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捕食者

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この作品には、官能シーンのほか【四肢切断等の身体欠損および破壊、流血、捕食。失禁(小)、アナルプレイ、腹ボコ、逆流】を含む暴力シーンやグロテスクな表現が含まれています。


作者てるてる


1.

 吐く息は凍てついた大気に触れ、輝く結晶となって風下へと流れ落ちる。空は寒々しさを感じるほどの蒼穹をたたえ、切りつけんばかりに吹き荒ぶ大気は一切のぬくもりすら残滓となり得なかった。厚く新雪に覆われた大地は生命の兆しすら放つことなく、点在する背の高い針葉樹が時折見せる木肌以外、視界に映るものはなかった。
 完膚なきまでの冬山の装用だ。サザンドラは足元の雪を踏み荒らしながら舌打ちする。ポケモンであり、ドラゴンタイプであり、変温動物である自身にとって、このような環境は生存には適していない。本来なら地下に潜り、冬眠して春を待つのだが、彼にはそれができなかった。
 もともと食料には常に事欠く山岳地帯。いつもは乏しい下生えに潜む小さなポケモンや木の実を捕ることで冬に備えていたのだが、何のめぐり合わせか、今年は全くと言っていいほどに獲物にありつくことができなかった。
 他の大型ポケモンたちが山を下って新たな狩場を探すことを選択するなか、縄張りに固執したサザンドラはそこを動くことができなかった。他のライバルがいなくなったことで、むしろ食べ物は増えるに違いないという見通しの甘い確信は、落葉樹が葉を落とし、川面から魚の影が消え、寒さが増して雪が降り出したとき、ようやく間違いであったと気づいた。今さら山を降りたところで獲物なんかいない。自分は冬眠に失敗したのだ、と。

「くそ寒ぃ……」

 目につく下生えを両手の大顎で乱暴にかき分けながら、サザンドラは毒づく。いつもなら驚いた小ポケモンが飛び出してくるものだが、真冬である今となっては生き物の気配すらない。春に備えて地面に埋めた木の実を、横取りして生き延びる殊勝なポケモンもいると聞くので何かしらいると考えていたのだが、そうそう出会えるものではないらしい。
 はじめのうちは自身と同じように冬眠に失敗した哀れな獲物を糧にしてきたのだが、それもそろそろ限界のようだった。空腹は極限に達し、身を切るような寒さは体温を奪い、それらが総じてサザンドラの体力を削り取っていく。
 ここに居座り続けても埒が明かない。いっそ今からでもいいから山を降りてみようか。そう考えていた矢先のことだった。
 針葉樹の林の向こう側に、見慣れない影がちらりと横切るのが見えた。ポケモンだ。それもミネズミやヨーテリーよりも二周りは大きい。
 翼をひらめかせ、風の音にまぎれて林の切れ目まで一息に飛び越える。気配を立てぬよう、そっと木の裏に着地すると、片腕を伸ばしてポケモンの方を見やった。主体である真ん中の頭部にくらべて、両手の頭は全体的な感覚こそ鈍いものの、至近距離から気配を殺して覗い見るには十分な性能だ。
 間近で見て、サザンドラは目を疑った。ヨーテリーをそのまま大きくしたような四足のしなやかな体躯を、覆う桃色の毛色。首元から伸びる触手めいたヒラヒラは風を受けて寄る辺なくたなびいている。それがふらふらと当てもなく彷徨い歩いては、手近な雪を掘り返している。
 それをがニンフィアであるということを、サザンドラは知っていた。この山を通りかかるトレーナーの所有物として、何度か相見えたことがあるからだ。
 人間のいう”タイプ”が何のことか、サザンドラは知らない。が、少なくとも”自身のタイプ”が”ニンフィアのようなタイプ”にとって不利であり、少なくない痛手を負わせてくることは、経験上理解していた。
 だがなぜ、とサザンドラは中央の頭を傾げる。記憶にある限り、野生のニンフィアは見たことがなかった。奴らは常にトレーナーと行動をともにしているポケモンという印象だった。恐らく人間の手を介さなければ出現できない何かがあるのだろう。では、なぜ目の前のニンフィアは一人でウロウロしているのか。
 思いかけて、ああ、とサザンドラは納得する。トレーナーが必要なポケモンが、トレーナーがいないところでウロウロしている。目的があって動いてる訳でもなく、誰かに探されてる気配もない。――つまり、そういうことなのだろう。
 大方、はぐれたか捨てられたか。別段珍しい話ではない。自身が今までに糧にしてきた憐れな獲物にも、そういう者は大勢いた。バトルという上品な戦いに慣れた奴を仕留めるのは容易だった。おまけに、肉付きもいい。
 思うが早いか、サザンドラは木の陰からまろび出ると、空中に翼を叩きつけた。一気に最高速に達した巨体が真っ直ぐにニンフィアへ突っ込んでいく。
 驚き振り返ったニンフィアは、逃げ出そうと踏み込んだ足が雪に埋もれた。体勢を崩してたたらを踏むそれを見て、サザンドラは哄笑した。

――
 
 今日は運がいい。サザンドラは口角を釣り上げて、満足気に呟いた。目の前には、片腕で首を締め上げられ、宙に持ち上げられたニンフィアが苦悶に喘ぎながら身藻掻いている。腕の先の頭はしっかりとニンフィアの首に噛み付いており、暴れれば暴れるほど鋭い牙が傷口をえぐり、足元の赤い斑点をいたずらに増やしていく。
 案の定、ニンフィアを取り押さえるのは容易だった。逃げ出そうと向けられた背中に一撃を見舞い、倒れ込んだところを捕まえた。こうして今も有効打を放ってこない辺り、おそらく戦闘経験も乏しいのだろう。もっとも、タイプ的に不利な攻撃を繰り出されたとして、ここまで力量に差があれば、焼け石に水というものだろうが。

「ぎ……ぁ……」

 酸素と血液を阻害され、ニンフィアが呻く。呼吸をしようと必死で胸を上下させるが、肝心の出入り口がふさがっているのだ。無駄な努力だな、とサザンドラは嗤う。
 久しぶりの獲物だ。しかも大物だ。これならたった今腹を満たすだけでなく、しばらく食いつなぐことができるかもしれない。幸いなことに今は冬だ。雪の下にでも埋めておけば相当な時間は持つだろう。可能なら生きたまま保存する手もある。手足をむしり取って傷口を焼いてしまえば、そうそう死なないだろうし、生きてる限り腐ることはない。まあ、それだと栄養のある内蔵に最後まであり付けなくなってしまうが。
 どう料理してくれようか。ニンフィアをさらに持ち上げ、肉付きのいい体を矯めつ眇めつしているときだった。ぷしゃあぁっと丁度目の前にあった股間から生暖かい液体が迸った。音を立てて自分の体を濡らしていく薄く刺激のある臭いを放つそれに、サザンドラは舌打ちする。

「あぁ? おまえ何漏らしてんだ? ったくきったねえな」

 首にやった手に力を込める。牙が食に込み、鮮血が滴り落ちる。それを舌先で舐めとりながらグイグイと顎で締め上げていくと、ふいに牙の先に硬い感触があたった。弄ぶように顎を擦り合わせると、そのたびにニンフィアの体が跳ね上がって痙攣する。
 もう少し力を入れてやれば、小枝を折るような音と共にこの玩具はたちまち新鮮な肉の塊と化すだろう。

「もっと弄んでやるつもりだったんだがなあ。悪いがもう生かすつもりはねえ。お前ははもう死ぬんだよ。この場でな」

 ニンフィアを顔の前に近づけ、恐怖を植え付けるように一言一句よく聞かせるように囁きかける。だが、呼吸を遮られ続けたニンフィアにもはや反応と呼べる反応を返す余裕もないらしい。かろうじて、徐々に光が失われていく瞳だけが微かに揺れ動くのが見えただけだった。
 潮時か。サザンドラは静かに独りごちる。どこから手を付けようか、ニンフィアを頭上へ掲げる。柔らかそうな肉と内臓の詰まった腹のラインを目でなぞり、ふと股間に目が止まった。しばし観察したのち、鼻で笑った。

「へぇー、おまえメスだったのか」

 尿で濡れそぼり、けばだった体毛の隙間から、血色のいい恥丘が見え隠れしていた。力なく痙攣するたび、僅かに残った水分が滴となって伝い落ちていく。
 目の前に晒されたメスの体。息をすれば、芳しいメスの香りが鼻腔を満たしていくような気がする。思えば冬眠に失敗して以来、このような至近でメスを見たのは初めてだった。ちらりと脳裏に闇い思考が閃く。
 サザンドラはニンフィアの首を締めていた手を離した。鈍い音とともに足元へ落下したニンフィアは、喘鳴まじりに息を荒げながら、手近の雪を掻き集めてズタズタに赤く染まった首元へ押し付けている。止血のつもりか。かまたは痛みで錯乱してるのか。相当深く喰いこんでいたらしい。みるみる内にニンフィアの周りにある雪が赤く染まっていく。

「あーあ。もったいねえ。肉以外に使いみちがあったんなら、最初からそう言えよ」

 まるで他人事のようにつぶやくと、血と尿の染みこんだ雪をひとつすくい上げ、おもむろにニンフィアを仰向けに蹴り転がす。涙で潤み、必死で胸を上下させるニンフィアと真っ向から視線が合った。わざと顔を近づけてやると、ヒッと怯えて尻尾を股ぐらに挟み込むのが愉快だ。

「へえ。結構かわいい顔してんじゃねえか」
「お願い……殺さないで」
「殺さねえさ、すぐにはな」
「……あたしを……どうする気なの」

 今にも消え入りそうなニンフィアの声。横たえられたまま体を小さく丸め込み、怯え切り、もはや逃げることも反撃することも叶わないと思いしり、この獲物はサザンドラへ生殺与奪の一切の権限を任せきっている。しかもこれがメスなのだからたまらない。

「どうするかだって?」

 そんなもの決まってるじゃないか。血の染まった雪塊を口に含み、舌なめずりをしながらサザンドラは意地悪く笑う。

「たいしたことじゃねえ。暇つぶしだ」


2.

 硬い岩肌に叩きつけられ、ニンフィアが掠れた悲鳴を上げる。何とか立ち上がろうと身もがく様を鼻で笑うのはサザンドラだ。遅れてニンフィアを投げ込んだ洞窟に入る。切り立った山の岩壁に穿たれたそこは、広さにしてかろうじてサザンドラである自身が不自由なく動ける程度。決して広くはないが、立地としては文句はなかった。外敵に襲われる心配も少なく、また生け捕りにした獲物が逃げる手段も限られる。それにどれだけ泣き叫ばれようが、容易に外部へ漏れ聞こえることもない。
 みしり、と小石混じりの砂礫を踏みしめながらニンフィアへ歩み寄る。首筋の怪我は血がとまったらしい。固まってがざがざになった体毛は赤黒く変色した血液によって凝り固まり、めくれ上がった皮膚の下に食欲をそそる鮮血色の赤身が覗く。
 ようやく起き上がったニンフィアの顔を見下ろした。青ざめた顔は恐怖に歪んでいる。

「どうよ俺の住み処は? なかなかいいだろ」

 三つの首でそれぞれ笑いながら、部屋をぐるり手で示した。警戒はしていない。どうせ逃げ場はないのだから。

「お前、人間に飼われてたんだろう? 名前あるんだろ? 教えてくれよ」

 おどける調子のサザンドラに、対するニンフィアは何も答えない。尻尾を股の間に挟み込み、ひたすらサザンドラを見つめて体を震わせている。
 サザンドラは舌打ちする。

「何か言えよ! ああ?」

 吠えたてながら、ニンフィアの脇腹を蹴り飛ばす。力は込めてないつもりだったが、ニンフィアの体は軽かった。洞窟の端に溜め込んだ枝や食べ残した骨の山に突っ込み、バラバラと破片を撒き散らす。
 痛みに閉じていた目を開けたニンフィアは、自分がどこにいるのかを知るや否や悲鳴と共に四肢を振り回して骨の山から逃げ出そうとする。嗜虐心を煽る光景に、サザンドラは股ぐらが熱くなっていくのを自覚した。

「せっかく緊張を和らげてやろうとしてやったのに、しらける奴だな」

 もがくニンフィアをサザンドラは足で押さえつける。ニンフィアの顔が苦痛に歪む。背中に敷いた骨が破片が食い込んでいるのだ。痛い痛いと叫び声が洞穴にこだまする。

「いいさ。お前がそういうつもりなら。こっちも手間が省けて好都合だ」

 思い切り中央の顔を近づけ、泣き叫ぶニンフィアの顔を舐め上げる。涙とヨダレと、雌の味がする。助けを求めるニンフィアを至近の距離で見つめる。

「せいぜい長生きしろよ。お前を食う前に思い切り楽しむんだからよ」

 我ながら下卑た笑みを見せつける。
 と、嫌々するように顔を振り回していたニンフィアの視線が突如真っ直ぐサザンドラに合わせられる。緊張からか、ちらりと覗いた舌が唇を舐めた。その口がぽっかりと大きく開かれる。何だ、と疑問を感じた次の瞬間、衝撃が能天を突き抜けた。サザンドラは呻いた。キィン――。耳鳴りがする。全身から力が抜け、膝が折れる。支えを失った体がその場に倒れ――。



 ――サザンドラは咄嗟に足に力を込めて体勢を確保する。全身に力が戻っていく。耳鳴りが遠ざかり、そこにニンフィアの絶叫が割り込んでいく。
 叫んだだけだったか。至近距離で絶叫を聞いたせいだろう。軽く痛む頭を振り、サザンドラは腕に力を込める。

「うるせえェんだよ!!」

 振り上げた片腕を思い切りニンフィアの顔面に叩きつける。未だ踏まれたままのニンフィアは、その頭を首が折れるのではないかというくらいに思い切り揺さぶられた。

「や、やめて――」
「てめぇっ、さっきからっ、ビービーとっ、泣きわめきやがって、うるせえんっ、だよっ!」

 一言一言に力を込めて、何度も腕を打ち下ろす。食い縛った拳が顔面を叩くたび、華奢なニンフィアの体から短い悲鳴が漏れる。耐えかねたニンフィア前足を翳して庇おうとすれば、それごと殴った。
 悲鳴に混じって何かの折れる音と感触が腕を伝う。折れ飛んだ歯の欠片が血飛沫と共に口から吐き出された。我にかえって攻撃をやめる。顔中にアザとうっ血の跡を作ったニンフィアがぐったりと宙を見上げている。荒く息をするたび、ゴボゴボと血の混ざった唾液が顎を伝う。
 サザンドラは鼻で笑う。首を折り曲げて、ニンフィアの腫れ上がった顔へ自身の顔を近づける。

「ハッ、何だよ、もう死にかけてんのか。お楽しみはこれからだってのに」

 ドラゴン特有の長く分厚い筋肉質な舌を伸ばして、彼女の頬を舐め上げる。久々の新鮮な血の味に感嘆の息が漏れた。
 親が子にするように、丹念に舌を這わせて血の味を堪能していく。それは徐々に上流へと遡上していき、やがてニンフィアの口内へと押し込まれた。折れた歯でズタズタに裂けた舌を絡め取り、ボロボロになった牙の断面を啜り上げると、その度にニンフィアの体がくぐもった悲鳴を漏らして体が跳ねる。神経を直接弄られる痛みは苛烈に違いない。青い目に涙を浮かべるニンフィアに、サザンドラのサディスティックな興奮は最高潮に達した。

「なんだ。まだいい反応できるじゃねえか。なら、本番も楽しめそうだな」

 口を離し、甘い血の味を名残惜しそうにしながら、舌で拾った歯の破片をコロコロと舌先で弄びながらサザンドラはニンフィアから降りた。重量から解放されたニンフィアが息を漏らす。やっと離してくれた、死の淵に貧したか細い安心は、顔を上げたニンフィアの前に突き出されたモノを見た途端、無惨に打ち砕かれたに違いない。

「ひっ……!」
「どうした? まさか見たことないだなんて言うんじゃないよなあ?」

 恐怖に顔をこわばらせるニンフィアに、サザンドラは自身の一物を見せつけるように腰を突き出す。硬く天を指すぺニスは赤黒く光を跳ね返し、先端から根本に掛けて生え揃う節くれ立つトゲのような"返し"の輪郭をありありと浮かび上がらせている。小さなポケモンならそれで殴打されただけで死んでしまうに違いない。そんな凶器が今、雄臭い先走りをテロテロと流しながらニンフィアに向けられているのだ。

「慣らしはいらねえよな」
「やっ……あっ、あぁ……」

 涙を浮かべて首を振るニンフィアの声が震える。何をされるのか、理解したらしい。サザンドラは嗤う。両手でニンフィアを持ち上げ、異常なほどに勃起したペニスを小さな秘部に狙いを定める。失禁して濡れそぼったそこはうっすらと肌の赤色を透かしており、見分けるのは容易だった。

「いやっ、や、やめっ、やめてっ!」

 さあ入れようかというそのとき、今まで抵抗らしい抵抗をしてこなかったニンフィアが両手足を振り回し始めた。歯と舌を傷つけられ、舌足らずな言葉で抵抗する。嫌々と首を振り回しながら、手足の爪でサザンドラの体を傷つけようとする。ガリッ……足の爪が自身の腹の鱗に引っかかり、小さく傷を付ける。サザンドラは舌打ちした。大したことではない。が、興を削ぐような振る舞いは確実に怒りの琴線を刺激した。

「なにしてくれやがったクソったれがよォ!」

 サザンドラの吼え声が洞窟に木霊する。ニンフィアの顔から血の気が引いていく。失態を演じてしまったことに気づいたのだろうが、もう遅い。
 サザンドラはニンフィアを片手に持ち直すと、彼女の右の前足を掴んだ。二の腕に牙を食い込ませてかじりつくと、そのまま背中の方へねじり曲げた。四足型のポケモンは肩の可動域が少ない。少し折り曲げただけで、関節がみしりと軋む感触があった。苦痛に喘ぐニンフィアを無視して、サザンドラは一気に背中へ腕を押し込んだ。
――ぼきり。
 限界を超えた過負担に関節が外れた。ミチミチと音を立てて腱が切れ、その肩口には奇妙なくぼみが出来た。

「いああああああっ、がっ、あっ、がふっ!」

 激痛にニンフィアが目を剥いた。悲鳴は途中から咳き込む音に変わった。手を離せば、だらりと右前足が重力に従って垂れ落ちる。
 陸に揚げられた川魚のように体を跳ね上げさせるのを無視して、サザンドラはニンフィアのもう一方の腕にも同じ事を繰り返した。既に叫ぶだけの酸素すらなかったのだろう、ゲホゲホと血泡を拭きながらガクガクと体を震わせる様は実に滑稽だった。

「ははあ! ざまあねえな!」

 両腕を失ったに等しい様に、サザンドラは嗤いながらニンフィアの顔に唾を吐いた。生臭いそれに、しかしニンフィアは叫ぶばかりで何もしない。何も出来ないのだ。
 気を取り直して、サザンドラはもう一度ニンフィアの体をペニスの上へと持ち上げる。自らのと比べて粗末なまでに小さい割れ目に、ペニスの先端を押し付ける。亀頭のほんの先が入り口に飲み込まれる。ニンフィアを掴んだ腕に力を込めると、ブチブチと水音を伴って入り口がペニスを飲み込んでいく。
 体格的にも種族的にも、とても合うサイズではない。強引にペニスを押し込まれ、小さな割れ目はすぐに破綻をきたし、鮮血を噴いた。限界以上に押し広げられた膣は声にならないほどの激痛をニンフィアの脳天へ送り込んでいるに違いない。壊れたように首を振り回して血泡を飛ばす姿を、サザンドラは面白そうに眺めながら、さらにペニスを沈めに掛かった。

「もう限界か? まだ半分も入ってないんだぜ?」

 軽口を叩いて、サザンドラは両手にさらに力を込める。先端から根本へ向かって徐々に太さを増していくペニスは膣を裂きながら進み、子宮の入り口すら食い破る。内臓を直接押され、ニンフィアが胃液を吐いた。その腹には凶悪なペニスの形かボコリと露わになっている。

「ちっ、なんだよ。もう入らねえのかよ」

 ニンフィアを上下に揺さぶりながら、サザンドラは眼を細める。血と粘液でボロボロになったニンフィアの後ろ足の間から、それこそ彼女の太ももくらいはあろうかというペニスが突き刺さっている。ニンフィアの小さな体では半分が限界だったらしい。

「まあいいさ。せいぜい死ぬんじゃねえぞっ。おらァっ!」

 そう言って、サザンドラはズルズルとニンフィアからペニスを引き抜くや否や、勢いを付けて一気に押し込む。乱暴なピストンにニンフィアの体はグラグラ揺れる。

「がぼっ――ぎ……ぁぃぃっっ!!」

 抜き差しのたび、ペニスの返しがズタズタになったニンフィアの膣をぐちゃぐちゃと音を立てて引っ掻いてく。内臓を掻き出されるような感触は、次の瞬間、直接臓器を打ち付ける激痛となってニンフィアの中に押し込まれた。胃液が溢れてくる。仰向けに吐き戻すから、喉奥から気管にかけてを胃酸の痛みと臭気が襲いかかってくる。凄まじい痛みに声すら出せない。
 ニンフィアの苦痛とは裏腹に、小さな体はペニスへ素晴らしい締め付けを与えていた。ハッハッと短く呼吸を繰り返しながら、サザンドラは腕の動きを早めていく。もはやニンフィアを単なる性処理の道具として見ていない荒々しいピストンも、ようやく終わりを迎えようとしていた。

「はっ……あっ……、そろそろ出るぞっ、しっかり受け止めやがれ!」

 にやついた口の端から唾液が滴り落ちる。目を見開いて嫌々と首を振るニンフィアを無視しして、サザンドラは最後の最後に思い切りペニスを突き入れた。一瞬だけ膨張したペニスの先端から、その巨根に見合う大量の精液を吐き出した。音がしないのが奇妙なほどの勢いで流れ込んだ精液は、ぺニスの形に盛り上がったニンフィアの腹を一瞬にしてゆるやかな曲線にしてしまった。
 奥深くに突き込まれたペニスは痙攣するように何度も射精を繰り返した。何度目か、許容量を超えた精液がゴポリと秘部の隙間から溢れてきた。赤く血液の混じった精液が、半分しか入らなかったペニスを伝い、足下に水たまりを作っていく。

「ふー。久々だったからな、すぐにイっちまったぜ」

 へらへらと感想を述べながら、サザンドラはペニスを引き抜く。栓を失った秘部から赤く染まった精液が濁流のようにあふれ出てきた。それが止まれば、あとには引き裂かれ、膣どころか子宮口までもが傷だらけでぽっかりと口を開いて、苛烈な性行為の惨状を惨たらしく呈していた。

「へえ、通りで全部入らねえわけだ」

 血だらけの秘部をのぞき込んでサザンドラがこぼす。幅はともかく奥行きまではどうすることもできない。

「聞いてるのか、おい」
「――して」

 ぐったりと項垂れたニンフィアがぽつり、何かを呟いた。ん、とサザンドラが顔を上げると、涙と涎でボロボロになったニンフィアの顔があった。腕を外され、膣を回復不可能なほど壊され、抵抗らしい抵抗すらままならなくなったニンフィアがサザンドラを見つめて涙を流している。

「殺して……お願い」

 弱々しく呟いたニンフィアの目には、すでに生きることを放棄した色があった。腕を失い、慰みものにされ。全身を襲う激痛に、おそらく長く生きれないことを悟ったらしい。これ以上苦痛を味わうくらいなら、いっそすべてを放棄してしまいたい、そういうことだろう。
 ふと気付くと、ニンフィアの首から血が滴っていた。傷口が開いたのだ。
 最初に首を絞めたとき、殺さないでと懇願していた。あのとき死んでいたらどんなに良かったことか後悔してるに違いない。死を救いだと感じてしまうまでに至るほどの苦痛を受けたニンフィアの心情を考えると、どこまでも憐れで、どこまでも――


――どこまでも劣情を誘ってくれるメスだ。

「それは聞けねえな」

 傲然と言い放ったサザンドラは、いまだ萎えてないぺニスをいきり立たせると、再びニンフィアの股間に押し当てた。「ひっ」と短いニンフィアの悲鳴は、次の瞬間にはこの世のものとは思えない絶叫に変わった。
 一気に突き入れられたぺニスは、ブチブチと音をたててニンフィアの肛門に呑み込まれた。腟とは違い、行き止まりのない穴は、サザンドラのぺニスを根本まで咥え込んだ。

「ごぼっ――」

 内臓を押し上げ、すりつぶし、破り抜ける。ニンフィアは咳き込むような音と共に血を吐いた。
 根本まで入ったことに満足して息をついたサザンドラは、改めてまじまじとニンフィアを見下ろした。
 自身の股間にぴったりと押し付けられたニンフィアは、全身をこわばらせ、ガクガクと痙攣しながら目を剥いている。逸物を突き入れられたその腹には、ぺニスの形をありかがありありと浮き出ており、下腹部どころか胸骨の裏にまで達しているようだった。
 ニンフィアの意思に反して、懸命に生き長らえようとする内臓の温かさや脈動の一つ一つが、サザンドラのぺニスに絡み付き、得も言われぬ快感を与えてくる。もうじき果てる命しては、上出来だった。
 ニンフィアの華奢な体に、サザンドラの巨体が打ち付けられる。腸は膣ほど頑丈ではない。受け入れるべきではないものを受け入れた直腸はすぐに破れ、ヒダや血管をそのぺニスのトゲに絡ませながら、鮮血に染まった結合部からおぞましい水音が響き渡る。
 内臓を掻き回される激痛にニンフィアはのたうち回る。気を失う余裕すらなかった。ただひたすら苦痛だけを伴う行為を受け、血の混じった湿った悲鳴を上げ続けた。
 早く終わってくれ。激痛に穴だらけになった思考の端でただただそう願うニンフィアだったが、一度絶頂を経験したサザンドラの責めはそう簡単に終わるものではなかった。
 獣の昂りに任せ、力の限りニンフィアに腰を振り下ろすサザンドラだったが、その興奮に一抹の不満を覚えた。

「おい。もっと締め付けてみろよ、おら」

 抜き差しする動きは止めずに、サザンドラが不平を漏らす。
 ズタズタに引き裂かれた肛門は締め付ける力をとうに失い、ただの血を吹く穴と化していた。
 絶頂しようにもこれでは張り合いがない。どうたものかと考えたサザンドラは、ふと視界の端でぶらぶらと揺れるニンフィアの前足を見つけた。
 ニタリを笑んで、サザンドラはおもむろに片方の腕へ手を伸ばした。関節を外されて脱力した腕を自身の手の牙で思い切り掴み取ると、力任せに引っ張った。

「ぎぁ゛っ!?」

 ニンフィアが短く鳴く。予想だにしなかった場所からの痛みに全身を強ばらせる。同時にぺニスに絡み付く肉の感触がよくなった。なるほどな。サザンドラは低く笑うと、腕にさらに力を込めた。

 片や屈強なドラゴンポケモン。片や華奢な四つ足のポケモン。細い前足がミチミチと音を立てたかと思うと、肩口に入った亀裂を起点に引き千切れた。
 どこにそんな力が残っていたのか、ニンフィアが激痛に泣き叫んだ。体を揺すり、千切れた腕を振り回して洞窟中に血飛沫を撒き散らす。暴れれば暴れるほど、死にかけていた筋肉や内臓がぎゅうぎゅうとぺニスを締め付けてくるのにサザンドラは千切った前足を口に放り込みながら嗤った。
 久々の肉の味に舌鼓を打ちながら、サザンドラは容赦のないピストンを続けた。刺激が減れば、もう一方の前足も引き千切った。それを繰り返して射精感が高まったころには、ニンフィアの四肢はなくなっていた。

「はっ……はぁ、無様だなっ」

 近づく絶頂に息を荒げながら、サザンドラは最後の仕上げにとニンフィアの両肩を掴んだ。体が震える。一度よりも強い射精感に身を震わせながら、ぺニスを思い切り突き入れる。同時に肩を掴む腕に渾身の力を込めて背中側に折り曲げた。

ゴリッ――
 背骨を折られたニンフィアは、声すら出せなかった。直角に折れ曲がった上半身が重力に従いぶらりと垂れ下がる。今まで感じてきた痛みが霞むほどの激痛に、ニンフィアの全身の筋肉はそれだけで骨が折れるのではないかというくらいに硬直した。
 
「ガアァァァッ!!」

 獣の雄叫びを上げてサザンドラのぺニスは精液を迸らせる。凄まじい勢いで注ぎ込まれた白濁の奔流は、ニンフィアの腹を余すところなく膨らませていった。やがて、収まるところを失った精液が力なく開いた口から溢れ出た。赤く染まった精液がボトボトと岩肌へ流れ落ちていく。
 ぜえぜえと息を吐きながら、サザンドラは萎えかかったぺニスからニンフィアを引き抜いた。
 べしゃりと血と精液の水溜まりの中へ投げ捨てる。身動ぎ一つしないニンフィアを見下ろす。もう息はないだろう。
 射精の余韻か、軽く痛む頭を振り、サザンドラは肉の処理について考えた。――欲望に任せて殺してしまったが、この後についてまったく考えていなかった。雪の下に埋めるか。となると肉をもう少し細かく分ける必要があるな。

――ガリッ。
 口の中に何か固いものがあった。吐き出して手に取ると、それは歯だった。舌で弄んでいたニンフィアの歯が、まだ残っていたらしい。ふん、と鼻で笑い、サザンドラは目の前の物言わぬ死体へ歯の欠片を吐き捨てた。


――――


――ガリッ。
 口の中に何か固いものがあった。吐き出して手に取ると、それはまた歯だった。舌で弄んでいたニンフィアの歯が、まだ残っていたらしい。ふん、と鼻で笑い、サザンドラは目の前の物言わぬ死体へ歯の欠片を吐き捨てた。
頭が痛い。


――――


――ガリガリガリガリッ。
 口の中に何か固いものがあった。吐き出して手に取ると、それはまた歯歯歯歯だった。舌舌舌で弄んでいたニ██  アの歯が、まだ残残残残残っ いたらししい。口の中に血の味が広がる。ふん、と鼻で笑い、サザンドラは目の前の物言わぬ死体へ歯の欠片を吐き捨てた。
頭がひどく痛む。


――――


――ガリガリガリガリガリガリガリガリッ。
 口の中に何か固いものがあった。吐き出したそれは地面に落ちた。脱臼した腕が動かない。、それはまた闍ヲ縺励>縺�>縺�だった。舌舌舌で弄んでいたニ██  アの歯が、まだ残残残残残っ いたらししい。口の中に血の味が広がる。ふん、と鼻で笑い、サザ██ラは目の前の物言わぬ死体へ歯の欠片を吐き捨てた。
頭が痛い痛い痛い


――――


ガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリッガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリガリ
 逶ョ隕壹a繧�いものがあった。それは歯だだだた。血の味が広がる。裂けた舌が血の味が広がる。
まだ残っていた血の味が広がる。
音を立てて腕が折れて血の味が広がる。
内臓を掻き回されて血の味が広がる。
█████の歯、まだ残っていた血の味が広がる。
ふん、と鼻で笑い血の味が広がる。
█████は目の前の物言わぬ死体へ血の味がする。なぜ血が出ている。なぜだ。なぜ血の味血の味血の味がする。
頭が痛い。



頭が痛い。



痛い。



痛い。



耳鳴りがする。全身から力が抜け、膝が折れる。支えを失った体がその場に倒れた。

咄嗟に味に力を込めることができなかった。体勢が崩れ、仰向けに倒れた。

耳鳴りが遠ざかり、そこにニンフィアの笑い声が割り込んでいく。




3.

「あがっ……がっ、ぐあぁっ!!」

 サザンドラは目を見開いた。全身を襲う激痛に身を捩る。苛烈な痛みに声すら出せなかった。何が起こったのか、身を起こすために体を捻って手をつこうとしたサザンドラは、どこまで手を伸ばしても地面の感触がないことに気がついた。
 なぜだ。腕を見ようとし、サザンドラは目を見開いた。肩から先が喪失していたのだ。ガタガタになった赤黒い肉の断面からは骨が突きだしており、無理やり引き抜かれたであろう腱や血管が不揃いな長さで切断されてブラブラと揺れている。もう一方の肩も同様だった。

「あ……え……、なぜ……」

 信じられない思いで首を起こしたサザンドラは、その視界に入ったものに頭が真っ白になった。
 腕がそうであったように、両足もまた同じく、付け根から切断されていたのだ。止血も何もなく、ただ強引に引き抜いたのだろう。いびつに千切れた断面からは未だに血が流れている。
 何より目を引いたのが、夥しい量の血の海に投げ出された下半身に太い枝が何本も突き刺さっていたことだった。一本一本は細い枝を幾重にも束ねたそれはサザンドラの肛門へ深々と差し込まれ、腹に形が浮き出るほどだった。
 なぜ自分がこのような姿になっているのか。自身の置かれた状況を理解できずに混乱するサザンドラは、突如耳元で笑う女の声を聞いて背筋を粟立たせた。

「あはっ、もう起きたんだ」

 そう言って、ニンフィアが齧っていたサザンドラの足を投げ捨てた。骨の見えたそれはサザンドラのすぐ顔の近くに落下した。

「な、何しやがった……」

 痛む口で何とか言葉を発する。ズタズタに裂けた舌が折れてむき出しになった歯の神経に触れるたび、鋭い痛みに涙が出そうになる。
 うん? とそっけなく首をかしげたニンフィアは、ニッコリと微笑みを浮かべる。

「ああ。あなたを眠らせてね、その間に色々遊んでたんだー。どう、いい夢見れた?」

 身体中を血で染めながら、まるで世間話をするみたいに明るく言ってのけたニンフィアにサザンドラは悪心を覚えた。

「遊んでって……てめえ、俺に何をしてくれたんだ」
「そうねえ。例えば歯を折ったり手足をむしってみたりかなぁ。ま、あなたが見た夢と同じことかな。やっぱりドラゴンは体力があるわね。ここまでされてもまだ死なないんだもん。楽しかったわぁ」

 恍惚とした表情を浮かべながら、その時の様子をつぶさに語るニンフィア。最初から、全部夢だったというのか。頭を強く打ち付けられたような衝撃だった。
 サザンドラの頭のそばを離れたニンフィアは、ぐるりとその下半身の方へ回っていく。逃げようとするが、背骨を折られた下半身は痙攣するばかりでピクリとも動いてくれない。ニンフィアは足が血に浸かるのを気にしていない様子で、かつて足があった場所へ近づくと、突き刺さった枝の束に手を掛けた。

「あ……ぐ……あぁっ、があああぁぁ――!!」

 ぐりぐりとねじ込むように枝が動かされる。直接火焔を押し付けられたような灼熱の激痛が全身を襲う。どこにそんな力があるのか、ニンフィアは片手だけにも関わらず強引に枝の抜き差しを始めた。鮮血が迸る。苦痛に呻くサザンドラを見つめて、ニンフィアがうっとりと目を細める。

「いいわぁ。その苦痛に歪む顔、本当にいい」

 片手を枝に、もう一方の片手を自らの股間を刺激しながら、ニンフィアが言う。

「私ね。生まれたときから相手が苦しんでる姿を見るのがすごく大好きなの。バトルの相手やその辺の草むらにいるポケモンに対してもね。すごく苦しめてあげて、殺してほしそうにしても殺さないように苦しめて。それで最後に殺すの。本当に興奮するわ」

 くちゅくちゅと股間から粘液を漏らしながら、ニンフィアが息を荒げる。同時に抜き差しされる枝もより深く、より早くなっていく。
 激痛に意識が飛びそうになるたび、内臓を抉る新しい痛みに覚醒される。

「ある日ね。とうとうご主人に愛想をつかされちゃってね。お前をこのまま野生に戻すわけにはいかないっていって、この山奥に連れてこられて、他の手持ちに殺させようとしたの」

 ニンフィアがサザンドラのスリットに口を押し付ける。血だらけの隙間から萎えたぺニスを見つけ出すと、口に含む。死にかけた体の持つ最後の生存本能の足掻きなのか、痛みしかないにも関わらず、ぺニスは大きくそそりたった。

「全員私が嫌いだったのかな。みんな一斉に襲い掛かってきたの。だから、全員殺した。命乞いしなが逃げようとしたご主人も一緒に殺した」

 牙を立てた乱暴な刺激にも関わらず、ぺニスは早くも射精を迎えようと脈動を始めていた。仕上げと言わんばかりに、ニンフィアは掴んだ枝の束を腕ごとサザンドラの中に押し込んだ。せり上がってきた血の塊が口から吹き出した。同時にとうとう耐えきれなくなった腹の皮がやぶけ、内臓が絡まって赤く染まった枝が飛び出した。

「新しいご主人を探すつもりで山を降りようとしたんだけど、お腹がすいちゃってね。どうしようかと考えてたら、偶然あなたが現れてくれたの」

 血まみれのぺニスから精液が噴き出した。ひとしきりそれを飲み込んだニンフィアは、おもむろに口を離すと、ぺニスの根本にかじりついた。

「あああっっ!! がっ、あっがぁ!!」

 激痛に身もだえるサザンドラを楽しそうに見つめながら、傷口にさらに手を押し込んだ。肉を爪で先ながらより深く中を抉っていく。ぶちんっ、何かを貫通した感触がし、射精がとまった。代わりに傷口から真っ赤に染まった精液が滝のように流れ出てきた。血と精液に染まった肉の塊を掴み取ったニンフィアが、それを口にしてニッコリ微笑んだ。それはまさに悪魔のようだった。

「春が来て山から降りれるようになるまで、死なないようにしてあげるわ」
「――してくれよ……」

 味わいながら咀嚼していたニンフィアは、弱々しいサザンドラの声に「ん?」と首をかしげる。

「もう殺してくれよ……。頼む、もう、殺してくれ……」

 命乞いすら無駄だと悟り、サザンドラは泣きながら懇願する。それは奇しくも、夢の中でニンフィアがしていたのと同じ光景だった。
 ニンフィアが笑う。

「それは聞けないわ。だって、殺しちゃったら春まで持たないじゃない」

 耐えることのない苦痛の日々が始まったことを、サザンドラは思い知った。絶望の叫び声は、誰もいない雪山に響き渡り、無惨にも消えていった。


あとがき

変態はエロいだけではない。グロいのもまた変態なのである……。

と、いうわけで、こちらの作品、作者はてるてるでした!
とにかくエロくグロくをコンセプトに、ニンフィア×サザンドラという王道カップルを使用して明後日の方向から変態を極めさせていただきました。
執筆のキッカケというか、なぜこのコンセプトにしたかと言いますと、実はワタクシ、ゴア描写の強い作品が結構好きな方なんですよね。おそらく、海外系のB級ホラー映画で鍛えられたのだと思います(笑)
ってなわけで、今までゴア作品は読み専だったので、「そんな私が本気でエログロを書いたらどうなるんだろう」と力試しをしてみたくなり、執筆する運びとなりました。
初めての試みだったため、展開や描写にはややくどい部分があったりすると思いますが、個人的には大満足です。

さてさて、そんなこんなで産み出された『捕食者』。皆様の太平洋よりも広い心と、マリアナ海溝よりも深い思慮のおかげでなんと1.8票(ペナルティにより1割減)もいただくことができました!
……いや、嫌味とかそういうわけではなく、正直こちらの作品、内容が内容ですので0票を覚悟してましたので……(汗

以下、コメント返し

皮下組織の描写えっっっち!!! 切断面からのぞく神経束とか想像するだけでクるものあります。前半のニンフィアにとっては絶後の蹂躙も、サザンドラにとっては捕食の延長にあるだけのただの性欲処理。圧倒的な暴力で相手に立場を分からせるの、いいですよね……。
後半、立場が逆転する怪文パート、面白いんですがあまりに予想していなかったのでついていけなかった……サザンドラが壊される描写が前半を上回っていて欲しかったかも。 (2019/03/30(土) 18:55)

 皮下組織いいよねぇっ!!! 手足を切断する描写は文章映像を問わず、数えきれないほどありますが、そのほとんどは骨の断面までしか描写しておらず、個人的に不満だったんですよね……。な、の、でっ、『捕食者』執筆にあたっては、神経とか血管とかの描写をこれでもかとやらせていただきました。まんぞく(
 後半の逆転パートにつきましては、実は当初の予定では、サザンドラがふらついた辺りから徐々に文章を侵食していき、最後は……という感じで行く予定だったのですが、徐々に文字化けを挟むと非常に読みにくくなることが分かり、このような形にさせていただきました……。サザンドラに関してももっと痛め付けてやりたかったのですが、いたずらに文字数を増やすよりかはスパッと終わらせたいな思い、こういう感じになりました。ううむ、次回の課題ですなぁ(汗

最初の方から野生ポケモンの生々しい表現が上手く、この世界に入り込むことができました。
生々しすぎるけど、現実ってこういうものよね。
そして何より、サザンドラの夢から覚める瞬間の演出!
これ大好きです。太字とか文字化けとかの表現が、絶望感凄いです。
素敵な作品をありがとうございました。 (2019/03/30(土) 23:54)

 捕食者と披捕食者の関係はこれくらいドライなのが個人的には好みだったりします(笑)
強いものは食べ、弱いものは肉になる。奇跡なんてない、そんなドキュメンタリーのような弱肉強食なシーンは、導入部ということもあり、かなり力を入れたつもりでございまする(ニンフィアが痛め付けられシーンを書くことで、後半の逆転パートがより印象に残るかなぁという意図もあったりりり)
 文字化けシーンに関しては、私が個人的に好きな『ぴろぴと』さんという方の作品を参考にさせていただいております。畳み掛けるような文字化けの嵐に、ものすごく恐怖心をそそられた記憶をもと、尊敬の気持ちを込めてオマージュしてみたつもりです。うまくできてるといいなぁなんて(笑)


 感想、意見等。何かありましたらお気軽にどうぞ。

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Last-modified: 2019-04-20 (土) 00:01:07
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