ポケモン小説wiki
水と炎と二つの月の戯れ

/水と炎と二つの月の戯れ

水と炎と二つの月の戯れ 

by蒼空


一月半にも及ぶ、長かった夏休みも終わりを告げ、明日からまたいつもの日常が戻ってくる。
俺達はいつものようにリビングで最後の夏を楽しんでいた。
……まぁ、ご主人様だけは溜息をつきながら、部屋の隅で鞄に荷物を詰めているけど。
ご主人様は今年も補習で折角の夏を楽しめなかったからね。溜息くらいつきたくなるか……。
去年だって赤点で補習だったんだからテストの前日だけじゃなくて、もっと前から勉強すれば良いのに。
……それが出来ないから今年も補習をやって夏休みを潰したんだっけ。
そういう俺は……ルナが来たから随分とこの夏を満喫出来たかな。……出来たよね?

いやいや、この前ちゃんとルナとは思い出をつくったし……。
でも、あの日のルナはシュトラとも交わってるんだっけ……。
しかも、シュトラの数日前はセイレーンとだろ?
肝試しの時なんか、ブリッツと……。で、昼にはバーニィともやったって……。
更にご主人様が期末テストの初日なんてワカバとツララの三匹で乱交……。
つまり、ルナはこの夏に全員と思い出をつくってるじゃないか!!
ここは夏の最後にもうひとつ、ルナとの思い出をつくっておきたいな。
……そうじゃないと、ルナに嫌われそうで怖い。
今までは恥ずかしくて逃げてばっかりだったからな……。
逃げててルナに良い印象を与えてたとは思わないし。
少しくらいは雄らしいところを見せないと。

……とは言っても何をすれば良い思い出になるかな。
折角だから散歩にでも誘おうかな。幸い、ルナも今はソファで丸くなってるだけみたいだし。
そうと決まれば、ルナに声をかけよう。……でも、やっぱり緊張するな。
まずは深呼吸をして心を落ち着かせよう。話しかけるのはそれからだ。
息を大きく吸って……ゆっくりはく。良しこれで大丈夫。

「師匠~。ソファで丸くなってるだけなら是非、僕の訓練に付き合ってくださいよ!」
「……ん? ワカバ? まぁ、僕も暇だから良いけど。最近、訓練に付き合ってあげてなかったしね。
 勿論、ツララも見学に来るんでしょ? 来ないって言った方が驚くけど」
「はい。勿論ご一緒させていただきます。よろしくお願いしますルナ様」

……俺の勇気はワカバによって一瞬でかき消されました。
しかし、俺も今までとは違う! こんな事で引き下がれるものか!
今までの俺だったら間違いなくここで走り去って屋上まで逃げてます。

「ルナ、折角だから俺も一緒に見学させてもらっても良いかな?
 今後のバトルに何か役に立つかもしれないし」
「えっ!? まぁ、僕は良いけど。それにしても……珍しいねムーン。
 でも、見てて役に立つかは保障しないよ。ブラッキーと僕等じゃ、基本の戦闘スタイルが違いすぎるし。
 ワカバ達もムーンが一緒でも構わないよね?」
「勿論ですよ。師匠が決めたんなら僕は反論なんてしないですよ。
 さぁ、そうと決まればすぐにでも庭へ行きましょうよ!!」

余程、ルナとの訓練が嬉しいのかワカバはかなりご機嫌だね。
俺もワカバを見習ってもっと積極的にいかないとダメだな。
まぁ、二匹きりにはなれなかったけど、取りあえずルナと一緒に居ることは出来そうだ。
一応は成功って事で良いのかな? あくまで、一応だけど。理想は高く、二匹きりだったんだけどね。
……でもルナ。俺から声をかけたからって驚く事はないじゃないか。
俺だってシュトラに言われたことを気にしてるんだから。
これからは少しづつでもルナに声をかけていこうと思ってるんだよ。
俺達は準備を済ますとリビングを後にした。



庭に出るとルナとワカバが少し距離を取って戦闘態勢を取り始めた。
俺とツララは二匹の邪魔にならないように端で待機する。
……雌二匹がバトルの特訓をするのに雄二匹が見学ってどうなんだろう。
まぁ、ワカバが訓練したいって言ったんだし問題ないか。
これだと雄二匹がガールウォッチングをしてるように見えなくもない……。
……ツララを初めて見て雄だって思う奴は居ないか。

「模擬戦を始めようかワカバ。今回は絶対に勝たせてもらうよ」
「今回はって言っても勝たせてくれたことは一度もないじゃないですか師匠!」
「……今回は負けたくない理由があるからね」

負けたくないと言った瞬間にルナがこちらを向く。
勿論、俺もルナを見ていたわけでその瞬間に目と目が合う。
目が合ったのは一瞬でルナはすぐに戦闘を開始する。

ルナは一気に加速し、ワカバとの間合いを詰める。
間合いを詰めるルナにワカバは葉っぱカッターを繰り出て応戦した。
葉っぱカッターをルナは走りながら居合い切りで打ち落としていく。
……減速もしないで葉っぱカッターを打ち落とすなんて……流石ルナだよね。

「へ!? 何か目が怖いですよ師匠!?」
「悪いけど……一撃で決めさせてもらうからね、ワカバ!!」

ワカバの目の前に着くとルナは得意の居合い切りで一閃。
手加減してなかったのかワカバは攻撃を食らい数メートル吹き飛ぶ。
……ここまで一瞬で戦闘が終わるとルナとはじめてあった日の事を思い出すよ。
ツララは吹き飛んだワカバの元へと急いでかけていく。
最愛の姉があそこまで豪快に吹き飛べば流石に心配するよな。
俺だってシュトラがあそこまでやられれば心配するし。
ルナも「流石にやりすぎた!」とでも言いたげ顔をしてワカバの元へ走る。

「ひ、酷いです師匠……。師匠が本気で戦ったら僕なんて一瞬ですよ……。
 あれじゃあ訓練にならないじゃないですか。少しは手加減してください」
「えっと……ごめんワカバ。ムーンが見てるからって、つい熱くなちゃって……」

ルナが必死にワカバに謝罪をするも、流石にワカバの機嫌は良くならない。
……俺に助けを求めるようにルナがチラチラと俺の方を見てくる。
さて、ルナにあんな顔をされたんじゃ俺も何かしないとな……。
なんて、考えてるうちにルナが、何か思いついたのかこっちに近づいてきた。

「そういえばムーン。僕ってムーンとだけ戦った事無いよね?
 じゃあ、戦おう! 良し、そうしよう! それが良い!
 ワカバも僕の戦いを見て、何か参考になることがあるだろうし。
 ムーンだって見てるだけより身体を動かしたほうが良いに決まってるって!!」
「え!? ムーンさんと模擬戦ですか!? それはやめておいたほうが良いと思いますよ師匠……。
 だってねえ、ムーンさんの覚えてる技って……。あれだよねツララ」
「そ、そうです。ムーンさんと模擬戦をしてもお互いの為にならないかと……。
 はい、ムーンさんの覚えてる技はあれです姉様……」

俺がルナと模擬戦!? それは勘弁して欲しい。
……今回は流石にワカバとツララの言うとおりだね。
俺の覚えてる技は模擬戦向きじゃないし……。
でも、そんな言い方されると凄く如何わしい技に聞こえるんですが?
ここは素直に断わったほうが良いだろうな。

「ルナ、悪いけどそれはちょっと……」
「さぁ、やろうかムーン!」

答えを聞く前にルナが俺を引っ張っていく。
もはや、俺の意思なんて関係ないみたいだな。
庭の中央に無理矢理連れてこられた時点でもう俺に拒否権はないよね?

「いくよ、ムーン!!」
「お手やらかに頼むよルナ……」

ワカバの時と同様にルナが一気に近づいてくる。
しかし、残念なことに俺はそれを迎撃できるような遠距離技は覚えてない。
俺の目の前に難なくたどり着いたルナは今度はアイアンテールを繰り出してきた。
……流石に毎回、居合い切りを使うほどワンパターンじゃないか。
俺は左前足でルナのアイアンテールを受ける。
その瞬間に鈍い衝撃が左前足に走る。流石に効いたな……。
ルナはアイアンテールを放ち終えると素早く俺との距離をとる。

「受け止めた!? ムーンの力を知りたくて本気で放ったんだけどな……。
 正直に言うとグラエナに襲われてやられてたから、あまり強くないと思ってたよ。
 流石はイーブイの進化系でも屈指の防御力のブラッキーってとこかな」
「あの時は不意をつかれただけだよ。護りに関してはここではトップだったんだから。
 ……今はルナが居るから一番って言い切る自信が無いけどさ」
「まぁ、僕も元々はブラッキーに進化する予定だったから護りは得意だからね。
 エーフィは打たれ弱いから基本的に避けちゃうけどさ。
 でも、まだ終わりじゃないからねムーン」

ルナが再び近づいてくる。距離をとれば攻撃を食らわないだろうけど、攻撃も出来ない……。
そして、さっきと同様にアイアンテール放ってくる。……同じ攻撃なんてルナらしくないな。
俺も同様に左前足で攻撃を受ける。……さっきと同じすぎる。嫌な予感が……

「……かかったね」

さっきより、衝撃が軽い!? これはフェイント!?
この攻撃がフェイントと気付いた瞬間、ルナは既に背後に居る。……速すぎでしょ。
そして、無防備な俺の背中に居合い切りを叩き込んできた。

「随分と守りのタイミングが早いみたいだけど僕に攻撃する気あるの?」
「それは……」
「僕はムーンの本気が知りたいんだけどな」

……俺が攻撃する気がないって気付いてたみたい。流石はルナ。
これ以上、何もしないのは逆にルナを怒らせるかな……。やるしかないか……。

「良い目だねムーン。ようやくやる気になってくれたみたいだね」
「あ~。遂にムーンさんあれをやる気だね……」
「そうですね。後で木の実を取りに行ったほうで良さそうですね……」

……ワカバとツララが、やけに冷めちゃってますけど。
まぁ、俺は攻撃をしないんじゃない。……する必要が無いだけだけど。
俺から近づいたんじゃルナに追いつけない。ならルナが近づいてくるのを待てば良い。
ルナもそうしないと俺に攻撃出来ないんだからね。焦る必要は無いよ。
嫌な予感を感じているのかルナも一気には距離を詰めてこない。
こういう時にこそ慎重になれるのがルナの凄いところだね。
ルナが身を屈めた。居合い切りの態勢か。
居合い切りを放つためにルナが俺の目の前に現れる。
今度は俺が『かかった』って言う番だね。
俺は目の前にルナに妖しい光を放つ。

「妖しい光!? しまった!!」

ルナが一瞬、怯んだ! 混乱には出来なかったけど足を止めさせれば問題ない。
俺はルナが態勢を整える前に『毒々』を放った。

「……うっ。随分と嫌らしい戦い方をするみたいだね」
「ただ、攻めるだけが戦いってわけじゃない。そうでしょルナ?」
「そうだね。補助技を上手く使って相手より有利な状況を作り出す。戦いの基本だね。
 でも、ムーンにもそろそろ毒が回ってきたんじゃないの? 僕の特性って『シンクロ』だし。
 お互い、長期戦は体力を消耗させるだけだから、一気に行かせてもらうよムーン!!」

言われてみると、俺も何だが気分が悪い……。
少し眩暈がするが慌てて、首を振り誤魔かす。
そんな一瞬の隙でルナは俺の目の前にまで移動している。
ルナが不敵な笑みを浮かべたと思うと腹に鈍い衝撃が走り、俺の目の前は真っ暗になった。



頭に誰かの体温を感じる……。
俺を心配してルナがそばに居てくれたのかな?
目の前にルナが居ることを期待して俺は身体を起こす。

「ムーンさん、身体の調子は大丈夫ですか?
 はい。これ、モモンの実です。模擬戦で『毒々』はやり過ぎですよ。
 確かに、ムーンさんの攻撃手段は少ないですけど、まだ『騙まし討ち』は覚えてましたよね?
 それで戦った方がお互いの為になったんじゃないでしょうか? こうしてモモンの実も使っちゃいますし」
「え? ああ、ありがとうツララ……」

目が覚めると同時に、夢も覚めた感じがする……。
隣に居たのはルナじゃなくてツララ。異性じゃなくて同性。
どうして現実はこうも厳しいかな。それとも俺が現実を見ていないのか?
ツララの言うとおり、騙まし討ちは確かに覚えてる。覚えてるけどさ。

「まぁ、確かに騙まし討ちは覚えてるけど、問題があってだな。
 この技はご主人様が後々は『月の光』に変えたいって言ってるんだよ。
 だから、今の内から騙まし討ちに頼らない戦い方をしておきたいと思ってるんだ」
「ムーンさんの今覚えてる技は『妖しい光』、『毒々』、『黒い眼差し』それに『騙まし討ち』でしたよね?
 騙まし討ちが月の光に変わりますと四つの技は……。
 攻撃技が一切なくなるという、何とも凄い技構成ですね……。
 こうなったら『挑発』されると悲惨でしょうね」
「ご主人様にしては考えたとは思うけどな。大抵は力任せでなんとしようとするし。
 少しづつだけど、トレーナーとしても成長してる……と思うんだけどな。
 俺はずっと一緒に居るから分かるけど、ルナにとっては半人前みたいだけど」

改めて言われなくて、俺だって攻撃技がなくなるくらい分かってるよ……。
だから、さっきのルナとの模擬戦みたいに守りを重視してるんじゃないか。
俺だって世話にはなってるし、ご主人様の夢の手伝いくらいしたいし。
少なくても、足手まといにだけはなりたくない。……ここで数少ない雄として。

……モモンの実を渡された時点で気付くべきだったけど、俺ってまだ毒にかかってるだっけ。
急に気分が悪くなってきた……。とりあえず渡されたモモンの実でも食べよう。
動かなければ毒は回らないけど、動けばじわじわと体力を奪うもんな。
で、目の前に居る事を期待していたルナは既にワカバとの訓練を再開してる。
あれだけ機敏に動いてるって事は『朝の日差し』でも使って回復したのかな?
毒は抜けても体力は回復しないから、やっぱり身体がだるい。
こういう時は、やっぱり回復技が使えれば良いって思う。
俺も早く強くなりたいな。出来ればルナを守れるくらいに。……それは無理か。
強くなる前に、まずは自分の体調管理が先だよな。

「……悪いけど、俺は自分の部屋に戻るよ。
 オレンの実も食べないとフラフラしちゃってダメだ。
 ルナに俺の事を聞かれたらそう伝えておいてくれ」
「ルナ様の必殺の一撃をノーガードで食らいましたからね。
 分かりました。私はまだここに居るので、姉様とルナ様が休憩の時に伝えておきます。
 ゆっくり休んでくださいねムーンさん。無理しすぎてルナ様を心配させちゃダメですよ」

ツララが極上の微笑をしてくる。
その微笑を見て一瞬、一瞬だけドキっとしました。
ツララが雄だって知らないでこの笑顔を見せられたら確実に落ちると確信できる。
俺だってツララが雄だと知るまで、てれてまともに会話なんて出来なかったし。
今でも思うけど、ツララもあの容姿で雄ってやっぱり犯罪だよな……。



廊下を歩いて台所を目指す。
ご主人様には状況を簡単に説明してオレンの実の使用許可は貰った。
台所に着いて、木の実の籠を見ると黄色い影が蠢いている……。

「ご主人様も酷いよ。ご飯の量を増やしてって言ってるのに聞いてくれないだもん。
 ご飯の量が増えないから、僕だってつまみ食いするんだからね。
 僕が悪いんじゃなくて、ご飯の量を増やさないご主人様が悪いんだから」

やっぱり……というか、当然ブリッツだね。
自分のつまみ食いを正当化するように独り言を呟いてる。
……声かけた方が良いのかな?
ブリッツが籠をあさってる以上、声をかけないとダメか。
そうじゃないとオレンの実が取れないし。
俺はブリッツの背中を軽く叩いて声をかける。

「やぁ、ブリッツ」
「みゃぁぁぁあああああああああああああああああああああ!!!!」
「うわぁあ!!」

声をかけた瞬間にブリッツが大絶叫。
こんなに叫ばれるとこっちが驚くよ。
と、いうか驚きました。心臓がバクバクしてます。

「なななな、なんだムーンか。ビックリした。お、脅かさないでよ!」
「え? いや、あの……そこまで驚くような事してないんですけど」
「ぼぼぼ、僕には十分驚くような事だよ……。
 ところで、ムーン。台所になんか来てどうしたの?
 やっぱり、ムーンもつまみ食い? 食い意地が張ってるね~」

ブリッツが右前脚で俺の頬をつついてくる。
いや、ブリッツと一緒にしないでほしいんだけど……。
でもオレンの実を食べに来たのは事実なんだけどさ。

「残念だけど、俺はちゃんとご主人様に許可を貰ってる。
 だから、ブリッツと違ってつまみ食いじゃないんだよね」
「つまんないの~。で、何の実が必要なの? 良ければ探すけど」
「ありがとうブリッツ。えっと、必要なのはオレンの実なんだけど。
 近くにあるかな? ないなら自分で探すからさ」

ブリッツは「えっと、オレンの実は……」と呟きながら籠の中を探す。
探し始めたと思ったら、ものの数秒で籠の中からオレンの実を取り出した。
流石、毎日つまみ食いしてるのは伊達じゃない……。絶対、自慢にはならないけど。

「はい。オレンの実。探してあげたんだから、つまみ食いはご主人様には黙っててね?」
「へ? ああ、分かったよブリッツ」

ここでブリッツの攻撃、上目づかい。雌の雄に対する必殺技が炸裂。
上目づかいでお願いなんかされたら『うん』と頷くしかないでしょう……。
種族がら俺の方が大きいから、こうなるのは当然なんだけどさ。
と言っても、本当はご主人様もブリッツがつまみ食いしてるのなんて知ってるみたいだけど。
諦めてるみたいだね。何回言っても直らないからって。
しかし不思議なんだよな。ブリッツってこれだけ食べてるのに何で太らないんだろう?
こんな事を雌に聞いたら間違いなく怒り狂い、必殺の一撃を食らう事になるから絶対に言わないけど。

「良かった。これでご主人様にバレないで済むよ。じゃあ、僕はもう少しつまみ食いしようかな」
「……まだ、食べるんだ。程ほどにね。一気に木の実が減ると俺が黙ってても意味ないから。
 じゃあ、俺はもう行くから。何度も言うけど、ほどほどにねブリッツ」
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。お腹いっぱいになったら、やめるから。じゃあね、ムーン」

……俺の忠告は役に立ちそうにないな。
こんなんじゃ、いずれは俺達の食事が減りそうだ。
もっと、大量に木の実を育てなきゃダメかな。
オレンの実を頬張ると俺は台所を後にした。



台所を出ると、リビングの前でバーニィがキョロキョロとしている。
バーニィは俺を見つけるとこちらに歩み寄ってきた。
俺に用なんてあるのかな?

「あ! ムーン、良い所に! ねえ、セイレーン見なかった?
 さっき、リビングを出たきりで戻ってこないんだよね。
 もしかしたら、ルナのところに行ってないかなと思ってさ。
 セイレーンてルナは勿論、ワカバとツララ、ムーンと仲良いからね」
「残念ながら、セイレーンはこっちには来なかったけど」
「今更だけど顔色悪いけど大丈夫?」

気にするなら、もっと早くしてほしいな。
いやむしろ、早く部屋で休みたいんだけど。

「少し、ルナとバトルをしてね……。返り討ちになった」
「そういえばムーンてルナとは戦ったことないんだよね。
 どう。自慢の彼女にボコボコにされた気分は?
 あ、それともボコボコにされるほど持たなかった?」
「……そうですよ。ほぼ一撃でノックアウトだよ」
「流石だね。これで僕等は全員ルナに一撃でのされたわけだね。
 あの強さに凄いよね。むしろ異常? でも、そこに惹かれる、憧れるよ。
 確か、ルナって元々はブラッキーに進化するんだったんだよね?
 僕的にはブラッキーよりもリーフィアになってた方が強くなってたと思うだけど。
 リーフィアの早さと攻撃力があれば絶対に無敵だと思わない?」

確かに今のルナの戦い方だとブラッキーよりもリーフィアの方が合ってる気もする。
エーフィに進化した今じゃそんな仮定は無意味なのかもしれないけど。

「ところでさ。話は変わるけど、ムーンってルナのどんな所が好きなの?
 僕はさっき言ったとおりだからさ。折角だしムーンも話してよ。
 だって僕の理由を聞いておいて自分は黙ってなんて言わないよね?
 あ、僕が勝手に話したなんて意見は聞く耳もたないからね!」
「へ? お、俺!? そうだね……。
 俺よりも強いルナに言うと失礼だけどさ。
 ルナってすぐに傷つきそうな危うさがあると思うんだ。
 いつも危険な事に身を置いて、何でも一匹で解決しようとする。
 前のご主人に捨てられて、野生で生活してたからなんだろうけどさ。
 だから、そんなルナの力を守ってあげられば良いと思ってるんだけどね。
 実際にルナが傷つくところなんか見たこともなければ想像もできないけど」

これが俺の偽りない本心なんだけどね。
実際は顔を合わせるだけで赤面する俺にルナの何が守れるんだろう?

「ルナって十分強いけど、ムーンの言うとおりの危うさと言うか脆さもあるよね。
 食事の後とかでムーンがさっさと部屋を出る時にルナっていつも暗い顔するもん。
 その時のルナには強さって言葉が無縁なほどに弱々しく見えるから。
 だから、ムーン。ルナと一緒に居なきゃダメだからね」

バーニィが忠告と同時に一気に顔を近づけてくる。
お互いの息がかかりそうなほどに近い距離……。
俺の心拍数が一気に上がったのが自分でも分かった。

「僕が顔を近づけただけで真っ赤になるなんて、やっぱりムーンって凄いてれやだね。
 それで本当にルナと一線越えてるの? あ、ルナが攻めでムーンは何もしてないとか?」
「なな、何て話をいきなりするだよ!?
 そりゃ、最初はそうだったけど、この前はちゃんと俺が主導権を握ってたよ!」
「あれ、そうなの? 意外だよ。もう何回かルナとやってるんだ。
 僕はルナが欲求不満で僕等の相手をしてくれてると思ってたのに」

バーニィに言われて自分がどれだけ恥ずかしい事を言ったか理解しました……。
俺はなんて取り返しのつかない事を言ってしまったんだろう……。

「ちょ、ちょっとそんなに落ち込まないでよ!
 確かに僕も少し調子に乗りすぎたとは思うけどさ。
 話を戻すけど、セイレーンを見たら僕に教えてね、ムーン」
「え? ああ、初めはそんな話だったね。見かけたらバーニィが探してたって言っとくよ」

バーニィは「ありがとう」と一言お礼を言ってリビングへ戻っていく。
まぁ、今は冷房が効いてるから自室よりはリビングの方が快適だもんな。
それでも、俺は自室で一休みするけど。やっぱり自室が一番落ち着くしね。



階段を上っていくと、何個かの荷物が階段を塞いる。
こんな荷物を置いておくなんて誰だよ……。

「ワカバちゃんとツララちゃんも借りるのは良いですけど返してくれないと困りますよ。
 それにこれ、結構重たいんですから……。いっぺんに持ってもそんなに使えないと思うんですけどね。
 まさか、全部使ってるわけじゃないですよね。ツララさん大丈夫なんでしょうか?」

荷物の主はセイレーンみたいだね。
俺もさっさと自室に戻りたいし手伝うか。
バーニィが探してたって伝えるのは片付けの後で良いかな。

「セイレーン。運ぶのが大変なら俺が手伝おうか?」
「ひ!? ム、ムーン居るなら居るって言ってくださいよ。
 私だけで大丈夫ですから、ムーンは部屋に戻ってください」
「……いや、そこに荷物があって通れないから手伝うって言ってるんだけど」

俺が声をかけただけでセイレーンが随分驚いたな。
それはもうブリッツに声をかけたと勘違いするくらいに。
言われなくても部屋に戻れるなら戻ってるよ。
俺だってルナにやられて体の節々が痛いんだから。

「本当に私一匹で大丈夫ですから。
 部屋に戻れないならリビングで待っててください。
 片付け終わったら呼びに行きますから」
「なら二匹で運んだ方が早く終わるでしょ。
 遠慮しないで良いからさ。さっさと終わらせようよ」
「いえ、本当に本当に私だけで大丈夫ですから」

セイレーンの様子がいつもと違うな。
いつもなら、人の好意は素直に受け取るのに。
部屋が散らかってるから見られたくないのかな?

「大丈夫だって。別にセイレーンの部屋を覗くわけじゃないからさ。
 部屋が散らかってるから見られたくないんだろ?」
「見られたくないっていうのは正解ですけど、部屋ではないんですが……。
 分りました。もう良いです。ここは私が折れれば良いんですよね。
 運ぶ荷物の中身は絶対に見ないでくだいさいよ。それだけは約束してください。
 幼馴染にも秘密にしたい事はあるんですからねムーン」
「俺は荷物の中身が見たいから手伝うって言ったわけじゃないし。
 だから、別に中身を見る気はないんだけど。そんなに俺って信用ない?」

俺が手伝うのは少しでも早く部屋で休みたいからだし。
でも、俺ってここまで言われるほどセイレーンに嫌われてるっけな……。

「そういうわけじゃないです。ただ、それほど見れたくないって事ですよ。
 こんな言い方をして、やっぱり気を悪くしましたかムーン?」
「いや、あまりに冷たく言われたから嫌われたかと思っただけだよ。
 違うって分ってほっとしたけどね」
「嫌われるような事をしたって思ってるんですか?
 ルナさんの事でなら、むしろ私が嫌われる方でしょうし。
 でも、ムーンとゆっくり話をするのも久しぶりですね。
 最近はムーンもルナさんと居る事が多くなったじゃないですか。
 こうして話してると昔を思い出しますね。昔は私にもてれてましたよね」

こうして考えると俺はいつからセイレーンと普通に話すようになったんだっけ?
お互いに進化する頃にはもうてれる事はなかったよな。
気づいたら自然にそういう関係になってたんだっけ。
セイレーンのおかげで大半の雌とは普通に話せるようになって……。
いずれはルナとも、そういうふうになれるのかな?

「じゃあムーンはその大きいのをお願いします」
「……あんなに俺に頼むのを拒んだのに大きいのを渡すんだねセイレーン」
「ムーンだって守りの方が得意でも私よりは力あるじゃないですか。
 ここに雄は少ないですから頼りにしてるんですよ」

こういう時だけは都合よく雄扱いするんだね。まぁ、悪気はしないけど。
俺はセイレーンに指定された大きい荷物を背中に乗せる。
体調が万全なら大丈夫だったかもしれないけど、正直、今はきついな。

「足が震えてますけど本当に大丈夫ですか?」
「こ、これくらい平気……はぅっ!?」

やっぱり痩せ我慢は良くないな……。
荷物を担いで少し歩いたら腰にきたよ。
俺はバランスを崩してセイレーンの荷物を派手にばらまく。
中身は用途の分からない、棒状のものやいくつもの球が繋がったものなんかが転がった。

「ご、ごめんセイレーン。今すぐ拾うから……」
「見ましたねムーン……。約束しましたよね?」
「あ、あの……。す、すみません……」

セイレーンが凄い形相で睨んでます。
付き合いは長い方だと思うけど、セイレーンのこんな顔を見るのは初めてだ。

「私がこんな物を持ってるなんて軽蔑しました?
 だから見ないでくださいって言ったのに……。
 これが他の方にも知られたら……。もうおしまいです」
「いや、軽蔑なんてしないよ! それに誰にも言わないって!!」
「そんなの口でならいくらでも言えますよ……。
 さっきだって約束したのに、こうなったじゃないですか」

セイレーンが勢いよく飛びかかってくる。
普段のセイレーンの性格からこんな事をするなんて思わなかった。
俺はそのせいで呆気なくセイレーンに押し倒される。

「だから、身体に刻んであげます。
 この事を皆さんに話したらどうなるかって……」

セイレーンの顔が一気に近づいてくる。
そして彼女の唇が俺の唇に触れた。
これがセイレーンの唇? ルナ以外の雌の唇?
触れるだけで驚いた俺が甘かった。
セイレーンは俺の唇をこじ開け、舌を入れてくる。
……ディープキス? 誰と誰が? 俺とセイレーンが。
ぴちゃぴちゃと言う水音で俺は現実に引き戻された。
満足したのか、セイレーンは唇を離す。
唾液の橋が互いの唇を繋いでる。

「まずはムーンの唇いただきましたよ」
「ちょ、ちょっと! まずはって!? もう良いだろ!?」
「ダメですよ。それに私のお尻にムーンのが当たってますよ。
 キスだけでこんなになるなんて溜まってたんですね。
 溜まっても溜まってなくても襲っちゃいますけど。
 こんなに大きくしてるですから嫌とは言わないですよね?」

あうぅ。俺にはルナが……。だから、こんな事いけないって分ってるのに、身体は素直だよ。
でも、ルナ自身が浮気しても良いって言ってたし……。
それにセイレーンも子供のころと比べて随分と奇麗になったし……。
で、でもダメだって……。これ以上の事をしたら今までの関係が壊れる。

「セ、セイレーンこれ以上はやったら、もう今までの関係に戻れない」
「じゃあ、ムーンは私の事をどう思ってたんですか?
 幼馴染くらいにしか思ってないんでしょう?
 シュトラちゃんの事を気にしてるなら大丈夫ですよ。
 私がルナさんと交わってること知ってますから。
 雌同士で交わるなら、雄と雌で交わった方が健全でしょう?」

確かに同性より異性と交わった方が健全だ。
シュトラがセイレーンとルナの関係を知ってるんだな。
でも、シュトラもルナと交わってるんだよね。
ルナはみんなと交わってるんだもんな。
つまり、俺ってルナよりも雄として魅力がないって事?
自覚すると悲しくなってくるな……。

「あ、でも処女はあげる気ありませんから。
 そこまでしたいならルナさんに頼んでくださいね。
 じゃあ、可愛がってあげますね、ムーン」

そう良い終わると、セイレーンは俺の上からどいた。
この瞬間に逃げることも出来たはずなのに身体が動かない。
まるでセイレーンに黒い眼差しを使われたように……。

「どいてあげたのに逃げないんですね。
 これから起こる事、期待してるんですか?」
「そ、そんな事……」

『ない』ってハッキリ言えない自分がいる……。
俺もやっぱり雄なんだな……。

「ないって言わないんですね。
 ふふふ。じゃあ、始めましょうか」
「いや、でも……。
 やっぱり、こんな事はいけないと思う……」
「ムーンも往生際が悪いですね。
 時には諦めることも大事ですよ。
 大丈夫ですよ。多分、痛くはしないですから。
 痛くしても、怒らないでくださいね。
 だってこれ、お仕置きですから」

セイレーンが楽しそうに微笑む。
うん。やっぱりセイレーンは奇麗になった。
何て考えてる間にセイレーンが俺のモノを扱き始める。
モノ扱いてるセイレーンの姿はルナとは違った魅力を感じるな。
セイレーンに扱かれ、モノは正直者で更に大きくなっていく。

「今のムーンの顔、とても素敵ですよ。
 凄くいじめがいがありそうな良い顔です」
「いじめがいがありそうって……あうっ!」
「良い声で鳴きますね。じゃあ、激しく行きましょうか」

激しくすると言っておきながら、セイレーンは扱くのを止める。
すると、セイレーンは俺のモノに顔を近づけ、くわえた。
ついこの前初めてルナにくわえてもらったのばかりなのに早くも二回目、そして二匹目……。
俺のモノがセイレーンの舌に弄ばれる。
扱かれるのとは比べ物にならない快楽が俺を襲う。
正直、あんまり長くは持ちそうにない……。
と、言うかもう出そう。

「ふふ。ムーンの我慢する顔、とっても可愛いですよ。
 でも、我慢しなくて良いんです。さぁ、ムーン出して下さい」
「だ、だけど……まだ、セイレーンにくわえられたばっか……」

こんなに早く出すと雄としてみっともない……。
もう少しは持たせないとかっこ悪いもんな。

「そうですか。じゃあ、ブラッキーらしく耐えてくださいね。
 そんなに長くは持ちそうにありませんけど」

そう言ったセイレーンの顔はやっぱり楽しそうだ。
再び俺のモノに刺激が走る。セイレーンの言うとおり長くはなさそう。
セイレーンの舌が俺のモノを這う度に射精しそうになる。
でも、俺にだって少しくらいは意地があるし……。
くわえられて直ぐに出すわけに……。出すわけには……。

「あぅう……。で、出そ……」
「本当に長くはなかったみたいですね。
 でも、耐えるって言ったのにこんなに早く出すんですか?」
「そ、そうだけど……。でも、もう……」

もう出そう。いくらブラッキーの防御や特防が高くたってこっちの耐性は別だよ。
出る! と思った瞬間にセイレーンの舌の動きが止まる。
良いところだったのに何でやめるんだよ。

「何でやめちゃうんだって顔してますねムーン」
「そりゃそうだよ。もう少しでイけそうだったのに……」
「ふふ。イきたいですか?
 そうですよね。イきたいですよね?
 でも、ダメです。イかせてあげませんよ
 私が出してって言ったのに出してくれなかったんですから。
 ですから簡単にはイかせません。では、続きをしましょうか」

宣言通り、セイレーンの攻めが再び始まる。
そして、イきそうになったら止まる快楽。
イきそうになっても、イく事なんてできない。
俺は今、完全にセイレーンのおもちゃになっている。

「ムーン、楽しいですか? 私は結構楽しいですよ」
「はぁはぁ。も、もうイかせて……。
 これ以上我慢させられたら、おかしくなる……」
「ふふ。遂にムーンからお願いしてきましたね。
 それじゃ、折角のお願いですから次でイかせてあげます」

これで、やっとイかせてもらえる……。
再びセイレーンにくわえれ、舌で攻められた。
出る! そう何度思ったかな。
しかし、今度は途中でとまる事はなかった。
俺は叫ぶ元気もなくセイレーンの口内に精を放つ。
この射精の瞬間を俺はどれだけ待っただろう……。
そして射精した瞬間に俺の何かが吹き飛んだような気がする……。

――このまま終わるなんて嫌だ。

「叫ぶ元気もありませんか?
 そんな事はないですよね。
 だって、ムーンのここはまだこんなに元気ですよ」

セイレーンは軽く俺のモノを前脚で扱く。
確かに俺のモノは、まだまだ元気なままだ。

「なぁ、セイレーン今度は俺が攻めても良いかな?」
「何、言ってるんですか。これは荷物の中身を見たお仕置きで……。きゃっ!!」

俺はセイレーンの答えを聞く前に彼女を押し倒していた。
そして、初めにセイレーンがそうしたように俺も唇を奪う。
さっきと同じ行為なのに、自分からするとこうも興奮するんだな。

「これだけは念を押して言っておきますけど、処女はあげませんよ……。
 ムーンも顔は良いんだから、普段からこんなに積極的ならきっとモテるのに」
「セイレーンも満更でもなさそうだね。でも、俺ってそんなに顔が良い方?」
「顔は良いですよ。顔は。ルナさんの方がカッコイイですけど。
 ルナさんは顔がっていうより貫禄があるからカッコイイんですよね。
 どうですか、ムーン。少しは自信がつきました?」

そっか。自覚はなかったけど俺って顔は良かったんだ……。
自分の顔って鏡でしか見ないから顔が良いって言われも実感がないな。
でも、これでけはハッキリと言えると思う。

「そんなに簡単に自信なんかつかないよ……」
「ですよね。これだけで自信がついたら、こんな性格にはなってないでしょうし。
 それで、ムーン。こんな世間話をいつまで続けるつもりですか?
 ここは廊下ですしだ誰が何時来るか分らないですよ?
 やるんなら、早くやりましょう」
「確かにそうだね。じゃあ、おしりをこっちに突き出してくれる?」

俺の願いにセイレーンが困った顔をする。
そんなに難しいお願いをしたつもりはないんだけどな……。

「……処女はあげないって言ったのに、そんな体勢を要求するんですか?
 その体勢って、普通に考えれば挿入する体勢ですよね?」
「あ、いや、その……おしりの方なら良いかなって思ったんだけど、ダメ?
 性器の挿入する気は俺にはないんだけど……」
「おしりの方って……。ムーンも随分マニアックな事を言いますね。
 分りました。でも、処女は絶対にあげませんよ。信じてますからねムーン」

セイレーンは不安そうに俺の方に腰を突き出す。
信じてるって言われたら裏切れないよな。
……勿論、裏切る気なんてないけどさ。
俺はモノをセイレーンの肛門にあてがう。

「じゃあ、行くよセイレーン」
「ちゃんと、おしりの方ですね。良いですよムーン。
 私も気持ち良くしてくださいね。
 満足させられなかったら……またお仕置きしましょうか」
「自信はないけど出来る限り努力するよ」

実際にルナはおしりに入れて満足してもらえなかったな……。
そんな俺がセイレーンを満足させられだろうか?
まぁ、やってみるしかないよな。自分でやるって言ったんだし。
なんか凄い緊張してきたな。頑張れ、俺!

「じゃあ、行くよセイレーン」
「いえ、二回同じ事を言わなくても分りますよムーン。
 相当緊張してますね。本当に大丈夫ですか?
 それで良くルナさんとこんな事が出来ましたね。
 やっぱりルナさんが攻めですか?」
「うん。基本的にはルナが……」

そう、基本的にはルナが主導権を握って……たっけ?
確かに一番最初の時は俺は何もしないでルナにされるがままだったな。
でも、シュトラに後押しされた時は俺が初めは主導権を握ってたし。
結局最後はルナにやられっぱなしっだったな。
やっぱり主導権は基本ルナが握ってたか。

「じゃあ、行くよセイレーン」
「……ムーン、本当に入れる気ありますか?」
「大丈夫。今度こそ、ちゃんと入れるから」

セイレーンは俺の答えにため息をついた。
あてがっていた性器をゆっくりと入れていく。
心なしかルナの時よりもスムーズに入る気がする。
入れただけで射精しそうだけど流石にそれは避けたい……。
そうじゃないとお仕置きで何をされるか分らないし。
何で、さっきも今回も我慢しなくちゃいけないんだよ。

「……はぁはぁ。は、入ったよセイレーン」
「そうですね。でも、入れただけで随分息があがってますけど。
 入れてすぐに射精なんてしないですよね?」
「うっ! 流石にそれはない……と思う」

な、何で分かったんだ? ……顔は見えてないはずだし。
セイレーンは水タイプだからエスパーってこともないよな。

「そう? じゃあ、私がおしりに力を入れてモノを締め付けても平気ですよね?」
「えっ!? ダ、ダメ! そ、そんなことされたら出ちゃっあぁあああ!!」

結局、我慢できずに俺は射精してしまう。
この後、セイレーンに何をされるか考えると余韻に浸る暇なんてない……。

「本当に出しちゃいましたね。ムーンって早漏ですか?
 素直に出そうって言えばやめてあげたのに。
 じゃあ、どんなお仕置きを……えっ!?」
「セイレーン、急にどうしたのどうしたの!?」

セイレーンが俺モノを抜き、ある一方を見て絶句する。
見てるのは階段の方みたいだけど……。
俺もセイレーンと同じく階段を見た。
そこにはルナとバーニィがこちらを覗いている。
ルナと眼と眼が合うとルナは右前脚をあげた。

「あ、別に僕等の事は気にしないで良いから。
 どうぞ、好きなだけやっちゃってください」
「セイレーンって大人しそうで意外に激しかったんだね。ビックリ。
 僕もルナと同じ事言うけど気にしないでよ」
「そうですか。わかりました。ムーン、次はどうしましょうか?
 ……って言うわけないでしょう!
 二匹共、一体いつから見てたんですか!?」

そりゃ、そうだ。気にしないで言われても気になるよ。
って言うか、意外にルナが怒ってないんですけど!

「えっと、僕は凄い物音がして気になったから見に来たんだけど……。
 まぁ、結論から言うと初めからずっとここに居たってことかな」
「自分でやっといて言うのも何なんだけど僕はムーンが心配でお見舞いに。
 そうしたら、ムーンとセイレーンがいちゃいちゃしてるじゃありませんか。
 って感じかな。バーニィよりは後に来たね。いやぁ、何ていうか御馳走様」
「バーニィさんは初めから居たなんて……。全然気付きませんでした。
 ……じゃぁ、二匹にもムーンのお仕置きを手伝ってもらいましょうか。
 勿論、嫌とは言わせませんからそのつもりで」

えっ! 何か話が変な方向へ進んでない!?
て言うか、セイレーン顔が凄く怖いんですけど!
笑ってるけど、笑ってませんよ!

「は、はい! 喜んで協力させていただきます!
 バ、バーニィも勿論協力するよね!?」
「う、うん。普段からセイレーンにはお世話になってるからね!
 そんなセイレーンのお願いだもん。断れないよ!」
「そうですよね。協力ありがとございます。
 さぁて、どうやってムーンにお仕置きしましょうか」

いや、あの、俺からすれば断ってほしいんですけど……。
まぁ、セイレーンにあんな顔されれば断れないよね。
少なくても俺は絶対に断らない。……と言うか断れない。
荷物をひっくり返しただけでどうしてこんな目に……。
嬉しいような、悲しいような……。でも、少なくても休みたいです。
身体が悲鳴をあげてます。この後、俺はどんな事をされるんだ?

「とりあえず私は散らかってる荷物を片すのでムーンの相手は二匹でおねがいします」
「だって。どうするバーニィ?」
「僕に言われてもねぇ。二匹でやれることでしょ。
 勿論、ムーンに主導権は与えないんだよね?
 だったら、一緒にフェラとか、顔面騎乗とか?」

フェラって性器を舐めるやつだったっけ?
じゃあ、顔面騎乗っていうのはどういうプレイなんだろう?

「ねぇ、バーニィ。その顔面騎乗って何?」
「ふむふむ。ムーンは顔面騎乗に興味があるんだね?
 顔面騎乗っていうのは、SMプレイの一種でS側がM側の顔に股間を密着させて座る行為。
 圧迫系プレイでは結構有名だね。股間を顔に密着させると言ってもその目的は性器への愛撫ってわけじゃないんだよ。
 で、実際に何がしたいかと言うと、相手の顔面を圧迫して呼吸を奪うこと。
 どう、こんな感じの説明で分かった?」
「まぁ、何と無く……」

正直、もう少し大雑把な答えが返ってくると思った。
バーニィもこういう事に興味があるって事?

「じゃあ、説明が終わったことだし、これでいこうか。
 これなら、一匹が顔面騎乗。もう一匹が性器を攻めれば良いでしょ?
 ムーンは仰向けになって待っててね。
 ルナはムーンのコレを攻める? それとも顔面に跨る?
 僕はどっちでも良いからルナが決めてよ」
「そうだね。じゃあ、僕は性器の方を攻めようかな」

バーニィがルナとの会話の途中で俺のモノに触れる。
一瞬の事だったけど身体は正直に反応していた。
素直にバーニィの言うとおりに仰向けになる。
身体は限界に近いのに、それでのこれからの事を期待してるみたいだ。

「という事は、僕が顔面に跨る方だね。
 失礼するよムーン」
「ムーンのモノは僕が弄ってあげるよ」

バーニィの性器がどんどん近付いてくる。
顔面に密着するのとほぼ同時に、モノに刺激が走った。
確認はできないけど、踏みつけられるような刺激。

「わお。ルナってば随分とドSな事するぅ。
 これでモノを大きくさせてるムーンはかなりの変態だね」
「そうかな? でも、ムーンが変態なのは確かだよね。
 僕がシュトラとした事を聞いて、自慰するくらいだし。
 彼女と妹の淫らな姿を想像して興奮する変態なんだよね?」
「べ、別にそれは、二匹の行為に興奮したからじゃ……」

言い訳の途中で俺の言葉が途中で途切れる。
言えないような事を言おうとしたわけじゃない。
バーニィに完全を口を塞がれたから言えなかった。

「言い訳は認めないよムーン。
 それに言ったよね。これは呼吸を奪うのが目的だって。
 ちゃんと、僕の事も相手にしてくれないと呼吸させてあげないよ?」
「バーニィも意外にノリノリだね。
 僕も負けてられないよ。
 ほら、ムーンも頑張らないと今度こそ倒れるよ。
 こんなところで、モノを大きくして倒れてたら相当恥ずかしいだろうね」

俺に拒否権はやっぱりないらしい……。
ルナもスイッチが入ったみたいだし。
でも、素直にバーニィの性器を舐めて良いのかな?
これって浮気になるんじゃ?
ルナに股間を弄られて息も息も上がってきた。
息がまともにできない以上、考えてる暇もない。
このままだとルナの言う通り、本当に倒れるかも……。
しかも、この言い方は倒れてもそのまま放置されるって事?
いや! ルナも認めてるし、これは浮気じゃない。俺は悪くないはず。
そう思うと罪悪感も自然と薄れていく。
とりあえず、舌を出してバーニィの性器を舐めてみる。

「あぅう。ム、ムーンもやればできるじゃない。
 ご褒美に息させてあげるよ」
「しっかり、息継ぎしないとねムーン。
 でも僕は攻めるのを止めないけどね」

いったん、バーニィの性器が口元から離れる。
大きく息を吸って深呼吸をしよう。
吸って、吐いて……もう一度吸って。
なんて、モノを弄られながらできるわけがない!
快楽と息苦しさで頭が真っ白になりそう。

「ルナ、流石にやりすぎじゃない?」
「べ、別にバーニィとムーンが楽しそうにしてるのを見て嫉妬してるとか、そんなんじゃないからね!
 思った以上にモノを攻めるのが地味だから、アピールしておこうと思っただけだから!!」
「ツンデレのテンプレートなセリフだね。
 それなら、今度はルナが顔面騎乗する?」

バーニィの提案にルナは本気で悩んでるように見える。
それを理由にモノへの攻めが止まってるし。
今度こそ、深呼吸をしよう。
息を大きく吸って、ゆっくり吐く。
少しは気分が良くなったかな。

「確かにそれも悪くないんだけどね。
 でも、折角だからもっと強烈な事をしたいんだよ。
 そうだ! 良いこと思いついた!!
 ねぇ、セイレーン。後ろの穴を攻めるようなおもちゃってないの?」
「えっ!? あ、はい! 急に呼ばれたのでビックリしちゃいましたよ。
 私の事なんて完全に忘れてると思ってましたので。
 それは随分と面白いお話ですね。この提案は私も賛成します。
 後ろの穴って言うと、これですね。アナルビーズ。
 大きいのもありますけど、初めてですし小さいもの方が良いですよね?」
「それ、なんか見たことあるかも。
 確か、後ろの穴に入れて引っ張る奴だっけ?
 ルナの急な注文にもすぐに対応できるとは、色んなものが入ってるんだね。
 それに複数種持っているとは、随分と用意周到ですな。
 折角だから、今度中身見せてよ」

あれって、さっき見たいくつかの球が繋がったやつだ。
菊門に入れて使うものだったんだね。
俺が質問する前にバーニィがしっかり解説してくれたよ。
それで、ルナはあれを俺に使うつもりってことか。
な、なんか更に変な方向に話が進んでない!?

「折角だし、大きいのにしようよ。
 だって、これお仕置きなんでしょ?」
「そうですね。それではこっちにしましょうか。
 大きい方でも、大丈夫ですよねムーン?」
「いや、いや、そんなの絶対入らないってば!
 無理だってば! 考え直してよ!!」

深呼吸して、少しは気分が良くなった途端にこの提案。
流石にこの話は全力でお断りしないと。
そんなもの入れられたら、何か大事なものを失う気がするし。

「大丈夫ですよムーン。たっぷりローション塗っておきますから。
 それに初めはみんな入らないって言いますよ。
 何事も挑戦してみる勇気を持たないと」
「まぁ、アナルビーズを入れる勇気なんて全く役に立たないと思うけど。
 こんな事に勇気を出すくらいなら、普通はもっと違う方向に勇気を出すよね。
 でも、ローションをたっぷり塗るなら初心者でも安心だね。頑張れムーン!
 僕はムーンが叫ぶのをじっくり見てるからね。
 自分の身の安全が大事だし、ごめんねムーン」
「嘘だと言ってよ、バーニィ。
 見捨てないで、助けてよ!」

道具を使う事に賛成も反対もしなかったから、助けを求めようと思ったのに!
バーニィからも完全に見捨てられたよ。
まぁ、助けてくれるなら初めからこんな事にはならないよね。

「たっぷりローションを塗ったことだし、入れるよムーン」
「力むと入らないですから、力を抜いてくださいね。
 そうしないと、痛いですよ。
 痛いのが好きって言うなら止めないですけどね」
「そ、そんな事言われたって……。
 あぁああ! や、やめてぇえええ!!
 抜いてぇええええ!!」

菊門に何かを入れられる感覚。
これが気持ち良いのか、悪いのかもわからない。
言えることは、今まで感じたことのない不思議な感覚。
さっきとは違う意味で頭が真っ白になりそう。

「そんなに慌てちゃダメだよ。
 大丈夫。もうすぐ全部入るからね。
 そうしたら、ムーンの望むとおり抜いてあげるから」
「まぁ、多分ムーンの望む結果じゃないだろうけど。
 それにしても、ムーンて結構良い顔するよね。
 僕にそんなSっ気はないつもりだけど、聞いてるだけでゾクゾクするよ」
「……やめてよぉ。お願いだからぁああ」

何を言おうと菊門の侵入は止まらない。
いや、侵入はすぐに止まった。
それはアナルビーズが全部入ったという事なんだろう。

「さぁ、全部入ったから今度はムーンのお願い通り抜いてあげるからね。
 ゆっくり抜いてほしい? 早く抜いてほしい?」
「そ、そんなのわからないよぉ」
「では、まずはゆっくり抜いてあげればどうですか?
 初めてですし、少しは優しくしてあげないと」

いきなり大きい方を選んでおいて、今更そんな事を言われても……。
それでも、俺の身体を労わってくれるセイレーンには感謝しなくちゃいけないのかな?

「そうだね。じゃあ、ゆっくり抜いていこうか。
 折角だし、抜くのはバーニィにお願いしようかな。
 見てるだけっていうのも、つまらないでしょ?」
「僕が? まぁ、ルナがそう言うなら。
 でも、それを言ったらセイレーンだって見てるだけじゃない?」
「私は最初にムーンにたっぷりお仕置きしていますから。
 ですから、バーニィさんもたっぷりムーンにお仕置きしてくださいね」

バーニィにはさっきの顔面騎乗で十分お仕置きされた気がするんだけど。
それとも、これはバーニィが一匹でしてないからカウントしないのかな?
どちらにしても、早く終わりにしてほしいんだけど。

「じゃあ、ゆっくり抜いていくからね。
 痛かったら、ちゃんと叫んでよ。
 そうじゃないと面白くないないから」
「こ、怖いこと言わないでよ。
 優しくしてくれるんだよね?」
「でも、顔に早くしてって書いてあるよ?
 本当は期待してるんじゃないの?
 ムーンって、てれやなのにエッチなんだね」

さっきから、何回くらい期待してるなんて言われたっけ。
俺ってそんなに顔に出やすいのかな?
いや、いやそんな事ないでしょ。
だって俺は別に期待してないし!
早く終わってほしいって思ってるし!

「は、早くしてほしいのは、早く終わりにしたいからで……。
 別に、期待なんてしてるわけじゃないないよ!」
「早くしてほしいとは思ってたんだね。
 僕は冗談で言ったつもりだったんだけど。
 期待通りの事をするのはお仕置きに入るのかな?
 多分、入らないよね。少なくても僕は入れない。
 ねぇ、ルナ。ルナが僕に任せたんだし、何をしても怒らないよね?」
「え? まぁ、バーニィに頼んだのは僕だしね。
 随分と楽しそうにな顔をしてるけど何をする気?」

それは俺も気になる。
でも、早くアナルビーズを抜いてほしいんだけど……。

「いや、折角だし、僕もしちゃおうかなって思ってさ。
 でも、ムーンはルナの彼氏なわけだし、許可をとっておこうかと」
「うん。で、バーニィは何をする気なわけ?」
「そんな恥ずかしいこと言わせないでよ……。ルナの意地悪。
 ほら、ルナもご存知の通り、セイレーンと違って僕は処女じゃないし……。
 ここまで言えば、何をしたいかわかるでしょ?」

バーニィが随分と遠回しな言い方をしている。
で、でも、それってつまり……。

「バーニィさんって処女じゃないんですか!?
 それで、初めての相手は誰なんですか?」
「……えっと、ルナ。ここまで言ったら隠さなくても良いよね?」
「まぁ、セイレーンも同じようなもんだし、良いんじゃないかな?」

雌三匹で盛り上がってるんだけど、俺はどうなるの?
どう話が進んでも俺に選択権はないのは確かだろうけど……。

「あ! 僕らばかりで盛り上がってごめんねムーン。
 今すぐ、お尻のアナルビーズ抜いてあげるからね」
「あぅうう。な、何この感覚ぅうう!?」

バーニィがゆっくりとアナルビーズを抜いていく。
球体が引っかかるたびに、ゾクゾクとした感覚がする。
初めての感覚に、これが気持ち良いのか分からない。
ただ、全身の力が抜けて息が荒くなってるのは分かる。

「そんなに息を荒くして、ムーンって初めてなのにお尻で感じてるの?」
「あぁああうう! そ、そんなこと聞かれても俺には分んないよぉおお!!」
「うんうん。良い声だねムーン。じゃあ、少し早く抜いていこうか。じゃあ、行くよ」

え? ゆっくり抜いてくれるって行ったのに!?
バーニィが一気にアナルビーズを抜き取ろうとする。
抜いて欲しいと散々頼んだはずなのに、いざそうされると。やっぱり怖い。

「くあぁあああああああああ!!」
「え? 嘘? アナルビーズ抜いただけで射精しちゃうの?」

一気に抜かれると、当然快楽も一気に押し寄せ、俺は射精していた。
菊門を道具で攻められただけで俺はイっちゃたのか……。
頭では分からなくても、身体を気持ち良いと思ってたんだ。

「お尻を攻められただけで射精しちゃうなんてね。
 ムーンって、お尻に入れるのも入れられるのも好きなんだ」
「私、驚きました。お尻だけで本当に射精ってできるものなんですね」
「それでも、モノはまだまだギンギンみたいだけどね。
 じゃあ、今度は僕としようねムーン」

バーニィがゆっくりと俺のモノに性器を近づける。
い、いくらなんでもそれは、不味いんじゃないの!?
それでも、俺の体は動かない。
ルナとの戦闘のダメージか、身体が求めているのかは分からないけど。

「僕も処女じゃないけど、入れるのは初めてだから。
 うまくできなかったらごめんね」
「ほ、本当にやるの!?」
「ムーンは僕とやるのは嫌? やっぱりルナが良いの?」

一度、バーニィは離れると、俺を上目遣いで見つめてくる。
この状況でそんな表情されたら嫌なんて言えるわけない。
言えたとしたら、そいつはホモだろうな。

「そ、そんなことはない……と思うけど……。
 ほら流石にそれは不味いと思うし、俺には恋人がいる訳で……。
 それにルナもセイレーンも見てるんだよ?
 流石にやめようよ……。その方がきっと良いって!」
「別に僕の事は気にしなくても良いよ。
 だから、好きなだけバーニィとやれば良いと思うけど。
 もし、僕に助けを求めたくて名前を出したなら諦めてね。
 ここまで来たら、今更助けられても遅いでしょ?
 見られていても気にしちゃダメだよ。
 そういう訳だから、頑張れムーン!」
「そうですよ。気にしちゃいけまんよ
 目の前で交尾を見るのって、何かドキドキしますね」

やっぱり、このままバーニィとやるんですか?
二匹とも止める気はないみたいだし。
それとも、これは雄として喜ぶできなんだろうか?

「じゃあ、入れるからねムーン」
「あ、うん」

再び、互いの性器を近づけるとバーニィがゆっくりと腰を落とす。
炎タイプだからって理由かは分からないけど、ルナよりも暖かい気がする。
ルナの目の前という罪悪感も、快楽の前にどんどん薄れていく。
これが雄の性なのかと思うと、少し悲しくなるけど。

「はぁはぁ。ぜ、全部入ったよムーン……。
 本当に入っちゃうもんなんだね。
 自分でも正直驚いちゃうよ」
「う、うん。バーニィも大丈夫?」
「処女じゃないから、そこまで痛くはないかな。
 動くけど平気だよね?
 ごめん。ムーンに選択権はないんだった」

小悪魔のようにバーニィは妖しく微笑む。
そしてゆっくりと腰を動かす。
バーニィが腰を振るたびになる卑猥な水音がより興奮させる。
既に何回も射精しているはずなのに、長くはもちそうにないよ。

「んぁああ! これ凄い。凄いよぉお!
 こんなの我慢できない。僕、もうイっちゃうかも。
 ム、ムーンはどうなの!? ねぇ、イきそう!?」
「くぁあああ! お、俺ももうイきそうだぁああ!!」
「じゃ、じゃあ抜かないとね。
 流石に中は……ひゃっ!!」

さ、流石に中はないよね。
バーニィも慌てて離れようとする。
いや、慌てたのがいけなかったんだろうね。
足を滑らせて、逆に入口から一気突くような形になった。

「んぁあああ!! 無理! こんなの無理ぃいい!!」
「バ、バーニィイイイイイ!!!」

その刺激が引き金となって俺はバーニィの中に精を放つ。
何回も精を放ったことで体力を相当消耗したのか俺はこの射精で意識を失った。



目が覚めると見慣れた天井が視界に入る。
どうやら、ここは俺の部屋みたいだ。
でも何で自分の部屋にいるんだろう?

「あ! ようやく目が覚めたみたいだね」
「身体の方は大丈夫ですか?
 ルナさんに聞きましたけど、模擬戦で無茶してたそうですね。
 言ってくれれば、ここまで無理はさせませんでしたよ」

視界が今度はルナとセイレーンに覆われた。
言ってくれればって、そんな言い訳を聞いてくれる雰囲気じゃなかったと思うけど。

「何とか、大丈夫かな。そう言えばバーニィは?」
「そう言えばって、随分な言い方だね。隣で寝てるのに」
「へ? 隣って……。うわっ! な、な何でわざわざ隣でねかせたの!?
 流石に雄と雌が同じベッドっていのは不味いでしょ!」

さっき、あんな事しておいて説得力がないのは自分でも分かってる。
でも、叫ばずにはいられなかったので叫ぶ。

「ムーンの言いたいことも分かります。
 ですが、こちらにも都合があるんですよ」
「都合?」
「自分の身体が綺麗になってるのに気づきませんか?
 私とルナさんで綺麗にしたんですよ。
 それとも、汚れたまま寝かせて良かったですか?」

そう言えば、確かに身体が綺麗になってる。
言われるまで気づかなかったのもどうかと思うけど。

「二匹を綺麗にするのにそれぞれの部屋を行ったり来たりといのは非効率でしょう?
 それに廊下を移動してるあいだに、誰かに見られたらもっと大変な事になりますよ」
「……確かに。見られたら大変だね」

納得できる理由だし、それなら仕方ない。
一番見られたくない相手は目の前にいるんだけど。

「まぁ、本当はバーニィが隣で寝てたらムーンがどんな顔をするかが見たかっただけなんだけどね。
 大体予想通りの反応だったけどね。僕も頑張って運んだ甲斐があったよ。 驚いたでしょ?」
「ルナさん、折角それっぽい説明をしたんですから話を合わせてくださいよ」
「え? さっきの説明は嘘だったの!?」

凄く納得できる理由だったのに!?
セイレーンが何を考えてるのか分からない……。

「その表情も悪くないですね。安心してください。半分は本当ですから」
「半分はって……。納得できる理由と同じくらいに俺の驚く顔が見たかったって事?」
「そうなるかもしれませんね。細かい事は気にしちゃダメですよ」

細かい事は気にするなって言われても……。
流石にこれは細かくない気がするんだけどな。

「ふわぁ~。おはよう。ここは……ムーンの部屋だっけ?」
「おはようバーニィ。こっちも目が覚めたみたいだね」
「バーニィさんも起きた事ですし、私は荷物の整理がまだなのでこれで失礼しますね」

セイレーン挨拶をするとそのまま部屋を後にする。
今回の件の事の発端がずいぶんとあっさりいなくなるな。

「でも、倒れた僕をベッドに連れ込むなんて。ムーンも意外にエッチなんだね」
「いや、いや! 俺じゃないから!! 運んだのはルナらしいから!」
「冗談に決まってるじゃん。そんなにてれなくても良いんじゃない?
 ムーンにそんなこと出来るわけないって、知ってるから大丈夫だよ」

それは素直に喜んで良いのかな?
まぁ、今更気にしてもしょうがない気もするけど。

「何だか、身体も綺麗になってるみたいだし僕も自分の部屋に戻るよ。
 ルナ、ムーン。今日は楽しかったよ。じゃあね」

バーニィも挨拶すると部屋をで行く。
こんな事があって、今度からバーニィにどんな顔をすれば良いんだろう。

「セイレーンもバーニィも行っちゃったね。何だか久しぶりの二匹きりだね。
 今度は僕とムーンだけでやる?」
「え? いや、あの。それは……」
「冗談だよ。ムーンも疲れてるでしょ?
 じゃあ、僕もこれで……とその前に最後にこれだけ」

ルナの顔がどんどん近づき、唇が触れる。
今回はキスはただ、それだけだった。
でも、今日で一番ドキドキするのは何でだろう?
俺は部屋を出て行くルナの後ろ姿をじっと見ていた。
これが夏の最後の思い出かな?

~fin~


コメント頂けると嬉しいです。




トップページ   編集 凍結 差分 バックアップ ファイル添付 複製 名前変更 再読み込み   新規作成 ページ一覧 ページ検索 最近更新されたページ   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2014-08-24 (日) 18:47:18
This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.