ポケモン小説wiki

火を噴く山と大きな木

とある小さな村に、ポケモンが大好きな少年がいました。その少年は山の中のひときわ大きな木の下でいつも彼の家族であるトリミアンとポチエナと遊んでいました。

いつものように一人と二匹で遊んでいた、そんなある日のことでした。
探険に行くことにした彼は、二匹を連れていつもの木より、さらに山のほうに行くことにしました。
二匹は何かを感じ取っていたようですが、そのまま彼についていきました。
彼らが野生の勘で察知したのはこれから起こる災害でした。
一人と二匹は地面の揺れを感じはじめました。
その揺れに何か不吉な予感を感じた彼らは、今来た道を引き返すことにました。
その時、彼らの背後で大きな音が鳴りました。
数百年何もなかった火山が、突然噴火したのです。
一人と二匹は急いで山をかけおりました。
脇目も振らず一目散に彼の村へと駆け込みました。
溶岩はゆっくり進むので村役場にあるバスでみんなで避難しようとした時、あることに気づきました。
途中ではぐれてしまったのかポチエナがいないのです。
その事にいち早く気付いたトリミアンは、ポチエナを探しにバスに乗る列を飛び出していってしまいました。
少年は、僕もポチエナを探しにいくと喚きましたが、母親がそれを許すはずもなく、バスに乗せられて避難しました。
それから十数日、寂しい避難所生活をしました。

溶岩も山頂ですぐ固まる程度の小規模の噴火だったので、比較的早く警戒が解除されました。
家に戻った少年は、トリミアンとポチエナを急いで探しに行きました。
目印になるのはあの大きな木しかない。
彼が向かうとポチエナが木の下にいました。
ですが、少年がいくら呼んでもポチエナは彼のもとへときません。
あれほど懐いていたのだから忘れるはずがないのにと彼は思いました。
彼はポチエナに近づくと、そのポチエナは少年を威嚇しました。
どうやら違うポチエナだったようです。
彼はポチエナを別の個体とは思えず、そのまま歩みを進めると今度はポチエナが怯み走り去っていきました。
それからも少年は二匹を日が暮れるまで探し続けました。
しかし、結局二匹は見つけられませんでした。
少年は泥と傷を多くつけて家に帰りました。
暗闇では彼も心細く、また母親に日暮れまでに帰って来いと言われていたので気づいたら家の前にいました。
少年は泣きました。
母親が泥を払い家に入れると必死に励ましていました。
いつもなら消毒もするのですが、彼に同情していて、二匹が返ってこないことは彼女にとっても大きなショックであったのでそこまで気が回りませんでした。
二人は夕食に暖かいシチューを食べました。
少年が進まないスプーンで半分ほど食べたとき、こつこつと音が扉のほうから聞こえました。
扉を開けると傷だらけでボリュームの大きく減ったトリミアンが、背中に黒い塊を乗せて帰ってきました。
その黒くつぶれた塊がポチエナだとわかると、少年と母親はさらに悲しみました。
二人がトリミアンにありがとうと告げたとき、トリミアンは倒れこむようにして眠りました。

その後、母親の治療の甲斐あって、トリミアンは順調に回復して、今では元気に走り回っています。
しかし、ポチエナは死んでしまいました。
少年は考えました。
命とは何か、死とは何か。
少年の導き出した答えは…

お楽しみいただけましたでょうか。
この機会に、命について、死について一度考えてみてください。
作者


何かありましたらお気軽にどうぞ。
感想・アドバイス等頂けたら嬉しいです

Ver.2.1