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悪の饗宴 4

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悪の饗宴 


作者:COM

悪の饗宴 3

七話 [#6Dlocxz] 


 同じくこちらはフランチェスカの方。
 彼女は特にリオーニのように愕然としているわけでもなく、かといってミアのように結果に不満を持っているわけでもなく、寧ろワクワクとした様子で周囲を見回しながら先を行く兵士に連れられて歩いていた。
 挙動不審と言うわけではなく、本当に子供が目に写る物全てに興味を惹かれるようにただ見慣れぬ光景を楽しんでいるといった様子。
 しかし先を行く兵士はどうにもフランチェスカの様子が気になって仕方がないようだった。
 例に漏れずフランチェスカを送っていた兵士はヴィルヘルム。
 彼も初めて会った時からフランチェスカの事を警戒していたが、どうにも今の彼がフランチェスカを気にしている理由は違ったようだ。
 何故かチラチラと彼女の様子を窺い、視線が合いそうになると不自然に視線を逸らす。
 そんな調子だったため前の二組と違い、ヴィルヘルムとフランチェスカは今のところ会話をせずにただ屋敷をまっすぐに歩いていたため、何事もなく屋敷の外へと辿り着いていた。

「そ、その……送迎はここまでだ。今日はまあ、災難だったな」
「別に? 普段体験できないことがいっぺんに体験できて結構楽しかったわ」

 しどろもどろになりながら言葉を絞り出したヴィルヘルムに対して、フランチェスカは特に変わった様子は無く普通に言葉を返した。
 というよりもどうにも先程から様子がおかしいのは寧ろヴィルヘルムの方だ。
 ただフランチェスカを屋敷外まで送り出しただけだというのに不自然に彼女と視線を合わせることを避け、やたらと言葉にも詰まっている。

「そ、そうか! 楽しいと感じられたのなら、君さえよければ是非聖十字騎士団(ロイヤルナイツ)に入団してみないか?」
「どうして?」
「え!? いや、どうしてと言われても……」

 彼女の言葉を聞いてヴィルヘルムは唐突に聖十字騎士団(ロイヤルナイツ)への入団を薦めたが、その言葉は何処か感情が籠っておらず、えらく棒読みだ。
 ただフランチェスカが聞き返しただけでも狼狽えており、どうにもその返事にも詰まっている。

「理由もないのに急に誘ったの?」
「いや、その、楽しいと思ってもらえたのなら」
「私が言うのもなんだけど、聖十字騎士団(ロイヤルナイツ)ってかなり名の知れた騎士団でしょ? そんな凄い人達が同好会に誘うような感覚で勧誘しちゃっていいの?」

 言動の端々に不自然さが満載のヴィルヘルムに対して、フランチェスカは至極真っ当な言葉を返すというのはなんとも不思議な光景だ。
 晩餐会の日と今とで完全に立場が逆転しており、明らかに何かを隠そうとしている彼の本心がどうしても知りたくなり、興味津々で彼の言葉の不自然さを突いてゆく。
 その後も何度かヴィルヘルムは当たり障りの無いそれらしい言葉を並べてはみていたが、視線はあちらこちらへと泳ぎ回っており、言葉はまるで操られているのかと思うほどに感情が籠っていない。
 その悉くをそう感じて当然な疑問で返して行く内に観念したのか、ヴィルヘルムは次に口にする言葉を何秒間か考えた後、がっくりと頭を落として溜め息を吐いた。

「始めに君が指摘した通りだ。俺には君を誘う理由はない」
「なにそれ? じゃあ誰かがあなたにお願いしたの?」

 フランチェスカが聞き返すとヴィルヘルムはこくりと頷いた。

「君を聖十字騎士団(ロイヤルナイツ)へ入団させるように交渉しろと命令したのはガウナ様だ」
「ガウナさん? どういうこと?」

 考えに考えた末に真実を伝えることにしたヴィルヘルムは漸くきちんと自分の言葉で喋り始めた。
 しかし意外だったのはフランチェスカを入団させるように命令したのがガウナというところだろう。

「本当はこの事も君には言うなと口止めされていたが、やはり俺には君を騙すような真似はできない」

 ヴィルヘルムの話を聞く限りでは、既にフランチェスカの正体もヴィルヘルムは伝えられていることと、どんな手を使ってでも引き入れろと言われたことだ。

「意外ね。あの人みるからに世間知らずの箱入りお坊っちゃんって感じなのに」
「そう思わせられるのがガウナ様の凄い所でもあるが、清濁合わせ呑む器量の広さと裏の裏まで読む心理掌握能力の高さはハインリッヒ様をも凌ぐほどだ。……ただまあ、少しばかり性格に難があるのが珠に傷といったところだろうか」

 ヴィルヘルムの説明を聞いてフランチェスカは納得した表情を見せたが、同時に彼女の笑顔も薄らいでいった。
 彼等の目的が自分をどんな手を使ってでも手に入れることと分かれば誰だってそうなるだろうが、それと同時に一つどうしても気になったことを訊ねた。

「だったらどうして送迎するふりしてそのまま牢にでも入れなかったの?」
「その理由はガウナ様は教えてはくれなかった。だが、俺もそうだったからこそ思うに、ガウナ様は君の意思で聖十字騎士団(ロイヤルナイツ)に来て欲しいのだと思う」

 今のところヴィルヘルムに嘘を吐いている様子はなかったためフランチェスカも彼の言葉を信用することにしたが、それはそれでまた別の疑問が浮かんでしまう。

「俺もそうだった。ってどういうこと? あなたも怪盗だったの?」
「いや、俺はそんな大それたものじゃない。ただの狼少年だ。災いを察知できる能力を悪用して、野党の襲撃や山火事をでっち上げて村人を困らせて回るのが楽しくて毎日のようにふざけてた」
「怖いもの見たさってやつ?」
「いや、困らせてみたくなった……といったら伝わるだろうか。相手が笑っていれば怒らせてみたくなるし、嫌がっていたら敢えてその反応を見たくなってしまう。どうしようもない奴だったろう」

 ヴィルヘルムは心底自分の過去を恥じているのか、話している最中もとても申し訳なさそうな表情をしていた。
 だがそれを聞いていたフランチェスカは寧ろ嬉しそうだった。

「あーわかるわかる。何となく唐突にほっぺたを叩いてみたらどうなるのか気になってウズウズしちゃうことがよくあるわ」
「昔友人だった奴に一度やったことがある。滅茶苦茶怒られた。いや、怒られると分かっていたはずなのにやってしまった」
「"だった”ってことは絶縁されちゃった?」

 ヴィルヘルムの苦い過去の話を聞いてフランチェスカは聞き返したが、遠くを眺めるように目を細めて首を横に振った。

「死んだよ。俺が嘘を吐き続けたのが原因で誰も信用しなくなった時に本当の災害を察知したんだ。当然誰も信用しなかった。結果俺一人だけが逃げて……逃げ遅れた皆は……助からなかった」
「自業自得ね」
「辛辣だな。だがその通りだ」

 ヴィルヘルムの話を聞いても彼女は特に同情するような様子もなく、普通の人ならば逆鱗に触れるような一言をさらっと言ってのける。
 だが彼も少しだけ辛そうな表情は見せたものの、それが正論だと分かっているからか語気を荒げるようなことはなかった。
 フランチェスカとしては彼の神経を逆撫でするような言葉を投げたのは無意識ではなかったらしく、反論してこなかったのを見て少々驚いていた。

「俺が自らの行いを見直すにはその代償はあまりにも大きすぎた。自分の浅はかさが呪いきれず、自暴自棄になっていた時に……俺はハインリッヒ様に出会ったんだ。幸せとは何か。正義とは何かをハインリッヒ様や団員の皆から学ぶことができて、俺は変わることができたんだ」

 そう言ってヴィルヘルムは彼女の顔をしっかりと見つめ直して口にした。
 彼としては、自分と似た雰囲気を感じるフランチェスカにも自分のような耐えきれない後悔を味わう前に今の考えを改めてもらいたいという思いがあったのだろう。

「先に言っておくけど嫌よ。私そういうお涙頂戴みたいな経験談で情に訴える系の話嫌いだから」

 だが当の本人には微塵もそのつもりはないのか、彼の言葉を聞いて次に来るのは自分の経験談を基に自分にも変われる切欠を与えようとしているのが目に見えてていたため、彼女は彼が次の言葉を言う前に遮った。

「え!? いや普通ここは最低限話ぐらいは聞く流れだろう!?」
「言ったでしょ。私も確かにあなたみたいに他人を困らせるのが大好きよ。でも残念ながらそれで人が離れていこうとなんとも思ってないの。自分の欲望を抑え込んでもいいことなんて何一つないって思い知らされたからね」

 どうにもヴィルヘルムの考えている通りに話が進まず、彼の表情から少しずつ焦りが見えていたが、それは逆に彼女としては好都合だった。

「君も過去に何かあったのか? だったら……」
「だったら聞かせてみろ。でしょ? だったらあなたみたいに凄い嫌な思いしたとかでもないわ。残念ながら私のはよくある家庭内の問題よ。ろくでなしの両親に顎で使われて、いつかそんな親でもまともになってくれるって信じてたら売り飛ばされただけ。寧ろあんな家から解放してくれてよかったわ」

 ヴィルヘルムの話はそれこそよくある流れであったため読みやすかったのか、フランチェスカはその話を彼の段取り通りに進めさせず話に割り込み、悉く話の腰を折ってゆく。
 定番の話までも遮られたことで遂にヴィルヘルムは打つ手が無くなったのか、話すのを諦めた。

「もう終わったかしら? それじゃ、いつか縁があったら来たげるわ。まあ無いでしょうけどね」
「一つだけ! ……一つだけある」

 そう言ってフランチェスカは踵を返してその場を去ろうとしたが、そんな彼女の背中にヴィルヘルムは一瞬だけ大きな声で話しかけ、彼女の歩みを止めた。
 彼女としてはもう彼に打つ手が無いのは分かりきっていたため、最後の悪足掻きだと分かっていながらわざわざ振り替えってみせた。
 裏を返せばこの先の言葉を論破すればもう彼女が引き止められることはないと分かりきっており、必ず言いくるめられる自信があったからだ。

「で、その一つってのは何かしら?」
「……してでも、引き入れろと……言われた」
「よく聞こえなかったんだけど、もっとはっきり言いなさいよ」

 それはどうにもヴィルヘルムが最初に言い淀んでいた事だったらしく、今一度彼は言葉がしどろもどろに戻り挙動不審になった。
 流石にわざわざ引き止められた上でよく聞き取れなかったのでは彼女も少々苛ついたのか、少々語気を強めて聞き返した。

「む、無理矢理自分の女にしてでも引き入れろと言われたんだ」

 口にするとほぼ同時にヴィルヘルムは顔を真っ赤にして視線を逸らした。
 流石にそんな内容が飛び出してくるとは予想していなかったのか、フランチェスカは少々話が飲み込めずに呆然としていたが、理解すると何故か顔をにやつかせた。

「へぇ~……。なら私はあなたにレイプされちゃうってことなのね」
「違う! そんなことだけは絶対にしない! 騎士である前に俺にも誇りがある! 女性を無理矢理力で屈服させるような真似は決してしない!」

 敢えてフランチェスカは言葉にしてみせると、先程までのもじもじとした様子から一転して彼女の目を見てはっきりと言いきった。
 そんな返答はこれまでのヴィルヘルムの様子を見ていれば誰でも用意に想像できたが、彼の認識や価値観というものの再確認と、言質を取るという意味を込めて彼女は口にさせたのだ。

「あら残念。てことは私とシてくれないんだ」
「うぇ!? いや? その? 君さえよければそれでも構わないとは思っていなくもなくもなくもなくも……」
「いやどっちなのよ」

 にやにやといやらしい笑顔を浮かべたフランチェスカは今までずっとその場を動かなかったが、分かりやすい反応を見て持ち前のしなやかさを駆使してまとわりつくようにヴィルヘルムにすり寄る。
 純情少年(チェリーボーイ)としてはそれだけでも充分過ぎるほどの刺激だったのか、次に口にしようとしていた言葉すら出せずに訳の分からない表情のまま硬直していた。
 下心が無かったわけではないだろうが、その割には直接的に持ち掛けられると畏縮する辺りがあまりにも純粋すぎる。

「どうしようかしらねぇ……。私、あなたとなら仲良くやっていけそうな気がするのよ」
「だ、だったらとりあえず友達から!」
「え~。そんなに回りくどいのなら私、このまま帰っちゃおうかしら?」

 純情少年(チェリーボーイ)と分かるや否や、彼女の嗜虐心に火が点いたのか身体をすり寄せてヴィルヘルムの劣情を駆り立てるが、口にしただけあり彼の自制心もまだまだしっかりと働いている。
 奥手な彼の反応は弄びやすく、彼女の悪戯心を本領発揮させてゆく。
 どう見てもヴィルヘルムは手を出すことだけは避けたいらしく、そうなると尚更彼から自分を襲わせたい。
 元々彼女も清楚とは遠い身の上であるため、リオーニと同じく貞操観念はそれほど固くはない。
 そのため別に彼と性行為に発展したとしても彼女としてはお遊びの範囲を越えることはないため、それほど重たく捉えてはいないのだろう。
 そうして何周も彼の回りを歩き回り、自分のものだとマーキングするように彼女の匂いをすり付けてゆく。

「ねぇ、あなたはどうしたいの? 私と交尾したくないの? それともただ言われたからそれ限りの関係なの?」
「し……正直、君は魅力的だ! だからこそきちんと君のことを知りたいし、きちんとお付き合いしたいです! なのでガウナ様の言葉とは関係は御座いません!」

 訳の分からない言葉遣いにフランチェスカは思わず吹き出しそうになるが、必死に笑いを堪えながらもう少しだけヴィルヘルムの反応を楽しむことにした。

「別にいいじゃない? 今私を手に入れれば後でゆっくりと知ることもできるわよ?」
「付き合うのなら清いお付き合いをさせてくださいぃぃ!」
「そんなおしめの取れない子供じゃないんだから。ねえ教えて? 私とどんなことをシたいの?」

 小悪魔の禁断の囁きを耳にし、彼女から香る匂いが備考を擽り、触れ合う肌と肌が嫌でも良からぬことを連想させてしまう。
 五感のほぼ全てを彼女に掌握されつつもヴィルヘルムの中に残る最後の紳士が必死に本能を抑えつけていたが、彼女の長い髭が頬を擽り、そのまま柔らかな唇か彼の唇に触れ、ほんのりと甘い味と香りを届けたことで本能が勝った。
 彼女の柔らかな唇に自らの舌を触れさせて上唇を舐めていると、その舌に握手でもするように彼女の柔らかな舌が触れる。
 導かれるままに舌と舌を触れ合わせ、絡み合わせて唇をしっかりと重ね合わせた。
 彼女の舌を辿り、先程の甘い香りとほのかな甘味が今一度口の中に広がると、彼女の唇はそっと彼の唇から離れていった。

「じゃ、続きはあなたのお家でしましょうか」

 既にヴィルヘルムの紳士は死んでいた。
 ブンブンと何度も首を縦に振り、少しばかり早足で自宅まで彼女を迷わず先導して行く。
 ヴィルヘルムの部屋も例に漏れず小綺麗に纏まっており、布団もきちんと三つ織りにされて部屋の隅に寄せてあるところを見る限り、普段からとても几帳面なのが窺える。
 前二人と比べても人一倍綺麗に整頓されており、これならば急に女性を部屋に呼んでも幻滅されることは無いだろう。

「うっわ。必要なもの以外、なんにも無いじゃない。毒にも薬にもならない部屋ね」

 前言撤回、癖の強い女性には悪印象を与える。
 しかしそんな嫌味も今のヴィルヘルムには届いておらず、いそいそと机をずらして二人分の空間を作り出す。
 なんとも言えぬ微妙な笑顔で彼女を見つめてはいるが、本能に負けた割には無理矢理覆い被さったりではなく、彼女の対応を待っているのがなんとも健気で同時に不憫でしかない。
 本当はフランチェスカもここまでで止めようかとも考えていたが、まさか本能に負けた雄が雌に主導権を委ねるとも思っていなかったからか、彼女も流石にここで彼を放置するのはあまりにもあんまりだと逆に申し訳なくなったのか、苦笑いと共に脱力した。

「もう……ほらここよ。分かるかしら?」

 そう言って彼女は期待の眼差しを向けるヴィルヘルムの方に尻を向け、ひらりと尻尾を横へとずらした。
 そこには彼の知らない秘密の花園が広がっており、眼前でそれを見れたことは眼福とでも言わんばかりに簡単の声を漏らし、ただただ静かに眺める。

「いや、あの……見るだけならそこらの女の子でも遠目からなら見れるでしょ。舐めたり嗅いだり好きにしていいのよ?」
「失礼します」

 最早突っ込み所しかないが、フランチェスカからのお許しも出たことで初めて彼は鼻先を近付けた。
 独特の臭気は彼の雄を勃ち上がらせるが、まだ彼は鎧すら脱いでいない。
 自らの雄が布地に押さえ付けられて少々痛みが走ってもそのままで、彼は匂いを充分に堪能してから舌先で彼女の恥丘に触れる。
 が、完全に初心者の彼は飴でも舐めるようにベロンベロンと一心不乱に舐め上げるだけで特に気持ちよくはない。
 寧ろあんまりにも雑に行われる前戯にフランチェスカの方が恥ずかしくなる程だ。

「もう! いいわよ! ちゃんと教えるからその通りにやって!」
「はい! ごめんなさい!」

 結局尻の毛並みがほぼ一帯しっとりとするまで舐められた後に痺れを切らしたのか、彼女の方が折れてヴィルヘルムに指示を出すことになった。
 触れる舌先の速度は緩やかになり、彼女の割れ目の根本に鎮座するクリトリスや割れ目の部分を重点的に且つ優しくゆっくり舐めるように指示したことで彼女も前戯を楽しめるようになった。
 次第に愛液も溢れ始め、彼女の吐息も熱っぽく湿ったものになる。

「も、もう十分よ。ほら、あなたのを入れてみなさい」

 そう言われてヴィルヘルムの表情はキマワリのように晴れ渡り、素早く、しかし脱ぎ捨てるのではなくきちんと防具と服に分けて脱いでゆく。
 ヴィルヘルムの純白の股間からは既に赤々とした彼の雄が飛び出しており、今にも弾けてしまいそうなほどいきり勃ち定期的にぴくんと跳ねている。
 透明な液体が既に彼のぺニス全体を薄く包んで雄の臭いを放っており、いつでもいけると言っているようだ。

「私の身体に自分の身体を預けて、グッと自分のぺニスを私のここに入れるの」

 そう言って彼女はずらしていた尻尾で自らの割れ目をぐいと広げ、彼の雄の着弾地点を指し示す。
 言われるがままヴィルヘルムは上半身を彼女の腰に預けてぐいと力を入れて彼女の腰を自分の方へと引き寄せた。
 純真無垢で受け身的ではあるが、彼も歴とした一兵士。
 その力はとても強く、上半身だけで彼女の身体を引き寄せることなど造作もない。
 加えられた力で彼女の尻とヴィルヘルムの腰が触れ合い、彼の愚息がぺチャリと彼女の入り口付近に触れる。
 流石にこの先は彼も本能で分かるのか、何度か腰を退いては先端をその触れた先に滑り込ませられるように当て直し、そしてずぷりと沈み込ませた。
 太く雄々しい逸物が火照る彼女の中を掻き分けてゆき、軽く水音を立てながらしっかりと根本まで沈み込んだ。
 ヴィルヘルムはただただこれまでに一度も経験したことのない衝撃を全身で感じ、思考の全てが吹き飛んだまま虚空を見つめる。
 一番奥に突き入れられたままじっと動かなかったせいか、彼の雄の先端が彼女の奥の気持ちの良い場所に触れていたことで彼女も熱い吐息を吐き出しながら、せめて声は出さないように耐えていた。
 その時間はヴィルヘルムが我に返るまでの間暫く続き、そのせいでフランチェスカも予想以上に余裕を削られてしまう。

「い、いいわよ……。そのまま、あっ……ん!」

 この先は言われるまでもなかったのか、彼女が喋っている途中で不意に押し当てられたままだった彼のぺニスが動き、水音と共に彼女に心地よい刺激を与える。
 カウンターのように与えた刺激がそのままヴィルヘルムにも倍の刺激になって伝わり、ぺニスを伝わって痺れとなって全身を駆け巡る。
 声も出せずにただ闇雲に腰を何度も激しく打ち付け、じゅぷじゅぷと凄まじい水音を奏でる。

「ま、待って……! い、イク前にせめて抜いて!」

 スロースターターな暴走機関車も漸くフルスロットルで彼女に欲望の限りをぶつけているため、彼女の声は最早聞いていない。
 高まってゆく射精感に身を委ね、フィニッシュのために一気に速度を上げ、そのまま腰を振りながら彼女の中へと精液を放ってゆく。
 受け取った快感のお返しに彼女の中へ放たれてゆく精液は、彼女の意思を無視して彼女の子宮内へと流し込まれていっていた。

「も、もう! いくらなんでも早すぎるでしょ! それに中に出すなんて!」
「す、すみません……気持ち良すぎて……」

 上がった息を整えながら、彼女の言葉に対して謝っていたが、別に彼女としてはそれすら気にしてはいなかった。
 あまりにも純粋に、そして素直に彼女を求めるヴィルヘルムの姿は彼女には危なっかしく感じられたが、同時にとてもいとおしく感じた。
 彼女を求める素直な感情。
 そんなものを向けられたのは何年振りかも覚えていない。
 だが、その愚直なまでの素直さは逆にひねくれ者の彼女の琴線に触れた。
 まるで子供を見るような母性の沸き上がりを感じつつも、同時にあまりにも純粋すぎるその少年の焦る姿をもっと見たいという嗜虐的な欲求。
 相反する感情だが、その塩梅は彼女にとっては丁度心地よかったのだろう。

「ねえヴィルヘルム。初めてなのにたった一回じゃもの足りないでしょ? 満足するまで何度でも私の中を、あなたでかき混ぜて、あなたで満たして?」

 返事はない。
 代わりに彼の挿入されたままだった雄が彼女の内側をぐぐっと押し拡げる感覚が答えた。

「ふふっ……いい子」

 快感に支配されてゆくフランチェスカは頭の中でそっと、この先彼との子供が生まれた時の事を想像し、もっとイタズラが出来ると心で優しく微笑んだ。

八話 


 前の三人がそれぞれ一人ずつ兵士とよろしくやっていた頃、イゾルダも兵士に送られて屋敷を後にしていた。
 彼女も関わりのある兵士がいるにはいるが、それはアドルフ。
 既にミアの元にいるためイゾルダの元に現れることはあり得ない。
 現に彼女を送っていたのはベルンハルトだった。
 特に接点の無い二人は屋敷内での会話は無く、誰よりもスムーズに外まで辿り着いたことだろう。
 しかしこのまま何事もなく終わりを迎えてしまうことを最も後悔していたのは他の誰でもないイゾルダ自身だった。
 成り行き上こうなっただけだが、仮にも初めてを捧げてまで彼女はガウナとの婚姻に臨んでいた。
 イゾルダ個人としてもガウナの事はそこそこ気に入っていたため、話そのものがなかったことになったのはショックも大きい。
 その上せめて彼女の知る四人の中の誰かがガウナと結ばれるのならばまだ納得がいったかもしれないが、相手は何処の誰とも知れぬ貴族の女性。
 落胆もひとしおだったが、それ以上に怒りがふつふつとこみ上げていた。

「……ら。(かしら)! 俺の事を覚えてないんですか!?」
「ふぇ!? 何?」

 怒りと落胆に苛まれながらもこの先どうするのか考えながら歩いていたため、彼女の意識は外にはあまり向いていなかったのだが、不意に誰かが彼女に話しかけてきたことでふと我に返った。
 彼女の目の前に立っていたのは他の誰でもないベルンハルト。
 どういうわけだか神妙な面持ちで彼女に話し掛け、ゆっさゆっさと彼女の肩を揺らしていた。

「だから! 俺ですよ! 元クリムゾンの兵長だったベルンハルトですよ! もしかして全部忘れちまったんですか?」
「ベルンハルト? お前生きてたのか!? 騎士団の鎧なんて似合わない物着てるもんだから全然気が付かなかったよ」
「似合わないは余計ですよ! というか、生きてたのかはこっちの台詞ですよ! あの時てっきり殺されたと思ってたのに!」

 どうやら二人は古くからの知り合いだったらしく、更に言えば互いに相手が死んでいたと思っていたからこそここで出会えたことは奇跡のように感じていたようだ。
 再会を二人は喜びあっていたが、この二人が再会することはある意味では好ましくない。
 というのもこの二人は元々存在したクリムゾンという名の知れた窃盗団の首領とその右腕だった男だからだ。
 一度は全土に名を馳せたほどの悪名高い窃盗団であるため、その上から数えた方が早い面々が揃えば何を企てるか分かったものではない。

「なるほど、大体の事情は察したよ。あんた、最後まであたしの事を信じて戦ってくれてたんだ……」
「ええ、頭が死んだなんて噂が流れたせいであの時は大パニックでしたよ。仲間割れは起きるわごたごたの間に聖十字騎士団(ロイヤルナイツ)が攻め込んでくるわで……。頭が帰ってくる場所を守り抜くつもりでしたが、結局力及ばずクリムゾンは壊滅。俺以外にも何人かはそのまま聖十字騎士団(ロイヤルナイツ)に引き抜かれましたが、大半は散ったか仲間割れの際に死んじまいました」
「そうだったのかい……。私もあの時あの場所にいなかったのは嘘の情報を掴まされて孤立させられていたんだ。お前達に嵌められたと信じこまされてな。あの一件のお陰で徒党を組むのが嫌になってね。あたし一人なら知恵を使えばどうとでもやれたから、クリムゾンの事は忘れて一人で生きてきたんだ」

 二人はお互いのすれ違いの過去を語り合った。
 騎士と詐欺師という立場だが、元が元なだけにいがみ合うようなこともなく、二人近くの木陰に腰を下ろしてゆっくりと思い出に花を咲かせていたようだ。

「だったら話が早いじゃないっすか! 俺、ガウナさんに頭をスカウトしてほしいってお願いされてたんすよ! 頭を筆頭にして新生クリムゾン……じゃなかった、諜報・偵察に特化した部隊を作り上げてやりましょうぜ! きっとみんなも喜ぶはずだ!」
「そっちなのかい? 今でも頭って呼んでくれるからてっきりあんたが騎士団抜けて一から立ち上げ直すとでも言うのかと思ってたのに」
「んー……。昔なら俺もそう言ってたかもしれませんが、案外今の生活は満足してるんです。闇雲に力を振りかざしてた頃と違って、沢山の人に面と向かって感謝される。案外こういうのも悪くないもんだなって」
「真っ当にねぇ……。でもなんだってわざわざあたし達を嵌めた相手を気に入っちまってんだい?」

 少々興奮気味に話すベルンハルトにイゾルダはそう言葉を返した。
 というのもの、結局クリムゾンが崩壊した直接的な原因は仲間割れだったわけだが、その切欠となったのはイゾルダの不在と出所不明のその噂だ。
 その理由もベルンハルトは既に明かされており、全ては聖十字騎士団(ロイヤルナイツ)が仕組んだ罠だったらしい。
 忍び込ませていた聖十字騎士団(ロイヤルナイツ)の斥候が不穏な噂を蒔き、それと同時にイゾルダには嘘の情報を流して分断したのだという。
 イゾルダの圧倒的なカリスマ性で成り立っていた団であったため、彼女さえいなければ瓦解するのは容易に見えていたからこその作戦だったのだそうだ。
 初めの内はベルンハルトも自分達を崩壊させた聖十字騎士団(ロイヤルナイツ)に入ることを心底嫌がっていたが、長い説得の末に折れて一兵士として働くようになったが、それでも彼も前途多難な人生を送っていた。
 当然最初の頃は盗賊団の頃の癖が抜けず、周囲ともよく衝突していたらしく、その度にハインリッヒや今ではよくつるんでいるクシェル達とも散々殴りあいの喧嘩をしては迷惑を掛けていた。
 そんな彼が変われたのは災害救助の任に当たった際の事だった。
 逃げ惑う人々を誘導し、怪我をしたポケモン達を救う命懸けの任務。
 弱肉強食の世界で生きていた彼にとって、関係の無い者をわざわざ救うメリットも感じられず渋々従事していたが、そんな彼の元にクシェルが歩み寄ってきた。

「見てみろ。俺達が紡いだ未来だ」

 救助を終えた後に避難民の集まっていた避難所へと足を運び、ベルンハルトに彼等を見るように伝えたのだ。
 そこには生きていたことを喜び合う人々の姿があり、同時に彼等はクシェル達の姿に気が付くと思い思いの感謝の言葉を投げ掛けてきた。
 小さな掌からしわしわに年老いた手までが力強くベルンハルトの手を握りしめ、涙を流して喜ぶ。
 それは今まで彼が知らなかった世界。
 略奪することでしか生きてこなかった彼に与えられた、小さな熱は確かに彼の心を温めた。

「俺にも誰かを護れる。そう思えたら、今更俺はこの手を今一度力無い人達に振りかざそうとは思えなくなっちまいましたね」
「いいことだよ。あたしもあれから一人で生きてきてつくづく思い知った。どんな形であれ、人と人とは何処かで繋がってなくちゃいけない。騙すのにも騙す相手が必要だ。だからこそ騙し騙されの世界で生きてきて、何度も同業者に邪魔されていさ、信じられる奴がいなくなる度に嫌気が指して、気が付きゃ同じ臭いのする悪党としても爪弾き者同士でつるんでた」

 そう言ってお互いに自らの心境を打ち明ける。
 相手の言わんとすることが分かっていたからか、二人は小さく笑いあった。

「お誘いは正直嬉しかったよ。でも昔の仲間が今も元気なことを知れただけであたしには充分だ。残念だけどあたしはあんたみたいにすぐに考え方を改められるほど真っ当な人生は歩んじゃいないんだ。ま、何処かでもしも厄介になることがあったら、そん時は誘ってくれ」

 そう言ってイゾルダはその場を立とうとしたが、ベルンハルトの腕が彼女の腕を掴んで引き止めた。

「なんだい? 止めようったってそうはいかないよ。あたしの性格はあんたもよく知ってるだろ?」

 そう言ってイゾルダは困ったように笑ってベルンハルトの方を見たが、彼女の言葉を聞いた彼は邪悪な笑みを浮かべた。

「ああ、よ~く知ってるよ。あんたは一度決めたことは誰が止めても必ずやる。だからこそこうなるのを待ってたんだよ!」

 そう言うと彼は中腰のまま立っていたイゾルダの腕を引いて自分の方へ倒れこませ、その強靭な腕でガッチリと捕まえた。

「ちょっと! なにすんだい!」
「なにって、こんな人気のない雑木林で男女二人きりだぜ? ナニしかないだろ?」

 そう言ってベルンハルトは右手を彼女の前で握り、人差し指と中指の間から親指を突き出すジェスチャーをしてみせ、もろの悪党面で長い舌を出して見せた。

「ばっ……! ふざけるのもいい加減にしときな! 自分のとこの騎士団の評価を落とすつもりかい!?」
「他人の心配をしてるなんて随分と余裕だねぇ、頭ぁ。いや? イゾルダちゃん」
「ちゃん付けで呼ぶな! 気色悪い!!」

 流石に身の危険を感じたイゾルダはなんとか彼の腕から逃れようとしたが、いくら首領をやれるほど強かろうと体格差があまりにも違いすぎる。
 びくともしない腕の中でただただベルンハルトが自らの鎧を外してゆく様を眺めるしかできずにいた。

「ドレス姿も素敵だが、それよりも俺は武装してたあんたの方が好みだぜ」
「止めろ! ふざけるな! こんなことが許されるとでも思ってんのかい!?」
「そうさねぇ、普通なら俺だってこんなことはしない。だが今回はガウナさんからの許可が降りてるからな。無理矢理にでも引き入れろってな。例えば、無理矢理に犯してでも孕ませれば俺から離れられない理由になる。そう助言してくれたぜ」
「ガウナが!? 出鱈目に決まってる!」
「出鱈目なもんか。じゃなきゃあんたに手を出そうなんか考えつきすらしねぇよ」

 ベルンハルトの一言は彼女にとっては衝撃だった。
 仮にもガウナは彼女にとって初めてを捧げた男であり、同時に初めて彼女が惚れた男だ。
 だが同時に昔からのベルンハルトを知っている彼女としては彼の言動にも嘘がないことをよく分かっている。
 惚れただけの男と旧知の者、考えるまでもなく信じるに値するのは後者の言葉だ。
 だからこそ信じたくなかった。
 ほんの一時でも恋仲だと信じていた相手に裏切られたような気持ちにはなりたくなかった。
 だがそんなことを考えている内にベルンハルトは自らの鎧を脱ぎ捨て、彼女のドレスを無理矢理脱がせた。
そのまま彼女の後ろから長い首と舌を使って毛の下に隠れた小さな乳首をそっと舐める。

「んっ……! 馬鹿! 止めろ! というかその前に体格差を考えろ! 入るわけないだろ!」

 乳首を舐められる感覚で思わず嬌声が漏れそうになるが、それを必死に抑え込んでベルンハルトの凶行を止めようと必死に説得した。
 とてもではないが、彼女の身体を子供でも抱き抱えるように持てる相手の逸物など想像するまでもなく彼女には持て余す。
 そんなものを無理矢理ねじ込まれれば無事では済まないだろう。

「確かにな。ただまあ、悲しいかな俺のはそんなに大きかねぇんだ。ま、お陰でこんな千載一遇のチャンスを掴めたんだ。今だけは天の采配に感謝だ。ほらよ、これなら大丈夫そうだろ?」

 そう言って彼女の股の下から飛び出していた彼のペニスは、以外にも彼女の股下からほんの少し先端が顔を出しているだけだった。

「いや!? デカ……い。えっ? ちっさ……いや大きい?」
「混乱しないでくれよ……。一応平均よりは小さいぜ。お陰であんたにはジャストサイズのはずだ」

 体格も相まって、イゾルダからすれば大きいがベルンハルトからは小さいトリックアートのようなペニスを二人してまじまじと見つめる。
 しかしそんな包み込めるほどの体格差を利用して、彼女の股に自らのペニスを擦り付けながら舌で彼女の乳首や唇を責めていた。

「ま、待て! いくら命令だからって……っん! こんながさつな女抱かなくてもいいだろ!」
「はぁ? あんたマジでそれ言ってんのか!?」
「な、なんだよ……事実だろ? 盗賊やってた時のあたしの事知ってるんだから、女としての魅力なんて自分に無いことぐらいよく分かってる」

 以外や以外、無理矢理されることを嫌がっているのかと思いきや、彼女は自分に女性としての魅力が無いと思い込んでいたため嫌がっていたのだた。
 それを聞くとベルンハルトは語気を強めた。

「俺はな! ずっと昔からあんたの事が好きだったんだよ! でも俺達は盗賊だった。仲間内での色恋沙汰なんざ迷惑の火種にしかならない。だからずっと我慢してたってのに! あんたは自分の事をそんな風に考えてたのかよ!」
「冗談でしょ?」
「これが冗談言ってる顔に見えるか?」

 無理矢理犯そうとしていたはずの現場はそんな発言で一転し、驚きの告白の場に早変わりする。
 彼女もまさか旧知の仲だった相手がずっと自分の事を想っていたとは想像もしていなかったのか、たった今さっきまで犯されそうになって暴れていたというのにいきなり顔を真っ赤にして恥ずかしがり始めた。

「で、でも! ほら? あああたし今でも盗人やってるし? お洒落なんて知らないし? この服だって知り合いに無理矢理着せられただけで」
「知ってるよ! 豪気で明朗。うじうじされるのが大っ嫌いで肉と酒が大好物。そのくせ泣き上戸で寂しがりな上に人一倍回りの奴の事を気に掛ける! 嘗められたくないから女っ気を出してないとか豪語してたが、実際は女っ気がそもそもよく分かってないだけで割と笑うと可愛い所とか全部知ってるよ!!」
「やめてぇぇぇぇえ!! 面と向かって言われると結構恥ずかしいからやめてぇぇ!!」

 意識していたわけではないのにいつの間にか言葉責めでもしているかのように彼女を捲し立て、褒めちぎり、彼女が子猫のように丸まるまで猛烈なアタックが続いた。

「……てことはあんた、ずっと前からあたしのことをそんな目で見てたってことなのかい?」
「そうだよ! 悪かったな! 幻滅したか!?」
「するわけないだろ……。寧ろあたしなんかでいいのかい?」

 ベルンハルトの唐突な告白に対して彼女も同じように唐突なOKを返したことで晴れて両思いになったわけだが、先程までの流れが流れだったせいでなんとも気まずい空気が漂っていた。
 本当ならベルンハルトも素直に告白したかったわけだが、彼も自分ががさつで酒癖と女癖が悪いことを自覚していたため、自分では彼女に釣り合わないと諦めていたらしく、こんな強引に行ける機会でもない限りは無理だと諦めていた臆病者だったわけだが、それがここに来て裏目に出る。
 告白が成立した以上、それは強姦ではなく既に和姦である。
 先程までの勢いが完全に死に、ベルンハルトすら縮こまって、小さく彼女の言葉に頷いて答えた。
 他三組に比べて何とも初々しいカップルが誕生してしまったわけだが、二人とも性に関する知識が薄いわけではない。
 ベルンハルトは元々遊び慣れており、イゾルダは実際の経験は一度きりだが知識としてはきちんと知っている。
 このままキスだけして終わりというわけにはいかないが、相手が自分を受け入れてくれると途端に小動物のようになっていてはいつまで経っても埒が明かない。

「あ、あのさ。折角なら場所を移さないか? 何もこんな場所じゃなくても」
「しょ、正直俺は青姦の方が燃える」
「そ、そうなんだ。それならそれで……や、優しくしてくれるなら」
「お、おう……」

 まさか何人も女を侍らせてきたベルンハルトがたった一人の女性にこんなに胸を高鳴らせたことは今まで一度もなかっただろう。
 いつもなら泥酔させて無理矢理行為に及ぶ事の方が多かったため、素面で女性の方からねだられると恥ずかしい気持ちの方が強くなってしまう。
 結局のところは酒の力に頼って自分を強く見せていたわけだが、イゾルダの事を想うならばここは正々堂々と漢を見せるべき瞬間だ。
 腹の上に乗せていた彼女を向かい合わせになるように座り直させ、瞳を閉じてそっと口を彼女の口元に近付けてゆく。
 いつ触れるのか分からないその時間があまりにも切なく彼の胸を高鳴らせる。
 柔らかい感触が唇に触れ、一瞬だけ世界が止まったように感じた。
 これまでに感じたこともないほどの極上の一時だっただろう。
 ただ唇を重ね合わせるだけの恋人同士のキスがこれほどまでに自分を昂らせてくれるとはベルンハルト自身、感じてはいなかった。
 目を開きながらゆっくりと二人の距離を離し、お互いに瞳を見つめ合っていたが、もうそうしているだけでも二人は幸せだった。

「そ、その……あたしまだ二回目だから……優しくね」
「わ、分かってる」

 勢いに任せてするつもりだった行為がこんな順序立てて行われると考えていなかったせいで、何故かベルンハルトは何をするべきなのかが分からないほど頭が真っ白になっていた。
 二人の間にそびえるベルンハルトの愚息からは透明な液が溢れ、その時を待っていた。
 それを見て彼はイゾルダの身体を少しだけずらして彼女の女性器へ視線を落とす。
 彼女も余程期待していたのか、まだ何もしていないというのに既にべったりと濡れている。

「凄いことになってるな」
「あ、あんたが焦らすから……」
「よく言うよ……。なら、もう挿れても大丈夫だな?」

 恥ずかしそうな彼女へそう声を掛け、優しく全身を支えるように彼女の身体の後ろへ手を回して方と腰を支える。
 子供でも抱き抱えるような体格差のためベルンハルトはそれだけで簡単に彼女の身体を浮かせ、自らの性器の先端を彼女の性器へと宛がった。
 慣れていない彼女の身体を気遣いながらゆっくりと身体を密着させてゆき、根本までしっかりと挿入した。
 ベルンハルトの言っていた通り、彼のペニスはまるでそのために生まれたのかというほど見事にぴったりと彼女の中にフィットする。
 それだけなら彼もまだ耐えることができただろう。

「な、なんだこれ……!?」
「どうした? 痛くは無いから動かしても大丈夫だぞ?」
「は? イ、イゾルダ、お前今腰くねらせたりなんかしてないよな?」
「あ、当たり前だ。慣れてないんだから勝手が分からないんだ」
「嘘だろ……」

 ベルンハルトが思わず彼女の発言を疑うほどだったのは、彼女がとてもほぼ処女の生娘とは思えないほどの名器だったからだろう。
 間違いなく二人ともただ挿入しただけで身体を動かしてなどいない。
 なのに彼女の中はまるで別の生き物のように蠢いている。
 数多の女性を抱いてきた彼でもこの魔性の名器には巡り会わせたことがない。
 耐久力にはそこそこの自信があったのだが、彼女の前ではそんな自信までも蠢く彼女の内部へと呑み込まれてゆくような気分に陥る。

「なあ、早く動かしてくれよ」
「む、無茶言うなよ! こんなもん挿れてるだけでもヤバイってのに動かそうもんならみこすり半と持たねえよ!」
「そんなこと言われたって……。このまんまじゃあたしは全然気持ちよくないんだけど」

 経験値と性能が反比例している二人はまるで立場が逆転しており、既に限界が近いベルンハルトにイゾルダが不満を覚えてねだるような状況だ。
 腹を決めたのか、ベルンハルトは彼女の身体を軽く持ち上げる。
 十分に滑らかな彼女の膣内を彼の男根がぬるぬると抜けていくが、それだけの動きすら彼女の身体は許さない。
 ちょっと動きが加わっただけで蠢く膣内は彼の竿に絡み付き、無数のヒダが全体を揉みしだく。

「も、もうどうにでもなりやがれ!」

 こんな化け物じみた名器とは一生で一度出会うか出会わないかだろう。
 もうどう足掻いても彼の尊厳など一瞬で喰らい尽くすと彼女の身体が答えた以上、後はただ身を委ねるしかない。
 引き抜いた分グッと力を加えて押し込み、ぐちゅりと心地よい音を立てて彼女の中へ今一度深く入り込む。
 先の刺激の倍ほどの密着感と絡み付く刺激が十分すぎる快楽を彼にもたらし、あっという間に瀕死にしてしまう。

「もう、少しだけ動かすぞ」
「バッ……! 待て待て待て待て!! ん”ん”っ”!!」

 流石にあまりにも緩慢すぎる動きに彼女が退屈になったのか、腰をほんの少しだけ前後にくねらせた。
 途端に彼女の魔性が目覚め、あっという間に限界寸前だった彼を屠った。
 身体をビクビクと震わせ、引き抜く暇すら与えずに一瞬で彼を昇天させたのだ。

「え? 嘘でしょ!? もしかしてイったの!?」
「だ、だから無茶を言うなって……」

 急いでイゾルダは彼の股の上から立ち上がると、その衝撃だけで今一度彼は身体をビクビクと震わせて彼女の股下で白濁した液を流していたが、同じ液が彼女の中からもつうと伸びて彼の竿の上に落ちた。

「あちゃあ。……まあいいか。ちょっと早すぎるがお前との子なら、悪くもないな」
「わ、悪りぃ」
「いいよ。どうせいつかはそうなるんだ。だから今は目一杯気持ち良くしておくれ」
「無理です勘弁してください」

 出してしまったのならただただ今を楽しもうと彼女は提案したが、ベルンハルトは既に今後の事を考えると恐怖しか感じなかった。
 仮にも何人も喰ってきた彼が、これほどになる相手を”彼女が満足するまで”相手にしなければならない。
 快楽も度を過ぎればただの拷問でしかない。
 プライド云々よりも今度は彼の方が自らの生命の危機を感じていたが、彼女はそんなことに気付いていない。
 ベルンハルトの厚い胸板にそっと手を置き、一気に彼のペニスを一番奥まで迎え入れる。

「ん”ん”ぁ”!! 待ってくれ! 無理だって! 死ぬ! 死んじまう!!」
「じゃあ頑張りな。あたしもお前の事を気に入ったんだ。しっかり満足させてくれよ」

 そう言って彼の言葉を無視して好きなように彼のペニスを弄んだ。
 前後左右に腰を動かし、愛液と精液の混ざりあった液を彼の腹の上に撒き散らしながらぐちゅぐちゅと動かす度に卑猥な音を奏でる。
 その度に彼女の下でただ強制的な快楽に身を震わせるしかなかった。
 彼女が快感を覚え、淫らな声を上げる下でベルンハルトはただただ声にならない悲鳴を上げながら必死に背中にある気をあらんばかりの力で握りしめるしかなかった。
 彼女が満足し、解放してくれたのは無限射精が二十を越えてからだった。






「うん。皆しっかりと連れて戻ってきたね。流石は優秀な僕の部下達だ」

 彼等が一頻り男女の時間を楽しんだ後、言伝通りに八人ともその場に戻っていた。
 皆を迎え入れたのはにこやかな笑顔で迎えたガウナだ。

「さて、単刀直入に用件を伝えるが、”化け狐”のリオーニ、”怪盗フォックステイル”のミア、”泥棒猫”のフランチェスカ、”冷笑の詐欺師”にして元”窃盗団クリムゾン”の頭領のイゾルダ。君達四名の素性は今言った通り全て把握している。その上で君達をこの場に呼んだのは他でもない。君達に僕の……いや俺の元で暗躍する部隊としてその能力を遺憾無く発揮してほしいからだ」

 次の瞬間にガウナはそう口にするまで、彼の表情はとても好感の持てるものだっただろう。
 しかし彼が自らを俺と言った時から彼の表情は悪巧みをしているのが分かる随分と邪気を孕んだ笑顔に変わった。

「意外ね。温室育ちのお坊っちゃまって訳ではなかったようね」
「その通り。外交上、アルカイックスマイルは大事だからね。波導の力と合わせて君達のような輩を相手にする時の切り札として使っているよ」

 リオーニの言葉に答え、自らの好感の持てる笑顔が演技であることを伝えた上で一度実演してみせ、その表情を一瞬にしてまた邪気を孕んだ笑顔に戻す。

「一応謝罪しておかなければならない事として、あの婚約者探しの話そのものが嘘だ。全ては君達を手に入れるための罠だった」
「あら、酷い人ね。私達みたいなのを集めるために領民や近隣の人々まで騙したのね」
「敵を欺くにはまず味方から。まあ女性諸君には悪いことをしたとは自覚しているよ。その埋め合わせとしては振る舞った料理で勘弁してもらうしかない」

 そもそも晩餐会自体が罠であったことまでもを打ち明け、彼女達にその全容を知らしめた。
 彼女達がハインリッヒの追悼式兼、ガウナの就任式兼、婚約者探しの場に現れないはずがないと踏んだ上で場を設け、波導の力を使って邪な考えを持つもののみに招待状を渡していたのだ。
 密会とその際の逢瀬も全ては彼女達がそれをネタに強請りに来ることを読んでいたため、敢えて全員と肉体関係を持ったのだ。
 結局彼女達はガウナの読み通りに動き、そしてこの場へと訪れたことになる。

「気に食わないわね。私達を掌で弄んでたつもり? だったらそんな話願い下げよ」
「残念ながら君達にはもう断ることはできない。前金は支払ったつもりだからね」
「どういうこと?」

 フランチェスカが見るからに不満を顔に浮かべてガウナに反論したが、ガウナはにこやかな笑顔を浮かべてフランチェスカに言葉を返した。
 前金などと言われても彼女達はガウナから直接的に金銭の受け取りなどしていない。
 だからこそフランチェスカも首を傾げていたが、その答えをガウナは指を差して伝えた。

「受け取っただろう? 今君達の横にいる旦那達だ」
「ガウナ様! なんかおかしいと思ったら俺達を売ったんですか!?」
「いいだろ? お前らいつまで経っても浮いた話の一つもないし、ベルンハルトはいつまで経っても身を固めないし」
「さらっと俺をディスるのやめろ」
「悪くはない条件だっただろう? 更に指名手配書の帳消しにそれなりの階級まで付いてくる。至れり尽くせりだ」

 ガウナはそう言うと一瞬荒れた男性陣を窘めながら話を続けた。
 しかし言動を聞く限りではどうにも彼等も詳細は伝えられていなかったらしく、男性達もガウナに嵌められたようだ。
 とはいえフランチェスカもそうだが、手に入れた男性は彼女達にとって悪い物件ではないため断るに断りにくい。
 そこまで読んだ上での人選だったのだろう。

「してやられたよ。流石にクリムゾンを潰した奴なだけはあってあたしなんかよりもよっぽど腹が黒いじゃないか。ハインリッヒの病死も嘘じゃないのか?」
「嘘なものか!!」

 挑発するようなイゾルダの発言を聞いてガウナは初めて自分の前にあった机を叩きつけて激昂した。
 しかしその怒りの表情はすぐさま萎んでゆき、悲しそうな表情へと変わる。

「すまない。俺自身まだ嘘であってほしいと願っていた。ずっと傍に居たはずの俺が、父上の不調に気が付けなかったのは一生の不覚だ。俺が死なせたと言われても反論のしようもない」
「わ、悪かった」

 ガウナの様子を見てイゾルダは素直に謝る。
 するとガウナは一度深呼吸をして心を落ち着けると、真剣な表情で皆に向けて話し始めた。

「父上は偉大な指導者だった。俺にとっても父上は誇りであり、憧れだった。だからこそ父上が守り続けたラインハルトの名を汚すわけにはいかない。俺はまだまだ未熟だ。父上のような求心力もなければ指揮能力もない。だからといって俺に回りが会わせる訳にはいかないんだ。俺は父上を越えなければならない。そのために俺ができるのはより優れた者達を集め、束ね、父上を上回る速度で学んでゆかなければならない。そのためにも俺には現状を維持し続けるだけでは駄目だ。そのための力こそが、お前達だ」

 ガウナはそう力説し、その場にいる八人の目を順にしっかりと見つめる。

「なら尚更分からないわね。何故犯罪者だと分かっている私達を選んだのかしら?」
「単純だ。真っ当な手段でできることは限られている。まだ見ぬ敵の手の内を探り、先手を打つために必要なのは決して口外できないような暗の力だ。清濁合わせ飲む器量は父上から学んだつもりだ。だからこそ君達には俺の目となり耳となり、足りない指揮能力を補ってほしい」

 リオーニの言葉に軽く微笑み、そう言葉を返した。
 その言葉だけはガウナは嘘を混ぜていないと重ねて明言し、今一度四人に協力を求めた。
 答えは聞くまでも無かっただろう。
 その話を最後に彼女達は解放され、後のことはまた後日伝えるとの事でその場はお開きになった。

「ガウナ様、一つだけ訊ねてもいいでしょうか?」

 次々とその場を後にしてゆく中、アドルフはその場に残りガウナに一つ質問をした。

「彼女達を力として引き入れたのは分かりました。ただ、何故わざわざ俺達とくっ付ける必要があったんですか?」
「相性が良いからだ。リオーニは同じ境遇のクシェルとなら共感しやすいし、ミアやフランチェスカは天の邪鬼だ。ああいう輩は真面目なのとくっ付ければ案外いい関係になる。イゾルダとベルンハルトは言わずもがな。問題児と賞金首が一度に解消できる。いいプランだろう?」

 アドルフの質問に対してガウナはにこやかに微笑んで答える。
 それを見てアドルフは深く首を落として一度深呼吸をし、今一度ガウナの方へ顔を向けた。

「本音はどうなんです?」
「いつも嵌めてる奴等が嵌められて唖然とする顔が見たかった。それとお前ら見たいな堅物が女性相手に焦ってる様子を見たかった」

 アドルフに改めて聞き直されたガウナは満面の笑みでそう答えて見せた。

「全く……貴方のその悪戯心はいつになったら治るんですかね……」
「さあね、少なくとも俺が腰を落ち着けるまではお前らを見てにやにやとさせてもらうよ」


あとがき 

 というわけで今大会唯一の長編でした。
 今回は大接戦の中で、五票三位という結果をいただきました。
 また悪タイプです。
 悪タイプはどうしても可愛い性格にしてしまう傾向になるのでまあ間違いなくバレているだろうなと思いながら書いていました。
 悪タイプは可愛いのでその是非ともその可愛さが伝わったのならそれだけで満足です。
 次に参加する時には文字数を抑えることと、性癖をぶち込んでいくことに注力したいですね。
 あと……締め切りギリギリになることはもう二度とないようにしたいと思います……。
 以下は投票コメントへの返信になります。

 盛りだくさんで面白かったです
 >>ありがとうございます。
 悪タイプをスコれ。

 面白かったです
 >>ありがとうございます。

 それぞれのキャラクターがあり、ストーリーがあり物語のオチも上手くまとまっていてとても面白かったです。
 >>ありがとうございます。
 今回はオチから話を構成していった形になりますので、楽しんでいただけたのなら幸いです。

 このボリュームを書き上げた気合と、全員のエロさに惹かれました。
 >>気付いたら長編になってしまうんですよ……。
 悪タイプはエロいので是非もっと好きになってもらいたいです。

 純情な若殿が悪女たちに弄ばれる話……かと思いきや、逆にすべてガウナの掌の上で踊らされていたというまさかの展開。全員悪と言う見出しに偽りなしですね。それぞれの思惑や道程が深く絡み合い、ボリューム満点で楽しめました。
 >>一人だけ悪タイプではなく、リオルの時だけ「いたずらごころ」であるルカリオを採用した形になります。
 ありがとうございました。

 投票ありがとうございました。
 そして皆さん大会お疲れ様でした。

悪の饗宴 3


お名前:
  • 思わず一気読みしました。
    生き生きとしたキャラクター達やラストの展開など、見どころが多く非常に読み応えのある作品でした。
    これは(自分みたいな)悪タイプ好きにはたまらない作品です -- 慧斗
  • >>慧斗さん
    コメントありがとうございます!
    自分も悪タイプが大好きなので、生き生きとしていると言っていただけるとありがたい限りです。
    読んでいただきありがとうございました。 -- COM

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Last-modified: 2020-05-31 (日) 02:41:43
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