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悪魔祓い

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作者:俺だよ俺

 目が覚めると……彼女はダイケンキになっていた。
「なにコレ!?」
 涼風を肌に感じて、眠い目をこすって起き上がろうとするが、どうにも手が届かない。どうしたもんだと目を開けてみると、太い足……足には、アシガタナと、それを収納するサヤ。
 夏の空を切り取ったような真っ青な体に……眼球を上に向けて分かる鋭い角。
 どう見ても、ダイケンキだった。
「うっそ……ど、ど、どうして……」
 どう考えても、夢にしては意識が鮮明すぎる。取りあえず、歩いてみる……歩ける。走ってみる……少しよろけてしまったが、不可能ではない。
 アシガタナを取り出してみる。自分の前足に反対側の前足をくっつけ、つかみ、抜きだす。その動作をする際に、思いっきりよろけて一度転んでしまう。起き上がって何回か練習していると、ようやく抜くことができた。それを扱うには後ろ足だけで立ち上がらなければならないが、それをするにも四苦八苦。
 アシガタナを持たずに立ってみて、それで歩いたり飛び跳ねたり。慣れてきたら、アシガタナを持って振ってみてその感触を確かめる。
「やっぱり私……ダイケンキになってる……」
 ようやく、彼女はそれを自覚する。
「ど、ど……どうすればいいのよ」
 幸いな事に、近くには川が流れていて、そこでは水は飲み放題。少々濁っているので安全な水かどうかが気になったが、ポケモンだしまぁ大丈夫だろうと、彼女は警戒しつつも飲み込んだ。腹も減っていたが、力をこめて水面にハイドロポンプを撃てば、その勢いで魚が岸の方まで吹っ飛んでいったので、それを食べて飢えを凌いだ。
 そこまでは出来たのだが、そこから一体どうすればいいのか。周囲に人気(ひとけ)はない。
「どうしよう……」
 ともかく、川を下ってゆけば、迷うことはないだろうと彼女は考える。それに、水があるところに人は集まるものだから、運がよければ何かあるかもしれないと、彼女は考えたのだ。そう思って、彼女は川を泳いで下る。ポケモンの体だけあってとても早く、その道のりはすいすいと心地よい。
 そうして泳いでいると、ちらほらと遠くに見かけるポケモンたち。なのだが……
「ポケモンを指揮する人間はいない……」
 のはいいとして。
「そのくせ、人間が作ったようなリュックとかを背負っている……」
 のである。人間の姿は見えないのに、人間の生活の痕跡がある。それはもう、異常な事態である。
「どういうことなんだろう……」
 話しかけてみれば何か分かるかもしれない、と考えたが。
「でも、どうすればいいんだろう……」
 道を尋ねるだけならば、別に問題ないのだろうけれど……何も持っていない自分が怪しまれないか? そもそも言葉が通じるのかどうか? それが気になって、どうにも話しかけるのを躊躇してしまうのだ。
 結局、彼女はその姿を遠めに見ながら着いてゆく事にした。ゆっくり、ゆっくりと。姿を見失っても足跡を辿り、ともかく付かず離れずの道のりを行く。

 そうして、夕方ごろにたどり着いたのは大きな街であった。城壁……のようなものに囲まれた街。そこに来る頃には、すでにポケモンの姿は最初に見かけた一行のみならず、他のポケモンの姿もたくさん見かけていた。
 そのすべてが、いかにも旅をしているといった風な荷物を背負っており、しかし人間は存在しない。
「……ここは。ポケモンしかいない世界なのかな。でも、そんなこと……ありえるのかな?」
 ともかく、夕日がさしてきたこの時間帯。自分の姿も程よく見えなくなるので、荷物を持っていなくとも、何とかなってくれるかもしれない……と思ったが、近づいてみると案外暗くなくて、自分が荷物を持っていないことが当たり前のようにまる分かりであった。
 その様子を、好機の目で見られているわけではなかったが、やはり荷物を持っていないことが気になるのだろう。こちらを見られている。
 幸運だったのは、その時皆が話している言葉に耳を傾けると、言っている意味がわかるということだ。言葉は通じる……最低限、それだけ分かっただけでも安心できた。
 彼女の体3つ分はありそうな分厚さの城壁を抜けて街に入ると、そこには石造りの街並みが大通りの両脇に広がっていた。大通りの両脇はお店ばかり。見たことのない通貨らしきものを使って、取引をしている様子が見て取れる。たまに一般の民家もあるが、やはり大通りに面していて利点が多いのは民家よりもお店らしく、目に見えてお店が多いのだ。
 昼に魚を食べはしたものの、彼女はそろそろまたお腹も減ってきている。露店で売られている魚、肉、野菜、虫、穀物……(鉱石もあったがそれ除外しつつ)どれもおいしそうで、よだれが出そうだが……当然彼女にお金はない。
 どうすれば稼げるのか、考えて歩いてみるが、働かなければ稼げようはずもない。だが、どうやって働けばいいのかなんて分からない。まさしく、詰みという状況である。
 大通りを歩いていると、極わずかだが見受けられる鎖や首輪つきのポケモン。どうやら奴隷らしいそのポケモンにいつか仲間入りしてしまうんじゃないかと思うと、お先真っ暗な状況である。

「よーっす、お姉さん。何も持っていないけれど、どうかしたかい?」
「え、あ……」
 そんな彼女に話しかけてきたのは、フシデの少年であった。彼女がほとんど荷物も持たずにウロウロしていたおかげで、目に付いたのだろう。
「そ、その……旅の途中に身包みを剥がれちゃって……いま、財布すら持っていないの……」
「おー、そりゃ大変だ。でも、ここら辺じゃ大人の女性は物乞いも出来ないぜ? 大人の物乞いならば、あちらの宿街へどうぞ」
「大人の物乞いって……」
 大体予想がつく。だが、聞くまでは認めたくない。断じて。
「そりゃもう、宿屋で神の祝福が得られる行為をして、そのお礼にお金を貰うんだよ。男の人は、好きだからね……姉さん美人だし、いけるっしょ」
 つまり、体を売れということらしい。
「そ、そんなの……」
「およ、出来ないの? じゃあ、俺と一緒に物乞いする? 大人がする子供の物乞いは、成功率が低いよ?」
 ずいぶんとはっきり言われて、彼女は閉口した。
「……考えておきます」
 そう言って、彼女はフシデの少年の元を後にする。

 宿街へとたどり着いてみると、それらしい女性がたくさんいる。男のポケモンの趣味は分からないが、ベトベトンの女性なんてのも居て……見た目はともかくとして、あの液状の体がマニアックな要求に応えられるとかそういうことだろうか。それとも、特定のポケモンが好む匂いか、はたまた儲かっていないから格安で数をこなしているのか。
 そんなどうでもいい事を考えながら道を歩く。分かったのは、『神の祝福が得られる行為』を商売にしている女性は、基本的にほとんど何も身にまとっていない、軽装ということ。それが大通りをウロウロしているから、あんな風にフシデの少年が不審に思ったのであろう。
 もしくは、何も持っていない女性はそういう職業という暗黙の了解なのかもしれない。
「よう、姉ちゃん。見かけない顔だね」
「え、あ……はい」
 振り向けば、エレキブルがそこにいた
「お客さん探しているの? 初めてなら、優しくするよ?」
 電気タイプというだけでも、警戒するというのに。そんな事を言われると逆に不安な気分になる。言葉どおり『優しくしてくれる』ならばそれもいいのかもしれないが、思わず彼女は――
「ちょ、ちょ……すみません。今、お客さんは探してないです」
「あ、あぁ……すまない。祝福師じゃなかったんだ……ごめんな、変なこと聞いちゃって。ほんと、ごめんな」
 どうやら、祝福師という職業は、間違われるとそこまで謝らないといけないような職業らしい。つまり、『そういう事』というわけなのだろうか。
 申し訳なさそうにして、エレキブルは去っていった。そして、祝福師といういかにもぼかした言い方の職業を、自分が行おうとしていたこと、それにいまさらながらに彼女は動揺した。
「どうしよう……私、どうすればいいんだろう……」
 地面を見ながらウロウロしていると、ふと前方から強大な気配。顔を見上げれば、コバルオンの男性が威風堂々たる面持ちで歩いている。
「あぁ……正義のポケモン……」
 すっかり暗くなった宿街に現れたそのコバルオンは、男女問わず気軽に挨拶をされている。
「こんばんは、コバルオンさん。今日も見回り、ご苦労様です」
「エイリさん、こんばんは。お仕事終わったらウチに来てよー」
 お店に呼び込んだり、パトロールをねぎらったり、人々は好き勝手にエイリという名前らしいコバルオンに声を掛けている。名前で呼ぶ人と、種族名で呼ぶ人は大体半々くらい。名前で呼ぶときは、より親しみをこめた声かけをするときに多いようであった。
 あの人ならば何とかしてもらえるかもしれない。

「でも……まさか『私、元人間なんだけれど、ポケモンになっちゃって訳がわかりません!! 助けてください!!』……なんて言えないし」
「どうしましたか、お嬢さん? 何かお困りですかな?」
 考え事をしていると、近くまで迫って来ていたコバルオンのエイリさん。
「いや、いや、いや……何でも、ないです……」
 明らかに動揺していた彼女は、コバルオンに話しかけられて、さらに動揺してしまう。その事を不審に思いつつも、特に邪気のようなものを感じたわけではなかったのか、コバルオンは追求するようなことは何も言わなかった。
「ふむ、そうか……女性が1人で夜道を歩くときはお気をつけを」
 もしかしたら、頼れる唯一の人物かもしれない人から話しかけてもらったというのに、そのチャンスを無為にしてしまった自分を酷く恥じながら彼女は落胆する。
「はぁぁ……私は何をやっているんだろう」
 とにかく、彼女はもう自己嫌悪に陥って、だれが嘲笑っているわけでもないのに恥ずかしくなって、宿街から離れようと路地裏の方へ進んでゆく。それが間違いであるということも知らずに……
 彼女はあてもなく路地裏に入っていった。そして、迷ってしまった。壁に手を付きながら歩けばいつかは戻れると思って、そういう風に歩いてはみたのだが。
「お譲ちゃん、どこ行くの?」
 また話しかけられてしまった事にうんざりしたが、それよりも彼女は不穏な雰囲気に気付いた。相手は道を塞ぐように立っておりしかも3人いる。
「貴方には関係ないでしょう……」
 と、相手を突っぱねて通ろうとするものの、道はふさがれたまま。
「ちょっと、通してよ……」
「まぁまぁ、いいじゃない。俺達と一緒に、神に祝福されようぜ?
 なんという反吐が出る行為だ。と、彼女は思う。何より、そんな誘い方で本当に神の祝福なんてものが受けられるとでも言うのか。さっきのエレキブルの方がまだ紳士的でましである。
「嫌です」
 目を逸らしたりせずに、真っ向から断る。相手は3人……ペルシアンに、アーボックに、メガニウム。どうやら、馬鹿正直に戦ったら勝てる相手ではなさそうだ。
「そんなこというなよ? 痛い目にあいたくないだろう?」
「それってつまり……殴ったりするって」
「いやぁ、そうは言っていないけれど? 俺達の歓迎を乱暴に断ったりしたら弾みでそうなっちゃうことはあるかもしれないね」
 どうやら、話し合いでどうにかなる相手では無いようだ。憶測ではあるが、恐らく叫んでも誰も来ないというか、叫んで誰か来る場所でこんなことはしないだろう。あの見回りを頑張ってくれているコバルオンのエイリさんとやらの声も届きそうにない場所だというのが、彼女にも分かる。
「で、どうするの? お兄さん達、あんまり気は長くないよ?」
 そう言って、メガニウムが弦を伸ばして彼女の顎をそっと持ち上げる。
「わ、分かりました……で、でも……」
 ここで、彼女は一旦弱気になる。そこで一気に足から力を抜き、程よく膝が折れ曲がったところで、今度は打って変わって足に力をこめる。月明かりに照らされるのみの不明瞭な視界から、逃げ場の無い細い路地裏で、彼女はメガホーンを放つ。
 まずは相性的に一番厄介なメガニウムから。急所の喉を一撃、効果は抜群だ。
「な、メガ! お前大丈夫かよ……この、くそ女!!」
「やっちまうぞ」
 死んではいないだろうが、ダメージは甚大。しばらく立てはしないだろうと思うくらいにはやってやったつもりだ。それでっもやるつもりならばと、彼女は吠える。
「やってみろオラァ!! 女を囲んで脅すような男に、オラは手加減しないべ!!」
 吠えながら、アシガタナを抜く。二人がすれ違うのがやっとなこの場所で、長物は不利。しかし、逆に言えば相手は避けることが出来ないのだ。右手が左手に手を掛け、アシガタナを一本抜く。構えていた相手にそのアシガタナをペルシアンに投げつけると避けることは無理で、思わず目を瞑った。
 その一瞬、彼女から目を離した一瞬に、彼女はハイドロポンプを発動する。コレは放つときの隙が大きいおかげで避けられやすい技だが、ここは路地裏。先程と同じ理由で、避けることなんて到底出来るはずも無く、アーボックともども吹っ飛んだ。
 相手が体勢を立て直す前に、彼女はもう一本のアシガタナを構え、二本足での跳躍から、両手に持ったそのつるぎで持ってして兜割り。まだハイドロポンプをまともに受けていなかったために反撃の気概が残っていたアーボックを叩きのめした。

「はぁ、はぁ、はぁ……なんだ、私って案外強いじゃん……」
 と、自身の強さを実感しながら彼女は息をつく。最初に、一撃でメガニウムを倒していたため、相手が引け腰になっていたのが功を奏したが、それ以上に彼女の強さそのものもたいしたものである。
 ここで、彼女にも邪心が働いた。
「お金……お金……」
 こいつらは……私を強引に誘おうとした犯罪者なんだし……なら、やったらやり返されるくらいの想定はしているはずだ。だから、お金を盗んでも文句なんていえない、文句なんて……
 そう思いながら、彼女はお金らしき物が入った小袋を盗む。首に下げていたり、肩に背負っていたり。そういったものを探り当て、流石に全員から奪うのは可哀想だと思って、1人のだけは残し。周りから誰にも見られていないか、きょろきょろと辺りを見回して、その場を後に――
「あらー。悪い子みーつけた。」
 しようとしたが、どうにも誰かに見られていたようだ。
「シャンデラ!?」
「そうよ。でも種族なんてどうでもいいじゃない? そんなことよりも……相手にも非があることだし、盗もうとしたことは見逃してあげるから……そのサイフ、返して上げなさい。そういう行為は、心を貧しくするわよ」
 屋根の上から見上げるシャンデラは、優しく諭すような口調でそう告げる。
「う、う、五月蝿いわよ! 私が不安で怖くてたまらないって時に、次から次へと! 私の気持ちも知らないで、偉そうに!!」
 彼女も、押さえ込んでいた感情がついに爆発してしまった。金切り声を上げ、相手にはどうしようもない不満を叫びだす始末。
「なんだべ、この世界! 一体なんだべさ!! オラわけがわからないべよ……」
「この世界が何なのよといわれても、それは僧侶や哲学者にするべき質問。私の知ったことではないわよ」
「そういう事を言っているんじゃないべさ! 私は、いきなりこんな世界に迷いこんだんだべさぁ!! まったく、知らない! 未知の場所なの! 知り合いも誰もいないし、この世界の常識だって仕来りだって何も知らないんだべ!!
 訳がわからないんだよ……何も、何も……オラは……目覚める前まで人間だったはずなのに」
「うわぁ……」
「どうせこんな事言ったって誰も信じてくれないんだべ? だから、だから、誰にも相談できないから、一日中ずっと不安だったべ、怖かったんだべ!! お金を稼がなきゃ生きていけないかもしれないのに、オラはお金を稼ぐ方法も分からないんだべ! どうしろって言うんだべさ!!」
「あー……コレは……今、流行の英雄詐欺、かな?」
「何だべ、それは!! 英雄詐欺って、なんだべさ、それ!! 私が詐欺師だって言いたいのけ? もういいべさ、好きかって言うがいいべ。どうせオラは強盗で詐欺師で、最低の女だべ!! それで満足だべか!?」
「あー……面倒くさい。ともかくさ、みんな貴方に係わり合いになりたくないから助けようとしないだけで、寝ている人もいるんだから、あんまり騒がないでもらえるかしら? でないと、私も本気を出しちゃうわよ?」
 うんざりとした様子でシャンデラは言う。そして、シャンデラの言う本気を出すという発言は、本気を出せばダイケンキを倒すのも簡単だとでも言いたげである。
「……ごめんなさい」
 ダイケンキは言う。言葉は謝っているが、口調はむしろ『うるせぇ!』とでも言いたげな苛立ちを含んでいる。
「ともかく、お金に困っているなら、お姉さんと悪魔祓いでもする?」
「悪魔祓い……?」
「うん? 分からないのかしら」
「……だから、オラはここの世界の事はまったく分からないって、言ってるべさ」
「んー……やっぱり英雄詐欺、なんてことは……」
「な、なんだべさ! さっきから、英雄詐欺英雄詐欺って!」
 先程からぼやかれるその単語に、彼女はヒステリックに反応する。

「この世界はね。何度も『元々は人間であったポケモン』に救われているの。ジラーチと戦った目覚まし戦士、レックウザと戦った救助隊、ディアルガやダークライと戦った探検隊、世界の狭間から湧き出る瘴気を封じ込めた用心棒。ほかにも色々いるわ。
 そんな風に、人間が何度も世界を救ってくれるものだから、『私は人間です』って近寄って、家のものを盗んでトンズラする犯罪者がいるのよ。騙される方も騙されるほうだけれど。貴方は、どちらかしらね?」
 言いながら、シャンデラは屋根から見下ろすのをやめて、ふわりと降りてダイケンキと目線を合わせる。
「うーん、可愛い子。でも、ちょっとヒステリックなのは演技なのか、本気なのか、はたまた病気なのか……」
 かなり失礼な物言いではあったが、自分がいきなり信用されるだなんて、そんなことはありえないとダイケンキも分かっている。だから、疑ってかかる彼女に怒りをぶつけるべきではないと自制する。
「なんにせよ、さっきも言っていたけれど、悪魔祓いをするというのも手よ」
「だから、その悪魔祓いって……」
「話は最後まで聞きなさいな。悪魔祓いっていうのはね……元々はこの地域における神話の時代までさかのぼるお話なの。男と女で、子供を作る行為やその真似事を行うのは、命の数を増やす尊い行為として神が賞賛し、『神に祝福される行為』とされているの」
 先程から、いわゆるセックスをそう表現していた理由を知ってダイケンキは言葉を失う。
「そして、逆に女性同士、男性同士で快感を求め合ったり、子作りの真似事を行う行為は、非生産的な行為として、悪魔に魅入られてしまうの。コレは、神話の時代から言われていたことなのよ」
「いやいや、それじゃあ悪魔が憑いちゃうじゃないですか」
「そう。ところがどっこい……戦争では、陽動作戦なんてものがあるけれど、これはつまりそれなの。女性同士、男性同士の行為を覗き見しようとした悪魔をおびき寄せ……聖水や塩で一網打尽!! それが、悪魔祓いよ」
 つまり、こいつは自分に子作りの真似事をしてくれと頼んでいるわけなのだ、とダイケンキは理解する。
「それを、私にやれと?」
「ダメかしら? 私、危険な職業についているから、悪魔祓いは仕事のたびにしたい主義なの」
「それは性欲が強いだけじゃ」
「うーん、どうかしらねぇ? どうするの? 優しくしてあげようって気になっているうちに、媚びた方がいいんじゃないの? 貴方を、財布を盗んだ罪でしょっ引くことも出来るのよ? こっちは」
「私は……貴方が私を信用できないように、私も貴方を……」
「そう、ね。この際、英雄詐欺という可能性を取り払って言わせてもらえば、確かに初対面の人を信じるのは無理な話。そうやって警戒するのは正しいことだと思うわ。でも、ま……」
 そう言って、シャンデラはダイケンキに背を向けた。
「付いてきなさい。行きつけの酒場に連れて行ってあげる」
 そこでなら信用させられるとでも言いたげに、彼女は言う。
「酒と食事くらいならおごって上げられるけれど、そしたらお返しに……悪魔祓いをして頂戴ね?」
「う……は、はい……」
 もう、背に腹は変えられなくて、ダイケンキは頷いた。

「ところで、私の名前はミスティ=シャンデラ。貴方の名前は?」
「ユッキ……シンオウの言葉で、『ダニ』って言う意味なんです」
「シンオウ? って言うか、酷い名前ねー……貴方」
「いや、何でもありません……それに、酷い名前じゃ、無いです……格好いい名前や立派な名前だと悪霊に取り付かれるから……」
「ふぅん。そんな文化があるのねー。人間って興味深いわーっと」
 まだユッキのことが本当に人間なのか、それとも英雄詐欺なのかよくわかっていないミスティは、言葉とは対照的にまるで興味なさ気にそう言って笑う。その態度に内心苛立っていたユッキだが、その態度は表に出すことはしなかった。
「私のこと、どうして財布を盗んでいるところを発見できたのでしょうか?」
「貴方があまりにも怪しかったから、何かしでかすんじゃないかと思ってたのよ。あとは、可愛かったから、貴方と一緒に悪魔祓いしたいなーって。後は、危なげな雰囲気を感じたの……案の定ゴロツキに絡まれていたけれど、私が助ける必要もなかったのには驚いたわ」
 何の戸惑いも躊躇も無く、ミスティがそんな事を言ってのけるので、ユッキは顔を熱くさせる。
「要するに、女の勘よ。女の勘は、時にアブソルの角をも超えるのよ」
「はぁ……」
 ユッキは、わけもわからずにミスティへ着いてゆく。ユッキはミスティが悪い人ではないと、信じたいのだ。誰も頼れる人がいないから、誰か、誰でもいい、頼れる人が欲しいのだ。そんな気持ちを知ってかしらずか、ミスティの『行きつけの酒場に連れて行く』という提案は悪いものではなかった。
 そういう場所ならば、なじみの人もいるだろうし、それでミスティの人となりがわかるかもしれない。ユッキをそう考えさせるに、十分な情報である。
 ユッキは、付いていく間どこか安心していた。理由は、シャンデラという種族が常に明かりをともしていることだろうか。それが周りの人の命を燃やしているというのは十分知っているが、だからといって誰かの命をむやみに燃やしているわけではない。
 元気一杯の人が多い活気付いた街などでは、自然と漏れ出してくる生命力のおこぼれ、残りカスのようなものでも十分に煌々と燃やせるのだ。だから、こういった街では、よほどのことじゃない限り一緒に居たところで命を奪われる心配はないのだ。もちろん、それは日常生活に必要なだけ燃やす場合、の話ではあるが。
 そんな事を考えているうちに宿街のほうまで出てから数分。
「ここよ」
 と、ミスティが振り返る。そこは『クールダウン』という名前の、酒場兼宿屋といった所だろうか。宿街のメインストリートからは外れているため目立たないお店だが、漂ってくる料理の匂いは一級品だ。
「ここのお店、ルージュラが店主をやっていてね。何を食べても美味しいから、とりあえず何でも食べてみるといいよ」
「は、はい……」
 ユッキが頷いたのを見ると、ミスティは微笑んでドアを開ける。
「こんばんは! ルージュラママ」
「あら、ミスティちゃん。こんばんは。今日は見ない子を連れてきているわねぇ。どこで誘ったの?」
「路地裏。可愛いからついつい誘っちゃったの」
 ミスティが店に入った瞬間、間髪いれずに2人は会話を始める。
「お、本当だ。そのダイケンキの姉ちゃん、可愛い子じゃないか」
「名前教えてよー!!」
 はやし立てる様に、男性客2人の声。
「え、えっと……ユッキ、です」
「おー、ユッキちゃんかぁ! 何、今日は悪魔祓いでもするの?」
「あ、あの……その……」
 予想していないわけではなかったが、そんな質問をされてはどう答えていいものやら困ってしまう。ユッキは助けを求めるようにミスティの方を見ると、ミスティは気を利かせて前に出てくれた。
「この子、色々と事情があるから、あんまり自分の事を話せないのよ。だから、質問はあんまりしないであげたら助かるなぁ」
「そうなのーミスティちゃん? 残念ねぇ。でも、そういう子は多いから気にしなくってもいいわよ、ユッキちゃん。あ、名前で呼んでいいかしら? ウチのお店、アットホームな雰囲気にしたいから種族名よりも名前で呼びたいの」
 ミスティの言葉に、ママさんは気さくに応じる。
「は、はい……構いませんよ」
 ママの優しい物言いに、ユッキは戸惑いながらも頷いた。
「ちなみに、さっきの質問だけれど……私が代わりに答えちゃうと……ユッキちゃんとは悪魔祓いの予定よ」
「え、ちょ」
 ミスティの言葉に、ユッキは戸惑った。
「予定は未定だけれどねー。 ね、ユッキちゃん?」
 まるで確定したように予定を語るミスティに、ユッキは慌てた様子を見せるも、その前に意地悪そうな顔でミスティは笑う。
 その後からは、ミスティは私が奢るからと言って、ユッキにも料理を頼ませる。文字が読めないユッキにかわって、ミスティはどんな料理があるかを口頭で説明する。魚を贅沢に使った料理が食べたいと言ったユッキの言葉に応じて、ミスティは魚をバターと小麦粉でフライにしたものをお勧めし、軽く果実酒も頼もうとしたが、ユッキはそれを断った。

「へー、皆の反応が違ったと思ったら、シャンデラさんここの常連なんだ?」
「そうなのよ。貴方も、ここの味を知っちゃったら常連にならざるを得ないんじゃない?」
「いやぁ、それは……商売でここにきたときは来るけれど、毎日は無理だよ」
 酒が届いて、ミスティにお酒が入ると、初対面同士だというのにミスティは何の気兼ねも無く男性の商人と世間話に興じている。
「それにしても、ここはいい街だよね。奴隷が少ない。道を歩いていて、精気の無い瞳を見ると気が滅入っちまうから、そういうのが少ない分だけ他の街より来たい気分にはなるかな」
「アブラス様のおかげですよ。あの人がいなかったら、この街は奴隷だらけですよ」
「だよね。もしかしてダイケンキちゃんもアブラス様にお世話になった口?」
「え、え……?」
 どうやら商人らしいケンタロスの男に話を振られ、ユッキは困惑する。
「こーら、ケンタロスさん、ユッキへの質問は禁止。ユッキちゃん困っているわよ?」
「えー? ダイケンキちゃんはこんな質問もダメ? 厳しいねぇ」
 ユッキは本当に何の質問にも答えられなかった。自身がダイケンキになってしまった理由はもとより、この世界のことを何も知らないという事を、話を聞いているだけでもひしひしと感じる。
「すみません。でも、秘密の多い女性って素敵じゃないですか? 秘密の多い女、ユッキ=ダイケンキ……いい響きですよね?」
 こんな愉快で楽しげな空間にいても、不安を感じてしまう。それがすごく情けなくて、しかしだからといって雰囲気を悪くする事も出来ず、ユッキは笑って誤魔化した。
「うーん。そんな秘密の多い子なら。色々暴きたくなっちゃうっていう点では魅力的かも。悪魔祓いするんだったら、暴けるんだろ? シャンデラさん羨ましい」
「ふふ、女の子と悪魔祓い出来るのは女の子の役得よ。ま、男の子と悪魔祓いできるのも男の子だけなんだけれどねー」
 なんだか、話がどんどんと悪魔祓いをする方向に進んでいるような気がして、いよいよユッキは我が身に危機感を感じてしまうが――だからといってどうすればいいのかもわからない。ここまで世話になっている以上、悪魔祓いを断るのも無粋だし。

「せっかくだから、そろそろ悪魔祓いしちゃいますか? ママさん、聖水を2人分頂戴」
 酒が入っているミスティは、そう言ってユッキに笑い掛ける。
「え、あ、はい……」
 この世界に来た理由も分からない。この世界で何をすればいいのかも分からない。生きる方法すら分からないユッキは、もうミスティに身をゆだねるしかない。
「おー、みんな聞いたか?」
「ばっちり!」
「私も!」
 話していたケンタロス、他の客も、ママさんも。きっちり乗ってきている。というか、店内にいるミスティとユッキを除く6人ほど、全員が反応した。
「ママさん、聖水頂戴」
「俺も俺も」
「俺は塩を!」
「じゃ、俺はセージ」
「おぉ、一気に収入が増えてきたよ。ありがたいねぇ、ミスティちゃん」
 このものすごくノリのいい反応に、ユッキは言葉を失った。
「えへへ……この瞬間を待っていたのよね。ユッキちゃん?」
 ミスティはほんのりと赤くなった頬を見せて、ユッキと目を合わせる。上気したその顔は、恐らく酒だけが原因ではなかろう。
「よーし、俺達も悪魔祓いしようぜ。誰か立候補ー!?」
「お、それなら俺が」
 悪乗りした男達は、チルタリスとコロトックが悪魔祓いに立候補する。この2人もずいぶんと酒が入っているようだ。
「じゃ、3・2・1でキスをしましょう?」
「おう、濃厚な奴をな!」
 悪魔祓いは子作りの真似事と聞いたが、どうやらキスだけでもいいようだ。恐らく、本格的な行為はこういうお店の中でやることではないのかもしれないが……。

「と、言うわけで。よろしくね、ユッキちゃん」
「あ、あ、う、うん……」
 もう腹を決めるしかないと悟ったユッキは、ゴクリとつばを飲んでそれに備える事にした。
「ま、そんなに緊張しないでいいから。息を止めている間に終わるわよ」
「は、はい……」
 そんな優しい言葉では体をほぐされることもなく、逆に心臓を高鳴らせる事にしかならない。
「はいはい、皆さん。聖水にお塩、セージも用意したわ。お清めの準備もばっちりね」
 そう言ってママさんは、小瓶に入った聖水(何がどう普通の水と違うのかは不明)に、小皿に盛られた塩。そして、乾燥したセージの葉っぱを持ってきた。それも、お客の分だけでなく自分の分も。
「それじゃあ、皆さん注目!!」
 渦巻状の腕で聖水を手に取ったミスティが言う。
「おし、俺達もスタンバイだ!」
「OK」
 チルタリストコロトックが申し合わせる。
「それじゃあ、3・2・1・0!!」
 と、ミスティが言う。口から力を抜いて、目を瞑っていたユッキは、ミスティの口づけを受け入れた。さすが炎タイプというべきか、熱い体だ。その熱い体が触れ、あの陶器のような顔が意外なほど柔らかな感触を伴ってユッキに触れる。
 先端が尖ったマズルの中に、ミスティの舌が差し込まれる。妙に尖った円錐状の舌は、奇妙な感覚をユッキに与えながら、口をこじ開け、歯の防壁を開いてユッキの舌へと触れる。そこで、掬い取るように、撫ぜるように、巻きつくようにミスティの舌が踊り、その舞に打ちのめされるユッキは、流し込まれたミスティの唾液を味わいながら、ごくりと喉を鳴らして飲み込んだ。
「ん……」
 と、ミスティが口を離せば、彼女は口元をぺろりと舐めとり。聖水を構える。
「さぁみんな! 窓に向かって悪魔祓いだ!」
 と、ミスティが叫ぶ。
「おー!」
 と、声が続き、客の皆やママさんまでもが窓へ向かい、『悪霊退散!』だとか、『そこだ!!』などと声を上げて、聖水や塩、セージなどを窓からばら撒いた。
「よーし、これでみんなについていた悪魔は去ったわ。明日のお仕事もきっと上手くいくわね」
「おー! ありがとな、ミスティちゃんもユッキちゃんも」
「おいおい、俺達の事を忘れないでくれよ?」
 悪魔祓いをした女性2人が褒められたところで、一緒に悪魔祓い(というか悪魔を呼び寄せた?)男達2人が抗議の声を上げる。
「もちろんあんた達も頑張ってくれたねぇ。清めのための道具は安くしておくよ」
「いよ、ママの太っ腹!!」
 こんな調子で、悪魔祓いという行為は大いに盛り上がっている。悪魔を祓うというか撃退するという行為のためにわざと悪魔を呼び寄せ、痛い目にあわせる。最初こそ、人前で、しかも同姓と口付けを交わすだなんて恥ずかしいことだと思っていたユッキだが、人間だった頃とまったく文化が違う場所にて、少しその文化に触れただけで、なんだかその恥ずかしいという認識も消えてしまうようだった。


「ふー……どうだった? 初めての悪魔祓いの感想は? あれは、この地方独自の風習だからねー。遠くから来た人は結構驚くんだー」
 酒場でひとしきり盛り上がった後、ミスティたちは会計を済ませて店を出る。酒場兼宿屋といった感じのあの店の常連である彼女だが、自宅はすぐ近くにあるため宿は利用しないらしい。
「やっぱり、珍しいものなんですね」
「うん。この街を統治する希族の一つである聖剣士の一族が、同性愛を咎められた際に苦し紛れに言い訳した方法らしいからね」
「聖剣士の一族って……エイリさんの……」
「先祖に当たるわね。確かケルディオとテラキオンの女性だったわね。他の地方から来た人たちの認識は、『苦し紛れの言い訳を間に受けた、穢れた伝統』ってことになってるの」
「その2人が同性愛の現場を見られたのですか?」
「そういうこと。」
「……そりゃ、苦し紛れにもなりますね、うん」
 結局、本来はふしだらなことだったんじゃないかと、内心呆れながらユッキは苦笑した。
「それで、ユッキちゃんはどうするの?」
「どうする、というのは?」
「悪魔祓い、あの程度じゃ引き寄せられるのは下っ端だけ。舌の肥えた悪魔は誘引できないわ。言ったでしょう? 私は危険な仕事についているの……憑いちゃう悪魔もそれなりの強さよん」
 そう言ってミスティは微笑み、ユッキに顔を近づける。
「だ・か・ら。舌の肥えた悪魔も喜ぶ事をして、それから悪魔を一網打尽、しないかしら? 夕食をおごってもらえただけでもラッキーだと思うのであれば、このまま解散すると言う選択肢も止めはしないけれどね」
 つまり、金が欲しければもっと働けということらしい。仕方が無いことではあると、ユッキの理解できる。
「私は……」
「私はね。貴方が、英雄詐欺師なのかどうか、まだ疑っているし、別にそれ関係なしに、私だって親切心だけで何時までも面倒は見切れないわ」
「ですよね……」
「本当に貴方が人間の世界から来て、いきなり路頭に迷ったのであれば、それは確かに気の毒なことだと思う。けれど、だからといって甘やかすことは出来ないわ。分かるわね?」
「……やります」
「ん? いいの?」
「は、はい……その代わり、優しくしていただけれると……助かります」
「うーん、可愛い。そんな事を言われると、お姉さん優しくお相手したくなっちゃうわ」
「お願いします」
 結局、嫌なことから逃げていては前に進めないと、ユッキも覚悟を決める。それに、ユッキはミスティの今までの行動に、どこか安心感を抱いていて、ミスティは優しい人だという希望があった。
 だから、恥ずかしい事をされるかもしれないけれど、痛いことはされないだろう。だから大丈夫、だから大丈夫と、心の中でまじないのように何度も唱えて。
「じゃ、お姉さんの家に行こうか」
「はい……」
 燃え盛る紫色の炎を頼りに、ユッキは誘蛾の如くミスティに付いてゆく。不安からか、期待からか、心臓の高鳴りは抑えきれなかった。


「ここが私の家よ」
 石造りの集合住宅。2階建てのアパートの2階にある一室でミスティは立ち止まり、錠を解く。ミスティは開け放たれた部屋に一足先にはいると、ユッキのほうへ振り返って、入りなさいとばかりに手招きする。ユッキは殺風景な内装に目を泳がせながら玄関に入る。
 玄関から、ミスティは迷うことなくベッドルームへと案内する。シャンデラは浮いたまま眠れるのでベッドは必要が無いはずなのに、なぜだか藁葺きのベッドが置いてあり、それが密閉された室内に強烈な草の香りを残していた。
「さーてと、心の準備はいいかしら?」
「大丈夫、です……」
 ゴクリとつばを飲んでからユッキは頷く。
「うん、いい答えね。それじゃあ、そのベッドに寝てもらえるかしら?」
 藁のベッドは、床に直接置かれている。燃えてしまわないか心配なのだが、普段のミスティは燃えるような高温でもないので案外大丈夫なのかもしれない。そのベッドに、ユッキは恐る恐る腰を下ろし、子供に母乳を与える時のような四肢を投げ出す形を取る。
 右肩を藁に預け、横向きの体勢に。呼吸が震えそうになるくらいの緊張を飼いならし、深呼吸なのか荒い息なのか、気を抜けばすぐにでも呼吸のリズムも変わってしまうくらい。
「うーん、ユッキったら体中ガッチガチ。緊張しなくたっていいのに」
「そんなこといわれても……初めてだから」
「そうね。初物とは、美味しそうで結構」
 ユッキの初々しいセリフに、ミスティは舌なめずりしてほくそ笑む。
「大丈夫、怖くないから」
 そう言って、ミスティはユッキに顔を近づけ、鼻先を渦巻いた指でちょんと押さえてマズルの側面や頬に口付けする。唇から伝わってくるぬくもりに神経を集中していると、不意に豊かな口ひげをくわえられ、引っ張られる。軽い引っ張りですべての意識をそこに集中してしまうと、今度は彼女の渦巻いた指が、鼻の下、口先を撫でる。
 軽く撫でられ、ねじ込まれ、口の中に指を含まされ。恐らく数日は風呂に入っていないのだろう、土臭い匂いや汗の匂いがした。しかし、それを断るのは、無粋だろう。ここの文化では不衛生さゆえにこれくらいの味になっても風呂に入らないのが普通なのかもしれないからと、ユッキは何とか堪えて身を任せる。
 指を口に含んでいると、不思議となんだか吸い付きたくなる気分も沸いてきて、十数秒後には彼女の指をいとおしそうに加えるユッキの姿。その反応に気を良くしたミスティは、指を弄る悪い口に、もっと悪い事をさせようとユッキの正面に回り、口付けた。
 ユッキは、まだ戸惑いは隠せないながらも、今度は歯の防壁を築くこと無く舌を受け入れ、また自身も舌を突き出し、絡めあう。ざらりとした舌の表面で、互いの感触を、味を、確かめ合うように2人は舌をうねらせる。ミスティには慣れた行為だが、ユッキにとっては未知の動作だけあって、少々その動きはぎこちない。
 けれど、先程までとの反応の違いが、ミスティには酷く満足できることだったらしく。彼女は目を瞑ったユッキの顔を撫でながら、その愉悦をむさぼった。口付けの最中に、時折漏れる甘い声はユッキのもの。手馴れたミスティはそんなものを漏らすことも無く、一日の長を持った者の余裕と貫禄を見せ付けていた。

「ユッキちゃんったら意外と、積極的なのね」
 口を離し、舌を解く。ようやく喋られる状態になったところで、ミスティは目をあけユッキに語りかけた。
「……頼れる人が、貴方しかいませんから」
「頑張ったら頑張っただけ、お金が沢山貰えるから?」
「い、いえ……お金とかそういうのじゃなくて、頼りたいんです……本当に。だから、こうやって甘えて……そうすれば頼らせてくれるかなって……」
「うーん、どうしようかなぁ。さっきも言ったけれど、貴方を養うほどの余裕は無いんだけれどなぁ……」
「分かってます……けれど……」
 ユッキが顔を逸らして俯くと、ミスティは彼女の頬をやんわりと包んで自分の方に顔を向けさせる。
「でも、分かるわ。不安になったり怖くなったりすると、誰かの肌に触れて子供のように振る舞っていたくなる。そういう、誰かの体温が欲しくなる欲求っていうのは、私にもある。貴方もそうなんだぁ……誰かに抱きしめて欲しいの?」
「はい……」
 ユッキは当然のことながら、いきなりこの世界に放り出されたおかげで不安に苛まれていた。しかし、ミスティといる間は少なくとも安全である。そう思ってしまうと、彼女の不安な心は、そのままそっくりミスティへの依存心へと摩り替わり、それがこういう行動を起こさせている。
「仕方のない子」
 と、ミスティが言うとおりだが、それも言葉どおり仕方ないといえばそうなのかもしれない。

「一晩くらいは、甘えさせてあげましょうかね」
 そう言って、彼女は浮き上がっている体をユッキの胸のほうまで移動し、彼女が抱きしめられる位置に。ミスティは体が小さいため、普通ならば彼女がユッキを抱いてあげる立場なのだが、これではどちらかというとユッキがぬいぐるみを抱きしめているような格好だ。
 そうして与えられたミスティからのぬくもりに、ユッキは必死で食らいつく。数日は水浴びをしていない、あまり好ましくない体臭ではあったが、そんな事も厭わずに、温かみを胸のうちに封じ込めて。
 腕の中に閉じ込めるようにミスティ抱きしめ、そのぬくもりを存分に味わうこと数分。不安だった気分も大分落ち着いたユッキは、ゆっくりと息をつく。
「すみません、なんだか……変に甘えてしまって」
「いやぁ、別にいいのよ? 私は、ただ悪魔祓いがしたいのだから、存分に悪魔を呼び寄せればいいのよ」
「悪魔祓いって、それ……言い訳じゃないんですか?」
「正直、分からないわ。どっちが優先なのか」
 ミスティはそう言って、挑発するような視線でユッキを見つめる。
「私はどっちでもいいの。悪魔を祓いたいのか、それとも女が好きなだけかなんてね」
 言い終えて、口付ける。今度もまた、長い長いキスであった。とろけてしまいそうに熱くって、唾液がどれほど混ざり合ったのか分からなくなるくらい。口の中をかき回されれば、それは背中をヒルが這うような快感を味合わせてくれる。
 もちろん、それは性的な快感とは違うし、かゆいところを書くような快感とも違う。撫でられることの至福を、極限まで高めた、満足感の塊のような快感だ。人の体温、肌のありがたみが、このキスという行為には詰め込まれている。それが快感となって、ユッキの脳内を満たしてゆく。くせになってしまいそうだ。

 散々行われた口づけに満足したミスティは、いよいよユッキの口から顔を離し、彼女の首筋、胸を指でなぞる。乳房の無い胸板、副乳が付いた腹。そこにある乳首を控えめに爪弾き、流れるように下腹部へ。
 その過程で、敏感なところを撫でられたユッキは何度も体をピクリと動かし、体中を敏感にする。
 やがて、女性として一番大事な部分にミスティの指が触れると、ユッキが息を飲むのが目に見える。呼吸のために胸が膨らむ様子から、ありありと緊張しているのがわかる。
「大丈夫? 今日はここでやめる?」
「い、いえ……私は……最後まで、大丈夫です……」
「ふぅん……そりゃまた、嬉しい言葉ね。確かに、大丈夫そう」
 いつもは渦巻き型の指を伸ばし、ミスティは愉悦のあまりか火力を上げる。
「こんなに誘われているように濡らされると、興奮しちゃう」
 その伸ばした指を、ミスティはグイッと割れ目に差し込む。まだごく浅い場所だからか、抵抗もなくそれを飲み込んだ。当然、初めて異物を飲み込むその場所にかかる負荷、感じる違和感にユッキは歯を食い結ぶ。まだ、体は疼いても、脳は欲しても、それだけですべてを受け入れる器量を得られるわけでもないらしい。
 だから、ミスティは焦らない。ネジを回転しながら差し込むように、指を釘ではなくネジに見立てて、ゆっくりゆっくりと慣らすのだ。
「ところでさ、ユッキ」
「は、はい?」
「女の子同士っていうのは、どんな気分?」
「分からないです……記憶も何もないので……男の人と違うのかどうかも分からないですし、そもそもここの世界の男の人がどんな感じなのか、掴みきっていないですし……貴方の事も、この世界の事もよく知らないから、どう表現すればいいのかわからないです」
「そっかぁ、残念だなぁ」
 言いながら、弄る手は止めない。ゆったりとした手つきは、絶頂を呼び起こすには足りないが、彼女の中をほぐしてあげるだけの力はあるようだ。ミスティの指はネジを差し込むように、徐々にユッキの深淵を目指していく。
「でも、そんな相対的な基準なんていらないわ」
 その刺激に翻弄されるユッキの肉壁は、踏み入った異物をまだ客人とみなしはしない。
「絶対的な基準で、楽しませてあげる」
 今は押し返してしまおうしているが、すでに彼女は名状しがたい感覚を僅かに見つけている。くすぐったいとも違う、痛いとも苦しいとも違うような。
 もちろん、それらの感触もあるにはあるのだが、圧迫する痛みや苦しさの中にもっと触れていて欲しいと思えるような感覚は、まだまだ快感というには足りない。彼女がそれを自覚するのはまだ先なのだが、自覚する前から執拗に触れられていれば、徐々に天秤は傾いていくもので。
「なんだか表情が変わってきたけれど、大丈夫?」
「大丈夫です……もっと、お願いします」
 体が慣れ、神経が慣れ、脳が昂ぶって、そうして見出していく快感の欠片は、徐々に増殖して意識せざるを得ないものに。左右に捻りながらねじ込んでいった指は、今はもうスムーズに前後運動が出来るように。
「そう、大分こなれてきたのね」
 ユッキの体がそうなってくると、彼女の体は侵入者を客人と認め、本能的に揉み解してやろうと、思考に拠ることなくミスティの指を締め付ける。その指の締め付けは、仄かに感じる快感が体を突き動かしている証拠。客人をもてなすための刺激であり、そしてそのもてなしの対価として、彼女の体には快感が走っている。

 その客人は本来神が挿入する事を意図した器官ではないと頭では理解しているものの、体はそんなことはお構いなしだ。いまやユッキの体は、ミスティの指をしっかりと受け入れ、それによって与えられる快感を享受している。
「……悪魔に魅入られさえしなければ、この街はいい街。悪魔さえいなければ、きっと貴方に幸あるわ。頑張りましょう」
 そうして、快感を脳で処理するので一杯一杯になっているユッキに、ミスティは甘く甘くささやいた。
「は、はい」
 息切れしながら答えて、間髪いれずにふぅ、ふぅ、と荒くつく息。一歩踏み込むたびに未知の領域となる快感。体が火照り、下半身が否応なしに反応し、体は雄を受け入れやすいように腰を浮かす体勢に。この世界での常識を知らないユッキは、何が恥で何がいけないことなのかも分からず、だから開き直って本能に任せていた。
 それゆえに、あまり恥じらいの無いその態度がミスティには少し不満なところもあったが、素直に快感を感じ、そして流されていく初々しさには少なからず思うところがあった模様。
 舌なめずりなんてしながら、ユッキの粘液で濡れた指先から感じるぬくもりを存分に味わっている
 やがて、ユッキの体は限界に達し、彼女の中から出来うる限りの快感を引きずり出した。
「んあっ……」
 っと、自然にあえぎ声が漏れ出た。今までとは比べ物にならないくらいに彼女の中は収縮し、痙攣しながらミスティの指を締め付ける。ぎゅうぎゅうとした手荒い歓迎に、ミスティは指の感触を大いに味わった。
「どう、それが女の子の絶頂よ?」
「は、はい……どうも、です」
 うつろな目をしたユッキのその返答に、ミスティはふふふと怪しげに笑うと、何も言わずに愛撫を再開する。
「あ、う……まだやるんですか?」
「うん、何度でもね」
 男性と違って、女性は一度絶頂に達しても、性欲の減退は乏しいし、男性と違って連続で絶頂に達することもできる。さらに、絶頂のあとは敏感で、だからこそ、攻められ続ければ延々と絶頂に晒され続ける事になる。初めてのユッキにもそれはなんとなく分かっていて、一回絶頂に達しただけでも疲れたというのに、これ以上疲れることは想像したくもなかった。
「はい、ユッキ。じっとしてる」
 だというのに、体をよじって体勢を変えようとしたユッキに、ミスティは冷たく言い放つ。自分が満足するまでは、相手を何度も絶頂に導いてやりたいようだ。
 ぐいぐいと、飽きもせずに何度も何度も指を出し入れする。そのせいで、ユッキは幾度も絶頂を繰り返され、休む時間は与えられない。疲れているのに、体は勝手に反応してミスティの指を締め付ける。抗議の言葉を浴びせる隙も無かった。
 ユッキとしては何回ほどか数える余裕も無かったが、ミスティの感覚で7回ほど絶頂に達したあたりで、飽きたと言うべきか満足したというべきかミスティは手を止め、ユッキの愛液で湿り気を帯びた手を満足そうに眺める。
 そして、万感の思いを込めたため息を一つ。
「悪霊退散!!」
 弾かれたように飛び上がってからサイコキネシスで窓を開け、聖水を振り掛けた。そのまましばらく、彼女は静かであった。

「貴方も、これからの生活に不安なことなんていくらでもあるでしょうけれど。悪魔祓いは済ませたわ。だから、これからの貴方に、幸多き未来があること、祈っている」
 突然に態度が急変したミスティの様子に戸惑いを隠すことが出来ず、疲れている事も相まって彼女はしばらく唖然とする。
「……いや、そうは言われましても」
「分かってる。行く当てが無いのでしょう? だったら、私がいくつか道を示す」
「……はい」
 まだ霞の掛かった意識の中だったが、ユッキはミスティの言葉を聞き漏らさないようにと、今まで仰向けであった体勢を正してミスティに向き合う。
「一つは、悪魔祓いや神から祝福を受ける行為に付き合うことで、食いつなぐ道。今日のような事を、お金が溜まって気が済むまで繰り返すの」
「あまり、それを選びたくは無いですね」
「うん、そうでしょうね。もう一つは、犯罪者となる道。あのまま、私が貴方を咎めずに、財布を盗ませていたらそうなっていたかもしれない」
「……一応、あれはあれで良心が痛みます」
「そっか、いい子なのね? それとも、貴方の中の悪魔が祓われた証拠かしら?」
 ミスティに面と向かって言われ、嬉しいやら恥ずかしいやらでユッキは顔が熱くなった。
「そして、もう一つ。土下座してでも、どこかの誰かに仕事をさせて欲しいと頼むこと。うまくいけば安定した生活が望めるけれど、場合によっては酷い搾取に合うかもしれない」
「人を見極めないと……」
「そうね。それについては私がいくつか知り合いを紹介できるとして……それで、最後の選択肢。それはね……私と一緒にダンジョンの中を生き抜く、冒険者となること」
「冒険者、ですか? なんですか、それ……」
「知らない? んー……もしかして、人間の世界には不思議のダンジョンが無いのかなぁ?」
「残念ながら、知らないです……」
「そう。不思議のダンジョンって言うのはね。この世界に散らばる、『ヒト』が踏み入る事を嫌う場所。そこには、心を失ったポケモン達、『ガキ』が跳梁跋扈している。その『ガキ』は、私達『ヒト』を見れば、襲い掛かってくるの。それゆえ、『ヒト』である私達がその不思議のダンジョンに足を踏み入れることは、危険が伴うの。
 そして、私を含めた冒険者は、力のない『ヒト』や物を送り届ける仕事。ダンジョンに発生した強力な力を持つ『ガキ』を始末する仕事。ダンジョンに逃げ込んだお尋ね物を追う仕事。『ガキ』になりかけの『シュラ』を救助し『ヒト』に戻すこと。ダンジョンの中から物を持って帰るお仕事。
 それらを、生業にしているの」
「私が、それに……?」
「うん。貴方ならきっと出来る……基本的に日雇いの成功報酬だから、身分とか、出生とか、気にしなくっていいから」
「私は……」
 どうすればいいかわからない。だからこそ、ミスティについてゆくことが正しいような気もしたが、実際問題どうすればいいのだろうか。
「ゆっくりと考えなさい。まだ時間はあるのだから……それとね」
「はい」
「目を瞑って」
「こう、ですか?」
 ミスティに言われるままに、ユッキは目を閉じる。すると、左前足の爪に冷たい感触が触れた。次いで、濃厚で仄かに甘い草の香りが立ち上った。
「よし、いいわ」
 前足を見つめてみると、そこには、真っ赤に染められた左足が月明かりに照らされている。
「それはペイントの実。真っ赤に色付いたそれは、体に付いたらしばらく……1週間は色が落ちない……」
「何でこんなものを?」
「貴方が、英雄詐欺師だったらどうしようと思ってね?」
「また、それですか……」
「疑っておくに越したことが無いからね。だから、貴方がもしも私からお金を取る気なら、諦めなさい。貴方が金を奪った後にでも何でも、私が生きていたら、貴方をその色が消える一週間は追い回すわ。だから、英雄詐欺をするつもりだったのならば、お金を受け取って立ち去りなさい。そうすれば、私は貴方を見逃してあげることが出来る」
 ミスティの物言いは、悪い事は出来ないという事をユッキに感じさせ、その結果ユッキの選択肢は一つ潰された。
「私は、やります。ミスティさんに付いて行って、仕事をします」
 それでもまだまだ選択肢は色々あったはずだが、ユッキはそれを蹴って、ミスティの元に残る事を決めた。
「ありがとう。よろしくね」
 ミスティは、ユッキの返答に微笑んだ。


 結局ユッキは、英雄詐欺師ではなかった。本当に彼女の言うとおり、人間の世界からやってきた、人間の女性であった。そして、彼女が何故こうしてこの世界に来たのかは不明まま。
 そして、かつての英雄達と同じように、彼女達もまた時を経るにつれ、心を許しあうようになってゆく。
「それじゃあ、ミスティさんの両親は……」
「うん、モンスターハウスでフリーフォールされて、敵陣の真ん中に連れ込まれてボコボコにされて『シュラ』になって……そのまま見つからずに恐らく『ガキ』になってしまったと思う。私は、冒険者の女性と一緒に悪魔祓いをしたおかげなのかな……助かったけれど……私が悪魔祓いにこだわり始めたのも、それから」
 信頼しあえる関係になった2人は、踏み入った会話もできるようになっていた。ユッキの過去は未だに何も分からないが、その事情がここで絆を紡ぐことへの支障にはならなかったようである。
 あの日、悪魔祓いをした後のミスティの祈りは、とりあえずは効果が続いているようだ。



後書き 

このお話ですが、構想中の長編の一部と言う扱いになります。実はこの2人、主人公ではなく主人公の仲間として出てくるだけの存在ですが、あまりぞんざいな扱いにしても可哀想なので、彼女達なりの過去などを描いてあげようと思い至ったのが、このお話を書いたきっかけです。
その長編ですが、今のところ完結の見通しも立っていない有様ですので、あまり期待しないで待っていただけると嬉しいです。

それでは、票を下さった皆様、ありがとうございました。


大会中の感想 

独特のテイストがある世界観と、そこで紡がれる官能に楽しませてもらいました。 (2013/04/05(金) 12:57)

どうもです。自分は世界観をきちんと作ってからじゃないと、何も書けない性質のようです


面白い風習ですなぁ%%俺もやってみてぇ%% (2013/04/06(土) 03:10)

なん……だと。いや、私も色々欲望詰め込んだ結果ですので、そう言っていただけると嬉しいです。


ちょ、仮面どこいったww

貴方の心の中に!

続きの話にも期待させていただきますです。 (2013/04/06(土) 13:49)

どうもです。いずれまた会える日まで!


ゲームスタート時にパートナーが付かないという設定が面白いですね。
自分が何をすればいいのかさえ分からず宛も無く彷徨い、他のポケモンに話しかけて情報収集したくても怖くて出来ない。
独り身のユッキの困惑ぶりが凄くリアルで、突如異世界に放り込まれてしまった恐怖感、孤独感が強く伝わって来ました。

ありがとうございます。信頼できる人を探すという過程が既存のポケダンにはないので、それを新たな要素として詰め込んで見ました。

弱肉強食でハードモードな世界感ですけど、そこまでやるかと思うほど冷たく、警戒していたミスティが最後にまさかのパートナーになって、
ああ、やっぱりパートナーって良いな、と言う感じで締めたのもこれまた心憎いですね。 (2013/04/07(日) 19:07)

ミスティ自身は、わりと親切で優しい方なんです。ただ、その優しさを仇で返されるのが嫌でああいった態度をとっていますが、仲良くなった後からならば、いくらでもいいめんを探すこともできるはず……です。


独特の雰囲気を持った作品に引き込まれました。他の作品と比べ、印象に強く残りました。 (2013/04/07(日) 23:26)

どうもありがとうございます。その結果が仮面の意味が無いような作風なのですがねw


続編が読みたくなる作品でした! (2013/04/13(土) 00:54)

待っていてください……もしかしたらお蔵入りになるかもしれませんが

コメント 

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  • しばらく時間がたちましたが、大会お疲れ様でした。
    表明文の時点で分かるってやっぱりすごいですw。たった数行ですからね!
    内容としては、シチュエーションからカップリング、展開等、苦笑しながらすらすらと読ませてもらいました。
    ところで、僕が知る限り初めて最終進化になった人間だと思うのですが、種ポケモンになる人間とでどういう風に条件が違うのでしょうか?ちょっと気になります。
    これからも頑張ってください。
    ――カナヘビ 2013-04-22 (月) 18:28:37

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Last-modified: 2013-04-16 (火) 00:00:00
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