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憑かれた男と亡霊魔女

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憑かれた男と亡霊魔女

「確認しておきたいことがあるんだ」

朝日の差し込む、白を基調とした大きな食堂、プラスチックで作られた四人掛けの机、二人掛けの机、八人掛けの机、それぞれがバランスよく設置されている。
美味しい料理の香りとにぎやかな話し声に満たされて、朝食を愉しむ学生たち。そのなかに、俺はいた。二人掛けの席で、注文した200円のラーメン、二つ目の替え玉はかなりの薄味だ。塩と胡椒を振りかけながら味を調整し、麺をすする。
正面に座っているのは、一緒に朝稽古をしているハリテヤマのヤーマだ。彼は大盛りのご飯にから揚げの大盛り、それにマヨネーズをかけながら俺にその一言を言った。

「確認したいこと?」
「さっき話していたのは、一年生のディア嬢だな?」
「ああ…」

この食堂に来る前、女子の集団に呼び止められた。一緒にいたヤーマは人払いにされ
自分一人と女子の集団と対面する形になった。その中の中心にいた彼女。取り巻きのように女子の周りに従えている彼女はディア嬢と呼ばれている、ディアンシーだ。
どこか有名な家柄のご令嬢らしい。

「何の話だったんだ?」
「うん、付き合ってほしいんだって」
「……で?」
「ああ…、断ったよ」
「はぁああああ!!?ウッソだろお前!!?」

ヤーマの大きな声が食堂内に響く。力強く握られた左手は、マヨネーズのボトルを引き絞り、なみなみとから揚げの上にマヨネーズを注ぐ。
何事かと回りもこちらに目を向ける。俺は少し顔を赤くして小声で話す。

「こ、声がでかいって、静かにしろよ…」
「だってお前…これで何度目だよ…告白断るの…」
「いや…もう数えてないけど…」
「…てめ、そりゃ嫌味か何かか!?」

俺にのど輪をかけるヤーマ、その間にもそそがれ続けるマヨネーズ。
苦しさに腕をタップする俺。

「ち、違!そんなつもりじゃないって!」
「どういうことなんだ畜生!どうしておめぇだけそんなにモテるんだよ!」

がっくりとうなだれて、手を離すヤーマ。そのまま頭を抱える。

「ああ、わかってるさ…お前はイケメンだよ。」
「鍛え抜かれた技のキレに、鋼の肉体、整った顔立ち…しかも波導の勇者ルカリオときたもんだ…モテない理由はないさ…
でも俺だって頑張っているんだぞ!?同じ格闘タイプじゃないか!!
みんなそんなに相撲が嫌いか!?そんなにデブはいやか!?ええい!!こんちくしょう!!」

ひとしきり言い切ると同時に、マヨネーズもそそぎ切る。もはやマヨネーズが主体となったから揚げを、涙を流しながらモリモリと口へ運んでいく。

「ううう…悔しい…」
「いや、その、すまん…」
「いや、いいんだ…今に始まったことじゃないさ…」

俺も麺をすすりきって、残った汁を腹に入れる。最後の一滴まで残さず食べる。ひそかに持っている自分のポリシー。

「それにしても、まさかあのディア嬢のお誘いすら断るとはな…」
「ははは…」
「…まさかとは思うがよ」
「え?」

神妙な面持ちで、ヤーマは俺を見た。

「男色…ってわけじゃないよな、兄弟…!俺はそっちの気はないぞ!!」

青ざめた様子で後ずさりをするヤーマ、思いもかけない発言に思わず声を高くして反論する。

「ば、馬鹿!俺だって男なんて御免だ!」
「じゃあどうしていつも断るんだよ…」
「そ、それは…」
「好きな人がいる、なんて嘘はよせよ?そんな人はいないと俺は知っているぞ兄弟」
「!……」

ヤーマとは大学からの付き合いでもう1年の付き合いとなるが、ほとんど毎日顔を合わせているほど仲がいい親友だ。お互いを血のつながらない兄弟と呼び合うほど、心を通わせている俺たちの間では、大体のことはわかってしまう。嘘はつけない。

「その、理由があるんだ…」
「俺にも言えない理由ってか?」
「…ああ、もうずっと抱えている悩みなんだ…」
「俺は力になれないのか…?」
「…ごめん」
「……そうか」

二人の間には、重苦しく淀んだ空気が流れる。お互いにどうしていいかわからない空気、それを切り裂くように、ルークは少し大きな声をあげた。

「でも、ようやく見つけたんだ!その悩みを解決してくれるかもしれない人が…!」
「なんと…!そいつは一体…?」
「…亡霊の魔術師…」
「…!!!」

一瞬空気が凍ったような時間が流れる、その言葉を聞いた周りの人間も、一瞬体が凍ったようにこちらに意識を向けた。刹那時間は元に戻る。一瞬止まった時間をなかったことにするかのように、周りの人は時間を加速させた。
しかしいまだ自分の前には、時間が凍ったままの者がいる。

「…まさか、…正気なのか、兄弟!」
「俺はまじめさ、亡霊の魔術師、ヤーマも知ってるだろ?」
「………この大学の中に学生でありながら博士号をとったという天才科学者、数々の
面妖な薬を開発し、人々の夢をかなえた男だとか…あるものは見えなかった目が見えるようになったり、不治の病から回復したり…最近では手足の再生まで実現したとか…そんな噂を耳にするが…」
「そう、不可能と言われたことを現実にする、まさに魔術師…その天才科学者なら、俺の悩みも解決してくれるかも…」
「だが…わかっているのか!?あいては亡霊、つまり、ゴーストタイプだぞ!?」

そう、俺たち格闘家の拳はどんなに硬い岩石でも打ち砕き、世界を支配せんとする巨悪すら撃滅する。だが、彼らゴーストは、その拳をいともたやすく無効化するのだ。それゆえ
格闘タイプはゴーストタイプのポケモンとは交流をしない傾向が強い。何をどうしたところで、彼らに勝ち目はない。長い歴史の中で、昔からそれは変わらない。決して埋まらない溝は深まり続け、現在では交流することすらタブー視される。
例えばこんな、格闘タイプの学部の食堂内で話題にすることすら、常識を外した行動ともとらえられる。自然と俺たちの会話は小さな声になっていた。
ヤーマは両手を自分の顔の前で組み、俯く。顔色はみるみるうちに青ざめていき、
小声でぶつぶつとつぶやき始めた。

「…激流の打ち付ける滝の流れを打ち抜く俺の張り手すら、奴らにとってはただの扇風機に過ぎない…俺たちの努力をすべて台無しにして、鼻で笑うんだ…そしてそのあとは…ナイトヘッド、シャドーボール、ゆめくい…ああ、悪夢が始まる…俺たちは何もできず、あいつらの手のひらで踊るしかない…ああ、恐ろしい…」
「ああ、勝ち目のある相手じゃない、な」
「…行けばただでは済まないかもしれないんだぞ」
「…それでも俺は…」
「行くのか、13号棟へ…」

俺は何も言わず、席を立つ。荷物をまとめて食器を片付ける。もう行かなければならない
決心が崩れてしまわないうちに

「…兄弟!」

ヤーマの声が食堂内に響く

「本当に何かあったら、俺を呼ぶんだ!できることは少ないが、必ず力になるぞ!」
「……ありがとう、兄弟…!」

俺は手を振り、食堂を後にした。


「この先、か」

大学構内のはずれ、森林公園の前にある看板には、この先6,7号棟と書かれている。
13号棟という言い方は正確ではない、この大学では6号棟が理学部、7号棟が生命科学部と二つに分かれている。ここにいる学生のほとんどがゴーストタイプだ、格闘タイプは一人もいない。最新型に立て直されているほかの学科棟と異なり、大学創立当初の木造建築のまま、今もそこにある。苔むした壁に、柱に絡みつく蔦、埃だらけの窓、腐り下りた屋根
まさにゴーストハウス…ここの学生たちはその歴史の長さに畏敬と畏怖の気持ちを込めて、その6,7号棟を合わせて13号棟と呼んでいる。俺は今その6号棟のほうへ来ていた。

「…マジかよ」

目の前にしてみるとその異常さに息をのむ、今にも崩れそうな建物がそこにある。
いや、本来ならばもう崩れているのかもしれない…ここの中にいる者たちが、崩れることを許していないのか…

「いや、よせ…変な妄想は…ここの、4階、か」

魔術師がいるというのは、4階の端の部屋…一人で一室の研究室を使っているらしい。

「い、行くぞ…」

意を決してドアに手をかける、前に、音もなく扉が開いた。中から冷えた空気が吹き出し、足元に絡みついてくる。俺はしばらく動けなかった。

「………」

何とか足を動かす、後ろに行きそうになる足を前に進めるのは大変な作業だ。
中は何やら空気が冷えている、いや、だた単純に、自分が寒気を感じているだけなのか、
それだけでもきついのに、異様なほど暗い。窓から差し込む光が鈍く廊下を照らすのみだ。
何とか階段を探すために、ゆっくりと進む。

「ここ…か、階段は…」

すぐに階段は見つかった、階段の先は、暗くて見えない。深呼吸して前に進む…
闇に伸びて消えていきそうな階段を、自分の足音だけがその存在を認識させてくれる。
だがおかしい、なにかが、…足音が一つなのに、気配が二つ?

「!…」

勢いよく後ろを振り向くとそこには、何もいない、進行方向とは逆に、階段が闇に向かって伸びている。いるはずの者がいない。背筋に悪寒が走る、空間がゆがんでいるような気がする。気持ちが悪い、思わず周囲の波導を探ってしまった。
………い、る…後ろに、それも、一人じゃない、2人、3人、5、10、20,50
100…数えきれないほどの存在が俺の後ろにいる…!俺を見ている!!…襲い掛かろうとしている…!!!

「お、ちつけ…!!!そんなはず、ない…!」

内にある恐怖が、波導の感覚を狂わせ、ない物すらあるように見せているだけだ。
落ち着いて波導を鎮める。数えきれないほどいたものは消えた。そっと振り向くと
やはりそこには何もない。一息、ため息をついた。

「…行こう」

俺はまたゆっくりと階段を上がった。

上がりきって右へ進む、その先の突当りが魔術師の住処だ。
そのまま、部屋の扉の前まで辿り着く、そこには何か張り紙がされている。
「実験中」らしい…出直したほうがよいだろうか、そう思って何気なく扉に手を触れると
また、音もなく扉が開いた、

「え、な…」

もう、あまり驚かなかった。ともかく、中の様子をうかがう。暗くてやはりよくわからない。見渡しながら部屋の中へ入ると、空間が振動する轟音が聞こえた
次の瞬間体が逆方向に吹き飛ばされる、瞬間的に受け身を取ることができ、大事には至らないが、吹き飛ばされた衝撃に体が動かない。もくもくと煙が広がっていくのを見ながらゆっくりと体を動かした。

「うぐぐ…い、一体何が…ん…?」

体を起こすと、おなかの上に何か乗っている。小さく抱え込むこともできそうなくらいの
黒い何か、人形のようにも見えたそれは、白衣を着ていて、この白衣には様々な汚れがついている。その人形がごそりと動いた。

「ヒヒヒ、やっぱし難しいね、これだけの高エネルギーをこんな小さなカプセルに詰め込むなんて無理が過ぎたかな?それでも、この力を体内に取り込んで安定化できれば…メガシンカも実現できるはずなんだけど。もっと別の発想が必要なのかな…」

ぱたぱたと、服についたほこりを払いながら独り言をつぶやき、ケタケタと笑う
黒い人形、それが自分の探していたその人と気づくまでに時間はいらなかった

「あ、あの!ちょっとまって!」
「え、キミ誰?」

それが二人の初めての出会いだった。

「ヒヒヒ、悪いね、片づけ手伝ってもらって」
「い、いや、いいんだ…」

散らばった破片などは片づけたが、それで片づけたのかわからないほど、部屋の中は荒れ果てている。実験に必要なものなのか、よくわからない標本や、敷き詰められた一斗缶
ごみの袋に、何かの液体の入ったドラム缶、つぎはぎの毛布、見たこともない薬品の数々、自分にとって未知の世界に、どうにも落ち着かない。自分の座っている机も傷だらけだ。目の前にティーカップが置かれる
あたたかな湯気と心を落ち着かせる紅茶の香りはどこにでもある普通のミルクティーだ
そのカップを置く手が存在しなかったこと以外は、
そして音もなく、黒い人形が僕の前に座る。白いぼろぼろの白衣を着たジュペッタ。
その白衣には実験で汚れたであろう痕や、先ほどの爆発による焦げ目も残っている
長い間、それを使い続けているのだと感じた

「まずは自己紹介をしようか、僕はジュペッタのジュリー、ここの研究室の研究員だよ。
キミは?」
「俺は、ルカリオのルーク、一応あなたと一緒の学生だ。その、よろしく…」
「ヒヒヒ、よろしくねルーク君」

ニコニコと笑いながら気さくに話しかけてくるその雰囲気は、想像していたものとはだいぶ違っていた。魔術師と呼ばれる天才科学者の本人が、こんなにもちいさな、まるで子供のようなポケモンだったとは…にわかには信じがたかった。

「それで、こんなとこまで何の用なの?」
「…あなたのうわさを聞いてきたんだ。魔術師と呼ばれるあなたの叡智を借りれば俺の悩みも解決できるかもって」
「…?魔術師?」
「?…ああ、不可能とされるようなことを何度も解決してきたって聞いてるよ。その偉業はまさに魔術師だって」
「ん、それは誤解だね」
「えっ」

思わぬ一言に、すっとんきょうな声を上げた。

「魔術師なんて誰が言ったのか知らないけど、僕にはできないことのほうが
圧倒的に多いよ。たとえば人を生き返らせることはできないし、万能薬を作ることもできないしね、何か願い事なら神様にでもしたほうが建設的だと思うな」
「な…でも不治の病の特効薬を作ったって…」
「ん、いくつかそういう薬は作ってきたけど、失敗したことも多いよ、10回に1回成功すればいいほうかな」
「じ、じゃあ手足を再生したっていうのは…」
「んー事故でなくなった手足を代わりになる義手を作ったりはしたよ。再生したってのは少し違うね、ヒヒ」
「…噂には、尾ひれがつく、か…」
「そういうことだね、がっかりさせてごめんね」

がっくりと肩を落とす俺、その姿を見て、彼はけらけらと笑いながら一口紅茶をすする。

「ただね、僕自身にはそんな力はないけど、僕が扱っている科学っていうのには無限の可能性があるんだよ」
「…え?」
「科学はこれまで先人たちの培ってきた叡智の結晶。その力を使えば、水を一瞬で凍らせることもできるし、自力で空を飛ぶこともできれば、半永久的に電撃を流し続けることもできる。
今の便利な生活の根源には、必ず科学がかかわっている。そういう意味では、昔でいう魔法は現代の科学ともいえるかもね」
「…ならば、今は無理なことでも、この先の未来にはできるようになる?」
「うん、その可能性は高いよ。不治の病の薬もできるかもしれないし、手足を再生することもできるかもしれない。君の願いもかなうかもね…」
「…俺にはそんなに待つ時間はないけど…まずは話だけでも聞いてくれないか?」
「ヒヒヒ、いいよ」

少し意外だった。ゴーストタイプにとって格闘タイプは格下の存在だ。通常であれば話すら聞いてくれないことがほとんどなのに、いともたやすく話を聞いてもらえることになった。本当に願いを聞いてくれるのか、それとも聞こえのいいことを言っているだけなのか…どちらにしろ、言うしかない…そうでなくては進めないのだ、俺は

「それで君の望みって何なの?」
「……その、小さいんだ」
「へ?何が?」
「何がって…その…」
「?」

怪訝そうな顔をして、首をかしげる
その様子に俺は意を決して、声を上げた

「お、俺の願いは、俺の性器を、でかくしてほしいんだ!!」
「……え?」

二人の間に、冷えた空気が流れた


「……つまり君の男性器はあまりにも小さくて役に立たないと?」
「うう…そうだよ、はっきり言わないでくれ…」
「うーん、基本的に生殖行為に性器の長さは必要要素ではないんだよ?
むしろ問題なのは精液の中に含まれる精子の絶対数で」
「そ、そういう問題じゃないんだよ!必要だとか必要じゃないとかじゃなくって…」
「?…どういうこと?」
「どうって…男としてこれほど屈辱的なものはないだろ…自信が持てず、好きな人ができてもこれのせいで受け入れることもできず、今日まで生きてきて…これを女の子に見られた瞬間、鼻で笑われるんじゃないかと思うと…惨めで、辛くって…
この気持ち、わかるだろ?」
「うぅん…よくわからないな…」

どうにも会話がかみ合わない、二人の間に違和感を感じずにはいられなかったが、恥ずかしさと憤りにあおられ、一番聞きたいことが声になって漏れる

「ああ、もう!結局のところどうなんだよ!?俺の願いはかなうのか、かなわないのか!?」
「あー無理かな」
「えええっ!!」
「だってそんなことやったことないもん」
「そ…んな」

がっくりと膝をつく、すべての希望が潰えた迷える子羊はただ絶望を仰ぎ見るように天を見上げた。両手で顔を覆い、うなだれる。科学の叡智を使ってもこの悩みを解決することはできないのか、そのあまりにも大きな業の深さに、大粒の涙が零れ落ちた

「ヒヒヒ…まぁまぁ落ち着いて、今は無理ってことだよ」
「え?…」
「まずは原因がどこにあるのかだね、遺伝子的なものか、それとも後天的なものか、
あるいはもっと別のことが原因なのか、いろいろ考えられる可能性を一つ一つつぶしていけば、おのずと解決策も見えてくる。そうすれば君の悩みを解決することができるかもしれない」
「ほ、本当か!?」
「うん、そのかわりいろいろルーク君の体を調べることになるけど」
「ああ、そういうことなら俺、何でもするよ!」
「いい心がけだね、じゃあ服全部脱いで」
「ああ!…って、ええっ!!」
「何を驚いているのさ」
「いやだって…なんで裸にならなきゃ…」
「精密検査をするんだから、当たり前でしょ、服なんて邪魔でしかないもん。それに患部を一度観察しておきたいしね」
「う…」

覚悟はしていたことではあったが、いざ目の前にしてみると体が動かない。
どうしても渋ってしまう。そんな俺の姿など顧みず、検診用のビニール製の白衣を投げつけて、検査の準備を始めている。

「ほら、はやくはやく」
「うううう…わ、わかったよ!」

勢いよく服を脱ぎ捨てて、生まれたままの姿になる。そうして今まで他人にはひた隠しにしていた自分の性器をあらわにした。その情けないものを彼はまじまじと見つめる。

「ヒヒヒ、かわいい」
「う、うるさい!検査するなら早くしろよ!」
「まぁまぁ、まずは身体検査からね」

検査には長い時間がかかった。身長から体重に視力に聴力…あらゆるものを一つ一つ調べられた。中には屈辱的なものもあった。

「……」
「……」
「……ふーん」
「…なんだよ」
「ヒヒヒ、別に、親指くらいだね」
「く、口に出さないでいい!」

日が落ちることになってようやく、すべての検査が終わった。今日一日でいろいろなものを失った気がする。だがそれも、夢をかなえるため、ひたすらに耐える。いつもやっている修行に比べたらこんなもの…と自分を奮い立たせた。

「ああ、ようやく終わったかぁ…」
「ヒヒヒ、お疲れ様。じゃあ明日は8時にここにきてね」
「えっ!明日!?今日で終わりじゃないのかよ!」
「何言ってるのさ、まだ何も調べていないよ。脳のスキャンから遺伝子の解析に
体内構造も調べないと…まだまだこれからだよ」
「そ、そんな…」
「嫌なら別にいいけど」
「はい!来ます!来ますんで本当に頼みますよ!」
「ヒヒヒ、まあ任せておいてよ」

それから毎日のように魔術師の部屋に通った。ある日はよくわからない機械の中に入り
またある日は脳波を洗脳されそうな機械で測定されたり、一日中機械の上で走らされたり…気が付くと一週間もの時間がたっていた。長かったがようやく、彼から結果が出たと報告があった。期待に胸を膨らませて、今日も魔術師を訪ねる。

「ようやく、結果が出たらしいな?」
「お待たせしたね、ヒヒヒ、結果からいうと何とかなりそうだよ」
「ほ、本当か!?」
「うん、ルーク君の場合は遺伝子の記録を調べると元々はまともに成長するはずだったみたいだね。」
「そ、そうなのか?でもそれならどうして…」
「ルーク君は成長ホルモンって知ってる?」
「成長ホルモン?…確かあれだろ?体の成長を促すやつで…」
「うん、、つまり僕たちの体は成長ホルモンの働きで大きくなっていくわけだけど、逆を言えば
成長ホルモンが出なければ体は成長しないわけ」
「…てことは、まさか…」
「そ、ルーク君の場合それが性器だけに現れたみたいだね」
「…なんてこった」

改めて自分の情けなさにため息が出る。まさか子供のころからここだけ成長していないなんて、自分の不幸さにいい加減嫌になってくる。

「…でも、これは治るんだろ?」
「うん、これを飲めばね」

そういって彼は一つの錠剤を取り出した。
真っ白な一錠の固形薬、それを手渡されまじまじと見つめる。
これが、自分に残された希望…自分の目にはそれが、輝く希望の光にも見えた。

「それを飲めば、眠っていた成長ホルモンが目覚めて、たちまち成長が始まるはずだよ
その錠剤自体にも成長ホルモンが入っているから、より効果は高くなっているよ」
「…よし、いくぜ!夢をかなえに!!」
「あ」
「んぐっ…ん゛!?」

ぐっと一気に薬と水を一緒に飲み込む。その瞬間のどが焼けるように熱くなった。
そのまま腹の中に熱を保ったものが入り込んでいく。その異常さに胸がむかむかして
胃が持たれる。具合が悪い、今にも体の中のモノが裏返りそうだ。

「ゔううぅ…なん、だ…よこれ…」
「副作用の話する前に飲むんだもん」
「副作用…!?」
「今起きてる症状、胸やけがひどいでしょ?だからこの緩和剤と一緒に飲むの」

そういってもう一つ薬を取り出す。
今度は黄色い錠剤。おれは観察する間もなくその薬を口に押し込む。何とか飲み込むと
少しずつ胸やけが収まってくる。深呼吸をして、苦しみを飛散させようとする。

「飲んでもしばらくは苦しいよ、我慢してね」
「う…うう…」

腹の中を何かが動き回るような感覚に何とか耐える。しばらくしてようやく気分がよくなってくる。大きく深呼吸して、気持ちを落ち着かせた。

「…落ち着いてきた?」
「う…ああ、何とかな…」
「よし、そろそろ患部に変化も出てきたはずだよ、さっそく勃起させて♪」
「え、ええ!?」

いきなりの発言に苦しさも忘れて飛び退く。

「何驚いてるのさ」
「いや、だって…どうしてわざわざ…」
「だって勃起させないと変化が分からないじゃん」
「そりゃそうだけど…こんなところじゃ無理だよ…」

もはや下半身を彼の前にさらすことには抵抗はないが、それでも勃起させるとなると
話は別だ。とてもじゃないが、同性の前で勃起などできない。自分にはそんな趣味はないのだから。

「うーん…ここにはエッチな本もないしねー…」
「長さが必要なら自分で測ってくるよ、それでいいだろ?」
「ダメだよ、薬の効果を知るには今すぐじゃなきゃ…」
「そんなこと言ったって…」

もじもじとしたまま、先に進むことはできない。ただ時間だけが流れる
その時、思いもかけない提案が飛びだした

「……しょうがないね、こうなったら僕の体でも使ってもらおうかな」
「…は?」

彼は言い終わる前に白衣に手をかけてボタンをはずし始める。少し頬を染めながら
服を脱いでいく彼に思わず大声を出してしまう

「ちょ、待て待てって!俺にはそんな趣味は…!」
「ヒヒヒ、あんまりスタイルよくないけど、足しにはなると思うし…」
「だ、だから俺には同性愛の趣味はないんだって!!」
「…へ?」
「…は?」

二人の間に奇妙な空気が流れる。お互いの認識がずれているような感覚。
自分が何か重要な勘違いをしているような、そんな予感。それに答えるように
にっこりと笑顔になる彼、嫌な、予感がする。

「ヒヒヒ、なんか会話が合わないと思ったら、そういうことか」
「な、なんだよ…どういうこと…」
「ボク女の子だよ」

その言葉が、脳に響いた瞬間。全身の血流が逆流を始める、めまいがひどい。
体中の汗腺が全開になる。自分が彼、
いや、彼女の前で何をしていたのか…彼女の前で全裸になって、触られて
長さも測られて、
それ以外にも肛門の皴の数から睾丸の裏の黒子まで全部全部
全部全部見られて見られて見られて見られて

「う、嘘、嘘だ…そんなの…」
「嘘じゃないよ、ほら」
「!!!!!!」

ぴらっとボタンを外した白衣をめくり上げると、その下には生まれたままの裸体があった
ほとんどふくらみもないが、確かにメスの色気を感じさせる桃色の乳首をもった乳房、
僅かにくびれのある腰つき、そして股下には一本の切れ目が入っているだけで、そのほかには何もない、よく見ると肉の裂け目の部分にはわずかにピンク色の肉襞が見て取れた。
生まれて初めて見る、母親以外の女性の体。おもわず、目を奪われてしまう。

「あ、ああ…」
「ヒヒヒ、そんなにじっくり見られると恥ずかしいな」
「う、うう、そんな…だって魔術師って…」
「魔術師だから男っていうのはなんの関連性もないと思うけど」
「い、いやそれは…ていうかなんで下着来てないんだよ…!?」
「あーまぁ、必要性を感じないからかな、あとは気持ちがいいし」
「なんだそりゃあ!?恥ずかしくないのか!?」
「そう?でも効果はあったみたいだね」
「え、あ…!!」

自分の下腹部を見ると、自分の下着を押し上げる感覚があった。心臓を鷲掴みにされるような感覚と、腹の底から沸騰するような滾りが体中を満たし始めている。
目の前にある、小さな乳房、少したわんだ腰回り、柔らかさを感じさせる太もも
それらから香り立つ女の香りにもう我慢が効かない。

「ほら、測るから早く脱いで」
「う、うう…わ、わかったよ…」

震える手で何とか下着を下していく。その様子を、服をはだけさせたまま、まじまじと見つめている。これまで感じたことのないほど恥ずかしさを感じ、頭の中がおかしくなりそうだ、今目の前にいるのは、まぎれもなく、女性なのだ。

「…はい、おーけー、ヒヒヒ、倍ぐらいになったじゃん」
「う、うるさいな…」
「ヒヒヒ、じゃあ射精してすっきりさせようか」
「は、はあぁ!?」
「だってなんだか苦しそうだもん、そのままじゃさ」
「いまここで、オナれっていうのか?」
「うん、ボクもサービスするからさ」

ジュリーは机の上に腰かけると、肩にかかる白衣をおろし上半身を完全に露出した
小さな乳房がぷるりと揺れる。腕に残っている白衣はそのままに、ルークに見せつけるように机の上で足をM字に開く。ぴったりと閉じきった秘部は独特のメスの艶めかしさを醸しだしている。そこに白衣の絡みついたままの手を持っていき、指先で左右に開いた。
人形の体には似つかわしくない、肉の柔らかさを感じさせるピンクの肉襞が顔をのぞかせた。ぱっくりと開かれたそこは、わずかに湿り気が見て取れる。奥にある、経験のない象徴の肉膜まできれいにみることができた。
ジュリーはにっこりと頬笑み、上目づかいでこっちを見上げた

「ヒヒヒ、どうかな?えっちに見える?」
「……(ハァ…ハァ…)」

目の前の光景に、言葉も出ない。もう完全に意識の糸が切れてしまった。
恥も顧みず、自分のモノをしごき始める。湧き上がる快感と、
視覚を通して脳に伝わる欲情が、体の奥底から煮えたぎってくる。

「わぁ、そんなに激しくして痛くないの?」

目を大きくして見つめる彼女の視線も相まって、みるみるうちに興奮が高まってくる。
少し大きくなったことでしごきやすくなったのか、あっという間に絶頂にまで近づく
もう我慢が効かない、

「ヒヒヒ、そんなに凝視されると恥ずかしいな、そんなに僕の体で興奮するの?」

ジュリーは頬が赤く染まっていく感覚を覚えていた。目の前で夢中になって自分の体を見つめ、息を荒くしているルークを見ていると自分の体もまんざらではないのかな、なんてぼんやりと思う。どんな形であれ、自分が人の役に立てていると思えると自然と心が温かくなった。その暖かさの中には別の感情も含まれていたが、ジュリーはまだ気づかない

「ううっ!ぐっ出、出る!!」
「え、ひゃあ!」

ルークは体をそらせながら、うめき声をあげ絶頂を迎える。これまで自分でしたものとは比べ物にならない。脳がほぐれていくような感覚にしばらくとらわれる。しばらくの間天井を見上げていると、ややあって頭の熱が冷えてきた。そのままふと視線を戻すと

「あ、」
「…すごいねこれ、結構粘度が高いし…なんだか生臭い…」

ジュリーは噴き出した精液のほとんどを体に浴びていた、顔や手だけでなく、胸から
秘部の周辺まで万遍なく白い粘液がへばりついている。体全体から雄の生臭い匂いが
漂ってくる。その匂いを感じていると不思議と体の奥が熱くなってくるのを感じた。それまでジュリーには感じたこともない感覚、あるはずのない心音が高まるように感じた。手についたそれに匂いを嗅いだ後、舌でぺろりとなめとってみた。

「んん、苦い…」
「ご、ごめん!わ、悪かった!今すぐ、すぐ拭くから…!」

ルークは自分のやったことに青ざめ、すぐにティッシュを使ってふき取っていく。人形のふわふわの体毛の中にからめとられた精液はなかなか取れないが、それでも全体を
丁寧に拭き取っていく。その様子を微笑みながらジュリーは見つめていた。

「ヒヒヒ、ありがとルーク君、優しいんだね」
「何言ってるんだよ…ぶちまけたのは俺で…ああ、くそ、取り切れないな」
「大丈夫、この研究室にはお風呂もあるから」
「ええっ?意外とハイテクだな…」
「ま、ここは研究室兼自室みたいなもんだからさ、シャワー浴びてくるから
白衣も洗濯機に入れといて、洗濯機も隣の部屋にあるからさ」
「あ、ああ」

白衣を投げ渡して、さっさとお風呂へ向かうジュリー、それを見送った後、いまだ机の上に飛び散っていた精液を雑巾で拭きとる。その中に自分のもの以外の染みもあったのだが、
そのことにルークは気づかない。別の白色に汚らされた白衣をもって隣の部屋へ続く
扉を開けると、その正面に洗濯機はあった。その中に白衣を放り込み、洗剤を入れてスイッチを押す。自動的に始まる洗濯機を見送った後部屋を回すと、そこはどうやらジュリーの寝室らしかった。小さなベッドの周りに無数のぼろぼろの人形があること以外は、普通の寝室だ。初めて見る女の子の部屋、ベッドからはジュリーの香りが感じられる。

(…ここで、あいつは寝ているんだろうか)
(なんだか甘い香りがする、芳香剤の香りか、もしくはあいつ自身の…)
(女の子の…匂い…)

はっとして我に返る。いかがわしい考えを振り切るように頭を振り、すぐに研究室に戻った。それと同時に、ジュリーもお風呂から出てくる。バスタオルを体に巻いたままの姿で、湿り気を帯びた体はまた別の趣を感じさせた。

「もういいのか?早いな…」
「ヒヒヒ、まぁちょっと体を洗うだけだからね、ボクは幽霊だから、汗もかかないし、垢やフケなんてものもない、基本的に体が汚れるのは外的な要因だけなんだよ。今回みたいなね」
「あ、なるほど…」
「それはさておき、経過観察に移るから、この薬をもっていって、寝る前に飲んでね」

そういって白色と黄色の錠剤が入った瓶を渡される。先ほど飲んだ薬らしい。

「また、あの苦しみを味わうのか…」
「良薬は口に苦し、ってね。ヒヒヒ我慢してよ」
「わ、わかってるさ、じゃあ、また明日な」
「うん、待ってるよ」

その日から、再び研究所に通う毎日が始まった。
研究室にこもるなり、二人で裸になった後、薬の効果を確かめるため、
ルークはジュリーの体を燃料として、自分のモノを奮い立たせる。
経過を記録した後は、ジュリーに手伝ってもらって自分を鎮める

「はぁ…!はぁ…!う、うう…」
「ヒヒ、もう出そうだね。いいよ、またいっぱいかけて」
「い、逝く!もう、でるっ!」
「あっ…ひぅう…温かい…」

ジュリーに大量の白濁液が降りかかる。ジュリーはへばりついたそれの温かさを
かみしめるように感じた後、お風呂へと入っていく。彼女曰く、なんだか体の中まで
温かくなる気がして気持ちいいらしい。ジュリーがお風呂から出てきたところで
実験は終わる。それの繰り返し、しかし確実な進歩もある。

「うん、今日もまた大きくなっていたね、順調みたいだね…ヒヒ」

実験の結果は良好だ、少しずつだが確実に成果が表れている。少し前までは
手のひらの中にすっぽり入ってしまったが、今では少し掌の中から顔をのぞかせている。

「この調子なら、時間もそれほどかからないんじゃないか」
「…かもね」
「よし!今日も頑張って薬を飲んで、しっかり寝るぞ!目指せ巨根!」
「…」

はじめのうちは、ただこんな感じに、研究室に通うだけの日々だった。
それが一か月を超えるころには、少しずつ変化が表れてきた。

「ね、その前にご飯食べに行かない?」
「えっ?」

その日はたまたま、授業の関係で昼ご飯時に研究室に来ることになった。
だから、先にご飯というのはわかるんだが…ゴーストでもご飯なんて食べるのか
思わず、脳裏によぎったことが言葉になってこぼれる。
反射的に口を抑えたが、ジュリーは怒ることもなく、いつものように笑顔のままだった。

「勿論、これでもいろいろ食べ歩きもしてるんだよ?
「へえ、それは意外だな。じゃあこの辺でいい店も知ってるのか?」
「ヒヒヒ、美味しい店があるんだ。一緒に行こ?」
「あ、ああ、もちろん」

にっこりと笑顔になって、意気揚々と研究室を出るジュリー、自分の勝手な
イメージでは、研究以外に興味はないのかと思っていたが、それは誤解だったのかもしれない。なんだか心を開いてくれたような気がして、ルークはうれしくなった。

「そういえばここの扉って音もなく開くんだけど、これってやっぱり霊的な何かなの?」
「ん?違う違う、普通に自動ドアだよ」
「え゛?嘘…この建物の雰囲気に合わないな…」
「ヒヒヒ、まあね、ここの卒業生が自作したものらしいよ、初めて来た人を
めちゃビビらせてやるって言って熱心に作ったんだって」
「……やっぱりそういう目的じゃないか」

何気ない、研究にも関係のない、ただの会話をすることも多くなった。
その何でもない会話の中にも彼女の、彼女らしい一面が見え隠れしていて、
少しずつ彼女のことを知るようになる。

「これこれ!このミックスパフェ!この近くの牧場から届いた生乳づくりのアイスクリーム!自然のうまみをたっぷり含んだ贅沢な青果をふんだんに飾りつけてあって、これをアイスクリームと絡めて食べるのがほんとにおいしいんだ!」
「お、おお…」

嬉々としてお気に入りのスイーツを紹介するジュリー、いつものような冷静沈着なイメージとはまるで当てはまらないほど、にこやかな表情でその巨大なパフェを見つめる

「ヒヒヒ、じゃあいただきまーす(パクッ)」
「…ん、んん~~っ!美味しい!」

唇を引き締めて、きゅっと目をつむり、味をかみしめた後に、ぱあっと笑顔になった。
スイーツを幸せそうに頬張るその姿はどこにでもいる女の子にも見えた。
なんだか、複雑な気持ちになって、自分も頼んだティラミスパフェを口に運ぶ
あ、普通にうまい

「…ティラミスどう?美味しい?」
「ん、ああ、普通においしいな、変に苦すぎず甘すぎず、スマートなくちどけで…」
「わあ、おいしそう!食べちゃお」
「えっ」
「すいませーん、ティラミス一個追加でー」
「……」

結局4つもパフェを食べたジュリー、終始幸せそうな顔をしていた。大満足という感じだ
そうして清算に行くと

「えーと、680円…」
「……」
「ジュリー?早くお金…」
「……」
「おい…?…まさか…」
「ルーク君、おごって♥」
「ウッソだろお前!?」
「ヒヒヒ、ごめん調子乗っちゃった」
「お、お前な…」
「いいじゃん、ね、後でちゃんと返すし、サービスするから、ね?」
「ぶっ!ば、馬鹿!変なこと言うな!」
「どうしてもっていうならここで脱いでも…」
「あああわかったわかった!後で返せよもう!」
「ヒヒヒ、ありがと!」

こんな感じで、一緒にご飯を食べたり…

「ヒヒヒ、ごめんね買い物付き合ってもらって」
「まあ、荷物持ちにされるとは思わなかったけどさ」

ある日の休日に、町で彼女とばったり会った。その流れで一緒に買い物をすることになったが、途中から荷物持ちになってしまった。

「ね、後一個だけ寄ってっていい?」
「んなっ、もうこれ以上持てないって!」
「大丈夫、アクセサリー屋さんだからさ、ね、ちょっとだけ!」
「…ああ、もう、ちょっとだけだぞ」
「ヒヒヒ、ありがと」

そういって彼女は上機嫌に前を行く、それに付き合う自分もなんだかんだでまんざらでもない気持ちで後をついていく。

「わあ、これ綺麗だねー」

木造づくりの小さな小物店、その中に並んでいるアクセサリーはどれもこじゃれていて
なかなかセンスのあるものが置かれている。ジュリーは手にしたのは、ピンク色に近い赤色の綺麗なリボンだった

「ああ、なかなかいいリボンだな、買うのか?」
「うん、そんなに高くないしね…買っちゃお♪、といいたいとこだけど」
「ん?」
「実はもう金欠なんだ。調子に乗って買いすぎちゃった、ヒヒヒ」
「…」
「まあ今回は我慢かな…残念だけどしょうがないよねー」
「…なら、俺が買ってやるよ」
「…え、マジ?ホント?」
「そんなに高くもないしな」
「わーうれしい!じゃあこの指輪も買って!」
「ば、馬鹿!調子のんな!」
「ヒヒヒ、ウソウソ!冗談だよ」
「まったく…まあいつも世話になっているし、これくらいはさせてくれよ」
「でもほんと嬉しい、ありがとうルーク君♪」
「う、あ、ああ…」

両手を自分の胸の前に合わせて、少し首を斜めに傾けてにっこりとほほ笑むジュリー。
本当にうれしそうで、俺は思わず彼女のことを可愛いと思ってしまった。心が締め付けれるような、今まで感じたことのない感覚。その感情に振り回されるように顔を赤くしてしまう。

「ね、このリボンさっそくつけてみたい!いいかな?」
「ああ…つけてやるよ」
「うん、お願いね♥」

ジュリーの頭にある、おさげの根元にリボンを綺麗に飾り付ける。綺麗なピンク色は
黒色主体のジュリーの体にはよく映えて、なんだか女の子らしさが強調させていた。
商店街のショーケースに移る自分の姿を見て、頬を桃色に染めるジュリー、今前見たことのないくらいうれしそうな顔をした。

「ヒヒヒ!ルーク君どうかな?似合ってる?」
「ああ、似合ってるよ、可愛くなったな」
「ホント?嬉しいな…こんな風に身だしなみ整えたことなんてないから…」
「え…そうなのか?」
「うん、こんな風にリボンつけるなんてどれくらいぶりだろ…ヒヒ」
「このリボン、大切にするね!ルーク君♥」

そういって、満面の笑みを浮かべるジュリーに、再び心を奪われるルーク。
自分の中に芽生える感情に、動揺する。既に出会ったころのジュリーの印象は
吹き飛んでいた。この日からジュリーは自分にとって特別な存在となっていく。


何でもない買い物を一緒にしたり、ただおじゃべりをしたり、ただそれだけで、特別に、何かがあったというわけではない。
でもその何気ない生活の中から見えてくる、ジュリーの姿は、本当に普通の女の子で、
研究室にいる時とは全然違っていて、彼女の持つ魅力に徐々にひかれていくのを感じていた。彼女といる時間は、たとえようもなく楽しく、充実していた。
ジュリーにとっても、それは一緒だった。

「料理なんてするんだな」
「ヒヒ、まあね、実験を成功させるよりはずっと簡単だよ」

経過観察に時間がかかってしまったある日、既にとっぷりと日が沈んでしまい、
もう外食店も閉まってしまった。そのため自分がご飯を作ってみた。
実際、こんな風に料理を振舞うのは初めてのことだ。うまくいっているかどうかちょっと心配だけど、まあルーク君ならいいか、なんて思っていた。

「オムライスかよ、意外に女子力高いのな…」
「女子力?まあともかく、食べてみてよ」

目の前に置かれるオムライス、あたたかな湯気とともに送られてくる卵の柔らかな香りと
チキンライスの匂いが絶妙に混ざり合い、食欲をそそらせる。
オムライスの上にかけられたケチャップは、綺麗なハートマークになっていて
細部まで気を配るジュリーの料理に対する気持ちの表れのように見えた。
オムライスにスプーンを入れると半熟の卵が零れ落ちる。中のチキンライスに絡めて
そのまま口へ運ぶ。
口の中に、卵の絡んだチキンライスの味が広がる。多少塩辛く感じるチキンライスは
半熟の卵にほぐされ、絶妙な塩加減になる。そこここに含まれるチキンはより深みのあるうまみとなって、味の中にしみこんでいく。ああ、美味しい。
ルークはうなずきながら、その味を文字通りかみしめた

「ね、どうかな?美味しい?」
「ああ、これはうまい、美味しいよ」
「わぁ、本当?ヒヒヒ、嬉しい」

頬を緩ませて自分の作ったご飯を食べてくれるその姿を見ると、こんなにもうれしい気持ちになるんだ。と、ジュリーは初めて感じた。これまで、たった一人で生きてきた彼女にとって、こんな風に、自分だけじゃなく誰かのために何かをするっていいものだと、ようやく知ることとなったのだ。ルーク君がここに来てから、自分の中でいろいろな変化を感じている。

「じゃあ、食べ終わったら片づけておいて、僕はちょっと出かけるから」
「ん?こんな時間にどこ行くんだ?」
「図書館、必要な資料がそこにしかないんだ。12時までは空いてるから、ちょっと行ってくる」
「そうか…大変だな」
「戻るの遅くなると思うから、片づけたら今日は帰って休んでね、お疲れ様」
「あ、ああ…」

そういってジュリーは足早に部屋を出ていく。その姿をルークは黙って送り出した。
そうして最後までオムライスを食べると何かを決心するように、うなづいて、食器の片づけを始めた。

(遅くなっちゃったな…)

日を跨ぐ頃の真夜中、ジュリーは自分の研究室に向かっていた。資料を探すのに思わぬほど時間を取られてしまった。結局時間ぎりぎりまで本と睨めっこをしていた。
ようやく必要なものはそろったが、今日はどうやらここまでのようだ。早く寝て明日に備えよう。そう思って自分の研究室のドアを開けると、ジュリーは目を丸くした

「…ルーク君?」
「…すぅ…ぐぅ…」

もう帰ったはずのルーク君が椅子に座ったまま、机に突っ伏す形で寝ている。手にはさっきまでなかった
絆創膏が貼ってある。その前にはサランラップがかけられた何かが置いてあった。

「…これ、オムライス…?」

あちこちが少し焦げていて、チキンライスも外側にこぼれている。ハートのマークは
歪んでしまっていて、形も悪い状態だ。でも、何度失敗しても何とか形にしている努力の姿が見て取れた。そこからは、作った本人の思いが伝わってくるようだった。

「…もしかして、僕の…ために?」

すっかり冷えてしまっているオムライス、サランラップを外して、スプーンで切り取り
口へ運ぶ。きっとレシピなんて持っていないのだろう、塩味が少し強く、卵もぼろぼろの状態、チキンも大きすぎて、中まで味がしみ込んでいない。お世辞にも上手にできているものじゃない、でも…

「美味しい…美味しいよ、ルーク君…」

僕は、心が温かくなった。本当に、暖かくなった。こんなにもうれしかったことなんてなかった。言葉にできず、ただ、オムライスを食べていく。何かが、頬を伝った。
涙だ、こんな風にうれしくなって泣いたことなんてあったろうか、記憶にない。
食べ終わった後、静かに寝息を立てるルークの背中にそっと寄り添う

「…きっと、キミと一緒にいられたら、楽しいんだろうな…」

僕は変わった、こんなことを言うような性格でもなかったはずだ。
ルーク君のことだって、何か特別ってわけでもなかった。
でもルーク君と一緒にいる時間は、これまで感じたことがないくらい安らいでいて
、何気なく話したり、一緒に時間を過ごしたり、ただそれだけの時間が、これまでの人生の中で、一番輝いていた瞬間だった。この時間がずっと続くといいなって思うようになった。でも…

「…でも、僕たちは…」

何時かはわかれる時が来る。それはわかっている。実験はうまくいっている、このまま実験が終わればもうそこまで、そのあとは、それまでの関係に戻る、戻らなきゃいけない。
だって、僕みたいな、幽霊と一緒に居たって、何もいいことはない。僕は研究だけしかできないつまらない女、ルーク君みたいな優しい人には似合わない。だから、離れなきゃいけない、僕はルーク君にとってはただのお荷物だから、うん、わかってる。

「…だからせめて、今だけは…」

今だけはこのぬくもりを感じていたい。忘れないようにかみしめるように、
その暖かさを感じてジュリーは眠りについた。



二人の間には、確かな絆が芽生え始めていた。その変化は、実験の内容にも如実に表れてきた。
いつものように、滾りを鎮めていると、思わぬ一言をジュリーは言った。

「ね、ルーク君」
「う、な、なんだよ急に?」
「ルーク君の触ってみてもいい?」
「はぁ!?」

思いもしない一言に手が止まる。動揺を隠せずに目が泳いでしまう。そんな様子を見てなのか、ジュリーはけらけらと笑いながら、近寄ってくる。

「だってこれ可愛いんだもん」
「うっ」

ジュリーの指先が自分の先端に触れる。それだけで自分のモノは大きく反応した、
自分以外の手が触れる感覚に背筋が震える。

「わぁ、すごく敏感なんだねーヒヒヒ、面白いな」
「ほ、本気なのかよ…」
「よくわかんないんだけど、ルーク君のこと気持ちよくしてあげたいんだ…」
「な…」

にっこりとほほ笑むジュリーに心がキュウと苦しくなる。自分のモノは
先ほどまでよりも大きくなったかのように、びくびくと痙攣している

「触られるのは、やっぱいやかな?」
「う…その、い、痛くするなよ…」
「ヒヒヒ、任せといて」

そっと手を触れると、既に10㎝以上になっているルークの肉棒は大きく震えた。
そのまま上下にこすると二度三度、びくびくと肉棒が痙攣する。先端から
ぬるぬるな潤滑液が流れてきて手に絡みつく。

「尿道球腺液、いわゆるカウパー液だね。ヒヒヒ、気持ちいいの?」
「う、ああ、そのまま優しく上下に、な」
「うん、こう?」
「うう、ああ…」

手に絡みついたカウパー液を塗り拡げて、動摩擦係数を減らしながら
ゆっくりと上下にこすっていく。先端からは徐々にカウパーが追加されていき、
遂には肉棒全体までいきわたる。ルークは天井を仰ぎながら吐息を荒くしている。
その気持ちよさそうな表情をジュリーは見つめていた。その快感に耐える顔に、
心の中が温かくなった。この表情をもっと見たい、自分の体に興奮してくれる
ルーク君に、もっと気持ちよくなってほしい。それは雄を悦ばせたいと思う雌としての本能だった。その本能に突き動かされ、無意識のうちに体が動く。

「…(ぺろっ)」
「う゛!?」

これまで味わったことのない、何か滑ったものが自分のモノを撫で上げた。
視線を下へ移すと、ジュリーが肉棒にくちづけをしている。

「ちょ、な、何をしてんだよジュリー!」
「ん、なんでだろ…わかんないけど、舐めてみたくなったんだ」
「な…だって汚いと思わないのかよ!?」
「え?汚くなんかないよ…ルーク君のだもん、ルーク君は舐められるの嫌?」
「え、いやその…嫌じゃ、ないよ、むしろ…」
「じゃあ、もっと舐めてあげるね!」
「あっ、っぅうう!」

再び舌を肉棒の根元から先端まで這わすと、これまで以上に肉棒は反応する。
声を上げて、うめき声を出しながら喜びの声を上げるルークを見ると、愛おしさがこみ上げてきた。こうして肉棒に顔を近づけているとこれまでも感じていたルークの匂いが
一層強くなる。先端から発せられている、濃厚なオスの匂い。それがまるで直接脳に差し込まれているように、びりびりと響いてくる。
海鮮類のようなきつい匂い。でも不思議と嫌悪感はなく、むしろ体の中が熱くなり、頭の中がぼんやりとしてくる。ぴくぴくと震える肉棒がたまらなく愛おしく思えてくる。
そうしてまたも無意識に体が動き、口を大きくあけて肉棒を咥えこむ

「あ…んむ、ん…」
「っ!!!?ジュ、リ…あうっ!」

新たに加わった快感にもはや言葉も出ないルーク、その様子に満足し、舌を絡めながら
上下に動かす。カウパーの塩辛さを感じながらリズムよく肉棒を啜る。表現しがたいほどの快感にもはや一刻の猶予もない、うめき声と共に肉棒は波打つように痙攣を始めた。

「ううっぐ!ぐぁ、あああ!!出る!出る出るぅう!っうううう!
「ん、んんん!!」

大きく体を震わせると同時に、雄臭いドロドロの白湯がジュリーの口の中にぶちまけられる。思った以上の勢いに負け、口の端から零れ落ちる。それでも関係なく次々と
濁った白湯は流し込まれていく。ジュリーは必死になってそれを飲み込んだ。
それは想像していたよりもずっと苦しかったが、何かいいようのない達成感と満足感が体を満たし、苦痛を快感へと還元していく、荒い息が収まり、すべてを出し切った後
最後の一滴まで吸い取った後、ごくりとのどを鳴らして最後の一滴を受け入れた。

「んぐ…ごめんね、飲み切れなかったよ」
「はぁ…ふぅ…なんでそこまで…」
「ん、なんでかな…ルーク君が気持ちよさそうだったから、もっと気持ちよくなってもらいたかったんだ、ヒヒヒ」

口の端から精液を滴らせながら、無邪気に微笑むジュリー。ルークはそんな彼女にかける言葉が思い浮かばず、机の上にあるティッシュを取って、丁寧に精液をふき取った。

「ヒヒヒ、ありがと、やっぱりルーク君は優しいね」
「いや、礼を言うのはこっちさ…凄く、気持ちよかったからさ」
「ホント?じゃあ次も口でしてあげるね」
「う、うん、ぜひ頼むよ」


初めてこの研究室を訪れてから早2か月。
その日から、毎度ジュリーはルークのモノを咥えるようになった。
ルークの滾りを体や口で受け止める度、雌として雄に奉仕する喜びを全身で感じる。
ジュリーが生まれて初めて感じたものだった。いつまでもこの思いに浸っていたいと思った。それがかなわないとわかっていても。
ルーク自身も、今まで感じたことのない物を感じていた。一生懸命に奉仕をする
ジュリーを見ていると、言いようのない滾りが腹の底から湧き上がってくる。
その思いを込めるように容赦なく白の煮え湯をぶちまける。その思いを振り切るように
うめき声をあげて、最後の一滴まで口の奥に流し込んだ。その滾りがあふれてしまわないように
今日もいつものように薬を飲み、お互いに服を脱ぎ、ジュリーの口にルーク刃物を押し付ける。ジュリーはにっこりと笑顔になって、一番奥まで咥えこむ。

「う…」
「ん、んちゅ…」

一番奥まで咥えこみ、舌を絡めながら一番先端まで戻る。先端で舌を転がした後
再び咥えこむ。時にじっくりと、時に激しく、最初のころと比べものにならない快感に
みるみるうちに絶頂へと導かれる。ジュリーのテクニックは日進月歩に進歩していた。
しばらくの間、メスの奉仕する水音と、オスの煮えるようなうめきが響く。

「う、ぐうう!ジュリー、そろそろ…」
「んっ!」

ジュリーはうなずいて、これまでにないほど激しく動く
もう我慢することはできず、大きく体をのけぞらした。

「ぐっ!出、出る!出るぞ!っううう!」
「んぶっ!んんっ!」

吐き出した怒張を、健気に受け止めるジュリー、こくこくとのどを鳴らして
奥へ流し込んでいく。出し切った後も尿道に残ったモノを吸い取るように
限界まで吸い取ってから、口を離す。既に一滴もこぼさずにすべてを受け止められるようになっていた。

「ふぅ…今日もよかったよジュリー、ありがとうな」
「ヒヒヒ、喜んでくれると僕もうれしいよ」
「でも無理して飲まなくてもいいんだぞ?」
「んーまあ飲みにくいのはそうだけど、意外とおいしいよルーク君の」
「ば、馬鹿。変なこと言うなよ」

二人の間にはもう隔たりはなく、お互いの腹を割って話するようになっていた
しかし、あと処理も終わった後になると、その空気が冷える。

「それにしても、ずいぶん大きくなったよね。ルーク君の」
「え…あ、ああ、そうだったな」

薬の効果はすさまじく、既にもう、十分すぎるほど本来の機能を取り戻している
ルークの性器。もういつ実験をやめにしてもいいほど結果は出ていた。
しかしお互いにその話はしなかった。しかし、もう、それも限界だった。

「…経過観察ではもうほとんど変化はないよ、すでに17㎝超えてるし」
「そうだな…助かったぜ、いろいろと」
「…ヒヒ、ボクももうそろそろ、お役御免なのかな」

二人の間に沈黙が流れる。お互いに何かやりきれない思いが脳裏を交錯し
声が出ない。それでもいうしかない、それがどんなに望んでいないことだとしても

「…明日また来て、測って、変化がなければ…そこで実験終了だね」
「ヒヒ…ルーク君とも、これでお別れ、だね」
「え…?ジュリー…何を…」

困惑するルークに、ぱっと笑顔になるジュリー、夕日に照らされるその顔はひどく悲しげに見えた。

「だって、もうここには用はないわけだし…」
「な、何言ってんだよ…別にいいじゃないか、これまで通り遊びに来ても…」
「ダメだよ、せっかく立派なもの手に入れたんだから、今度は自信をもって素敵な彼女を探せるでしょ?」
「え…?」
「僕のそばになんかいたら、いい人だって逃げちゃうでしょ…
だからね、これで、お別れ…」
「…ジュリー、俺は…」

彼女は絞り出すように、それだけ言い切って俯いてしまった。顔は笑顔のままだけど
抑えきれない悲しみが、手の震えになって表れている。ルークは、どうしていいのかわからなかった。何か声をかけてあげようと思っても声が出ない、何かしてあげようと思っても体が動かない…お互いに動けない、金縛りにあったような重い時間が二人の間に流れる

「ささ、僕はもう次の実験の準備もあるから、また、明日、明日ね!」
「あ、ちょ…ジュリ…!」

半分追い出すように、ルークを外へだして、ジュリーは一人になった。
一人きりの実験室。これまで通りの景色に雰囲気。一番落ち着ける空間、のはず。
はずなのに、体が重く、心も重い。死んでいるから、心なんてないのに
苦しい…

いつものようにお風呂にも入って、ご飯も食べて、寝床に入っても、胸の中につっかえている重みをはらんだ痛みが消えない。それでも休まないわけにもいかず、目を閉じる
瞼の裏には、すぐにルーク君の顔が浮かんでくる。それに続いてさっきまで奉仕をしていたルーク君の姿が浮かんでくる。顔を真っ赤に染めながら、息を荒くしているルーク君。
雄臭いにおいを放ちながら、ぴくぴくと痙攣をしている赤黒い肉棒。それに舌を這わすと
びくびくと反応して、口の中を跳ね回る。しばらくすると大きく震えて生臭く、生暖かい雄液が放たれる。それを味わいながら僕は飲みこむ。
そんな情景が浮かんでは消える。ぐるぐると頭の中を回り、火傷しそうなほどの熱さや
脳の奥を突くにおいまでもが記憶の中でリアルに再現される。
足に違和感を覚える。すり合わせると何か滑った感覚を覚えた。

「…これ、また…」

自分の股座をまさぐると、ぬるぬるとした液体が自分の性器から分泌されていた
それについては何か、もうわかっている。バルトリン腺から性的興奮を伴うことによって分泌される…つまりは、発情している結果だ。最初はこんなことはなかったし、濡れていたものをお風呂に入ってくればすべて流れてしまった。それが今になっては、こうしてお風呂に入った後も溢れてくるくらい、もう、止まらなくなっていた。

「…ルーク君…」

自分の子宮からあふれ出てくる、沸騰するような熱い昂ぶりは凄まじいほどの
疼きとなって、ジュリーに襲い掛かる。堪らず、うずく秘部に手を添える。
滑った感覚と一緒に背筋に電気が走る、二度三度スリットを上下にするともう、止まらない。ぬちゅくちゅと湿った水音と、メスのさみしげで情熱的な吐息が布団の中に響く、

「ひっ…あふ…ルーク君…だめ…」

連続して脳まで駆け上がってくる快感は、自分の記憶から妄想を作り出した。
幻影のルーク君が涎を垂らしながら自分の体を、貪るように撫でまわす。
自分は抵抗もできずに、目をつむってひたすら快感に耐える。
重さのないルーク君が自分の上に覆いかぶさる、熱い吐息が耳元に降りかかり
はち切れそうなほど膨らんだものが自分の秘部へ押し当てられる。

「ああ…やめて、ルーク君…っひ!ぃぃ…」

無理矢理に、あの大きなものの幻影が体内に入ってくる。その感覚を自分の指をねじ込むことによって、再現する。とても本物には及ばないだろうが、リアルに体内に入ってくる感覚は妄想をさらに加速させた。
ケダモノのように、荒い息と涎を垂らして、ルーク君が私の中で暴れる。揺さぶられ、乱暴にされ、貪られて、最奥まで侵されるその感覚に必死に耐える自分。そんな風にされたら、一体自分はどうなってしまうのだろう。幻影のルーク君がうめき声を上げ始める。
いつの間にか、自分の指の動きは最高潮になっていた。何かが来る感覚、幻影のルーク君が大きく震えて動きを止めた瞬間、自分も体が大きく震える。

「あ…ああっ!ルークく…ルーク君…ぅあっ…!」

スリットの間から透明な液が吹き出し、体をのけぞらす。声にならない声絵が布団の中に響き渡り、メスの色香が布団の中に満たされた。
脳の中がはじけるような感覚、そのまま脳髄が外まで飛んで行ってしまって、残った体がゆりかごの中でゆっくりと揺れているような、そんな感覚。
ジュリーにとっては初めての絶頂だった。
しばらくの間、その感覚に弄ばれる。いつの間にか幻影のルーク君は消えていた。
ひとり、その感覚を反芻する。
徐々に体が冷え、飛んで行った脳の意識が戻ってくると、悲しいほどまでに深いむなしさが体を包んだ。僕は、一体何をしているのだろう。

「…ダメだなぁ…こんなはずじゃ、なかったのにな…」

あと処理をしながら、ぽつりとつぶやく。優しくて、かっこよくって、こんな僕のわがままにも、付き合ってくれる…ルーク君みたいな人と一緒に居られればきっと僕は幸せになれるだろう。
でも、僕には何ができる?
いつも一人ぼっちが好きで、お化粧とか、女子会とか、ファッションとか、いわゆる女の子としてのたしなみなんて皆無で、可愛げもなく、気立ても悪く、貧相な体つきで色気もなく、メスとしての魅力何てこれっぽっちもない僕に、何が?
一緒に居ても、僕はどうやってルーク君を幸せにできるんだろう?
答えはわかりきっていた。だから、心は開かないように、期待はしないようにしていたのに、いっぱい頑張ったのに…それでも

「ルーク君…ボク、君のこと…」

いや、言葉にはするまい。この気持ちを言葉にしてしまったら、もっとつらくなる。
これ以上辛くなったら、もう壊れてしまいそうだ。
ここまで大きくなった気持ちは、もう抑えがきかないところまで来ている。
せめて、たったの一度でも、妄想が現実になる。そんなことが起こればいいのに…
一度でもいいから、ルーク君に抱かれたい。思いは強くなるばかりだった。

「あ…そういえば」

ジュリーはあることを思い出した。それはいままですっかり決めるのを忘れていたこと

「…それなら、お願いすること、できるかも…」

ジュリーはうなずいて、再びうずく股座をすり合わせながら眠りについた


ルークは大学構内にある売店に来ていた。別に何か欲しいものがあるわけじゃない
ぼんやりと商品を眺めながら、さっきのジュリーとの会話を思い出していた。
もう、これでお役御免。お別れ、もう、二度とこの関係には戻れない。明日になれば現実にそれが起こる。
やっと欲しかった自慢の竿を手に入れることができるはずなのに、何かいいようのない喪失感にも似た、その感情に、うまく思考が働かない。そのためか、別に買う気もなかった
ペットボトル入りのお茶を一つ買う。
売店を出て、お茶のキャップを外す、一口飲むと深みのある苦味が口に広がり、少し頭の中がすっきりしていく。
夜風が頬を撫でていく帰り道、俺は一人、さっきのジュリーのセリフを反芻していた。
しだいにじぶんの愚かさに気が付いてきた。

「何をやってるんだ、俺は…」

俺はただ、いまの関係が続くだけで満足していたんだ。それだけでお互いが幸せな
関係で続いていくと思っていた。
しかしジュリーは一人悩んでいたんだ。あいつは最初からそのつもりだったんだろう。
その時が来れば、自分から身を引くつもりだったんだろう。それなのにあいつはあそこまで尽くしてくれた。

「…なんで言ってやれなかったんだ」

きっと俺だけだろう、あいつがどれだけ魅力的な女性なのか知っているのは…
それなのにあいつ自身はそれに気づいていなくって、
そんなことないって、一緒に居て楽しくって、話をするだけで落ち着いて、こんな風に付き合うことができた人は初めてだって、どうしてそういってやれなかったのか。

「俺にとってあいつは何だ…?」

ただ、自分の願いを聞き入れてくれた魔術師か?あるいは、初めてできた女友達か?
それともいつも自分の性欲を搾り取ってくれる都合のいい女か?
…あいつにはそう、思われていたのかもしれない。

「最低だ…俺」

そうじゃないんだ、しっかり伝えなくちゃ、俺にとってはもう、ジュリーは特別な存在だ。
俺の近くで、いつも笑顔でいるジュリーがたまらなく愛おしい。そんな彼女が泣きそうな顔をして辛い思いをしていると思うと、俺はそれ以上に辛い…
俺はいやだ、このまま俺たちの関係が終わるなんて嫌だ。
俺のこの気持ちを伝えられないまま、お別れなんて絶対にイヤだ!

「ジュリー、俺はお前が…」

いや、これは今言葉にはするまい。ここではなくあいつの目の前でいわなければ意味がないから、たとえお前から拒絶されたとしても、あの時いうべきだったことを伝えるからな、ジュリー…
残っていたお茶を、一気に飲み込む。ふと道路の向かい側を見ると闇夜を照らす自動販売機とその横にペットボトル用のごみ箱が置いてある。ルークは空になったペットボトルを見てうなずき、ごみ箱に向かって放り投げる。きれいな放物線を描いたペットボトルはそのままゴミ箱の中へを収納されていった。ルークは少し笑顔になり、月明かりの照らす道を歩いて行った


そして迎えた運命の日、いつものようにジュリーが奉仕を始める。静かに響く
水音と、ジュリーの吐息、ジュリーは頬を染め、丁寧に丹念に奉仕をつづける
二人とも無言のまま、ついに完全に立ち上がる自分のモノ、ジュリーは、メジャーを取り出した。

「じゃ、測るね」
「ああ…」

慣れた手つきでその長さを測定する。その結果を確認するとジュリーはにっこりとほほ笑んだ

「変化なし、どうやら薬の効果は、これ以上は望めそうにもないね」
「ということは…」
「うん、これにて実験は終了、見事立派に成長したね!」
「ああ、うん、そうだな…」

ようやく自分が欲しかったもの、自分の自慢できるモノが手に入った。ずっと欲しかったもの、それが今この手にあると思うと、思わず頬が緩む、はずなのに、
俺は表情を固めたままだった。終わってしまうのだ、自分たちをつないでいるものが、
もう一緒に居る理由はない。なくなってしまった。

「…じゃあ、今日までだね、ルーク君と一緒に居るのは…」
「……ジュリー…」
「…ね、最後にまだ決めてなかったこと、あったんだ」
「えっ?」
「この実験の報酬、まさかタダ働きで、なんてわけじゃないでしょ?」
「あ、ああそりゃあ、もちろん」
「ヒヒヒ、じゃあさ、こっちに来て」
「え、お、おい!」

ジュリーはルークの手を引っ張り、自分の寝室の中に連れ込む。その部屋の中は
以前見た時とは違い、綺麗に整っていた。いつも置いてある人形や、ぼろぼろの本も片づけられていて、ベットも綺麗に整っていた。そのベットの上に移動して、こちらを向くジュリー、先ほどよりも頬が赤く染まっている。

「じゃあ報酬のことなんだけど」
「ああ、俺にできることならなんでもいいぜ」
「ホント?じゃあ…」

そういって、ぱっと白衣をめくり上げる。既に見慣れてしまった彼女の体、しかしいつもと違う雌の香りがふわりと漂った。

「僕のこと抱いてくれる?」
「……え?」

頬はさらに赤くなり、少し恥ずかしげに目を伏せ、両手を頬に当てる。
太もものあたりには一筋の水滴が伝っている。メスが誘うその姿にしぼみかけたものが
再び滾るのを感じた。

「ヒヒヒ、やっぱり面と向かって言うのは恥ずかしいね」
「な…報酬ってそれかよ!?」
「うん、僕はルーク君に抱かれたいんだ」
「そ、んな、いいのかよ、そんなんで…」
「…まあ、こんな風に、男の子と一緒に居ることなんて、これまでなかったから」
「きっとこの先もないと思うんだ」
「僕にとっては最後のチャンスだと思う。だから嫌じゃなければ、付き合ってほしいな」
「…でも…」
「……僕じゃ、嫌…?」

少し寂しげな表情のまま、ベッドの上に腰かけるジュリー、どこかあきらめたような笑顔と、その中に混じるメスの欲情を含んだ表情は、男の滾りを沸騰させるには十分だった
ズボンを脱ぎ捨て、その怒張をさらす。

「わあ、やる気になってくれたんだね!じゃあOKってことでいいの?」
「ああ、俺でよければ、な」
「ヒヒヒ、じゃあ、優しくしてね」

狭い部屋の中に水の音と、メスの荒い吐息が響く。
ベッドの上でお互いに生まれたままの姿になり、重なり合う。
ルークはわずかなふくらみのあるジュリーの胸を優しくなでる。ピンと立ち上がった
乳首を舌で転がし、吸い上げる。ジュリーは時々甘えるような声で吐息を漏らした。

「んふ…ん、ルーク君、おっぱいなんかいじってて楽しいの?」
「どうして?」
「んぅ…だって僕のおっぱい小さいし、あっ…、魅力ないでしょ…」
「そんなことない、綺麗だよ」
「……ルーク君、変なこと言わないで…」

徐々にジュリーの声が甲高く、甘えたような声に変わっていく。今まで聞いたこともないような、メスのさえずる声、それに合わせるように、先ほどから香る甘い香りが一層強くなってくる。ふとジュリーの下腹部に視線を落とすと、もじもじと足をすり合わせている。
僅かに滑った水の音もする。堪らなくなり、ジュリーの足を広げた。

「あっ!や…ルーク君、あんまりそこ見ないで…」
「…凄い、こんなにあふれてきてる…」

M字に足を開くと、既に太ももまでしたたり落ちていた愛液が、左右に糸を引き、ぷつりと切れる。既に溢れかえったメスの蜜が光に反射し、シーツまで濡らしていた。ほのかに香るジュリーのメスの香りが脳の奥に連続で突き刺さってくる。

「ルーク君のせいだよ…」
「え?」
「…ルーク君のを舐めたり、咥えたりしてると、どうしてもこうなっちゃうんだもん…」

少しうつむいた状態で上目づかいにこちらを見つめるジュリー、いつもとは違うとろみがかったその視線と、わずかに熱の増した呼吸。みるみるうちに自分の中の怒張が爆発寸前まで持ち上がってきた。しかし、それを必死に抑え、その手をジュリーの下腹部に添える。

「なら、一度すっきりさせてやる…」
「え、な、なにを…っひゃ!」

ジュリーの秘部に添えた手を上下にゆっくりとすり始める。指先に愛液を塗りたくり、やや上部にある突起物に優しく塗りたくっていく。そのために必要な愛液は十分すぎるほど供給されていた。ジュリーも身を震わせて、甘く囀る。

「ひっ!ひゃっ!ル、ルーク、君…だめ…」
「俺に任せて、ほら、気持ちいいだろ?」
「んっ、うん、うん…んんっ!」

なみなみと溢れてくる愛液を十分に突起物に塗りたくった後、突起物の左右に指を添えて
くいっと開くと、皮がめくれ、中から一回り小さな突起物が出てくる。それに指を添えるとジュリーは体を大きく震わせた。

「ひゃうっ!?な、なに!?ルーク君、何をして、っあん!」
「痛くないか?」
「い、たくない、痛くないけど、こ、怖い、やめ…っんぅ!」

指先の突起物を転がすだけでジュリーは体を震わせて、その感覚に飲み込まれていく
視界の中に閃光がはじけ、自分では考えられないような甘えた声が出た。
口を手で押さえて必死にこらえようとするが、とても抑えきることはできず
熱のこもった吐息と一緒に零れ落ちる。
そんな彼女の姿を見るルークは堪らない。溢れかえってくるジュリーの愛液を掌に塗りたくって、手のひら全体を使って、スリットの全体を刺激し始める
ジュリーは叫び声にも似た声を上げ、ルークにしがみつく

「ひっ!!ひうっううう!ルークくっ!だめっぁああああ!!」

腰をのけぞらせて、天井を仰ぎがくがくと腰を震わせる。秘部からは大量の潮が噴き出した。潮の勢いが収まると、糸が切れたようにルークにもたれかかり、胸の中で小さく息をする。しがみついたままだった手はいまだ離れないまま、かすかに震え続けていた。

「あ…はぁ…凄いよ、ルーク君……」
「…逝った、みたいだな」
「…うん、…自分以外、のひと…逝かされるの、はじめて…ああ、…こんな、すごい…」

いまだに体の中に快感の振動がジンジンと響き続けている。思考がまとまらず
うわごとのように言葉を垂れ流す。ルークのモノはもはや下着を突き破るほどに
突き上げていた。もはや我慢は効かない。たまらず少し乱暴にジュリーを押し倒す。
ジュリーは小さく悲鳴を上げたが、ぼんやりとした視界の中に青筋を立てたそれを見つけると、小さくうなずいて股を開く。ひくひくと痙攣する秘部と、はち切れんばかりに怒張したそれは心臓の鼓動に合わせかすかに上下に震える。まるでお互いを求め合い、共鳴しているようにも見えた。

「そろそろ、いいかな?」
「あ…まって、これを…」

そういってジュリーは枕もとを探る。そこから取り出されたものは、何かビニールに包まれている小さなものだった。その外ぶちにはギザギザがついている。緊急時にすぐにあけられるように考えられているのだ。それはいわゆる避妊具、コンドームだった。
ジュリーはいまだ震えの残る手を使って何とか袋を開け、ピンク色のゴムを取り出した。

「ヒヒヒ…ちゃんと用意しといたんだ。…これなら、気兼ねなくできるでしょ?」
「…ジュリー…」
「ヒヒ、じっとしてて」

たどたどしい手つきではあったが、何とか一番下まで輪っかのゴムをおろし、ぴっちりとした極薄ゴムに自分のモノがつつまれる。ジュリーはにっこりとほほ笑んで、あおむけに寝転がり、M字に開脚する。零れ落ちた愛液がシーツに染みを作っていた。
無言のまま、ルークはジュリーの上に覆いかぶさる。ゴムの感触が追加された肉棒を何とかジュリーの下腹部に合わせる。

「うん…そこ、いいよ…」
「ジュリー…う、ううっ!」
「ん、ぁ、あああ…」

ルークは生まれて初めて、他人の体内の中に入っていった。まるでお風呂の中に入っていくような感覚。ゴーストらしからぬ、血の通った肉の感覚がゴム越しにでも伝わってくる。
かき分ける肉の感覚に思わず声が漏れた。
ジュリーも、自分と異なる体温が自分を貫いてくる感覚をかみしめていた。妄想の時とはまるで違う、自分には大きすぎるほどの肉塊が容赦なく自分の体内に進撃してくるその感覚は、声が出るほどの苦しさだ、しかしそれ以上にオスの肉欲を受け止めている事実を感じさせてくれるこの苦しさが、堪らなく愛おしく感じてしまう。
最後までねじ込まれた瞬間、何かが裂ける感覚が同時に二人を襲った。ジュリーにはその瞬間、凄まじい痛みが走る。思わず顔がゆがみそうになるほどの激痛、それでも表情を変えないように必死に笑顔を作る。

「……ヒヒ、一番、奥まで入った、ね…いいよ動いて」
「…無理するな、今痛いだろ?」
「…そんなこと」
「ある、しばらくじっとしてるんだ」
「…うん、ごめんね…うう…僕、初めてだから…」

優しくジュリーの腰をさすり、少しでも痛みが消えていくように配慮するルーク、
ジュリーは自分の中にいるルーク君がびくびくと痙攣しているのを、激しい痛みの中ぼんやりと感じていた。本当は、もう我慢できないくらいに興奮しているのに
それでも僕のことを考えてくれる。やっぱり僕はこの人のこういうところが好きなんだ。
こんな僕にも優しくしてくれる、初めて僕にぬくもりを与えてくれた人。その人を受け入れていることに言いようのない幸福感を感じていると、徐々に痛みが引いてくる。
少しくらいなら我慢できるかも。

「…ルーク君、もう大丈夫だよ…動いて…」
「ああ…い、いくぞ…」
「ゆ、ゆっくり、ゆっくりね?」
「…善処するよ」

おぼつかない腰の動きで、ゆっくりと動くルーク、今までに感じたことのないうごめく肉の感覚が伝わってくる。爆発しそうな思考を何とか抑え、息を切らしながら腰を振る。
そんな様子をジュリーは眺める。目をぎゅっと絞って、うめき声をあげながら
快感に耐えているルークの表情を見ていると、なんだかうれしくなってくる

(すごい、ルーク君…必死に腰を振ってる…そんなに気持ちいいんだ…)

雄を悦ばせることに、言いようのない幸福を覚える、遺伝子に刻まれた雌の本能が
無意識に膣の圧力を高めた。加えられたさらなる肉感に、ルークに残された最後の
鎖が引きちぎられる、肉欲が津波のように押し寄せた。

「ジュリー…ごめん」
「…?え、何、ひぃいっ!?」

今まで優しく動いていた肉棒がいきなり最奥まで突き立てられる。内臓が持ち上がるほどの衝撃に思わず悲鳴が上がる。それをきっかけにルークは乱暴にジュリーの体を揺さぶり始めた。

「ぅあっ!い、痛いっ痛いよ!ルーク君やめ…!!」
「ジュリー…!ごめん!ごめんよ…!うううっ!」

必死に痛みを訴えても、ルーク君は止まることなく一番奥をえぐってくる。
今までとまるで違う、乱暴さで涙を流すジュリーに容赦なく暴走した肉塊を打ち込み続ける。ジュリーは痛みと苦しさに必死に耐えている、しかし不思議なことに、苦痛ではなかった。その痛みと苦しみの奥からそのどちらよりも大きなメスの悦びが滲み出してきていた。閉じていた眼を開けると、ルーク君は目をぎらぎらとさせて、欲望のままに自分の体を貪っていた、頭がおかしくなるほど、自分の体で興奮しているのだ。それを感じた瞬間これまでと違った感覚が腰の奥から脳に上がってくる。痺れるような、ぞくぞくするような感覚、いよいよ絶頂にたどり着きそうになっているルークを尻目に、ジュリーはメスの悦びを感じ始めていた。

「ぅうっ!ああっ、あんっ!ルークっ君…ああぁ…」
「ジュ、ジュリー!!俺、もう…」
「い、逝くの?…いいよ、最後まで、して…!」
「うううっ!!ジュリっ…ぅああっああああ!!」

雄叫びを上げるのと同時に、中の肉塊はこれまでになく一番奥まで入れられ、大きく震えた。その後もルーク君のうめき声に合わせてぶるぶると震える。しかし本来ジュリーの体内にばらまかれるはそのモノは、ゴムの袋の中におさめられていく。

「…ああ…凄いよルーク君…まだびくびく動いてる…そんなに気持ちよかったの?」
「ふぅ…ふぅ……ああ、気持ち、よかった…」
「…よかった、ヒヒヒ、満足したみたいだね…」

それから数十秒してようやく痙攣が収まり、ルーク君は強張らせていた体の力をほぐらせて、自分に体を預けてくる。しばらくして自然と自分の中からルーク君が抜けていった。
お互いに体を起こし、ジュリーはルークの先端にたまったものをまじまじと見つめる。

「わぁ、すごい!はち切れちゃいそうなくらい溜まってる!」
「…ああ、こんなに出したの初めてかもな」
「まだあったかい、ヒヒヒ、生きてるね…」

目の前にあるのは、自分が今一番望んでいるもの。でもそれは薄いゴムの壁に阻まれて
永久に自分の中にたどり着くことはない。これは僕のモノじゃなくって、いつかルーク君が作る素敵な彼女のためのモノ、自分が受け取るべきものじゃない、うんわかっている。
たったコンマ数ミリの厚さの壁が、埋めようのない僕たちの壁のような…切ない感覚を覚える。せめてこれだけでも…
つるりとゴムを外すと、それを裏返して、こぼれ落ちる精液を一滴残らず啜った。
慣れ親しんだルーク君の雄の味、これが最後だ。名残惜しむように舌の上で転がしてから飲み込んだ。うん、美味しい…

「ヒヒヒ、すっごく濃かったよ、ご馳走様!」
「…」
「ごめんね、最後まで付き合ってもらって…お疲れ様でした…」
「…」
「掃除は僕がやっておくから…ルーク君はもう、これで…」
「ジュリー」
「え…」

見上げたルーク君の顔は今まで見たこともないくらい真剣な眼差しと覚悟を決めたような引き締まった表情をしていた。済んだその瞳に吸い込まれそうな、そんな感覚を覚えていると、その瞬間、僕の口を何かが塞いだ。

「ん…ちゅ」
「ん…?…っ!?」

僕はルーク君にキスされていた。
予想だにしないことに驚きを隠せず、思わず手足をばたつかせる。それを抑えるように
ルーク君は僕の体を抱きしめる。きつく、苦しいくらいにきつく抱きしめられ、僕は抵抗する力も出ず、なすが儘にされる。
そのまま数十秒して、お互いの唇が離れる。自分でもわかるくらい顔が真っ赤になっている。うまく声が出ない。

「る、ルーク君…何して…んむっ!」
「んん…んちゅ、ちゅ…」
「んんんっ!?…んん…」

言葉を言い切る前に再度僕は口で口をふさがれる。今度は舌も入ってくる。
思考がぐちゃぐちゃになり考えることもできない。でも…なんだか心地よい…
それから数分間、息が切れては口を離し、息を吸ったらまた口づけをする。それを繰り返した、そうしてまた口が離れると、透明な糸がお互いの唇をつなぎ、ぷつりと切れた。
ルーク君はいまだ真剣な表情のままだった。

「ルーク…君…ダメ…これ以上は…」
「ジュリー、聞いてくれ」
「…はい…」
「俺は、お前のことが好きだ」
「………へ?」

一瞬何を言われたのかわからない。誰が誰を好きって?ここには僕とルーク君しかいない
じゃあ、僕のことが好きって、え?嘘だよ…だってこんなのありえない、僕はともかく
こんなはずないよ、え?あれ?なにこれ?夢?

「な、なんで…だって…」
「俺はさジュリー、最初は、お前に興味なんてなかったんだ。
第一印象は、本当に研究にしか興味のない奴と思っていたから…」

ルーク君は困惑する僕を尻目に、淡々と語り出した。

「でも一緒に毎日を過ごしているうちに、それが違うってわかった」
「意外に、おしゃべりすることが好きでさ」
「食べ歩きなんてしていて、美味しいもんを食べた時には子供みたいにはしゃいでさ」
「俺の買ったリボンをつけてくれた時の、あの嬉しそうな顔は思わずどきっとしたよ」
「料理がうまいってことを知った時には、一番驚いたかもしれないな」
「…ジュリーの魅力をいろいろと知った後には、俺の中でジュリーの存在はすごく大きくなっていたよ」
「だから、これで最後だって、おわかれって言われた時には心に穴が開いた気持ちだったよ」
「俺だけがジュリーがどんな人なのか一番知っていたはずなのに、苦しい思いをさせて、
本当に悪かった」
「あの時伝えるべきだった言葉、今伝えるよ」
「ジュリー」
「俺は、君が好きだ。大好きだ…もっと一緒に居たいです」

僕はルーク君が語る言葉のすべてを受け入れる。その言の葉の一つ一つが、自分の縛りつけていた気持ちをほぐしていく。そうして溢れだした気持ちが止まらない。心もないはずなのに心が温かさで包まれる。自然と僕は涙を流していた。声がうまく出ない。悲しいわけじゃないのに出てくる涙は視界をゆがめていた。それでも僕はしっかりとルーク君を見つめる。

「…僕だって」
「僕だって、最初はただの実験対象ってだけだったのに…」
「いままでずっと一人ぼっちだったから、これからだって一人なんだって決めてたから」
「期待しないように、勘違いしないようにってしてたのに」
「ルーク君優しいんだもん」
「僕みたいな、女の子らしくない子と一緒に居てくれて…」
「ドキッとした時も、必死に笑ってごまかして…変なこと考えないようにって」
「一生懸命頑張ったのに…」
「全然だめだった…」
「いつの間にか、ルーク君のことばかり考えるようになっちゃった…」
「僕も、ルーク君と離れるの、やだ…」
「ボクも、ルーク君のこと…好き、です」

お互いの心がぶつかり合い、お互いの間にあった心の壁が粉々に砕け散る。
ただ見つめ合っているだけで、心が通じ合っているような、そんな感覚が二人の間に流れた。自然と唇が触れる。今度は抵抗もない純粋な口づけ。ゆっくり唇が離れると、
再び見つめ合う。

「…僕なんかでいいの?」
「ジュリーじゃなきゃ、駄目だ」
「…ヒヒヒ…」

ジュリーは笑って、ルークの胸に顔を埋める。そのジュリーを包み込むようにルークは抱きしめた。もはや二人を阻むものは何もない。心のままに身を重ね合う。
二人はお互いを激しく求め合った。


「んん、んぅ…」
「う…ジュリー…」

ジュリーは頬を染めながら、ルークのモノをしゃぶる。いつも以上に丹念になめとっていくとあっという間に大きくなってきた。最大まで大きくなったところでジュリーは口を離す。

「んっ大きくなったね、ヒヒ」
「相変わらずうまいな、さっき出したばっかりだってのに」
「ポイントがあるんだ、ルーク君の弱いところは全部把握してるよ!」
「マ、マジかよ…」
「ね、もう入れちゃう?」

М字に足を開き、肉襞をめくり上げる。肉膜がなくなり最奥まで見える秘部は、
雄を求めるようにひくひくと痙攣している。それだけで勃起したものはびくびくと反応する、今すぐにでも襲い掛かりたい、が…

「…いやまった。その前に俺が同じようにジュリーのこと気持ちよくしてやる」
「え…うん、お願いね…」

ジュリーはさっきのように手で自分を愛撫してくれるのだと思っていた。が、何か様子がおかしい、ルークは四つん這いになり、顔を近づけてくる。

「ルーク君…?何を…」
「言ったろ、同じようにって…」
「え、ひゃあっ!」

ばっとルークは顔をジュリーの秘部に埋める。何をしようとしているのか察したジュリーはルークの顔を抑える。

「ちょっ!ルーク君何してるの!そんなことしなくて…!」
「俺がしたいんだ、いいだろ」
「嫌っ!そんなとこ汚な…ああっ!」

ぬりゅっと分厚い肉が秘部を撫で上げると、電気を浴びたように背筋から快感が脳に上がってくる。その瞬間腕の力が抜け、完全に顔を秘部に埋める。ルークの舌がめちゃくちゃに動き始めた。感じたこともない快感が脳を直撃し、ジュリーは悲鳴を上げる。

「っひぃ!ひゃああっ!!ルークくっ!だめだってっ…」
「す、すごい…ジュリーのすごく濃いにおいがする」
「あああ…いやあ…ケダモノぉ…ああっ!」

精一杯に搾り出した悪態もそのほとんどがメスの悦びに満たされていて、甘えたさえずりのようにも聞こえる。ルークの舌が自分の陰核を撫で上げるたびに視界には閃光が放たれ、次第に視界の中を白く染め上げていく。いつの間にかルークを突き放そうとしていた両手は逆に自分の秘部へ押さえつけるように力の方向を変えていた。その間にも快楽が満たされていき、ついにはその頂点まで達する。

「あっ!ああああっっ!!!ルーク君!だ、め…ひゃあああああ!」

ひときわ大きく声を上げると、ジュリーの体は大きくはねた。同時に秘部からは
生暖かい潮が噴き出す。もはやほとんど見えなくなった視界の中で、ジュリーは幸福感と充実感に包まれる。体の感覚もなくなり、体の中を反響する快感に心を奪われる。しばらくの間そうしていると徐々に意識が戻ってくる。いつの間にか自分はベットに仰向けになっていた。ルーク君は自分の股の間で青筋を立てたそれを自分の秘部へ塗り付けている。

「はぁ…はぁ…ルーク君…凄い…さっきと全然違う…」
「ああ、気持ちよかったか?」
「うん、すごかったよ…ね、ルーク君ももう我慢、できないみたいだね」
「…うん、はち切れそうだ」
「ヒヒ、ちょっとまってね、避妊具がこの辺にまだ…」

そういってジュリーは自分の枕元を探る。しかしその動きは緩慢だ。手足が震えてゆうことを聞かないのか、這いずるように四つん這いになって、ゆっくりと手を伸ばしている。
ひくひくと痙攣している秘部が丸見えになる。零れ落ちた愛液が幾筋も太ももへ落ちていく。ルークは無言のまま、ジュリーの腰をつかみ、乱暴に引き寄せた。

「ひゃっ!え、え何するの…ルーク君?…」
「…ジュリー…」

ジュリーは肩越しにルークを見上げる。その瞳は澄んだ青色の中に何か煮えたぎる熱のようなものを感じた。唇を引き締め、真剣な表情をしている。まるで獲物を狙う野獣の視線。
何をしようとしているのか察すると、背筋に戦慄を覚えた。

「る、ルーク君…まさか…」
「このまま、入れるぞ」
「ひっ!や、駄目!それだけはダメ!!」

無理矢理にねじ込んで来ようとするルークに、本能で抵抗するジュリー、
焼きごてのように熱い肉棒がジュリーの秘部の周りを駆け回る。

「いやあっ…!ルーク君ダメぇ!あ、赤ちゃんが…」
「ジュリー…っう!!」
「ひゃっ!ぁあああああぁぁ…!!」

一瞬膣穴に先端が当たった感覚をルークは見逃さなかった。一気に奥まで侵入すると
ジュリーは身動きができなくなる。

「は、ぁああ…ああ…ルーク、く…」
「ぅ…ジュリー、俺だってわかってんだよ…」
「え…」
「赤ちゃんとか…妊娠とか…全部わかってる」
「そのうえで、俺がどれくらいお前に惚れちまったのか…」
「その体に、教えてやる…!」
「あ、あああああ…ルークくぁっ!ああっ!」

汗が吹き出しそうなほどの湿度の部屋の中に、オスのうめき声と、メスのさえずる声と、
規則正しく刻まれる水音が静かに響き渡る。お互いがさっきとはまるで違う肉の感覚を覚えていた。

「ぅうう…ぐうう…凄いぞ…ジュリー…」

肉壁が自分の肉棒に絡みつく。それは先ほどもゴム越しに感じた感覚だった。しかしその壁が一枚なくなっただけで、世界は別物に変わった。まるで肉襞の一つ一つが生きているかのように絡みついてくる。奥までついて、戻ってくる。その感覚が突くたびに毎回変化する。
肉壁に絡みつかれるたびに、自分の中の理性が搾り取られていく。そうして中にいる野獣のような肉欲が顔をのぞかせ始める。このメスを穢したい。このメスを自分のモノだけにしたい。このメスを自分色に染め上げたい。獣じみたその欲望に、その腰の速度はどんどん早まっていく。

「ひっ!ひゃあっ!ああああっ!だめ、壊れちゃっ!ひゃうっ!!」

ジュリーもまた、数ミリの壁の外を感じていた。ゴム越しには感じなかった、ルークの雄の脈動、温度、硬度、とてつもなく大きな存在感を持ったモノが、自分の肉をかき分けてくる。先端の柔らかいものが、形がつぶれて変形しているのが分かるほど、思い切り子宮口に突き入れられ、内臓ごと引きずり出されそうな勢いで引き戻され、また、最奥を犯される。
処理しきれないほどの快楽が連続して脳をかき回す。
理性を保つことなどできるはずもなく、快楽のままに淫らに乱れる。
ルーク君がさらに体を密着させて、自分の体のいたるところをまさぐりながら
激しく小刻みに膣を犯し始める。密着したことによってルーク君の顔が右の肩に
移動してきた、顔を真っ赤に染めながら気持ちよさそうにうめき声をあげている
ケダモノじみた荒い息に、瞬きひとつせず、汗を滴らせ、
ただひたすらに自分の体を貪っている。
さっきまでとは違う、ただひたすらに自分の体を求められている。自分の体が内側からルーク君のモノになっていく感覚。つがいの片割れとしての至上の悦びに、しばらくの間浸る。もう何も考えられない、ただこの気持ちいいのが続けばいい

「おお…!うっぐぐ…ジュリー、俺、もう…」
「あっ!あんっ!ルーク君…ボクも…あああっ!」

お互いが絶頂の兆しを見せる。ルークはメスを逃がさないよう、腰に当てる手の力を強め、より一層激しく突き立てる。ジュリーも腰をのけぞらせ
より深いところまで雄を受け入れられるようにする。何度も突き立てられた子宮口は柔らかくなり決壊寸前となっていた。その瞬間脳をよぎる妊娠という言葉。

「ジュ、リー!!出す、出すぞ…一番奥で…膣に…」

ルークの僅かによぎった理性はむき出しになった野生に軽々と吹き飛ばされ、欲望のままに腰を打ち付ける。

「うん…うんっ…!!いいよ、膣にっ!ぁああああ!!」

ジュリーもまた、メスの野生に飲み込まれ、望むがままにオスに体を差し出す。それに呼応するように、ルークが腰を思い切り打ち付けると、最後の壁が突破され、肉棒が子宮内に侵入した。

「あっ!うあああっ出る!がっぁああああ!!!」
「あっ!!!ひっぁああああああああ!!」

二人が絶頂に達したその瞬間、おなかの中の肉棒から何かが噴き出した。

「……あっ…」

子宮内に直接、粘度の高いお湯が、べちゃっ、びちゃっとへばりつく。その瞬間から
自分と違う体温がおなかの中からにじみ出てくる。みるみるうちに小さな子宮の中が満たされ始める。

「はっ…ああ…」

おなかの中がすべて満たされても、ルーク君は呻くのをやめない。容赦なく子宮を犯し続ける。肉欲に煮込まれた子種がわずかな隙間から外へ吹き出す。シーツに染み落ち、溜まりを作っても、さらに中を犯され続ける。おなかが膨れ始める。

「あ、ぁぁあああああぁぁ…」

生まれてはじめて、感じる雌としての至上の悦びにただ浸る。オスのルーク君に染まっていく自分の体は、その快感を何度も反響し、共鳴して、より大きな快楽になっていく。
あまりに大きなその快楽は、それまで自分が積み上げていたものをまとめて粉々にするほど。恥も外聞もなく、その快感を貪った。


「はぁっ…はぁ…!ジュリー…大丈夫か…」
「はぁ…ああ…うん…んん…」

ゆっくりとルークが腰を引くと、ぬぽっという音と一緒に、肉棒が外され、
ごぷっと質量のある水音と一緒に、大量の精液がこぼれ落ちる。ジンジンと響く
快楽の波はまだ収まらない。永遠に続いてしまうのではないのかと思ってしまうほどだ。

「はぁ…はぁ…気持ち、よかったよ…ルーク君…中、出しちゃったね…」
「…うん、俺も凄く気持ちよかった…」
「はぁ…ダメ…ちょっと、動けない…」

ジュリーはうつぶせのまま、息を整える。視界もまだはっきりとしない状態で、
徐々に薄らいでいく快楽を噛みしめるように楽しんでいた。
そのせいで、ルークの状態を見ることはできていなかった。
いきなり体がぐるっと反転する。そのまま足を持ち上げられ、M字に開かれた。

「ひゃうっ!?な、何するのルーク、く…」

ぼやけた視界を何とか開いた瞬間、戦慄した。先ほどの野獣の視線で僕の体を見つめるルーク君に、まるで衰える気配のない肉棒がそこにいた。青筋を立てたそれが、いまだ
精子がこびりついたままの秘部に充てられる。

「ひっ!!」
「ジュリー…一回じゃおさまんないみたいだ…構わないよな…?」

またあの、とてつもない快感に犯されると考えると、思わず悲鳴が出た。
だが自分の体は、正直に反応する。冷め始めた体が再発火する。
乾き始めた精液の上に、一筋の愛液がこぼれる。体は男を欲していた。

「ああ…、駄目ルーク君っちょ、休ませ…っあああ…!」
「うううっ…ジュリー…」

正常出で再び雄を受け入れる。先ほどよりもはるかにスムーズに最初から子宮口まで咥えこんだ。ぞくぞくと背筋から快楽が上がってくる。

「あん…しょうがないなぁ…いいよ、もっといっぱい…して?」
「ああ、遠慮なくいくぜ!」
「ひゃんっ!」

暗く、人の寄り付かない、木造のキャンパスの一室で、一組のつがいが愛を奏でる。
雌の甘い囀りと、オスの欲望に満ちた呻きが交錯し、ひときわ大きくベッドがきしむと
しばらくの間静かになり、また、規則正しくベッドがきしむ。
これまでの二人の間にあった壁を埋めるように、ひたすらお互いの愛を貪った。
二人が体を動かさなくなることにはすでに日が暮れてしまった後だった。

「…」
「…」

お互い裸のまま、汚れた体も気にせず、寄り添い、抱きしめあっていた。
もう言葉を交わす気力もなく、ただお互いの体温を感じ合っている。
そんな中、少し気だるそうに、ジュリーが言った。

「ルーク君…よく考えたらさ…」
「ん…?」
「僕たちタマゴグループ違うんだよね」
「え、あ…」

そうだ、よく考えたらジュペッタは不定形、ルカリオは人型と、まるで違うグループ
だ。子供を作ることは、できない…

「そうか…つまり俺たちの間では、子供はできない…」
「…そうだね」

俯くジュリー、やはりショックだったのだろう。あれだけお互いに求め合ったものが
手に入らないのだ。何と言っていいのかわからない。

「その、子供は養子をとればいいさ、子供がいなくたって俺は、お前さえいれば…」
「…ヒヒヒ…」

何とか慰めようとするルークを尻目に、ジュリーは笑顔を見せた。それもひどくうれしそうな、何かやな予感のする笑顔。

「ジュ、ジュリー…?」
「ヒヒ、何でもないよ、やることができただけ」
「あ、ああ…そうか?」
「あ、それとさルーク君、確認しておきたいんだけど…僕たちって両思いなんだよね」
「え、ああ、まあな」
「てことは、付き合うってことだよね?」
「ああ、うん…」
「じゃあ、僕の実験も手伝ってくれるってことだよね!?」
「うん…んん!?」

ジュリーの突然の提案に、困惑するルーク、そしてすさまじく嫌な予感が体に悪寒を起こさせた。

「ちょ、ちょっと待て…まさか手伝うって…」
「勿論、薬の実験台になってくれるってことさ!」
「や、やっぱり!嫌だぞ怪しげな薬を飲むなんて…」

そこまで言うと、ジュリーは大粒の涙を浮かべ、両手で目を抑え、大声で泣き始めた。

「ひどい!ひどいよルーク君!」
「ええっ!?」
「あんなに僕の体好き勝手にしておいて、嫌がる僕を無理やり犯して、やめてって言っても僕の体を隅々まで穢しておいて、どうしてそんなこと言うの!?」
「あ、いや、その…」
「やっぱり僕のことなんて遊びなんだ!愛してるなんて嘘なんだー!」

わーっと泣き叫ぶジュリー、あまりにも予想外の彼女の反応にすっかりと心を
踊らされてしまい、あたふたとしてしまう。

「わ、わかったわかった!手伝うからそんなに泣かないでくれ!」
「ホント!?ヒヒヒ、やったね!」
「なっ!?…しまった…!!」

ウソ泣きだと気づいたときにはもう遅い。結局俺は実験を手伝うことになってしまった。
主に実験台として。

「ま、安心してよ!ルーク君の身の安全は保障するからさ!」
「ホントかよ…」
「ホントだよ!全然心配なしだよ!それに…」
「それに?」
「ルーク君みたいに大切な人、危険にさらすわけないよ…」

何気ない、そんな彼女の一言の中に、たまに女を感じてしまう。ああ、俺はこの子の
魅力からは一生逃れられないな、と心から感じてしまった。もう後戻りはできまい。する必要もないが

「ヒヒ、これからもよろしくね」
「こっちこそ、末永くよろしくな」

最後にキスをして、二人は眠りについた。疲れ切った体をふたりのにおいが混じったベッドが優しく包み込んだ。今まで味わったこともない疲れと、全身を包み込む言いようのない幸福感に包まれて、二人は夢を見る。いつか訪れるであろう二人の幸せな生活の暖かな夢を。こうして二人の夜は更けていった…



数か月後、俺はいつものように格闘学科の食堂で、いつものように朝食をとる。
今日は【日替わりメニュー】Aセット、コロッケ定食、ご飯お替り自由。270円なり。
対面には親友のヤーマがいつものように座っている。奴は今日もから揚げ定食。ご飯大盛り370円なり。俺はいつものようにコロッケにソースをかけて塗り拡げる。酸味のある香りがコロッケの衣の香りに混じって食欲をそそる。割り箸を上下に割って、食べ始めようとすると、ヤーマがうつむいたまま動いていないことに気付いた。

「?どうしたヤーマ、食べないのか?」
「…え、あ、ああ…食うよ…」
「?…」

様子がいつもと違う、いつもはもっと涎を垂らして、マヨネーズをたっぷりとかけてから食うのに、今日は何もかけないで、そのままもそもそと食べ始めた。こちらが声をかける前にヤーマから声が漏れた。

「どうだ?…悩みってのは解決したのか…?」
「え、ああ…ようやくな、長年の苦しみからようやく解放されたよ」
「そうか、それはよかったな…ところで」

ヤーマは箸を止めて、きちんと机の上にそろえておく。両手を顔の前で向かい合わせに合わせて、神妙な面持ちになる。

「なんだか体が重いんじゃないか?」
「ああ、そうなんだ。今朝から体が妙に重くて…」
「顔色もなんだか悪いようだが?」
「そうなんだ、ちょっと具合も悪くって、風邪かな?」
「背筋も、なんだかぞくぞくしないか?」
「そうなんだ、変に寒気もして…病院に行ったほうがいいかな?」
「……そりゃ、そうだぜ…」
「え」

ヤーマは声を震わせている。手もよく見るとぶるぶると震えている。人のことを言えないような顔色の悪さで、俺を見ている…?いや、よく見ると俺の右肩のあたりを見ている?
震える手で、ヤーマは俺の右肩を指さす。

「お前の…肩、に…」
「え…」

恐る恐る、右肩に視線を向ける。何かが、へばりついている。それは、子供のような小さな、手。その手につながっている黒い塊が、俺の背中にぶら下がっている。
ヒヒヒ…と声が聞こえる。ひどく恨めしい、女の声。絶望の塊がゆっくりと顔をのぞかせた。

「う…うわあああぁぁあああ!!!でたあああああああ!!!」
「あ、ジュリー…」
「ヒヒヒ、おはよルーク君💙」

悲鳴を上げるヤーマを尻目に、いつものように挨拶を交わす。ニコニコと笑顔のジュリーの頭には、以前プレゼントしたリボンがついている。いつも彼女はこんな感じでいつの間にかそばに来ているのだ。最初は驚いていたが、さすがに何百回もやられれば慣れてしまう。

「ひええええええええ!悪霊退散!!!」
「相変わらずの登場の仕方だな…ヤーマが驚いてるだろ…」
「ヒヒヒ、だって僕ゴーストだもん、しょうがないよね」

けらけらと笑うジュリーにため息をつくルーク、いつもと変わらない両者のやり取りだが、
何も知らないヤーマは般若心経を唱え始める。

「や、ヤーマ紹介するよ…彼女が俺の…」
「きえええええっ!近づくな悪霊があああ!!!」
「なっ!ちょ、ヤーマ違うってこの子は…」
「ちきしょう!俺の兄弟に憑りつきやがって!!待ってろ!今ゴーストバスターしてやるからな!!ええとどこだ…この間通販で買った除霊グッズは…これだ!!」
「……」

話を聞かないヤーマは持っていたカバンの中から、いかにも胡散臭い鬼の飾りがついた数珠を取り出す。それを素早く手にセットするとビシッとジュリーに向かって突きつけた

「受けよ!通販で買った37800円の鬼神の除霊数珠の力を!!」
「お前それ絶対騙されてるって!!」
「問答無用!!くらえっ!!はぁぁああーー!!」

数珠をよくわからない動きで振り回した後、何か波導を飛ばすようにジュリーに向かって突きつける。当然何も起こるはずはないのだが…

「う、ううっ!」
「じゅ、ジュリー!?どうした」

ジュリーは苦しそうな声を上げると、じゅわーっと黒い霧になって消えてしまう。
後には頭についていた俺がプレゼントしたリボンだけが残る。

「ジュリー!?ジュリー、大丈夫か!?」
「や、やったぞ!!ついに俺はゴーストを倒したんだ!高い金を払った甲斐があった!!
喜べ兄弟!!これでもう安心…」

痛い…よくもやったな

「え…」

いつの間にか周囲が闇に包まれている。何も見えない、ルークも幽霊も机も食堂も
みんなみんな見えない、声だけが聞こえる。体の芯から震えるような、女の声
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い
よくもやったなよくもやったなよくもやったなよくもやったなよくもやったな
よくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくも

「ひっ!!!ひいいい!!!ご、ごめんなさい!ごめんなさい!!」

頭の中から声が響く。絶望と憎しみで形成されたその声は自分の体の中を反響して
徐々に巨大化していく。逃げようもなくただ詫びの言葉を垂れ流すヤーマ。
ふと気づく、いる、後ろに誰かが、
首の骨がきしむ、ゆっくりと顔を後ろに向けると、絶望が牙をむいて襲い掛かってきた。

「ナ イ ト ヘ ッ ド」
「ひっ!!ぎゃああああああああああ!!!!」

ヤーマは目を裏返して、泡を吹きながら卒倒した。床の上でビクンビクンと痙攣している。

「な、なんなんだ一体…今度は突然ヤーマがぶっ倒れたぞ…?」
「良い夢見ろよ、なんてね♥」
「えっ?ジュリー!?」

そこには、黒い霧の塊となったジュリーがいた。徐々に形が整ってくるといつものジュリーの姿に戻る。

「大丈夫か?まさか数珠が効くなんて…」
「ヒヒヒ、あんなの効いてなんかいないよ?」
「な…?じゃあなんでやられたふりなんてしたんだよ?」
「人のこと悪霊だのなんだのって言っておいて、ただで済ますわけないじゃん
僕はゴーストだよ?」

にっこりとほほ笑むジュリー、いたずら心の含まれたその笑顔に苦笑いしながら、
ルークは手に取っていたリボンをジュリーの頭につける。ジュリーはぱあっと笑顔になって頬を桃色に染める。

「ヒヒヒ、ありがとうルーク君!」
「あんまり心配させるなよ、あとヤーマのことは怒らないでくれ…こいつは真性のビビりなんだ」
「ふーん、そうみたいね」
「ん?」

倒れているヤーマを見ると口から噴き出している泡が床まで垂れていて、いまだに痙攣を続けている。よく見ると股間のあたりがぬれているような…何か嫌なにおいもする。
いつの間にか、ギャラリーが集まっていた。自分たちを囲むようにしてざわざわと騒がしくなっていく。

「あ…と、ジュリー、ここから出るぞ」
「え?お友達はいいの?」
「ほっときな」

ジュリーの小さな手をつかみ、人ごみをかき分けるようにして、俺たちは外に出た。そのまま急いでジュリーの研究室まで向かう。中に入るとようやく落ち着いて、一つため息をついた。

「それで?今日は何の薬を飲むんだ?」
「え、何?やる気満々ジャン」
「この間からずっとそうだろ?というか俺にできることは薬を飲んでその効果を見ることだけさ」
「まあ、今のところろくな結果出てないけどね、ヒヒ」

治験、といえば聞こえはいいかもしれないが、ひどいものだ。まったく結果は安定しない
髪の毛が伸びる薬と言って飲んでみれば陰毛ばかりが伸びるし、筋肉がムキムキになる
薬と言って飲んでみれば下半身だけムキムキになるし、犬のように鼻が利くようになる薬を飲んだ時には全く効果がなかった。

「まあ、ルーク君犬っぽいし、だから効果がないんじゃない?」
「そう思うなら自分で飲みなさい」
「ヒヒヒ、やだ」
「……」
「で?今日は何の薬だ?」
「えーと、今日はねぇ…」

次の瞬間、ジュリーはパッととびかかってきて、無理矢理ルークにキスをする。

「んんっ?…んむ…」
「んちゅ…んん…」

少々驚いたが、絡んでくる舌に合わせて舌を絡めているうちに、体勢を立て直す。
お互いの舌の感触と、唾液の味を楽しみ、離れる。ジュリーはすでに頬を染め、
うるんだ瞳になっていた。

「ヒヒ…ルーク君、いちゃいちゃしよ…」
「い、いちゃいちゃ?」
「だって最近会えなかったじゃん。僕は研究で缶詰、ルーク君は合宿だったし…」
「ああ…」

「ね、いいでしょ?しよ…?」

そういってジュリーはいつものように白衣をずらす。少しだけ大きくなった乳房と
少しだけ使い込まれて、メスの色気の増した秘部が顔をのぞかせた。うっとりと目を細めてこちらを誘う。もう堪らない、一週間分溜めこまれた自分のモノは噴火寸前まで立ち上がった。無言のまま半裸の彼女を抱きしめ、寝室に連れ込み、そのままベットに倒れこむ。

「いやぁんっ、乱暴はやめて~」
「ええい、おとなしくするんだ」
「いや~ん犯される~っあ!あうん…」

この数か月でジュリーはすっかり淫乱になってしまった。きっと今までずっと自分の中に封印されていた感情が爆発してあふれ出ているのだろう。あるいはもともとの性格なのかもしれない、ジュリーは最初のころのしおらしさはすっかり消えていて、激しく雄を求めてくる。一回や二回でもおさまらない。場所も時間も選ばず求めてくるようにもなった。
秘部を見られることもあれほど恥ずかしがっていたのに、今では自分の秘部を見せつけ、舐めるように要求までしてくるようになった。舐めている最中は逃がさないように両手で押さえてくるほどだ。堪らなく、いやらしい女になった。

「ほらあ、もっと舐めてよ」
「結構これ疲れるんだけど…手じゃダメ?」
「絶対にイヤ♥」
「なんでさ…」
「だってこっちのほうが気持ちいいし、ルーク君に自分の匂いと味を感じてるって思うと興奮するんだ♥」
「……」
「ね、僕のお〇んこ、エッチなにおいと味、する?」
「……ああ、すごく濃いにおいと味がする」
「いやぁん…ルーク君のえっち…」
「お前が言うな、このっ」
「ぅん!!あん…気持ちいいようルーク君…」

聡明で、淫乱で、愛おしい、小さく善がる亡霊の彼女はまるで、魔女
俺はその亡霊に憑りつかれた、一人の格闘男。

「ああ…ルーク君、もう我慢できない…早く欲しいよぅ」
「どこに何が欲しいんだ?」
「僕のお〇んこ…意地悪言わないで、はやくその極太なおちんちん、ぶちこんで…!」
「わかった、そういうことなら容赦しないぞ、めちゃくちゃにしてやる!!」
「っあ!!ぁああああああぁぁ……!!」

きっと彼女から逃れることはできないだろう。
逃れる気もない、こんなにいい女を逃すはずもない。一生憑りつかれてもいい。
そうすれば彼女を一生幸せにできるから

「ひいっ!ひぁあああ!ルーク君!いいよっ!気持ちいい…ああんっ!!」
「ううっ!おおおお…ジュリー、俺もう…!!」
「うんっ!んんんっ!いいよ…出していいよ…いっぱい…!!」

お互いの体をはじき合う音、激しい吐息、飛び散る汗、粘度の高い水音、
生々しさが重なる愛の旋律が最高潮になる。お互いの心が一つになる
その瞬間。

「ひっ!!ぁああああぁぁあっ!!!」

一瞬早く、ジュリーの体が大きく震えた。ちぎれると思うほど膣内が引き締まる。
その肉圧の中をかき分けた肉棒は理性の鎖を完全に引きちぎられた。先端を子宮口の奥に
思い切り叩きつける。

「うっ!ゔゔううう!!!」

ケモノのような怒張と共に、煮えたぎる白湯が中で弾ける。腰が止まらない、
噴き出しながら何度も腰を打ち付ける。最奥を突くたび、生臭いオス汁が、膣の隙間から噴き出してくる。一通り出し切ってようやく腰の動きが止まる。ため息をついて
腰を引くと、中から大量に子種が零れ落ちる。自分の肉棒から滴り落ちる子種をジュリーは愛おしそうになめとった。


「ん、綺麗になったよルーク君」
「ああ、ありがとうジュリー、今日もよかったぜ」
「うん、僕も久々だから燃えちゃった…」

にっこりとほほ笑むジュリー、その笑顔を見ていると早くも復活を始めた下腹部がぴくぴくと反応する。一回で収まらないのはこっちも同じ、さっそく押し倒そうとするが、ジュリーは思わぬことを口にする。

「それにしてもいっぱい出したね、ヒヒ、これならきっと赤ちゃんできちゃうね♪」
「……は?」

理解できない言葉に困惑した。卵グループの違うものでは子供はできない、それはジュリーだってわかっているはずだ。

「そうだね、普通はできないね、普通は」

一体何を言っているんだ、と言おうとして、ふと疑問が頭をよぎり言葉に詰まった。
そういえば、ジュリーはこの一週間研究室に缶詰めになって何を研究していたのだろう?
おなかを愛おしそうに擦るジュリー、頬を染め、ニコニコと笑顔のまま俺を見る。枕元に置いてある見たことのない錠剤、その近くにある水の入ったコップ、
一つの答えが脳裏によぎった

「ま、まさか、ジュリー…」
「そう、今度は僕自身が実験対象になる番ってこと、研究テーマは《違うタマゴグループでこどもはできるのか》、今日はその本実験一回目だよ!」
「ま、まさかそんな…そんな魔法みたいなことが…」
「魔法を体現できるモノ、それが科学、そう言わなかったっけ?」

言葉も出ない、彼女のその言葉はその夢のようなありえない話を納得させるには十分すぎた。何せ自分自身だってその魔法の力を体現した本人なのだから。

「かがくのちからってすげー…」
「ヒヒヒ、でしょ?この薬で僕の子宮の構造や仕組みを変異させれば、子供を作ることも可能になるはずなんだ。今日の実験がうまくいけば、さっそく子供ができるはずだよ!」
「…そいつはまずい」
「?、ああ、お金とかその辺のことは大丈夫だよ、僕こう見えても結構ブルジョワジーで」
「そうじゃないって!」

そういってルークはジュリーの肩をつかむ、それはいつか見た真剣な表情、思わぬルークの行動にジュリーはきょとんとした表情を見せた。

「子供ができるならその前に結婚式だろ!?」
「へ…?」
「結婚式をするならいろいろ準備だっているし、いっぱい人も呼ばなきゃいけないし…
新婚旅行とか、新居とかも考えないといけないだろ?ここには危ない薬品もいっぱいあるし、ここで子供を育てるのはよくないし…ああ、ご両親にもあいさつしなきゃ…」
「……」

慌てふためく、ルークを見てジュリーは自然と笑顔になった。本当に天然なんだな、と思う。いつもは、きりっとしていて、イケメンで黙っていればかっこいいのに、しゃべるとこうやってぼろが出るんだよね、嘘がつけない、損する性格、そんな彼のことがたまらなく愛おしい。やっぱりこの人のことが僕は大好きだ。幽霊の僕を本気で愛してくれているこの人のとなり、ここが僕の居場所、

「ヒヒヒ…まあ安心してよルーク君」
「えっ?」
「言ったでしょ?本実験一回目だって、自分の体を一から変えていくなんて大それたこと最初からうまくはいかないよ」
「じゃあ、子供は…」
「できる確率は、限りなく低いよ…本当にできるのは研究が進んで、多くのデータがそろってからかな…まだまだ先のことだよ、1年とか2年とか…もっとかかるかもね」
「ああ…そう、なのか…」
「だからさルーク君…」
「ん?」
「これからもよろしくね…?」
「…ああ、もちろん、ずっと一緒だ」
「…ヒヒヒ…」

そういってジュリーはルークとキスをする。唇と唇が重なり合うだけの優しいキス、
お互いの愛を確かめるモノ、だが次第に熱を帯びたものに変わっていく、お互いの体をまさぐるように、体をすり合わせながら、舌を絡める。息が上がっていく、再び煮えたぎる血流が互いの体の中を走り始めた。ルークは再度ジュリーをベッドの上に押し倒す。
すっかり立ち上がった自分のモノを見せつけるように、ジュリーのおなかの上に乗せる

「ふぅ…ふぅ…ジュリー…」
「…うん、いいよ…しよっか、二回目」

火傷しそうなほど熱くなったそれをジュリーは持ち上げ、舌でなめる。丸ごと咥えこんで
乾いていた肉棒に滑りを復活させていく。水気のもどった肉棒に何度もキスをした。

「もう、ほんとにエッチだよねルーク君って…」
「ジュリーだけには言われたくない」
「ヒヒ、言えてるかも、ほらここ、もう我慢できないってくらいぬるぬるになっているよ」

くいっと開いた秘部からは、既に幾筋もの愛液が流れ落ちてきている

「一応確認だけどさ」
「ん、何?」
「ごくわずかだけど、子供を孕む可能性はあるってことだよな?」
「ま、本当にごくわずかに、ね」
「なら…これからは全部中に出して、徹底的に孕ませてやる…からな」

そういうと、ルーク君の肉棒がビクッと反応して少し大きくなったように見える。
ルーク君自身もいつか見た野獣の顔になりつつあった。ルーク君の中の野生が爆発しかけている。

「…ホントにケダモノなんだから…いいよ、ぼろぼろになるまで、僕のこと犯して…赤ちゃん孕ませて…?」
「ああ…ジュリー!」
「ひゃっ!ぁあっああああぁぁ…」

ルークはジュリーに襲い掛かり、悦ぶ彼女の体を犯した。子種が出なくなるまで、ひたすら犯して犯して、犯しつくした。毎日のように、愛を語り、身をかわし、お互いの体を一つにした。何年にもわたる壮大な実験がいま、始まった。


数年後、一つのカップルが、静かな公園の中を歩いている。世にも珍しい、格闘タイプとゴーストタイプのカップル、数奇な視線を寄せる周りとは対照的に、
誰が見てもうらやむようなしあわせそうなカップル。その二人の間には、小さな卵が抱えられている。中から動く音がする。もうすぐ生まれそうだ。
それは憑かれた男と亡霊魔女、二人の織り成した愛の形。卵を割って生まれた小さなリオルの産声は、世界のどこよりも美しい福音だった…



後書きのようなもの

初めまして。いつもは見ているだけの名無しの作家です。
こういった大会の時にだけ小説を書いて投稿しています。
このたびは皆様の投票のおかげで見事に1位を取ることができました。
この場をお借りして深く御礼申し上げます。

今回のこのお話については最近になって気づいたゴーストの可愛さを欲望のままに
書き上げたものなので、そもそもの文章の書き方をよくわかっていない私の書き方では
見にくいところも多々あったかと思います。不快な気持ちになった方や読みづらかった方、
大変申し訳ございませんでした。

今回、自分個人としては書きたいものを書くことができましたので、それだけで満足しました。
この物語も最初考案していたものとは随分と異なっています。
ジュリーやルークの関係ももう少しドライなものになる予定が、書いているうちに全然別のモノになっていき
結果的にはバカップル並に愛し合う関係になったり、全然活躍の場がなくなってしまったヤーマなど、
物語は書いてみないとわからないことが多いです。
それが面白くて物語書いてるんだよな、とか思ったりして、
なんだかんだで今回は楽しく書くことができました。

この二人の関係も書いているうちにどんどん構想が広がっていって、今回の物語では書ききれない
部分もあったりするので、いつか時間があるときにでも続きを書いてみようかな、とか思ったり。

また大会があるときには参加するかもしれません。その時にはまたよろしくお願い申し上げます。


以下、コメントがある方はご自由にお願いいたします。


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Last-modified: 2016-04-04 (月) 23:02:38
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