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沈丁花

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沈丁花 


作:亀の万年堂



 どうしてこの人は頑なに差し伸べられる手を拒むんだろう。
 どうしてこの人は十分に強いのに自分を鍛え続けるんだろう。
 どうしてこの人は美しくて、強くて、何でも持っているのに、こんなにも・・・・・・儚く見えるんだろう。
 あの頃の私は、まだそのことを知らなかったんだ。



 私が生まれたのは、この人がまだ10歳にもならないような頃だった。私が生まれた場所、つまりこの家には、この人以外にもたくさんの人がいたのだけれど、私の面倒を見てくれたのはこの人だけだった。だから、仮に主人と呼ぶ人がいるとしたら、私にとってはこの人が主人ということになる。
 私は自分の親の顔を知らないし、名前も知らない。それはとても寂しいことなのかもしれないけれど、私はそう思ったことはあまりない。あまりだから、少しくらいは思ったことがあるということ。今よりも小さい頃に、ほんの・・・少しだけ。
 小さい頃はわからなかったのだけれど、親がわからないのはこの人も一緒だった。私と同じように、この人もこの家で生まれた。そしてたくさんの人に囲まれて育った。だけれど、親の顔はわからないし、どんな声なのか、見た目なのか、何をしていたのかは全くわからない。この人が私と同じように、そのことを寂しいと少しでも思ったことがあるのかは、私にはわからない。
 この人は人間だから、当然母親の体から生まれている。生まれた時には私のようにたまごの状態ではないから、母親のことは見ているはず。でも、どうしても思い出せない。見ているはずだけれど、思い出せない。
この人は私の前で泣くことは滅多にない。滅多にだから、すごく稀に泣くことはあるということ。私が覚えている限りでは、たった二度だけ。

 私がこの人に教えられたことはたくさんあるけれど、やらなければいけないことは一つしか教えられていない。それは死ぬまでこの人の傍にいるということ。
 死ぬということがどういうことなのか、やらなければいけないことを教えられた時、私にはわからなかった。この人に一応の意味を教えられたのだけれど、私にはそれがよくわからなかった。私は素直にそのことをこの人に言った。この人はそのことを咎めるようなことはしなかった。ただ私の頭の上に手を置いて、一緒にいればわかる・・・とだけ。それは確かに事実になった。

 この人は何もわからなかった私から見ても、色々なことがわかるようになった私から見ても、何でもできる人。私には、人間の人間としての魅力を理解することはとても難しい。だけれど、この人の周りの人が全てこの人のことを褒めているのだから、きっとこの人は本当に完璧なのだと思うし、私から見てもそうだと思う。

 この人はこの家から出ることはあまりない。普段は家の中で難しそうな本を読んだり、たくさんの人とお話をしたり、お茶を飲んだり、ご飯を食べたりしている。それから、どこまでも広がっているように見える庭で、私と一緒に運動をしたり、綺麗な水の溜まった場所で泳いだりすることもある。いわゆる遊びというものはあまりなくて、周りの人が言うには、お稽古とお勤めがほとんど。
 そんな中で、私がこの人と一緒にできることはとても少ないのだけれど、私は死ぬまでこの人と一緒にいるという役目を務めるために、何もできなくてもこの人と一緒に居続けた。それはこれからもずっと続いていくのだと思う。それに何より、他に私は一体どうしたらいいのかわからない。

 私はこの人とは違って、人間ではない。この人から教えられた言葉を使って説明するなら、ポケットモンスターという名前の生き物。でも、それは私を含めた同じような生き物の総称であって、私の正しい名前ではないとのこと。
 正直に言って、私は名前というものの必要性がわからなかったのだけれど、それはこの人からすると不便なことだったようで、生まれて程なくしてから、私には名前が与えられた。すると不思議にも、それまで必要ないと思っていた私の中に、嬉しいという気持ちが生まれた。どうして嬉しいと思ったのかは私にはわからなくて、いつもと同じようにこの人に聞いたのだけれど、その答えは教えてはもらえなかった。それまで私が疑問に思って聞いたことには全て答えてもらっていたから、その時はよくわからない気持ちになった。今になって考えてみれば、それが悲しいということなのだと思う。

 私は何かに対して怖いと思ったことはない。
 というのはうそだ。結構ある。この人が言うには、私は相当の怖がりらしい。そう言われた時の私も、今の私も、それを否定したくてたまらないのだけれど、残念ながら事実として認めないといけない。別にこの人に決められているわけではないし、そうする必要もないのだけれど、私はうそをつきたくはない。ついてもすぐにそうではないと認めたい。どうしてかはわからない。
 私が相当の怖がりなのだとわかったのは、この人と初めて大きな水たまり、つまりプールで泳いだ時だった。生まれて初めてプールを見た私は、この人から許可をもらった上でプールに向かって飛び込んだ。広い庭を見た時もそうだったのだけれど、どうやら私は広い空間が好きらしく、プールを見た時から強く興味を持っていたからだ。でも、その後、私は自分の浅はかな行動をとても後悔することになった。
 まず最初は冷たかった。とても冷たかった。プールに飛び込むまで、外の暑さに加えて、いつもよりも体が火照っていたせいもあったと思っていたけれど、後のこの人の話ではそれ以前の問題だったらしい。
 冷たさを感じた次には、うまく動けなくなった。初めて体感する水の中ということもあって、体が重く、それによって慌てて一層深く水の中に沈むという状態に陥ってしまった。冷静に動いてくれたこの人のおかげで助かりはしたけれど、私は恥ずかしさも何も考えずに、泣きながらこの人にすがりついた。とても怖かったからで、それは無理もないことなんだろうけれど、今思い出すと、とてもとても恥ずかしい。
 私は臆病かもしれないけど、この人はそうではない。私のように大きな物音に驚いて飛び上がったりはしない。急に暗くなると怖くなって、すぐに背中や頭から火を強く出したりもしない。だから私は当時、この人が何かに怯えて泣くところなど想像できなかったし、これからもずっと見ることはないのだと思っていた。そのことを不公平だとさえ思っていた。でも、現実には。

 この人は何でもできる人。だけれど、何でも易々とこなせるわけじゃない。神様ではないから、とこの人は言う。その通り、私が見ている限りでは、大抵のことを軽々とこなしているこの人でも、できないことというのはある。
 例えば、この人は火を使うことはできても、私のように体から火を出すことはできない。それから、同じ場所にいる他の人が雷を出したり、とてもとても速く走ることができるのに対し、この人は火が出せないのと同じように雷も出すことはできないし、ものすごい速さで走ることもできない。
 それはできたら便利なことなのだと思う。けれど、この人は私が使えるような力や、他の人ができるようなことができなくても、問題ない。雷を出せなくても周りを明るくしたり、喋らないけど便利な機械を使って重い物を動かしたりすることができる。私も乗れる乗り物を動かして、それなりに速く動くことだってできる。他のことだって同じだ。すごくはできなくても、この人にできないことはほとんどない。ほとんど。ほとんど。ほとんど。


 もしも、全てのことが、できるのだとしたら・・・きっと、この人は一度だって泣かなかったんだ。この人が神様だったら、私は涙を見ることはなかったんだ。その方が良かったのか、そうじゃなくて良かったのか、それは


 できないことがほとんどないんだから、この人は本当に一人でたくさんのことをしている。もしかしなくても、他の人にお願いすればいいことだってあったと思う。だけど、この人は絶対にそうしようとしなかった。ご飯に使う色々な食べ物だとか、この人が身に着ける物や、お勤めに使う機械を運んでもらう時、動けなくなってしまうような病気になった時は流石に他の人に手伝ってもらっていたけれど、それらにしたって、この人は手伝ってもらうことを望んでいなかった。この人の話を聞くに、どうしようもないのを見かねて、周りの人が手を差し伸べたんだ。それはこの人の意図に反することだから、私は喜ぶべきではないのだけれど、でも・・・複雑だ。

 私がこの人に意見することはあまりない。でも、私の目には、何でも一人でやろうとするこの人の姿は、うまくいえないけれど、よくないように感じた。だから私は言った。誰かに任せてしまっていいのではないかと。これだけたくさんの人がいるのだから、全てほとんどのことを一人でする必要はないのではないかと。
この人は私を怒るようなことはなかったし、意見したことを咎めるようなこともなかった。でも、私の意見を聞くことはなかった。返事も、そうなんだろうね、と短いものだった。
 結局、私はわからなかった。どうしてこの人はほとんどのことを一人でやろうとするのか。さらにできることを増やすべく、自分を鍛え続けるこの人のことは心配だったけれど、私はそれ以上この人に意見するのは辞めた。そして、それからしばらくして、私は死んだ。


 死んだ瞬間の記憶はどうやっても戻らないらしく、どうやって死んだのかは私にはわからない。今と前とを合わせて私にわかるのは、私が死んだのはこの人と会ってから8年ぐらい経ってからということ、死んでから私は体から火を出せない体になったということ。
 死んでからとても長い間、私は自分が誰なのかわからなかった。死んだ私と一緒にいてくれた、私と同じような体の彼が言うには、死んだポケットモンスターの一部は、私と同じような状態になるみたいだ。そして自分が誰なのか、どうして死んでからの体になったのかを思い出した時、本当に死んでしまうのだ、と。
 要するに、私は死んだけど死ななかったらしい。でも、それがどうしてなのか私にはわからなかった。私と一緒にいてくれた彼も、いったいどうしてポケットモンスターが私のような状態になるのかはわからないらしい。本当に死んでからどうなるのかも、同じようにわからないとか。

 死んでから私は色んな場所を巡った。私は、死ぬ前から時間の経過には執着していなかったけれど、死んでからは一層時間のことを考えなくなっていた。だからどれくらいの時間をかけて、どこをどうやって巡ったのか、当時ならともかく、今となってはとても思い出すことができない。ただ思い出すことができるのは、彼がいつも私に言っていたこと。
 
 思い出せなくても、私はここにいる。理由がわからなくても、私はここにいる。

 死ぬ時私は怖かったんだろうか。彼に聞いても、当然その答えは返ってこない。
 どうして私は、死ぬ時に怖かったのかどうかを気にしたのだろうか。
 答えは彼から返ってきた。でも、私はその答えについて、気にはしていても、向き合って考えようとはしなかった。

 どれくらいの時間が経ったかわからない。彼はほとんど常に私と一緒にいてくれたけれど、私の傍から離れる時もあった。私といても、おもしろくもつまらなくもなさそうな彼だったけれど、離れて戻ってきた時は、どうしてか、いつもとても嬉しそうだった。
 何かいいことがあったのか。聞いても彼は嬉しそうな顔を一層歪めて、いつもはぐらかしていた。私も執拗に聞くことはなかった。ただ、私にもこういう顔をすることができるのだろうかと、胸に思った。

 胸。私には胸などない。でも、確かにその時はそう思った。
 私はなんなのだろう。いつわかるともしれない疑問を爆弾として抱えるだけの生き物なのだろうか。いつくるかわからない死を待つだけの生き物なのだろうか。

 理由を知れば死ぬという。だから私は、私が疑問に思ったことを、私が知ることは永久にないのだと思った。
 死ぬ。死ぬ。死ぬ。死ぬとはなんなのだろう。私にはわからなかった。わからないことだらけだ。それだけ、私が完全ではないということなのだろうか。また一つ疑問が募っていった。

 何度か季節が巡ったらしいころ。私はそこにいた。彼と一緒に。何故か彼は嬉しそうだったのを覚えている。私から離れて戻ってきた時以外に、嬉しそうにしている彼を見たのは、これが初めてで、最後だった。

 彼が教えてくれた。私が見ている場所は、私が探している場所なのだと。
なら私はここで死ぬのか。
 彼は嬉しそうに顔を歪めているだけで、私に口で答えることはしなかった。
 怖くはなかった。疑問が一つ解けた。死ぬということは怖いことではないらしい。
 私はいつものように、彼と一緒に動いた。
 彼はどうして嬉しいのだろう。私が死ぬことが嬉しいのだろうか。だとしたら、彼にとって私は必要のない存在なのだろうか。必要のない存在に、嬉しさに繋がる喜びなど感じるだろうか。
 ようやくほんの少しだけ崩れた疑問の山はまた高くなった。でも、死ぬのなら、それを気にすることも、必要も、意味もなくなるんだろう。
 死ぬ前の私も、同じような気持ちだったんだろうか。たくさんの意味を無くしたんだろうか。
 そして、私は辿りついた。探していたもののところへ。

 
 私は帰ってきた。とてもとても長い時間をかけて。そして、慣れ親しみすぎたはずの場所を彼と一緒に動き回り、目的と出会った。それまでは何故か誰とも会わなかった。
 最初は向こうも、私も、何も言わなかった。ただ黙っていた。お互いにじっとみつめるだけで、そこでは季節を現す音しか生まれていなかった。
 見かねてか、彼が口を開いた。私の目の前にいる人は、かつての私の主人なのだと。私はこの人に仕え、そして途中で死んでしまったのだと。だから私はこの体になったのだと。彼は今まで私に一度として言わなかったことをありったけ話した。どこで知ったのかわからないことを話し続けた。恐らくは、私をこの人の目の前で死なせるために。
 でも、私は死ななかった。彼の話を全て聞いても、私はこの体のままだった。私と目的だというものの間には、何も生まれはしなかった。
 彼はそこで初めて悪態をつきはじめた。今まで私と一緒にいる時、彼はいつも穏やかだったのだけれど、その時の私はなんとなく、悪態をつき、私を罵る彼こそが本当の彼なのだなと感じていた。
 結局、私は死なず、体にも変化がおきないのを嫌がってか、彼はそのまま消えてしまった。これまでとは違い、二度と戻ってくることはないんだろう。特に理由もなくそう思った。

 要するに、私は思い出せなかった。彼に言われても、目的と言われたものが、この人であるということがわからなかった。この人と私がどうだったのかも。何も思い出せなかった。だから私は死ななかった。彼の話が正しいのだとすれば、私がこの人のことを、そしてこの人となにをしていたのかを思い出せれば、死ぬはずだったのだろうけど。

 彼なしではどうしていいかわからなかった私を、この人は追い出さなかった。私は旅をやめ、死ぬ前にいた場所に滞在することになった。この人がその時の私のことをどう思っていたのかはわからない。ただ、私の目には、その時のこの人は、私の体以上に軽そうに見えた。

 滞在しているからといって何をするわけでもなく、私は時間の感覚を喪ったまま、死ぬ前よりも遠くからこの人のことを見ていた。
 この人が、私が死ぬ前からしていたことについては変わっていなかった。死ぬ前の私が見ていたことと同じことを、日々繰り返していた。でも、私が眠りのいらない体になったことで、死ぬ前の私には見えなかったことが明らかになった。

 死ぬ前の私だったら眠っていた時間に、この人は私の傍から離れていた。いや、正確には同じ部屋の中なのだけれど、いつもの距離と比べるとかなり離れ、この人は自分の机に向かっていた。

 この人はいつも日記を書いていた。それは、1日の動きの中で、何か変化がないかを記録するものだった。この人が言うには、それはどちらかというと日記ではなく、日誌に近いものだった。私はそれを教えてもらうと同時に、文字の読み方についても教わっていた。
 だけど、私が死んでから見たものは、その日誌ではなく日記だった。そして日記の中には、私が初めて見るこの人がいた。
 私が生まれて、これでもう寂しくなんかならないと思ったこの人。絶対に私だけは喪いたくないと思ったこの人。あついからだを持つ私を、自分の配慮が至らずにプールに落としてしまって、とても怖かったと同時に悔しさを覚えたこの人。毎日の忙しさの中で、私と遊ぶことで、毎日が頑張れると思ったこの人。私が死んで、自分も死にたくなった、この人。

 その時、私はこの人の上から日記を見ていた。死んでからの私の目は、何に隠されてもその中身を見ることができた。だから、その日の日記以外の書いてあることも読むことができた。
 私が一通り読み終わった時、この人は不意に私の存在に気づいた。最初から気づいていたのかもしれない。この人は、死んでからの私と初めて会った時と同じように黙っていたけれど、やがて口を開き始めた。その時の声は、今と似ているけれど、私が死ぬ前はきっと違っていたんだと思う。


 君なのか。
 
 唐突に聞かれた私には、わからないとしか答えられなかった。私には私がわからなかったのだから。でも

 君だよ

 決めつけて言われた私には何も答えられなかった。黙っていることしかできなかった。だけど

 君を探していた

 私も探していた。何もわからなかったけど、私は勝手にそう答えた。言葉が先に出た。考えるよりも、動くよりも、何よりも先に。そしてそれは止まらず、私は勝手に生まれるがままに言葉を出し続けた。この人はいつもと変わらない顔を私に向けていた。笑っているようにも、悲しそうにも、寂しそうにも、どういっていいかわからない、いつもの顔だった。なのに、どうしてかその顔は段々と

 逝ってしまうの

 私は離れたくなかった。はっきりと思い出したわけではなかったはずだけれど、この人からもう離れたくないと、その時は思った。でも、彼が言ったことが正しければ、きっと私はこの人が言うとおりになるはずだった。私はこの人のことを、私とこの人のことを思い出しつつあったのだから。そして、私はこの人思い出せるはずのないことを知ることになった。

 寂しい

 私は死んだはずだった。だから私の体は生きていないはずだった。だけど、私はまた泣き虫になっていた。誰にも触れない体でこの人にしがみついて、私は誰にも受け止められないはずの、私が私だった証拠をこの人に見せ続けた。この人はそれを見てか、そう、私が溺れてしまって、泣きじゃくる私を落ち着かせるために抱きしめてくれた時と同じ顔をしてみせた。その意味を、私はそこでようやく知ることができた。それまで募っていた疑問の答えを、私は、ようやく

 また会えるよ

 どこで。いつ。どうして。疑問が募り続けるのを感じながら、その時の私は、自分の体が消えていくのを感じていた。

 だから

 最後の言葉が聞けないまま、私は、光に呑まれて、消えた。初めて見る、この人の涙を見ながら。



 とても長い時間が経った・・・のかはわからない。とても短い時間しか経っていないのかもしれない。私は、二度死んで、二度生き返っていた。正確には、一度の死と二度の生なのかもしれない。生き返った理由について、この人が教えてくれたけれど、私にはよくわからなかったし、気にもしなかった。私にとって必要なのは、この人の傍にいるということだけなのだから。
 私が本当に生き返ってこの人と会った時、この人は二度目の涙を見せながら、私に おかえり とだけ言った。私はお腹が空いていたので、お腹が空いたことを素直に伝えた。ご飯は私の好物だった。食べ終わってから、思い出したようにして、ただいまと言った。この人はいつもの顔を見せずに笑った。私も笑えた。

 私が死んで生き返った今もなお、この人は私の目の前で頑張っている。できないことはもちろんあるけれど、私が死ぬ前よりも大きくなったし、強くもなったのだと思う。
 解決しても疑問は相変わらず募り続ける。だけど、私はたくさんのことを知った。だから前よりもずっとこの人の近くにいられる。だから私は、私たちは大丈夫だ。
 この人は独りにならない。私がずっと一緒にいるから。この人が死ぬまで、私はこの人の傍を離れることはない。いや、例えこの人が死んでも、私は大きくなった背中の炎を掲げて、この人とずっと一緒に走ってゆきたい。


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Last-modified: 2011-09-14 (水) 00:00:00
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