writer is 双牙連刃
大会真っ盛りに全く関係ない作品を投下していくバカ参上!
この作品は前大会に執筆した俺のありえない日常の続編? です。久々の官能表現注意!な作品です。
えぇ、不参加だからかぶせてきましたよ! 大会作品の息抜きにでも読んでやってください。
では、スタート!
またこの夢……周りに何も無い暗い暗い闇の中。足元に地面があるようにも感じません。
でも、宙の浮いているフワフワとした感じがしている訳でもなく、上から吊るされて、動けなくされているような嫌な感じ……。
何故これが夢だと言い切れるのか……それは、もう会う事の叶わない筈の彼が現れるからです。
闇の中から、私の横を二匹のポケモンが通り過ぎていきます。
一匹はライコウ。いつも変わらず明るくて、居るだけで皆を笑顔にしてくれます。
そしてもう一匹は……エンテイ。物静かでしたけど、いつも私達を見守ってくれていました……。
でも、私の横を通り過ぎていた二匹からは何も感じません……。
心の無い人形……姿形は同じでも、全くの別物。アレは私の作り出した幻。分かっていても……失いたくない。
待って! お願いだから行かないで!
幾らそう叫ぼうとしても声が出ません。
私があの時、エンテイに助けを求めてしまったから……彼は、私を助ける為に戻ってきてしまいました。
嫌だ……嫌、嫌ぁ!
幾ら脚を動かしても、それは空を切るばかり。二匹に追い付く事は到底出来ません。
走れ。彼の一言を聞いて私は再度走り出しました。彼が付いて来ていない事にも気付かないで……。
独りだった時に良く見ていた夢……この夢は、私の後悔そのもの。あんなに大切だった……大切だと思っていたエンテイを失ってしまった。
あの時何故、エンテイを頼ってしまったんでしょう。何故、彼と並んで走り出さなかったんでしょう……。
ライコウに追い付いて、私が後ろに居るであろうエンテイの方を振り返った時……。
彼は、人間の手に掛かっていました。今でも鮮明に覚えています。一つの小さなボールがエンテイに当たって、その中に彼の姿が消えていく……。
私達が走ってる間に彼は戦っていたのでしょう。ボールに収まってしまった後、何度もボールは激しく揺れました。けれど、その中から彼の姿が出てくる事は……ありませんでした。
カチンッ……
無常な音……それは、私達のように野生に住まうポケモンには「自由の終わり」を告げる音。人間との間に、こちら側からは断つ事の出来ない主従の関係が生まれる瞬間の音。
その音を聴いた刹那、私は人間へと猛然と駆け出そうとしていました。
今ならまだ間に合いかもしれない。人間さえ倒してしまえば……。
そんな私を止めてくれたのはライコウでした。彼のあの一言が無ければ、私も、エンテイと同じ末路を辿っていた事でしょう。
良く見ろ! お前まで捕まるつもりか!?
その一言で正気に戻った私の瞳に、複数の人間とその人間達が従えているポケモン達、そして……エンテイの入っているボールを手に取り、笑みを浮かべている人間の顔……それらが次々に映っていきます。
あいつの努力を無駄にはできねぇ! 俺達は……捕まっちゃいけねぇんだ!
そう言ったライコウ。すぐさま私はライコウの方を向き直し、彼が走る後を追いました。
涙が……止まらない。エンテイを守れなかった自分の弱さ……彼を失った悲しみ……そして……人間への怒り。心に渦巻く感情が溢れて止められない。
いつの間にかライコウの姿もありません。それでもがむしゃらに走り続けました。立ち止まったら……心が壊れてしまいそうだったから……。
夢の中の二匹が見えなくなって……私は、暗闇の中で泣きじゃくる事しか出来ません。
大切な者を失って……独りになって……怖くて、悲しくて……。
もう嫌……こんな夢……見たくない……!
エンテイ……ライコウ……誰でも良いから……私を、独りにしないで!
「……ーい、ス……ク……、おー……、……イクン? お〜い、スイクン!」
「……ん、ふぁぁ……」
朝……ですね。太陽の光起きられなかったみたいです。うっかりですね。
「大丈夫かスイクン? 大分うなされてたみてぇだけど?」
「うなされてた? 私がですか?」
「今ここに他に誰か居るか?」
えっと……現在私が居るのはリビング。
この家で一番広い部屋なので、私とライコウは何かない限りここで寝ています。
で、今は私とライコウしかいませんね。つまり、うなされていたのは私ということですね。納得。
「納得するの遅くね? ってかそろそろ終夜を起こしに行けよ。もうすぐ時間だぜ?」
えっ……ワーオ本当だ! 終夜の登校時間一時間前! 色んな準備の事も考えて、いつもこの時間に起こしに行ってるんです!
……あー! 朝ご飯作ってない! 私がいつも作ってるのに……どうしよ〜……。
「朝飯なら俺が簡単なもん作っといたから心配すんなって! ほーら暗い顔してんぞ〜。笑え笑え♪」
目の前いっぱいにライコウの笑顔が……ちょっ、ちょっと近い……。
「分かってますよ。……朝ご飯、ありがと……」
「へへっ、気にすんなって。あ〜……顔拭くの忘れんなよ。後、何か相談とかあるなら、終夜送った後にでも聞いてやっからな」
顔? 前脚で少し擦ってみたら僅かに湿っていました。うなされて泣いていたみたいですね……。あの夢の所為で。
今はライコウもミュウも、終夜だって居るのになんでまたあの夢を見るようになったんでしょう……?
それの考える前に、まずは終夜を起こさないと。終夜が遅刻してしまったら大変です。
「おし、準備完了っと。それじゃスイクン、行ってくるよ」
「行ってきまぁ〜す」
「俺は二人送ったらすぐ戻ってくるけど……行ってくるわ」
「はい。三人とも気をつけてくださいね。行ってらっしゃい!」
終夜とミュウを乗せたライコウを見送って……さて、朝ご飯の後片付けをしましょうか。
それにしても、ライコウのサンドイッチも美味しかったなぁ。終夜と出会うまで、まさか自分達が料理なんて出来るようになるとは思ってもみませんでしたからね。
終夜、か……。私が出会った中で一番素敵で、一番変な人間。
私達に料理手伝わせたり、ゲームの相手させたり、一緒にお風呂入ったり……こんな風に接してこられたのは生まれて初めてでしたよ。
終夜と出会う前……人間なんて大して気に留める存在だと思った事はありませんでした。襲われなければですけどね。
私達を見ても、恐れるか敬うかの二択だけ。どちらであっても近付いてくる事も、ましてや一緒に暮らすなんて考えに到達する者は居なかったでしょう。
近付いてきたとしても、私達を従えるという野心を剥き出しにした者ばかり。
いつの頃からかは忘れましたけど、そんな人間達を見続けてきた所為で、私自身が人間達を遠ざけようとしていたんですよね……。
そんな私を変えてくれたのが……終夜。幾ら私が睨みつけても食事を作ってくれたし、私が監視していても、嫌な顔一つせずに私を傍に置いてくれたり……。
人間への不信と怒りで閉じてしまった私の心を、少しづつ開いてくれた。
今の私が居るのは……終夜と出会えたから。私の、かけがえの無い出会い。
だからこそ私は、終夜と結ばれる事を望んだんです……もう二度と、大切な者との別れを迎えたくなかったから……。
いけないいけない。終夜の事ばかり考えてたら体が熱くて……疼いてきてしまいそう……。やらなきゃならない事をさっさと終わらせないと!
食事の片付けは終わったので、後は洗濯と木の実への水遣りですね。木の実の水遣りを先に済ませてしまいましょうか。
料理のソースなんかに使えるからって理由で、この家の庭にはそれなりの数の木の実が栽培されてるんです。(耕したのは罰ゲームを受けてたライコウです♪)
まぁ、中にはミュウやライコウが拾ってきた名称不明の木の実なんかも植えてあったりするんですけどね。
さて、伊達でスイクンやってる訳ではありませんからね。ここはサクサクッと終わらせましょう。
水鉄砲の要領で空中に水の玉を作ります。それを高速回転させて……スイクン式スプリンクラーの完成です!
前にテレビで本物を見て、応用出来るかなーと思って試したら出来ちゃったんですよね。広範囲に一気に水を撒けるので便利です。
……よし。これで水遣りは完了っと。
次は洗濯。で、洗濯機の前に居るんですが……。洗濯物が足りません。
「終夜、シーツを出すの忘れていってる……。しょうがないなぁ」
洗濯は終夜の服とかシーツしかないので一度にやってしまいたいですね……。
手間ではないですし、終夜の部屋へ取りに行きましょっと。
「お邪魔します……。って、誰も居ないですよね」
私は何を言ってるんでしょう? そんな事よりシーツの交換でした。
……ここにいつも終夜が寝ている。そう思うといつも見ている部屋な筈なのに勝手に顔が熱くなって……さっきのがまだ効いているみたいです。落ち着いて、落ち着くのよ私。今やるべき事はシーツの回収だけなのだから。
別に神通力で触れずに運べば速いのだけれど……あぁ、前脚が勝手にぃ〜。
「……! まだ温かい……」
いけないと分かっていても本能には逆らえそうにありません!
そのまま首を掛け布団の中へ! ふぁぁ! 終夜の匂いと温もりで包まれる〜!
もういっそベッドに乗ってしまいたい! でもそれは流石に我慢。ベッドを壊してしまったら目も当てられませんからね。
ベッドからシーツを剥ぎ取って顔をうずめる……。
はぁぁ……もっとこうしていたい。出来れば本人に……。
自然と自分の尻尾を、あそこに向かわせていました。
だって、終夜とはあの時以来ご無沙汰なんですもん……私だって色々溜まっちゃいますよ……。
そっと撫でてみたら……あまりよろしくは無いですけど、すでにしっとりと湿り気を帯びていました。我ながら恥ずかしい……。
「ん、あ……」
撫でているだけなのに声が出てしまう……体が、心が終夜を求めている。
撫でるだけじゃもう足りないよ……ゆっくりと尻尾を中へと挿れていく。
「んぅ! しゅうやぁ……もっとぉ……」
想像してるのは……終夜の指が私の中をかき回しているところ。それを再現するように、尻尾はくちゅくちゅと音を立てながら私の中をかき混ぜていく。
終夜がこうしてくれたら……自分で処理するよりずっと気持ち良いのに……。
「んぅあ! はうっ! くぅっ、ああぁ!」
割れ目から勢い良く潮が噴いて……後に残るのはフワフワとした疲労感と……寂しさ。シている間は感じないのに……。
……寂しい、のかな。あれ以来何も無いから……。だからあんな夢を見るように?
また、大切な繋がりが……無くなってしまう様な気がして……。
「ふ、うぐっ、うぇぇぇ……」
「シたり泣いたり忙しそうだのぉ?」
「ふぇ!? ら、ライコウ!?」
い、何時から!? 姿は無いから部屋の扉の辺りにいるの!?
「なぁ、もう入っても大丈夫か?」
「えっ、あ、だ、駄目! ちょっと待って!」
もう出るのは止まってるとは言え、あそこが濡れてるのを見られたくはありません!
これから洗うんだし……少し気は引けるけどシーツで拭いて、と。これで何とか見せても大丈夫かな……。いや、見せませんけど。
「も、もういいですよ〜」
「オッケィ。……まぁ、想像通り匂いはどうも出来んわな。窓開けるぜ」
「あ、ぅぅ……」
何にも言えません。恥ずかしい……。
「とりあえず……話は後で聞くからそいつ洗っちまえよ。部屋は特に汚れて無さそうだしな」
「ご、ごめんなさい……」
「ん〜? 良いって良いって。溜まった時はなんとかしないとな。俺も終夜でヌいた事あるし! はっはっは!」
大声で言う事でもないと思いますよ……。でもフォローしてくれてるんですよね。
「……ありがとライコウ」
前脚をヒラヒラっと振った後、彼はリビングへと入っていきました。話か……。あの夢の事、ライコウに相談してみるのもいいかもしれませんね。
「ふ〜ん、エンテイの夢か……」
「はい……どうしてでしょう? 独りで居る時に見ていたのは分かるんですけど、今は孤独な筈無いのに……」
ライコウが悩んでしまいました。そうですよね。自分でも良く分かってないんですから……。
「それってよぉ……それだけ終夜が大事になったって事じゃねぇの?」
「……え?」
どういう事でしょう? 大事になったからエンテイの夢を見るって?
「なんつーか……終夜の事が好き過ぎて、エンテイみたいに別れるのが嫌だと思ってねぇか? 多分、そんな感じだと思うんだがな」
「そう……なんでしょうか?」
「いや、分からんけど」
……確かに、もう終夜と離れ離れになるのは絶対に嫌です。だから、独りになる事を恐れてあんな夢を? そう考えられなくも無いですけど……。
「……俺もたまに夢に見るぜ、エンテイの事。目の前で捕まったあいつに、何も出来なかった事が悔しくてな……」
「ライコウも?」
「あぁ、何にも話せないまま別れちまったしな」
そうですね。私も何も聞けないで……あれ? なんでしょう? 何か……引っ掛かりのようなものを感じる……。
何でしょう? 最後……エンテイ……言葉……。
何か……忘れてしまっている? それが心残りになって夢を見て、いる?
心に引っ掛かるくらいだから大事な事を忘れている……それを、無意識に思い出そうとしている……そんな気がする……。
エンテイからの……最後のメッセージ……。
「スイクン? おーい、どうした?」
「ライコウ……もしかしたら私、エンテイから何か聞いていたのかもしれません」
「は? どういう事なの?」
「上手くは言えないんですけど……今の話を聞いてて、何か思い出さないといけないような気がしたんです。なんとなく……」
「そういう事ってあるもんなのかぁ? だとしたら、その夢はそれを忘れないように見てるって事か?」
「う〜ん……」
正直分かりません。でも、あの夢以外でエンテイを忘れないようにする何か……あるんだったら、私は思い出したい!
「帰ってきたら終夜にも聞いてみるか……何かまたヒントになるかもしれんし」
「そうですね」
「ッてわけで……そろそろ昼飯が食いたいんですが……」
「んえ? あ、もうお昼を回ってましたか。何か作りますね」
「いよっしゃい! 頼むぜー! スイクンの飯も美味いからな!」
……自分も結構上手いのに……まぁ、朝の恩返しとして作りましょうか。
「にしてもスイクンもやる事やってんのな。か〜わいく喘いじゃってよ!」
「……ライコウ、お昼抜きにしますよ?」
「……ゴメンナサイ」
今更ながら凄く恥ずかしい……ライコウに聞かれちゃうなんて……見られなかったのは不幸中の幸いでしたよ……。
ハーイ今回はスイクン視点で進んでいきますよ。理由? 前作で活躍してくれたからです!
まだまだ続くけど今日は此処まで……。
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