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溶けた氷に溺れていく

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R-18,人×ポケ

作者:まこる

 私は、マスターのことが大好き。ニューラの時に拾われてから。ずっと。
 マスターは一流のトレーナーを目指してて、私も期待に応えようと頑張ってきた。今やマスターの切り札だ。そしてやっと、憧れの頂まであと一歩。
 私は、才能のある彼のために尽くせるのが誇り。マスターは私にとって特別な人間だ。そばにいられるだけで幸せ。たとえ私が一生、マスターの特別になれなくても。
「堪えるんだ、テールナー!」
 4番手の彼女の動きが悪い。せっかく、マスターが完璧な戦略を立てたのに。調子が悪いのだろうか? よりにもよって大事な決勝戦で。
「テールナー!」
 負けた。まあ、仕方ない。私が頑張ればいい。私が、マスターの期待以上に戦えばいいんだ。歓声が、胸を高鳴らせる。私のモンスターボールが、空高く放られた。出番だ。
「マニューラ!」
「マニュ!!」
 フィールドに降り立つ。相対するのは、ジュカイン。テールナーのダメージが残ってる。余裕だ。
 ふと、その後ろのトレーナーと目が合った。
 不敵な笑み……自信たっぷりの余裕かしら? ま、私が出てくるのは分かってたでしょうね。これで戦うのは何度目かしら。
 マスターの永遠のライバルでそっくりなーー双子の弟の彼。旅の行く先々で出会って、バトルした。ジム戦でアドバイスをもらったこともあるし、遊んだこともある。目の前のジュカインなんか、キモリの頃から知ってるし、ジュプトルの時にタッグバトルをしたことも懐かしい。
「お手柔らかに、マニューラ!」
「バカ、手加減しないよ!」
 思わず、ジュカインと笑い合う。
 私たちはずっと、お互いの成長を見守ってきた。
 でもまさか……こんな大舞台で、バトルする日が来るなんて。嬉しい。けど、一歩も譲る気は無い。悪いけど、叩きのめしてやる。



「ごめんね、マニューラ」
「いいって。でも今日はどうしたの? いつものパフォーマンスじゃなかった」
「その……えと、昨日緊張で、よく眠れなくて」
 ポケモンセンターで簡単な治療を受けてると、テールナーが謝りにきた。なるほど。正直、そんなメンタルじゃ困るわけだが。私と違って彼女は今日、初戦だ。大目に見てあげよう。でも彼女も主戦力なんだから。しっかりして欲しい。
 このリーグチャンピオンを決める決勝戦は全部で3戦。2勝先取制で、1戦ごとのポケモンの入れ替えは自由。今日で、マスターは1勝1敗。明日で、決まる。
 結論から言うと、今日私は負けた。相手の最後の手持ちの体力をほぼ削ってから。だから、6番手で無事勝利を収めた。勝利に大きく貢献できたので満足だ。明日も頑張ろう。
「他のみんなは?」
「入れ替わるみたい」
「そっか。じゃあ、テールナーと私の役目は同じね。明日も頑張りましょう」
「あ、のねマニューラ、言いづらいんだけど……」
「なに?」
「明日のバトル、マニューラも入れ替わるみたい」
 ……え?
「マ、マニューラがいけないわけじゃないよ! そういう戦略なんだってーー」気まずそうに目を逸らして。「言ってた……」
「でも……明日は優勝が決まるバトルだよね?」
 それが、どんな意味か分かるはずだ。でも彼女は黙ったまま。
「そう……なんだ」
 胸を穿つような苦しみ。
「やっぱり……あんまりだよ。ずっと一緒に戦ってきたのに。よりにもよってーー」
「なに言ってるの。マスターがそう決めたなら、従うだけ。それが私たちの役目でしょ」
 確かに……ずっと頑張ってきた。この日のためだけに。マスターの期待に応えて、必死に。何もかもを捧げて。でも、それは私が勝手にしていたことだから。私は、マスターの指示にちゃんと従うだけ。それがやるべきこと。
「大丈夫?」
「なにが? 別に平気よ。いつものことでしょ」
 平常心平常心。なのにーー。
「マニューラ、泣かないで……」
「大丈夫って言ってるでしょ! 放っておいて!」
 ダメ。気持ちがぐちゃぐちゃ。考えれば考えるほど、マスターへの想いが溢れていく。
 叶わぬ願いに縋りつく私がいる。



 目が覚めると真っ暗だった。治療室のベッドでそのまま眠らせてくれたらしい。
 静かだ。私の冷たいため息がよく聞こえる。持ち前の鋭い鉤爪で、涙でボサボサになった顔を擦って整えた。
 いつもならすぐ帰ってたけど……そんな気分になれない。モンスターボールに戻れば、明日の朝、そのままパソコンに預けられてしまうのだから。
 マスターは、もう眠ってるだろうな。
「……マニューラ」
「誰?」
 不意に、呼ばれる声。反応はない。私は起き上がり、扉を開けた。眉をひそめる。
「……テールナー?」
 誰もいない廊下に、はっきりとテールナーの匂いが残っていた。彼女の匂いはポケセンのロビーを抜け、マスターの泊まる棟とは別の棟に続いている。
「あの子……信じられない。寝不足で今日負けたんじゃなかったの?」
 怒りがふつふつと。だって彼女は……明日もバトルに出るのだから。なのに、夜更かし?
 気持ちが弛んでる。私にとって、裏切りに等しい行為だ。少し注意するくらいじゃ我慢ならない。
 私の足は当然、彼女の匂いが続く場所へと向かう。その先は……トレーナーの宿泊棟。まさか迷子? 段々、テールナーの匂いが濃くなる。ふと、私はその匂いに、どこか甘い匂いが混じってることに気がつく。でも、気にしなかった。
 そして……たどり着いた。彼女の匂いは、ある一室の前で途切れていた。その部屋から、小さく、彼女の鳴き声が聞こえてくる。……なんなんだろう? なんか……怖い。
 直後。彼女の悲鳴のような声が聞こえてきた。
 冷や汗が滲む。襲われてる……? なら、助けなきゃ……!
 部屋に鍵はかかっていない。慎重に、私は扉を開けて中の様子を伺った。瞬間、鼻腔に広がる甘ったるい、濃い匂い。聞こえてくる人間とポケモンの……喘ぎ声。水音。頭を殴られたような衝撃。
「あっ! やっ! あっ! ああん!」
「可愛いよ、テールナー……んっ」
「……マスター?」
 いや、違う。あれは今日対戦したライバルの、マスターの双子の弟のーー人間だ。裸になった彼に、テールナーが跨って……腰を振ってる。人間とポケモンが、交尾……してる?!
「あぁん! イく、マスター! イっちゃう!」
「限界かい? いいよ。俺もたくさん、中にあげる」
「あ……ちょうだい! 私の中……ああああ!!」
 刹那。テールナーが人間の上で体を震わせる。息を切らして「あ……あ……」と喘ぎながら。そして、見てしまった。結合部から溢れる、白濁液を。その量が、1回目ではないことを物語る。本来は黒い体毛で覆われてるはずの秘所が、ピンクの肉を覗かせて、甘い匂いを放ち続けていた。満足そうに、ピクリと震えながら。
 やがて、テールナーはマスターそっくりの人間にもたれ掛かると、ピチャピチャと音を立てて淫乱なキスをし始める。ベッドも、炎タイプのその体も、水ではない液体でビショビショだった。
「な……え?」
 驚愕と混乱で動けない。
「覗きは良くないよ」
「ーージュカイン!? 離して!」
「だーめ」
 しまった。気づかなかった。暴れるが、体格と力の差が大きすぎる。彼は私を羽交い締めにすると……事後に浸る1人と1匹の前にあろうことか突き出した。
「あ……マニューラ?」
「テールナー! これはどういうこと?!」
「なにって……」
 そう言うと、彼女はこれ見よがしに腰を浮かして、人間の逸物を抜いた。すると、秘所からボタタっと注がれた精液がこぼれ落ちシーツを汚す。
 その光景にゾクッとした。
「やあ……マニューラ。さっきのバトルぶり。ごめん、びっくりさせちゃったね」
「ふ、ふざけないで! あんた自分がなにしてるのか分かってるの!?」
 ベッドに寝ていた人間が、パンツとシャツをさっと纏いゆっくりと私の方に来た。今までライバルとして切磋琢磨してきた仲だが……もうそんな目で見れない。異常者だ。
 無論、ポケモンの言葉は人間に通じない。でも怒ってるのは分かるはず。だがーー。
「可哀想に。あんなやつに育てられて」
「なに言ってるの!? マスターを侮辱する気?」
「大丈夫。俺が代わりに、あいつの代わりに愛情を注いであげる」
「や、やめて! 触らないで!! 変態!!」
 人間が。マスターにそっくりな顔の人間が。その手を伸ばしてくる。やがてその手は、私の冷たい体にそっと触れた。とても、優しく。
「やめて……! やめてよ……」
 それは、単純に。ポケモンを慈しむ、心のこもった手だった。彼は、私を襲うのではなく、撫でた。普通のポケモンにするように。愛情を込めて。私は初めて……人間の体温を感じていた。私は初めて……愛情を持った人間の手に触れられていた。それは、私が求め続けていたこと。狂おしいほどに。
 頰を涙が流れるのを……止められなかった。
「やっぱり。君もあいつを愛してしまったんだね」
 マスターの顔が、私に微笑みかける。



 マスターはポケモンたちを分け隔てなく、平等に育て上げてきた。まるで育成ゲームを楽しむかのように。データを扱うように。感情のない道具のように。そして彼のお気に入りは、自分の理想通りに動く駒。私のような。
 でも、それでも。私はマスターが好きだった。居場所をくれて、育ててくれて、共に戦ってきたのは事実だから。私の世界には、彼しかいないから。
 でも、その世界は揺らぎやすく、いつ消えてもおかしくなかった。寂しくて。もし心に迷いが生じたら、そのせいで弱くなったら、きっと一生パソコンの中だ。マスターに必要とされなくなること。それが怖かった。死ぬことのように。
 だから、私はマスターを愛してしまった。異常だと分かってても。尽くし続けることは、私を私でいさせてくれたから。愛情が返ってくることはないと心が悟ってても、それを待ち続けることができるから。
 だから。だから……マスターのフリして、優しくしないでよ。守ってきたものを、お願い……崩さないで。
「大好きだよ、マニューラ」
 どうして。どうしてあなたは、マスターと同じなの。匂いも、声も、何もかも。
 分かってる。頭では分かってるのに……理解できない気持ちが溢れてくる……。
「マニューラも、俺としたい?」
「ふ、ふざけないで……」
 ドキドキする。今まで我慢してきた愛情に飢えた体が。理性を凌駕して心までを侵食する。過ぎってしまう。さっきのテールナーと、同じことをする私が。こんなことって……。
「君も、テールナーも、心の病気なんだよ。君は依存させられてるんだ、あの人間に」
 私を羽交い締めにするジュカインの説得力のない言葉。
「気づいてマニューラ。私たちポケモンも、求めていいのよ。愛情を」
 扇情的な姿で煽るように言うテールナー。
「だ、だとしても! どうしてこんな……」
「大丈夫。マスターは本当に、あなたを愛してくれる」
 わ、私のマスターはこの人間じゃ……!
「大丈夫。僕のことは君のマスターだと思ってくれていい。マニューラ」
 マスターが、優しく……私に笑ってくれている。分かってるはずなのに。違うって。でも……どうしようもないほど、同じ。ずっと夢見ていた、優しいマスターに。涙が止まらない。ひび割れて、空虚になった心が、暖かくなってる。求めてしまっている。
 縋りたい。今だけ。縋りたい。この優しさに。幻想でもいいから。
 気がつけば私は、その腕に抱きついていた。



 いつの間にか、私はベッドの上で、彼に寄り添われて寝ている。テールナーとジュカインはいない。だから、私たちだけ。体の中が、異常に火照っている。
「マニューラの体、冷たいね」
 私を優しく撫でる彼。分かってる、彼はマスターじゃない。でも、本当に。私のマスターがしてくれているようで。だから、今だけ。ちょっとだけ。この体の震えが、涙が止まるまで。そしたら、すぐ去ろう。自分を失わないくらいの、ちょっとだけの夢を見て。
「マニュ……」
 女々しい鳴き声をあげてしまう。
「いいんだよ。たっぷり甘えてくれて。たくさん、あげるから。マニューラ」
 彼の手が、私の背中を撫で、そして頰に。顎に。そして。
「……マニュ?」
 ……え?
 唇と、唇が触れる。
 体が凍ったように動かなくなる。胸の奥が一気に熱くなったのに。
 や、やめさせなきゃ。そこまで求めてない。それにポケモンと人間がこんなことするのは、絶対に間違ってる。
 だが……彼は背中と頭に手を回し、さらに唇を密着させてきた。直後ーー。
 ニュルッと。舌が。唇を舐めてくる。あまりにも突飛な行動に、反射的に声が上がる。「やめて!」とーー私はばかだ。
 ほんのわずかな隙間から、無理やり。当然のように、彼は舌を挿れてきた。
「ん!? んん……!」
 呻く。だが暴れてしまえば、私の爪や牙は彼を傷つけてしまう。それは……そこまでして拒否するのは躊躇してしまう。
「ん……ん……」
 怖い。だからなのか、痙攣したようにビクリとこわばる瞬間がある。
 舌が、私の小さい舌に絡まっては、味わうかのように舐め上げてくる。漏れる吐息。頭の中に響く、淫らな音。声。彼の閉じた目。熱。それは本当に、私を愛してくれているように。それがマスターだと錯覚して。嫌だったはずの気持ちが薄れてきて。
 少しだけ抵抗していた四肢の力が抜けていく。
 怖かったけど、ほんの少しだけ、舌を動かす。瞬間、彼の濡れた舌を鮮明に感じた。それが呼び水になる。
「マ……ニュゥ……」
 聞いたこともない、艶のある自分の鳴き声。感じたことのない、熱の籠もった吐息。舌が、勝手に動いた。ポケモンの本能は、人がするようなセックスなんて知らないはずなのに。
 目を閉じて、堪能する。キス。味わう。マスターの匂いのする唾液を。塗りたくられる。そして塗りたくる。私の唾液を。味わって欲しくて。もっと求めて欲しくて。
 ちゅく……と弾ける音がして、彼は離れた。息が乱れてる。体が忘れてた新鮮な空気を一気に取り込み、なにをしていたか思い出す。はっきりと残る、舌で感じた柔らかい舌の感触。他人の味。思わず、唾を飲み込んだ。
「ん、マニューラ。可愛いよ、すっかり蕩けちゃって」
 口の端から垂れる唾液は、どちらのか分からない。また、彼は私を撫でてくれる。そしてーー彼の手がゆっくりと、私の下半身に伸びていった。心臓が跳ねる。だってそこが……今、一番撫でて欲しい場所だったから。

「ここも、ちゃんと濡れてる」
「マニュッ!?」
 ビクリ、と体が跳ねた。その様子を見て、彼は……マスターは微笑む。
「気持ちいい? その爪じゃオナニーはできないもんね」
「ニャッ……!」
 その刺激に体は萎縮し、抵抗するように力が入る。恥ずかしくて、嫌だ、と。でも……我慢しちゃダメ。触ってもらわなきゃダメ。誰の命令でもないのに、体はそれに従って、秘所を勝手に差し出してしまう。
 マスターの指が、私の大事なとこを撫でてる。あっ……あっ……声、出ちゃう……。
「腕に抱きつくほどイイ? 溢れてきてる」
 濡れてる。愛液が、私の秘所から漏れ出てる。触られるたびに。痙攣して。雄を誘うように、いやらしい音を鳴らして。あっ……。
「もしかして初めて?」
 快感。それは体の自由を全部奪って、溺れさせる麻薬のよう。脳は蕩け、体そのものが快楽を感じるだけの器官に成り下がり、今までの私は消え、悶える淫乱な姿の生き物にさせられてしまう。
「必死に首振って……可愛いよ」
「マニャアア……!」
 コリッと、秘所のどこかを指が抓ると、ひとりでに腰が仰け反った。
「すごい。マニューラのエッチなとこ、熱いし、すごくしゃぶってくるね」
 指が……指が中に入ってる……。動いてる……。あっ……気持ちいい……気持ちいいよぉ……。
 刺激されるたびに、愛液を吐き出すように、もっと気持ち良さを求めるように、淫らに動く膣肉。快感を受け止めようとする体。媚びてしまう声。涙。淫らに堕ちていく心。悦んで、支配されていく。快感を与えてくれる存在に。もっと弄んで欲しいと。
「はぁ……はぁ……」
 指が抜かれる。マスターは愛液でテラつくそれを、私の目の前でいやらしく舐めた。その光景に……お腹の底がキュンと疼く。私の体は、もうどうしようもないほど、雌としてマスターに欲情していた。

「マニューラ。これ、しゃぶってくれる?」
 パンツを脱いで、マスターは私に逸物を晒す。初めて見る、オスの証。怖くない。それどころか、愛しくて仕方がなかった。私に興奮して、勃起している様が。だからーー。
「マニュ……」
 触る。硬くて、熱い。鼓動に合わせて、震えてる。私の愛撫を待ち望んでる。躊躇う理由なんかない。鼻を擦り付けて、その匂いを体に行き渡らせる。これが、雄の発情した香りだと。味わう以外に考えられなかった。
 考える前に、逸物を頬張った。
「ん……」
 彼が呻く。瞬間、エグい苦味と匂いが私の芯まで染み込んでいく。舌が、しゃぶる口の動きが止められない。実際は違うのに……すごく美味しいと、脳が誤解してる。涎が、溢れてきた。
「ああ、上手だよ、マニューラ」
 ああ……舐めてる。しゃぶってる。逸物を。マスターの大事な、気持ちいいとこを。……嬉しい。嬉しい。
 マスターはずっと、こんなにエッチな私を眺めてる。
 後脚を愛液が伝う。刺激を求めている。それを紛らわすかのように、私は舌を這わす。逸物に。私に欲情してくれている雄に。欲しくて欲しくてたまらないから。ここから出る、マスターの種が。一生洗い流せない、私の中に。
「もう十分だよ」
 またマスターは、優しく撫でてくれる。私は吸い付きながら、最後の味を堪能しながら、ちゅぽん、と逸物を吐き出した。雄々しく勃ち上がったそれは、私の奉仕でもっと発情したように、太く、熱くなっていた。にわかに、トプッと先走りが滲み出る。私がどこまで堕ちたのか示せと言わんばかりに。
 私は両前脚で、爪に当たらないように逸物を慎重に握る。私の涎で濡れたそれは、いやらしく輝き。根元から舌を這わせながら匂いを嗅げば、私とマスターの、発情した香り。そのまま、その可愛い鈴口に舌を当ててエッチで塩っぱい汁を、私の中に落とし込んだ。喉奥がありえなくほど熱くなる。それだけで、私は酔う。服従感に酔いしれる。
 我慢できず亀頭を甘噛みすると、マスターは困ったように私を止め、抱いてくれた。そしてまた、キスを。マスターの逸物にたくさんご奉仕したその舌で。

「マニューラ。今度は、君が欲しいものをもらう番だよ」
 途端、またマスターが私の秘所を触る。
「マニュアッ……!」
「はは、すっごいビショビショ。マニューラのまんこ、エッチだね。なにが欲しいのかな?」
 秘所が、勝手に蠢いている。グパグパと。
「マニュ……マニュ……」
 淫乱なケモノのように。
 心のタガが外れたように、私はまた涙を流していた。受け止めきれない快感のせいじゃない。
 私は、後悔していた。知ってはいけなかったと。ほんの少しの優しさも……ましてや「愛」など。だって、本当の私の生活は変わらないのに。本当のマスターは……私を愛してくれないのに。私は覚えてしまった。求め、そして与えられる関係を。
 だから今、虚しいほどの幸せが、私の心を包み込んでいた。
「ほら、マニューラ。おねだりして。セックス、しようね?」
 目の前で揺れる逸物に、抗う術はもうない。もうとっくに、後戻りはできない。
 私は仰向けになって、ゆっくりと股を開いた。私を愛してくれる人に、全てを見せつけるように。
 たとえこの熱が私の体を溶かしてしまっても、私はこの「快楽」の愛情に、縋りついてしまうだろう。
「お願い……」
 きっと、テールナーも同じ涙を流してたんだ。そして多分ーー。
「マスター……私を、愛して……! 愛で……壊してぇ……!」
 私のマスターへの愛はきっと、独りよがりに現実を捻じ曲げる自分を守るための偽物の愛だった。これだって、偽物の愛なのは分かってる。けど、縋りつくことができる。「気持ちいいこと」に溺れて、虚しさを埋めて、仮初の愛を確かめ合えて、現実から逃げてしまえる。少しの時間でも、本物の幸せを感じられて、浸れる。なにもかもが、満たされる。
 こんなの……ズルイよ……。

「あっ……あっ……」
 逸物の先端が、私のを擦る。すっかり発情しきって、犯されるために穴を広げる秘所をなお。キスをするように、焦らし……求めるあまりに漏らしてしまった愛液を味わい、塗りたくる。私の、それを求めるエッチな汁で。
「マスタぁ……早く、おちんちん……おちんちん……」
「我慢できない? 分かった、いいよ」
 マスターが笑って、私の前脚を握ってきた。そして、私に当たる逸物の力が増す。そして。
「あっ!?」
 ニュル、っと入り口が押し広げられる感覚。あの、口で感じた熱く柔らかい亀頭が……膣に。
「あっ! ああ!! やっ……あぁん!! 中……やっ、ああああ!!」
 背筋を走る、ゾクゾクとした不思議な快感。痛くて、怖い。体の中に、異物が挿入ってくるのに抗えない。反射的に追い出すように力が込められてるのに、私の膣は、逸物の快感を高める愛液をもってして味わうように飲み込んでいく。
 ゆっくりと。あまりにもゆっくりと。中が圧迫されていく。太すぎる人間の逸物が、私を貶めていく。屈服していく。私の本能が……その雌としての立場を甘んじて受け入れていく。
「ほら……全部飲み込んだよ」
「はぁ……はぁ……」
 滲む視界が映すのは、少しの鮮血と……マスターの逸物を銜えこんで離さない秘所。確かに、私の中に侵入している様。今にも、種子を吐き出さんと怒張した……。
 途端、腹の底が疼きだした。体が勝手に、搾り取るかのようにきゅうきゅう締め付け始める。嬌声が、漏れた。
「マニューラ……そんなに欲しいんだね」
「マスタぁ……マスタぁ……!!」
「大丈夫。たくさん、愛してあげるって言ったでしょ?」
 マスターの腰が、動き始めた。
「マニュアアア!!」
 叫ぶ。手を強く握り合ったまま。
「ん、マニューラのまんこ、とってもいやらしく絡みついてくるよっ……!」
 体重を乗せて、一気に奥へ。少し引いて、奥へ。引いて、もっと奥へ。
「尻尾もビクビク震えさせて……エッチだねマニューラは!」
「マニュ! マニュ! マニュ! マニュ!」
 私……犯されてる。セックスしてる。マスターと……。こんなに激しく。
 マスターが、見てる。見られちゃってる……こんなにエッチな私を……。
 性器が互いの体液を撒き散らしながら、水音を立てて、慰め合う。求めあって。
 逸物の快感は、さっき触られていた快感とは、あまりにもかけ離れていた。感じる余裕すらなく。脳が処理しきれない暴力のような快楽に、力を奪われ、雌はただ、犯され、子宮に精液を注がれることを待つしかない。
 雄が私の体で感じる快楽を眺めながら。抵抗どころか、孕みたいと逸物に媚び続ける膣が、心をも侵食するのを受け入れて。
「マスタぁ……! 愛してる……愛してる……!!」
 それは間違いなく、私にとって、最大級の愛だった。
「気持ちいいんだね、マニューラ……!」
「マニュウ!! ニャッ! ニャッ!!」
 言葉が通じなくても。偽物の愛でも。これから私の体に注がれるものは本物だから。
「く……そろそろ……」
「ニュアアアアアアア!!」
「んあっ……! だ、ああっ! もう、ああっ!!」
 絶頂。爆ぜるような快感に、体が仰け反って、視界がスパークした。直後。
「マニュ……マニュ……」
 体に、熱い液体が注がれているのを感じた。マスターが、腰を密着させて、時折震えながら息を切らしている。
「せいし……」
「はは、マニューラ。思わず、中に出しちゃった……」
 それは、こおりタイプの私にはあまりにも熱い液体で……。その熱は、手足の先にまでじんわりと広がっていく。
「マスタぁ……」
 それはあまりにも、幸せなことで。こんなにも温かい愛があるなんて。
「マニューラ」
 また、私たちはキスをする。繋がったまま。熱い吐息を吐き出して。
 私は願ってしまう。このまま、この幸せな夢のまま……溶けていければいいのにと。



「いけ! マニューラ!」
 大歓声の中、私は立つ。
「やあ、マニューラ。昨日はお楽しみだったね」
 目の前でニヤつくジュカインに、私はシラを切ることすらできない。そして嫌でも目についてしまう……マスターに似た、双子の弟のトレーナー。
『君が明日戦わないってのは、嘘』
 嫌でも、思い出してしまう言葉。
『マニューラ。君がもし望むのなら俺は君を兄さんから譲り受けて、一生……愛してあげる』
 もう、3度も精液を注がれた後の話だった。ベッドの上で、汚れきった私をテールナーとジュカインが満足そうに眺めていた。
『そのためにはまず、兄さんの期待を裏切らなきゃ。つまり……分かるよね?』
 テールナーはとっくに……苦戦しないはずの相手に負けた。
 今日の私は6番手。私は……マスターの最後の切り札だった。後は、私なら楽に勝てる手負いのジュカインを倒せばついに……マスターを優勝に導ける。夢が叶う。彼の夢が。
 私は気を集中して、構えた。
 ジュカインが向かってくる。
 私は……。
 マスターを、見た。
 そして、目が合う。その瞬間、お腹の奥がきゅんと疼いた。



あとがき
読んでいただきありがとうございました!「てき」というテーマの短編大会作品。敵(ライバル)であるトレーナーと関係を持ってしまうというお話でした。ポケ×人、のものは数あれど、こう…NTRのようなシチュエーションが自分で見たかったのです。マニューラ可愛いです。この先の彼らの関係、自分で書いて気になってますが一先ずご想像にお任せしますということで……。ではでは。


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Last-modified: 2018-12-04 (火) 13:30:57
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