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未来の誕生

/未来の誕生

未来の誕生 

著者――――くらふたー ?
※苦手要素のある方へ
この作品は、自慰、足枷、3Pが、含まれます。
また、ゲーム中でキャラクターとして登場したポケモンを使用しているため、イメージ崩壊して欲しくないポケモンがいる場合、即刻引き返すことをお勧めします。
そうでない方は、気が向くままにどうぞなのです。



 闇の帳に覆われた世界。
 全ての世界が闇に覆われ、朝も昼も、春も夏も来ない世界。
 切り取られたかのように宙に浮く大地の上に、もう一つ小さな岩場が浮いている。
 かつては巨大な塔が立っていた。
 今は朽ち果てたかのような残骸だけ。
 まるでこの世界を象徴するかのように……。

 かつての塔の入り口と思われる、アーチ状に口を開いた壁の前に、空を覆う色と同じ黒紫色の渦が口を開く。
 そこから、団子状に組み合った二匹のポケモンが転げ落ちる。
 黒い煙のような体に、黄色の顔のような模様が入っており、頭はグレーの覆面を被ったような皮の裂け目から、赤い瞳を輝かせている、ヨノワール。
 緑の体は細く頼りなくも見えるようで、足腰の肉付きはたくましく、頭頂と腕からは細長い葉を生やし、凛々しい鋭い目を輝かすポケモン、ジュプトル。
 彼らは地面でもみ合うように数メートル転がり、そこで仰向けに倒れた。
「く……まだ……」
 ヨノワールは両腕で這いずり、再び渦に入ろうとする。
 ジュプトルもやっとやっとであったが、気力でヨノワールの腕をつかむ。
「放せ……! 歴史は変えさせない……!」
「悪いが、勝負は決した」
 ジュプトルが言う頃には、黒紫色の渦は希薄になり、崩れるように消えていた。
 それを見届けた二匹は、力尽きたように地面に崩れ落ちる。
「終わってしまうのか……私も、この世界も……」
「これで良かったんだ。あとはあの二匹が何とかしてくれる」
 これまでどれほどのものを溜めてきたのだろうか、それらが全て終わったかのように、ジュプトルは息を吐き出す。
「なぜだ?」
「ん?」
「歴史を変えれば、お前たちは消える。この世界も、この世界の者たちも消える」
「さあな」
 ジュプトルは体をねじり、向きを仰向けにする。
 過去においてきた仲間たちが歴史を変えてくれれば、最後の一瞬だけ、この空は変わる。
 その瞬間を、ジュプトルは待っていたのである。
「この世界ではろくな目に遭わなかったこと、ずっと一緒にいたお前なら、わかっているだろう?」
 ジュプトルは二の腕を見せた。
 肩まで続くと思われる、生々しい無数の古傷が、そこには存在した。
「だからこの世界を変えたかった。あの時同じ気持ちで、私たち三匹は手を握った」
「太陽を取り戻しただけでは収拾がつかないほど、この世界は荒れ果てている。なのに、お前は理想を求めすぎた。歴史が変われば、また新たに生まれる命もあるのにな」
「それが、お前の答えか……」
 ヨノワールは息を継ぎ、そのまま横になって目を閉じた。
 そのまま考え込むこと数分、唐突に起き上がった。
「やはりお前だけは、許すことはできん!」
 足の無い体を浮かし、ヨノワールはジュプトルの隣に寄る。
 彼がこれから何をするつもりなのか、しかし、深手を負った上で困憊(こんぱい)したジュプトルには、それを知ったとしてもどうすることもできない。
 ヨノワールはその手に闇の力を蓄え、ジュプトルの無防備な胸を狙う。
「できることなら、もう一度太陽を見たかったのだがな」
 その手が振り下ろされた瞬間が最期だと、両者ともに悟っていた。

 淡い光とともに、高らかな鈴の音が響き渡る。
 次の瞬間、反射的にジュプトルは横に転がり、ヨノワールの攻撃の射程から外れる。
「う……動ける?」
「ば……馬鹿な!」
 石畳の床を貫いた腕を抜くと、ヨノワールはジュプトルと自分の両腕を見比べる。
 その間もわずか数秒、ヨノワールはがく然、ゆっくりと地に伏した。
後ろから寄ってくる圧倒的な気配にも、もはや自分からは反応できなかった。
「もうよい」
「ディ……ディアルガ様?」
 ヨノワールは軽く頭を上げ、主の名を呼ぶとまた力尽きる。
 一瞬遅れて、慌てて身を起こし、結晶でできた無数の長い刃を全身に、赤く輝く巨大な宝石を胸に持つ四足の青い竜の前に両手を突く。
「ディアルガ様! 申し訳ありませんでした! どのような罰も覚悟しており……」
「よい。お前たちは両方とも、本当によくやった」
 ディアルガは前足で、ヨノワールに顔を上げるように示し、まずはジュプトルを見る。
「正気……なのか?」
「大丈夫だ。ジュプトル、お前たちのおかげで、世界はまもなく暗黒から解放される」
 言うが早いか、ディアルガは軽く顎を上げ、何かを示す。
 それを待っていたかのように、後ろから、赤い小さな妖精が飛び出した。
 たまねぎ型の頭には、二つの丸い大きな瞳、小さな四肢と小さな翼ながら、それで宙を自由に飛びまわっている。
「セレビィ!」
「ジュプトルさん、お役目ご苦労様でした」
 そのときを待ってましたとばかりに、セレビィはジュプトルの両手をつかむ。
 普通でも十分赤いのだが、その瞬間は両の頬が余計に赤くなってた気がするのだが、まあいいだろうと、ジュプトルは軽く振り払った。
「セレビィの封印は解いた。これで最後だからな」
 手を放した後も、セレビィは嬉しそうにジュプトルの周りを縦横無尽に飛び回る。
「さて、ヨノワール」
「はい……!」
「無茶苦茶な私に対しても、お前は慕い、よく尽くしてくれた。礼を言うぞ」
「身に余るお言葉痛み入ります」
「最後にもう二つだけ、無茶を聞いてくれるか?」
「何なりとお申し付けください」
 だが、ディアルガはそこで黙り込んだ。
 二匹はそのままの姿で過ごすこと数秒、なんだろうかと顔を上げたヨノワールを、ずっと見つめていた様子のディアルガの目線が迎えた。
「死ぬことよりも辛いだろうが、それでもか? どうせ消えるからとは思っていないか?」
「は? いえ、どんな命令であろうとも、火の中水の中……」
「そうか……」
 ディアルガは宙を仰ぐ。
 何かを二言三言つぶやいたのだが、何を言ったのかまでは聞こえなかった。
「では、ジュプトル!」
「……なんだ?」
「ヨノワールの隣に並ぶがいい」
 言われて怪訝な顔で、ジュプトルはヨノワールとディアルガを見比べ、最後にセレビィに目をやる。
 何を知っているのだろうか、セレビィはジュプトルの目線に、軽く頷いただけだった。
 言われるがままに、ジュプトルはヨノワールの隣に並ぶ。
 その一連を、ヨノワールは怪訝な目で見つめていた。
「お前たちは、生き残れ」
「はい?」
 頓狂な声を上げるヨノワールには答えないまま、ディアルガは咆哮を上げる。
 無数の瓦礫、残った石畳、宙に浮く岩場……それらをことごとく貫き、ディアルガの咆哮はどこまでも響いた。
 その声が鳴り止んだ瞬間、ジュプトルとヨノワールは数秒の間、淡い光に包まれた。
「温かい……」
「これは……?」
「歴史は変わったが、お前たちはそれでも消えない体になった。この世界と心中しない限りは、な」
「どういうことです?」
 相変わらず怪訝な顔で見つめるヨノワールの目線を振り払い、ディアルガは彼らに背を向けた。
「私の力はこれで最後だ。ヨノワール、お前はセレビィの時の回廊で、再びあの時代で生き延びろ」
「ディアルガ様は?」
「私のことはいい。生き延びて、もう一度、ジュプトルたちとよろしくやってもらう」
「で……申し訳ありませんがお断りします! 最後まで、ご一緒させてください!」
「『どんな罰でも受ける』『どんな命令でも火の中水の中』、誰の言葉だ?」
「し……しかし!」
 ヨノワールはディアルガの脇を駆け抜け、もう一度正面で両手を突く。
「後生です! どうか、それだけは! 最後まで!」
「すまないがこれだけは絶対だ。お前たちは世界のために必要なのだ」
 ディアルガはうつむいたまま、再びヨノワールに背を向け、ジュプトルに目を合わせる。
「過去に残ったあの者は、あの時代の私が再生させた。しかしそれでも、この世界の記憶までは再生しなかった」
「あいつが……そうか」
「この世界を知り、この世界を伝えるものが、どうしても必要なのだ。特に、変えたかった者、護りたかった者、全く違う二つの目が……」
 その瞬間、三匹は一斉に空を見上げた。
 太陽が、この世界に昇らないはずの太陽が、水平線から顔を出したのだ。
「時間だ。セレビィ」
「ウフフ、こっちもオーケーよ!」
 先ほど聞こえたのとはまた音程が違う気もするが、高らかな鈴の音が響いたことには変わらない。
 ヨノワールの後ろに、光の柱が姿を現した。
「ジュプトル、ヨノワールのこと、この世界のこと、頼んだ」
「ディアルガ様!」
 言われるが早いか、ジュプトルはヨノワールの胸に飛び込んだ。
「時間が無い。早く行くぞ」
 太陽が昇った水平線とは反対方向、そちらでは、映る世界が急速にかすみ始めていた。
「ディアルガ様! ディアルガ様!」
 ディアルガは何も答えず、ただ、こちらに向かって広がってくる世界の崩壊を、ゆっくりと見つめる。
 光の柱は二匹を飲み込むと、そのままゆっくりと消えていった。
 それを感じ取って、ようやくディアルガは声を発した。
「ヨノワールよ、ジュプトルよ、今度こそ、幸せに生きてくれ」
 白く広がっていく無が、ディアルガとセレビィを包み始めた。
 二匹は静かに目を閉じた。



 切り取られたように空に浮かぶ、巨大な岩場。
 いたるところが崩れかかっているが、巨大な塔がその形をとどめている。
 頂上には巨大な祭壇、そして一枚の壁画が巨大な影を表していた。
 その前には、二匹の小さなポケモンの影が、一つの巨大な影とぶつかり合っていた。
 巨大な青い竜は前足の巨大な爪を、小さな赤い直立したトカゲに振り下ろす。
 赤いトカゲはそれをかわすと、口から体躯ほどの巨大な炎の弾丸を吐き、青い竜に浴びせる。
 そのトカゲとは青い竜をはさんで反対側、頭としりに青、両の頬に橙色のひれを持つ四足の青い小動物が泥を吐き出し、青い竜の全身を飲み込む。
 三匹とも瞳にはうっすらと笑みを浮かべ、この戦いを楽しんでいるように見えた。
 青い竜は空に向かって巨大な咆哮を響かせると、あたりの光景が急激に歪みだす。
 その時空のゆがみが、二匹の小さなポケモンを容赦なく飲み込む。

「相変わらずの腕だな」
 ディアルガは起き上がると、挟み撃ちの陣形を構えていた二匹の間から這い出す。
 二匹もそれを手伝うように、ディアルガと祭壇の正面に並びなおす。
「こっちは二匹がかりだよ?」
 泥にまみれた赤いトカゲ……ヒトカゲは、泥を払いながらディアルガに笑いかける。
 ヒトカゲは直前に地面に潜り、「時の咆哮」の難を逃れると、大量の土石を抱えて地中からディアルガに体当たりをした。
 それがとどめとなり、ディアルガは一敗地にまみれたのである。
「ふふ、謙虚な奴らだ。そこがお前たちの強さの秘訣かも知れんな」
「うーん、そう言われると……悪い気がしないな」
 青い小動物……ミズゴロウは、首をかしげながらどこか意地の悪い笑顔を浮かべる。
「まあ、それはいいんだけど……」
 それを押しのけて、ヒトカゲはディアルガの前に出て口を開く。
「私たち、今日は目的があってここに来たんだ」
「あ、そうそう」
 ヒトカゲの言葉に、ミズゴロウも思い出したとばかりにうなずく。
 ヒトカゲは祭壇に上ると、その上の複雑な文様の壁画をなでる。
「目的?」
「うん。ジュプトル、分かるかな?」
 祭壇の上からは、「幻の大地」といわれる、やはり空中に浮かんだ広大な大地が一望できる。
 遠く彼らが渡ってきた大陸も端が見えるのだが、ヒトカゲの目線は幻の大地の一角、立ち並ぶ遺跡のそばの広場にあった。
「今でもあの瞬間を思い出すと、悲しみが止まらないんだ」
「あの者をお前にしたように、この世界に呼び戻してほしいということだな?」
「うん」
 ディアルガはヒトカゲとミズゴロウを、交互に見やる。
 ミズゴロウもまた、強くねだりこむ目線をディアルガに浴びせていた。
 これではディアルガもたまらない。
 分かったとばかりにうなずくと、目を閉じてなにやら気配を張り巡らせる。
「……すまない、どうやら無理だ」
「ええ? どうして?」
 ミズゴロウは一歩前に出ると、目に涙を浮かべてディアルガを見上げる。
「あの時は、お前のこの者への悲しみがエネルギーとなり、再生させることができた。だが、今はあのときほどの感情ではないというのが一つ」
「他にもあるの?」
「ああ。どうやら、その者はどうやら……簡潔に言うなら命を失っていない」
 彼方への目線をディアルガに戻すヒトカゲ、あまりの意表に呆然と立ち尽くしていた。
 ヒトカゲは目線はやらず、もう一度壁画をさすると、祭壇から飛び降りる。
「本当に?」
「恐らくは……。どこにいるのかさえわかれば、時空ホールでお前たちを向かわせることが可能であるのだがな」
 自分の足元に飛び降りてきたヒトカゲを、ディアルガは見下ろす。
 その瞬間だった。
 ヒトカゲの瞳孔が急に狭まり、目線も焦点が合わなくなったのは。



 無数の光線のようなものが交差する亜空間。
 ジュプトルとヨノワールはその真ん中で、この歪んだ空間が現実とつながる瞬間を待っていた。
「あいつから……セリカから聞いた」
「セリカ……今はヒトカゲになったあいつか。何をだ?」
 ジュプトルから開放されたときには、故郷への扉は既に閉ざされていた。
 ヨノワールの表情は絶望で支配され、愕然と地に伏す。
 そもそも地面という概念かあるかはわからない空間なのだが、ヨノワールはジュプトルの顔を見上げると、再び愕然と顔を伏せる。
「お前につかまれて時空ホールに引きずり込まれるまで、ずっとお前のことを疑うことは無かったってな」
「疑われては仕事にならないからな」
「その割には、いろいろ必要以上なことをしたな。たとえば……」
 ジュプトルはヨノワールの肩を叩き、顔を上げるよう示唆する。
 ヨノワールがディアルガにどれほどの忠誠を誓っていたかを考えれば、ディアルガの最後の指示で気持ちを切り替えられるほど、簡単にはいかない。
 何とかその気持ちをこれから生きる世界に向けさせてやりたかったのだが……。
「セリカたちがレントラーの群れに囲まれて攻撃されたそのとき、お前は身を挺してあいつらを守った。そのあとは平静を装いながらも、猛烈な痺れに苦しんでいたこと、あいつは気づいていた」
「それは信頼を売るために……」
 ジュプトルはもう一度肩を叩き、ふっと笑う。
「いくらなんでも、お前が重傷を負ったり、命を落とすことになったりしては元も子もない。そこまでしてまで信頼を売るなんて、必要も意味もお前には無かったはず」
 そう、これから自分たちが生きる世界の者たちに、一度ヨノワールは強い信頼を売っていた。
「それは……」
 それが彼の真の姿であれば、もう一度それを引き出せばいい、迷うことは無い。
「長い付き合いなんだ、お前も本質的なところが変わってなくて良かった」
 どんなに変わったとしても、どんなに大きくなったとしても、本質は簡単には変わらない。
 どこで聞いたのかはもう忘れたが、誰の言葉かは忘れたが。
「お前も、あいつもな……」
 そうつぶやいたジュプトルの脳裏には、かつては人間であった、今はポケモンである友の姿が映し出されていた。
 本質的には、セリカはかつてと大きく変わっていない。
 だが、人間であった頃も小さくはなかったセリカへの意識が、ポケモンになられたことで完全に異性として意識するようになってしまっていた。
 セリカはもともと寝相が悪く、人間のときも一緒に寝ていたジュプトルを押しつぶすことが少なくなかった。
 そのときもどこか異性のいい匂いを感じていたのだが、あの時代に戻った最初の晩、セリカが相変わらずの寝相で抱きついてきたときには、本当に理性が壊れるかと思った。
 まさかどうこうするわけにもいかない、やっとの思いで外に這い出すと、ジュプトルは外で時間を潰すことにした。
 その瞬間、ジュプトルの脳裏に猛烈にそのときの匂いが浮かび上がった。
 雄の感情を猛烈に掻き立てる甘い匂い……それが浮かんだ瞬間、ジュプトルの中の本能が猛烈に目を覚ました。
「セリカ……」
 下腹部の辺りが猛烈に熱くなるのが感じられた。
 その時には、それまで力なく収納されていた性器が、徐々に活動を開始していた。
 見られてはいけないと、慌ててジュプトルはヨノワールに背を向け、距離をおく。
 ただでさえも人間よりも性欲が何倍も強いポケモンが、あの晩から既に一週間以上。
 その間処理せずにいたものは、すでにジュプトルの中で燃え上がっていた。
 猛烈に力を増した肉棒を、ジュプトルは痛みと衝撃のあまり思わずわしづかみにする。
「あ……うあ……」
 それからすることは、あの晩と同じだった。
 手の位置はそれで固定したまま、セリカの匂いを、姿を思い起こしながら、腰を猛烈に前後させ始めていた。
 すでに、相手がかつては人間であったとかなど、どうでもよくなっていた。
 ただ、自分の脳裏によぎった感覚、それが自分の求めていたものに相違ない、その事実だけが、ジュプトルを激しく突き動かしていた。
 腰まで貫くかというほどの刺激は、確実にジュプトルの全身を蝕んでいた。
 下腹部の奥からこみ上げてくる、痺れにも似た熱い感覚……確実に吹き出す時が近づいていたのが分かった、その瞬間だった。
「何をしているんですか?」
「んぐっ!」
 背後からの突然の声。
 快楽の最中に……。
 ジュプトルはまるで心臓を抉り取られたかとさえ思えるほど、驚きのショックに感情を支配されていた。
 と、同時に、陰茎の先端から垂れ下がる粘液に気がつく。
「あ……」
 どうやら、ヨノワールからもたらされた驚愕、それと同時に射精してしまったらしい。
 射精の瞬間の快楽は腹には残らず、ただ放たれた精がひずみのような時空の流れに飲み込まれて、消えていく一瞬の様だけが残った。
 どれだけの量を放ったかも、これでは分からない。
「一番大事なところで……」
「はぁ……それは……」
 ジュプトルはようやく萎え始めたペニスを振るい、垂れ残った精液をはじき落とす。
 苦々しい表情を浮かべながら振り返ると、そこにいたヨノワールは、先ほどとは全く違う表情を浮かべていた。
「なんだかんだで……いいですね、若いのは」
 いきなり何を言い出すのであろうか?
 しかし、ヨノワールの表情は、敵を見る憎しみのものでも、変態を見る呆れのものでもなかった。
 その言葉に裏表無いとばかりに、その一つ目で、器用にほほえましげな表情を作っていた。
「お前な……」
 肝心な快楽が得られなかったやるせなさと、自分のこの姿に平然とされたことの呆れのあまり、それ以上は何もいえなかった。
 安堵の余地があったとばかり、言おうとも思わなかったが。
 ふと、何を感じ取ったのだろうか、亜空間の奥に目線を送る。
 わずかだが、確かに風の流れの感覚があったのは、今までとは違う。
 そこには、一定の規則にしたがっているこの空間の光景とは明らかに違う光が見えた。
 その光は、確実にこちらを目指してその範囲を広めつつあった。



 黒紫色の渦から、二匹のポケモンが転がり落ちてきた。
 祭壇の下に引っかかり、ようやく動きが止まった。
「ジュプトル!」
「ヨノワールも!」
 ぶつけたのだろうか、頭や腕を押さえながら、やっとやっとで立ち上がった二匹に、小さい二匹が駆け寄る。
「うう……ここは?」
「時限の塔の頂上だ」
 ディアルガは二匹を尻目に、亜空間への入り口を閉ざす。
 その瞬間、ジュプトルははっとなり、自分の股間にさりげなく目をやる。
 幸い、海綿体の膨張は何とか収まっており、ジュプトルの雄は目立たない形に収縮されていた。
「ヨノワールは……多分もう大丈夫だ」
 それに安堵すると、ジュプトルは次に、ヨノワールの弁護に回った。
 その一言で、ヨノワールははっとした表情で二匹を見る。
 二匹の目線は時折はこちらを向くが、主は帰還したもう一匹の英雄に注がれていた。
「うん、セリカが『時空の叫び』で全部見ていたって」
「ぜ、全部?」
 その一言に、ジュプトルの心臓は猛烈に高鳴った。
 まさかよりにもよって、自分の自慰の場面が見られたのではないか?
 そういえばセリカのこの能力は、未来でのものとは違う、過去や未来を見通せるものであることを、ようやく思い出した。
「うん、未来世界に落ちてから、ジュプトルがヨノワールともう一度時の回廊に飛び込むまで、そして未来世界の崩落、そこまで全部、ね」
「そうか」
 それを聞いて、ジュプトルは胸をなでおろす。
 その隣では、ヨノワールが二匹に気づかれないように吹き出してるのが見えて、少々腹立たしかった。
 しかし、腹を立ててる暇など無かった。
「この!」
「ぐっ!」
 セリカはジュプトルの胸に飛び込み、その勢いで押し倒す。
 突然体に飛びついた、理想の相手の放つ匂いに、あと一歩間違えば、確実にジュプトルの雄は再び発動していたであろう。
「馬鹿! 馬鹿馬鹿!」
 ジュプトルの腹の上から相手の両肩をつかむと、セリカはそれを激しく揺さぶる。
「やめ……! 俺が何をした!」
「いなくてずっと寂しかったんだよ! 女の子を寂しがらせるなんて、男のすることじゃないよ!」
 そのわきから、ミズゴロウもなにやらにやけた顔で、ジュプトルに近づいてきた。
「責任、きちんと取ってね」
「ちょっと待て! 俺はいつからお前らとそういう関係になった?」
 ジュプトルはセリカを押しのけ、ようやっと起き上がるが、すぐに今度はミズゴロウまでが加わり、両肩をつかんで押さえ込む。
「サメハダ岩に帰るよ。全てはそこで処理させてもらうから」
「わかった! わかったから放せ!」
 ジュプトルは必死に叫ぶが、左右の二匹は両肩をしっかり押さえつけ、既に抵抗できない状態だった。
 二匹に抱き上げられて、全ての抵抗が無に帰する体勢を取らされた状態のまま、ジュプトルは二匹に運び出された。
「うらやましいですね」
「ああ。連中、若いな」
 その後ろを、ヨノワールとディアルガは微笑みながら見送った。
 ディアルガにとっても、時間を操る力を持つためか、もう一つの未来での忠臣には、どこか心許せる感じがあったらしい。



 ジュプトルの帰還に沸きあがったトレジャータウン、その歓喜をよそに、セリカとミズゴロウはジュプトルを引き連れ、サメハダ岩に到着した。
「さーて、お楽しみのお時間がやってまいりましたー」
 干草のベッドにジュプトルを下ろす。
 仰向けの体勢をとるようにしているのは、最初から計算ずくだった。
「俺を……どうする気だ?」
「安心して。悪いようにはしないから」
 なおも抵抗するジュプトルを押さえながら、セリカはジュプトルの胸の上へと体重を移し始めた。
「だめだよ、逃げちゃ」
 言うが早いか、セリカは床に手を当てると、なにやらエネルギーか何かの淡い光の霧を指先から放ち、地面に送り込む。
 その瞬間、ジュプトルの足の周りから土砂が飛び出し、容赦なくジュプトルのひざから下を拘束した。
 身の回りのものを操る技、「秘密の力」である。
 セリカはジュプトルと胸をつけ合わせると、その両頬に手を当て、顎の角度を調節し、舌を相手の口に滑り込ませる。
 ジュプトルは慌てて振り払おうとするが、両手でがっしりと押さえられていては、セリカの舌が口の中で暴れるのを手伝うだけである。
「ん、ぐ……」
 完全に口をふさがれて、もはや何と言っているかなどつかむことはできない。
 おそらくはこの状況、抵抗の意思を表したいのだろうが。
「ジュプトル、覚悟してもらうよ」
 そんなジュプトルの意思を知ってか、ミズゴロウは土砂で固められた二本の脚の間に顔を突っ込む。
 そして、今は収納され、わずかに突き出ただけの部分に、根元から先端まで一気に舌を走らせた。
「ぶっ!」
 その衝撃は半端なものじゃない。
 ジュプトルの口の中に大量に流れ込んできていたセリカの唾液だが、その勢いに激しく突き上げられたジュプトルは、自分の分と合わせて一気に吹き出す。
 口と口の隙間からの噴水となり、唾液はジュプトルとセリカの顔面を勢い良く濡らす。
「……っ、ジュプトル、汚い」
 そう言い放つセリカだが、表情に全く怒った様子は無い。
 一方のジュプトルは、こちらは余裕の方が全く無かった。
 性器から全身を貫く快楽という名の衝撃に、既に言葉さえも失いかけ、勢いはその一点に猛烈に流れ込んでいた。
「やめろ! お前らをけがしたくない!」
 そんな猛烈に本能に勢いを奪われていく中で、ジュプトルは最後の力で叫んだ。
 セリカは暗黒の世界の記憶を失い、純粋で素朴なポケモンたちの世界での日々だけが、その記憶の中だった。
 ミズゴロウもそんな世界の原住民である、それに対して、自分は暗黒の汚泥の中で生まれ、育った。
 その純粋な彼女たちには、いつまでも純粋な姿を保ち続けて欲しい、ジュプトルにはそんな思いがあった。
「そんなこと言う権利、あるとでも思ってるの?」
「ジュプトルがいなくなって、私たちがどんな思いでいたかわかってるの?」
 そんなジュプトルの思いは、ほかならぬ彼女たちによって踏みにじられようとしていたが。
 ミズゴロウはジュプトルの性器を解放した。
 だが、彼女たちは妖艶な笑みを浮かべると、ジュプトルに聞こえないように、何かを相談し始める。
 それはものの数十秒でまとまり、ようやく衝撃の余韻が収まって、目を開けることができるようになったジュプトルの前に、二匹は顔を並べる。
「ジュプトルにとって私たちはあんなふうに悲しませてもいい存在なら、首横に振って。そうじゃないなら縦ね」
 圧倒的だった。
 二匹の自分への圧倒的な肉迫に、ジュプトルの心臓は猛烈に縮む。
 なんとか気持ちを落ち着け、今の質問を脳内で再生させ、首を縦に振る。
「そっか……」
 自分とて、好きで悲しませたのではない。
 彼女たちを大切に思ったからこそ、あんな無茶な行動に出たのである。
 だが、彼女たちはその笑みの妖艶さをいっそう強め、顔を赤らめた。
 セリカの方など、元から赤い顔のヒトカゲで、わかりづらいと言うのに、それでもはっきりとわかる赤らめようであった。
「それは、両方に対して?」
 ジュプトルに怪訝に思わせる暇は無く、ミズゴロウはすぐに次の問いを下す。
 この問いにも頷いたジュプトル、セリカも元々大事な存在であったのだが、ミズゴロウの方も、今は大切な仲間である。
 だが、その答えがどのような結果を招くことになるかなど、今のジュプトルには知るよしは無かった。
 二匹はジュプトルの顔から離れると、今度はその二本の足の間に顔を突っ込む。
「それでも私たちを悲しませたのは事実、その分きちんと苦しんでもらうからね」
「な……」
 それ以上、ジュプトルが話すことはできなかった。
 生温かくじっとりと湿った柔らかいものが、少々落ち着きを取り戻しつつあったジュプトルの性器の両側を激しく走り始めたからである。
「が……うあ……」
 まさかの二匹がかりの手当てであった。
 ジュプトルの下腹部にたまった熱いものは、徐々にだが確実に突き上がりはじめる。
「あ……うあ……出る……!」
 確実に目の前まで迫ってきていた射精感。
 ジュプトルに刺激を送り続けている二匹も、確実にそれを感じ取っていた。
 その瞬間、二匹はジュプトルの性器から、一気に舌を離す。
「まだ出しちゃ駄目だよ」
「あ……あ……」
 唐突に停止した衝動。
 中断への不満さ、飲み込まれていく精液。
 ジュプトルの腹部には苦痛だけが残った。
 だくだくと漏れる先走り、しかしそれでもジュプトルの体にたまった毒気は、本体のほぼ全てをとどめている。
 これを抜くまでは、おそらくずっと苦しみ続けるであろう。
 ジュプトルは思わず性器に手を伸ばそうとするが、その手は悪魔のような笑みを浮かべた二匹に阻まれる。
 そうしている間にも、徐々に精液は飲み込まれていき、性器の勢いは失われていく。
 ジュプトルの性器の角度が下がり始めた、その瞬間だった。
「が……うああ!」
 再びジュプトルの性器に、二匹の容赦ない攻めが始まる。
 刺激を与えられ続け、しかし肝心なとどめがないため、達する寸前で止められる。
 たまった毒気の量は猛烈に増えていくも、それを出すことは許されない。
 彼女たちは、実はここまでサディストであったのだろうか?
 ジュプトルの地獄のような苦痛は、一時間以上続いた。
「さて、そろそろおしまいにしてあげようか」
「いつまでもこんな状況続けられてちゃ、いくら責任でも釣り合わないよね」
 セリカとミズゴロウはジュプトルの性器から離れると、片手を相手に差し出す。
 セリカは手を大きく開き、ミズゴロウは前足に近い手で器用に拳を握っていた。
 物事を公平に決めることのできるじゃんけんだが、ポケモン同士だと成立させづらいことも多いのである。
 もっとも、今は成立させるのには問題が無いのだ、勝ったセリカは目を細めて喜び、負けたミズゴロウはうなだれてまぶたに力を込め、笑い混じりで悔しがった。
「じゃあ、最初は私が貰うね」
「うん、じゃあ、次から二連続で出してもらうね」
「くっ……」
 この話からするに、散々虐め抜かれて溜めさせられた次は、最低でも三度は抜かされるらしい。
 この間もびくびくとけいれんして、雌を求め続けるだけの自身の雄の単純さが、とても疎ましくてならなかった。
「さて、じゃあお待ちかね、解放してあげるね」
「ぐ……」
 何を言いたいのか、何を伝えたいのか、ジュプトルはわずかに顔を上げる。
 そこでは、いつもの自慰の時とは比べ物にならないほどに大きくなり、血管が浮かんだ自らの雄がそそり立っていた。
 セリカはジュプトルの先端を引き下ろし、自らの割れ目にあてがう。
「ぐあああぁぁぁ!」
 彼らが楽しみを行っている場所は、外から見ると凶悪さ漂うポケモンの顔に似た、岩の口の中なのだが、そこから悲鳴が響いては、何か岩が命を持ったようにも思えてならないであろう。
 セリカがジュプトルの雄で、自らの処女を突き破った瞬間だった。
 ジュプトルの断末魔には甲高さまでもが加わり、同時に下の雄の口からも大量の液が吹き出す。
 無理やりに押さえ込まれ続けていた上、今回は示威と比べられる刺激の強さではない。
 その量は半端ではなく、しかも一発目が出終えた後も、心臓の鼓動に合わせて何度も何度も吹き出した。
 およそ一分近く……ジュプトルの体からは一気に力が抜け、顔は横に投げ出される。
 セリカも体をジュプトルの上に、ゆっくりと倒す。
 終わった……終わってしまった。
 ジュプトルの性器は一気にしぼみ、セリカの雌の口から抜け出す。
 その瞬間、自身の上に乗っていた体重が、急に姿を消す。
「じゃあ、次いこうか」
 忘れていた……。
 ジュプトルはこれ以上はどうする気力もわかずに、がく然としたままミズゴロウに性器を明け渡す。
 流石に一度射精した直後だけあって、その場所はとても敏感になっていた。
 一度力が抜けたはずなのに、ミズゴロウの舌からまたしても与えられる刺激で、ジュプトルは雄の部分だけは勢いを取り戻した。

 暗黒の未来を見た彼らは、時移ろいゆくことのかけがえの無さを知っている。
 その中でも、絶対に変わらないものがあることも、心に刻んでいる。
 新たなる未来を刻むべく、生き続ける彼ら。
 そのDNAを持った子供たちもまた、二つの未来を伝えていくのであろう。


よろしくお願いしますなのです。

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  • 初書きかと思いきや、ベテランさんだったのですね。――道理で上手い訳ry
    セレビィが若干空気なのが(絡みに混じってないのがw)寂しかったですが。
    凄く・・・素晴らしいと、思いました・・・。 -- ? 2009-04-16 (木) 13:52:25
  • 関節技が得意(思い込み)なジュプトル兄貴好きがここにも……空の探検隊でこの物語とは違う道を歩むことになりますが、どんな道を歩んでもジュプトル受けだとツボで(腕ひしぎ十字固め
     貴方なりのキャラ愛を感じました。GJです。 -- リング 2009-04-16 (木) 22:18:42
  • 既存のキャラクターを小説で使うのって結構難しい印象があったんですけど。
    ジュプトルやらヨノワールやら、口調や行動などに違和感なく読み進めることができました。
    主人公二人がどちらも雌、というのは少々予想外でしたけどこれはこれで……悪くないものですね。
    数々の修羅場を乗り越えてきたであろうジュプトルも、二人掛かりの攻めにはたじたじのようですね。  -- カゲフミ 2009-04-17 (金) 19:01:53
  • >類様 ジュプトル×セレビィの声、多いんですかね?
    俺的にはジュプトル×♀主人公(今回は♀パートナーつきですがw)なので、こういう感じになっちゃいましたがw
    >リング様 関節技、間接じゃなくて関節www
    ちょっとチキンやってしまって今まで出て来れませんでしたが、空の探検隊までに出てこれて良かった(((
    >カゲフミ様
    既存のキャラクター、どうもこちらでは全く使われてなかったので、規約か何かで禁止されていると思い、何度もトップページ読み返してしまいました(
    ゲーム中ではパートナーミズゴロウは♂なので、この絡みは創作でしかありえないのが残念なのです><
    修羅場をくぐってきたのは主人公もパートナーも一緒でしょうから、こうなるともう犯されまくるしかないのですwww
    それでは、皆様ありがとうございました^^ -- くらふたー ? 2009-04-19 (日) 12:48:35
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Last-modified: 2013-03-27 (水) 00:00:00
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