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時の後継者 4

/時の後継者 4

時の後継者 

by蒼空


31 過去の自分 


ウズキを中心に今後の事を話していると誰かの足音が聞こえてきた。
ムオンはいち早くその事に気付き皆に声をかける。

「……足音……」

一同はあまり音を立てないように草むらの中に隠れた。

「今日は父様と母様の結婚記念日だから何か探すの!」

声が聞こえるがこちらは姿を隠しているため種族は確認できない。
ライガは目を金色に輝かせ声の主の方を見る。

「……どうやら五歳くらいのロコンの女の子みたいだ……」
「こういう時には透視能力って便利なのですね……」

ライガの能力にアマツが感心する。
これはいくら神の能力を得ようとも手に入れることのできない力。
今回はライガの能力に一同は激しく感謝した。

「非常にやばい。ロコンがこっちの草むらに来るんだが……どうする?」
「ねぇウズキさんって時間を止める事はできないの?」

グレンの一言に「それがあった!」と言わんばかりに一同の視線がウズキに集まる。
ウズキは申し訳なさそうに顔を隠した。

「そこまで強大な力はディアルガの姿じゃないと使えないんだ……。
 そして今は時間転移で力を使いすぎたからさ……。ボク……キュウコンにもなれないんだよね……」

一同の期待の星、時の神ダイヤ様はそこまで万能ではなかった。
ムオンを抜かした一同の顔が見る見るうちに青ざめていく。

「あ! あっちに木の実が沢山生った木があるの!」

ロコンの女の子は方向転換し木の方に向かった。
一同は音を立てないようにゆっくり動き出す。
するとグレンの肩に誰かの前足が置かれた。

「お前達こんなところで隠れて何をしている? まさかボク等の娘に手を出そうって言うんじゃ……。
 もしそうだとしたら痛い目を見てもらうけどね……」
「そんな大声出したら隠れてる意味がなくなっちゃいますよ……」

グレンは前足を置いたポケモンの方を向く。
金と銀のキュウコンがたたずんでいる。
どちらも二五歳程度で金のキュウコンを見たグレンは絶句した。
いや一同も金のキュウコンを見れば絶句するだろう。

そのポケモンはウズキ……いやウヅキだった。
そして銀のキュウコンは勿論クゥである。

「いやボク等は決して怪しいものじゃないんですよ! ……信じてくれますよね?」

ウズキがウヅキの目の前に割ってはいる。
ウズキの考えはこうだった。

相手が過去のボクならばボクの考えを読む事ができる。
そうすればボク等の大体の状況は解るはず……。

「敵意はないみたいだね……。解ったよ。アマツを見失う前に行こうかクゥ」
「あなた若い頃のウヅキさんにそっくりですね……じゃあ私達はこれで失礼します」

クゥは頭を下げてから行くがウヅキはさっさと行ってしまう。
ウズキは自分なのだが不快な気分になった。

「ウズキって以外に失礼な奴なんだな……。初対面であの態度はないだろう」
「姉さん……それは禁句だって……」

サイのさり気ない一言にウズキは傷ついた。
だが自分でも感じた思いだけに声に出して否定する事はできない。

「そ、そんなウズキさんはただ初対面の方には冷たいだけですよ!」

フィニティのフォローにウズキも少しは元気を取り戻す。
そしてウズキも言い返した。

「初対面ならライガとサイだってボク等に攻撃してきたよね?」
「だってあのころの俺達、窃盗組だった訳だし!」
「私達は言わば敵同士だった分けだからな」

ウズキの文句もライガとサイにはまるで通用しなかった。

「この前の事……タオル代わりにした事……怒ってる?」
「当たり前だ! 私の毛が白いからってあれは酷いだろ!
 神だからってして良い事と悪い事があるだろう!」
「あの時はその場の勢いでつい……」

サイがウズキを睨みつけた。
その迫力は元窃盗組だけに子供なら泣き出しそうであった。


32 アマツ 


ウヅキと遭遇した以外に目立った事はないまま過去での一日目を終えようとしていた。
寝床の確保だけはウズキの案内ですんなりと終わっている。

「明日には食料の確保、周辺の案内で一日かかると思うからもう寝よう……」

ウズキの言葉に一同は納得し眠り始める。
ウズキは少し離れた場所で空を眺めていた。

「……会話……」

珍しくムオンからウズキに話しかけてきた。
ウズキは面倒そうに振り返る。

「君がまともに話すならボクは構わないよ……。今はアマツも寝てるし普通に喋ってもらうよムオン」
「……流石は記憶を読める神ってとこか。アマツの事で話がある」

ムオンが初めて普通に話す。
ウズキは真面目な顔をして話を始める。

「お……アマツって呼び捨てにしたよ。彼女……二百年前より以前の記憶ないね。
 ボクの能力を使ってもアマツの二百年前以前の記憶を見れないんだもん。
 旦那としては妻の記憶がないのは寂しいでしょ? 今のムオンは旦那ではなく部下だもんね」
「ああ、そうだ。気付いてたのは当然か……。アマツの記憶を戻せないか?」

ウズキはムオンの言葉に少し考え口を開く。

「不可能と言えば嘘になるけど無理だね。彼女に以前の記憶を思い出させるではなく……神の能力で植えつけるなら可能だ。
 でもそれは彼女自身の本当の記憶じゃない……。だから無理だ」
「……そうか。記憶をなくしたアマツと一緒にいるが何も思い出す兆しがずっとなくてな……。
 時の神ディアルガならできると思ったんだが……」
「神もそこまで万能じゃない……。お互い彼女を知ってるのに彼女はボク等を解らない……。寂しいね……」

ウズキとムオンは同時に溜息をついた。

「事故に会い俺を庇って彼女は記憶をなくした……。だから俺は彼女の支えになってやりたいんだ」
「この時代は君達がいた時代でもある。何か思い出すきっかけもきっとあるよ。
 アマツの事……君が頼りだからね……。ボクは五年しか彼女と一緒にいなかったから……」
「娘を思いやる母親か……。アマツは良い母親を持ったな……」

ムオンの一言にウズキの顔が妙にニヤついている。
ムオンは何か嫌な予感を本能で感じ取っていた。

「ど、どうした? 何か嬉しいことでもあったか?」
「ボクは君の母親でもあるんだよね。娘の旦那だから君はボクの義理の息子なんだよ~。
 だからボクをお母さんって呼んでも良いんだよムオンく~ん」
「今のロコンの姿でそれを言われると凄い無理を感じる……。いや、キュウコンの姿でも同い年か……。
 だが、ありがとう……話をして少しすっきりした。何かあったらまた頼むよ……母さん」

ウズキの息子発言に案外冷静に対応、反応をする。
ウズキは予想外の反応につまらなそうな顔をしていたがすぐに真面目な顔に戻る。

「君もアマツもボクの大切な子供だからね。何かあれば相談に乗るよ。
 アマツの記憶の手がかり……見つかると良いね」
「そうだな。もしかしてだからこの時代に飛んだのか?」

ムオンの質問にウズキは素っ気無く「偶然だよ……」と呟いく。
ムオンも「そうか……」と返事をし寝床へ戻っていった。

「そうこの時代に飛んだのは偶然のはず……。それともボクは未練があるのか……。
 クゥとアマツを……守れなかったこの時代に……。ボク自身を変えた時代に……
 でもボクは何もしてはいけない……。なのに……また悲劇を繰り返すためにこの時代に……。
 これから起こるあの事件を見るために……。ボクは……なぜこの時代に飛んでしまったんだろう……」

ウズキの瞳から涙が落ちる。
神でも救えない者はいる。一万年前にパールが言った言葉。
ウズキは今になってその言葉の意味を理解するのであった。


33 心 


ダイヤがタイムスリップして数時間後プルートはやっと落ち着きを取り戻していた。
パールは既に疲れきっている。

「ふぅ~。良しパール、ダイヤの捜索は明日にして……」
「良し! 今日は休むんだな!」

プルートが話し終わる前にパールが喜びの笑みを浮かべる。
話に割り込まれたことでプルートはパールを睨んだ。

「そうだな……。今夜はワタシとパールで夜を楽しむというのはどうだ?」
「別に楽しむことなんか何もないだろ……」

プルートが色気のある声でパールに言い寄るが本人は相当鈍感らしい。
プルートの誘いの意味を全く理解していなかった。

「……パール、わざとやってる? なんで雌に言い寄られてパールはそんな平気な顔でいられる!?」
「オレ達、神はそんな不順な行いをする必要はないだろう……。
 それにダイヤと同じく禁忌を犯す気かお前は?」

プルートの質問にパールは真面目に返答した。

「この石頭! 童貞って言われて悔しくないのか!?」
「別に悔しくなんかないぞ。気にするお前の方が可笑しいだろ……」

パールの発言は確かに正しいだろう。
しかしそれは創造主の言いなりという意味でである……。
正直プルートもダイヤと同じで創造主に疑問を抱いていた。
創造主が想定としないような事……『パールとの連携を組む』ということをした。
今のパールが世界を変えてもそれはプルートの望む世界にはならないだろう。
ならば選択肢は『パールを変える』か『ダイヤに味方する』の二択しかない。
後者は散々ダイヤに馬鹿にされたため取りたくはない……。
よって答えは前者しか残らなかった。

「パールは創造主のやり方に疑問はないのか? 争い合う事で平和が得られると思うか?」
「創造主に間違いは無い! お前どうしたんだ? オレ達は創造主に仕えるために生み出された。
 創造主に何の疑問を持つ必要がある!」

パールの忠誠の言葉にプルートは嘲笑っている。

「疑問を持たないお前は優秀な『道具』だな。ワタシ達にも意思はある。
 お前は自分の考えも持たずに創造主の言いなりとして世界を変える気か?」
「意思ならあるさ……。そうでなければ世界を変えようとしない!」

パールがプルートに怒鳴る。
プルートも怯まず怒鳴り返した。

「それはお前が初めから創造主に与えられていた指名だろう!? ワタシはお前の考えを聞いている!
 今のお前は創造主の言いなりになっているだけの人形にすぎない! 考えを持たないお前は生物ですらない!
 正直に言えばワタシはダイヤの行いは間違っているとは思わない。
 誰かを愛し誰かを必要とするのは生物として間違ってる訳がないからな!
 ダイヤは変わったよ。それはあいつが自分の意思を持ったからだ!
 だがお前は生まれた時から何も変わっていない! お前はずっと人形のままでいる気か!
 お前は一万年以上の間、何を感じ、何を見てきた!」
「それが創造主の望みならばオレは道具でも人形でも構わない」

パールの発言にプルートは失望していた。

「お前を愛してると感じたワタシが馬鹿だったよ……。
 ワタシは創造主の道具のままの人生を送る気は無い。
 お前が創造主の道具なら手を組むのはここまでだ……。
 好きだったよパール……」

プルートはパールに別れを告げ消えていった。

「……オレは間違っているのか? そんなはずはない……。
 オレは創造主に従い創造主に尽くす……。疑問なんてない。ないはずだ……。
 だがなぜプルートがいなくなって寂しいと思う……。
 あいつはオレにとっての何だ?
 心も空間の一つだ……。でもオレは心という空間が解らない……。
 心って何なんだ……。オレは可笑しいのか?」

パールが自問自答を繰り返す。
それはパールが始めて創造主に疑問を持った瞬間だった。


34 二回目のファーストキス 


ムオンが寝床へ向かう途中にアマツが立っていた。
ムオンはさっきの話が聞かれたのでないかと顔には出さないが焦っている。

「その盗み聞きする気はなかったのですが……。ムオン……先ほどの話は本当ですか?」
「……肯定……」

ムオンのかには「やっぱり……」と言いたいような顔になった。
それでも、アマツの質問にムオンはいつもの様に一言で返した。
ムオンも反応にアマツは怒鳴る。
それはアマツが聞きたかった答えとかけ離れたものだったから……。

「私は真面目に聞いているんです! あなたは私の過去を知っているのでしょう!?」
「……ああ。知っている」
「なぜ今まで黙ってたんですか!? 私はずっと……ずっと!
 ……手がかりも見つからないで不安だったんです……。
 神の力を使ったから神に教団のトップに担ぎ上げられてずっと一匹だと思ってましたから……。
 誰も私を一匹のポケモンと見てくれていないと思ってましたから……」

アマツは怒鳴りながらも瞳からは涙が溢れていた。
ムオンはそっとアマツの隣に進み呟いく。

「記憶のないお前に俺の愛を強制したくなかった……。
 お前が新しい人生を歩むと言うのなら俺はそれを祝福しよう。
 それが俺じゃない誰かを愛し……俺の元から離れる結果となっても……」
「それはあなたの勝手な思い込みでしょ!? 私は解らなかったですけどあなたと一緒にいて懐かしいと感じていました。
 ……でも今、確信しました。私はムオン……あなたが好きです!
 いえ違います……ずっとあなたが好きだったんです!
 記憶をなくしても心のどこかでずっとあなたを求めていたんです!
 あなたを探し続けていたんです……ディアルガ様以上に……」

ムオンの無表情は微笑みの顔に変わる。

アマツの告白……それは昔にもあった事。
でもアマツ本人にその記憶は無い……。それでも、もう一度俺を選んでくれた。
もう迷う必要はない……。俺はアマツと歩んでいこう。
たとえ神だろうと俺たちの愛を否定させはしない。

「俺もずっとお前を愛していた……アマツ。もう離さない……お前は俺のものだ」
「言葉なんていくらでも言う事ができます……。態度で……行動でそれを証明してください……」

アマツは顔を赤くしてムオンに話す。
彼女の言っていることはそれは……。

「ああ。お前が俺を望むと言うのなら……。俺もお前が欲しい……」
「嬉しい……。ありがとうムオン……」

ムオンはアマツにキスをした。
当然ムオンは自らの舌をアマツの口の中に侵入させる。
記憶をなくしたアマツにとっては嘗て愛したムオンでもファーストキスのようなもの……。
それでもアマツは精一杯ムオンを受け入れた。
その行為は数分間にもおよび静かな夜に卑猥な水音を立てる。
互いは口を離し唾液はまるで銀の橋のように二匹の間に架かり儚く消えていった。

「アマツの二回目のファーストキスも俺がもらったよ……」
「もぉムオンったら……。記憶をなくしてからは私……初めてだから優しくしてくださいね?」

アマツの言葉にムオンが意地悪な笑みを浮かべ質問した。

「それは時の教団のトップから親衛隊隊長への命令ですか?」
「べ、別にそう言う訳じゃありません……。たださっきも言ったとおり不安なんです……初めてだから……」
「アマツの初めては俺がもらったんだけどな……。でも優しくするさ……。
 アマツが傷つき苦しむ姿は俺も見たくないからな……」

ムオンは最高の笑顔をアマツに送る。
それ今のアマツには初めてで……でもムオンにとっては二回目の笑顔だった。


35 記憶の欠片 


ムオンはアマツは押し倒した。
一見暴力的に見えなくもない行為だがムオンはアマツを気づかい優しく押し倒している。
ムオンはそのままアマツの胸の突起物を舐め始めた。

「あぁん! ムオン!」
「相変わらずアマツは可愛いな……」

アマツはムオンに舐められ過敏に反応する。
どうやらアマツは胸に弱いらしい。
ムオンもその事を知っているのか今度は軽く歯を立てた。

「あぁああん!! いいよぉお!」

ムオンが歯を立てた事でアマツが激しく身を捩った。
それでも激しく動くアマツを逃がさないムオンは流石は教団の親衛隊というところである。
ムオンが胸を弄るたびアマツは激しく動き淫らな声を上げた。
その声がムオンを興奮させ弄る行為がどんどん激しくなっていく。

「いやぁん! 激しいよぉおムオォォン!!」
「アマツがこんな淫らな姿を見せられたら誰だって興奮するさ……。
 それにこんなに乳首も固くして……。真面目な顔してエッチな奴だな……」

ムオンの言葉にアマツは顔を真っ赤にした。
その表情を見て我慢できる雄などいないだろう。
ムオンは感じるアマツに止めとばかりに胸を赤子のように吸い始める。

「だめぇえ!! そんなことしたら私……あぁああん!! イッチャウよぉおお!!」

アマツはムオンの愛撫に簡単にイッてしまう。
ムオンはアマツがイッたのを確認し胸から顔を離した。

「アマツは本当に胸に弱いな……。昔から変わらないな……」
「ち、違います! ムオンが激しいだけですよぉ!!
 昔の方が弱かったですから!!」
「……アマツ? 今なんて……」

ムオンはその言葉を聞いて唖然とした。
そうアマツは昔の方が胸の弱かった……。
アマツは今回の行為で過去を取り戻そうとしている……。

「いや、今は良いか……。そうだな……今度は俺のこれを舐めてもらっても良いか?」

ムオンはそう言って大きく太くなった雄の証をアマツの前に出した。
アマツは懐かしいものを見るような目をしている。

「ムオンのこれを……見たことあります……。そう確かこうやって……」

アマツは自分の過去から記憶の引き出しを開こうとしていた。
記憶のないアマツには始めての行為なのにムオンの弱いところが解っている。
アマツはないはずの自分の記憶を頼りにムオンのモノを舐め始めた。
時にはゆっくり、時には早く、前足ではムオンの二つの玉を弄る。

「っく! なんで俺の弱いところばかり!? 出る!!」
「なぜか解るんです……。あなたの弱いところが……感じやすい場所が……」

アマツはムオンの敏感なところばかり攻めていった。
そのためムオンは呆気なく射精してしまう。
ムオンの精液がアマツの前面を白く汚した。

「沢山でましたね……。ムオンは自慰はしないのですか?」
「そ、それは……言いたくない……。いや雄として聞かないでほしい……」

アマツはムオンの言葉を聞いてニヤついている。
その笑みは母親のウズキにそっくりだった。

「では時の教団団長として今の質問に答えてください……親衛隊隊長ムオン殿……。
 ついでに何を考えてしてるかも答えてくださいね?」
「それは職権乱用じゃないのか!? しかも、してる事前提の質問じゃないか!?」
「私の命令が聞けないのですか? 答えない場合は命令違反としあなたを処罰しなくてはなりません」

アマツは笑顔のままムオンに質問する。
ムオンにはその笑みが神の使いではなく悪魔の笑みに見えた。
アマツの無言の圧力にムオンは屈してしまう。

「……一昨日に……その、アマツの事を考えながら……二回抜いた……」
「流石は忠誠心の高い事で有名な隊長ですね……。本当に答えてもらえるなんて思ってませんでしたよ」
「……こいつ……。そんな意地の悪い団長にはお仕置きが必要だな……」

ムオンは再びアマツを押し倒し、自らのモノをアマツの秘所にあてがった。
アマツも冗談をやめムオンのモノを凝視する。
アマツの表情はどこか不安げだった。

「……不安か?」
「正直……不安です……。でも平気ですから……」
「そうか……。いくぞアマツ……」
「きて……ムオン……」

ムオンはゆっくりとアマツに挿入していく。
既に純潔は過去のムオンに捧げてるため侵入を拒むものは存在しない……。
ムオンのモノはすぐにアマツの秘所の最奥に到達した。

「あんなに大きいのが私の中に……」
「まぁ一度受け入れてるけどな……」
「……今の私には初めてですから」
「そう……だったな……。動くぞ」

ムオンはアマツの答えを聞く前に腰を振る始める。
アマツが処女でないためムオンは初めからフルスピードで動く。
激しい前後運動に二匹は早くも絶頂寸前だった。

「あぁあん! ムオン……ムオォオン!!」
「いくぞ! アマツ!!」
「きてぇえ! ムオンの精子……私の中に沢山……だしてくださいぃい!!」

二匹が叫んだと同時に絶頂を向かえる。
ムオンの精液がアマツの中に注ぎ込まれ腹を膨らませた。
ムオンがモノを抜くと中の精液が秘所から垂れてくる。

「ハァハァ……良かったよアマツ……」
「ムオンと交わってると昔を思い出せそうな気がするんです……。まだ付き合ってくれますね親衛隊隊長ムオン殿?」
「では、団長が満足するまでお付き合いしますよ……。団長の命令は親衛隊にとって絶対ですから」

アマツはムオンに抱きついた。
二匹の夜はまだ終わらない……。


36 渦姫と卯月と空狐 


日が昇り始め一同は目を覚まし始める。

「よぉ! おはよう諸君!」
「ウズキさんは相変わらずテンション高いね……」
「……おはようございますウズキさん」

ウズキがグレンとフィニティに挨拶する。
続いて起きてきたサイとライガは挨拶ではなく質問をしてきた。

「本当にお前はいつ寝てるんだ? 寧ろ寝てるのか?」
「一番遅く寝て、一番早く起きるもんな……。俺は真似したくないな……」
「まぁ体は丈夫にできてるから。それにボク達一緒にいるのって最近の事じゃん!」

ウズキの答えにサイとライガも「そりゃそうだ……」と一言皮肉った。
離れて寝ていたと思われるアマツ、ムオンのペアもこちらに向かってくる。

「皆さんおはようございます。朝はお早いんですね」
「……倦怠……」
「あはは……。ムオンもお疲れ様……」

アマツは元気そうだがムオンは目の下に隈ができ凄いだるそうにしている。
ウズキは昨夜の二匹の行為の最中も起きていたため苦笑いした。
他のメンバーはムオンが親衛隊隊長とし責務を果たし徹夜したのだろうと誤解している。

「流石は親衛隊様だな……。主を守るため徹夜でもしたか?」
「……肯定……」

ライガの質問にムオンは嘘をついて答えた。
だが今までのムオンを忠誠心見てまさか一晩中アマツと性行為をしていたと思う者はいないだろう。
むしろ本当の事を言ったほうが冗談に思われる可能性が高い。

「まぁ全員起きた事だし……まずは食料の確保からだね! 皆ボクについて来て!」

ウズキは皆の意見を聞く前に歩き出した。
他の者のウズキに続いて歩き始める。
十分位歩くと木の実のなった木がの生えた森に着いた。
木の実の種類は豊富で様々な者が満足できる量である。

「さて……皆の好みもあるだろうから各自食事を済ましてから合流で良いよね?
 後は必要に応じて取りためておけば平気でしょ。じゃあ解散!」

全員「問題ない」というような回答をし解散する。
ウズキを抜かし二匹のグループで分かれていく。
グループ内容は当然カップル同士である。
結果的にウズキは一匹で行動することになった。

「はぁ~。何か……ボクだけ恋人がいないみたいで凄く……寂しい……。
 クゥ……生きてると良いんだけどな……」
「ウヅキさん私がどうかしたんですか?」

ウズキが背後から誰かに話かけられる。
その声の主はこの時代のクゥだった。

「……すみません。昨日のロコンちゃんでしたか……。
 容姿だけでなく声もそっくりなんですね。
 良ければ名前……教えてくれませんか?」
「……ウズキ……。字ではこう書いて渦姫……」

クゥの質問にウズキは地面に文字を書いて説明した。
口頭ではウズキもウヅキも変わらないためである。

「名前までそっくりなんですね。そういえばまだ私の名前言ってませんでしたね。
 私はクウコ。クゥって呼んでください」
「ん? クゥ誰と話してるの?」

クゥが自己紹介したら今度はウヅキがやってくる。
ウヅキはウズキを見て少し嫌そうな顔をした。

「ああ昨日の……ウズキちゃんだっけ。ボクはウヅキよろしくね」
「こちらこそよろしくお願いします……ウヅキさん」

傍から見れば普通の挨拶だろうが互いに解っている。
自分同士で挨拶をしているというと事を……。
本来ありえないはずの状況が今現実で起きている。

「君はこの時代のボクじゃない……。だからボクの……ウヅキのクゥに手を出すなよ……」
「解ってる。歴史に介入する気はないから安心して……」

ウヅキはクゥに聞こえないようにウズキに小さな声で忠告した。

「……と言いたいけどロコンとキュウコンのボクでクゥとヤルってのも悪くないよね?」
「……ですよね。一度はしてみたいですよね? しばらく待てばキュウコン同士でも可能ですよウヅキさまぁ~」

流石は同一人物。考える事はほぼ同じである。
クゥは呟き合う二匹を不思議そうに見ていた。


37 紅蓮と無限の過ごし方 


グレンとフィニティは二匹で木の実集めをしている。
最近は二匹だけになれる機会がなかったため良い機会であった。

「あ、グレン! あっちのモモンの実を取りに行きましょう!」
「待ってよフィニティ。木の実は沢山あるから急がなくても……」
「木の実集めを早く終わらせてグレンとの時間をつくりたいと思って……。
 最近二匹だけの時間がなかったじゃないですか……」

フィニティが顔を赤くしてグレンを上目づかいで見る。
グレンはその表情を見て顔を赤くした。

「うん……。仲間が増えたのは賑やかで楽しんだけどね……」
「こうしていると神との戦いなんて嘘みたいですね……」

フィニティはモモンの実を取り座り込んだ。
グレンもフィニティの隣に座った。

「そうだね。ウズキさんに出会って、フィニティがライガさんに追いかけられてて……」
「ウズキさんが私達をライガさんから逃がしてくれたんですよね……。
 最近のはずなのに随分昔に感じますよ」

グレンとフィニティは昔話に花を咲かせる。
その思い出は二匹が出会ってからのことが中心だった。
互いに辛い思い出があるためその事はあえて聞こうとしない。

「でもウズキさんがディアルガだったのは驚いたよね?
 自分では神の子孫て言ってたのに、本当はディアルガだったのは反則だよ……」
「でも流石に『ボクはディアルガです』っていきなり言われても困りますし……。
 ウズキさんらしい……のではないですか?」

フィニティの質問にグレンは首を縦に振る。
確かにウズキらしい発言だっただろう。

「今までやたらとディアルガに詳しかった訳がハッキリしたしね。
 ウズキさんがディアルガと戦わないで協力してくれるって言った言葉……今なら説得力あるよ」
「あの時に喧嘩して一回ウズキさんと別れたんですよね……。一歩間違えれば神を敵に増やしたんですよね……」

そう考えるとウズキが細かい事を気にしないおおらかな精神の持ち主でホッとする。
結果で言えばディアルガは味方についてくれた。
しかし相手は空間と冥王の二匹の神が相手になる。
正直ウズキ……ダイヤが一匹で戦うには分が悪い。
だからあの時グレン達に戦闘を仕掛け覚醒を促したのだろう。
何を考えてるか解らないポケモンだがその行動は意味のある事ばかりだった。
二匹は改めてウズキという人物の器の大きさを確認する事になる。

「じゃあこの前のアレも何か理由があったと思う?
 まぁ良かったとは思うけど……もう一度したいって聞かれると……。
 あの時はフィニティも妙に積極的だったし……」
「あ、あれは! グレンがウズキさんに言い寄られて鼻の下を伸ばしてたからですよ!
 彼氏が他の雌と性行為をしそうなのを黙って見てる訳にはいきませんよ!」

グレンの愚痴にフィニティは顔を真っ赤にして怒る。
むしろ怒ると言うより照れ隠しと言った方が正しいだろう。
フィニティはプイっとそっぽを向いてしまった。

「ご、ごめんフィニティ。別に怒らせるつもりはなかったんだ……」
「そうですね……キスをしてくれたら許してあげます」

フィニティが可愛らしくグレンに言う。
グレンの思考はしばらくフリーズする。

「キ、キス!? 今ここで!?」
「何か問題でも?」

フィニティは目を閉じグレンがキスをするのを待つ。
普段は大人しいのに妙なところで積極的になるフィニティ。
グレンは周りの目を気にし、誰も見てないのを確認しそっとキスをした。
唇が触れ合うだけの軽いキスでもフィニティは満足したようだ。
そして今度はフィニティがグレンの頬にキスをする。
グレンとフィニティは愛し合う二匹の時間を有意義に過ごした。


38 雷牙と災の過ごし方 


サイはかまいたちで木の実を落としライガが木の実を拾っていく。
まさに無駄のない効率的な作業で木の実集めを進めていた。

「よし。次はあの木の方へ行くぞ」
「了解。姉さんも仕事が速いね」
「当然だ。私達はこうやって生きてきたんだぞ?」
「まぁ、そうだけどね……。いや、なんか気合が入ってると思ってさ」

サイは話しながら次の木の向かう。
ライガも慌ててサイを追いかけた。

「この木は……オレンか」
「傷薬の代わりになるし持っておいた方が良いだろうね」
「そうだな。オボンなら文句がなかったが……仕方ないか」

サイはかまいたちを放ち次々と木の実を落としていく。
ライガは落ちてくる木の実を残らず拾っていった。

「さて。木の実集めもこんなもんで良いだろうな」
「むしろ取りすぎな気がするくらいだけど……」

木の実を背負うライガをサイは見つめた。
確かに二匹の分ならば多いだろうが現在は七匹で行動している。
むしろこれで足りるかも怪しい量であった。

「いや、これでも少ないだろうな……」
「そう言えば今は七匹だったね……」
「しかし私達が全員分の食料を確保するわけじゃないからな。
 これぐらいで良いさ。ライガ木の実を半分渡せ。持ってやる」

サイの気づかいにライガは少し考える。
サイは弟の反応に不思議そうな顔をした。

「どうしたライガ? 速く渡せ」
「いや、ここは雄として俺が持つよ。少しは弟してじゃなく雄として振舞おうかな~なんてさ……」
「……そうか。なら褒美でキス位してやろう。姉としてではなく雌としてな。それともそれ以上が望みか?」
「い、いやキスで十分だよ!」

ライガはサイの一言で顔を真っ赤にする。
サイはそんなライガを見て微笑んだ。

「ふふ。可愛いやつだ」
「姉さんの前だけではね」
「そうだな。足を洗ったが、一応は昔恐れられた窃盗組の悪者だったからな」
「神が俺等の罪を許してくれったってか?」

ライガの冗談にサイは真面目な顔をする。
足を洗うきっかけは確かにウズキだった。
そのウズキは時の神ディアルガ……ダイヤである。

「そう考えるとウズキとも不思議な縁だな……」
「タオルにされた事もあったけどね……」
「あれは神のすることじゃないな」

サイの文句にライガは首を縦に振る。
サイは元は神の救いを求めていた信仰者であった。
だがあのタオル事件の後では時の神を信仰する事ができないでいる。

「……神も普通のポケモンと変わらないって事か……」
「そう考えると親近感わくけどな」

そうディアルガ……ダイヤもまた一匹のポケモンを愛した。
それは結果的には禁忌だったのかもしれないが生き物らしい行動である。
神も自分達と変わらない。だからこそ協力してくれるのだろう。

「ライガはウズキの事どう思っている?」
「ウズキねぇ……」

ライガは改めてウズキというポケモンを考えてみる。

初めに会った時はフィニティを追いかけてる時だったよな……。
あの時はただ逃げる手助けをしただけだったな……。
次はグレンのぼこられた時か……。あの時は何もなかったし……。
次は姉さんと一緒の時で俺は瞬殺されたんだよな……。
ウズキに飛び掛って気を失ったはず……。
そんであのタオル事件だよな……。
タオルにされたのは不快だったが正直、美女に抱きつかれるのは悪い気分じゃない……。

ライガが考えてるとサイが妙に冷たい視線を送ってきた。
ライガにはサイにそんな表情を送られる理由が解らない。

「そうか……タイルにされて抱きつかれた時そんなに嬉しかったか……」
「……へ? お、俺そんな事一言も言ってなよ!!」
「鼻の下が少し伸びたぞ……。まさか私が気づかないとでも思ったか?」

ライガはとっさに前足で鼻の下を隠した。
サイの視線がもの凄く痛い……。

「お前は私のものだという事を改めて教える必要があるな……」
「そんな!? 俺は今も昔も姉さんのものだって! 信じてくれよ~」

サイはライガを睨んでいる。
ライガはひたすらサイに謝り続けた。


39 無音と天津の過ごし方 


アマツはお気に入りの木の実を探している。
ムオンは黙ってアマツについて行く。

「ムオン……あれなんてどうでしょう?」
「え……ああ、良いんじゃないか」

ムオンはアマツと二匹きりのため普通にコメントをする。
しかしその答えは上の空だった。
その反応にアマツは冷たい視線を送る。

「昨日つき合わせすぎたのもあるでしょうけど……。
 もう少しムオンの意見を聞きたいのですが」
「すまない……。正直、頭がボォ~っとしててまともに考えられなくて……」
「……親衛隊隊長ともあろうムオン様が随分と弱気な発言をしますね?
 今この場で私が襲われたらどうする気ですか?」

アマツが皮肉を言ってムオンを睨む。
ムオンはそれでも表情を変えなかった。
と言うよりは変える元気がないと言った方が正しい。

「そんな事言われても俺の体は神の娘より丈夫にできてないんだ……。
 確かにお前と交わって神の力の一部は使えるが……。
 俺だって精力までは一般人と大差ないんだ……」
「私に言い訳とは随分偉くなりましたね……ムオン隊長」

アマツがムオンに微笑む。
しかしその微笑みに優しさは感じられない。
ムオンは慌てて話の内容を変えようと試みる。

「アマツ……記憶の方はどうだ? 昨日の事で何か思い出せたか?」
「……そうですね……。ムオンの弱点は思い出せましたよ。性的な意味でですけど……」
「恥ずかしい事を平然と言ってくれるのは親譲りだな……。俺には絶対無理だ……」

アマツの発言にムオンは呆れ首をガックリと下げる。
アマツはムオンの発言を気にしていない。

「そうですか? ムオンの昨日の『団長が満足するまでお付き合いしますよ』って言葉も似たようなものでしょう?
 ムオンが倒れるまでやろうと思ったのに結局夜が明けてしまいましたからね……」
「そ、そこまでやるつもりだったのかお前は!? なんか生きてるのが不思議な気がしてきた……。
 今までで一番激しい夜だったしな……。性格変わったよなお前……」
「性格変わったと言われても私には記憶がありませんから。
 だから一晩中付き合ってもらったんですよ?
 ムオンのモノが私の中で暴れて……。あぁん……思い出すだけで感じちゃいそう……」

アマツが自分を抱きしめクネクネと体を動かす。その行動にムオンが更に呆れる。
アマツもやはりウズキの娘だけあってセクハラ発言が多いようであった。
それを言うのはムオンの前だけではあるが……。

「では冗談はここまでにして……木の実集めの続きをしましょうか?」
「冗談だったのか!? すまん冗談とそうでない区別ができない雄で……」
「逆にムオンは昔から変わりませんね? だから私は冗談を言ってるのに……」

ムオンの反応にアマツはクスクスと笑う。
またも本人に自覚はないだろうがまた『昔』と発言した。
ムオンはそんなアマツをじっと見ている。

「どうしましたムオン? 私の顔に何かついてますか?」
「いや……記憶の欠片は身近なとこに落ちてるもんだと思ってさ……。
 この二百年間もっとアマツに接してれば良かったなって思ったところだ」
「そうですよね。自慰のおかずに私を想像するくらいならまともに接してれば良かったんですよ」

アマツの言葉にムオンが顔を真っ赤にする。
アマツは楽しそうに笑う。

「こ、ここでそれを言うか!? 誰かが聞いてたらどうするんだ!」
「ならばキャラを作ってるあなたの大声の方が問題では?
 ですが、いつも一言のあなたが叫んで分かるのは私と母様だけでしょうけど」
「う……。確かに……。やはり口ではアマツの方が一枚上手か……。
 口で年下に勝てない俺も俺だが……」

アマツはクスクスと笑う。
ムオンはアマツの言葉に不機嫌になる。
アマツは一言ムオンに謝り木の実集めを再開した。


40 二匹のアマツ 


アマツとムオンは木の実集めを再開していた。
しばらくすると、一匹のロコンの少女が高い場所にある木の実を取ろうと必死になっているを見つけた。

「むぅう。木の実に届かないの!」

ロコンの少女は誰に言った訳でもなく叫んでいた。
少女とアマツの目が合う。
ムオンはその少女を見て絶句した。
アマツは木の実を取り少女に手渡す。

「お姉ちゃんありがとうなの! アマツはね、あまつって言うの! お姉ちゃんはなんて言うの?」
「えっと……。私もアマツって言うの。あまつちゃんよろしくね。
 こっちのお兄さんがムオン。見た目は悪タイプで怖いけど優しいから大丈夫ですよ」

あまつの挨拶にアマツも挨拶を返す。
ムオンが挨拶をどう返すか迷っている。
そう目の前にいるのも少女もアマツなのだから。
ウズキ同様に同一人物が並ぶ。
勿論、当の本人達にその自覚はない。

どうする俺……。
ここはいつも通りに一言で終わらせるか?
でも子供相手にそれはあまりにも印象が悪い……。
て言うか、俺がそれで挨拶されたらひくぞ……。
だがここで普通に挨拶してみろ……今後、他のメンバーの前でこのアマツと会ったらどうする……。
『ムオンって普通喋れたか!?』ってライガが絶対に言うぞ……。
記憶をなくしたアマツのために作ってきたこのキャラを今更捨てるのはな……。
もうこのキャラは俺の個性の一つと認識させてる訳だからな……。
アマツの一言で俺の挨拶が凄くしずらくなったな……。

「……でもムオンお兄さんは無口だから悪く思わないであげて……」
「うん。ムオンお兄ちゃんもお友達なの!」

アマツは挨拶しようとするムオンが必死に悩んでいたためフォローする。
ムオンもこれでいつもの無口キャラで平気と安心しているように見えた。

「じゃあ、あまつは父様と母様のところへ戻るの! また合えると良いの!」
「ええ。あまつちゃん、また何か縁があったらお会いしましょう」

少女アマツは前足を元気に振り走り去っていった。
アマツとムオンはその背中をじっと見ている。

「元気な女子でしたね。私、ああいう子……好きですね。ムオンはどうですか?」
「……え? まぁこの頃はな……。この後は随分大人しくなるんだよな……。
 今の彼女を見て成長した姿は想像できないな……。少なくても俺には無理だ……。
 それに、ここで俺も好みの雌と言わなきゃ不味いだろうな……」
「あら? あの子を知ってるんですか?」

アマツの反応にムオンが凄く困る。
アマツはなぜムオンが考えているのか解らない。

「まぁ……。目の前にいるからな……。あの頃はお転婆で……。
 俺も良く悪戯されたっけなぁ……。懐かしい……」
「目の前って……もしかして……私……ですか?
 ……私ってそんなにお転婆だったんですか?」
「そのまさかだよ……。やっぱり気づいてなかったか……。
 この頃は凄かったんだよ。昼寝して起きたら顔に落書きがされてたりな。
 他にも火を点けられそうになった事もあったな……。あれは俺の特性がもらい火じゃなきゃ危なかった。
 あの頃はお前とこんな関係になるなんて思ってなっかよ。
 案外、過去の自分を見てれば何か思い出すかもな。なんせ自分自身だからな」

ムオンがあまつの正体を言うとアマツは顔を赤らめた。
ムオンはそんなアマツを見て笑い出す。

「じゃあ俺達も木の実集めはこれくらいにして皆と合流するか」
「そうですね……。これくらいでもう十分でしょうね。では行きましょうムオン」

アマツがいつものようにムオンの前を歩き出す。
しかし、照れ隠しかいつもより歩くスピードが速い。
ムオンはアマツに置いてかれないよう早足でついて行った。


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Last-modified: 2009-12-01 (火) 00:00:00
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