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死神の詩9

/死神の詩9

ぬうやの部屋。 ?

いつもよりちょっと長めになってます。
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死神の詩
第九話

レイがユキの家にやってきて、一か月が経とうとしていた。

レイは知らないことがたくさんあるようだった。
この村にきて初めて知ること、初めて見た物。
そういったものがたくさんあるようだった。

特に、自分のことをあまり知らなかった。
本当の名前、誕生日、以前いた村の名前、親のことなど、
正確に答えられたものはほとんどなかった。

中でも数少ない、レイが正確に答えられた質問は、
「年齢」だった。

「レイってさ、何歳ぐらいなの?」

「82歳。」

「へ?」
「82歳。」

はじめ、ユキは冗談で言っているのかと思った。
あとで聞くと、もともとアブソルは長生きする種族で、
100年くらいは生きるのだという。

それに、レイがいた森は上下関係が激しく、
自分の年齢を正確に知っている必要があったのだ。

でも、そこまで正確に答えられた質問はそれくらいだった。
レイが生まれたのは、82年前のどこか。
ユキは少しだけ、レイが自分から遠い存在のような気がしていた。

「レイ、おつかい頼んでいい?」
「ん、いいよ。」
「じゃあ、リンゴを2つ、買ってきて。」
「ん、わかった。」

数日前から、レイはユキのおつかいや夜ごはんの支度などを
手伝うようになった。
一度だけ、レイが一匹で作ったオムライスはひどく不格好なものだったが。

「いってきまあす。」
「うん、いってらっしゃい。」

レイは口に買い物かごをくわえて、市場まで駆けて行った。

ユキがまってるんだ。いそがないと。

市場で一番きれいなリンゴを2つ買うと、レイは全速力で
来た道を戻った。

夕日がおちてくる。
レイの影が長く伸びる。

ふと、レイが立ち止まった。

レイの視線のさきにあるのは、2匹のポケモンの姿。

おそらく、ザングースとマニューラの姿。
何やら楽しげに談笑している。

家まであと500メートルほどのところで、レイは全く動かなくなってしまった。

レイの口から買い物かごが落ちた。

リンゴが坂道を転がっていく。

見開いたレイの目から、ひとすじの涙がこぼれる。

乾いた地面にそれは堕ちて、ゆっくりとしみこんだ。

2匹の姿から目をそらせないレイは、ぽつりと呟いた。

「…………………柳華(りゅうか)・・・・・・。」

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最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • れ、レイ、ザングースとマニューラがどうかしたのか!? -- 2009-05-01 (金) 20:21:32
  • 」」」」」」」☆子巡ず柏柏鑼痙鑼露柏幽幽 -- 2009-05-04 (月) 16:12:46
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Last-modified: 2009-12-01 (火) 00:00:00
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