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狙い撃たれてみたいから

/狙い撃たれてみたいから

Writer:&fervor


「……あのさ」
 カレーの香りがまだ残るテントの外。今日は幸い天気が良くて寝るには不自由しなさそうだ。
ワイルドエリアのなかでも「巨人の鏡池」と呼ばれるエリア、その端の方が今日のキャンプ地だ。
マスターはもうテントの中で寝ている頃か。チャンピオンとはいえまだまだお子様。大人の時間を過ごすには早すぎる。
そんなマスターの監視の目を逃れた私は、とある目的のためにこうして彼の近くに身を潜めていた……のだが。
「えっ、あ、ど、どしたのコープス。奇遇だねこんなとこで」
「そりゃ奇妙な遭遇には違いないけど。君も懲りないね……逆に尊敬するよ」
 草むらに伏せてじっと彼を観察していたはずが、いつの間にか彼の方から私の方へ。すらっと高い身長から私を見下ろす目、その蔑んだような目も堪らなく素敵。
おっといけない、彼の魅力にメロメロになっている場合じゃなかった。落ち着け私。大丈夫、見つかった時もちゃんとシミュレーションしてきたから。
「いやー、ちょっとこの辺で落とし物しちゃって。気にしないで、夜も遅いし私独りで探すから」
「……そう? 本当なら手伝うけど」
 本当ならね、と冷たい視線で私を見つめる彼。もしかして疑われてる? 流石コープス、そういう嗅覚も鋭いんだ。ますます好きになっちゃう。
なんて事を思いながらも顔には出さない。そう、あくまでも彼に気づかれずに、彼の魅力を余すことなく観察して堪能して良からぬ妄想をするのが私の目的なんだから。
「あ、えー、大丈夫よ大丈夫。うん。乙女の秘密、ってやつだから」
「そうなんだ。なら手出しはしないでおくよ。ただ、もう少し息は小さく潜めた方が良いよ。まるで興奮してるみたいに見えるからさ」
 はぁ、と小さく溜息を付いて、彼はぺたぺたと先ほどまでもたれかかっていた岩の方へ歩いていった。よかった、どうやらバレずにすんだみたいだ。たぶん。
少しの間はおとなしく何かを探すフリでもしておこうかな。彼の寝顔をじっくりたっぷり観察するためにも、まずは早く安心して寝てもらわなくちゃね。

 □ □

 私が彼と初めて出会ったとき、彼はまだ進化する前だった。更に前はちょっとしたことで泣きじゃくる弱虫だったと聞いたけれど、私は残念ながら泣いている彼を見たことはない。
あまり自分から動こうともせず、仲間達とも最低限の会話しかしない彼の事を、私は特に気に留めることもなく……いや、寧ろ煙たがってすらいたかもしれない。
マスターの旅立ちの頃からの相棒で、それ故マスターからの信頼も厚い彼がちょっぴり優遇されている様に見えて。有り体に言えば、拗ねていたのだ。
 そんな私と彼の関係が大きく変わったのは、彼が進化して間もなくのダブルバトルの時だった。私めがけて飛んできたベノムショックを狙い撃つ彼の横顔が、私の心も打ち抜いた。
「大丈夫?」と優しく声を掛けてくれた彼の、私への気遣いの感情が、私の気持ちを大きく揺さぶって、ろくに返事もせず私は頷くだけだった。
その後のキャンプで私は彼に改めてお礼を言いに行ったが、高鳴る胸の鼓動が彼にも聞こえているんじゃないかというほど、私は緊張しっぱなしだった。
それでも私に嫌な感情一つ抱かず、『君が無事で良かった』とクールに呟く彼の姿は、今でも私の憧れだ。なんなら毎晩その声を聞きたい位……ああでも寝られなくなっちゃいそう。
 ……ともかく、それ以降私は隙あらば彼の追っかけをしていたのだが、どうも途中から彼に気づかれて避けられているような気がする。
というか、私に対して向けられる感情が呆れに変わってきているのだ。進化して美しくなった私を追いかけるでもなく、なんなら距離を置かれ始めている。
ただ毎日のようにスキンシップを図ったり、好きな木の実をプレゼントしたり、彼の自由時間の行動を見守ったりしていただけなのに。
 最近は私の姿を見るやいなや、ボールに戻ろうとしたり他の仲間のところへしゃべりに行ったり。面倒だ、という感情が透けて見える……というか感じ取れる。
きっと照れ隠しなんだろうけど、もう少し私に寄り添ってくれてもいいのに。何なら襲ってくれたっていいのに。私は毎晩準備OKなのになあ。
でも、彼にそう言う感情があるのかどうかはよく分からない。邪な感情を感じたことは今まで一度もないし、独りで自身を慰める様子もまだお目にかかったことがない。
私の監視……じゃなかった見守りをかいくぐってそう言う事をしているのだとしたら、それはそれでいい妄想のタネにはなるんだけど、やっぱり実際の様子も見てみたい。
聞くところによると彼らの種族のアレは二本あるらしいので、片方を私の中へ収めながらもう片方を優しくこう擦ってあげたり……してあげたいなあ。
「おっといけない、さてコープスはもう寝たかな……っていないし!」
 しまった、私が回想と妄想で時間を潰している隙に逃げられてしまったみたいだ。流石はエージェントポケモン、一筋縄ではいかない。
遠くに行ったとは思えないが、こうなると彼を見つけるのは至難の業だ。今までもこうしてまんまと逃げられてしまい、寝顔堪能タイムに入れずに終わったことが何度もある。
次こそは逃がしてなるものか。いつかは絶対、私の虜にしてみせるんだから。

 □ □

「うぅ……寒」
 ワイルドエリアの気候は変わりやすい。一日ごとにコロコロといろんな表情を見せてくれる。今夜は肌を突き刺す冷たさが身に沁みる。静かに降り注ぐ雪の礫が、私の白い肌に溶けて消えていく。
私の身体は殆どが緑か白かだから、こうして雪の日の草むらに隠れていると非常に見つかりづらいのは助かるのだが、残念ながらこんな日は彼もさっさとボールの中に戻ってしまうので余りうまみがない。
こりゃ私も早々に戻るかなあ……なんて考えていたら、彼がおもむろに立ち上がってゆっくりとキャンプ地から遠ざかっていくのが見えた。まずい、見失う前に行かないと。
「……にしてもこれ、段々吹雪いてきてない?」
 視界を白く染める冷たい風を身に受けながら、彼の後を追いかける。風の音と悪天候のおかげで恐らく気づかれてはいないはず。それよりも見失ってしまった時の方が大変だ。
こんな中、一体ほんとにどこへ行こうと言うのだろうか。よっぽど誰かに見られたくない事でも……まさか、貴重な彼のアレな場面が拝めちゃうとか!?
そうと分かれば絶対に逃すわけにはいかない。こんな寒さも視界もなんのその、ここで凍えている場合じゃ――
「ったぁ……! 何あんた、いきなり何す」
 鈍い音が響く。寒さが遠ざかる。目の前の何かが喋っているのが、遙か彼方に聞こえている。段々辺りが黒くなって、何も見えなくなって。

 □ □

 気がつくと目の前には、巨大な刃の様な爪が突きつけられていた。爪と同じような刃が頭にも生えており、鈍く辺りの景色を映して光っている。
茶色い身体が私の柔肌の上に覆い被さり、その欲望は肉色の槍となってそそり立っていた。雪は止んでいるが辺りは暗く、誰の気配も感じない。
「きゃぁっ!」
「それ以上叫べば命はないぞ? 悪いが今夜は俺に付き合ってもらう。お前も何なら楽しむといい。俺のコレ、結構でけぇからな」
 明らかにそういうコトに及ぼうとしている目の前の雄。ドリュウズ、だったっけ。ワイルドエリアで時々見かけるポケモンだ。
その自慢の刃が、今は私の喉元に突き立てられている。サイコパワーを集中させて吹き飛ばそうとしたものの、その集中はすぐに途切れてしまった。
「ひゃっ……やめ、やめてっ」
「柔らけぇな、お前の肌。やっぱ選んで正解だったぜ」
 いかにも不器用そうな大きな爪なのに、不思議と丁寧に私の秘所にその爪は的確に這わされて、徐々にその中へと沈んでいく。
爪の側面を使って執拗に擦られる私の秘所は、分かってはいてもその刺激にはちゃんと反応してしまっている。
秘所の先端の突起が押しつぶされて、ぐるぐるとこねくり回されると、辛抱堪らず私はあぁ、と小さく声を漏らしてしまった。
「やめて……お願い……」
「いいねぇそういう顔。俺は好きだぜ」
 当然そいつは止める素振りもなく、私の反応を見て愉しんでいる。しかし彼の爪は依然として油断することなく私の命を脅かしている。
たぶん何度もこうやって雌を食い物にしてきたのだろう。明らかに手慣れた手つきで、私を快楽の渦へと飲み込んでいく。
「ひっ……ぁ」
「そうそう、自分の身体に素直になった方が、お前も気持ちよくなれるからな」
 逃げられそうにもなく、辺りに助けを求めることも出来ず。最悪の場合、他の野生の雄にも襲われかねない。
仲間達は今頃ぐっすり寝ている頃だろうか。明日の朝になれば探しに来てくれるかもしれないけれど、その頃には全てが手遅れ。
 ……今更後悔したところでどうにもならないけど、あんな雪の中を独りで出歩くんじゃなかった。
どうして私が、どうしてあの時、どうして……と、ぐるぐる回る思考が、快楽に喘ぐ身体とバラバラになっていく。
私、このまま犯されちゃうのかな。いつか彼と……なんて考えていたのに、こんな碌でもない奴に、奪われちゃうのかな。
「さて、それじゃ次は俺の……っ!?」
 ばしゃ、と飛んできた水飛沫。ほんの一瞬で飛んできた水の塊によろめいた彼を蹴り飛ばし、私はふらつく身体をたたき起こす。
「逃がすかっ!」
 体全体を回転させて地面に潜ったドリュウズ。どこから出てくるか分からないけど、今はただただ逃げるしかない。
走り出す私の足下が揺れる。構わず走り抜けようとした私の足下に亀裂が入り、体勢を崩してしまった。これじゃ、逃げられないっ……!
瞬間、私の身体は何かに当たって大きく吹き飛ばされ、その直後に大きな音を立てて地面から巨体が飛び出した。
「……全く、君は目を離すと碌でもないことになるね。探す方の身にもなって欲しいな」
 私を吹き飛ばしたその細長い身体には見覚えがあった。いや、見覚えがあるなんてものじゃない。だって、それは私がずっと追いかけている――
「コープス!」
 指先を構え、もう一度水流を放とうと狙いを定める彼の横顔。鋭い眼光が、憎きドリュウズに向けられている。
「さて、これで2対1だけど、まだやるかい?」
「っ……!」
 この状況は不利と判断したのか、ドリュウズは私達に背を向けると、再び身体を回転させて地面へと飛び込んでいった。
ぺたん、とその場に崩れる私をチラリと見て、彼はいつもの様に溜息を付いてしゃがみ込んだ。怒っているのか、呆れているのか。怖くて感情を読み取る気にはなれない。
「いいかい、いくら君がそれなりに強いとはいえ、独りで出歩くのは危険すぎる。つけ回してた君がいなくなったことに早めに気づけて良かったけど……」
「……ごめん、なさい」
 私だけが被害を被るならまだしも、彼を危険に巻き込んでしまった。それは私の望むところではないし、怒られて当然だ。
更に言えば、彼だけじゃなく他の仲間達やマスターにも心配を掛けるところだった。言い訳のしようも無い、全部私のせいだ。
「僕を追い回すのは良いけど、ちょっとは周りのことも見た方が良いよ」
 彼の言うとおり、もう少し周りを見渡すべきだった。目先のことにばかり集中しすぎて、色んなことが蔑ろになってしまっていたんだな。
「……えっ、知ってたの?」
「いや、知らないわけないでしょ、バレバレだったし」
「そ、そっか」
 今まで何度も彼に見つかっては上手く誤魔化していた……はずなんだけど、どうやらそれは私がそう思っていただけらしい。
彼の目を真っ直ぐ見ることも出来ず、ぐるぐると周囲へ目を向ける。あ、綺麗な星……なんて言ってる場合じゃないか。
「良いよ別に。でも、なんでそんなことするのかは教えて欲しいな。僕の弱みでも握りたいの? そんなに僕のことが嫌い?」
「ち、違うの! あの、私、貴方のことが好き、だから、つい……あ、えっと」
 嫌いだなんてとんでもない。にじみ出る寂しさを感じ取った私は、慌ててそれを否定する。……だけのつもりだったのに、つい口走ってしまった。
「……え? 好き? 君が? 僕を?」
 暫くの間の後に返ってきたのは、これまで見たことのないほど驚いた様子の彼の声。まだ理解が追いついていないらしい。
それもそうか。だって彼からすれば、私は弱みを探って何かを企む悪い奴でしか無かったのだから。その相手にいきなり「好きだ」なんて言われて、理解できるはずもない。
「ごめんなさい、でもどうしても貴方のこと、沢山知りたくて」
「……ほんとに? え、あの……そ、そうなんだ、そっか」
 分かりやすく狼狽える彼の顔。普段クールな彼が明らかに焦っている。そりゃそうか、今までずっと仲間達と旅をしてきて、そういう関係を築いたことがないんだから。
それは私も同じといえば同じだけれど、彼は多分そういう感情があること自体もあまり考えた事が無かったんじゃなかろうか。
「……コープスは私のこと、どう思ってる?」
 だから私は、確かめてみることにした。私は彼のことが好き。叶うならそういう関係になりたいと思うし、そういうコトをしてみたいと思っている。
じゃあ、彼はどうだろうか。彼は私のことをどう思っていて、そういう相手として見てくれるのだろうか。確かめるなら、今しかないと思うから。
「どう、って……旅の仲間だよ、大事な」
「ううん、そうじゃなくて。雌として……どう?」
 目の前にしゃがんでいる彼の頬へ手を延ばす。ぺた、と少し湿り気を帯びた彼の肌。私の肌よりは冷たいだろうか。でも、周囲の空気よりはほんのり温かい。
「あ、それは……その、綺麗だな、とは……思う、けど」
 その手を払うでもなく握るでもなく、一瞬伸ばしかけた手をその場に止めて彼は答えた。どうやら少し恥ずかしいらしい。こういう雰囲気は苦手なのだろうか。
「じゃあさ、コープスは……私とそういうこと、したいって思う?」
 もう一つの手で彼を抱き寄せる。胸の赤い突起が彼の胸に当たる。緊張と困惑、彼の気持ちは二つの感情で一杯だ。でも、嫌な感情は感じない。
「そ、そういうことって?」
やはり、こういうコトに関してはかなり鈍いらしい。そりゃあ私だってそういうのは他から聞いたことしかないけれど。それでも少しくらいは知っている。
だから私は、彼の口を一瞬で奪ってみた。目を見開いて、けれども拒絶することもなく、硬直する彼。こうしてみると、かっこいいというより可愛いんだな、彼。
「……こういうこと」
 唖然と口を少しばかり開いたまま固まった彼を抱きしめて、頬をすり寄せるようにして、顔の側でそっと囁く。
「ね、コープス。私、貴方のことが好き。それで、貴方の返事を、聞かせて?」
 彼の鼓動が逸る。言い淀む彼の背を手で撫でながら、私は黙って彼の返事を待つ。……冷静になったら、私もこれ、恥ずかしいかも。
けれどここまで来てしまったんだ。例え断られたとしても、それならそれで、きっと今は諦めが付く。だから、今の彼の気持ちを、ちゃんと確かめておきたい。
「君がそういう目で僕のことを見てるなんて、思ってなくて……ごめん、気持ちの整理がつかなくて……今は、分からないや」
 彼の口から出てきたのは、否定でもなく肯定でもなく、分からない、という言葉だった。無理もない、いきなりこんな流れになって、すぐに決断出来る雄なんてそんなに多くはないだろう。
「でも、君がいいっていうなら、君とそういうことをしたい、とは……思う、かな」
 ……ただ、どうやら彼は私が思っていたよりも、そういうコトに対しては積極的らしい。もっと身持ちが堅い方かと思っていたけど、意外かも。
「それじゃ、ちょっとだけ、ね?」
 抱きしめた彼の鼓動はまだ早く。抱きしめる私の鼓動もなお早く。もう一度、今度はゆっくりと、彼と私は口元を重ねた。

 □ □

「ねぇ、コープスのアレって、二本あるとか聞いたんだけど、ほんと?」
 寝転がる彼の股ぐらへ這い寄る私は、ソレが収納されているであろう割れ目を探しながら聞いてみた。
「あ、あぁ……そうだけど」
 これかな、と黒い肌に入った切れ込みを開くと、中は彼の身体の色とはうってかわって、生々しい肉色をしている。
その中に小さな突起が二つ、左右に並んでいる。なるほど、これが二つ、ってことなのね。
くりくりと指先でこねくり回してみると、彼の足が一瞬ぴくりと反応を示した。気持ちいい、のだろうか。
むくり、と目覚めた雄のそれは、触っているうちに大きくなり、やがてそのスリットから飛び出して自己主張を始める。こんなのがこの中に収まってたんだ。
 されるがままの彼は、期待と不安の入り交じった顔で私の動向を見守っている。このまま手でイかせてあげてもいいけれど、それじゃあ少しつまらない。
だから私は飛び出た二本の彼の象徴を、ぱくり、と一気に口へ含んだ。まだ大きくなりきっていないであろうソレは、私の頬を膨らませて、なおも大きくなろうとしている。
その二本へ舌を這わせて、つつ、と裏側をなぞる。小さな突起がいくつも生えていて、コレが雌の中に入るのか……と想像すると、下腹部が少し疼いた気がした。
「ちょっ……や、やり過ぎっ……ぁ」
 流石にそこまでやられるのは予想外だったのか、慌てて私の顔へ手を伸ばす彼だったが、その動きをサイコキネシスで封じ込めて、私は口淫を続ける。
更に私の口の中で膨れ上がる彼の欲棒が、私の唾液ででろでろに濡れている。更に大きく、硬くなったそれは私を押し上げて根元を外気に晒している。
「……凄い」
 大きく腫れ上がった二つの雄は、その鈴口に小さく雫を作りながら、収まるべき雌を探している。彼自身はとろんと上気した目で、何かを期待して私を見つめている。
「ねぇ、貴方だけじゃずるいから、私のことも良くシて欲しいな」
 このまま絶頂を迎えれば、あるいは彼がそれで満足してしまうかもしれない。それよりも、彼が普段見せないような、興奮して私を攻め立てるようなその様子が見てみたくなって。
だから私は彼を誘うようにぺたんと座り、ヒラヒラと足を隠すヴェールを手でどける。露わになった細い脚を折り曲げて開き、その間に彼を誘う。
「……貴方の好きにして欲しいの」
 彼はふらふらとそこに這い寄ると、恐る恐るその割れ目に手を伸ばし、そっと触れた。彼の少し冷たい手が、私を悦ばせようとしてくれている。
くちゅ、とひとなぞりしただけで厭らしく水音を鳴らす私の秘所は、もう既に彼のソレが欲しくて疼いている。けど彼は手でじっくりとそこを摩り、少しずつその指を中へと沈めてくる。
「んっ」
 どんな時でもやっぱり彼は彼なのか。すっかり惚けた目をしてはいるけれど、その行為は優しく、丁寧で、決して乱暴なんかじゃなく。
私を労ってくれているのがよく分かる。私を導いてくれているのがよく分かる。だからこそ、もっと沢山欲しくなる。
自分の手で激しく掻き回したくなる衝動を抑えて、私は彼の手淫に身を委ねる。ぐちゅぐちゅと涎を垂らす私の蜜壺は、いつしか三本目の指を飲み込んでいた。
「ひっ、あぁ」
 彼が私と口付けをする。ぢゅる、と愛液を吸いあげて、その細長い舌が私の中をなで回す。私の手では感じることのなかった刺激に、私はとうとう耐えきれず。
「ふぁっ、ぁ、はっ……んんっ!」
 ぱしゃ、と彼の顔に飛沫を飛ばして、私は絶頂を迎えてしまった。甘い快楽が私の頭の中を一杯にする。彼が欲しい、もっと欲しい、まだ足りない。
たまらず私は彼を再び押し倒し、ぴくりと震えるその一本を口に含んで舐め回す。もう一本は手で握り、上下に激しく擦ってやる。
「まっ、ちょっ、ダメだってっ……あっ、あぁっ!」
 彼もきっと興奮してくれていたのだろう、その動きを始めて間もなく、彼はその剣から白濁を吐き出した。私の頭をでろりと濡らし、口の中を満たすそれは、決して美味しいものではないけれど。
「……貴方の味がする」
 はあはあと息を切らす彼の息子は、けれどもまだ物足りなさそうで。依然スリットに収まらないソレに、収めるべき場所を見せてやる。
這うようにして近づく彼を抱き寄せて横たわり、逸物を手で捏ね回しつつ割れ目に近づける。先端がその入り口に触れる。後もう少し近づけば、易々と入ってしまいそうだ。
更に彼をギュッと抱きしめようとしたその時、彼の手が私の胸に当てられた。なんで、と目で不満を訴える私に、彼は。
「……やっぱり、順番が違うよ。それはちゃんと君を知ってからにしたい。だからさ」
 彼の口が、私の口先へ小さく触れる。彼は恥ずかしそうに、けれどもしっかりと私に狙いを定めて。
「まずは……僕と付き合ってくれないかな。シトレ」
 私のハートを狙い撃った彼の真剣な眼差し。私が覚えているのはここまでだ。

 □ □

「全く、君は何度言えば分かるんだい?」
 いつも通り草むらに身を潜めて彼の一挙一動を目に焼き付けていた私の背後に、いつの間にか彼が立っていた。相変わらず隙のない身の熟しだ。
あれから少しは私のお楽しみタイムを許してくれるのかと思いきやそんなことはなく、私の気配を察知するやいなや、すぐに逃げるか私の所までやってくる。
「あ、これはね、その……貴方の自然な様子が見たいっていうか、独りの時の貴方を観察したいっていうか」
「分かった分かった。ともかく、そんな様子じゃ明らかに変な奴だと思われるから止めときなよ」
 止めろ、と言われて止めていたんじゃ女が廃る。私だってそれなりに身を隠す術を身につけたし、これからも彼のレアな場面をこの目にしかと焼き付けていきたい。
その場は適当に曖昧な返事をしておこう、と思ったのだが、どうにも彼の様子がおかしい。あれ、何か言いたそう。
「……付き合ってる僕まで変な奴と思われるからさ」
「て、照れた顔も素敵っ……」
 えっちょっとこれベスト顔じゃない? 私の推し尊すぎない? 待ってめっちゃ可愛くない? いや落ち着け私、なにこれ夢なの?
でもコープスのそのおててが頬を掻いてるの凄くキュンとこない? はぁなにもう可愛いの塊じゃん無理だよ……あーありがとうダメ……無理……。
「聞いてる? ねえシトレ? おーい……ダメか」
 神様なんているのかどうかは分からないけど、とりあえず空の上に居るとか居ないとかいう神様ポケモンに感謝の意を念じておいた。
呆れ顔の彼は、スタスタと私を放ってまた元の場所へと歩いて行ってしまった。付き合ってる、にしてはあまりにも淡泊な対応じゃない?
でも、彼は彼なりに私のことを好いてくれているのは分かっているから、それでいい。いつか彼の方から、私を抱いてくれるだろうから。

――だって、彼の独り事のおかずが私だってこと、私はちゃんと知ってるんだもの。

おわり


・後書き
ということで感想会も終わったのでいい加減仮面外しておきます。意外と気づかれてませんでしたね。
インテレオンと夢女が流行に流行っていたので乗っかりました。インテレオンかっこいい……かっこよくない???
そして変態感溢れる残念なサーナイトさんも書きたかったのです。多分シトレさんはこれからも残念な感じ。
以前よりは余裕を持って書き始めようかと思っていたのですがネタが浮かんだのがエントリー締め切り日夜だったので結局修羅場でした。
タイトルをもう少しうまく使えたら良かったかなあと思いつつ。でも書きたい物は書けたので満足です。
今回も無事皆勤を守れたので、次回も頑張りたいと思います。短編は諸事情により不参加ですが。
それではいつも通りコメントへのお返事を。

>あの人かな……
>とても表現が豊富で深みのある文章でした。 (2019/12/14(土) 10:41)
ありがとうございます。一人称は心情をじっくり描けるのが良いところですね。

>初々しい二人が距離を縮めていくまでの物語。シトレの一人称視点が丁寧に描写されていたので、とても没入感たっぷりに二人の間の空気を楽しむことが出来ました。シトレの種族が断定できる描写がもう少し早い段階であると、より情景がが浮かびやすかったかなと思います。(恐らくサーナイトですよね?) (2019/12/14(土) 18:00)
仰るとおりサーナイトです。一人称だとどうしても自身の容姿については語りづらいですね……精進致します。互いの間の微妙な距離感や空気を愉しんでもらえていたら作者冥利に尽きます。

ということで貴重な二票をありがとうございました。もっと長い官能シーンが書ければいいんですが時間とノリが足りない……(
それではまた次回の作品でお会いしましょう!

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Last-modified: 2019-12-30 (月) 00:13:38
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