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死が最後にやってきてそして誰もいなくなった後に

/死が最後にやってきてそして誰もいなくなった後に

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 まずは一匹殺した。


 いや、自滅か。


 それも違う。


 挙動が急におかしくなった。


 きな臭い話だ。


 だが、それはこっちも一緒だ。


 自由の為に戦う俺は、俺の翼は、元々の黒が血で真っ赤になって、その上に更に白塗りまでした。


 「あいつ」を継ぐはずだったのに、やっている事は昔からさほど変わらない。


 まあ、俺は鋼の烏(アーマーガア)だから。


 戦う事しか能がない。


 それでも、今まで「彼女」を守り通してきた。


 いずれにせよ、後は迷い猫(レパルダス)一匹だ。


 あいつの噂は聞いている。


 近ごろ名を上げ始めた手練れらしい。


 「彼女」の話によると、俺がHALした(集めた)情報があったとはいえ、あのデカブツを一匹で鉄屑にしたとか。


 油断はできない。


 「彼女」とその仲間たちにとって、俺だけが戦力だ。


 それが俺と「彼女」が選んだ道だ。


 どんなに汚れた世界で、どんなに翼が汚れたとしても。


 All is Fantasy(全てが壊れている)としても。


 いや、俺の目はそんなものをもう見れない。


 そもそも肉眼がない。


 「あいつ」との一騎打ちの時には、俺の目は壊れかけていた。


 その後には、五感の全部が消えた。


 今、あの迷い猫(レパルダス)を見据えているのは、目があった場所に嵌め込んだカメラアイだ。


 俺はもう、ポケモンと呼べるか怪しい。


 鋼の烏(アーマーガア)の姿をしているだけの怪物だ。


 背中にミサイルコンテナとライフルを積んで。


 自分のものじゃない鋼の鎧を纏って。


 まあ、あっちも猫のくせに装甲を着て推進器で空を飛んでいるが。


 反則だよな、普通に考えて。


 だが、人間の機械によって、人間の、「彼女」の言葉が分かるようになった。


 人間と同じように考えられるようになった。


 そうしないと、俺は「あいつ」を殺した後に死んでいた。


 「彼女」の為に戦って、それで命を削り続けた。


 俺はもう、ポケモンであるかはおろか、生き物であるかも怪しい。


 猫に向かってライフルの銃口が勝手に向く。


 俺の体にある機械のおかげだ。


 「墜ちろ」と念じただけで、俺の背中で轟音が鳴り響く。


 巨大な橋の下で戦っている俺たちの間を、銃弾やミサイルが飛び交う。


 あいつが粒子加速砲(ガラル)を積んでいなくて助かった。


 元は一対二だった。


 俺の方が消耗が激しい。


 ガラル粒子で作った壁があるが、それはあっちも同じだ。


 大昔に、この世界の全てを救おうとした人間の男が雛形を作った装置だ。


 まあ、ありがた迷惑だな。


 俺と同じように、この世界は死を遅らせる事しかできない。


 その中でもがく哀れで小さな存在だ、俺も、あいつも。


 俺の背中からミサイルが飛ぶ。


 そのミサイルから更に小型のミサイルの束が飛ぶ。


 まずいな、押されてるのは俺だ。


 噂は嘘じゃないらしい。


 「彼女」は何も言わない。


 俺に言う必要がない。


 俺は伝説の鋼の烏(アーマーガア)だ。


 一対一の戦いくらい俺だけでやる。


 それに、「彼女」に「何も言うな」と言ったのは俺だ。


 俺はもう、俺がこうして猫に向けて撃っているライフルと同じ、ただの道具だ。


 道具に情を持つものじゃない。


 俺はいつ壊れても、いつ墜とされてもおかしくはない。


 それに、次の俺(AI)はもう出来上がっている。


 俺が墜ちたら、次の俺はもう本当にただの道具だ。


 まずい、避けきれな

























 ぐレネードに当タルなんてナ。


 あっチは驚いテいルだろうな。


 マさかノ再起動ダカらな。


 自分の体ヲ実験台にシて、「彼女」ニ頼ンでAI(保険)を積ンでキテ正解だっタ。


 サっキノ被弾で、俺ノ、元々ノ脳は半分焼き切れタダロウ。


 アあ、自慢の羽もぼろボロダ。


 これハモウ、直せナイカもな。


 そレデいい。


 「彼女」が、道具なんカニ情ヲ持タナいヨうに。


 俺は別にいイガ、「彼女」は救ワレテホしい。


 俺や他ノAI()は、「彼女」に救われタカラ、恩返しヲサせテホしい。


 まだ十分ニ返しテイない。


 欲張りだろウか。


 いい加減墜チろ。


 いや、そレはアッチの台詞カ。


 ミサいルが切れた。


 こンテナを切リ離す。


 突撃だト。


 猫の肩に突キ飛ばサレテ、橋の足ニ背中かラ激突する。


 ラいふルも壊レタだロうな。


 それに、ノイズの方が多い俺ノかめラアイは、猫の銃口が俺に向いテイるノヲ捉えル。


 我儘を言ウなら、まだ「彼女」ト一緒にいたかッたんだケどな。


 仕方ガナい。


 ここデ終わリダ。


 呆気なイモノダな。


 そうイエば、俺が殺しタ「あいつ」もそうダッタ。


 因果、なんだろウナ。


 ヤれ、躊躇ウな。


 お前にハ、そノ権利と義務ガアる。


 俺はもウコれで終ワリ。


 大袈裟な「白い閃光(アーマードコア)」ノ伝説モ終わる。


 いや、AI()ガ終ワラセナいンダガ。


 いヤ、次は「アイつ」ノAI()カモな。


 迷い猫ハヤハり躊躇ワなカった。


 みサいルが、グレねードガ、俺を焼ク。


 「彼女」ハソレでも何モ言わない。


 ソウダ、ソレデいい。


 ダケど、ごめんナ。


 俺ハコこまデ隠シてきた、バっファ(喉の奥)の中ノ言葉を「彼女」に送信スル。


 「ああ、聞こえてるよ」。


 「あノ時」、言えナカッた事ヲ。


 アア、送ラナい方がヨかっタカもな。


 泣かせテしマッた。


 ゴめン、俺はココまデダ。


 コちら    コソ    ありガ      ト



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 拙作をお読み頂き本当にありがとうございます。
 ここからは大会投票所にて頂いたコメントの返答を致します。

不気味なんですけど、文体に加えて、行ごとに隙間が空いていて、病的なほどの左揃え、一行が短いという要素がいい味を出しておりました。
「生命維持を機械で補っている感」を出したかったので、不気味さや病的な様を感じて頂けたなら物書き冥利に尽きます。どうしてこういう描写になったかは、「アナト◯アの傭兵」「ホワイトグ◯ント」「N-WG◯/v」で検索して頂けると分かるかと。それらに独自の解釈とポケモン要素を足したのがこの拙作です。

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Last-modified: 2021-04-18 (日) 09:23:11
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