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死神の詩1~3

/死神の詩1~3

ぬうやの部屋。 ?

死神の詩 

 第一話 であう

くうきが あまい・・・

なんのにおいだろ・・・・・・・・・・?

藁のベッドに横たわっていた生き物が起き上がる。
白い鬣がさらさらと流れた。

わら・・・・の ベッド・・・・

  ここ   どこ?

生き物は 一歩、ベッドからおりた。
青い爪が乾いた音を響かせる。

だれのいえだろう

だれがあたしをここにつれてきたんだろう・・・

思考が追い付かない。
とりあえず、その生き物は家の中を歩き回った。

白い前髪が右目を覆い隠す。

「?」

生き物は立ち止まる。
左目の視線の先にあるのは、黄緑と緑のストライプ柄のマグカップ。
その中にあるのは暖かい液体。
「なんだろ・・・これ。のみもの?みたことないなあ・・・。」

そっと、液体の匂いを嗅ぐ。

あまい   におい。

これがあまいくうきのしょうたい?

「         あ 目、覚めた?」

「っっ!?」

後方からの突然の声。
生き物が慌てて振り向くと、そこには青い生き物が立っていた。

「いや、大丈夫だって。そんな慌てなくても。
 別に食べたりしないから。あはは。」
「・・・・・・?」
青い生き物はほがらかに笑った。

白い鬣の生き物は目を丸くして、青い生き物を見ていた。

あたしをこわがらない・・・・・・・・・?

あたしのむらの ポケモンじゃない・・・?

「?どうしたの?あ、ココアがほしいのかな。」
「・・・?ここわ?」
「ほら、そこのマグカップの中の。飲んだことない?」
「・・・ん。」
「そっか。おいしいよ?飲んでみる?」
「ん。」
「あはは、なんかそっけないなー。」

白い鬣の生き物は、台所に向かう青い生き物をただ見つめていた。

黒くしなやかな脚。長く伸びたしっぽ。紅く憂いを帯びた瞳。

・・・・・・・・・・だれだろぉー・・・?

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死神の詩

 第二話 麗

目の前に置かれたココア。
白みがかった茶色がマグカップの中で渦を巻いている。

「どうぞ。」

青い生き物が笑った。
白い生き物の頬が一瞬 朱色に染まる。
マグカップを持つと、ココアの温かさが冷たい爪を伝わってくる。
そして一口。

「・・・・・・・あまい。」

思わずこぼれた言葉。
こんなに甘い味はじめて。

「でしょ?おいしい?」
「ん、おいしい。ここわ おいしい。」
「よかった。僕もね、ココア大好きなんだ。」
「あたしも。ここわだいすき。」

自然な会話が進んでいく。

こんなふうに ふつうにはなせればいいのにな。
・・・・・・・・・・・みんなと。

「僕、ルカリオ。ユキっていうんだ。君は?
 見た感じ・・・・アブソルかな?」
「・・・・・わかんない。」
「へ?」
鳩が豆鉄砲を食らったようなユキの顔。
「むかしからひとりだったから。おしえてくれるひともいなかったし。」

「・・・。そうなんだ。

 じゃあ、名前は?なんて呼ばれてるの?」

「みんなは、トレイタってよぶ。」

                     トレイタ。

「トレイタ、かあ。
 誰が最初に呼び出したんだろうね。」
少し不機嫌そうなユキの顔。

「?」
「少なくとも、僕はそんな風に呼ばれても嬉しくないな。」
「え・・・」
「だから僕はこう呼ばせてもらおうかな。」

ユキは笑っていた。

「         (レイ)。」

いつの間にか、マグカップの中のココアはなくなっていた。

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死神の詩

 第三話 独りじゃない

「レイは、どこから来たの?」

ユキの瞳はまっすぐレイをとらえている。
レイは首をひねる。

「・・・・・わかんない。どこかのもり。」
「森・・・・かあ。どこの森だろ・・・。
 レイ、そこの河原のところで倒れてたんだよ?
 何か覚えてない?」

レイは首を横に振る。

「・・・・・・・・そっかー・・・。」

「・・・ここは ユキのいえ?」
「え?うん。そうだよ。」
「かぞくは?おとうさんとか おかあさんは?きょうだいはいないの?」

「・・・・・・うん。兄弟はもともといなかったし、父さんは戦争に行って死んじゃった。
 母さんは     どうなったかよくわかんないんだ。
 ある日突然どっかに行っちゃって。」
「・・・・・・・・・・・・・・・  ふーん。」

「別に気にしてないけどね。父さんが死んだのだって僕がうんと小さい時だし、
 母さんだってどこかで生きてるかもしれない。
 近所に友達もいるし、独りじゃないから。」
「・・・・・つよいのね。」
「へ?」
「わたしはひとりじゃたえられなかった。
 だからもりをでてきたの。
 もりのそとになら、なかまがいるかもしれないとおもって。
 なかまができるかもしれないとおもって。」

麗の瞳にはユキが映っていない。
ただ、空になったマグカップを見つめていた。

「・・・・・・・・・ レイは」

「?」

「僕と会えたでしょ?

 もう独りじゃないよ。」

「・・・え。」

 ひとりじゃない・・・?
               あたしが?

あれ? なんか ユキがぼやけてみえる・・・・
めのおくがあつい。
あったかいみずが めからあふれでてくる。
なんで?どうして?

「わ、どうしたの?なんか気にさわること言っちゃったかな・・・。」

ユキが あわててる。
あはは、おかしい。

レイは泣きながら笑った。

ユキもつられて笑った。

「レイは仲間を探しに来たんだよね?」
「ん。」
「暮らす所は?あるの?」
「・・・・・。」
「ずっと野宿じゃダメでしょ。
 女の子なんだから。」
「・・・・・・・。」

「あの、僕の家で暮らさない?空いてる部屋もあるしさ、
 あ、その、別にやましい意味はないよ?
 このまま別れるとなんか、気になるっていうか」

誤解を招かないよう、必死に話すユキ。
またレイが笑った。

「・・・・・いいよ。ユキのここわ すきだし。」
「・・・ほんと?はは、よかった。」

  もう  独りじゃないよ。

レイの頬が ちょっとだけ紅くなった。

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第四話

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Last-modified: 2009-12-01 (火) 00:00:00
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