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春の訪れ

/春の訪れ

警告
この小説には官能描写、よく解らない表現が含まれております。ご注意ください。
作者 ツネ



冷たい風が吹いてきて辺りの草花が大きく揺れる。
もうすぐ三月だというのに春が訪れる様子は微塵もなく、未だに雪が降ってきそうな寒さ。
寒さが人一倍に苦手な私には堪える。
家の前のこの道も春には桜吹雪が舞い、夏には青葉のトンネルとなり、秋には色とりどりの鮮やかな紅葉を見せてくれるのに、この季節だけは何にもないから寂しいな。とそう思いながら手を擦って摩擦熱で暖を取ろうとする。
そして家のドアに手をかけて、今まさに捻ろうとした時、
パーン!と、けたたましい音がして驚きのあまり、思わず尻餅をついてしまう。
振り返ると、そこにはクラッカーを手に持って三角帽子をかぶった竜たちがいた。
「お誕生日おめでと~!!」
やってやった!と言わんばかりの笑顔を友達に見せつけられて思い出す。
今日は私の誕生日だったんだ。
ほら、こっち来なよ。そうフライゴンに手を引っ張られる。
私を取り囲むようにしてみんなと歩いていく。
その先に待っていたのは…豪華なパーティ会場。
「うゎぁ」
見たこともないくらいに手の込んだ準備がしてあって、中央には大きな丸太が重ねられておりカイリューが火を噴くとたちまち大きな火柱が上がる。
それを取り囲むかのように、いくつもの切り株の上にきのみが乗せられている。
その後はみんなとおしゃべりをしたり、おいしいきのみを味わったりととても楽しいひと時を過ごした。
「なぁラティオスはどうし…がっ」
唐突にクリムガンが口を開くと同時に横からオノノクスに強烈なグーパンチを浴びせられる。
「あんたは人の事情に首突っ込み過ぎ、ちょっとこっち来なさい。」
おなかを抑えて苦しむクリムガンの翼をオノノクスを半ば強引に引っ張っていく。
そう、本来ならここにいるはずの兄はいない。
兄は朝、誕生日おめでとうと書いた手紙を残してどこかに出かけて行ってしまって、もうすぐ日が沈んでしまうというのに未だに姿を見せない。
それも、今日だけに限らず半年くらい前から続づいているもので、昔の兄とはかけ離れてしまった。
あれでも昔は明るくてとても頼れる兄だったのに、今では大分マイナス思考で暗い性格になってしまった。
昔の兄に戻ってもらいたくて、話をしようと近づけば近づくほど兄は遠くに行ってしまう。
最近、それは酷くなっていって目すら合わせてくれなくなった。
「泣いてるの?」
「え…?」
フライゴンに言われて自分の顔に手をあてると確かに冷たい感触が手に伝わってくる。
「ちょっと目にゴミが入っただけだよ。」
そんな見苦しい言い訳をしたが涙は止まることなくあふれてくる。
このままだと兄が知らない間にどこかに行ってしまいそうな気がして。
そのせいでパーティーは中止になってしまった。
冷たい風が吹く中、ぽっかりと今の私の心を映し出すかのように大きくかけた月。
足元を見れば、まだ枯葉が積もっていて新しく芽吹いてくる植物は無い。
一体、我が家に春がやって来るのはいつなのだろうか。




ガチャリ、と音がして家のドアが開いて妹が入ってくる。
いつもは「ただいま」と明るく答えてくれるはずなのだが今日の「ただいま」はなんだか元気がないように聞こえた。
やっぱり誕生日をちゃんと祝ってあげなかったのがいけなかったのか。
別に僕は妹のことが嫌いな訳ではない。
ただラティアスの傍にいると胸が締め付けられるような圧迫感に襲われて、自分を保てなくなりそうになってしまう。
その圧迫感がどこから来ているものなのかは自分でもわからない。
だから妹を傷つけることになってしまってもこうするしかないのだと、自分の都合の良過ぎる解釈をしている。
このままではいけないと頭で思っていても、体がその通りにはなかなか動いてくれない。
そんな事を考えながら、ふと顔を上げると目の前にラティアスの顔があるではないか。
「うわぁ!」
あまりにもいきなりだったために僕は驚いて変な声を出してしまった。
こんな姿を妹に晒すなんて恥ずかしい限りだ。
だけどラティアスはそんな事お構いなしに、僕の方に一歩一歩じりじりと迫ってくる。
その動きに合わせるようにしてラティアスから離れようとするが、次第に追い詰められこつんと硬い壁と背中がぶつかる。
ラティアスが僕の顔をじっと見て一言。
「お兄ちゃん具合でも悪いの?」
そう言いながら手を僕の額に合わせてくる。
「___ッ!」
自分の心拍数が異常なほどに加速して、体が徐々に火照っていくのを感じる。頭が何だかくらくらする。
このままじゃ自分がおかしくなってしまう。
「おでこ熱いよ。熱があるんじゃない?」
ラティアスにそう言われた時には既に僕の思考回路は真っ白になっていた。
そんな中で唯一考えることができたのは、どうやって今すぐラティアスを引きはがすかということ。
そして何も考えれないというのは、その行動が善いことなのか悪いことなのかも考えることができないということ。
本当はこんなことしたくないと思っているはずなのに、体は僕の思っていることとは真逆の方向へと動いていく。
「きゃっ!」
ラティアスの悲鳴とも取れる声が聞こえたのと同時に、ドンッ、という鈍い音が部屋に木霊する。
いつの間にか僕はラティアスを突き飛ばしていた。
「ご、ごめ…」
謝罪の言葉を伝えようとするがラティアスの声にかき消されてしまう。
「なによ!私はただお兄ちゃんの心配をしただけなのに!」
ラティアスが今までに見せたこともないくらいにすごい剣幕で怒鳴ってくる。
「本当に悪かったから…」
「反省なんかしてないでしょ…半年も私のことをさんざん無視してきてたくせに。きっと私のことなんかどうでもいいと思ってるんでしょ。」
ラティアスの一言一言が僕の心に刺さる。
妹の言っていることは事実で嘘なんかじゃない。たとえこれが他人から見ても、僕がラティアスを約半年間避けてきたことになるんだろう。
挙句の果てに、僕は何も言えなくなってしまった。
「もうお兄ちゃんなんか大っ嫌い!」
ラティアスはそう言うと、電光石火の速さで家を飛び出していってしまった。




「うっ…うぐっ…ぐずっ…」
どうしてお兄ちゃんはあんなことをしたのだろう。
お兄ちゃんは私のことを嫌いなのかな。
そんな事を考えると余計に涙があふれてくる。
自問自答しても答えが見つかるはずもなく、疑問が増えるばかり。
今日は私の誕生日なのになぜか悲しいことばっかりだな。
「ラティアス?」
振り返ると後ろにはフライゴンがいた。
一度は後ろを向くけど友達にしわくちゃな顔を見せたくなくてまたすぐに前を向く。
「ふてくされちゃってどうしたのさ。ラティオスと喧嘩でもしたの?」
背を向けたままフライゴンの質問に首を縦に振って答える。
「きっかけは何?なんか私に手伝えることある?」
「お兄ちゃんがね…私を…ぐずっ…突き飛ばしてきてね…それでお兄ちゃんは、私のことが嫌いなのかなって思って…それで…」
今まで溜め込んでいた感情を一気に吐き出したためか、ついに声を上げて泣いてしまった。
フライゴンはしばらく何かを考えているそぶりを見せた後
「ラティオスとの喧嘩でラティオスを恨めしく思ったりした?」
息もまともにできない中で今度は横に何度も首を振る。
大っ嫌い、と言っておきながら心の中では兄に振り向いてもらいたくて一緒に出かけようと誘ったり、兄の好きそうな料理を作ったりした。
今日もただ、純粋に昔の兄に戻ってもらいたくて近づいただけ。
だけど効果は無く、反対に兄は私から遠ざかっていってしまった。
私はお兄ちゃんと一緒に居たいだけなのに…
「なら仲直りできるんじゃない?」
どうやって?うまく聞き取れないような言葉でフライゴンに尋ねると
「ラティオスもきっとあなたのことが嫌いなんかじゃなくて、コミュニケーションが苦手なだけだと思うな。」
そう言われるとお兄ちゃんはいつももじもじしているというか、おろおろしている気がする…
フライゴンの言うことも嘘じゃないのかもしれない。
「本当にラティアスのことが嫌いなら大分昔に蹴ったりとか、叩いたりしてるはずでしょ。一緒に居たいならこれからも積極的に接していったら?」
「うん…そうしてみる。ありがとうフライゴン。」
フライゴンは少し照れながら、どういたしまして、と笑ってくれた。
積極的に、か…うまくできるかわからないけどこうして兄と接して変わってくれるといいな。
「ふぁ~ぁ それじゃあ私はもう眠いし帰るから。がんばってねラティアス。」
フライゴンが大きなあくびを一つした後、ばっさばっさと大きな羽音を立てて、飛び去っていった。
息もだいぶ落ち着いたし、頬の涙が乾いたら家に帰ろうかな。
そう考えながらしばらくの間、冷たく澄み切った夜空の下で冬の三日月を眺めることにした。




「はぁ…」
妹は何処に行ってしまったのだろうか。
あの後、いくら探してもラティアスが見つからない。
もう二時間は探したというのに、手がかりさえ見つけられていない。
落ち着つくんだ。そう自分にいい聞かせながらラティアスを探すけど焦りが募るばかり。
考えたくもない、最悪のシナリオが頭の中に浮かんでくる。
あのラティアスのことだ、自殺なんてするわけない。する訳がないんだ。
きっと、落ち着くまで友達の家にでも転がり込んでいるはず…
そう思って妹と仲の良いドラゴンポケモンの家を訪れるが、みんなラティアスの姿は見ていないと言う。
「クソッ!!」
次第に焦りは苛立ちに変わっていき、自分の腕を一心不乱に岩にたたきつける。
腕には鈍い痛みが奔り、青い身体にはよく目立つ赤黒いあざができる。
自分で作り出してしまった問題を、自分で解決できない自分がとても腹立たしい。
自分の感情に身を任せて妹を傷つけてしまった自分は、兄として失格なのだろう。
その時、後ろからのそのそと大きな緑色のポケモンがこちらに向かってくることに気が付く。
その緑のポケモンは大きな欠伸をすると、眠そうな目を擦って口を開く。
「うるさいなぁーこっちは寝てんだから、少し静かに…って何してんのラティオス?」
暗がりでよく姿が見えないけどシルエットと、口調から察するにしゃべっているのはフライゴンなのだろう。
「何って…ラティアスを探しているんだよ。」
行き場のない苛立ちからフライゴンにぶっきらぼうな返事をする。
元は自分が原因なのだが、何かに当たっていないと気が済まない。
「ラティアスの居場所なら知ってるよ。」
え?…なんでそれを一番最初に言ってくれなかったんだ。
兄なのに、こんなもに時間をかけて探した自分が本当に情けない。
本来なら一番最初に、自分が妹に謝罪の言葉を伝えるべきだったのに
「ラティアスのこと、一つだけ聞いていい?」
そんなフライゴンの問いかけに首を縦に振って答える。
「ラティオスは自分の妹の事どう思ってるの?」
妹のこと…邪魔だとか、嫌いだとかそういう感情は抱いたことはない。…ただ、どう思っているのかは言葉では、なかなかうまく表せない。
「…嫌いではないけど…なんかラティアスの傍にいると、上手くいかなくて…何というか、その…」
そんなあやふやな自分の答えにフライゴンが口を挟んでくる。
「ラティオスさぁ、ラティアスのことが好きなんじゃないの?異性として。だから意識しすぎちゃって上手くいかないんじゃないのかな。」
「はぁ!?」
あまりにも予想外の答えだったから、思わず素っ頓狂な大声を上げてしまうが、フライゴンの言っていることは、確かに自分に当てはまっている。
自分はラティアスのことが好き…
ラティアスのことを意識していた、そうするとラティアスを避けてきたわけも説明がつく。
胸が締め付けられるような感情はそこから来ていたのか。
「でも駄目だよ…僕たちは兄妹だし、ラティアスは僕のことが嫌いみたいだし…」
だけど僕たちは家族、兄妹という大きな壁を乗り越えることは限り無く難しい、ましてやそのラティアスは僕のことを、大っ嫌い、と叫んでどこかに行ってしまった。
結局、僕の恋が叶うはずもないんだ。
「ラティアスがあなたのことをどう思っているのか知りたい?」
もういいよ、これ以上叶うはずもない、ラティアスへの想いを深めないでほしい。
「いや、いいよ…どうせ…」
そんな僕の感情を真っ向から否定して話を遮るように、頼んでもいないのにフライゴンが教えてくれる。
「ラティアスはね…別にあなたのこと嫌いだとは思って無いみたいだよ。むしろ好きなんだって。それが兄妹としてなのか、異性としてなのかは分からないけど。」
ダメだ。考えれば考えるほど訳が分からなくなる。
とりあえず分かったのは、自分が鈍い事と、ラティアスのことが異性として好きだということくらい。
「なんかよくわからないって顔してるけど…ラティアスと話してみるのが一番だと思うよ」
何を話せばいいのか、いまいちよく解らないが話さないと分からないことだらけ…
潔く腹を括って謝りに行こう。そう思いフライゴンにラティアスの居場所を聞く。
「ラティアスなら、少し北にある湖に居たから行ってごらん。」
フライゴンにありがとう、と礼を言うと、自分の出せる勇気を振り絞ってラティアスの元へと向うことにした。




「はぁ…ぜぇ…はぁ…」
全力で走ったせいか、息は途切れ途切れになりのどの渇きを覚える。
こんなにも激しく運動したのは、かなり前のことだった気がする。
普通なら寒いと感じる風が、今ではちょうどよいくらいに感じられる。
草をかき分けてたどり着いた湖は、鏡のように月の光を反射して銀色に美しく輝いている。
そして、その反射した月の光を受けながらすやすやと寝息を立てて妹、ラティアスが寝ている。
どうやって声をかけたらいいのだろう。
やっぱり一番初めに謝っておいた方が良さそうだな。
その時、不意にラティアスがこちらを振り返る。
「お兄ちゃん…何しに来たの?」
その顔には幾筋もの涙の痕が残っており、僕の罪悪感をより一層引き立てる。
僕が原因なんだ。いつまでも逃げてなくて謝らなくては。
「え、えっと…その…さっきは御免…」
しばらくの間、ラティアスは言葉を発さぬまま僕のことをさっきと同じように、じっと見つめてくる。
そしてラティアスがこっちに来たと思えば、急に微笑みかけてくる。
「こちらこそ怒鳴ったりしてごめんね。」
するとラティアスが僕の方に腕を伸ばしてきて、僕の手を優しく握りしめる。
たったそれだけなのに僕の鼓動はどんどん激しくなって、胸の高鳴りを抑えられない。
「家に帰ろっか」
ラティアスはそう言うと、僕の手をぐいぐいと引っ張って先へと進んでいく。
その間に僕の心の中で、平常心を保とうとする自分とこのまま本能に身を任せようとする自分が葛藤する。
ここは家からそんなに離れていないはずなのに、時間がゆっくり流れているような感覚に襲われ、一歩一歩の歩幅が心なしか小さく感じられる。
そして家まであと少しの所で、ついに平常心を保とうとする心は消えてなくなり、今まで溜め込んでいた物を抑えきれずにラティアスにそれをぶつけてしまう。
「…すき……なんだ…」
「…え?」
ラティアスが歩みを止めて、自分の顔を戸惑いながらまじまじと見てくる。
言ってしまった…自分の心が今までにないくらいの激しい後悔の念に襲われる。
それでも長い間溜めに溜めた僕のラティアスへの想いは消えることなく、より大きく膨らみ続けて止まらない。
「好きなんだ…異性として、ラティアスのことが…」
すぐそこにいるラティアスにさえ聞こえないくらい小さな声で告白する。
もしかしたら本当にラティアスには、聞こえてなかったかもしれない。
そんな中途半端な僕の告白にラティアスは応えてくれた。
「…………んっ」
ラティアスが顔を近づけてきて、自分の唇とラティアスの唇が重なる。
さらにラティアスは唇を合わせるだけでは飽き足らず、舌を絡めてきたり唾液を交換し合ったりしてくる。
ねっとりとした柔らかな舌が僕の口の中を駆け巡り、快楽に酔いしれる。
淫らな音をたてながら、ひたすらお互いの口の中を侵し合う。
しばらくしてラティアスが口を離すと、ラティアスと自分の口の間に透明な唾液の橋が架かる。
だけどすぐにその橋は月の光に照らされながら崩れていき、地面に垂れて小さなシミを作る。
自分的にはもうこれで十分だった。ラティアスと一番親しい関係になることができたから。
「寒いし風邪をひくかもしれないからもう帰ろう。」
自分たちはドラゴンタイプなので人一倍寒さには弱い。
だからもう正直、さっさと帰りたかった。
でも、そんな僕の要望にラティアスは答えてくれなかった。
「寒いならこうやって暖まればいいでしょ?」
そう言って不気味な笑みを浮かべると、僕を押し倒し先ほどのキスで大きく膨張し存在を誇示している自分のモノへと、手を伸ばしてくる。
僕はそれをただ見つめるだけ。
拒むことなんて出来なかった。否、拒む理由なんてなかったといった方が正しいのかもしれない。
恋人という関係になったならこういう事をするのは当たり前のことで、兄弟だからという後ろめたさは若干あるものの、さっきの行為で理性が大分失われている今の自分にとっては、そんなことはどうでもよかった。




「………っあ」
先っぽを軽く触っただけなのに、お兄ちゃんは淫らな声を上げて反応を見せる。
そんなお兄ちゃんの反応を見て、お兄ちゃんのことを可愛いと思ってしまう。
その反応をもっと見たい……そう思った私はもう一度、先端をそっとなぞってみる。
先ほどと同様、お兄ちゃんが喘ぎ声を漏らす。どうやら先端の部分が善く感じるらしい。
そんな中、もっと激しくしたらお兄ちゃんはどんな反応を見せてくれるのかな、という考えが頭の中をよぎる。
片手をモノにあてるとそのままつかんだまま上下に動かしてみる。
すると予想通り、さっきより大きな声でお兄ちゃんが喘ぐ。
そのまま手を動かし続けると、モノの先端から透明な液が出てくる。
その液が何なのか、不思議に思った私はとりあえずそれを手に取って確かめる。
その液は少し芳香を放っており、若干粘り気を帯びている。
私はそれを口に持っていき、舐めようとする。
「ちょっ、汚いからやめ…」
「お兄ちゃんのなら汚くなんかないもん」
そう言って、兄の抑制を振り切り液体を舌で舐めとる。その味は美味しいとも、不味いとも言えず、あえて言うならお兄ちゃんの匂いを濃くしたような味。
でも、なぜかその液がおいしいわけでもないのに、体はその液を欲している。
そして口をお兄ちゃんのモノへと近づけると、一気に咥える。
モノを口にした途端に、口内がむせ返る強烈な臭いでいっぱいになるが、意識はお兄ちゃんを気持ちよくするためにはどうしたらいいのかという所に向けられていた為、そんなことはどうでもよかった。
「あっ……くうっ……」
私が口の中で舌を動かすたびにお兄ちゃんは気持ちよさそうに淫声をだして、時折、小刻みに体を震わせている。
全体を搾り取るように舐めたり、舌で先端や裏側等の敏感な部分をなぞったり。
さっきみたいに抵抗なんてことはせず、今ではお兄ちゃんは私のなすがまま。
「早く、口を離して…」
途切れ途切れの声でお兄ちゃんが私に懇願してくるけど、勿論口を離す訳がない。
私は横に大きく首を振るととどめと言わんばかりに、お兄ちゃんのモノを吸い上げる。
「も、もうっ……あああっ!」
お兄ちゃんが甲高い声を上げるのと共に、白濁液が私の口内に広がっていく。
あまりにも量が多いものだから、反射的にそれを飲み込んでしまう。
白濁液は、苦くてそんなに美味しくないけれども体はひとりでに動いて、それを飲み干し
気が付けばお兄ちゃんのモノについた白濁液まで舐めとっていた。
そして付着した白濁液を舐められたせいなのか、萎えていたはずのお兄ちゃんのモノは、また元気を取り戻して上を指していた。
でもまだ物足りない……そう思っていた矢先、お兄ちゃんが私を押し倒してきてもう一度私の唇を奪ってきた。
まだ満足していないのは、私だけじゃなかったみたい…




「…………………っはぁ」
ラティアスの口内を満足するまで堪能した後、口を離して息継ぎをする。
もう既に、自分もラティアスも息は上がっていて顔は真っ赤、いつもよりさらにラティアスの顔が赤く染まっている気がする。
すると自分の右手に違和感を覚える。何だか生暖かくて少し湿っているような…
不思議に思って視線を自分の指先に落とすと、自分の指がラティアスの秘部に突っ込まれている。
「お兄ちゃんの好きなようにしていいよ。」
ここを触るとラティアスはどんな反応をするのだろう。そう思い、丁寧にゆっくりと割れ目に沿って指を動かす。
「んっ……あっ……」
するとラティアスが甘い声を上げる。
突っ込んだ指を動かすたびにラティアスが声を上げ、割れ目から蜜が出てくる。
さっきラティアスが浮かべていた笑みを、きっと僕も同じように浮かべていただろう。
彼女の反応が僕の欲を向上させ、じゅぷじゅぷという厭らしい音が辺りに響き渡る。
もうほかのポケモンに聞かれたっていいや。ラティアスだけが僕のことを見ててくれればいいのだから。
他のポケモンに見つかってしまえば、きっと兄妹で一体何をしているんだ。と言われるに決まっている。
それでもラティアスの膣をかき回すこの手を止めることはできずに、ただひたすらに欲望に支配され
「んっ………ふっ………あっ………も、もう…あああっ!」
ラティアスが大きく体を震わせながら、勢いよく秘部から愛液を放出する。
「気持ち、よかったよ……」
それを聞いて少し安堵する。何故なら牝の番をしたことがない自分がラティアスを満足させることができるのか不安だった。
でも、そんな自分でもラティアスは受け入れてくれた。
そして、あと残すことは自分とラティアスが一つになることだけ………
「本当にいいんだね?」
ラティアスが頷き、恥じらうことなく愛液でびしょびしょに濡れた秘部を見せつけてくる。
ごくりと唾を飲んで覚悟を決めると、自分のモノをラティアスの秘部にあてがって、ゆっくりと入れる。
ラティアスの中にモノを沈めようとするが、びしょびしょに濡れているはずの秘部は頑として自分のモノを受け入れない。それでもゆっくり少しづつモノを沈めていき、遂にラティアスのなかにモノがすべて入る。
その途端に全身が痺れたように、今まで体験したことのないほどの快楽が体中を駆け巡る。
ラティアスの肉壁はとても熱くて、自分のモノが溶けてしまっていると錯覚するほど暑かった。
「うっ………っぁ………」
そんな自分とは対照的にラティアスは苦しそうに喘ぐ。無理やりそんなものを押し込めば当然等の本人は痛みを感じるのが当たり前のことで、辺りにラティアスの痛々しい声が響く。
ラティアスの秘部からは愛液に混じって、体の赤より赤黒い色をした血が流れ出している。
一旦モノの動きを止め、ラティアスを心配して声をかける。
「大丈夫?」
「…………うん…大丈夫、動いていいよ……」
苦しそうに顔を歪ませながらかすれた声でラティアスが答える。
本当に大丈夫なのかと、ラティアスの身を案じながらもゆっくりとモノを引き抜く。
そして先端を残して、もう一度沈める。それの繰り返し。
たったそれだけのことなのに、生み出される快感はとてつもなく大きくて、下手をすれば意識が飛んで行ってしまいそうなくらい強烈だった。
ラティアスの肉壁と自分のモノが擦れ合い、辺りに卑猥な音を響かせる。
腰を動かすたびにじゅぷじゅぷという音は大きくなり、ラティアスの秘部から出てくる愛液の量もだんだんと増えてくる。
「っあ………んっ…も、もっと、して……」
気づけばラティアスは、苦しそうな呻き声から悦を含んだ喘ぎ声を口から漏らしていた。
一度、この快楽を覚えたらそう簡単には抜け出せない。
それは自分もラティアスも同じことで自分がただ一心不乱に腰を打ち付けるのを、口から涎を垂らし、とろんとした目つきで眺めるだけ
しかしこの快楽が永遠に続くというわけではなく、快感を積み重ねるごとに着々と終わりへと近づいていく。
「ラティアス……もう、僕…」
「………いいよ……出して……お兄ぃちゃんの、いっぱい頂戴…………」
最後にとどめと言わんばかりにうんと強く、より深く沈める。
「あ、あああっ!」
「くっ……くあっ……」
そして自分たちはほぼ同時に絶頂を迎える。
凄まじい勢いで、自分の精液が発射されラティアスの膣を満たしていく。
暫くすると結合部から、精液と愛液の混ざった液体が溢れ出て木の葉の上に小さな白い水たまりを作る。
「はぁ……はぁ……」
お互いに息は切れ切れだった。
ラティアスの膣からモノを引き抜くと、ごぽっ と変な水音を立ててさらに液体が漏れ出てくる。
あまりの疲れに自分はラティアスの傍らに倒れこんで、息を落ち着かせる。
次第に意識はまどろんでいき、だんだんと上の瞼の位置が下がってきて下の瞼と合わさる。
「…よいしょっと」
ラティアスの声がしたと思えば、自分の体がひっくり返されて仰向けにされ、さらにはラティアスに覆われている。
ラティアスがこの後何をするのか………大体は予想がつく
「もう………無理……動けない…」
そんな僕の答えを斜め上に行く答えが返ってくる。
「お兄ちゃんは動かなくていいから。ねっ」
自分とおんなじことをしたはずなのに、なぜこんなにもラティアスは元気なのか。
疲れを知らないということはまさにラティアスのことを指すのではないかと思うくらい。
だけどそんな思考は快楽によって、ぶつりと切断されてしまう。
その後は………何も覚えていない………




「…あ、ぁあああっ!」
熱いお兄ちゃんの精液があっという間に、私の膣を満たしていく。
何回お兄ちゃんとこうして戯れているのだろう……ついにお兄ちゃんはぐったりとして、動かなくなってしまった。
流石に死んじゃったりしてないよね………
おそるおそる胸に耳を当てると激しい鼓動と、荒々しい息遣いが聞こえる。
…よかった。
私はお兄ちゃんの無事(それでも気絶しているのだが)を確認すると、ほっと胸をなでおろす。
いろんな体液でべとべとになったお兄ちゃんの体を持ち上げ、背中に乗せると家に向かって歩みを進める。
「………あ」
そこで私は地面から一輪の白い花が月の光に照らされながら、咲いていることに気付く。
放射状に伸びる鶸色の葉の上に、大きな白い糸のような花の塊が乗っかっている
確かフキノトウという花だった気がする。
重たい兄を背負いながら、いつもは気にしないような花を手に取ると、ふとあることに気付く。
家にも春がやってきたのだと……




おわり

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Last-modified: 2014-05-10 (土) 09:01:47
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