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暇潰しと好奇心

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暇潰しと好奇心 

writer――――カゲフミ

―1―

 昼下がりの湖の畔は静かだった。ここは人里からも離れているし、他の野生のポケモンもそこまで騒がしくなかったりする。
背の低い草々と所々に生えた木々が風に揺られて奏でる音。岸辺に水が打ち寄せられる音。目を閉じているだけで心地よい。
今日は天気も良いし陽気がぽかぽかと暖かくて、まさに昼寝日和。俺もそれにあやかって、こうして木陰で仰向けに寝転がっているわけだ。
足元に生えた草が丁度いいクッションになってくれているおかげか寝心地はなかなかのもの。
これならいっそ夜寝る時もリュウラセンの塔じゃなくて、こっちで寝ても良いくらいだが。
外で寝てると万が一人間に見つかったときのことを考えると面倒だしなあ。うーむ、迷いどころではある。
まあそんな贅沢な悩みは寝て起きてからじっくり考えればいい。今はここで睡眠を貪るのが先だ。と、俺が眠りの世界へ旅立とうとしていた所に。
「あ、こんなところに居たんだねー」
 野生のポケモンは静かでも、いたな。騒がしい奴が。相変わらず耳の奥に響く甲高い声だ。
一気に現実に引き戻されてしまう。無視するわけにもいかないので俺は渋々目を開いた。
頭から耳の先まで彩られたオレンジ色の模様が特に目を惹く。体の大きさにはいささか不釣り合いなくらいに大きな耳、そしてぱっちりとした青い瞳。
体の色は薄い黄色で、背中というか腰のあたりからは気持ち程度の小さな羽が生えている。
こう見えて、俺と一緒に並んで飛べるくらいの能力は持ってるから侮れない。
おそらく物理的な羽ばたきよりも、自身のサイコパワーで浮力やスピードを得ているのだろう。
「やっほーゼクロム」
 俺を起こしておきながら持ち前の明るさを振りまいて、笑顔で手を振るビクティニ。ここまで悪びれていないとかえって清々しいくらいだ。
羽をぱたぱたと動かし、寝転がっている俺の胸の辺りに下りてきて乗っかる。別に重くはないが、何の遠慮もないところが図々しい。
「やっほー、じゃねえよ。せっかく気持ちよく寝ようとしてたってのに」
 ため息交じりに睨んでみても、こいつには大した効果がないことは俺が良く知っている。
もっとも俺の睨みで身を竦ませてしまうくらいなら、最初から寝てる俺を起こしたりはしないだろう。
体格差をものともせずに俺に気兼ねなくからんでくるビクティニに呆れることも多い半面、外見に似合わず肝が据わってるなと思うことも多々あるのだ。
「で、何の用だ?」
「へへ、ほらっ」
 そう言ってビクティニはどこに隠し持っていたのか木の実を二つ。俺の目の前で取り出した。
少しくすんだ黄色で丸みを帯びていて、へたの部分がぽっこりと飛び出している。これは、オボンの実か。この周辺じゃ結構珍しい木の実だな。
「一緒に食べようかなって」
「……お前が、俺に?」
 てっきり今日もこいつは俺に木の実をたかりに来たのだとばっかり思っていたが。どういう風の吹きまわしなんだか。
ビクティニがリュウラセンの塔にひょっこりやってくるときは大抵、貯めてある木の実を一つか二つ摘み食いして帰っていく。
確かにこいつの食べる量は俺と比べると大したことないし、別にいいかなとは思っているが。
来たかと思えば食料目当て、となればだんだんビクティニへの風当たりは強くなっていくわけで。
普段の行動が行動だけに、こんな態度を取られると。どうしても訝しがらずにはいられない俺がいたのだ。
「おいおい、せっかくの天気なんだ。雨降らすような真似するなよ」
「うー、そんな言い方しなくたっていいじゃない。ボクだっていつももらってばかりじゃ悪いからさ……はい、ゼクロム」
 少しむっとしたものの、機嫌を損ねるようなこともなく。ビクティニは俺にオボンの実を差し出してきた。
俺もよくこの辺で木の実を探すから分かるが、オボンの実はなかなかお目にかかれない。最後に口にしたのがいつか思いだせないくらいだ。
そんな珍しい実を二つも見つけるのはさぞかし大変だったことだろう。ここはこれ以上皮肉ったりせずに素直にこいつの善意を受け取ってやるか。
「そんなに言うなら貰ってやるよ」
「もー、嬉しいなら素直に言えばいいのに。顔がにやけてるよ」
 ビクティニから木の実、それも珍しいオボンの実を貰って。嬉しいか嬉しくないかと言われればもちろん嬉しかったが。
それを正直にこいつに伝えるのは照れ臭いものがあってだな。ただ、俺は割とすぐに顔に出てしまうのであっさりとばれてしまう。
おまけにビクティニはエスパータイプ。他者の気持ちを読み取るのは得意な方だろう。別に俺が本心で何を思っているのか察するのは勝手だが。
そこで黙ってりゃいいものをくすくす笑いながら指摘してくるもんだから、こっちもどう対処していいものか分からず。
うるせえよ、と苦笑しながら俺は差し出されたオボンの実を受け取るしかなかったわけで。やれやれ、こいつには敵わねえな。
俺が木の実を手に取ったのを確認すると、ビクティニは嬉しそうに羽ばたいて俺の胸の上から草むらに降りる。
「いただきまーす」
 さすがに俺の上で果汁を飛び散らせるような狼藉は働かなかったか。乗られるだけならまだいいが、そこまでされたら俺も怒っていただろう。
しゃくしゃくと小気味よい音を立ててオボンの実を齧るビクティニ。サイズが結構大きいからじっくり楽しめているようだ。
一方、俺の場合は口に放り込んでしまえばおしまいだ。ビクティニと俺じゃ一口の大きさがまるで違うから仕方ないが。
珍しい木の実を存分に味わえないのはこの体の不便なところ。まあ、こればっかりは嘆いてもどうしようもねえか。
俺は寝っ転がったまま、口の中にオボンの実を丸ごと運ぶ。ぷつりと牙を立てるといとも簡単に果実が弾け、果汁が口内に広がった。
甘味と酸味、そして仄かな渋みと苦みと。さすがはオボンの実、整った味だ。そんなに腹が減っていなくても、喉越しも爽やかですんなりと食べられる。
時間にすれば三十秒もなかったが、充実したひとときだった。口の中に微かに残った後味を舌で絡め取るように味わっていると、ようやくビクティニは食べ終えたらしい。
「ふー、お腹いっぱいだ」
 若干膨らんだお腹を両手でぽんぽんと叩いて満足げに微笑む。丸ごと一個はちょっと多かったんじゃねえのか。
珍しい木の実だから残すような真似は勿体なくて出来ないか。俺も一度でいいからオボンの実をたらふく食ってみたいもんだ。
さて、食うもの食ったら特にすることもなくなった。すっきりした味わいを何度も噛みしめながら俺は再び眠りにつこうとした、が。
「ねえゼクロム、何か面白いことない?」
 ビクティニは目を閉じた俺の顔をつんつんとつついてくる。やれやれ、しばらくは相手をしてやらないと大人しく寝かしてくれなさそうだ。
こいつが静かなのは木の実を食べている間くらいなもの。暇さえあればせわしなくあちこち動き回って、喋って。どこまでも賑やかな奴だ。
この活動力を俺に絡む以外の何か別のことに生かしてくれればいいんだがな。例えば木の実を集めてリュウラセンの塔まで持ってくるとか。
「横になって、静かに目を閉じてたら何か思い浮かぶかもしれないぞ。ビクティニもどうだ?」
「うるさいからボクを眠らせようったってそうはいかないもんねー」
 にやにやしながらへへんと胸を張るようにビクティニは言う。何を威張ることがあるんだか。うるさいって自覚があるんだったら少しは静かにしてて欲しいもんだが。
生憎俺には暇を持て余してるビクティニを満足させられるような面白いことなんて思い浮かばない。
何か気の利いた昔話でもしてやれればなあ。いや、それだと逆に子供扱いするなって怒りだすかねえ。
俺から見ればはしゃいでいるときのビクティニは騒々しい子供以外の何者でもないんだが。
はてさて、どうしたもんか。と、眠気で回らない頭を巡らせてみても、良い案なんて出やしない。
結局俺の口から出てきたのは、洒落た小話でもなく。新しい話題の提供でもなく。大きなため息だけ。
「そう言えばさー、今日はレシラムいないの?」
 もともと俺には大して期待していなかったらしく、ビクティニ自ら俺に話を振ることを選んだようだ。俺もそっちの方がまだ助かる。
レシラムのことか。ん、何でお前がいないって知って……ああ、ここに来る前に先にリュウラセンの塔に行ったんだな。
俺達がねぐらにしている屋上に誰もいなかったからこうやって近くの森まで探しに来たわけか。
「さあな。俺が起きたときにはもういなかったぜ、レシラムに用事か?」
「ううん、ボクが探してたのはゼクロムだよ。レシラムもいなかったのがちょっと気になったから聞いてみただけ」
 ふむ。そう言えばビクティニがレシラムと一対一で何か話してるのをあんまり見た覚えがないな。俺を交えて会話することはあったが。
塔に遊びに来た時も、ビクティニはレシラムがいるとどことなく萎縮してるような感じがする。その気持ちも分からなくはなかった。
レシラムの奴は話し方や仕草の一つ一つも上品で、それでいて威厳があって。これぞ伝説のポケモンと言った風格がある。
それ故、何となく近づき難いというか。同じ伝説のポケモンとはいえ態度や思考は世俗に染まっている俺は少々堅苦しさを覚えてしまうのだ。
きっとビクティニも同じことを感じていて。とっつきにくいレシラムよりは、気軽に話せそうな雰囲気の俺にこうやってべたべたとくっついてくるのだろう。

―2―

「多分見回りにでも行ってるんじゃないか。あいつは真面目だからな」
 主に人間の手が届かないような森の奥や山奥に住むポケモン達が困っていたら助けて回る。それがレシラムの言う見回り、らしい。
この周辺はあまり他の野生ポケモンを見かけないが、それはあくまで一部分。一つの森、一つの山全体に住んでいるポケモンの数は計り知れない。
その中で困っているポケモンなんぞ数えきれないほどいるだろうから、それぞれの問題を解決していくなんて途方もない話だ。
以前、そんなことを続けてお前にとって何の得になるんだ、と俺がレシラムに尋ねてみたら。
損得じゃない、少しでも誰かの助けになれれば私は嬉しいから、と爽やかな笑顔で答えられてしまった。もちろん俺は何も言い返せなかった。
そりゃあ俺だって目の前に何らかの問題を抱えたポケモンが現れれば、自分に出来る範囲で力になってやりたいと考えるだろう。
ただ、自らそんなポケモンを探してまで助けようとするレシラムの行動理念は、残念ながら俺に理解できそうになかったのだ。
「そっかあ」
 うんうんと納得したかのようにビクティニは小さく頷く。レシラムの性格は何度か接したことのあるこいつなら、それとなく分かっているはずだ。
ビクティニがレシラムにあまり近づこうとしないのは、俺と会話しているときのように何気ない話題に華を咲かせている自身とレシラムの姿が想像できないからかもしれない。
レシラムが身に纏った気高く真面目なオーラは、無意識のうちに陽気なビクティニの接触を阻んでいるのだ。
俺も伝説の威厳を損なわないような振る舞いをしていれば、こいつに絡まれることもなかったかね。今更繕ってみたところで手遅れではあるんだが。
それに、全くビクティニがくっついてこない日常を考えるとそれもそれでちょっと寂しいかな、なんて思ってしまう辺り。
どうやら俺もこいつの賑やかで騒々しい毒気にすっかり当てられてしまっているようだ。どうしようもない。
「ね、ゼクロムってさ、レシラムのことどう思ってるの?」
 ふわり、と浮かび上がって。再び俺の胸の上に乗っかるビクティニ。レシラムみたいなふさふさな毛はねえのに、お前はこの位置が好きだよな。
ぺたりと腰を下ろしたビクティニと、寝転がって両腕を枕にしている俺の視線は大体同じ高さ。今日の空の色を映したかのような青い瞳が、俺を捉えていた。
ん、これも退屈しのぎの延長か。その割にはビクティニの奴、妙にかしこまってる気がするが。まあいい。中途半端に眠気も覚めちまったし、答えてやるか。
で、レシラムをどう思ってるか、ねえ。あいつに関してあれこれと軽く頭を巡らせてみても。終着点は大体同じ位置になってしまう。ぶれないんだよな。
「優しくて真面目で……伝説ポケモンの鑑みたいな奴だと思ってる」
 我ながら面白味のない答えだが、レシラムについてのイメージはこれらの印象が強すぎて他の思考の介入を許してくれそうにない。
ビクティニもレシラムに対しては同じ印象を抱いていたらしく、至って平凡な俺の回答につまらなそうにため息をついた。
そんな顔されてもな。聞いてきたのはお前だろうが。俺に言葉選びのセンスを求められても困るっての。
「ふうん。じゃあ、異性としてはどう?」
「はあ?」
 俺の疑問詞をよそにビクティニはにこにこしながら返事を待っている。何かを期待するかのように目を輝かせて。
こんな無邪気な微笑みを交えてじっと見つめられたら、俺も答えないわけには……なんてな。俺もそこまで堕ちてはいない。
顔つきこそ純粋でも質問の内容が内容だ。雌雄の話題を好んで振ってくる時点で不純物が混じってるのは明白。
態度や振る舞いに子供っぽさが見え隠れするものの、ビクティニも根本的な部分では俺と同じで俗物に近い。だからこそ気が合うとも言える。
雌雄の話は興味を惹くものも多いし、方向性はともかく盛り上がるしでいかにもこいつが好きそうな事柄だった。
「レシラム、か」
 と、何だかんだでちゃんと考えてしまう俺がいる。俺も暇を持て余していたのは事実だし仕方ないな、うむ。
あいつをポケモンとしてどう思うか、雌としてどう思うかでは答えが変わってくる。俺も雄だしな。
塔の上で一緒に生活しているとレシラムと顔を合わせることも多いし、そんな中であいつを異性として意識することは少なからずあった。
真っ白な体に、きりっとした青い瞳。顔立ちも整っていて、さらには行動の一つ一つも優雅ときたもんだ。
こんな雌が近くにいて、一匹の雄として無関心でいることは難しい。レシラムの振る舞いにどきりとしてしまったことは数知れず。
ただ、あいつは生真面目が意思を持って歩いてるようなもんだからな。俺のそういう煩悩はレシラムと会話するうちにすぐになりを潜めてしまう。
「ちょっとは意識してるさ。まあ、俺なんかじゃレシラムとは釣りあわねーよ」
 あいつの外見に心をときめかせていても、実際に接していると。レシラムと俺とじゃ住む世界が違うような気がして。
俺とレシラムの間にそういった情事を介入させるのがとてつもなく愚かしいことのように思えてしまう。
レシラムもレシラムで雄雌の関係とか交わりとか、そういうのには全く興味なさそうな顔してるしなあ。
我ながら少し自嘲を含んだ言い回しになってしまった。見たくない現実を突きつけられたようで物悲しくなってくる。言ったのは俺自身だが。
「ひょっとして。ゼクロムって童貞なの?」
「なっ……」
 そんな俺のセンチメンタルな気分は、ビクティニのこの一言によってぶち壊されてしまったのは言うまでもない。
まさかの直球。突拍子もない質問に俺は思わず大きく目を見開いてしまっていた。しかもビクティニの目の前で。これはまずかった。
「あー、動揺してるってことは図星?」
「う、うるせえな……」
 いっそのこと見栄を張るのも一つの選択肢として考えた。しかし相手はビクティニだ。
動揺を思いっきり顔に出してしまった手前、変に誤魔化そうとしたところですぐにばれてしまうだろう。
くだらない虚栄心を崩されてさらに惨めな気分になるよりかは、正直に言ってしまう方を俺は選ぶ。って、こら笑うなビクティニ。
「ふふ、ごめんごめん。だってさあ、ボクはてっきりゼクロムはレシラムとそういう仲なのかと思ってたもん」
「ねーよ」
 苦笑しながら首を横に振って俺はやんわりと否定する。レシラムと、ビクティニの言うような仲になりたいかどうか。正直なところ、よく分からない。
煩悩をフル稼働させて妄想してみても、あいつと交わる自分の姿がいまいち頭に浮かんでこないのだ。
息を荒げながら腰を動かしている俺も、喘いでいるレシラムの姿も、どちらも違和感を覚えてならない。
おそらくこれは俺とレシラムとの精神的な距離が遠いことが原因なんだろう。あんな高貴な彼女に俺が手を出してしまうのは恐れ多いというか。
こんな心構えじゃアプローチすら始まらないことは言うまでもなく。今のレシラムとの関係を表すなら、単なる同居ポケモンが的確だった。
同じリュウラセンの塔に住んではいるが。共通点はそれだけで、後は特筆すべきことのない無味乾燥な間柄。
お互いが自分のやりたいように生活しているだけ。だから俺はあいつと行動を共にした記憶なんてほとんどなかった。
雄と雌が二匹で一緒に暮らしていたら、何かあるんじゃないかと疑う下世話な感情はビクティニらしい。俺だって雄と雌のそんな事実を聞けば勘ぐってしまう。
だが。俺とレシラムの間にそれを期待してたんだとしたら、残念だったな。あいつとは別に何もねえんだ。悲しいくらいにな。
「じゃあさーゼクロム。ここで一人でしてみてよ」
「は、お前何言って……」
「童貞なら自分で処理してるんでしょー?」
 今度は顔に出なかった。いや、出せなかったのだ。ただただ、開いた口が塞がらずに。
ああ、これが怒ったり驚いたりするのを通り越して呆れるってやつか。話には聞いていたが体感したのは初めてだ。
ビクティニの奴は何か悪いもんでも食ったんじゃねえの。いやさっき食べたオボンの実は味は普通だったというか旨かったから違うか。
オボンの実には苦手な味を食べたポケモンが混乱する効果はなかったはずなんだが。
まあ、こいつの場合は普段から軽い混乱状態にあるんじゃねえかってくらいテンション高いしなあ。
これもビクティニの中では軽い冗談のつもりなんだろうか。だとしても言っていいことと悪いことってもんがあるだろう。
何もすることがなくて退屈だから俺にわざとこんな質問をぶつけて。慌てふためく俺の反応を見て楽しんでいるんだとしたら、感心しねえ暇の潰し方だな。
顔つきから俺が何考えてるか推測できるビクティニだ。その発言で俺が何を思うか、どう感じるか。予測出来なかったとは言わせねえ。
「…………」
 俺は黙ったまま、ビクティニではなく自分の股間に視線を移す。黒いラインが三本、股を通って尻尾の方まで伸びている。
その真ん中の筋は今でこそ平坦だが、時と場合によってはちゃんと自己主張してくれるものがしっかりと収納されていた。
相手がいない俺だ。ビクティニの言うようにやるなら必然的に一人になる。仕方ねえさ。伝説のポケモンだろうと溜まるもんは溜まるんだ。
あんまり溜めすぎると朝起きたときに元気過ぎて、レシラムと顔を合わせられない状況になっちまったときもあったしな。適度に処理してやらねえと。
ええと、最後に扱いてやったのは四日か五日前くらいだったか。今のところ、悶々とした感情が蓄積されてる感覚は特にしないし、朝も取りたてて問題はないが。
日数の間隔からすれば、抜くのは無理な話ではなかった。弄ったりして気分が高まってくれば難なく行為に及べるくらいには。
実際俺も退屈していたといえばそうだったりする。在り余った時間を浪費するにはうってつけと言えば、間違いではなかった。
もしここで俺が承諾したら、ビクティニがどんな反応をするか。その小憎らしい顔つきがどう変わるのか。
悪ふざけなのか本気なのか、それを確かめる意味合いも含めて。ちょっくらビクティニの悪趣味な暇潰しに付き合ってやるかね。

―3―

 何も答えず、枕代わりに組んでいた腕を解いて俺はのそりと起きあがる。胸の上に乗っかっていたビクティニは慌てて飛びのいた。
そして地面に降り立つとじっと俺の顔を見上げる。からかいを含んだ笑みは消え、少しだけ不安の色が見え隠れしていた。
俺が黙りこくって無表情となればな。ビクティニもようやく俺が気分を害したんじゃないかと思い始めたところか。遅いっての。
「あ、怒っちゃた……?」
 ビクティニはふわりと浮かんで俺の顔を覗きこむ。笑ってこそいなかったものの、俺に対する申し訳なさそうな表情は何一つ見えてこない。
こいつらしいっちゃあらしいがな。ビクティニの予想を突っぱねるかのように、硬く結んでいた口元をきゅっと吊り上げて俺は堂々と答えてやる。
「いいぜ」
「えっ?」
「今からしてやるよ」
 俺が引き受けたのを聞いて、ただでさえ大きなビクティニの目がさらに見開かれる。今度は俺がお前を呆れさせる番、なんてな。
この驚きようからすると、あの発言はやっぱり冗談のつもりだったらしい。まさか俺がその気になるなんて夢にも思っちゃいなかったんだろう。
何かとこいつには振り回されてばかりだから、今回みたいなパターンは新鮮だった。
落ち着きがないのはいつものことだが、動揺してそわそわするビクティニの姿は貴重な気がする。
「え、ほ、本当に……?」
「ああ、本当だ。どっこらせっと」
 まだ信じられないように目をぱちぱちさせているビクティニをよそに。俺は両足を投げ出すようにして座り直し、股間の位置を確認しやすい体勢を取る。
下を向けばちょうど、下腹部の三本のラインが真下に来る位置。足を広げて座ることで下半身に変な力が入ることもなくリラックス出来るのだ。
お前は悪ふざけのつもりだったのかもしれないがな。話を振れば相手がそれに応えてしまう可能性が当然ながら出てくる。
俺が一匹で慰める姿を見せつけられても、文句は言えない状況にあることを理解してもらわねばならない。
馬鹿なことをやってると非難されれば俺は何も反論できないが、言いだしっぺはビクティニだ。それなりの責任はついて回るってことで。
正直なところ、売り言葉に買い言葉で勢いに任せて乗ってしまった感は否めない。童貞だとからかわれてつい、むきになって。
と、ちょっとした後悔の念が俺の頭を過ぎったが。この期に及んでやめたりしたらビクティニに何言われるか分かったもんじゃねえし。
こいつに馬鹿にされるのは一回きりで十分。もう後には引けなかった。俺は目を閉じて一呼吸置いてから、そっと股間に手を伸ばしていく。
俺の手はちょっと変わった形状をしていて、尖った爪の部分から先に板のように伸びている個所がある。
例えるならば大きな手のひらの内側に爪が生えていると言った感じか。爪の部分は器用に動かせるんだが、手のひらの個所はどうも勝手が違う。
広い範囲を覆えるものの、細かいところを弄るのには向いてないのだ。だから俺は爪で傷つけないように慎重に。
真ん中のライン、スリットに沿うようにして。爪の先で何度か撫でてやる。すると、あんまりそういう気分じゃなかったにも関わらず。
爪を上下させていくうちに、くすぐったさにも似たむず痒さがじわじわと。それと共にスリットの奥で動きだしたものを確かに感じる。体ってのは素直なもんだ。
ビクティニの方はというと。腰を下ろした俺の胸の高さよりやや低い位置にふわりと浮かんでいて。時折両手を口元に当てたりしながら。
落ちつかないながらもしっかりと動向を見守っている。俺から多少の距離は置いているものの、目を反らしたりしてない辺り興味はあるのだろう。
俺の自慰行為に全く関心がなかったのなら、たとえ冗談でもやって見せてなどとは言わないはずだからな。
ビクティニの様子を確認していた間も念入りに爪を動かし続けていた結果。筋を擦る爪の先にくちゅりと小さな水音が混じりはじめ、そして。
桃色、いや。どちらかと言えば赤に近い、俺の一物の先端部分が外の世界に顔を出す。湿り気を帯びているせいか外気が涼しかった。
手のひらが影になっていて俺以外は見えない位置。ビクティニも覗きこもうとはしているがふんぎりがつかないようで。
首を伸ばそうとしてはひっこめたり、股間に近づこうとしては後戻りしたり。どうも俺に遠慮しているような雰囲気だった。
「……見てみるか?」
「う、うん」
 ビクティニにもその気はあるんだ。ちょっと背中を押してやれば乗ってくるときはあっさりしていた。
俺はゆっくりと股間を覆っていた手のひらをどけてやる。今まで隠されていた一物が露わに。とは言え出ているのは先端部分だけ。
状態で例えるなら二割か三割がいいところ。まだまだ万全じゃない。それでもビクティニの腕の半分くらいの長さはゆうにあるんじゃなかろうか。
外に出てきたそれを前にして、ビクティニはまるで別の生き物でも見ているかのように。目をきらきらと輝かせていた。
おそらく、俺の愚息に対しては純粋に真新しいものを見つけたような感覚なのだろう。
瞳の煌めきに下心を感じさせるような怪しい光は混ざっていない。見たかった理由は、性的な欲求などではなく単なる好奇心からか。
「もっと大きくできる?」
「馬鹿にしてもらっちゃ困る」
 これで完全なわけはない。俺も舐められたものだ。一旦外に顔を出してしまえばあとはそこを重点的に弄くってやればいい。
爪の先、あるいは手のひらで擦れば。敏感な個所故、刺激はすぐに伝わる。万全になるのにそんなに時間は掛からないはずだ。
俺は再び爪の先を一物の先端に宛がうと、二本の爪の根元で挟むようにして根元から先端へとすっと滑らせて扱いていく。
処理するとき全般に言えることだが、己の肉棒を臨戦状態に持っていくまでの過程もなかなかに心地よい。
強烈ではない、じわじわとした快楽がさらに欲望を加速させる。行為に走る切っ掛けを掴んでしまえば、溺れていくまでは早い。
それにしてもビクティニの前だってのに、これと言った抵抗もなく。見せつけるような形で自慰に及んでいることに俺自身少々驚いている。
別にこいつがいるから普段よりも興奮してる、なんて感覚は全くしないが。これは一匹の雄として。さらには伝説ポケモンとしてどうなんだ、俺。
まあ、相手がビクティニなら見られてもいいかなという軽い気持ちもあった。互いに気が置けないくらいの仲ではあると俺は思っている。
そもそも見てみたいと言ったのはビクティニだし、こいつも俺と同じで細かいことを気にする性格じゃねえしな。
このことが原因でこいつとの間柄に溝が出来てしまうなんてことはおそらくないはず。何にしてももうスイッチは入ってしまったし、今更やめられない。
さすがの俺もレシラムがいるところでやれと言われたら、何が何でも断っていたが。それくらいの羞恥心は残っていた。
「……っ、ふう」
 爪を動かせば動かすほど、竿はその全身を露わにし始め。擦れる面積はどんどん増えていった。
スリットを撫でる間接的なものから、一物を弄る直接的なものに切り替わったのだ。
刺激の伝達速度の違いは、むくむくと膨らんでいく肉棒が語ってくれている。擦ることで発生する鈍い快感が俺の呼吸を荒げていく。
根元から先端まで撫で上げるのに、開始時に比べて倍以上の時間が掛かるようになっていた。
顔を出したばかりの時とは異なり、しっかりと強度を備えぴんと上を向いて。俺の呼吸に合わせて微かに揺れているかのよう。
はち切れんばかりに、痛いくらいに膨張しているとは言い難いが。九割程度には持ってくることができた。準備運動としては申し分ない。
今や股間を覆う手のひらから先端部分ははみ出してしまっていて、隠す役割も大して持ててはいない。
だが俺はさっきと同じようにすっと手をどけて。立派……と俺が勝手に思っている一物をビクティニに見せつけてやった。
「う、わあ……すごい」
 ごくりと生唾を飲み込んで、ビクティニは俺の肉棒をまじまじと見つめる。先端から根元まで、舐めまわすかのように。
さっきまでとは似ても似つかないような貫禄が備わったせいか、ビクティニの反応も違っていたようだ。
今はその大きさはビクティニの体長に届くかとどかないかと言ったところ。こいつから見れば相当なサイズに映っているのではなかろうか。
驚いてるのか呆れてるのかは判断しかねるが、一物をすごいと言われれば。雄としての気分は悪くなかった。
「これから、扱くの?」
「ん、ああ。そうだな」
 そうか。これで終わりじゃない。ビクティニに露呈した竿を曝け出した時点で、何となく満足してしまっていた俺がいる。
全くその気になっていない状態からだとここまで持ってくるのもそこそこの労力だったが。最後までやってみせないといけないんだよな。
こんなに元気にしておきながらおあずけってのも勿体ないし、俺の一物にはもう一息頑張ってもらうことにする。
今度は爪ではなく両方の手のひらで肉棒を軽く挟み、ゆっくりと前後に動かし始めた。爪に比べると触れる面積も大きく、刺激が伝わる時間も長い。
手のひらと一物がずるりと擦れるたびに、ぞわぞわとした感覚が下半身に走る。爪で弄っていたときよりは遥かに心地よかった。
このまま徐々に動かす速度を速めていけば先走りの汁くらいはすぐに出てくるはず、と俺は信じて疑いもしなかったのだが。
今回はそんな感覚がなかなか湧きあがってこない。早いときならばこの時点で果ててしまうこともあったんだがなあ。
刺激は確かに感じてはいるものの、今一つ気分が昂ぶりきらず。こう、こみあげてくるものがない。何だか物足りないのだ。
行為に及んだのが唐突で、精神的な面での興奮が全くなかったことが原因なのだろうか。
俺の場合、肉棒への物理的な接触のみでは限界があるということなのか。
ふむ、遅いって自覚はなかったんだがなあ。さあ果てるぞというときになって達せないのはもどかしいな。
かといって、無理矢理に手の動きだけで済ませてしまうのは遠慮したいところ。せっかくなんだから俺も楽しみたいし。
どうしたものかと一旦手を止めたところに。ビクティニが俺の目に留まる。なんだ、ちょうどいいのがいるじゃねえか。
こいつが俺の満たされない気分を埋め合わせしてくれるかどうかは、やってみないことには分からねえが。
手頃と言えば手頃だし使わない手はないな。そこでただ見てるだけじゃなくて、ちょっとはビクティニにも俺に貢献してもらおう。

―4―

「あれ、どうしたの?」
 竿から手を離した俺の顔をビクティニは不思議そうに覗きこむ。このまま扱き続けると思っていたところなのに突然手が止まったのだ。
拍子抜けとでも言いたげに、普段から丸い目を余計に丸くしている。そう急かすな。俺にもやり方ってもんがあるんだ。
強引に弄り続けていればそりゃあ出るには出るだろうけど。それじゃあ俺が疲れるだけで面白くない。
この行為がビクティニの好奇心を満たすだけになっちまうのはごめんだ。体を張ってるのは俺なんだからな。
「ビクティニ。お前……股開けよ」
「えっ」
 最初ビクティニはぽかんと口を開けていたが、やがて俺の言葉の意味を察したのかみるみるうちに顔が引き攣っていく。
そして俺の肉棒から逃げるようにして後退すると、大きな耳が遠心力でふるふると震える程に激しく首を横に振った。
「む、無理無理、絶対無理っ! そんなことしたらボク、死んじゃうよお……」
 ビクティニがこんなに慌てるのも無理はないか。常軌を逸脱した要求と取られても仕方がないこと。
体格差の問題はどうしようもないからな。先っぽだけなら頑張ればどうにかなるかもしれないが、根元までは確実に不可能だ。
一方的に事を進めたら間違いなくビクティニの体は壊れてしまう。いくらこいつでも頑なに拒むのは当然の結果と言えるだろう。
生憎俺はそんなつもりなど端からなかった。確かに真意が伝わりにくい曖昧な言い方をしたのは認める。
俺がビクティニに求めてるのはもっと別のことだ。おそらくは、直接肉棒の相手をするより遥かに楽じゃねえかなとは思う。
「勘違いすんな。これの相手しろってわけじゃねえ。大きさ的に無理だろ」
「じゃ、じゃあどうして……?」
 まだ若干表情を強張らせながら、恐る恐るビクティニは聞いてくる。おいおい、そんなに怖かったのか。
股間はこんな状態でも理性はある。本能のまま、欲望のままに動いてるわけじゃねえんだ。強行手段なんて取らねえっての。
「お前に言われて唐突に始めたせいか、どうにも気分が乗りきらなくってな」
「え、ゼクロムもしかして遅いの?」
「あのな。お前が思うほど俺の体は単純じゃねえんだよ」
 今回のは早いとか遅いとかそういうんじゃなくて精神的な事情だ。それに俺は遅くねえっての。たぶんな。
勘違いして俺の一物にびびるなんて、可愛いところもあるじゃねえかと思ってたらすぐこれだ。
少しはそのまましおらしくしてりゃいいものを。恥ずかしげもなく扱くだの遅いだの、どこまでも口の減らない奴だ。
「だからお前、おかずになれ」
「へ、おかずって……ええっ」
 ビクティニのことだ。俺の言うおかずが何を指すのか分からない、なんてことはないだろう。
ただ手で扱き続けるだけじゃ限界を感じた。かといって即興で脳内に本能をくすぐるような妄想ができる程俺は器用じゃない。
何か近くに雌でもいれば、と思い当たったのがビクティニだったというわけだ。こいつが異性ってことを忘れかけてたのはさておき。
ぱっと見た感じでは体は小さいし振る舞いも子供っぽいしで、務まるかどうかは怪しいが。やってみないことには分からない。
「お前も一応雌だし、目の前で見せられたらちょっとは興奮するかもしれねえしな」
「む、一応って何さ。ボクだってちゃんと女の子なんだからねっ」
 女の子、ねえ。外見はまだしも、ビクティニの内面をそう呼んでしまうのはいささかの抵抗があった。
こいつの中身はどう考えても純粋無垢な女の子じゃねえ。色んな成分が混じっていて所々濁ってやがる。
土の上に出来た水溜まりのように、一度底の泥をまきあげてしまうとあっという間に透明度は失われてしまう。
それでも完全に汚れているわけではなく、波風を立てなければ、あるいは時間が立てば。透き通った水に戻るのだ。
子供のように純粋な面と、俗っぽい濁った面と二つの面を併せ持つビクティニ。こいつの濁りを例えるならばこんなところだろうか。
もちろんそれは悪いことばかりじゃない。今みたいに、ある程度の汚れがないと楽しめないことだってある。
「へいへい。じゃあその女の子って証拠を見せてもらおうじゃねーか」
「分かったよ。見てろよゼクロム……」
 ちゃんと雌扱いしなかったことに立腹したのか、ビクティニは躊躇うことなく一直線に俺の目の前まで飛んでくる。
何だ、思ったよりもあっさりしてんな。てっきりちっちゃい女の子じゃないと興奮しないの、とかおちょくられることも想定はしていたんだが。
おかずになれってのはお前を雌だと見越しての話なんだがな。いくら俺でも雄相手じゃ萎える。
その事実にビクティニは気付いていないらしい。まあ、話が早く進むなら俺も好都合ってもんだ。
「こ、これでどうだ」
 ビクティニは両手を股間の部分に当てると、軽く左右に広げて見せてくれた。
普段は短い毛に覆われていて、はっきり確認できない個所。そんなに意識して眺めたこともなかったんだが……ほお。
至近距離で、しかも初めて見る雌の部分となると自然と視線は釘づけになってしまうわけで。
割れ目があるのは俺のスリットも同じ。しかし、当然ながらそこからにょきりと伸びてくるものはなく。ピンク色をした肉質が奥の方まで層になっている。
筋の上部には豆粒のような突起がついていた。割れ目そのものは小さくとも、緊張からか時折微かに震える肉壁は重厚さを感じさせていた。
想像していたよりも綺麗だな。ビクティニのことだし、もう少し世俗に染まった色を思い描いていたんだが。
赤みがかった俺の肉棒よりはずっと若々しくて健康的な色合いに思える。もしかしてこいつ処女だったりするのかね。
仮にそうだったとして、俺は奪えねえし奪うつもりもない。初めての相手がこんな行き当たりばったりってのは味気ないものがある。
やるならせめて、俺の一物を受け止めてくれる体格の相応な相手だな。と、なると一番近いのはやっぱりレシラムってことになるのかなあ、うーむ。
「これじゃ、ダメ?」
「ん、いや……悪くねえぞ」
 おっといけない。俺の理想を考えるのは後にして、今はビクティニを堪能しないと。見せてくれって言ったのは俺の方だ。
待ちくたびれて勢いを失いつつあった俺の愚息も、ビクティニに目の前で秘所を広げられて多少は元気になってきた気がする。
だが、やはり根本的なところでの色気が不足している感は否めなかった。俺の中ではビクティニは範囲外なのだろうか。
元々定まっている守備範囲を無理矢理に広げるのは難しい。こいつの淫らな格好でくすぐられるものもありはしたが。
ただ見せつけられただけでは、どうしても足りないのだ。ここまでしてもらっておきながら贅沢だな、俺は。
「そのまま自分で弄ってくれると助かる」
「えー、そこまでしなきゃダメ?」
「まあ……無理にとは言わねえが」
 我ながら何を頼んでいるんだか。でもなあ。手っ取り早く俺の興奮が加速する方法と言えば、これくらいしか思い浮かばなかったんだ。
ビクティニは一瞬困ったように眉をひそめて小さくため息をついた。それでも、渋々片手を股間に伸ばしていく。
もう片方の手は割れ目を広げたままで、弄っているところがしっかり見える形で。おお、やってくれるねえ。
「もう。特別大サービスだよ、ゼクロム」
 さすがに恥ずかしかったのか少し頬を赤らめつつも、指先を割れ目の奥へと滑らせていき。静かに上下に擦り始める。
筋の扱い方はあんまり俺の場合と変わらないようにも思えた。そうそう、最初は濡れてもないからゆっくりいかないと痛いんだよな。
ビクティニが筋を広げてくれているので、奥の方まで確認出来る。指で押さえつけられた柔らかそうな内部の凹みまでくっきりと。
物足りなさを感じていた俺でもここまでされると、気持ちの高ぶりを覚えずにはいられなかった。
目の前で異性が自慰行為に及ぶなんてなかなかない光景。ビクティニは振りをしているだけだろうが、そんなことはこの際どうでもいい。
ビクティニが指を動かした瞬間、ぞわりと熱を持った一物がざわめき始めたのを感じた。これなら、きっといける。
いいぞビクティニ。現物をおかずにできるなんてまたとない機会。お前の大サービス、ありがたく利用させてもらうぜ。
俺はにやりと笑うと再び肉棒に手を伸ばす。やり方はさっきと同じ。両方の手のひらで挟んで前後に扱く、普段と変わり映えしないもの。
唯一にして最大の差異はすぐ傍、目の前におかずがいるということ。それだけなのにな。気持ちの昂ぶり方は随分と違うもんだ。
何度か擦っているとみるみるうちに先走りの汁がじわじわと溢れていく。さっきまでは兆候すらなかったというのに現金なことで。
「ゼクロム。気持ち、いいの?」
「おう……もう、少しだ」
 頬を紅潮させ、息遣いも荒くなった俺の変化にビクティニが気付かないはずがない。
発射が近づくサインは今や俺の両手をべっとりと濡らすぐらいにはなっている。そう長くは持たないだろう。
ビクティニに返事をしている間にも、湧きあがってきた欲望の欠片は先端から染み出し、肉棒をつやつやと光らせていく。
「じゃあさ、出そうになったら言って。出るとこ見たいし」
 ああ、そもそもはビクティニのやってみせての一言から始まったんだったか。
言う方も大概だが、乗る俺も俺でお互い様。やっぱり俺達、似た者同士なのかもな。
俺の想像以上にビクティニには頑張ってもらってるし、しっかり見せつけてやるとしよう。俺は黙って頷くと、竿への刺激を続行させた。

―5―

 さて、果てる瞬間は見せるとビクティニに約束したものの。かなり来るところまで来ているのが正直なところ。
これは危ないと感じ、擦る両手の速度をやや緩めたおかげで辛うじて踏みとどまれていた。
制御できずに暴発しちまったら情けないことこの上ない。発射するタイミングぐらいは自身で調整したいもの。
早すぎるとビクティニにまた何か言われそうな気がしてくだらない見栄を張っていたが、これでは生殺し状態もいいところだ。
普段は我慢したりすることもなく勢いに任せていた俺だ。変な焦らしを入れると精神的に応えるものがある。もう、いいかねえ。
俺は両手の爪で肉棒をがっしりと捉えると、傷をつけないよう、そして表面が凹む程度に力を込めて。根元から先端までゆっくりと撫で上げる。
刺激が分散する手のひらよりも、爪の方がピンポイントで狙いを定められる。爪でやるときは大体こうだ。今回もそれに違わず。
直後、下半身に走るぞわりとした感覚。目の前のビクティニの顔と、割れ目がぐらりと揺れた。ああ……これはやばい。
ちょっと力加減を変えただけでこれだ。大した自覚がないまま、ぎりぎりまで上り詰めていたらしい。
「ビクティ、ニっ……出るっ」
 俺の言葉を聞くや否や、ビクティニは即座に筋を弄るのを中断させて肉棒の方へ向かう。そんなに見たかったのか。
すぐに切り替わったところを見るとやっぱり演技だったらしい。まあ、俺のおかずでいいんだし本気で行為に及ぶのも変な話だよな。
それを全く隠すそぶりも見せないのがビクティニらしくはある。相手が演技だと分かったら雄としては気分が萎えたりしてもおかしくはないが。
俺の場合は一人でやってたことだしダメージでも何でもない。昂ぶりきった気持ちは今更押さえつけようもなく、一気に駆け上がってきて。
「ああっ……あぁ」
 肉棒がぴくぴくっと揺れ、直後。情けない呻き声を上げ、俺は果てた。先端からそれなりの勢いで白濁液が噴射される。
四日五日間隔だとこんなもの。一週間以上開けるともっと勢いもあるんだが。それでも散々焦らしたせいか量は普段よりも多いように思える。
飛び散った液が草の上に落ち、かさかさと何度か音を立てた。まとまって飛び出した第一陣の勢いはかなりのもの。
しかし荒ぶった発射は草むらに白い模様を書き足すだけでは飽き足らず、ついでにビクティニの顔まで染め上げてしまっていた。
さらにはまだ愚息の先端から少しずつ流れ出ている。勢いをなくしたそれは先端から根元まで伝っていき、やがて地面に濁った染みを増やしていく。
勢いはともかく思ったよりも出たな。ビクティニが俺に向かって何か言っているような気がするが、後にしろ。俺は今快楽を貪るのに忙しいんだよ。
まともな受け答えなんて出来るわけがない。今の俺に出来るのは虚ろな瞳ではあはあと荒い息を返すことだけ。
本当に直後は頭の中が真っ白になって何も考えたくなくなる。ただただこの快感を味わっていたい。
突発的な行為だったにしてはこの余韻は悪くねえ、むしろいつもよりいい感じだ。
これもビクティニが色々やってくれたおかげなのか。だったら後でちょっとくらいは感謝してやってもいいかな。
ひとまず今は悦楽の残滓が消え去るのを待つのが先。両手をだらりと投げ出して、だらしない笑みを浮かべながら俺は大きく息をついた。

「……ゼクロムってば、聞いてるの?」
「ん……ああ。何だ?」
 どれくらい時間が経ったのだろう。ようやく意識がちゃんとこちら側に戻ってきた気がする。
軽く頭を振ってから俺はビクティニと視線を合わせた。長い耳から顔に掛けて所々白濁液の跡が残っている。ああ、頭から被っちまったのか。
若干の時間が経過しているせいか白いところと乾きかけたところで濁った色合いだ。自分で出しておいて何だが、これは確かに臭ってきそうだ。
「ボクにかけないでよっ。口に入っちゃったじゃないかー。うええ……生臭い」
「近づきすぎだ、馬鹿」
 嬉々として俺の一物に近づいて自滅したのはお前の方だろうが。近すぎるぞ、と注意を促そうにも果てる直前の俺にそんな余裕はない。
ここで文句を言われるのはお門違いって奴だ。ビクティニにかかるように多めに出すとか器用な真似は俺に出来んぞ。
見るのは良くて自分にかかるのは嫌なわけか。まあこいつは炎タイプだし。白い水鉄砲は効果抜群なのかもしれない。
「うっ……だって、あんなに勢いよく飛ぶなんて思ってなかったもん」
「大体こんなもんだ。大したことないだろうって軽く見てたのか?」
「そんなことないよっ。えっと、ほら……見るのは初めてだったしさ。射程が分からなくて」
 もっともらしい理由だがおそらく後付けだな。視線が泳いでるぜ、ビクティニ。
どうも俺はこいつに過小評価されてるようで。まあ、そんな細かいことで腹を立てていたらきりがない。
そういうことにしておいてやるよ。今は出した直後でだるかったから怒る気になれなかったのもあるが。
「でも面白かったー。雄ってあんな感じでびくんびくんってなるんだね」
「まあ……な」
 単に感動したから、その気持ちを俺に伝えている。ビクティニからすればそれだけのことなんだろうけど。
処理した直後、しかもある程度心が落ち着いてきたときに生々しく言われると気恥かしいものがある。
目を輝かせながら嬉々としてビクティニは言うもんだから余計に。俺を困らせてやろうとか、悪意が感じられない分対処がし辛い。
こいつの物言いにいちいち反応してたら埒が明かないってのは分かっちゃいるんだが、どうしてもな。
それにしても、ビクティニの驚きようからするとやっぱり雄のを直接見るのは初めてだったりするのか。
普段から軽いノリで頭のねじが何本か緩んでそうなビクティニだ。てっきりそっち方面もオープンで、そこら辺の雄と経験済みなのかと。
ああ見えて案外身持ちはかたかったりするのか。だからと言って、俺のこいつへの評価や態度が変わるわけでもないんだがな。
「ねえゼクロム、ボクの色気もなかなかのもんだったでしょ」
 どうだ、と言わんばかりにビクティニは自信満々だ。胸を張るようなことでもないように思えるのだが、少なからず興奮していたのは事実。
ビクティニは俺の想像以上に色々やってくれたし、多少は感謝の気持ちもある。
もちろん元が元なので物足りなく感じた部分は多々あった。だが、ここは斜に構えずに素直になっておくとしよう。
「ああ、なかなか良かったぞ」
「へへー、もしかしてボクみたいな小さい女の子に目覚めちゃった?」
 俺の褒め言葉に気分を良くしたらしく、冗談混じりの笑顔でビクティニは聞いてくる。ねーよ、とそれとなく否定しようとして。
まさかな、と思いつつも俺は片手を伸ばしてビクティニの体を抱き寄せていた。大きな俺の手のひらの中に、ほとんど収まってしまう小さな体。
ビクティニも俺の想定外の行動に戸惑っているらしく、身動き一つせず。どこか不安げな瞳で俺を見上げていた。
俺は耳の先から顔、お腹、足の先までじっくりと眺めてみる。あどけなさを残した表情に愛らしさは感じたものの。
もう一度こいつの筋を広げて見てみたいとか、体中を舐めまわしてやりたいとか。そんな危険な感情は浮かんではこない。
ひとまず俺は正常と見てよさそうだ。処理したすぐ後だから安易に判断は出来ない部分もあるが。
「ぜ、ゼクロム……?」
「ん、驚かせてすまんな。俺は目覚めてないぜ」
 俺は手を下ろし、ビクティニを解放してやる。ほとんど手に力なんて入れてなかったから、逃げようと思えば逃げられたはず。
それでもこいつが手から離れなかったのは俺のことを信頼してくれていたからなのだろう。
「あーびっくりした。なんかゼクロム、目が本気だったし」
「念のために確認してただけだ。やっぱり普段のお前にゃ欲情しねえ」
「むー、これは喜ぶべきなのか悲しむべきなのか……」
 安堵するだけじゃなくて微妙な表情もしてるってことは、自分の体で雄が興奮してくれると嬉しいものなのか。よく分からんな。
俺が本気になったとしたらビクティニはそんな悠長なことを考えずに、まず己の身の安全を確保するのが最優先だと思うのだが。気楽なもんだ。
まあ、確かにお前はしっかり雌だったよ、ビクティニ。とりあえずこれから先、こいつが雌だってことを完全に忘れてしまうことはなさそうだ。
忘れかけることはあるかもしれないが、それはビクティニの普段の行い次第で変わってくるだろう。
「まあいいや。適当に駄弁ってるよりはずっと楽しかったよ。ゼクロム、またいつかやってね!」
「何でお前の前でまたやらなきゃならねーんだ……」
「またまたあ。満更でもなかったんでしょー?」
 それを言われると返す言葉がない。多少なりとも乗り気がなければ、最初に見せてと言われた時点で断ってるからな。
扱き始めてからは俺も夢中になってたし、一人でやるよりは気持ち良かったような気がするし。興奮もした。
もし次があるなら、今回とまったく同じじゃ変わり映えがしないな。行為を楽しむには常に変化が必要だ。
「そうだなあ、今度はお前が直接扱いてくれるってなら考えてやるよ」
「えー、それはちょっと……」
 露骨に嫌な顔しやがって。ちゃんと毎日湖で洗ってるからそこまで汚くねえぞ、ってそんな問題でもないか。
雄の体をしっかり知ってるわけでもないビクティニからすれば、直接一物に触れるのは抵抗があるのかもしれない。何しろでかいしな。
あるいは、今みたいに直接体に掛けられるのが嫌なのか。確かに乾くと厄介だ。あれには早めの対処が大事。
「嫌ならなしだ。さあて、水浴びでもしに行こうぜ。臭いが取れなくなっちまう」
 ビクティニへのぶっかけからこれを思い出すなんて、連想が最低なのもいいところ。だが、よくよく見てみれば俺の手も股間も結構濡れた跡が。
役目を終えてスリットの中に逃げ込もうとしている一物の先端部分もまだしっとりと湿っているのが分かる。
このまま放っておいたら間違いなく強烈な臭いの原因になる。余韻に浸り過ぎて気付かなかった、危ねえ。
塔に戻ったとき、レシラムの前で生臭いのは俺も勘弁だ。あいつがこの臭いで俺が何やってたのか察するかどうかは分からないが。
今まで行為を終えた後は念入り過ぎるくらいに水浴びはしていた。後処理はしっかりやっておかねばな。
「あ、ボクも行くよ。早くこのべたべた落としたいっ」
 立ち上がって湖の方へ向かって歩き出した俺に、ビクティニは羽をぱたぱたと動かしながら慌てて付いてくる。
ビクティニが思いついた低俗な退屈しのぎは確かにお互いの暇潰しにはなった。俺は楽しめたし、ビクティニもたぶん楽しんでたんじゃなかろうか。
ただ、終わった後に俺だけが少々くたびれてしまうのと、事後の手入れが面倒なのが玉に瑕だな。やれやれ。

 END



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最新の10件を表示しています。 コメントページを参照

  • 最後に使った伝説はファイヤー……でしたっけ。私も記憶が曖昧ですw
    得意かどうかは知りませんが何分ドラゴンポケモンは好きなものでして。
    地の分もどことなくほのぼのした描写になるのはやはり私自身そういった世界観をこのんでいるからというのもあるでしょう。
    ビクティニはともかくゼクロムは外見はなかなかの強面ですが、仕草や台詞を通して愛らしさを表現できればなと思っております。
    比喩表現や難しい言い回しはあんまり出来ないと言ったほうが正しいですね(
    共通のテイストを感じるのならばおそらく私の身の丈にあった描写が大体こんな感じなんだと思います。
    レスありがとうございました。頑張りますね。
    ――カゲフミ 2011-10-02 (日) 22:33:54
  • ビクティニが雌……だと……。
    男の子っぽい話し方と小僧らしい顔つきっていう描写から雄だと思っていました。
    今思えば、小僧"らしい"はこの為の伏線だったんですね。

    これからどんな展開になるのか楽しみです。
    続きも楽しみにしてます。
    ――ルシェ ? 2011-10-12 (水) 23:11:56
  • ゼクロムかわいいwこういう感じの雄っていいですね。
    ―― 2011-10-13 (木) 00:41:36
  • ルシェさん>
    ビクティニは雌です。一人称はボク、ですがね。
    あと、小僧らしいではなく小憎らしいの間違いではないでしょうか。
    私自身、ビクティニが雄だと断定できる描写はせずに進めてきたつもりでしたので。

    二番目の名無しさん>
    ゼクロム可愛いです。こういう感じの雄は私としてもかなり書きやすかったりw

    お二方、レスありがとうございました。
    ――カゲフミ 2011-10-18 (火) 18:54:10
  • 「直接一物<に>触れるのは抵抗があるのかもしれない」 間違いがありました。

    遅ればせながら完結お疲れ様でした。
    自慰を描写した作品は初なのではないのでしょうか? 僕っ娘もお初らしいですが、まったくそんな感じはしませんでした。
    2節位までのゼクロムとビクティニの会話はとてもほのぼのとした雰囲気で、風景もまさにカゲフミさんらしい描写でした。
    しかし、ビクティニの発言によって状況は一変し、あれよあれよと言う間にonani-…少し流されやすい性質なのかなかなか可愛かったです。
    最終的にビクティニも、フリとはいえゼクロムの前で広げっちゃてまあエロイじゃないのよ。いくら小さくても間近で見りゃあねぇ… ぶっかけもヨカタヨ
    昼寝をしようと思ったらとんでもないことをしてしまったゼクロムですが、お互いに楽しんだようなので、またいつか気が向いたらやってしまうんですかね。その時はゼクロムの言ってたことも実践したりして……
    楽しく読むことができました。これからも執筆頑張ってください。
    ――ナナシ ? 2011-10-22 (土) 21:05:08
  • 脱字の指摘どうもです、修正しておきました。
    初めてではないような気がします。探せばwikiにもぽつぽつあるのではないでしょうか。
    ビクティニの発言からの流れはちょっと強引かなーと思いもしたのですが。私としても今回は早いところそう言う描写に入ってしまいたかった部分もあったのでw
    内心呆れつつもやってしまう辺り、仰るようにゼクロムは流されやすいタイプなのかもしれませんね。
    ビクティニもせっかく登場させたのだから、とちょっとだけ官能シーンに参加していただきました。あまり濃い描写は出来ませんでしたが、ゼクロムメインのつもりでしたのでこれくらいが妥当かなと。
    レスありがとうございました。次回作も頑張りますー。
    ――カゲフミ 2011-10-26 (水) 17:08:27
  • ビクティニが可愛かったw ゼクロムがなかんか面白い( ´ ▽ ` )ノ
    個人的にはビクティニとゼクロムがやってるとこレシラムに見られてしまってレシラムと官能シーンになってしまうみたいなのを見てみたいです
    レシラムとやってしまうみたいな続編個人的には期待してます
    ――いかるん ? 2011-12-07 (水) 20:04:51
  • ビクティニは結構はっちゃけたキャラにしたのでそう言っていただけると嬉しいです。
    ゼクロムも何だかんだ言いつつビクティニに振り回されるという位置づけで動かしやすかったです。
    結末からすると続編を考えやすい流れではあるのですが今のところ予定はないです。申し訳ございません。
    レスありがとうございました。
    ――カゲフミ 2011-12-10 (土) 20:39:35
  • ゼクロムは何だかんだで今後も滅茶苦茶な要求にこたえてしまうんでしょうねwとにかく凄く面白かったです!
    ―― 2012-10-09 (火) 12:37:15
  • ビクティニに頼まれればよほど無茶苦茶な要求でもない限りは応じてしまいそうな気はします。
    ただ、自分がやるだけでは面白くないのでさりげなくビクティニにも見返りを求めそうですがw
    感想ありがとうございました。
    ――カゲフミ 2012-10-14 (日) 19:24:29
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Last-modified: 2011-10-19 (水) 00:00:00
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