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月夜の空に-時雨-

/月夜の空に-時雨-

MMH``F

注意!

この作品には官能的な内容、特殊プレイ(BL)が含まれます。苦手なプレイがある方は反転してご確認ください。ただし、ネタバレ要素が含まれているのでご注意ください。
18歳以下の方はご遠慮ください。

シリーズ3作品目です。文章力は上がっているのでしょうか?
楽しんでいただけるとうれしいです。




 
今日は、雨だ。

最近はずっとこのような天気が続いている。
「はぁ、雨やまないかな……」
僕が何気なく窓の外を見ながら呟くと隣にリーフィアのグリアが近づいてきた。
「イムル!そんな暗い顔しないで!」
「そんなに暗い顔してたかな……?」
「してたよー」
「そうかな……なんでわかったの?」
僕が尋ねるとグリアは笑顔を向けて言った。
「だってずっとイムルのこと見て……」
「ちょっと、お二人さん?目の前でイチャつかないでくれる?」
グリアの言葉を遮り、斜め後ろでソファに座っていたエーフィのソーレが少し棘を持った言葉を放った。
「別に、イチャついてなんかないよ。ねっ」
「え?ええと?なんで僕に振るの?」
「ふんっ。まあいいわよ。好きにしてれば」
……ちなみに僕とソーレは未だに2言3言ほどしか会話をしていない。
 
実はあの――僕とグリアが交じ合った――後にソーレがご主人(メイロウ)を連れて落ちてしまった穴から助け出してくれた。
ソーレにお礼を言った後、何故ここがわかったのかと聞くと
「……ただエスパーの力を使っただけよ」
と言われただけで突き放されてしまった。
それからもあまり僕と話してくれない。
寂しいと思いつつもどう解決して良いのかわからず、今に至っている。
逆にグリアとは仲良くやっている。
もちろん一度交じ合った仲だし……もともと明るい性格なのでよく話してくれている。
でも、どうしてもグリアよりもソーレのことを意識してしまう。
こんなごちゃごちゃした気持ちは嫌だ。
一度だけご主人に相談したことがあった。もちろんソーレやグリアと交じ合ったことまでは言っていないけれど。
そしたらどこまでわかっているのかは知らないが
「そりゃ修羅場だな」
と言って哀れみと多少の嫉妬の念が混じった目を向けられたのは覚えている。

ここ最近はそんなことだけだ。
他に目立って何かがあるわけでもなかった。

そんなことを思っていたとき。

――――コン、コン

「……ん?」
誰かがドアを叩く音がした。
こんな雨の日に、と思ったが今はご主人が部屋に篭っていたので仕方なく僕が出ることにした。

「はぁい?」
僕は返事をしながらドアを開けた。
その瞬間――――

「うわあ!?」

いきなり青っぽい塊が僕の方へと倒れてきた。





「す、すみません……ありがとうですぅ」
そういって謝るのは、青っぽい塊――――シャワーズだ。
「大丈夫だよ」
僕はそう言ってシャワーズの前に温かい紅茶を出した。
「ありがとうございます」
シャワーズはその紅茶を受け取って可愛らしい笑顔を見せてくれた。
「それで……あんたは何なの?」
そう不機嫌そうにソーレが質問した。
「あ、まだ自己紹介がまだでしたね……ボクの名前はオウターっていいますぅ」
「そっか、僕の名前はイムルっていうんだ。よろしくね、オウター」
「私の名前はグリアよ!よろしくね!」
グリアはそう言うや否や、オウターの前足を握って上下に振り回した。
オウターは困った顔をする訳でもなく、されるがままになっていた。
「ちょっと、グリアやりすぎ。あ、あとそこにいるのは……」
僕はそう言いながらソーレの方へ顔を向けた。
ソーレは嫌そうに顔を歪めたが、無愛想に答えた。
「……ソーレ」
「……だそうです」

「それで?オウターは何でここに来たの?いきなり倒れたからびっくりしちゃったよ!」
「それは……」
オウターは少し悲しげな顔をした。
「あ、いや、嫌なことなら無理に話さなくっても大丈夫だよ?」
グリアが慌てて言ったが、オウターは首を横に振った。
「いいえ、大した事じゃないんです。ただ……」
オウターはもう一度だけ悲しげな顔をして、言った。


「つい最近、ボク、ご主人様に捨てられてしまったんです……」


「え……」
「そんな……」
「ボク、生まれた時からずっとご主人様に育てられてきて……捨てられるまではろくに外に出たことも無くって、一人で生きていく術なんて知らないんです……それで、歩き疲れて、お腹が空いて、もう駄目かなって時に……この家を見つけたんです。気付いたらドアを叩いていました」
オウターは自虐気味に微笑んだ。
そんな酷い話があるのか?
何も知らない外の世界に放り出されて、不安にならない筈がない。

「な……っ!?」
「!?」
僕は頭で考えるよりも先に、オウターのことを抱きしめていた。
目の端でソーレとグリアが驚愕の顔を浮かべているのが見えた。
……また怒られるんだろうか。
そう思いながらも僕はオウターの顔をまっすぐ見て言った。


「それなら、ここで一緒に暮らせばいいよ!」


「はあぁ!?何言ってるの?まだ知り合って数十分の相手に!」
「そ、そうだよ!」
ソーレの言い分にグリアも賛成した。
「そんなのは、関係ないよ」
「でも、まだあの人間の許可も得ていないのに!」
「大丈夫だよ、ご主人なら」
「何の根拠があってそんなこと……」
ソーレがそこまで言った時、こちらへ向かう足音が聞こえた。

「どうしたー?何か騒がしいが……ってシャワーズ!?何で?」
「ご主人、理由は後で言うから。この子……オウターって言うんだけど、ここに一緒に住んでもいいよね?」
「理由は後なのかよ。まあいいけど……」
ご主人はそう言いつつ、オウターをじっと見た。
そしてその後にやっと笑った。
オウターは何を感じたのか、肩をビクッと振るわせた。
「いいんじゃないか?部屋は有り余っている訳だし」
「本当!?」
ご主人は笑いながら言った。
「ああ、部屋はまた適当に決めといてくれ。……それに」
ご主人は僕に向かって言った。
「新しい要素だしな」
「は?」
ご主人は意味不明な言葉を残して去って行った。


「何で」
「え?」
僕がソーレの声で振り向くと、ソーレが勢い良く叫んだ。
「あんたはいつもいつも、そうほいほいと他の女を!」
「な……誤解だって!」
僕は何とかリビングを出て行こうとするソーレを止めた。
「何よ!あんたなんか、また新しい女と……」
「あ、あのぅ……」
その時、オウターが気まずそうに口を挟んだ。
「何!?」
ソーレはもの凄く怖い顔でオウターの方へと振り返った。
……ソーレさん、怖いです……
オウターはそんなソーレの顔に怯えながら、小さく言った。

「あの、誤解しているみたいなんですけど……ボク、こう見えても、雌じゃなくて雄ですよ……?」



「ふぅ……」
僕は安堵のため息をついて自分の部屋のベッドに座り込んだ。
オウターが衝撃の告白をした後、ソーレはなんとか機嫌を取り戻してくれた。
オウターは与えられた僕の部屋の斜め右にある部屋を見ていることだろう。
何故か少しの間でどっと疲れた気がする。
何であんなに可愛い顔をして雄なのかが僕には理解出来ない。
「雄にも色々いるんだなぁ」
僕がそう呟いた時、部屋のドアがノックされた。
「はい?」
「あ、えっとイムルさん……見てきました。その、いい部屋です……」
と、ドアの向こうからオウターの声が聞こえてきた。
な、何でドアをノックしたのに入ってこないんだろう?
「オウター、別に入ってきてもいいんだよ?」
僕がそう声を掛けると明らかに動揺した声が返ってきた。
「ふぇっ、や、そんな……だって、イムルさんの部屋ですよ!?」
「だ、だからどうした?」
「なんというか、恥ずかしくないですか?」
「は?」
何故部屋に入ることが恥ずかしいに結び付くのかが分からない。
一体どこまで恥ずかしがりなのだろう。
仕方がないので僕がドアを開けてあげた。
「ふわっ!?」
「ほら、いいから入りなよ、ね?」
「でもでも……」
「僕は何もしないからさ。大丈夫だって」
「え、あ……」
今、オウターがぼそっと何かを言った気がした。
「ん? 何か言った?」
「いえ!失礼します!」
オウターは顔を真っ赤にして、僕の部屋へと入っていった。

「ふぁ……あまり物を置いていないんですね……」
「ん?まあね……だって僕あんまりこの部屋にいないしね」
オウターは興味ありげに部屋を見回している。
そんなに見るものがある訳でもないのだけど。
「そういえば。オウター、なんか必用な物はない?」
「必用な物?」
「うん、だってこれからここに住むんだし。色々買い出しに行きたいと思ってるんだ」
日用品や家具などが無い訳ではなかった。
しかしソーレ、グリアと続けざまにやって来たのでもうオウターの分はほとんど無いに等しかったのだ。
新しいシーツに新しい食器とか。
確かもう食器が足りなくなってしまうはずだ。
「か、買いたいもの……」
「何でもいいよ。言ってごらん」
僕がそう促すも、オウターは口をもごもごさせるだけだった。
「ほら、遠慮しないで!もう僕らは家族同然なんだからね」
「え……か、ぞく?」
オウターは驚いたように目を見開いた。
「そう、ね?」
僕はそう言ってオウターに笑いかけた。
続きを言わなくてもわかってくれたようだ。
「じ、じゃあ……あの……小さなクッションとか欲しいです」
「よし、決まり!明日、もし晴れたらご主人に言って町のデパートに連れていって貰おう」
「はい!」
オウターは僕の決定に対して満面の笑顔で答えてくれた。




翌日、昨日の豪雨が嘘のように綺麗に澄んだ空が広がっていた。
僕は早速オウターと二人でご主人のところにお願いしに行った。
「ねぇご主人、突然だけど隣町のデパートに連れていってくれないかな……?」
「隣町のデパート?何でまた?」
「日用品とか足りなくなってきたでしょ?だからデパートがいいんだけど」
ご主人はうーんと唸って考えていた。
これは駄目かな?
そんなことを考えていると隣にいたオウターが少し動いた。
「あ、あの……駄目、ですか……?」
……見事な上目遣いだ。
まぁ僕たちのほうが背は低い訳だから上目遣いになるのは仕方がないことだけど。
「うぁー……やられたわー」
ご主人が顔に手を当て……じゃなくて鼻を摘まんでいるので鼻血でも出そうなんだろう。
「俺、アッチの方に目覚めそう」
「ご主人、顔が気持ちわ……にやけてるよ」
「おい、今本音が出たぞ」
「えっ、や、気のせいだよ!」
「ケッいいもん、いいもん。イムルに気持ち悪がれてもこれっぽっちも痛くないから!」
あぁ、ご主人が拗ねてしまった。
「あ、あの……それで、連れていっていただけるのでしょうか……?」
オウターが心配そうにご主人の顔を覗きこんだ。
「ああ、勿論さ!」
ご主人は鼻血を垂らしながら清々しい笑顔で右手の親指を立てた。
「本当ですか!」
「おう!じゃあまずフライアーを頼まなくちゃな」
「フライアー?」
オウターは不思議そうに首を傾げた。
そうか、オウターはフライアーを知らないのか。
ご主人も気づいたのか、フライアーというものの説明を始めた。
「フライアーっていうのはな、電話で頼べばひこうタイプのポケモンが家の前まで来てくれて、色んなところにそらをとぶで連れていってくれるシステムのことを言うんだ。ひこうタイプを持っていない人にとっては凄く便利なんだ」
「へぇ……そんなシステムがあったんですか……」
「そ、結構手軽だし」
何故かご主人が得意気に行った後、電話のところへ行き電話をかけていた。

そこへ、ソーレとグリアがやって来た。
「どうしたの? どっか行くのー?」
「あぁ、うん。隣町のデパートに……」
僕がそう言うとグリアは頬を膨らませて言った。
「ずるいずるい!私も行く!」
「え、あっ……」
「まあ、イムルがどーしてもって言うなら行ってあげてもいいわよ」
「それは……」
「い、い、わ、よ?」
ソーレが言葉を区切り区切り言ってきた。
なんか怖いよー……。
「ん?お前達も行くのかー?」
「「もちろん!」」
グリアは元気よく、ソーレは勢いよくご主人へ言った。




「さて……やっと着いた訳だが……」
ご主人はため息混じりで財布の中身を見た。
フライアーを2匹分頼んだので、だいぶかかってしまったようだ。
そんなご主人の財布の中身の話を知ってか知らずか、オウターとグリアは上を見上げっぱなしである。
「うわぁー、建物高ぁい!」
「すごいですっ、こんなに背の高い家が沢山あるのですかぁ」
オウターが口を開けたまま呆然とそう言うので、ちょっと間違いを訂正してあげることにした。
「違うって。これ全部が家って訳じゃないよ。ビルだったり、デパートだったり……」
「それでも凄いですぅ」
オウターは上を見ながら歩いていった。
ああ、危ない気がするんだけど……
僕が注意してあげようとした時、案の定……

「痛ぁっ」
「……?」

誰かとぶつかってしまった。
「わあぁっすみません、すみません!」
オウターがぶつかった人へ必死に謝っている。
なんだかテンパっているようなので僕も行って謝ってこよう。
「あの、ぶつかってしまったようで……すみません」
僕がそう言うと、その人は顔を下げて笑って言った。
「いや、平気さ」
そう言った彼の目は、濃い色のサングラスに阻まれて見れなかったが、何故かその笑顔を見たとき怖いものを見たように背筋がゾッとなった。
その男はオウター、僕の順で見たあともう一度笑って人混みに紛れて去っていった。

「……」
「やってしまいました……すみません……」
「あ、いや……気にしなくていいと思うよ」
オウターはあの男から何も感じなかったのか、男が去った方を心配そうに眺めていた。
あの男は……一体……。

「おーい、何やってんだぁ!置いていくぞ!」
ご主人の呼ぶ声がする。
そうだ、僕らはデパートに買い出しに来ていたんだった。
さぁ、オウターと一緒にご主人の所に行かなければ。




デパートは人とポケモンが入り交じって多少混雑していた。
入口の右隣には小さめのフードコートがあった。
ご主人はその一区画に座って僕らに言った。
「さぁ、こっからは自由に見てきていいぞ!俺はここに居るからな。買いたいものがあったら一時間後、ここに集まってくれたら一気に買うから」
「ご主人は行かないの?」
「俺は疲れた!そこのラーメン食ってる!」
「……そっか、じゃあここにいて、食べてていいよ」
「言われなくとも」
ご主人はマイペース過ぎるんだよなぁ……。
さて、じゃあ見て回ろうかな……。
僕がそう思って振り返った時、後ろにソーレ、グリア、オウターの3匹がこちらを見ていた。
「……?どうしたの、皆?」
そう聞くと、最初に答えたのはグリアだった。
「私、イムルと見て回りたい!」
「え?」
続いてオウターが、
「ボクも……イムルさんと一緒がいいです……デパート、よくわからなくて」
2人の言葉を聞いてから少し遅れてソーレが口を開いた。
「……私、も……いや、何て言うか……に、荷物持ち!そう、荷物持ちに来てちょうだい!」
何故言い訳のように言うのだろう……。
「じゃあさ……皆一緒に行くのは?」
僕が言って、少しの沈黙の後。
「うぇ……イムルってまるで女心を分かってないんだから」
「はい?」
グリアが不機嫌そうに言った。
「ね、ねぇ女心って……?」
「ねっイムル、向こうのほう面白そうだよ!」
「ちょ、グリア!?まって!」
グリアはくるりと向きを変えて走っていってしまった。
うーん、よくわからない……。
「イムルさん……行きましょう?」
「ほら、はやくしないとグリアが見えなくなっちゃうわよ」
ソーレの言う通り、グリアはもう人混みに紛れて見えなくなっていた。
「あ、本当だ……じゃあ行こうか」
僕達はグリアを追って人混みの中へと入っていった。





そうして、デパートを回ることになった僕らはまず食器などが置いてある場所に来た。

「うわー…綺麗!」
グリアが小さな硝子細工をみて感嘆の声をあげた。
「そんなに顔を近づけないほうがいいわよ。もしかしたら、割れちゃうかも……」
「ふぇ!?」
ソーレが意地悪く言うとグリアは急いで飛び退いた。
……そっちのほうが危ない気がするが。
「それで、オウターは何が欲しい?」
僕がオウターの顔を覗き込むように聞くと、少し驚きながらこちらを向いた。
「はっ、はい?」
「だから……何か欲しいものあった?」
「え、えっとですね……」オウターはしばらくその場でキョロキョロした後、困った顔をこちらに向けてきた。
「うー…ここにはないですぅ」
「そっか……」
「じゃあ、次行きましょ」
「わーい、次!」



そうして、僕らは次に寝具・カーテン売り場に来た。
「そういえばオウター、小さいクッションとか欲しいって言ってなかった?」
「そうですねぇ……凄くふわふわしたのがいいです」
オウターは小さく笑って言った。
たまにオウターの性別を疑いたくなる。
「あ、これなんかどう?」
そう言ってグリアが差し出したのはオタマロの形をしたクッションだった。
なんと言うか……ぶさかわの部類に入る気がした。
「えっと……かわいい……ですけど……ボクはもっとシンプルなほうが……」
ほら……オウターが困ってる。
「いや、絶対かわいい!オウターに似合ってるよ!」
なんだかグリアがごり押ししてくる。
目は本気だ。
「え……あ、え……?」
「かわいいよ」
「は、はい……」
……買うことになったみたい……
グリアは凄く嬉しそうだけど。
「……お疲れ様」
ソーレがオウターの肩に前足をそっと置いた。



そうこうしているうちに、だいぶ時間がたったみたいだ。
僕達はデパートの半分くらいは見たと思う。
ご主人が待ちくたびれていることだろう。
そろそろ帰ってあげないと面倒くさいことになりそうだし。
「あ、じゃあ皆そろそろ……」
「あ、あの!」
僕が皆に帰ろうかと言おうとしたとき、オウターが僕の足をつかんだ。
「どうした?」
僕が聞くと、オウターは恥ずかしそうに小さな声で言った。
「あ……あのう……ボク、その……」
オウターは後ろ足を擦り合わせてもじもじさせていた。
「……もしかして、トイレ?」
「……は、はい」
そんなこと恥ずかしがらなくていいのになぁ。
でもまあ、オウターの性格から言うとしかたないのかな?
「それで、どうしたの?」
「あ、あの……つ、着いてきてく、くれませんか!」
「え?トイレに?」
「はい……場所がよくわからなくて」
「そっか、いいよ」
僕はソーレ達の方に向かって言った。
「あ、ソーレ、グリア。僕らトイレに行ってくるね」
「オッケー、先に行ってていい?」
「うん、すぐ行くから」
そう言って、僕らは二人と別れてトイレへと向かった。




そこから僕の人生の中で一番長いトイレが始まることを、僕はまだ知らなかった。




「うーん……トイレってどこだ……?」
トイレを探してはや10分。
なかなかトイレが見つからない。
何故かって、トイレの看板が全然ない。なんて不便なデパートなんだ……このままだと後でまたソーレにぐちぐちいわれそうだ。
そういえばこのデパートのトイレを使ったことなかったような。
僕はため息をつきながらオウターの方を見た。
「大丈夫?オウター」
「あっ、はい……!大丈夫ですぅ」
オウターは我慢しているのか後ろ足をもじもじさせていた。
早くトイレを見つけなきゃ。
すると奥の方にトイレらしきものが見えた。
「あっ、オウター!あれトイレじゃない?」
僕がトイレを指し示すと、オウターの顔が少し明るくなった。
「本当です……!いきましょう!」
オウターは僕を引っ張ってトイレへ駆け込んだ。
トイレは掃除が行き届いていて綺麗だ。何処かの高級ホテルのトイレみたい。
オウターが焦ったように僕を引っ張っていた。
そんなに我慢してたんだな……。

と僕が思ってたのも束の間。

オウターは僕を引っ張ったまま個室に入っていった。
「えっ!?」
オウターは手早く僕を蓋の閉まった便器に座らせたかと思うと直ぐに鍵を閉めた。
「えっえ!?オウター、ちょっと!」
オウターは無言のまま僕の下半身を探った。
「ふぁっ!?」
思わず声をあげてしまう。
「あった……」
オウターは何処と無く嬉しそうにいつもは毛で隠れている僕のモノを見た。
「ねぇ!オウター……っ!」
僕の声かけには全く答えず、オウターは僕のモノを舐め出した。
「あっ……ひゃぅ……ひっ」
オウターが僕のモノを舐める音と僕の声だけがトイレの中に響く。
いきなりの事すぎて何にも抵抗ができない。
上手く力も入らない。
「ほら……イムルさんの……こんなに大きくなりましたよ……?」
オウターが意地悪そうにそう言ってきた。
「それっ……は……オウターの所為で……!」
「うふふ……そうですよね……すみません」
オウターはそう言った後息を大きく吸った。
「ごめんなさい……ボク……どうしても我慢できなかったんです」
「なっ、何を……?」
「だって……イムルさんが可愛すぎるから……」
は……?それはオウターの方じゃ?
僕が疑問に思っている間にもオウターの話は続いていた。
「ボク……好きなんです。男の方が、好きなんです。女の子より」
「えっ!?」
そ、それは所謂…!?
「だから……イムルさんを見たときから……ずっと……ずっと好きでした!」
顔を赤らめながらオウターはとんでもない事を告白した。
な、何を言っているんだこの子は……!
「でも……イムルさん、ソーレさんの方ばかり見て全然振り向いてくれなそうだから……」
オウターはチラリと僕のモノを見た。
だからこうしているの!?
何かおかしくないか!?
僕が動揺しているにも関わらず、もう話す事はないと言ったようにオウターは事を続けた。
「まっ、待ってよ、オウター!?ひぅ……おっおかしいって……」
僕の抗議もお構い無しである。
何だか今までの性格と違くないか……!?
「ね、ねぇ!オウター……!」


僕が力尽くでオウターを引き剥がそうとした時。


「おー、トイレはここか!随分探したよ……全く」
「まぁよしとしようや。さっさとしちまおう!」
いきなり男2人組であろう声が聞こえてきた。
この男達もトイレを探してここまできたのだろう。
それにしてもタイミングが悪すぎる。
オウターが僕にしか聞こえない声で話かけた。
「ほら、あんまり大きい声を出すとばれちゃいますよ……この状況をどう説明します……?」
オウターは少し笑うとまた舐めるのを続けた。
「ちょっ……!?」
力尽くで引き剥がそうとしたら必ず大きな音は出てしまうし、男達にこの状況を見られてはどう説明していいのか全くわからない。まして、オウターは女の子のような容姿だ。間違いなく叩かれるのは僕だろう。
僕に残った選択肢は男達が去るまで声を堪えるしかなかった。
「……っ!」
僕が声を堪えることを決め込んですぐ、オウターの動きが激しくなった。
「んっ……!?くっ……」
どうしても少し声が漏れてしまう。
オウターは薄く笑いながら上目遣いでこちらをみている。
……なんかずるいぞ。
僕はまだまだ耐えるしかなさそうだ。
こんな時に限って時間が長く感じる。
「んっふぅ……あっ!」
耐えきれなくて少し大きな声を出してしまった。
まずい……。
「んん?何か聞こえたか?」
「いや?俺は聞こえなかったがなぁ」
「そうか……ならいいんだかな」
幸い男達は流してくれたようだ。
「よっし、スッキリしたぜ!このデパート、もっとトイレをわかりやすくした方がいいぜ」
「全くもってその通りだ」
男達は笑いながら去っていったようだ。
よかった……と思って力が抜けた瞬間、オウターは今までで一番激しく動いた。
「オウター!?だめだって……ひっ……ひゃああああああああ!!」
いきなりのことで僕はそのままイッてしまった。
オウターは満足そうに精液を浴びていた。
「うふふ……いっぱい出ましたね……」
「はっ……はぁ……オウター、もぅ終わりだろう……?」
そう聞いた後に僕は嫌な予感がした。
「え……?まだまだ……終わりませんよ……?」
オウターのその微笑みはこれまで見てきた笑みで一番可愛かったかもしれない。



皆さん、お久しぶりです。MMH``Fです。
またほんの少しだけ更新しました。
遅くて少なくてすいません!
また更新が遅くなるかもしれないです…本当に申し訳ないです…
本当に気長に待っていてくださるとうれしいです!
まだまだ続きます。


誤字脱字等、報告お願いします。

何かあれば、どうぞ。

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  • ずっとオウターくんのターン☆
    イムルくん涙目ww
    ―― 2013-03-27 (水) 20:56:20
  • 名無しさん、コメントありがとうございます!
    そうですねwwwイムルは押しにめちゃくちゃ弱いんですよね…
    ――MMH``F 2013-03-28 (木) 13:52:56
  • 生きてますか~?
    ―― 2013-09-28 (土) 19:59:20
  • 名無しさん、コメントありがとうございます!なんとか!!生きてます!!!
    ――MMH``F 2013-11-14 (木) 02:26:17
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Last-modified: 2013-03-27 (水) 00:00:00
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