× ?
注意 この作品はグロテクスな表現、官能ともとれる描写が含まれます。苦手な方は何というか出口から逃げ出してください。
あろうことか自国を滅ぼした災厄の王妃、そんな呼ばれ方をされた。
だけど、僕は城の地下にある大切なものを守るために全てを捨てただけだ。
地位も名声も家族も何もかも、自分で消した。
ただ地下を守るために。
災いを伝える者第伍話 鋼鉄の鼓動
現在、燕尾服の変態もとりあえずボロボロの車内に入ってこれから色々と説明をするところだ。
「ふむ、アリシア様 貴女がおもら「殺されたいのか!!」
「冗談ですよ 貴女が戦場でおもらしをした話はしませんのでご安心を」
「そのよく回る舌切り刻んでやろうか!?」
「マジメニハナスキアンノカ?」
「無いですね」
あの馬鹿野郎、MになったりSになったりコロコロ変わり過ぎなんだよ。
まぁ、それは僕にも言えることだけど……
あの馬鹿のせいで話が大分それてしまった。その上真面目に話す気が無いときた
もういっそ顎の骨折って黙らせればいいのだろうか。
「そこまで言うのなら黙りましょうか」
「勝手に思考を読むな! まぁ、黙ってくれるのならいいけど」
「ただし、何を言われようと決して喋りませんので」
「この燕尾服の変態が僕の執事兼私兵軍元帥だったリム・レイヴン 生きているとは思わなかったけど」
「生きてるとは思わなかった? 貴方一体何をしたの?」
「10年前のあのとき何をしたのか、全て話します 少し長くなると思いますが」
見渡す限り血の海の中に佇む自分、その足元に転がる夥しい数の死骸、こんな夢を毎日見るようになった。
そして必ず、誰かの声がしたところで目が覚める。
その時からこの夢の状態に自分が陥る日が近いことが分かった。
そんな中届いた一つの知らせ
南ニ帝国軍在リ
その時僕は決断を迫られた。規模で劣るが真正面からぶつかるか、潔く降伏するか、または……国を無かったことにするか。
この時に城の地下室を守るにはどれが一番最適かを何度も考えたけど、どうしても、
国を滅ぼす方法が一番であると僕の頭は結論を出した。
自らの国を滅ぼしてでも守らなければならない物。それの存在を知ったのは15の時、母に案内され城の地下へと向かったあの日。
分厚い扉で閉ざされた向こう側、そこにあったのは夥しい数の光、その光一つ一つに名前が刻まれていた。
マルチやハルデスの国王の名やこの国の民の名、そして、僕の名前も。その中心にあった台座にはARUSEUSUと書かれたプレートがはめられていた。
これが城の地下にある絶対に守らなければならないもの、母からは本物のARUSEUSUと教わったものだ。
すべての生物を管理する神、それの哀れな姿だった。プレートの裏に本体がしまわれており、これを潰せば全生物の管理がストップする。それはつまり、すべてが死に絶えると言うことだった。
国滅ぼし、それを確実に実行するにはこれを利用するしかなかった。
自分の国の民、それらの名前の刻まれた光を潰していく。
だが、それだけでは 死 には至らない。管理がストップした状態では動けなくなるだけらしい。
けれど、動けなくなれば何もできない、それが 死 につながるだけだ。
国滅ぼしの方法はこうだ。まず、全国民の名前が刻まれた光を潰し、それから……
……あの夢と同じことになる。血の海の中佇む自分、やるしか……道はない。
隠し扉を押し開け、明かりの無い階段をひたすら降りる。その途中何かにぶつかった。それが何なのか僕にはすぐ、理解できた。
それを三回頭の鎌で叩く。するとそれはその場所から無くなった。地下を守るための防壁、ただの幻にすぎないが、視覚が遮られた状態では質量を持つ幻へと変貌するのだ。
暫くすると例の扉が見えてきた。力一杯押し、扉を開ける。そこにはやはり夥しい数の星が輝いていた。
鎌鼬を構え、そして放つ。それだけの筈なのに、目の前に靄がかかり標的を確認できず鎌鼬が放てなかった。
アリシア・k・ガイトラッシュよ、今更何を躊躇っているのだ!
靄の原因を前足で拭い、歯を食いしばりながら、一つずつ光を潰していった。
あらかた潰し終えたとき、ついに自分の体がその場に崩れ落ちた。涙が溢れだし、もはや前などは見えなかった。
自分の光も潰したのかと淡い期待を抱いたが、前足が動いてしまった為、その期待は脆くも崩れさった。
ぐずぐずしていられない、自らの体に鞭を打ちその場から走り出す。
城の中へと戻りまず目にしたのは使用人達、皆、床に倒れていた。そのうちの一人が僕を見つけ、すべてを悟ったような気配を出した。
だが、僕がその使用人の頭を見ることはなかった。派手に吹き飛び、生暖かい物体が辺りに散らばる。白くて堅い物が僕の顔へと当たる。
それを無視し、辺りに散らばる人形達を斬り裂いていった。腹から
気が狂いそうだ。なぜ、こんな事に、何故、なぜ、ナゼ……
モウ、ナニモカモ、コワレチャエ
「アハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!! みんな壊れちゃえばいいんだ、全部!すべて!何もかも!!ハハ……ハハハハハ……」
転がっている人形の腕に噛み付き、その腕を引きちぎる。何の抵抗もしない相手、それがたまらなく面白くなってきた。
腕の中の綿を噛みちぎり、それを飲み込む、とても甘い味がした。それの腹を裂き、中身を前足で引きずり出す。
その中で喉とつながった袋を爪で引き裂く、中からドロリとした白い液体が溢れだした、それに口を付けなめとる。
強い酸味と苦い香りが口の中へ入り込んでくる。いやな感じはしなかった。
しばらくそれを味わっていたがまだ辺りにはほかの人形が落ちている、国中が人形で溢れている。
ほかの人形も片付けなきゃ……
フラフラの足取りで城の外にでて、まず目に飛び込んできたのは白い花とその近くには色々な人形、無意識のうちに鎌鼬を放っていた。
白色の花が赤く染まり空へと散った。人形があった位置には大きな一輪の薔薇が咲いた。
その美しさに目を奪われながら、もっとたくさん咲かせたい。そんな欲望を抱き、人形の胸を切り裂いていく。
その度に一輪ずつ薔薇が増えていった。突然背後から悲鳴が聞こえてくる。
そこには目に涙を溜め、震えているポチエナがいた。口元に笑顔を造りそのまま歩み寄る。
一歩前に歩けば相手は半歩下がる。その歩幅の差ではいつかは追いつける。そして面白いことにポチエナの尻尾が壁についたのだ。
恐怖に顔を歪ませ、小さな声を上げる。その命を僕の鎌が刈り取ったのはその後だった。
おひめさまのうそつき
この言葉が頭の中へといやに響いた。それと同時に僕は泣き崩れていた。
なにをやっているんだ、僕は。わざわざあんなことをして。
だが、あれを楽しかったと思っている自分も居た。
……そこから先は覚えていない……
「その後、色々あって今に至るわけです」
「その色々の部分は……?」
「話しても時間の無駄になりますし、大体話に飽きてるじゃないですか」
あらかた話終え、一息ついてディーゼルさん達を見ると寝ていたり何かの作業をしていた。
話に興味がないなら途中で言ってくれればいいのに、何とも言えない気分になりながらディーゼルさんを見つめる。
ゾロアークの手は三本指の筈だがディーゼルさんの手は五本あった。そういえば視界の端で何かつけているのが見えたな……
「よし、これで何とか動きそうね」
「ナルホドナ デ、ヤッパリ修理ハ必要カ?」
「当たり前でしょ! こんな穴だらけの装甲車じゃなにも出来ないわよ それに、今やったのは応急処置 エンジン一回付けたら止めちゃ駄目よ修理しない限り半永久的に動かなくなるから」
「アイヨ」
どうやら一応動くように出来たらしい。本格的な修理は必要らしいけど。
アンペア……さんが機械の中へと消えていく。
「それで、アンペア あんたはこいつを直すためにシド*1の所に向かって、私はゴーストに向かうから」
「了解 一応ナンカ装備モッテイケヨ」
「それで、アリシア 貴方はどうする?」
さて、アンペアさんについていくかディーゼルさんについていくか。どうしよう……
ふぅ
第録話に続く
最新の3件を表示しています。 コメントページを参照