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沈め掻臥せ闘志の果てに

/沈め掻臥せ闘志の果てに

Writer:&fervor


♂×♂の表現あり。苦手な方は注意。

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「ゲームセット!」
 相手がラインの外まで吹き飛ぶと共に、盛大な掛け声が戦場に谺する。一対一の真剣勝負は私の勝利で幕を閉じることとなった。
自慢のスピードを生かした体術で相手を翻弄し、着実にダメージを与えていく。ここぞと言うときには水剣による薙ぎ払いで吹き飛ばす。
相手を吹き飛ばせば勝利。普段のポケモンバトルとは又違った闘いだが、私はただ全力で相手とぶつかり、勝利を目指すだけだ。
例えそれがこの闘いにおいての先輩であろうと、情け容赦は却って相手に無礼。忍の技を遺憾なく発揮し、幾度も勝利を重ねてきた。
Mの帽子の有名人、何でも吸い込む丸い生き物、腕に銃を付けた戦闘用ロボット、とにかく速いハリネズミ、と例を挙げればキリが無い。
だが今回の一戦は、同じポケモン同士の闘い。もちろんどんな時でも負けるつもりなど無かったが、今回は尚更負けたくはなかった。
だからこそその巨躯を吹き飛ばした時の喜びもいつも以上。確かに此所でも闘えるのだ、という実感を胸に、私は戦場を後にする。
「ったく、今回もやられたぜ。やっぱお前強いわ」
 さあ帰路につこうか、という所で声をかけてきたのは先ほど対戦していたリザードンだ。過去に何度か対戦をしているが、基本的には私が勝利を収めている。
その割には私を嫌う様子もなく、寧ろこうして友好的に話しかけてきてくれるのはありがたい限り。新参者の私としては、友と呼べそうな者がまださほど居ないのだ。
「だが先の闘い、的確な追撃は見事だった。後輩として、私もまだまだ修行が足りぬな」
「これ以上強くなるなんて勘弁してくれよ……。大体先輩後輩だなんて言ったって少しだけじゃねーか」
 少し、というにはあまりにも長い期間だと思うのだが、敢えてこれ以上言及することはしなかった。只の揚げ足取りにしか過ぎないのだし。
それよりも、ここ最近のリザードンの動きのキレが気になって仕方が無い。何か今一つ乗り切れていないというか、雑念があるというか。
初めてこのバトルを行ったときはそれはもう見事な勝ちっぷりだったのに、私との対戦が増えるにつれてどうも時折何か別のことを考えていることも増えたような。
あくまでも「気がする」程度でしか無いのだが。付き合いこそ浅いといえども、友は友。そんなリザードンが少し気がかりではあったのだ。
「ところでリザードン。何か悩み事でも抱えているのか? 最近は遅くまで稽古することも無くすぐ帰ってしまうし」
「そ、そうか? いや、そんな事無いんだけどさ、ただ、うーん……いや、特にどうってことねーよ」
 何故か少し言い淀んで、私には少し無理をした笑顔を見せてくるリザードン。やはり何か困っているのだろう、とは思うのだが。
あまり他者のプライバシーに踏み込むのもよくない。あるいは時間が解決してくれるかもしれないし、どうしても困ったらきっと私の事も頼ってくれるだろう。

――今思うと、この時から既に、リザードンは堪えていたんだろう。内に秘めた想いを押し殺しながら。

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「なあ、ゲッコウガ。ちょっと前、俺が何か悩んでるんじゃないか、って言ってただろ? そのことなんだけどさ」
 あれから数日が経った頃だろうか、リザードンは前よりもさらに深刻そうな顔をしてやってきた。こんなに余裕のないリザードンは見たことがない。
きっと困り事がさらに大きくなってしまったのだろうと考えたが、それならばもっと早くから相談してくれても良かったというのに。
「どうした? 私で良ければ何でもするが」
「いや、何もなしに頼めるようなことじゃないからさ。……もしこの後の勝負で俺が勝ったら、お前のその言葉、ありがたく頂戴するよ」
 普通には頼めない事、なんて想像も出来ないのだが、恐らくかなりキツいことだったりするのだろうか。別にそんな事しなくとも良いというのに。
ただまあ、何もなしに相手をこき使うのは気が進まない、という気持ちも分からなくはない。私だって、きっとリザードンに大変なことを頼むのは躊躇うだろう。
そんな気持ちも理解しているからこそ、私はそんな言葉にただ黙って首を縦に振った。そして、勝負の前の握手を交わす。
「手加減はしないでくれよ? 勝負は勝負。もし負けたら、この頼みは俺だけで何とかするからさ」
「ああ。ただ本当にどうしようもなくなったら、その時は私をまた頼ってくれ。それが友、というやつだろう?」
 そうだな、と言ったリザードンの顔が、心なしか曇ったように見えたのは、果たして気のせいだったのだろうか。もしかしたら、私が何か悪いことでもしたのだろうか。
いや、今はそんな事を考えている場合では無い。この後に控えた勝負を、ただ全力で闘うのみだ。お互いに所定の位置へと向かい、目の前の機械のスイッチを押す。
そして戦場に響くカウントダウンと共に、私たちは颯爽とボールの中から飛び出した。互いに左右の足場の上で睨み合い、開始の合図を待つ。
「GO!」
 その掛け声が聞こえると同時に放つのは小さな"みずしゅりけん"。ごく小さい代わりにスピードを速め、確実に相手の足を止める技だ。
しかしそれを読んでいたのか、リザードンは的確に"まもる"ことでそれを防ぐ。そのまま足場から降り、着実に間合いを詰めてくる。
近づかれても速さではこちらに分がある。一撃一撃は重たいとしても、それを全て躱せば何のことはない。リザードンの動きは大体読めているのだから。
小さくジャンプして空中で私に"きりさく"を繰り出してきたが、それを軽くステップでいなす。一度間合いを取ろう、と左から右へ、そして地面へと移る。
その間、リザードンは私と付かず離れずの位置でじっとこちらの動きを伺っていた。まるで何かを狙っているかのようなその目。果たして次はどんな攻めか。
いずれにしても、私の戦い方は変わらない。もう一度手元で"みずしゅりけん"を形作り、リザードンに向かって投げつける。つもりだったのだが。
いきなり目の前が炎に包まれた。燃えさかる体が私の体に直撃し、大きく上へと吹き飛ばされた。"フレアドライブ"。自身にも少なくないダメージが入る技。
ここぞって時の決め技なんだ、と自慢げに話していた記憶がある。それをよもや、こんな序盤から使ってくるとは。それだけの覚悟がある、ということか。
 ステージから吹き飛ばされはしたが、まだ復帰は出来る距離。崖付近で待つリザードンの上を越えるようにして、足場へと戻る。
着地のスキを狙ってくるリザードンに対して、私は真上から急降下しつつキックを見舞う。さらにその後の連撃も見据え影を這わせながら。
いける、と思っていた。普段この急降下は読まれないようにとほとんど使わず闘ってきた。この場で本気を出す事への躊躇いも無くはなかったが、それではリザードンに対して失礼。
本気で行かせてもらう、と思っていたその時に。真下に見えたリザードンは、少し笑っているようにも見えた。
翼を大きくはためかせ、上空へと吹き飛ばす攻撃。技と技のぶつかり合いだが、私の足先がその翼によって掬われ、体全体を大きく空へと吹き飛ばされる。
「なっ、これは……っ」
「読み切ったぜ、ゲッコウガ。この勝負……もらった!」
 既に体は遙か上空。これ以上吹き飛ばされれば負けの判定となる。"ハイドロポンプ"で逃げようにも、もう追撃の手はすぐ其処に。
久々の負けではあるが、どこか満足感もあった。リザードンの闘いぶりはまさしく最初に見たあのリザードンだ。迷いの無い、ただただ勝利をもぎ取る強者の顔。
とどめの一撃を食らい、私はステージの外まで飛ばされていく。許される撃墜回数は一回。今回の真剣勝負は、文句の付けようも無いリザードンの完勝であった。

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「それで、私に頼みたい事とは何だったのだ? 話を聞くだけ、にしては大げさな頼み方だったが」
 案内されたのはリザードンの住処。といっても、今回の参戦にあたっていろいろ貰ったのか、大きなベッドやらクッションやら、普通に人間も住めそうな場所だ。
入り口こそどこかの洞穴にしか見えなかったが、なかなかどうして住みやすそうな所だ。置いてある物が焦げてないところから見るに、たぶん難燃性の素材か何かで出来ているのだろう。
そのベッドに互いに座り込んで、じっと向き合う私とリザードン。先の闘いで既に日は暮れているというのに明かりは付けておらず、尻尾の炎だけがゆらゆらと輝いている。
「……わりぃな」
 言うが早いか、リザードンは私の両腕をぐっと掴み、その柔らかなベッドに私を押さえつけてきた。何が何だか分からぬまま、ただ目をパチクリさせるしかない私。
気づけばリザードンの顔はすぐ目の前。考える間もなく、私の口元にリザードンの口が重ねられた。私の長い舌が出ている所へとリザードンの舌が入り込み、口の中まで舐られる。
どうすれば良いのかも分からず、ギシリと軋むベッドに押し倒されたまま為すがままにされる私。リザードンの表情は本能のまま動く獣の様に鋭く見えた。
やがてその行為にも満足したのか、リザードンは舌を引き抜く。つつ、と結ばれた唾液の橋は滴の重さで自然と途切れ、落ちていった。
「リザードン、これは一体」
「約束は約束だからな」
 ハァハァと息を荒くしたまま、リザードンは私の腹部へとその手を伸ばしてきた。爪が当たらないよう慎重に、そしてゆっくりとした動きで私の体をなぞっていく。
その手つきはまるで雌を抱く時のそれであり、相手の体の感触を確かめるかのような、どことなく淫らな雰囲気がして。もしかして、と一つの考えが私の頭をよぎる。
だんだんとその手は下の方へとずれて、私の下半身にあるはずの何かを探し始めた。間違いない、私はリザードンに、犯されようとしているのでは無いか。
「り、リザードン、お前」
「これで嫌われるなら、それでも良い。悪いのは全部俺だから……でも、それでも、今日だけは」
 謝りこそすれ、その手を止めるつもりは無いらしく。ついに見つけられた私のスリットの中へと片手が入り込んできた。炎タイプ故か、ほのかに温かいその三本の指が私の肉棒へと這わされる。
まだ小さく萎んだそれを、ぐにぐにと片手で刺激しつつ、もう片方の手を私の背中に回して抱き寄せ、再びの接吻。入り込む舌を、果たして拒絶して良いのだろうか。
今まで大切にしてきた友が、よもやこんな事をしてくるなんて考えもしなかった。受け入れるだけの心の準備も出来ていなければ、友を失う覚悟も無い。
されるがままにただただじっと瞬きを繰り返す私の顔は、果たしてリザードンにはどんな風に見えているのだろうか。彼の表情はなおも変わらず獣のままだ。
心は全く伴っていなくとも、体だけは正直で、刺激に対して的確に反応してしまう。むくむくと大きくなる私の肉棒は、いよいよスリットの中だけでは収まりきらなくなり。
ひんやりとした外気にさらされる肉棒を見て、ゴクリ、と息を呑むリザードン。隠すことも出来ず露わになったその部分が恥ずかしくて、私は目を閉じてしまう。
「んあっ?!」
 だからこそ、リザードンにその肉棒を咥えられたときには驚いた。いきなりぬるりと温かい物が私の肉棒を包んだのだから。
じゅるじゅると唾液を絡ませながら、まるで飴でも頬張るかのように一心不乱に舐るリザードン。両手が私の足を申し訳程度に掴んでいるが、逃げようと思えばいつでも逃げられる。
しかし、その時の私の頭の中には逃げるという選択肢が何故だか浮かんでこなかった。驚きと快感だけが頭の中でぐるぐると渦巻き、まともに判断が出来なかったから、なのかも知れない。
本調子では無かった肉棒も、今や時折ぴくんと跳ねるほどには元気にいきり立っている。あっ、と小さく声を漏らしているのはどうやら私自身だったようだ。
「リザードン、待って、待ってくれ、あっあああああああっ!!!!」
 背筋がぞわり、とざわめいて、下半身に何かがこみ上げてきて。静止もむなしく、私は盛大にリザードンの口の中で果ててしまった。
ぴゅく、ぴゅくと吐き出される精を、何かの飲み物のように喉を鳴らして飲むリザードンは、どこか満足気な表情で私の足を擦っている。その手つきもまたどこか厭らしい。
快感の余韻に浸っていると、今度は下半身が少し持ち上げられる。見遣るとリザードンの腹部には既にピンク色の屹立した雄が、収まりどころを探して揺れている。
くちゅ、と先端が私の穴へと宛がわれた。先走りだけでもう十分濡れそぼったリザードンの雄が、私の中へと入り込もうとしている。
「ゆっくりいってやるから、力抜いて楽にしてろよ」
「む、無理だ、入るわけっ!」
 もちろん今までそんな用途で使ったことなど一度も無い私の穴に入ってくるリザードンの雄。当然の様に痛みを感じて、私は必死にそれに堪える。こんなの力を抜け、という方が無理だ。
私の様子を見かねたのか、リザードンはそのままの状態で私の肉棒を片手で握り、優しく上下に扱いてきた。先ほどの精の残りで滑りは良くなっていて、ぐちゅぐちゅと水音をかき鳴らす。
絶頂と痛みでスリットの中にまで隠れようとしていたそれは、現金なものですぐにまた大きくなり始めている。ふうはあと荒い息を整えていた私だが、今度は喘ぎに近い声を漏らし始めていた。
「少しずつ入り出したな、どうだ、ゲッコウガ?」
「どう、って、あっ、はぁ、んっ」
 痛いのは痛い。けれども内で肉と肉が擦れる度に、えも言われぬ感覚を覚えてしまって。肉棒の刺激とも相まって、どちらかというと気持ちいい、の占める割合が増えてきた。
半分を超えてリザードンの雄を銜え込んだ私は、もう喘ぎを止めることなど出来なくて。ずっ、ずっと進んでくるリザードンの動きに合わせて小さく嬌声を漏らすほか無かった。
「これで全部、か。でもまだ大きくなるぞ、しっかり咥えろよなっ!」
 全部入ったというのに、これ以上何かあるというのか。あとは前後に動くだけだと思っていたのだが。リザードンの左手には、いつの間にか見たことのある小さな光るボールが握られていて。
リザードンはそれを握りつぶすと同時に、目映い光に包まれた。そして、体全体がむくむくと形を変え、色を変え、現れたのは黒い竜。バトルの切り札で見たことがある。確か……メガ進化。
「うぐあっ、は、あ、あっあ、大き、あがっ!」
 途中まではある程度冷静に眺める余裕があったのだが、下半身の形が変わりだした途端、私は叫び声を上げた。いや、リザードンにしてみればこれも喘ぎ声、だったのか。
より大きく、長くなったそれは私の中で形を変えた。となれば当然無理矢理私の中が拡げられるわけで。涙目でその刺激を堪えていると、リザードンは私の腰を片手で掴み、もう片手は肉棒に添えて。
「それじゃ、全力で行かせてもらうぞ。いつまで堪えられるかは知らないけど、なっ!」
「ふぐ、あっ、ああ、んあああああああっ!!」
 その大きな矛が私の体からずるりと抜かれた、かと思えば勢いよく奥まで突き込まれる。内部でそれが擦れる感覚で私はあえなく二度目の絶頂を迎え、自分の顔や腹に白濁を吐き出す。
しかし今度はその動きが止まること無く、リザードンは薄ら笑いを浮かべたままがつがつと私の腰を掴んで前後に動かしている。もちろんもう片手は、果てたばかりの雄槍を扱き続け。
「だ、ああっ、や、め、ああああっ、がっ、あああああああああ!!!!」
 三度目の絶頂なのか、あるいは絶頂が終わっていないのかは分からないが。どく、どくと揺れる肉棒からはまだ精が止まること無く噴き出している。
嬌声と共に精を吐き出し、腰の前後と共に白で塗りつぶし、手の上下と共に肉棒は跳ねる。途中からはもう何も考えられなくなり、ただ喘いで体を反らせるだけの人形の様な状態に。
「そらっ、しっかり受け取れよっ……があああああああぁぁぁっ!!!!」
 咆哮と共に、私の中に吐き出されるリザードンの子種の温かさを感じ、その量と勢いで結合部から背中に垂れてくる液の感覚をぞわりと感じて、またしても私はびくんと跳ねる。
ほとんど残らない精をぴゅるっと吐き出して、大きく息を吐いて、岩肌の天井を見上げると、リザードンの顔がすぐ前に。私も顔を近づけてそっと唇を重ね、目を閉じて快感の余韻に浸り続けていた。

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 目を覚ましたのはベッドの上。もしかしたら昨夜の事は全部夢か何かなのではないか、と思ったりもしたのだが、あいにくとそんな事は無かったらしい。
横になったまま左右を見るが、もう傍にリザードンは見当たらない。私よりも先に起きていたのだろうか。一体どこに行ったのか。
結局あのまま体も洗わないまま寝てしまったせいで、体中あちこちに乾いた粘液が付いたままだ。まるで体中にうっすらと白い膜が張り付いたような。
もう私の鼻は慣れてしまってわからないが、きっと臭いもひどいものであろう事は容易に想像がつく。このまま誰かに会うなどもってのほか。
とにかくまずは体を洗いに行かねば、そう思って私は体を起こす。ギシ、とベッドが軋む音は、昨日の荒々しい音とは違ってどこか優しくて。
ベッドから両足を床につけて立ち上がると、不意に後ろの穴の辺りに違和感を覚えた。痛み、というよりは疼き、というべきだろうか。やはり昨日のアレは、嘘などでは無い。
 リザードンのあの様子は、今も脳裏に焼き付いている。私だって、リザードンの事は好きだったが。それがよもや、そういう方面の「好き」だったとは。
そんなリザードン相手に整理もつかぬまま、快楽という名の底なし沼に嵌り、沈み、考えることを放棄して善がっていた自らの姿が、今ではまるで他者の様に思える。
リザードンの気持ちはよく分かった。嫌われたくない、でも我慢できない、そんな感情が積もり積もった結果が、昨日の暴走だったのだろう。
嫌いな相手であれば、技を仕掛けてでも逃げ出す事だって出来た。どうしても受け入れることが出来なければ、きっぱりと断って縁を切ればよかった。
なぜ私は、あの時断るでも逃げるでもなく、黙ってリザードンのされるがままになってしまったのか。どうしても心の靄が取れない。
大切な友だから、という言葉で片付けるには、昨日の行為はあまりにも重すぎた。それでも、不思議とリザードンを嫌いになれない自分がいる。
あるいは、心のどこかでこんなことを期待していた自分がいたのか。私は、リザードンの事を、一体どう思っているのだろうか。
一歩、また一歩と歩くたびに、自分で自分が分からなくなっていく。あんなことをされても、まだ友で居たいと、近くに居たいと思う気持ちも残っていた。
 確か来る時にこの辺りに湖があったはず、と思って来てみれば、そこには見慣れた先客がいた。尻尾の炎が水に浸からぬ様慎重に体を洗うリザードン。
やっぱりお前も来たのか、とでも言いたげなその表情。しかし、すぐに私から目を逸らして水浴びを再開し始めた。
その顔はいつものリザードンの快活な雰囲気とは程遠く、覇気の無い、どこか寂しそうな表情で。昨日の燃え上がるような獣の姿は、果たしてどこへ消えたのか。
 昨日の一件を終えて、自分でも後悔しているのだろうことは容易に想像が出来る。それでも事実は事実。今更何がどうなるわけでもない。
しかし、こんなリザードンでは私の調子も狂ってしまう。友として、こんな状況をみすみす放置できるものか。
「うおぁっ!」
 ぷしゅ、と手から軽く"みずのはどう"を繰り出してリザードンの顔にかける。素っ頓狂な声を上げて飛び退くリザードン。
その様子をクスクスと笑ってやると、少し恥ずかしそうに、けれども何だか嬉しそうな顔を見せてくれた。やはりこうでないと。
「その様子なら、今日も一戦交えられそうだな。……今日は私が勝ったら、何でもしてもらう約束にしようか」
「な、何だよ約束って。昨日の事は、その、悪かった。だから、友達やめるとか、そういうのだけは」
 慌て出したリザードンを見て何を考えているのかと思えば、そんな馬鹿馬鹿しいことで悩んでいたらしい。
尤も、ついさっきまでは私も似たようなことで悩んでいたのだが。それでも、やっぱりこいつと縁を切るなんて事が、私には想像出来なかったのだ。
思えば昨日のあの行為の時から、薄々答えは分かっていたのだろうと思う。それが信じられなくて、ここまでずるずると悩んでしまった。
でも、割り切ってしまえば事は実に簡単だ。リザードンは私の事を愛したい、と思っている。そして、私もリザードンの事を。
「約束は約束だ。私が勝ったら、今日の夜は付き合ってもらうからな」

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 闘いの先に結ばれた友情、だと思っていたものが、いつの間にか愛情へと変わっていた。ただ、雄と雄だっただけで、他は何も変わらない。
だったら、難しく考える必要なんて無かったのだ。あれこれ悩まず、好きなら好きでいいのだから。
そして今日もまた、闘いの幕が開く。お互い見つめ合って、時には激しく、時にはじわじわと攻め合いながら。
精根尽き果てるまで、私とリザードンの闘いは終わらない。床に沈み、掻き伏せ、果てるのはどちらか。
闘志と闘志のぶつかり合い、その第一幕が、今日もまた始まろうとしていた。睨み合う二匹、カウントダウン、そして高らかに。

「GO!」

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・あとがき
仮面外しました!!!!!(2016/6/21)
……いや、忘れてたわけじゃないんですが外し時を失いまして。
せっかく第八回仮面小説大会が終わったので仮面外しておこうと思います。関係ないですけど(
♂×♂をそんなに数多く書いてるわけじゃなかったので新鮮でした。せっかくの変態選手権なのでちょっとアレなのを……と目指した結果です。
が、やっぱり時間が無くて短めになっちゃいました。毎度のことになっちゃってますね。
ちなみにタイトルはMH4をやった方に伝わるように。内容はスマブラforをやった方に伝わるようになっております。
最近では総選挙でも1位のゲッコウガさんです。グラエナも流行ってください(?)

ここでコメントに返信を。今更感溢れてますね、ほんっとーに申し訳ないです(
>シンプルかつテンポの良い展開と、題材の分かりやすさが素晴らしかったです。変態……というより、むしろ純愛でしたね。 (2014/11/10(月) 04:10)
ありがとうございます。確かに読み返してみるとふつーの純愛ですね。♂×♂ですけどw

というわけで結果は1票、10位でした。なんだか変態選手権は向いてなさげ……変態じゃないからですかね。きっとそうですね。
ではでは、また次回の変態選手権でお会いしましょう。え? 次回も終わってる? なん……だと……。

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Last-modified: 2016-06-21 (火) 00:20:58
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