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情熱の鼓動

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情熱の鼓動 

writer――――カゲフミ

―1―

 昼間の容赦ない直射日光で焼けついたアスファルトも少しは冷えてくる頃だろうか。
大分傾いた太陽の日差しを背中に感じながら、私は自転車を走らせていた。
この辺りの住宅街は急な傾斜もなく、肌身に受ける風もあって自転車で進むのはなかなか快適だ。日中の照り返しが酷かったのが信じられないくらい。
次の曲がり角を右に曲がればようやく家に着く。自転車で三十分を長いと見るか短いと見るかは人それぞれだと思うけど、私にとっては結構な距離。
リムの家がもうちょっと近ければ、と時々思ってしまうけど。彼女の家が自転車で通える範疇にあるだけでもよしとしなければ。
距離がそこそこ離れてるから毎日のように会うってわけにはいかないけど、やっぱり友達と会って話すのは楽しい。
毎日会えないからこその新鮮味というか、そういった楽しさもあるんだろうな、きっと。
エディも久しぶりにリムの手持ちのグラエナのレイ君と会って、いろいろと話してたみたいだし。ポケモン同士で交流があるのもいいことだよね。
私もリムと何気ない雑談したり、一緒にテレビ見たり雑誌読んだりしてるうちにいつの間にか夕方に。楽しいと時間の流れなんて本当にあっという間。
リムは夕飯一緒に食べてけばって言ってくれたけど、さすがにそれは悪い気がして遠慮しておいた。
まだ前に作った料理が残ってたし、ポケモンフーズでもエディとレイ君じゃ好みが違うみたいだしね。
「ああ、やっと着いた」
 家の前で自転車を降り、門をくぐって玄関の傍に止める。アパートではなく一軒家に近いので決められた置場のようなものはない。
そこまで広いとは言えないけど庭もあるし何よりポケモンを家の中に入れてもいいというのはありがたかった。
もちろん、家の床や天井を突き破ってしまうような極端に大きかったり重かったりするポケモンは不可という暗黙の了解はある。
なかなか頑丈な作りにはなっているようで、エディぐらいの重さならば耐えてくれるようだ。まあ、進化してからはほとんど家に上げたことはないんだけどね。
彼がいつもいるのはここの庭。家に着いたし、そろそろ出してあげよう。私は鞄からモンスターボールを取り出して、開閉スイッチを押す。
小気味よい手ごたえと共ににカチリと音がして、赤い光がシルエットとして浮かび上がった。
燃えるようなオレンジ色と黒の縞模様は今の季節だとちょっと暑苦しい。
頭から腹にかかる部分、四肢にはふさふさした白い飾り毛のようなものを持っている。やっぱり暑そうだ。
ぼんやりとしたシルエットはいつの間にか、ウインディを形作っていた。
どういう仕組みでこうなってるのかはさっぱり分からないけど、モンスターボールは便利だ。うん。
当然のことながら私はボールの中の空間がどうなっているのかは分からない。
だが、ポケモンにとっては快適な空間に出来ているようで、エディはボールから出たことで感じる外の暑さに若干顔をしかめていた。
「結構長居しちゃったけど、エディは退屈じゃなかった?」
「レイと話してたから、そんなことなかったよ。僕も楽しかった」
 それなら良かった。リムと話してると楽しくて、ついつい長引いてしまう。でも、エディも楽しかったのなら問題ない。
エディがウインディに進化して初めて会ったときは、レイ君もかなりびっくりしてたみたいだけど。もうそんなことも気にせずに、同じように接してくれてるみたい。
いきなりぐんと大きくなっちゃうんだもんね。私を乗っけて走れるんじゃないかってくらいに。
まあ、外見が変わったからって中身まで変わるわけじゃない。私はトレーナーとして今までどおり、彼に接しているわけで。
「そっか。そういえば、途中でレイ君と一緒に庭に出て行ったみたいだけど、何してたの?」
「庭にいたずらなんてしてないよ? そういうくだらないことは進化前で卒業だって、レイも言ってたし」
 ほお。なかなか言うじゃない。以前、レイ君と一緒に悪ふざけをして、リムの家の庭の木を燃やしかけた子の台詞とは思えない。
まあ、彼も進化したって言う自覚が持ててるのね。それならいいか。変に疑うのはやっぱり良くないし。
「それならいいんだけどね。それじゃ、ご飯にしよっか」
「うん。お腹すいちゃったよ……」
「すぐに用意するからね」
 いつも夕飯にしている時間は過ぎてしまっている。遅くなってごめんねの気持ちも込めて、私は彼の頭を軽く撫でる。
頭の白い毛のふさふさした手触りが心地よい。心地よいが、やはりその毛の中にもしっかりと熱が籠もっており、あんまり触っていると手が汗ばんできそうだ。
やっぱりエディをしっかりと撫でるのは寒い季節の方がありがたみがある。
 私が手を離すと、エディはのそのそと緩慢な動きで庭の日陰まで歩いて行って蹲った。空腹のせいか足取りに力強さが感じられない。
庭の地面は芝生で覆われているため、アスファルトとは比べ物にならないほど快適なはずだが。
それでも、炎タイプのエディにとって夏の暑さは厳しいらしく、少しでも涼しい場所を求めて動く。
朝、昼、夕方、と日差しの当たる位置が変わるためそれにそって彼も居場所を変えているのだ。
暑いならモンスターボールに入ってれば、と聞いてみたこともあるけど。彼曰く、ボールの中は快適だけど何もないから退屈だそうで。
涼しさよりも、外にいることで周りから飛び込んでくる刺激の方をエディは優先させているようだ。
暑さや寒さなど、外の空気を知っていた方が体は鍛えられるとは思うけど、あんまり無理はしないでね、エディ。

―2―

 エディに水とご飯をあげた後、玄関の扉を閉める。暑さのせいなのか、何となく普段より元気がなかったように見えた。
お腹は減ってるはずなんだけど、ポケモンフーズを食べる勢いが弱かった気がする。本人は大丈夫だ、とは言っていたけどあまりあてにならない。
エディは結構我慢強いというかやせ我慢なところがあるから、本当に辛くなってもなかなか言い出さないんじゃないかな。
ちょっと気がかりではあるけど、私もお腹が空いた。夕飯を食べ終えて落ち着いたら後で様子を見に行ってみよう。
冷蔵庫の中には昨日作った料理の残りがタッパーに小分けにして入れられている。作り置きを残しておくと、手間がかからなくて便利だ。
料理としての風味は多少落ちるものの、十分食べられる。今日みたいに帰りが遅くなって、食事を作るのが億劫な時には重宝する。
電子レンジで温めれば即席の料理が完成だ。インスタントで済ませるよりはずっと食卓に華があるんじゃないかな。

 食事と洗い物をすませて私もリビングでくつろいでるけど、どうにも暑い。
何か食べれば体温が上がるという話を聞いたことはあるが、今の暑さはその範疇を越えている。
額に汗をにじませている私とは対照的に、床に敷いている薄手の夏用カーペットは、大海原を思わせる青色でこれでもかというくらい爽やかだった。
カーペットの真ん中に置いてある机も厚いガラスの板が四本の足の上に乗っているような作りで、透明感があって涼しげだ。
しかし、イメージで清涼感を作り出そうとしても限界はある。寒色系の物を置くだけで部屋の温度が下がるなら楽なのだが。
私はおもむろに立ち上がって、壁にかけている温度計をチェックする。三十一度か。夜に三十度代を見たのってこの夏初めてじゃないかな。
そういえば朝の天気予報で、今夜は今年一番の熱帯夜になるとか言っていたのを何となく覚えている。
この家は窓が南向きで日当たりはいいのだが、その分この季節は夕方になっても熱が残りやすい。外と同じくらいか、あるいは外より暑いこともあるのだ。
 規則的に首を動かし生暖かい空気を送り込んでくる扇風機が部屋の片隅で稼働している。なんだかこの熱気に必死で抗っているようで健気だ。
昼間はともかく、私も夜は極力扇風機だけで頑張ろうと思っていたけど、この暑さは限界だった。机の上に置いてあったリモコンを手に取る。
設定温度は二十四度ぐらいでいいかな。部屋が涼しくなったら少し温度を上げよう。スイッチを入れると機械音を立ててエアコンが動き出す。
この部屋の空気を存分に含んだ生ぬるい風と、僅かな埃の匂いを運んでくる。ああ、そう言えばフィルターの掃除してなかった。また掃除機かけないとね。
最初の間だけ辛抱すれば、後はこの蒸し暑いリビングが快適な空間へと様変わりするはず。これでリムから借りてきた本がゆっくりと読める。
今日彼女の家で一緒に雑誌を読んでいた時に勧めてくれたやつだ。聞いたことないタイトルだけど面白かったと言っていたし、ちょっと期待。
「エディは大丈夫かな……」
 鞄から本を取り出して机の上に置く。ページを開こうとして、ふと彼のことが引っかかった。
家の中でこの暑さだったのだ。外は……まあ室内と大して変わらないかもしれないけど。どっちにしろこのままじゃゆっくり読書を楽しめそうにない。
夕飯を食べてから時間も経つし、ちょっと様子を見てこようか。私は立ち上がると玄関に向かい、サンダルを履くと扉を開けた。

 冷房の効いた涼しい室内の空気に慣れてしまっていたら、外に出た瞬間のむあっとした空気が嫌になるのだが。
エアコンのスイッチを入れた直後なのでそんな心配はない。眉をひそめたくなる程の暑さは感じなかった。
部屋の中と大体同じか、若干温度が高い程度。とは言え、エディにとってはかなり応えていたようで。
四肢を芝生の上に投げ出して、ぐったりとうつ伏せになっている。扉の開く音と、私の気配でのそりと顔を上げるエディ。
瞼も半開きで覇気が感じられなかった。昼間レイ君と一緒に遊んでた時の輝きは見る影もない。
「……ネルザ、どうしたの?」 
「この暑さだし、ばててないか心配になって。その様子だとやっぱりきついみたいね」
「そんなことない……。大丈夫だよ」
 そう言ってエディはすっと立ち上がって、きりっとした表情になる。まだそんなことができる元気は残ってると言う事か。
今更気丈に振る舞ってみてももう手遅れだ。外にいるのが辛いってことは、さっきのエディを見ていればすぐに分かる。
私は彼に近づくと、首元の毛にそっと触れる。帰って来たときよりも仄かに熱い。外の気温がずっと下がらないままなので、体に熱が籠ってしまっている。
「無茶しないで。エアコンつけたから、家の中は快適よ?」
 体が普段よりも熱くなっていることを知られてしまっては言い逃れできないと悟ったのか。ばつが悪そうに私から目をそらすエディ。
家の中に入るのはそんなに躊躇われることなんだろうか。ガーディの時にもそういった雰囲気は見せていたが、ウインディに進化してからそれが顕著になった気がする。
まあ、体がぐんと大きくなった今の彼に、室内は随分と窮屈で居心地がよくないのかもしれないけれど。
 黙りこんでしまったエディの鼻先を、ふわりと冷たい空気が撫でる。自然と彼の視線はそちらの方に。
開け放たれた扉から流れ込んできた冷気。大分クーラーが効いてきたらしい。いくら大丈夫と言い張ってみても、体は涼しさを求めている。
「中は涼しいわよ?」
「……分かった。今日は家の中で寝るよ」
 一瞬感じた涼しさに心が揺れたのか、何となく不服そうな顔をしながらもエディは承諾してくれた。良いタイミングで風を送ってくれたエアコンに感謝せねば。
もし彼が頑なに拒むようだったら、強行手段としてモンスターボールに戻すつもりでもいた。ボールの中か、室内か、ならば彼は室内をとるはずだ。
エディが家の中にあまり入りたがらないのはもちろん知っていたが、今回は場合が場合だ。暑さにやられてしまってからでは遅い。
涼しい屋内に入り浸りなのは確かに良くない。だけどエディみたいに外で暑さを我慢しすぎなのもどうかと思う。
部屋の中の快適な空気の中心地よい眠りにつくことができれば、エディもちょっとは考えをあらためてくれることだろう。きっと。

―3―

 私の家の庭は芝生で覆われている。夏は特に青々と元気よく生長しており、地面が剥き出しになっている個所はほとんどなかった。
だから、エディの足や体にもそこまで泥が付いたりはしていないと思うけど。一応、念のために拭いておくことにした。
玄関の扉を出たところから入口の門まで続いている石畳の上でエディには待機してもらっている。ここならば足が汚れる心配はない。
家の中から乾いたタオルを持ってきて彼の前脚から順番に、足首から足の裏まで軽く拭っていく。裏を拭くときに、妙に気になってしまうのは肉球の感触。
ウインディに進化してからこうして触るのは初めてのような気がする。体と一緒に足も大きく立派になって。少なくとも、私の手のひらぐらいの大きさはありそうだ。
エディは外にいることが多い。主に室内で生活しているポケモンのそれと比べると、硬い地面を踏みしめたりすることで鍛えられて硬くなっている。
とはいえ、引き締まった中にも程よい柔らかさは兼ね備えているわけで。タオルの上からでなく直接指先で触れたくなってしまう。ちょっとくらいなら、いいかな。
親指と人差し指でつまむようにふにふにと感触を味わってると、くすぐったいよ、とエディからの突っ込みを入れられてしまった。
もちろん私に悪気がないのは分かっているらしく、そこまで嫌な顔はしていない。彼がガーディだった頃もこれをやったことがある。
ふさふさした体毛とはまた違った種類の柔らかさというか、その感触がなんだか私の指先や手のひらに染みついて離れない。
毎日触っているというわけでもないが、こうして彼の体に触れる機会があると何となく意識してしまっていたのだ。
こんなことやってるのは私だけなのかな、とリムに話したら彼女もレイ君の肉球をぷにぷにしたことがあるとのこと。
肉球を持つポケモンのトレーナーならば結構やってたりするのだろうか。あの独特の柔らかさには、トレーナーを惹きつけてしまう不思議な魅力があるのかもしれない。

 さて、ちょっと寄り道はしてしまったが。一通りエディの体は拭き終えた。タオルを見る限りはこれと言って汚れているような感じはしない。
このまま家に上げても問題ないだろう。それにしても今夜は確かに暑い。少し彼の足を拭いていただけだと言うのに、私の首筋を汗が流れ落ちていく。
早いところ中に入らねば。玄関の扉を開くと、ふっと冷たい風が私の頬を、そしてエディの背中を撫でていく。一瞬感じた心地よさに思わずお互いの表情が緩む。
「通れそう?」
「なんとか大丈夫、かな」
 扉は人が通るようにしか作られていない。エディの高さは私よりはあるものの、十分余裕を持ってくぐれる範疇だ。
問題は横幅。正確な彼の胴回りのサイズは知らないが、目分量から判断するに結構ぎりぎりなのではなかろうか。
私が開いた扉から、一歩、また一歩とエディは恐る恐る玄関へと足を踏み入れていく。
足取りはゆっくりだったが、意外にもスムーズにつっかえたりすることなく彼の尻尾の先まで完全に家の中に入ってしまった。
ふさふさの体毛で覆われているせいで大きく見えるが、実際の体積は想像しているよりも小さいのか。
一度ちゃんとしたサイズを計っておいてもいいかもしれない。とにかく、ちゃんと彼が玄関に入れてよかった。私は彼の後に続いて中に入ると、そっと扉を閉める。
「さ、行こ?」
「……うん」
 私はサンダルを脱いで家に上がる。エディも少し躊躇いがあったようだが、玄関の段差に足を掛けて室内の床を踏みしめる。
芝生でも、アスファルトでも、土でもない。綺麗に磨かれたフローリング。彼の足からすればどんな感覚なのだろう。
やはり慣れない感じなのか、私の後をついてくる足音が小さい。まるで、自分が全く知らない場所に来たときような慎重さ。
ここで主に生活しているのは確かに私だけど、エディの家でもあるんだからもう少し気楽になってくれてもいいのになあ。
どこか不安げな彼の足音を背に、色々と考えているうちにリビングにつく。もともと大した距離はなかったんだけど。
「ああー、快適だわ」
 涼しい風が部屋全体に広がっていていい感じだ。ほんの数分であの汗も滴るリビングを爽やかな空間へと変えてしまうのだから、エアコンとは便利なものだ。
扇風機も回していたため、冷たい空気が下の方に溜まったりせずバランスの取れた涼しさを保っていた。
エディは何も言わなかったが、どこかほっとしたような表情と生き生きとした目を見ればどう感じているのかは分かる。
「どう、家の中も悪くないでしょ?」
「そうだね……すごく涼しい」
 これぐらいの温度ならば机やカーペットの色からも十分な涼しさを感じ取ることができる。
青や水色の寒色が清涼感につながるのは、暑さがそこまでひどくないことが前提かな。
それにしても涼しい。この快適さに慣れてしまうと、毎晩エアコンをつけてしまいそうなくらいだ。
いやいや、これは暑さが酷かった今夜だけ。エディにも心地よく過ごしてもらうためなんだから、と私は自分に言い聞かせてみる。
「ちょっと待っててね……」
 カーペットの真ん中に置いていたガラス板の机を私は隅の方に移動させる。そんなに重くないから動かすのは苦にならない。
リビングはそこまで狭くはないけど、やっぱりエディは大きいから今のままではちょっと場所が足りなかったのだ。これでエディが寝っ転がれるスペースは確保できたかな。
私は座って読書できる空間があれば十分。カーペットの角の方でも全く問題なかった。
「ありがと」
 エディはそっとカーペットの上に足を乗せ、中央まで歩いていくと膝を落として蹲った。海の色の中に橙と黒と白。良く目立つ。
普段は外にいる彼がこうしてリビングに腰を落ち着けているのを見ると、なんだか不思議な感じがする。
そのオレンジ色の体躯が外よりも大きく思えてしまうのは、閉鎖空間である家の中で見ているからなのかな。
今夜はリビングでもエディと一緒。彼の存在がすぐ傍に。その事実だけでほっとできるような安心感があった。
ここならば彼が暑さにまいってしまう心配もないし、私の目も届く。今度こそゆっくりと読書に励めそうだった。
私は隅に動かした机の前に座り、本を手に取る。霧中の意図、というタイトルだ。
サスペンスな雰囲気だとリムからは聞いているが、どんな話なんだろうか。期待に胸を膨らませつつ、私はページを捲っていく。

―4―

 ふと、私は顔を上げた。机の上の時計は午後十時を指そうとしている。読み始めてから一時間半近く、本の世界に没頭していたようだ。
ずっと活字を追いかけていたせいか目が疲れた。人差し指と親指を両目に当てて軽くもんでまばたきをしてみる。
エアコンをつけていることもあって乾燥しやすくなっているのかもしれない。外の気温も少しは下がってきているだろうし、温度を上げておこう。
私はリモコンを取ると二十七度に設定する。確か、夏のエアコンの適温はこれぐらいだったような気がする。
今夜のようによっぽど暑くなければ、これくらいの設定温度でも問題ないのだが。部屋に籠った熱気を素早く排除するために、低く設定しておいた。
 それにしても、なかなか面白い本だ。ごく普通のポケモントレーナーである主人公の元に届いた一通の差出人不明の手紙。
中には一人の見知らぬ男性の写真が内包されていたのみ。誰かのいたずらだろう、と大して気に留めていなかった主人公。
しかし、彼の住む街で起こった猟奇殺人。その報道により事態は一転する。被害者は主人公の元に送られてきた写真の男と同一人物だったのだ。
新たに送られてくる写真。直後に起こる第二、第三の殺人。犯人の目的は何なのか。なぜ自分の元に送られてくるのか。
物語も半分を越えたところ。主人公が警察と協力しながら、徐々に真相に迫っていく感じがする。この先の展開から目が離せない。
こういった推理ものは、犯人の目星を立てながら読んでいくという人もいるようだが。私はそういったこととは無縁だ。
事件の本質を知っている者でないと分からないような事柄を喋っていた人物がいたり、と密かにヒントは隠されていたりするものなのだが。
それをうまく読みとれたためしがない。この人が犯人なのか、と終盤で知って驚くばかり。あれこれ思案して読んでいなくとも、これはこれで楽しいからいいのだ。
 さて。まだ時間はあるからどんどん読み進めていきたいところだけど。ずっと同じ姿勢で読んでいると肩や首にも良くない。
何となく喉が乾いたから、冷蔵庫の麦茶でも飲んでこようかな。ちょっとした休憩も兼ねて。私はエディを起こさないようにゆっくりと立ち上がる。
最初のうちはきょろきょろと部屋の中を見回したり、眠ろうと目は閉じるのだが何度も顔を上げてしまったりと、どことなく落ち着かない雰囲気だった。
しかし、やっぱりクーラーの風の心地よさには敵わなかったということなのか。今やカーペットの上に四肢を投げ出して横たわり、静かな寝息を立てている。
彼の呼吸に合わせて、橙色と黒の入り混じったお腹がゆっくりと上下していた。これだけ豪快に寝てるってことは、室内でもリラックスしてくれたのかな。
一緒に生活はしているとはいえ、家の外と中だ。彼の寝顔を見る機会はなかなかない。ウインディに進化して、顔つきも凛々しくなったなと思っていたけど。
穏やかな表情で眠っている姿は意外に、いや、かなり可愛い。せっかくだし、もっと傍で見ておこうか。私はしゃがんでそっと顔を近づけていく。
「ふふ」
 やっぱり、可愛いの一言。それしか言葉が出てこない。私は思わず笑みをこぼしてしまっていた。
寝ている彼を起こさないように、出来るだけ音を立てまいとしていてもこれでは本末転倒だ。
だけどそれくらい、エディの寝顔には魅力がある。見ているだけで安心できる。ずっと眺めていても退屈しなさそうだった。
ああもう。無性に頭を撫でてやりたくなってきた。さすがにそれをしちゃうと起こしちゃうかな。ここは我慢しておくべきか。
でも、ちょっとだけなら、大丈夫……うん。私の手の細胞がふさふさを求めている。誘惑には勝てなかった。
私はそっと彼の頭に手を伸ばしてみる。ふわり、と柔らかな毛の感触が指先から手のひらまで覆い尽くしていく。
ここのところあまりブラッシングしてあげられなかったけど、そんなにごわごわしておらず悪くない手触りだ。くすぐったさにも似た感覚がたまらない。
さっき外で触れた時よりも、幾分か彼の体温が下がっているのを感じる。涼しい室内にいたのである程度は籠っていた熱が発散されたのだろう。
それでもやはり炎ポケモンだからなのか、ずっと触れているとクーラーの影響下とは言え手が汗ばんできそうな温もりだ。
「んっ」
 ふいにエディの口元から小さな声が漏れ、私は慌てて触れていた手を引っ込める。いけない、寝顔につられてついつい手が。起こしちゃったかな。
恐る恐る彼の動向を見守っていたが、前足が僅かに動いたくらいで、それ以外はさっきと変わらずにすうすうと寝息を立てている。
私の手に反応して、無意識のうちに声が出てしまったのだろうか。とにかく、起してしまったわけではなさそうだ。よかった。
気持ちよさそうに休んでるんだから、邪魔しちゃいけないよね。そのために家に入れたのもあるんだし、自重しなくては。
 私は立ち上がると、極力足音をたてないようにしつつ台所まで向かう。慎重に冷蔵庫の扉を開き、中から麦茶を取り出した。
やっぱり夏は冷たい飲み物が恋しくなる。食事の後、エアコンを入れるまでにずいぶん汗をかいた気もするし、水分補給は大切だよね。
麦茶をコップになみなみと注ぐと、手に取りゆっくりと飲み干していく。口の中に広がる清涼感。麦茶の風味も渇いた喉に心地よい。
ジュースやコーヒーもあったが、後味の良さでは麦茶が一番だ。さて、喉も潤ったことだし、物語の続きを追いかけなければ。
麦茶を冷蔵庫にしまうと、私は再び机の前に腰を下ろし、本を手に取る。進み具合は半分を越えたところだったよね。
第三の被害者が出たところで、今までの被害者との共通点がどうのこうのってところか。まだまだ謎がたくさんある。これがどのように解きほぐされていくのやら。
さあ読むぞ、と意気込んで本に目を移したところで妙な音が耳に侵入してきた。一瞬、エアコンの調子が悪くなったのかと思ったけど、見る限りは正常に稼働している。
機械が立てるような無機質な音じゃなかった。こう、唸り声のような。私は何も喋っていない。と、なると考えられるのは。
「エディ……?」
 ポケモンも眠っていれば夢を見ることだってあるだろう。それじゃあさっきのは彼の寝言だったのだろうか。それにしてはおかしな声。
何だか様子が変だ。心なしか呼吸が荒くなっているような気もする。はあはあと口元から漏れる呼吸音が耳につく。どこか苦しいのだろうか。
眠っているエディを見ることは少なかったが、今の状態が普通でないということぐらいは判断できる。心配になった私は、本を閉じて彼の元へ歩み寄った。

―5―

 肩を掴んで軽く揺さぶれば、よほど深い眠りでない限りは目を覚ましてくれるだろうけど。偶然寝言で変な声を出してしまっただけ、と言うことも考えられる。
私の取り越し苦労で、せっかくこの涼しい中眠っている彼を起こしてしまっては悪い。無理やり目を覚まさせるようなやり方はどうしても躊躇ってしまう。
とは言え、今までにないような声を上げたうえに息を荒げているエディを前にして、こんなこともあるよねと楽観的になる余裕も持ち合わせていなかった。
「エディ?」
 控え目に呼びかけてみたものの、反応なし。相変わらずはあはあと呼吸が深い。さっき寝顔を眺めていたときよりもお腹が大きく上下しているのが分かった。
どうしたらいいんだろう。やっぱり少々手荒い手段を使ってでも起こすべきか。エディの頭に手を伸ばそうとして、私は何やら妙なことに気がつき思いとどまった。
もし、体のどこかが痛かったりして不調を訴えていたのならば、とても穏やかな表情ではいられないはずだ。ぞっとするような悪夢を見ていたとしてもそれは同じこと。
しかし、彼の表情は穏やかなもの。苦悶に歪んでいるとか、そういった雰囲気はまるで感じられない。
よくよく見てみれば何となく口元を吊り上げてにやけているような気さえしてきた。苦しんでいるわけではないのか。だとしたら何でこんなに息が荒いんだろう。
「うぁ……」
 エディの口から呻きのような声が。それとほぼ同時に後足が僅かにぴくりと持ち上がった。視界の端で何かが突然動いたのだ。私の視線も自然とそちらに向けられる。
「えっ」
 ちょっと待って。今、何か見えた。見えてしまった。見たかったわけじゃない。ずっと彼の顔ばかり見ていたせいで気がつかなかったけど。
後足の間に挟まれるようにして、まるで別の生き物のように小さく動いている。それは、彼のオレンジ色の体毛よりも遥かに燃えたぎるような赤色をした、雄の象徴。
それがいきなり目に飛び込んできたせいで、一瞬頭の中が真っ白になってしまう。エディとは性別も種族も違う私だが、雄の股ぐらに何が付いているかぐらいは理解していた。
ただ、普段は意識して覗き込んだことなんてなかったし、こんな状態の雄を目にするのは初めてで。その大きさや迫力が、私にとってはインパクトがあったのだ。
 胸に手を当てて軽く深呼吸しつつも。視線はしっかりと彼の肉棒を凝視してしまっていた。私の手のサイズはゆうに越えている。
あんなに立派なものなのか。何だかそこにあるだけで圧倒されてしまいそう。眠っているエディの意思に反して、その存在を誇示しているように思えてならない。
もちろん、他のポケモンの雄の大きさなんて知らなかったので何かと比べたわけではない。
ただ、人間の私からすればそれは相当大きなものと判断せざるを得ないサイズだったわけで。
そもそも、エディのものはいつもならば毛の間に埋もれてそんなに目立たなかったような気がするんだけど。
こんな状態だと普通に立って歩いているだけでも、外から見えてしまいそうだ。いったいどうしたというんだろう。
今、彼の体に何が。いや。焦ってはだめだ、考えなければ。私はなけなしの知識を頭の中で必死に手繰り寄せていく。
種族は違えど同じ雄。こんなとき、人間の異性の体を深く知っていればもう少しましな判断ができるのかもしれないけど、あいにく私は。
一応、つき合った経験がないわけではない。最初のうちは良かったのだ。何もかもが新鮮で、楽しくて。
だけど、だんだんとお互いのことを良く知っていくうちに、相手の嫌な部分ばかり目につくようになってしまって。
気持ちにすれ違いを感じるようになり、結局三か月程で別れてしまったのだ。あれ以来会ってないけど、彼は元気にしているかなあ。
おっと、いつの間にか脱線してしまっている。今はそんなことに想いを馳せている場合じゃない。元彼じゃなくて、今はエディのことを考えないと。
 ええと、性的な興奮によって雄のあれは目に見えて大きくなるんだったよね。いくつかの記憶を浮かび上がらせた結果、この結論を導き出したのだ。
と、言うことはつまり。私はエディの顔の方へ視線を戻す。やはりどことなく締まりがなく、荒い息を上げている。幸せそうな表情、ともとれなくもない。
股間の雄をこんなにも膨張させてしまうくらいの、えっちな夢でも見ているのか。性的な内容だとしたら、やっぱり他の雌の夢なのだろうか。
そういった夢なら、思わず変な声を上げてしまったのも分かるような気がする。具体的に状況を推測するのは恥ずかしいのでやめておいた。
とりあえず、彼の体の調子が悪いわけではなさそうだったから一安心だ。雄としてはいたって健康そのものだろう、きっと。
私がこういった状況に慣れていたのならば、このまま何事もなかったかのように読書へ戻ることもできたのだろうけど。
ポケモンとはいえ雄のものがこんなにも立派にそそり立って。直に見るのは初めてだったためか、どうしてもそちらの方へ意識を向けてしまう。
別に偶然見てしまったからと言って、エディに欲情してしまったわけじゃない。私を動かしていたのは、抑えきれない好奇心。
寝ているのをいいことに、じろじろと眺めて。その行為に罪悪感を感じつつも、ぴくぴくと小刻みに動いている彼の雄から目が離せなくなっていたのだ。
「んぁっ」
 ひときわ大きなエディの声。もしかすると喘ぎだったのかもしれない。それと同時に彼の下半身が感電したかのようにがくんと揺れる。
刹那、膨張していた雄がぴくんと震え、先端から白く濁った液体が勢いよく飛び出した。それは一瞬だけ宙を舞い、彼のお腹の毛とカーペットの上にぴちゃりと付着する。
どろりとしていて粘性のある、白い液。お腹に着いたものはすぐに染み込んだりせずに徐々に下へと垂れていく。青いカーペットに飛び散ったそれはさながら波しぶきのようだ。
最初に精を吐き出したあとも小刻みに何度かぴくぴくと振動し、白濁液を外へ送り続けていた雄も、やがて落ち付きを取り戻していった。
さっきまではあんなにも重力に逆らってぴんとしていたのに、いつの間にやらぐったりとしていて覇気がない。
エディのお腹の毛に支えられて何とかその位置を保っているといったところか。補助がなければだらりと下に垂れさがってしまいそうだった。
「…………」
 私はぽかんと口を開けたまま、しばらくぼんやりとその場に佇んでいた。きっと、ひどく間の抜けた表情をしていると思う。
少し穏やかになったエディの呼吸。開け放たれた私の口からもれる吐息。後はエアコンが風を送っている音と、冷蔵庫の稼働音、そして時を刻む時計の針。
部屋の中の音源はそれだけ。あとは至って静かな夜の住宅街の一室。
だけど、今はそれらの音がまるで拡声器でも当てているかのように何倍にも感じられて、私の耳の奥に響いてくる。
ほとんど身動きせずに、いや、できずにいたのかもしれない。数少ない動いてたものと言えば、まばたきのための瞼と、血液を全身に送る心臓くらいなもの。
何も考えられない、考えようという気も起らない。半ば放心状態と言ってもおかしくなかった。それだけ、今しがた目の前で起こった出来事は衝撃的だったのだ。

―6―

 眠っている間に起こる射精、これはいわゆる夢精というやつか。話には聞いたことがあったけど、女の私にはもちろんそんな経験なんてない。
その瞬間を見たのももちろん初めてのこと。ぴんと張りつめていた雄がびくんと震えて、白い液体が外へびゅるっと。なるほど、あんなふうに起こるものなんだ。
だらりとカーペットの上に垂れさがっていた右手を持ち上げて、そっと胸に当ててみる。普段よりも心臓の鼓動が速くなっていたような気がした。
いくら異性だからと言っても、ポケモンのエディに興奮してしまったわけじゃない。これは胸のときめきではなく驚きによる心拍数の増加だ。
目を閉じて何度か深呼吸してみたけれど、なかなか落ち付いてはくれなかった。私の頭の中にはさっきの強烈な光景が焼き付いてしまっている。
 さて、これからどうしたものか。ひとまずエディは落ち着いたみたいだけど、このまま放っておくのはよくない気がする。そもそもエディはこの現象について知っているのか。
これが初めてだったとしたら、当然疑問をぶつけてくるはず。生殖に関わることだ。大切な事だから誤魔化しや偽りなく教えるべきであろう。
だが正直、私には雄の体のことについてちゃんと説明できる自信がない。憶測の範疇を出ない事柄もあるわけで、それが本当にあっているのかどうかさえもあやふやだった。
エディが雄じゃなくて雌だったら自分の経験と照らし合わせながら教えてあげることができるんだけど。雄に関する知識のなさがもどかしかった。
「んっ」
 ふいに耳に飛び込んできた小さな声と、毛の擦れ合う音。エディがのそりと顔を上げ、焦点の合わない瞳で私の方を見ていた。
すぐ傍で呆然としていた私の気配に気づいたのか。あるいは、自分のお腹に何かが付着した感触に違和感があったからなのかもしれない。
「あっ……!」
 数秒ぼんやりとしていたが、やがて今どんな状況なのかを察したらしい。見る見るうちに目の色が変わっていく。
とっさに股を閉じて股間を隠すエディ。もうすっかり小さくなって毛の間に埋もれてたから、そんなことしなくても外からは見えないとは思うけど。
そして、気まずそうに私から視線を逸らしてしまった。無理もない。夢精の痕跡をトレーナーに見られてしまうなんて、予想だにしていなかったことのはず。
しかしそれは私にとっても同じこと。外は暑いから、涼しい室内で寝てもらいたかった。ただそれだけのつもりだったのに、まさかこんなことになってしまうなんて。
「え、えっと……エディ……」
 最初に何と声をかけるべきか。とりあえず何かは考えておくつもりだったのだが、思っていたよりも早くエディが目を覚ましてしまった。
こんな時に焦ってはいけない。トレーナーの私が慌てていてはエディまで不安になってしまう。そう頭では分かっていても、私の口からはしどろもどろな言葉しか出てこない。
さっきお茶を飲んだばかりだと言うのに口の中がからからだった。エアコンが効いてるから暑くなんてないはずなのに、私の背中を嫌な汗が伝う。
何と言えば、いったい何と言えばいいんだろう。考えれば考えるほど頭の中がごちゃごちゃになって、何も思い浮かばない。ただただ、時間ばかりが過ぎていく。
きっと、見るに堪えない様子だったのだろう。そんな私への助け船だったのか。先に口を開いたのはエディだった。
「ね、ネルザ……カーペット汚しちゃってごめん。タオルか何かで早く拭いた方がいいよ。乾くと取れなくなっちゃうから」
 まだ私からは微妙に目を逸らしつつ、若干頬を赤く染めたままのエディ。声もいくらかは震えていたようにも感じられる。
だが、私はこの事態に言葉すら発せられずにいたのだ。それを思えばエディの対応は私とは比べものにならないくらい冷静なものだ。
とにかく、どうしていいか分からずに立ち往生していた私にとっては、次の行動を促せるありがたい言葉だったのだ。そうか。カーペットに跡が残ったら困るよね、うん。
「……何か拭くもの、取ってくるわね」
 飛び散った量と、エディの体にも付着していることを考えればティッシュよりも濡れたタオルか何かの方が効率が良いだろう。
関節から軋む音が聞こえてきそうなくらい、硬直しきってしまっていた体をゆっくりと動かして立ち上がる。エディとどうやって向き合うかはひとまず置いておく。
何か別の所に行動の矛先を向けなければ、きっと私はあのまま動けずにいたような気がするから。今はカーペットと彼の体をきれいにすることを優先させよう。

 玄関に置いてあったタオルを湿らせてから持ってきた。エディを家に上げる前、乾いた状態で彼の足を拭くときに使ったものだ。
比較的きれいな状態だったし、そのまま使用しても問題ないよね。さすがにあれを拭きとるのに新しいのを使うのは何だか気が引ける。
まずはカーペットから。点々と飛び散った箇所を濡れたタオルで拭い取っていく。出してから間もないからなのか、ほんのりとした温かさがタオル越しに伝わってきた。
これが、精液なのか。白くて、粘り気があって。さっきは気づかなかったけど独特の匂いがする。何となく生臭くて心地よいと思えるものではなかった。
何しろ初めて見るものなのだ。やっぱり興味を惹かれてしまう。ついつい、タオルで拭き取ったそれをまじまじと見つめてしまっていて。
「……ごめんね」
 さっきよりも顔を赤くして、申し訳なさそうに項垂れるエディ。自分が出してしまったものをトレーナーに拭いてもらっているのだ。
私がこんな行動を取ってしまえば、当然彼の自責の念は強くなってしまう。まったく、物珍しいからって何デリカシーのないことやってるんだろう、私。
「あ、いいのよ。別にあなたが悪いわけじゃ……」
 ほとんど無意識のうちだったとはいえ、自分の行動に軽い自己嫌悪を覚えつつも、私はカーペットを擦り続ける。
付着してしまった所も何度か拭き取ればタオルに吸い込まれていく。この様子だと、そのまま染みにもならずにきれいになりそうだった。
青い海原の波しぶきはもう消えてしまっていて。いつも通りの穏やかな海。カーペットは完了した。あとはエディの体に着いたものだけど。
タオルは割と大きなものを使っていたから、まだまだ拭きとれるスペースは残っている。私にとって問題なのは付着している部分だ。
お腹にもいくつか飛び散っている部分はあったが、やはり一番多いのは股間の雄の周辺。オレンジと黒の毛に混じって、白くべったりと。
ちゃんと拭き取ろうとすれば、どうしても彼の雄に触れなければならない。今まではこんな風に躊躇うことなんてなかった。
炎ポケモンだからなのかエディが水に濡れるのを嫌うため、風呂に入れたことは数えるほどしかなかったが、その時はちゃんとそこも洗ってやっていたのだ。
しかし、今は。ついさっきあんな状態の雄を見てしまったせいか、どうにも意識してしまって。彼のお腹にタオルを伸ばそうとしても、あと一歩のところで踏み出せずにいた。
まるでエディとの間に透明な壁でも張られているかのように。タオルの毛先がお腹に触れようとした直前で、ぴたりと私の手は止まってしまうのだ。
「気にしなくていいよ。僕は大丈夫だから」
 今度は目を逸らしてはいなかった。多少は恥ずかしい気持ちも残っていたのだろうけど、エディの瞳はちゃんと私の目を捉えている。
その時の彼の表情が、なんだかひどく大人びて見えたのだ。今の彼の顔つきはガーディの頃のあどけなさを残したものではなく、落ち付いた雰囲気の精悍なウインディのそれ。
普段私が目にしている、ポケモンフーズを美味しそうに頬張っている時や、仲良くレイ君と遊んでいる時の表情からはちょっと想像できないような凛々しさを湛えていた。
「え、ええ……」
 本人が大丈夫って言ったんだから、拭いちゃってもいいんだよね。いや、きっと大丈夫じゃなかったのは私の方。
エディはもうずいぶん冷静になってるって言うのに、私は未だにあたふたしてばかり。しっかりしなきゃ。私は彼のトレーナーなんだから。
ふとした瞬間に垣間見えたエディの頼もしさ。それに少し面食らいながらも、私はそっと彼の体にタオルを当てていく。背中を押してくれた優しい言葉に感謝しながら。

―7―

 彼が大丈夫と言ってくれたんだ。尻ごみする必要なんてない。前にお風呂に入れた時と同じようにすればいい。
頭の中でそう言い聞かせながら、私はエディの毛に点々と飛び散ったものを一つずつ拭き取っていく。
まずはお腹から。タオル越しでもその毛並みは柔らかい。首元や背中はたまにブラシを掛けてあげたこともあったけど、さすがにお腹の毛までは手つかずだった。
何か特別な機会でもなければ、内側の毛に触れることは少ない。お腹の毛を堪能するうちに、何となく直接触りたくなってしまったが今はそんなことをしている場合ではなかった。
付着してからあまり時間が経っていなかったためか、お腹の部分もカーペットと同じように難なく拭うことができた。私は一度タオルを折り返して、綺麗な面を前に持ってくる。
さて、問題は次の場所。ある程度覚悟は決めたつもりではいたが、やはりお腹を拭くときよりは抵抗は大きくなる。
雄から近いということもあって、お腹よりも白く濡れてしまっている個所は多い。できるだけエディに感付かれないよう、小さく深呼吸してから、私はすっと彼の股間に手を伸ばした。
「……っ」
 瞬間、エディの腰が、後ろ脚が、ぴくりと僅かに揺れる。毛の柔らかさとはまた違った、独特の弾力性のあるものがふにゃりとタオルを介して私の手のひらに伝わってきた。
今やすっかりさっきの勢いを失って、普段のように毛の中に落ち付いている彼の雄。やはり敏感な部分なのか、触れられると覚悟はしていても反応してしまうのだろう。
とはいえ、エディは私を気遣ってか、極力身動きをしないようにしてくれているようだ。
目を閉じてはいたものの、体は強張ったまま。わずかに開かれた口元から漏れている息は細くとも、どこか荒い。
ぼやぼやしていたらこの状況に耐えてくれている彼に申し訳ない。早いところ済ませてしまわねば。私は上から順に、ぐるりと肉棒に沿ってタオルを滑らせる。
少し下に流れてしまっている所もあったが、豊かなふさふさの毛が滑り止めになっていて、カーペットまでは到達していなかった。
ただ単に拭くだけでは汚れた個所を広げてしまいかねない。付着した量の多いところは、拭き取ると言うよりもその箇所を掴み取るような感じで。
タオル捌きも工夫しつつ、私は無言でエディの股ぐらを拭っていく。タオルと彼の毛の擦れ合う音が、これでもかと言うくらい耳に潜り込んできた。
「さて、と」
 タオルを離し、お腹からざっと一通り眺めてみる。所々湿ってしまってはいたが、オレンジ色と黒の毛並みがそこにあった。
白い点やぬめぬめとしたてかりはもうどこにも見当たらない。タオルの水分が乾けば、きっと元通り。ふかふかの毛布のような手触りに。
気苦労を交えつつもどうにかやり遂げることができた。もう、問題ないだろう。私はふうと小さく息をつき、肩の力を抜いた。
「終わったわよ」
「ありがと……ネルザ」
 エディはのそりと起き上がり、カーペットの上に腹這いになる。お腹がべとべとの状態ではさすがにこの姿勢は取れないか。
今までずっと横たわっていてお腹が見える格好だったのだ。顔だけこちらに向けるとなると、首をカーペットから浮かさなければならない。
私の方を向いていたときは、かなり首の筋肉に負担がかかっていたのではなかろうか。痛めていないといいけど。
うつ伏せの構えならば、首だけ起こして視線を移動させるのもずっと楽だ。だけど、今は。まっすぐ私を見つめてくる彼の目をちゃんと見ることが出来ずにいて。
「……恥ずかしいとこ、見られちゃったな」
 ぽつりと呟くように言って、エディは小さくため息をつく。それでも、必死に頭の中で彼にかける言葉を探している私よりはずっと冷静だ。
お腹をきれいにするという目的は達成してしまった。そうなれば、どうしてもさっきの出来事と向き合わなければならない。
硬直していた私の行動をエディが促してくれたのまではよかったのだが、結局タオルで拭き取ることに一杯一杯で何の準備もできなかったのだ。
「なんとなくさ、嫌な予感がしてたんだよね」
「えっ?」
「今日、リムさんの家に行ったとき、レイと一緒に外に出て行ったでしょ?」
 ああ、そういえば。家に帰って来たときに外で何をしてたのか聞いたけど、適当にはぐらかされてしまったんだっけ。
昔みたいにいたずらを企てていたというわけでもないみたいだから、私もそこまで深く追及はしなかったんだけど。
「レイが外じゃないと話しづらいって言うから着いて行ったんだけど。そのとき外で……どんな仔がいいかって話してたんだ」
「どんな仔?」
「雌の話。どんなポケモンの雌がタイプか、どんな雌の仕草に惹かれるかとか……そういう話題」
「へえ……」
 エディがレイ君とそんな話題に花を咲かせていたとは、正直意外だった。普段の彼を見る限りは、そこまで雌に興味を持ってる感じはしない。
それはあくまで表面上で、頭の中ではそういうことを考えていたりするものなのだろうか。でも、エディもレイ君も進化してるわけだし、それが自然と言えば自然なのかも。
確かに、人間の女性二人の前で堂々と話す話題ではないかもしれないが。それでも、わざわざ暑い中外へ行ってまで話すようなことなのだろうか。
「話を振ってきたのはレイの方で、僕は何となく答えてただけなんだけど……レイの雌に対する話が妙に露骨で生々しくってさ。家に戻ってきても、忘れられなくて……」
「それが、夢に出てきて……ああなっちゃったのね」
 確かに、エディが積極的に異性について語ってる姿なんて想像がつかない。話題を振ってくるレイ君に、エディが相槌を打つような感じだったのだろう。
つまり、私たちの前ではとても話せないくらい、エディの印象に残って夢にまで出てくるくらい生々しい内容だったのか。
ううむ。グラエナに進化しても陽気でやんちゃな所は変わってなくて、可愛い顔をしてると思ってたレイ君だけど。案外えっちだったりするのかな。
「うん。何のポケモンだったかまでははっきりとは思いだせないんだけど……僕より割と小柄な雌で、何かいろいろされるうちに気持ち良く――――」
「ああ、夢の内容まで鮮明に話さなくていいから!」
 それは言わなくてもいい、というか言わないで。そりゃあ夢精しちゃうぐらいだから、そういった類の夢なんだろうなって推測はできるけど。
思い描いていたことを直接本人の口から聞かされると、こっちまで恥ずかしくなってきてしまう。
当のエディは話を遮った私を見て、話しちゃいけなかったかな、とでも言いたげに目を丸くしている。私に隠しだてなく話してくれるのは嬉しいけど、話題は選んでほしい。
確かに、全く興味がないわけではなかったが、どうも私はその手の話には耐性がないというか。これ以上エディの前で慌てふためく姿を見られたくはなかったのだ。

―8―

「あ、ごめん。何か、夢精の後見られたって分かってるから、もう全部話しちゃえって勢いになってて」
「その勢いはほどほどにしてくれるとありがたいわ……」 
 まあ、あの現場を見られた上に、その後処理も私にしてもらった直後だ。もう隠しだてする必要なんてないくらいの気持ちになっていてもおかしくはないか。
夢の内容まで事細かに話すのは、エディからすれば別にどうってことないことなのかもしれないが、私はそういうわけにはいかない。動揺するのはもうたくさんだ。
「じゃあ、エディは夢精が何なのかは知ってたのね?」
「うん。今夜のが最初ってわけじゃなかったし、レイが教えてくれてたから。雄の体にはそういう現象があるんだって」
 なるほど。あらかじめ自分の体に何が起こったのか知ってたから、私に見られたと分かってもある程度は落ち着いていられたのかな。
エディがカーペットを汚すことになってしまったのも、もとはと言えばレイ君の露骨な話が原因なのだろうけど。
ひとまずそれは置いといて、ちゃんとエディに夢精について教えてくれていた彼に感謝しなければならない。
もしあの時エディが何も知らなければ、私も彼もお互いにうろたえるばかりで、きっと収集がつかなくなっていたに違いないから。
 しかし、いったいどこでそういったやり取りをしているんだろうか。私たち二人の前だと当然話しづらいことだろうし。
ん、待てよ、思い返してみれば今までにもエディはレイ君と一緒にふらりと外へ出ていくことがあったような気がする。
彼女の家では私も雑談やテレビに夢中だったりして、彼らの行動をすべて把握し切れていないし。知らぬ間に外へ出て行っても気づかない時もあるかもしれない。
たまたま今日は私の目に留まって帰ってきてからもそのことを覚えていたから、何をしていたのかエディに聞いてみただけで。
もしかして、二匹で一緒に外に出ていく時は私たちの前では話しづらい、えっちな会話をするために……。いや、邪推するのはよくないか。
今まで全然意識していなかったけど、エディもレイ君もそういうことに興味を持ってもおかしくない年頃だ。それを咎めたりなんてできないのだから。
「あれが初めて起こったとき、ネルザにも話せないでいて……思い切ってレイに相談したんだ。そしたら、教えてくれた。ちょっとからかわれもしたけどね」
 家の中に上げた時に起これば、当然今日のように気がつく。となると、エディは外で寝ていて夢精したことがあるということか。
朝はいつも水とポケモンフーズをあげにいっているが、今までそんな気配を感じたことはなかった。
起きてすぐにあげることが多いから、私もぼんやりしていて気付かなかったのかな。あるいは、外の芝生の匂いにまぎれてしまっていたという可能性も考えられる。
それくらい、朝エディと会った時、彼に夢精が起こったことをにおわせる事柄は全く思い当たる節がなかったのだ。
「やっぱり、私に言うのは恥ずかしかった?」
「そりゃあね。どうやって説明すればいいか分からなかったし」
 それもそうか。きっと私も直接聞かれていたとしても、上手く説明できていなかったはずだ。
今夜と同じように、あるいはそれ以上に戸惑って、あたふたして。無様な姿を彼に見せていたことだろう。
「そっか。……いい友達を持ったわね、エディ」
「うん」
 親しい間柄とはいえ、性的なことに関する相談は多少は躊躇ってしまいそうなもの。それを話してしまえる、と言うことはエディがレイ君を心から信頼している証拠。
レイ君もふざけたりせずにちゃんとした知識をエディに教えてくれたみたいだし。よくふざけすぎてリムに怒られてばかりな彼しか印象に残ってなかったから、正直、見直した。
ああ見えてちゃんとやるときはやるんだなあ、レイ君も。本当に今回のことで、私の中での彼に対する株が急上昇している。
「あのさ、ネルザ……」
「ん?」
「幻滅しちゃった?」
「え?」
「僕がやらしい夢見て、夢精しちゃうって知って」
 エディの瞳が僅かに揺れる。夢の内容を話そうとしていた時は、まるでそれを聞いてほしいみたいに堂々としていたのに。
今の彼の目は、どこか儚げで弱々しい。私に嫌われてしまったとでも思っているのだろうか。
確かに今夜のことで、エディを見る目は少し変わってしまったかもしれない。ただ、それは成長したことをひしひしと感じさせる彼に驚いたからであって、幻滅したからじゃない。
今夜の夢精は私も全く予想していなかった不意打ちだったから、エディを気遣う余裕がなくて大げさにびっくりしたり戸惑ったりしてしまったけど。
もしそういった私の態度が、不安を感じさせてしまったのならごめんね、エディ。でも、心配しなくても大丈夫だよ。
「何言ってるの。異性に興味を持つのは、成長してくれば自然なこと。むしろ健康でよろしい」
 気にしなくてもいいよ、の意を込めて。私はそっとエディの頬に触れた。白くてふさふさの毛並みがとても柔らかい。私の手に彼の体温が伝わってくる。
ガーディの頃から私に安心感と安らぎを与えてくれた温かさ。ウインディに進化しても何ら変わりのない、揺るぎないぬくもりがそこにあった。
「……そっか。よかった」
 無言の想いが伝わったかどうかは分からないが、私が夢精を気にしていないことはちゃんと察してくれたみたい。
ほっとしたような笑顔に戻るエディ。やっぱり、凛々しさを湛えた表情よりも、こんな風に屈託なく笑ってくれた方が私は好きだ。
「ふぁ……」
 心配事がなくなって安心したせいか、途端に彼の口から大きな欠伸が漏れる。
時計を見るとまだ十時半を回ったところ。私がエディの異変に気がついたのが十時過ぎぐらいだったと思うから、あれから三十分程しか経ってなかったのか。
目を覚ましたエディと向かい合っている時や、彼の体を拭いていたときは時間が長く感じられて仕方がなかった。私の中ではもう二時間ぐらい過ぎている認識だったのだが。
それを考えると、エディの睡眠時間は一時間半ぐらいか。寝入ったところで中途半端に目を覚ます羽目になってしまったのだ。眠いのも無理はない。
色々とごたごたしてしまったけど、もう心配ないだろう。せっかく涼しい室内なのだ。この機会を十分に生かして安眠してもらいたいところ。
「まだ眠り足りないでしょ。今夜はゆっくり休んで」
「うん……そうする。お休み……ネルザ」
「おやすみ」
 カーペットの上に頭も伏せて、静かに目を閉じたエディ。どっと眠気が来たのか最後の方は声が小さかった気がする。きっと良く眠れることだろう。

 洗面所の蛇口を閉め、私はタオルをぎゅっと絞る。最初はぽたぽたと滴り落ちていた水滴もやがて見えなくなった。とりあえずこれで乾かしておこう。
ちゃんと洗濯するのは乾いてからでいい。やはり量が多かったため、水洗いではなかなか落ちてくれない箇所もあって苦戦させられた。
私はタオルをそっと鼻に当て、においを嗅いでみる。まだ若干生臭さのようなものが残っていたが、後は洗濯機と洗剤に任せることにしよう。
「……ふう」
 エディの処理をしたタオルを洗い終えてしまうと、何となくすべてをやり遂げたような達成感が私の中に湧き上がる。
一時はどうなる事かと思ったが、エディ、そして忘れちゃいけないレイ君のおかげでどうにか落ち付いたと言ったところか。
今夜の出来事は私も精神的にかなり応えた部分がある。読書の続きをしても頭に入りそうにないし、ちょっと早いけどもう寝ようかな。
洗面台の上に置いてあったハンガーにタオルを通して、風呂場のドアノブに引っかけると、私は洗面所を後にした。
 リビングに戻ると、案の定エディはぐっすりと眠っていた。そのまま横を素通りもできたんだけど、やはり気になってしまうわけで。
起こしてしまわないように私はそっと彼に歩み寄り、しゃがんで顔を近づけた。あまりない機会。できる限り近くで見ておきたいのだ。
苦痛に歪んでいるわけでも、だらしなくにやけているわけでもない。穏やかな寝顔のエディ。落ち着いて眺めるなら、この表情に勝るものはない。
それでも。狼狽していた私にそっと言葉を掛けてくれたときの、彼の表情にははっとさせられた。本当に一瞬だったけど、ありありと思い出すことができる。
進化して姿が変わっても、中身まで変わるわけじゃない。ガーディの頃と同じように接すればいい。私はそう信じていたし、疑いもしなかった。
だけど、私の知らないところでエディもしっかりと成長してるんだなあ。体の方も、心の方も。いつまでも子供のままじゃないんだ。
ぼやぼやしてると、置いていかれてしまうかもしれない。トレーナーである私も、ちゃんと前進しなくちゃね。
彼の成長に戸惑ってばかりではみっともない。今夜の出来事はそれを自覚するための、良いきっかけになったと思う。
「エディ……おやすみ」
 囁くように声を掛け、私は立ち上がる。机の上のリモコンを手に取ると、エアコンの電源を切った。
寝ている間もつけっぱなしではさすがに体に良くないだろうし。深夜にかけては気温が下がるから、冷房なしでも大丈夫だろう。
最後にエディの寝顔をしっかりと瞼に焼き付けてから、リビングの電気を消し、私は寝室へと向かったのだ。

 END



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  • いえいえ、レスを頂けるだけで嬉しいですのでお気になさらず。
    飾り気は少ないですけど、素朴な雰囲気なのも悪くないんじゃないかなーと。
    ええ、炎ポケモンは正義なのです。レスありがとうございました。 -- カゲフミ 2009-05-10 (日) 19:26:59
  • 最後は何も起こらずにエピローグで終わりましたね。予想が外れ(以下略
    まさかエディ君がレイ君からきちんと知識を得ていたとは。まぁ、そういう話に友達と浸った頃が私にもありましたがw ポケモンもそうやって成長していくのでしょうかね。
    何はともあれもふぷには正義。執筆お疲れさまでしたっ。 -- イノシア ? 2009-05-10 (日) 20:45:31
  • こうトレーナーがついお手伝いを……的な流れでは無く、ほのぼのとした作風を貫いた所が、感極まり無いというか、素晴らしいです。
    月並みですが、素敵な作品をありがとうございました。そしてお疲れ様ですb -- 葉月 ? 2009-05-11 (月) 00:17:55
  • 俺はこのWikiが知識の供給源といってもいいぐらいですねw 
    夢精という難しいネタによく挑戦しましたね。それも相変わらずの自然な話の運び。闇雲に交わるだけが官能小説じゃないですね!
    では。次回作も楽しみにしてます。お疲れ様でした! -- beita 2009-05-11 (月) 11:55:36
  • 何と言ってもカゲフミさんらしさの出ていた作品……ですね。ウインディはやはりかっこよくてかわいくて……w
    炎タイプのもふもふは堪りません。そしてにくきうも堪りません。何が言いたいかというとつまりとにかく堪りません。
    夢精をパートナーである人間……とはいえ異性に見られる恥ずかしさ。一方で冷静だったりさっぱりしていたり子供っぽかったり……エディ君の様子が事細やかに描写されているのは、さすがと言いますか。
    ほのぼのとさせてくれる一作でした。執筆お疲れ様でした。 -- &fervor 2009-05-12 (火) 00:39:31
  • イノシアさん>
    この後ネルザと云々……という流れもありと言えばありかもしれませんがw
    今回の話は何事もなく終わる感じでしたね。
    やっぱり誰にでもそういう時期ってあるんじゃないかなあと思います。
    葉月さん>
    トレーナーがお手伝いを……という作品は過去に書いたので、被らないように、と考えた結果この流れに落ち着きました。
    今回は官能描写よりもほのぼのメインでしたねえ。
    beitaさん>
    夢精のみの作品ってなかった気がしたのでこんなのもどうかなあ、と書き始めたわけです。
    やはり官能小説の醍醐味は絡みなのかもしれませんが、それとは別のえろさも表現できていたのなら幸いです。
    次回作も頑張りますー。
    &fervorさん>
    やはりほのぼのとした雰囲気の方が書きやすかったりします。
    ええ、もふもふはたまりません。本当に炎タイプは良い仔がいっぱいでry
    エディを出来るだけ可愛く、それでもどこかはかっこよく描写したかったので、そう言っていただけると嬉しいです。

    皆様、レスありがとうございました! -- カゲフミ 2009-05-13 (水) 21:12:27
  •  やはり貴方の文章は見ていて心が落ち着きます。なんとも言えないくらいほのぼのとしているので、心がささくれ立った時や軽~い鬱になった時は息抜きになりますね。
     一人称の文章では異性であってもどこか共感できるところもあり、誰にでもわかる簡単な言葉なのに、事細かに書かれた一挙手一投足の一つ一つが脳内で再生される巧みな文章は貴方ならではと言ったところでしょうか。
     特に、現実の動物に即した動きが出来るポケモンほどこの傾向が強いようですね。

     次回作も私を始めとする皆様を楽しませてくれるよう、のんびりまったりとお待ちしております。 -- リング 2009-05-13 (水) 23:08:41
  • もし、私の文章で少しでも癒されたのなら、なんだか嬉しいですね。
    今回はほのぼのに重点を置いたので、そちらの描写が多めだったと思います。
    異性の一人称を書くのはやはり慣れないというか、自分とあてはめられないので難しかったのですが。
    少しでも共感できるところがあったのなら幸いです。
    次回作も頑張りたいと思います。感想ありがとうございました。 -- カゲフミ 2009-05-17 (日) 17:34:46
  • 言葉はひとつに統一した方がいいと思います。
    いきなり読んでいて「肉棒」なんて言葉が出てきて驚きましたよ。

    でも、そこがカゲフミさんらしいところなのかもしれませんね。
    ―― 2012-07-28 (土) 11:48:44
  • 個人的には同じ言葉を繰り返す使うのあまり好きじゃないんですよね。
    ただ、ネルザ視点の言葉としてはちょっと不自然なところがあったかもしれません。
    ――カゲフミ 2012-07-28 (土) 21:48:17
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Last-modified: 2009-12-01 (火) 00:00:00
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