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最強を目指すガブリアスの物語【前半】

/最強を目指すガブリアスの物語【前半】

作者:彩風悠璃
ガブリアス(♂)×フライゴン(♂) 健全物です。こちらは前編になります。
※話の都合上、作中でガブ⇔フライゴンが互いにバカにしたり蔑んだりしてますが最後は和解して仲直りします。
※種族値差カプなので3値やらレートの光景などのメタ的な描写が多々あります。
※トレーナーも割と出て来ます(名前や詳細な設定などは一切ありません。利便上書いてるだけな感じです)
※書いてる人は低レート帯なので、高レート帯の環境描写に矛盾や間違いなどが多々あるかと思います。ご容赦ください。



 歓声と怒号。そして剣戟と悲鳴がが錯雑とする中、ガブリアスはにんまりと唇を歪ませた。
 独特の張り詰めた空気は、いつもオレ様の胸を躍らせてくれる。この極限まで昂った緊張感が、オレ様を最高に楽しませてくれるんだ。
『相棒! オレ様の準備はいつでもオッケーだぜ?』
 剣呑な笑みを浮かべ、ガブリアスは遮断されたボールの中から自らのトレーナーに視線を投げかける。
 言葉は通じないし、ガブリアスの目線にだってきっと気付いていない。けれど、このトレーナーはいつでもガブリアスを最高の舞台で戦わせてくれる。それだけで十分だった。
「ガブリアス! 行って来い!」
 待ちに待ったトレーナーの言葉。投げられたボールの勢いを無視し、ガブリアスは待ちくたびれたと言わんばかりに早々に飛躍した。
 地面に着地し、一切の弛みなく鍛え抜かれ、過重な筋肉すら削ぎ落された身体を誇示するかのように咆哮を上げる。
 この高揚感、やはり何度味わっても飽きない。辺りの歓声や敵の威圧感がガブリアスの闘争心を鼓舞する。
 首元に巻かれた空色のスカーフを締め直し、ガブリアスは眼前の敵を睨み据える。対峙するはヒードラン。見た所、風船で浮いてはいないようだ。
 ――ガブリアス、エッジだ!
 背後に居るトレーナーがそう指示を出した。相手は確かに炎タイプではあるが、同時に鋼タイプでもある。
 それならば地震の方が大きなダメージを与えることができる。それはトレーナーならば大抵誰でも知る常識だ。
 にも関わらず、ガブリアスのトレーナーは言い淀むことなくストーンエッジの指示を出す。だが、ガブリアスはその指示を何も疑いもしなかった。
「ふっ。戻れ、ヒードラン。行け、ファイアロー!」
 相手がヒードランをボールに戻す。代わりに出てきたファイアローめがけ、ガブリアスが生みだした鋭利な岩が飛来する。
 一切の淀みも、逡巡も感じさせない。岩の刃が生んだ一閃が、ファイアローの翼を切り裂き、その身体までも蹂躙していく。
「なッ――!」
 相手のトレーナーが狼狽を顔に出す。
 恐らく地震読みでファイアローを出し、次のターンに先手でブレイブバードを放ってガブリアスを倒す魂胆だったのだろう。ガブリアスのトレーナーはそれを読んだということだ。
 それくらいの事は分かる。いや、分からねばポケモンバトルを制することはできない。
 バトルはただ、種族値や努力値を知れば勝てるものではない。常に相手の一歩先二歩先を読み、バトル場の空気を支配する。それが出来て初めて、ポケモンバトルを制することができる。
 そしてガブリアスのトレーナーは、ポケモンバトルを熟知していた。その上で戦うに値した能力を持つガブリアス。一人と一匹は常に負け知らずで、ポケモンバトルを制覇してきた。
 強者と刃を交えることができ、己の力を極限まで発揮して戦えるポケモンバトルが、ガブリアスの一番の楽しみだった。
 ――弱い奴なんて生きてる価値ねえんだよ! もっとオレ様たちを満足させるような、心躍るバトルをさせてくれよな!

「ふぅ。今日もレート2000を維持することができたな」
 トレーナーが満足げに頷く。トレーナーの元に集ったガブリアスの戦友たちはけろりとした顔で、一切の感情を表に出さない。
 勝利の度に唇を歪ませているのは今となってはガブリアスだけだが、そのような些細なことは気にも留めていない。
 バトルに勝てた事が嬉しいのではない。自分の力を誇示できて、最強の座を貫けた。その事実が、結んだままの唇にかすかな笑いを浮かべるのだ。
 ――勝てた? 当然だ。だってオレ様は最強のポケモンなんだからな。
 そしてポケモンはただ強いだけでは駄目だ。才能があって、バトルを制するトレーナーと組んでこそその真価を発揮できる。
 この二人は最高のコンビというわけだ。言葉は通じないが、オレ様たちはアイコンタクトで会話ができる。ガブリアスは最高の相棒に視線で『今日のオレ様もイカしてただろう?』と示唆してみせた。
「ガブ、今日の戦いだが……」
 うんうんと頷き、相棒の言葉を待つ。今日もまた最強のオレ様を湛える言葉をくれるに違いない。
 だが、その期待感も、程よい勝利の余韻も何もかも。相棒の次の言葉の前に霞んで見えた。
「あんな雑魚相手に勝って浮かれているようでは、お前もまだまだだ」
 感情を欠いたトレーナーの声に、ガブリアスは耳を疑った。
 ……どういう、意味だよ。
 言葉には出来ない。だが、ガブリアスが震えてしまっているのは相棒にも伝わってしまっただろう。
「奴はアローを無駄にした。恐らくドランを大切にしたかったのだろう。ドランを犠牲にして死に出しでアローを出せば、上から安全にお前を狩れただろうに。あるいはお前を狩れずとも、お前の後ろに圧力をかけられただろう」
 ……でも、アンタはオレ様にエッジの指示を出したじゃねえか。
「それでもエッジをお前に打たせたのは、それまでのバトルで、相手の読みレベルが“その程度”だと判断できたからだ。お前ではない、俺の力だ」
 ……じゃあ、何なんだよ。オレ様がいなくても、アンタはあいつに勝てたっていうのかよ。
「こちらにガブやバシャが居るにも関わらずガルドやドランを平然と出してきた。底が知れた相手だということだ。あいつが俺に勝つにはアローをもっと大事にするべきだった。でないとお前の後に控えていたバシャを止めることのできる奴がいなくなるからな」
 張り詰めた空気をあっさり切り裂くほど鋭利な言葉で、相棒のトレーナーが淡々と告げてきた。
 このトレーナーは勝利の余韻に浸ることなく、既に冷静な分析を始めていた。それがレート2000台の醸し出す空気だ。勝ち負けに一喜一憂している暇などない。
 勝つことなど当たり前。それよりも次のバトルに生かせることは無かったか、バトルビデオを分析するのだ。
「……ふん。このバトルで得られたことは何一つとしてない。実に無意味だ。――ガブ」
 人間の声とは思えない程に無機質で、感情のこもっていない冷たい声。その声音に名を呼ばれ、ガブリアスは彼に一瞥をくれる。
「お前はSが102もあり、耐久も優れていて種族値配分に全くの無駄がない、まるで戦う為に生まれてきたポケモンだ。バトルにおいてお前は最強の座に居なければならない。最強の座……即ち、相手を完膚なきまで屈服させるほどの力を示さなければならない」
 言葉ではガブリアスを過剰なほどに賞賛しているが、彼の本意はそこではないことをガブリアスは察している。
 ……何だよそれ。何が言いてえんだよ。言いてえことがあるならはっきり言いやがれ!
「2戦前のメガガルーラや、1戦前の鉢巻マンムー。確かにお前の分が悪い相手だ」
 ――っ……!
 トレーナーの言葉を合図に、ガブリアスの脳裏で記憶が鮮明に蘇る。
 環境トップに君臨するメガガルーラとの対決。鉢巻の高火力に礫という先制技を持つマンムー何ら珍しくはない。だが、ガブリアスは奴らに勝てたことが無いのだ。
 鉢巻を巻いて逆鱗を放ってもほぼ確定2発と言って良い程の超低乱数。元々素早さが勝っているからスカーフを巻いても意味がない。タスキは親子愛で貫通される。
 マンムーに関してはもはや昔から勝てたことがない。ヤチェの実を持っていれば奴の礫を一応確定2発にはできるが、返しで倒せない。
 ガルーラやマンムーが見せ合いでいるときはガブリアスの選出はなるべく控えるというのがこのトレーナーの意思だが、ガブリアスはどうしてもその二匹を倒したくていつも選出を自ら志願していたのだ。
「だが、自分で戦うと決めた相手だ。無様に倒されていては困る」
 ――オレ様だって悔しいに決まってんだろ……っ……!
 唇を噛み締め、ガブリアスはもどかしい程の歯がゆさを堪える。
 バトルに絶対強者はいない。それは頭では分かっているつもりでも、今まで環境トップに君臨してきたガブリアスにとって、絶対に勝てない相手というものを認めたくはなかった。
 今までも様々な型に変えては環境に居座ってきた。
 スカーフやタスキ、鉢巻から果てはステロ巻きゴツメ型まで。それでも対面でガブリアスはガルーラや、マンムーを狩れたことがない。どのような型に変えても、だ。
 こいつらを見れる奴もいる。だが、そいつらには興味が無い。オレ様が相手をしたいのは、オレ様よりも強い奴だけ。それ以外には興味が無いのだ。
「メガガルやマンムーを後出しで見ろとはいわない。対面で勝てるようになれ。それまで、俺のパーティに戻ってこなくていい」
 ――え……?
「もっと聞きわけが良くて、メガガルやマンムー相手だと大人しくしているガブリアスを新たに厳選した方が早いかも知れんがな」
 あまりにも冷たく、あまりにも素っ気ないその言葉は、ガブリアスの心に死刑宣告の如く容赦なく突き刺さる。
 オレ様はバトルが大好きだ。勝つことが好きだ。何よりも大好きな筈だ。なのにどうして、こんなに心が痛むのだろう。
 勝てたのに――バトルを楽しめたのに、どうして胸が抉られるのだろう。

 ◆

 茫漠と広がる砂の海。触れば壊れてしまいそうな白い砂丘の上で、ガブリアスは一人で空を眺めていた。
 砂嵐が視界を遮るように吹き荒れているが、地面タイプであるガブリアスにとっては何の阻害にもなっていない。
 ――111番道路。本来、オレ様が産まれるべきところ。だがオレ様は、潮の香りを孕んだそよ風が流れる波打ち際で産まれた。
 バトルリゾートと呼ばれるその場所は、多くのトレーナーが集い、タマゴを抱えて何週も走ることで有名になっている。
 その意味を知らぬ者は多いが、少なくともガブリアスや、彼と共に戦っている仲間は嫌でもその意味を知ってしまった。
 ――厳選。何匹もの同胞が捨てられていく中、ようやく選ばれた一匹が彼らだ。
 それを残酷だという考えは、いつの間にか彼らの中から消え失せていた。バトルに明け暮れる毎日を過ごしていれば、そのような遠い昔の事は忘れてしまうのだ。
 ガブリアスもあまりその場所を離れることは無かったが、今日は何となく111番道路を訪れてみたい気分になったのだ。理由はない。何となく――だ。
『……はぁ……』
 本日何度目か――数えるのも億劫な程の溜息を零す。
 トレーナーの言うことは何も間違っていない。彼はガブリアスにメガガルやマンムーを狩れるようになれと言っている訳ではなく、頭を冷やせと言っているのだろう。
 最近、バトルが以前ほど楽しめていない気がする。負けるよりは勝てたほうがいい。
 実際、ガブリアスは殆ど負け知らずだった。鉢巻だと勝てなかったメガマンダ相手でも、スカーフだと勝てるようになれて楽しかった。
 スカーフだと耐えられて弱点保険を発動させてしまっていたガルドも、鉢巻を巻けば安全に勝てるようになった。
 ――そう。ポケモンバトルはそういった試行錯誤が楽しいのだ。
 環境トップに君臨し続けるためにはそれなりのポテンシャルが必要。そしてガブリアスにはその資格があり、数多のトレーナーに認められてきた。
 勝てる為の努力はしたことがない。あくまで、バトルを楽しむための試行錯誤に過ぎない。
 そんなガブリアスにも、ただの試行錯誤では勝てない相手がいる。ポケモンバトルに絶対強者など存在しえないと分かっていても、ガブリアスの負けず嫌いな性格がそれを邪魔してしまう。
 ――ザッ……。
『……ん?』
 砂嵐のカーテンの向こう側。大きな影がゆっくりと動いているのが伺える。あれほど大きなポケモンがこの辺りに生息していただろうか。
 ガブリアスは少しだけ足を進ませ、その正体を確認する。強靭な四肢でしっかり地面を踏みしめ、小さな影を追いかける――メタグロス。
『あ……メタグロスか……懐かしいなぁ』
 かつては共に環境トップの座を争っていたポケモン。そこそこの耐久に冷凍パンチも備わった、なかなかの強敵だった。
 だが奴はギルガルドの登場と鋼弱体化の向かい風を受けてしまい、環境からその姿を消してしまった憐れなポケモンだ。
 レートが低いうちはともかく、2000台になってくるとその姿を見ることはあまり無い。
 級友の姿を見たような郷愁の念を抱きながらメタグロスの姿を視線で追っていると、その先にある複数の小さな影に意識が注がれた。
 一つは見慣れていた。華奢ながらも鍛え抜かれた肉体を持つバシャーモと……一人のトレーナー、そしてもう一匹。
 幼さの残滓を伝える可憐な顔立ちに、艶やかで丸みを帯びた愛らしい緑の身体。
 そしてその身体を支えるように大きな翼が忙しく羽ばたいていて、宝石を彷彿とさせる緋色の双眸の奥に、無垢な漆黒の眼差しが沈んでいる。
『あれは……フライゴン?』
 バトルでは滅多に見かけないが、ガブリアスの知らないポケモンではない。
 ガブリアスと同タイプでありながら種族値が圧倒的に下回っており、技は器用ながらも他のドラゴンとの差別化が図れず、どうにも浮かばれないポケモンだ。
 ガブリアスが目障りとする弱者そのもの。本来ならば興味の欠片もない存在だ。それなのに変に周りが自分と奴を比較して話題に出すものだから、嫌でもあの姿は瞼の裏に焼き付かれてしまっている。
 奴と肩を並べているバシャーモは、バトルで飽きる程見てきた。加速という特性に、とび膝蹴りという高火力の技を併せ持つポケモンである。
 いつもスカーフで上から叩いたり、とび膝蹴りを耐えて返しで倒しているから奴に苦戦したことはあまり無いが、それでもガブリアスが強者と認めている数少ないポケモンだ。
『え? ガブリアス?』
『……あ?』
 トレーナーの横にひっついていたフライゴンと視線が交錯する。何故ガブリアスの姿を見て怪訝がったのか一瞬不思議に思ったが、すぐにその答えが浮かんだ。
 この場所に野生のガブリアスは存在しない。近くにトレーナーの姿も見えないのに、ガブリアスが一匹でいることが不思議だったのだろう。
 フライゴンが口の先でつんつんとトレーナーの肩を叩き、再び視線でガブリアスを示唆する。ゴーゴーゴーグル越しにトレーナーとも目線が絡み合う。フライゴンと同じく驚倒しているようだったが、すぐに目を爛々と輝かせて。
「えっ、うそっ!? 野生のガブリアス!? ラッキー! ちょうど鮫肌ガブリアスが欲しかったんだよねー!」
 ――は? 野生?
 こちらが訝しげに見守る中、トレーナーはそそくさと腰のポーチをまさぐってボールを取り出す。
 青い地に黄色のラインが入ったデザインのボール。獲物を見つけてすぐに投げれば捕獲率が上がる、クイックボールだ。
「よしっ、いっけークイックボール!」
『い、いや待て! オレ様は野生じゃ――』
 ガブリアスの制止も聞こえる訳がなく、トレーナーがボールを投げつけてくる。しかしガブリアスの身体に触れた瞬間、当然のようにボールが跳ね返って情けなく砂の上へと転がってしまう。
「あ、あれ? なんで?」
『だから、オレ様は野生じゃねーっての』
 戸惑うトレーナーに、ガブリアスの声を聞いたフライゴンが何やら身振り手振りをしている。
 ポケモンとトレーナーで言葉は通じないが、きっと彼女はフライゴンの言いたいことならば何となく分かるのだろう。フライゴンとの対話を終え、納得したかのようにトレーナーが自嘲気味に苦笑を浮かべる。
「あー、ごめんねぇガブリアス。鮫肌のフカマルが全然出てこないから焦っちゃってたよ」
 てへっと舌を零し、トレーナーがぺこりと頭を下げる。
 ――すげぇ。こんな間抜けで、明らかに弱そうなトレーナーも居るんだな……。
 今時メタグロスを連れているだけでも珍しいのに、その上バトルで全く見かけないフライゴンを添えている。
 それだけでもガブリアスの目から見れば稀有なのに、更にこの地に野生のガブリアスが居ると錯覚してしまっていた。
 普段が高レート帯でのバトルに勤しんでいたガブリアスにとって、こういったトレーナーを見たのは本当にいつぶりだろうか。
 バシャーモも見た所いつもの加速ではなく、猛火の方らしい。最初に受け取った所謂旅パのバシャーモなのだろう。そう考えれば彼女がバシャーモを連れているのも納得ができる。
 ――バシャーモの首元に、見慣れた空色のスカーフが違和感を醸し出しながら巻かれているのはきっと気の所為だ。たまたまこだわりスカーフに酷似しているものをファッション目的で巻いているのだろう。
「でも、どうしてガブリアスがこんな所に一匹でいるのかな。トレーナーはどこだろう」
「ふりゃ……?」
 彼女に合わせて共に首を傾げるフライゴン。ガブリアスと同じタイプで、ガブリアスより遥かに種族値が劣っている憐れな存在だ。
 それ故に高レート帯では全くと良い程見かけないし、見かけたとしても何をしてもガブリアスの劣化なので苦戦することがまずない。
 ガブリアスより弱く、情けないポケモン。それなのに奴は、今のガブリアスよりも楽しそうに笑って、無邪気にトレーナーにじゃれついている。
 ――何でだよ……なんでオレ様より弱ェ奴が、あんな楽しそうに笑ってんだよ……。
 歯を食いしばり、目の前の光景を睥睨する。
 オレ様より弱い奴があんなに笑ってんのに、どうしてオレ様は全然笑えねェんだ。
 いや、違う。オレ様が笑えねえのに、なんであいつはあんなアホな面して笑ってられるんだ。狂おしい程の歯がゆさを隠すことができない。気が付けばガブリアスは――
『テメェ! 何がおかしい!?』
『…………っ!?』
「え? ち、ちょっとちょっと!? どうしちゃったの?」
 彼の小さな身体を掴み、鋭い視線で睨みつけていた。
 殆ど無意識だった。単なる八つ当たりと何ら変わりがない。それでもガブリアスは許せなかった。自分より弱い奴がへらへらと楽しそうに笑っているのが、許せなかったのだ。
 ――こんな憐れで惨めで情けない、弱いポケモンのくせに……見てるだけで苛々するぜ。
『オレ様より弱ェくせに! 何がそんなに楽しいんだ!? あァ!?』
『…………』
『黙ってねェで何か答えたらどうなんだ!?』
 無言を貫くフライゴンに更なる苛立ちを覚え、ガブリアスは彼を掴む力を更に増す。
 抵抗も見せない。いや、弱いから抵抗することができないのかも知れない。抵抗もできない相手を一方的に詰り、理不尽な理由で罵倒する。
 ――自分で考えても反吐の出る、最低な行動だ。
「止めてよガブリアス! フライゴンが何をしたっていうの!?」
 必死に声を絞り出すトレーナー。それでもガブリアスに対抗しようとはしない。強者に恐れをなしているのか――状況が分かっていないだけなのか。
 どちらかは分からない。だが、一向に口を割らないフライゴンや戸惑うトレーナーを見ていると、ガブリアスは次第に頭に昇っていた血が冷えていくのを感じた。
 ――無関係の奴に一方的な八つ当たりをして、抵抗できないのを良い事に思いっ切り怒鳴っていた。
 半ば無意識だったとはいえ自分の取った行動に吐き気にも似た気分の悪さを覚える。
 ……オレ様は、本当に最低だ。
『……チッ』
『ガブリアス……?』
 ようやく口を開いたと思えば、フライゴンはガブリアスの名を紡いだだけで、それ以上を言葉にすることはなかった。
 もどかしい程の決まり悪さを抱きながら、ガブリアスはトレーナーと二匹のポケモンに踵を返す。
 ……最低な気分だ。
「どうしたのかなぁ、あのガブリアス」
「ふりゃ……」
「…………」
 背中から弱者四つ分の視線を感じる。
 どいつもこいつもオレ様より弱ェくせに一体何が楽しいんだか。だが、この中で一番弱いのは、ひょっとすればオレ様自身なのかも知れない。
 自分より圧倒的に力の弱い奴を一方的に罵倒し、力の差で捻じ伏せる。弱者など一切相手にしないのが流儀なガブリアスにとって、己の行動が何よりも恥ずかしく、そして悔しかった。

 ◆

 夜の帳が降り注ぎ、空は見渡す限り透明感のある墨色に染まっていた。
 青白く神秘的な月影と、凍り付くかのように輝き溢れる星明り。夜の砂漠はことごとく冷える。空気の冷たさがガブリアスの肌を刺し、その身を容赦なく刺してくる。
 寒さが苦手なガブリアスにとって、この環境は決して過ごしやすいとは言えない。野生のガブリアスと違い、砂漠で産まれ育ったわけではないのだから尚更だろう。
『……ん?』
 岩肌に抉られた大きな穴。ポケモンの住処だろうか、それにしては何の気配も感じられない。
 当分トレーナーの元に帰ることもできない。ガブリアスは恥を凌ぎ、そこに身を隠すことにした。意地やプライドを度外視しなければならない程に、今のガブリアスは心身ともに憔悴していた。

 空洞の中も決して快適とは言えないが、外よりは幾分かマシだった。
 足を進めると妙にふさふさした触感が足の裏を襲う。罠の類ではないようだ。闇に視界が慣れてきた頃、そこがどういった空間なのかガブリアスはようやく理解した。
 小奇麗なテーブルの周りを愛らしい椅子が囲んでおり、岩肌には見た事もないポケモンのポスターがびっしりと並んでいる。赤や青、様々な彩りのマットが敷き詰められていて、部屋の端っこにはパソコンも置いてある。
 ガブリアスはこれに似た場所を知っている。トレーナーがかつて『ハピナス道場』と呼んでいた場所に酷似しているのだ。
 まだ自分がフカマルだった頃に一度訪れたことがあるだけで、詳しいことは分からない。ハピナスというポケモンを倒すことによって瞬間的に成長する施設。
 それだけの知識しかないし、この場所に関してはガブリアスに必要な知識はその程度だった。
 しかし、かつて自分が訪れたハピナス道場と違うのは、中に誰も居ないということ。どういうことだろうか。中にはハピナスが居て、瞬間的に成長できる施設が整っている筈なのだが。
『あ――』
 俄然、背中から抜けた声が届く。背後に一瞥をくれると、そこには昼間見た――
『……フライゴン、か』
 正式にはフライゴンとメタグロス、そして彼らのトレーナー。二匹と一人はガブリアスと目が合った瞬間たじろいだが、やがてトレーナーの方は笑顔を浮かべて。
「ようこそ、私の秘密基地へ。良かったらゆっくりしていって」
 スキップ交じりで洞窟の中――秘密基地とやらに入り込む少女。メタグロスも無言のまま彼女の背中を負っていった。
 野生ではないうえに昼間に一度見ているからなのか、彼女の警戒心は皆無に近い。昼間に自分のポケモンが訳も分からず襲われたのだから、もっと用心するべきではないのだろうか。
 横に付いているフライゴンも例外ではなく、昼間のことなど無かったかのようにこちらに無邪気な笑顔を見せてくる。
 ああ、こいつらは単なるバカなんだな。ガブリアスは考えを改め、肩を落とした。
 トレーナーの少女はパソコンの方に向かい、メタグロスと共にそれをいじり始めてからはこちらの方なんて気にも留めなくなった。
 フライゴンは小さな椅子に腰かけ、ぐでーっと机に伏している。あまりにも緊張感のない彼らの様子は、高レート帯やバトルリゾートで過ごしているガブリアスからは想像もできない。
 ……本当にオレ様と同じ世界にいる奴らなのだろうか。何だか彼らが別世界の住人のように思えてならない。
『……ガブリアス、キミってさぁ』
 俄然、フライゴンに名前を呼ばれて肩を跳ねさせた。フライゴンの方に目をやるも、奴は相変わらず机に伏してだらしない姿のままで、ガブリアスの方を見てもいない。
『何だよ、弱ェ奴がオレ様に話しかけんじゃねェ』
『キミってさ、強いよね』
 弱い奴が話しかけるなというガブリアスの制止を歯牙にもかけず、のんびりとした声音でフライゴンが呟く。
 何を今更――もはやお世辞にもならないフライゴンの言葉を聞き流す。
『ボク、キミと同じタイプなのにキミみたいに全然強くなれないや』
『何言ってんだよ。んなの、当たり前じゃねェか』
 例えタイプが同じでも、種族値や技、特性などに恵まれないポケモンに未来はない。
 フライゴンはどの種族値でもガブを下回っており、唯一特攻が同じなくらいだろうか。その特攻もガブリアスにとっては不用か、或いは使えなくもない程度でしかない。
 技も他のドラゴンタイプの寄せ集めのようなもので、フライゴンにしかできないことは無い。特性は浮遊。確かに強力な特性ではあるが、サザンドラも同一のものを持っている。
 それに比べてカイリューはマルチスケイル、ボーマンダは威嚇、ガブリアスは鮫肌――もはや、フライゴンにドラゴンポケモンとしての利用価値などない。
『……ホウエン出身竜の中で、唯一メガシンカを貰えなかった』
『ああ、あれな。オレ様も持ってっけど、使ってねぇな。ラティ兄弟だって使ってねーだろ』
 巷ではメガシンカというのが流行っていて、そのおかげでガルーラもボーマンダも返り咲いた。
 だが、メガシンカせずとも元から最強の座にいたガブリアスにとって、メガシンカなど興味の欠片もない。
 自慢の素早さを下げて何になるというのか。メガシンカなど使わずとも、ガブリアスは最強のポケモンを名乗れるだけのポテンシャルがある。
『ボク……どうすればキミみたいに強くなれるのかなぁ』
『さぁな。弱ェ奴の愚痴は分かんねーよ』
『スカーフを持っても、キミもスカーフなら勝てない。どうあがいても、ボクはキミには勝てないのかな……』
 フライゴンの近くで、燦然と何かが煌めく。彼の頬を一筋の透明な雫が滑り落ちた。
 そこでようやく理解できた。フライゴンはこちらを向かなかったのではなく、向けなかったのだ。
『はぁ? なんで泣くんだよ。弱ェ奴がオレ様に勝てねえのは当然のことだろ? 泣くことか?』
 フライゴンの涙の理由が理解できなかった。涙は、強者が強者に勝てなかったときに流すもの。弱い奴が流す涙なんて、一体何の意味があるのだろう。
 ――むしろ、泣きたいのはオレ様の方なんだけどな。
 喉元まで出かけた言葉を呑み込み、ガブリアスは唇を噛み締める。
 強者と言われるメガガルやマンムーに勝てない。強者である自分が、どうあがいても勝てない相手がいる。
『……ガブリアスには、分からないよ』
『そうだろうな。弱ェ奴の気持ちなんて、オレ様が理解できる訳ねーだろ』
 強者に弱者の気持ちは分からない。自分は弱いんだとうじうじ悩むやつらの考えることが理解できない。
 そういう奴らが強者を羨み、妬み、努力をするのも意味が分からない。
 弱ェ奴は弱ェ奴なりの生き方がある。みっともなく強者を妬んで弱い自分を呪おうとする必要がどこにあるのか。
『お前はお前でそれなりに生きていけばいいんじゃね? オレ様を羨んだりするのは何か違うと思うぜ?』
 だが、フライゴンの心の闇はガブリアスが思っていたよりも深くて、冷たかった。
『ガブリアスなんて、居なければ良かったのに』
 ――……はぁ?
 感情の起伏を一切感じられない冷たく研ぎ澄まされた声音で、フライゴンが静かに呟く。
 ガブリアスにだって勝てない相手が居るが、そいつらが居なくなればいいと思った事は一度もない。
 むしろ『いつかオレ様が倒してやるから、それまで誰にも倒されんじゃねーぞ!』と思っているくらいだ。
 強者が強者を妬むようなことはしない。きっとこのフライゴンは、弱いから自分とは考え方が全く違うんだ。
 ――虫唾が奔る。
 弱い奴が何を吠えようが、ただの耳障りな騒音だとしか思っていなかった。
 怒りとも違う不快感がガブリアスの頭の中を支配する。弱い奴の考えなんて理解できなくて当たり前。
 それなのに、目の前のポケモンにガブリアスはかつてない苛立ちを覚えた。
『キミが居なければ、ボクはここまで惨めな思いをすることだってなかった。メガシンカを貰えなくても、飛びぬけた種族値がなくたって、ドラゴン地面として生きていきたんだ。それをキミが……キミが……!』
 フライゴンの虚ろな双眸と視線が重なる。力なくふらつきながらこちらへとやってきて、すれ違いざまに弱々しく言葉を吐いた。
『キミが、ボクをめちゃくちゃにしたんだ。八つ当たりしたいのは、ボクの方だよ』
『…………っ!』
 彼の言葉が、昼間の光景を想起させる。
 オレ様より弱いくせにへらへら笑って、オレ様より楽しそうにしていたのが気に食わなかった。
 そして、そんな自分を最低のクズだと思った。そして今は、弱いからって強者を恨んで『消えろ』と罵るこいつにイライラする。
 ……オレ様たちは、どっちもクズ野郎なのかも知れない。
 砂漠の夜へと消えていくフライゴンの背中を見据えながら、ガブリアスは小さく舌打ちを零した。

 ◆

 フライゴンが姿を消しても、トレーナーの少女は鼻歌交じりでパソコンを弄っている。
 フライゴンが居なくなったことに気付いていないのか、それとも単なる放任主義なのか。赤の他人でしかないガブリアスには見当もつかないことだった。
 気が付けば、メタグロスの頭の上に何枚かの紙が霧散している。そして時折少女がメタグロスの頭に伸ばして一枚の紙をとり、そしてまた別の紙をメタグロスの上に投げ置く。
 奴はとうとうポケモンとしての役割を終え、テーブルとして生きることになったのだろうか。
『ん……?』
 フライゴンが視界の半分を占めていた秘密基地。改めてその全貌を見渡してみると、至る所に様々な道具が転がっていた。
 空色のスカーフから朱色のタスキ、白地のハチマキに紫苑色の珠。対戦用の道具だけではない。努力値積みに使うパワーアンクルや見た事もない道具まで、床を占領せんばかりに散らかっていた。
 対戦に興味のないトレーナーがここまで道具を揃える筈がない。そもそも、揃えられるはずがない。
 ということは彼女、そしてあのフライゴンは――
『……一応、そういうトレーナーだったってことなのか?』
 高レート帯とは無縁で、厳選など知らないのんきなトレーナーだと思っていた。
 そういえばフライゴンがぼそりと『スカーフを巻いてもキミが同じくスカーフを巻けば勝てない』と言っていた。それは自分とガブリアスの素早さを知ってないと出てこない言葉。
 そして、そういった知識はトレーナーと共に経験を積まなければ、ポケモンだけでは習得することができない。
 少し考えれば分かることだった。だが、メタグロスやフライゴンを使っているようでは高レートになど行けないだろう。
 恐らく彼女は所謂低レート帯のトレーナーだ。だから同じ廃人トレーナーでも、ガブリアスのトレーナーとは空気が全く異なっていたのだ。
「うーん、どうしようかなぁ」
 それまで無言を貫いていた少女が一人ごちる。
 いや、独り言ではない。彼女の言葉は、それを明確に伝える相手がいるという雰囲気を醸し出していた。
『やはりバシャーモさんは最速にすべきかと。スカーフ故に最速だと火力が足りないのは頷けますが……』
「でも、準速でも実数値198だよ。これは最速128族に値する数値だから十分じゃない? 130族って意識する必要ある?」
 メタグロスがおもむろに言葉を口にしたと思えば、トレーナーがそれに答えるように喋り出す。
 最初は所詮他人の会話だと聞き流していたが、ガブリアスは我に返って自分の耳を疑った。彼女が口にした『実数値うんたら』や『さいそくうんたら』『130族』といった言葉にではない。
 ――いま、メタグロスとの会話が成立していなかったか?
『130族のメガゲンガーは確1にはできませんが、バシャーモさんが最速であれば圧力をかけることは十分可能です。メガゲンガーはブレバで確2発ですから、最速でしたら十分勝ち目があるかと。オバヒだとCが下がって乱数圏内に入ってしまいます』
「んー、そっか。メガゲンガーに勝てる見込みがあるなら、最速もアリだよね」
『他にもメガライボ、メガミミロップ、そして何よりあのメガスピアーを抜けますぞ!』
「そっか! あのメガスピアーを抜けてオバヒで落せたらカッコイイよね! んじゃ次はフライゴンのことだけど――」
 ――前者の二匹はともかく、メガスピアーなんてレートで見たことねえけどな。
 喉元につっかえる突っ込みを飲み込んでいると、にわかに彼女こちらにくるりと振り向いて。
「ね、ガブリアス。同じ地面ドラゴンとしてアドバイスが欲しいんだけど」
 にっこりと微笑み、ガブリアスに言葉を投げかけてきた。“同じ”地面ドラゴンとして――それはつまり、あのフライゴンの事だろうか。
 アドバイスと言っても強者が弱者に出来るアドバイスなどないし、そもそも言葉が通じない。
 あのメタグロスはスーパーコンピューター並の頭脳を持つポケモンだ。そう考えれば、トレーナーとの意思疎通が図れても不思議ではない。
「最近、スカガブが流行ってるみたいじゃん? だったらフライゴンにスカーフを持たせてもガブリアスには勝てないよね。それならタスキを持たせたいんだけど、ガブリアス自身はダブルチョップの使用感ってどんな感じ? 使用率はそんなに高くないんだけど、一時期前は流行ってたよね」
『……は、はぁ?』
「あと、さ。貴方ってどんな調整振りしてるの? AS252ぶっぱ? グローバルリンクだとそこまで統計が出てないからよくわからなくて……どれくらい耐久に振ってるものなの? フライゴンも岩技なら割と耐えるんだよ! あの子はBに下方修正しちゃってるんだけどね」
 饒舌を振るう少女に、ガブリアスは言葉を失った。その内容に圧倒されたのではない。そういった対戦論をポケモンに相談する――その光景自体に、ガブリアスは唖然としてしまった。
 今までそういったことはトレーナーが一人で考えて、トレーナーが決めたようにガブリアスたちは動いてきた。
 何度か意見を言いたくなったことはあったが、そもそも言葉が通じないので諦めていた。それをこの少女はポケモンに――しかも赤の他人のポケモンに、直接相談しようというのだ。
 もしかしたら独り言のようなもので、語り掛ける風にしているだけなのかも知れない。その可能性もあると、ガブリアスが口を噤んでいたら。
「あの、聞いてる? あなたに聞いてるのだけど」
『……え、オレ様に?』
「そうだよ。私、対戦下手だからこういうのってポケモンに直接聞くようにしてるんだよ」
 怪訝そうにこちらを見遣るトレーナーに、ガブリアスも自らに爪の先を向けて首を傾げる。
 ――そっか、オレ様自身に聞くってのもアリなのか。
 納得しかけて言葉を返そうとした矢先、ガブリアスはもっと根本的な事を見落としていたことに気付いた。
 ――え? 今、この人間と会話が成立した……?
「フライゴン自身も色々な型を考えて私に提案してくれるんだ。それ全部試してるんだけど、なかなか他の竜との差別化がねー。差別化を考えさえしなければかなり戦える子なんだけど、やたらと貴方たちを目の敵にしてて……」
 うーんと頭を悩ませるトレーナーを横目に、ガブリアスは茫洋と虚空を眺めていた。
 ――何故だろう。フライゴンが口にスカーフやタスキ咥えてこのトレーナーに笑顔で提案している姿が目に浮かんだのだ。
 しかも差別化を考えない方が良いというトレーナーの意見よりも、フライゴン自身の意思を優先してバトルを考察している。その光景に、ガブリアスは生まれて初めて“羨ましい”と思ってしまった。
 そういえば最後にトレーナーと笑顔で話したのはいつだろう。そもそも、そんなことがあっただろうか。いつも勝つのが当たり前で、勝利の余韻に浸ることすら最近は許してもらえない。
 ……フライゴンがオレ様よりも弱いのにあんなに笑顔を振りまいていた理由が、何となく分かってきた。
 奴は弱い。弱いが、このトレーナーと共に常に強くなろうと努力をしてきたのだ。
 向上心などとうに忘れたガブリアスにはない心。勝てることが当たり前で、珍しくも何とも無いガブリアスには無縁の感情。
 メガガルやマンムーに勝てないガブリアスを出場させようとしない高レートのトレーナー。
 例え勝てないと分かっていても、ガブリアスや他の竜たちとの差別化に一生懸命なフライゴンと低レートのトレーナー。
 どちらの方が真にバトルを楽しんでいるのか、もはやガブリアスには分からなくなっていた。

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Last-modified: 2016-06-23 (木) 00:48:16
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