ヒトはヒトのウエにツルギをタてた。ツルギはツルギのウエにイトをくくりツけた。イトはイトのウエにクモをもってきた。
クモはクモのウエに……をタてた。
クモのウエにカミはいない。
町が鬱陶しくざわめいている。建物は崩れ、木造の家屋は腐り、コンクリートの屑が道を突き刺す。
ヒトが消えて、もう随分と経った。センソウというくだらないことを続けついには自らを滅ぼしてしまった哀れな生き物。暴力的賢さを持ってしまったが為に種を消した。
今となってはあちらこちらにある遺物のみが彼らの存在を教えてくれる。愚かという言葉は彼らに使うことは出来ない。争いは感情という物を持ってしまった生き物のさだめだから。
町だったこの場所の中心くらい、遙か遠くなのにその存在が見える、一つの塔。神が建てた哀れみの塔だなどと言われているが実際はヒトが作った単なる鉄の塊。
神なぞ存在しない。する訳がない。もし、仮にいるのであれば、この世界にもう一度四季を与えて欲しい。
「寒い、暑い、涼しい、暖かい、この感覚はもう二度と味わえない……か」
寒くもなければ暑くもない毎日同じ体感気温。過ごしにくくはない、だが、少し過ごしにくい位の環境がむしろ丁度良い。
四季の変化、それを楽しみたい。
「ふぅ、考え事はそろそろ仕舞にするか、寝床を確保せねばな」
足を傷つけないように屑をよけて歩いていく。町の元市街地はこういった屑や腐り*1が多い。気をつけねば足を痛めてしまう。なるべく怪我はしない方が良い。
このご時世、怪我をしてしまえば真っ先に襲われてしまう。まぁ、この市街地には殆どポケモンも寄り付かないが。
木の実が少ないのがまず第一の理由、生きていくには食べ物が絶対に必要だ。第二の理由は水が致命的に汚染されている事、一部に汚染されていないであろう水溜まりがあるが、そこだけでは多数のポケモンがいては圧倒的に足りない。皆、汚染がましな外へと行った。
「あれは……」
遠くの方で紫の物体が左右に揺れている。それがなんだか私にはすぐ、理解できた。少し急ぎ足でその場所へと向かう。その場所は汚染されていた池であった。紫のポケモン、ベトベター達は池から出てきていた。
「ここの池はもう俺らの居場所じゃなくなった、あんたがこの水を飲んでも、もう大丈夫だろう」
「そうか、ご報告感謝する また、別の場所で会えることを願って」
「おう、じゃあな」
彼らは汚染された物質を糧に生きていくポケモンだ。そのためいわゆる排泄物はその物質を抜いた浄化された物になる。彼ら自体も多少その場所を汚染するが回収量の方が圧倒的に多い。そのことを分かっていたため彼らがいたこの場所に度々訪れていたのだ。
そしてついに除染完了地第一号が生まれたのだ。この周辺なら住処に出来そうな物がたくさんある。生き延びることは出来そうだ。
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コメントはありません。 断罪 神触的腐敗の中で彼女は何を見るのかコメログp ?