もちろん~~互いに求め合っているのが“わ”かって嬉しいが~~「“わ”かっていますよ」~~見ないでも“わ”かる自分の体の変調~~暗がりと言えど息遣いでそれが“わ”かるほどに体が火照る~~目がぎらついているのがなんとなく雰囲気で“分”かるらしく~~微笑んでいるとはっきり“分”かる口調に騙されて~~そんな“わ”かっていないキザミに一抹の不安を」 「普段は伏せた体“制”でいるアイアント」 「舐めるだけだったその口付けは~~触れないように彼女への口“づけ”を続ける」 「“論”が下半身に意識を集中すれば」 「“ほんとう”に、君みたいに健気な子をどうして~~本当にひどいなぁ、とフウカは弱々しくため息をつく」 「バレンタインに浮気する“わたし”たちの方がよっぽど~~じゃあ言ってくださいよぉ。私も欲しいんですけれど」 「火照った体によくなじむ“暖”かなチョコレートは」 「そんな気持ちでキザミを受け入れる“者”だから」 「せっかく“卵”グループも一緒なんだから~~“タマゴ”グループも違ければ」 「フウカは余韻を“発”ち生きるように一度ため息をつく」 「この“人時”が過ぎればまた」

    間違いがありました。

    エモンガとアイアントの絡み…とても新鮮でした。エロスでしたっ。加えて、妊婦プレイとか…チョコ濡れとか…おっふぅ(
    一枚絵から想像した作品とのことなので、大変素晴らしい妄s(ry 想像・創造力だなと思いました。流石リングさんやでぇ(
    いけない事だと分かっていても、お互いが了承しているし、愛し合っているしでやっちゃうフウカとキザミ。キザミの提案(?)に乗り、ちょっと間違ったバレンタインを体験…。ゴチになりました!

    時期外れ、約1か月前…スミマセン遅れましたorz
    ――ナナシ ? 2012-03-16 (金) 18:59:46
  • >ウロさん
    なんかもう色々とすみませんw
    本当はもっと軽い感じで描くつもりだったのですが、『バレンタインがどういうものかよく知らないエモンガってどういう環境で育ってきたんだよ!?』という疑問や、丁寧語で話していることに注目した結果こんな設定になってしまいました。
    ウロさんの絵を深読みしすぎた結果こんな感じになってしまいましたが、いろんなインスピレーションも沸いていい経験が出来たと思います。

    絵をくださったことはもちろん、こんな作品にコメントをくださりありがとうございました。
    ――リング 2012-02-19 (日) 17:48:16
  •  一枚絵から話を考えるというのは並大抵の想像力ではできないことでしょう。物語の始まりや終わりが見えない、何なのかわからない一枚の絵から想像するには相当難しいものがございますね。その一枚絵からさっくりと綺麗に一つの物語をまとめあげるリングさんは凄いなと思います。わざわざ冗談みたいな話に乗っていただいてありがとうございました。次作の執筆も頑張ってくださいませ
    ――ウロ 2012-02-16 (木) 21:54:53

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Last-modified: 2012-02-15 (水) 00:00:00
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