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恩返し

/恩返し

駄文執筆者 文書き初心者
※獣姦、グロテスクな描写があります。苦手な方はご注意下さい。


 今年も迎えてしまった六月。祝日が一日も無いと言う魔の月。おまけに天気がちっとも良い日が続かなく、悪い日ばかりが続くというから最悪だ。
 

 今日も雨が降っていた。空模様は薄暗くて、更に湿度は高くジメジメしているから、俺は嫌な気分に陥る。
 鬱陶しいんだ、六月なんて無くなってしまえば良い。こんな月に必要性なんて無い。
 だが、そう思うのは俺ぐらいなものだろう。六月と言う月があるから夏に水不足にはならないだろうし、女性にとっては憧れのジューン・ブライドになれる。小さい子達にとっては親に買って貰った自慢の傘が沢山使える。
 そうやって、六月と言う月の必要性を頭では理解しているつもりだけど、やっぱり好きになれないんだ。
 この月になると必ず、心の奥底に仕舞っていた苦い想い出が鮮明に蘇ってくるからだ。例え、十年以上もの年月が経ったとしても。
 決して忘れてはいけない自分の罪。間接的ながらも殺してしまった一つの尊い命。
 あの日も今日の様な天気だった……。

 

 アイツと会ったのは六月なのに珍しく晴れた日だった。
 お気に入りの傘が差せないから当時の俺は落ち込んでいたけど、久し振りに友達と外で遊べたので、それはそれで良かった。
 そしてその帰路の途中に出会ってしまった。
 無惨にも大量の血を流し衰弱していたポケモンに。恐らく、道路を横切ろうとした所を車に跳ねられたのだろう。
 人気の無い道路には痛ましい血痕がついていて、事故の出来事を物語っている。
 余りにも惨い光景で、当時の俺にとっては刺激が強過ぎた。恐怖で手と脚はガタガタ震え、泣きじゃくり、遂にはその場で異物を吐いてしまう程、酷く悪い気分に陥ってしまった。
 俺は逃げたかった。早くこんな現場から立ち去りたかった。
 でも反対に、このポケモンの事を放って置けなかった。コイツを助けられるのは俺しか居ないからだ。
 そして、ポケモンはぐったりしながら縋る様に俺の事を見た。
 虚ろで生気の籠っていないくすんだ瞳。正しく絶望という言葉が当てはまる様だった。
 数秒間、俺の事を見続けた後、ポケモンは意識を失いぐったりと倒れこんでしまった。
 その時、俺の中で緊縛していた何かが解けた様な感じがした。
 そして、俺は何時の間にか走っていた。今にも消えてしまいそうな命の灯火を携えて。
 走るのは得意でも無いし、好きでも無い。それでも一刻も早く、コイツをポケモンセンターまで運ばなくてはならない。
 俺はどんなに遅かろうが一生懸命走った。どんなに疲れていても足を止めなかった。それ程、俺はこの命を救いたかった。

 俺はポケモンセンターに着くと、直ぐにジョーイさんに引き渡した。余りにも状態が酷い為、流石のジョーイさんも表情を曇らせてしまった。
 それでもジョーイさんは俺に、出来るだけの事はやってあげるから、と無理をした笑顔で明るく告げると、直ぐにICUと書かれた部屋に連れていった。
 俺は唯、見送る事しか出来なかった。
 俺の服や手は、すっかり血で赤く染められていた。

 アイツがあの部屋に入って何時間経っただろうか。一向に開く様子の無い重い扉を何時間見続けただろうか。
 俺は最後まで見届けたかった。でも、そうはいかなくなってしまった。
 太陽が沈んでも一向に帰宅して来ない俺の安否を心配していた両親が来てしまったから。俺は必死に両親に説明した。アイツが心配なんだ死にそうなんだ最後まで見届けたいんだ、と。
 だけど両親は俺の言葉を聞かなかった。無理矢理にでも俺を自宅に帰らせようとしてくる。もう夜遅いんだから早くお寝んねしようね、と。
 俺は抵抗した。僕は此所に残るんだ、と泣きながら。
 でも餓鬼だった俺は父にひょいと軽々に持ち上げられて連行されてしまった。

 その後、俺に与えられたのは三日間の自宅謹慎だった。何でも俺に反省をさせるため、父が言い出したのだ。
 確かに、夕焼けチャイムの鳴る前に家に帰れ、と言われていた。でもあの時は仕方が無かったのに、父は聞こうともしなかった。
 檻の様な自宅に居るのは嫌だった。出たくても母が俺の事をずっと見ていて外に出られないし、出られたとしても再び父に怒られたくは無かった。
 外は雨が降っていた。昨日の快晴とは打って変わって、いつも通りの天気に戻っていた。
 この日は、アニメを見ても、ゲームをしても、絵本を読んでも、何をしても楽しく無かった事を今でも覚えている。

 自宅謹慎は一日で終わった。昨日の俺の様子を見ていた母が堪えきれなくなり父に交渉してくれたのだ。
 そして、余りにも母のヒステリックさに流石の父も折れたのだ。
 自宅謹慎という束縛から解かれてた俺は急いでポケモンセンターに向かった。雨音で響き渡る道路をお気に入りの傘を差しながら走った。

 
 

 俺は事故のあった道路に花を手向けた。未だに道路にはアイツの血痕が残っていた。年々経つにつれて血痕なのかは分からなくなって来ているが。
 アイツの墓は無いし、遺骨の行方も知らないし、更にアイツの正確な命日は知らない。だけど俺が自宅謹慎していた日、即ち今日という日に死んだと俺は推測している。
 アイツは首輪とかが無かったから野生だったと思う。それ故、野生だったから無かった事にされたのだろう。
 弱ったポケモンを治癒してくれるポケモンセンターがポケモンを殺せば、全国のポケモンセンターの評判がガタ落ちになってしまうからだろう。
 本来の人間ならばポケモンセンターを訴えると思う。でも俺にはそれが出来なかった。理由は俺にも落度があったからだ。
 あの時もう少し足が速ければ、あの時もう少し早く発見していたら……。後悔ばかりが頭の中を過る。
 だから俺はポケモンを持っていない。持つ気にもなれないし、何より俺の心が拒むのだ。殺したお前に持つ資格は無い、と。
 雨脚が強くなり始めていた。まるで俺を非難するかの様に。
 何度でも非難するがいいさ。どうせ俺は罪深き者だ。
 俺は傘も差さず、雨に打たれながらその場を後にした。

 家に着いた時には衣服がびしょ濡れになっていた。身体には雨水が滴り、足元に水溜りを作っていた。
 体温は奪われていて、全身に寒気が走る。
 何をやってるんだろう俺は。雨なんかで自分の罪が洗い流せる訳でもないのに。
 そんな自己嫌悪に浸りながら、俺は家のドアノブを回した。

 自宅に帰って来ても、怠くて何もする気にはなれなかった。
 あんな馬鹿な事をしたから風邪でも引いたのかも知れない。
 俺は衣服を其処ら辺に脱ぎ捨て、タオルで身体を拭き、寝間着に着替えると、そのままベッドに潜ってしまった。
 


 ひんやりとした冷たさ、頬を舐められる感覚、身体に何かが乗っている感覚で、俺の意識は夢から現実へと移っていった。
 寝ぼけていてぼんやりとしている視界には、誰かを映らせていた。
 大抵は、覚えも無い誰かが眼に入った時点で身構える筈。だけど初対面かというより、何処かで会った様な感じがした。
 時間の経過と伴に徐々に焦点が合っていき、視界を鮮明にしていく。
 寝る前に見た部屋の様子と変わりない、だけど一つだけ違っていた。
 それは目の前にポケモンがいることだ。水色のツルツルとした身体と長い尻尾を持ち、白い襟飾りの様なものもついている。
 初めて見るポケモンだった。
 どうしてポケモンが俺の家に居るのだろう。戸締りはちゃんとした筈なのに。
 多分これは幻覚なんだ。最近疲れているから、こんな錯覚を見ているのかも知れない。
 そう思いながら俺は再び瞼を閉じた。
「あっ、あの、ちょっと、寝ないで下さい」
 遂には幻聴か。俺はもう末期かも知れない。
 そんなことを考えていると、今度は毛布を剥ぎとられた。
「もう何なんだよ……」
 俺はそう呟いて、眼を擦り、瞼を開けた。
 さっきのポケモンは未だ居た。
 このポケモンは従兄弟のポケモンなのか、親戚のポケモンなのか、友達のポケモンなのか色々考えてみるけど、どれにも一致しない。
 仕方無いので、俺は単刀直入に聞くことにした。
「お前何しに来たんだよ……わざわざ不法侵入までして……」
「『お前』じゃないですよ。ちゃんとシャワーズという種族名がありますよ」
 シャワーズは返答した。
 そして、シャワーズは言いずらそうに口をパクパク動かした後、声に出して言った。
「恩返しをしにやって来ました……」
 恩返しされる程善い事なんてした覚えなんて無い。俺は思わず言い放った。
「……何かの間違いじゃないのか?」
「間違いじゃないですよ。とにかく、“恩返し”させて貰いますよ?」
 シャワーズがそう言うと、体重を俺の方に掛けながら、顔を近付けてくる。
 何をするのだろう、そんな事を思っていた矢先に唇に違和感……いや柔らかな感覚が走る。気が付けばシャワーズにキスをされている。
 何で俺はこんなことされなくちゃいけないんだ、そう思いながらシャワーズを引き離す為に押してみるがビクともしない。力はポケモンであるシャワーズの方が上手らしい。
 シャワーズは口を重ねるだけではなく、舌を俺の口内に侵入させてくる。そして、俺の舌に絡ませてくる。俺は拒もうと努めるが、寧ろ空回りしてしまい、余計に彼女の舌と絡ませてしまう。
 その様子を彼女が感じとると嬉そうに積極的に舌を絡ませてくるから、さらに困る。身体は正直だから、肉棒が次第に肥大していく様子が感じ取れる。
 さっさと行為を終わらせて欲しかった。……でも、目の前にあるシャワーズの表情を見ていると、俺はどぎまぎしてしまう。可愛いな、と思ってついつい見とれてしまう。ポケモンなのに……。
 そう、気が付かない内に彼女、シャワーズに心を奪われていた。初対面の筈なのに不思議と親近感が湧くというか何というか。とにかく彼女にだったら恩返しやら何やらされてもいい、そんな事を思い始めていた。
 彼女が口を離す。すると俺達の間には唾液で出来た糸が結ぶ。しかし彼女が口を動かすとそれはあっけなく崩れさってしまった。
「ふふっ……じゃあ今度はこっち……」
 彼女は妖しげに笑うと、強引に寝間着の下を下着と一緒に引き剥がす。そして、パンパンに膨れ上がった肉棒が解放される。透明液は既に溢れていて、なんとも情けない様子だった。
「充分な位元気ですね……これなら食べ応えがありそう……」
 彼女は独り言の様に呟くと、躊躇せずにいきなり肉棒を咥え始める。彼女は唾液を俺の肉棒に纏りつかせ、さらには舌まで絡めてくる。
 流石にこれには不意を突かれた。童貞の俺にとっては前戯は手でシゴくものだと思っていたからだ。肉体的な交わりなんて無い俺にとっては、いきなりこれはキツすぎるし、気持ちが良過ぎる。
「ぁっ……」
 だらしない不抜けた声で俺は喘ぎ、そして善がる。
 最早、彼女に抵抗なんてする気にはなれなかった。しきりに押し寄せてくる快感、全てを見透かされている様な彼女の瞳の所為で。
 彼女は丁寧に肉棒を舐め続ける。まるでアイスキャンディーを味わうかの様に、舐めては吸って舐めては吸っての繰り返しで、俺の肉棒をたしなむ。
 彼女の妖艶な表情で淫らに肉棒を舐める光景はとても卑猥であり、俺の性欲がそそられる。彼女が発するチュパチュパという音でさえも興奮を覚える。
「しょろしょろいっはいだしてくらさい」
 彼女が肉棒を咥えこみながら言うものだから呂律が回っていない。だから聞き取れたものの、彼女が何と言ったかは理解出来なかった。
 しかし次の瞬間、俺は嫌でも彼女の言葉を理解することになる。
 彼女は口を上下に動かしてはシゴき、舌を敏感な裏筋の辺りを集中的に舐めたりと、ひたすら肉棒を苛める。先程までのゆったりとした快感の波が、忙しく大きな快感の波へと移行する。
 このままでは彼女の口内に精液を出してしまう。流石に口内に射精するのは抵抗がある。
 しかし彼女に力の行使は無駄な事は分かっているし、肉棒は絶頂寸前で今にも精液が出そうである。
「せめて外で……」
 俺は苦し紛れに呟いた。しかし彼女は聞き入れてはくれなかった。
 その証拠に、行為を続けながら俺の方をチラッと見ると妖しげに意地悪げに笑った。そしてとどめと言わんばかりに裏筋の辺りを舐められた。
「あっぁあああ……」
 結局、彼女に乗せられるがままに口内へと精液を出してしまった。最近やっていなかったのと彼女のフェラによって、何時もより多く勢いよく精液が飛び出した。
 彼女は大量の精液をものともせずに飲んでいく。ゆっくりと喉を鳴らしながら味わう様に。決して不味そうな表情はしない。尻尾を振っている様子を見ると、寧ろ喜んでいる様に見えた。
「マーキングされちゃった……」
 彼女が精液を飲み終えた後呟いた。彼女の口元からは少量の精液が垂れていて、彼女はそれを前脚で拭う。
 いえいえ俺は外に出すつもりだったんですよ、という突っ込みはするだけ無駄だと思ったのでしなかった。
「まだ少し残ってるね」
 彼女はそう言いながら、肉棒に付いた精液をくまなく舐める。それにより元気を無くし始めていた筈の肉棒が、徐々に固さを取り戻していく。
「そうそう、やっぱ子供は元気でなくちゃね」
 その光景を見て彼女は、言動だけでなく口調でさえも俺の事を子供扱いする。
「……俺は子供じゃない」
 俺は少し腹が立って反論する。子供扱いされるのは嫌いだ。あの分からず屋の両親のせいで。まぁしかし、モノが元気なのは確かなのだが。
「ふぅん。何処の誰かさんかなぁ、わざわざ雨に打たれながら感傷に浸っていたのは」
 彼女はニヤつきながら、またまた俺の事をからかう。
 でも実際、あの光景を誰かに見られていたと思うと、恥かしくて頬が赤く染まるのを覚える。
 しかしあの時は誰も居なかった筈だし、それに何で彼女が知ってるんだ?
「……ちょっと待て、何でシャワーズがそんなこと知ってるんだ?」
 俺は思わず彼女に問い掛けた。しかし彼女が容易く答えてくれる筈が無い。
「私を満足させるくらいしてくれたら、話してあげてもいいよ」
 そう言うと彼女は無防備な体勢、仰向けに寝っ転がった。彼女の秘部等が見えた為、俺は思わず目を逸らした。
「どうしたのかな? たかがポケモン相手に興奮してるの? 奥手だなぁ」
「……節度というものがあるだろ普通。種族が違うとはいえ異性だぞ?」
「へぇ逃げるんだ。そうやって何もかも現実逃避するんだ」
 流石に、この彼女の言動には痛いところを突かれた。だから俺は舐められたくないと思って、こう言った。
「やればいいんだろう、やれば」
 最早、俺は投げやり状態だった。彼女を覆うような形を取り、彼女と目を合わせる。恥かしくなっても逸らしたりはしない。逃げたりなんかはしない。
 そして片手を彼女の乳房へと忍ばせていく。その後、鷲掴みの如く、揉み始める。
 乳房は大きくも無く小さくも無い、並程度。だけどちゃんと柔らかな感触があり、程よい大きさであるから、俺としては直ぐに気に入った。
「ぁんっ……」
 彼女が気持ちの良さそうに喘ぐ。何とも心地の良い響きであるから、もっと聞きたい、そんなことを思ってしまう。
 顔を彼女の乳房へと沈めていく。そして、舌で固くなっている突起物を舐めてやる。舌で転がしたり弄ったり、遂には赤児の様に吸ったりして、彼女に快感を与えてやる。
 すっかり彼女の乳房を苛めるのに虜になっていた。
「あっ……やぁ……ひもちいいよぉ……」
「いい加減っ……話す気にはっ……なったか?」
 俺は突起物を舐めながら言ったので断片的になってしまった。
 彼女が俺の言葉を聞くと首を横に振った。
「まだ物足りないよぉ……」
 そう言いながら彼女は、物欲しそうに尻尾を秘部の方へと持っていく。要するに其処が切なくて物足りないって事だろう。
 揉んでいた方の手を乳房から下の方へと這わせていく。 ゆっくりと焦らす様に。
 手が秘部に到着すると、先ずは全体を擦る。愛液が既に漏れ始めていたらしく、手が濡れた感覚がした。その後、指を膣内へと突っ込む。
「あぁっ……」
 入れた瞬間、彼女は善がり、愛液がねっとりと指へと絡み付く。おまけに膣内は熱くるしくて、指が溶けそうな感覚もする。
 突っ込んだままの指をピストンの様に前後に動かし始める。そして幾度となく彼女の膣を刺激する。
 当初はぎこちない動きだったけど慣れたら、もっと速くしたり、指の本数を増やしたりと彼女を満足させる為に努める。
 クチュ、ピチャと卑猥な響きが部屋を満たす。いずれも彼女の秘部と俺の指によって奏でられる音達。
「あんっ……ぁあああっ」
 彼女の喘ぎ声の調子が上がり、艶のあるものへとなっていく。それは絶頂を目前としている証拠。
 彼女を快楽へと誘ってあげようと、俺は追討ちをかける。俺は胸の突起物を甘噛み、指のピストン運動を先程よりも速くする。これらの事をしてれば流石の彼女も、余裕なんて無い筈。
「らめっ……おかしくなっちゃ……ぁあああっっ……」
 そして彼女は絶頂を迎えた。ビクビクと身体を震わせて快感の余韻に浸っていく。
 大量の愛液が秘部より吐き出されて指にかかる。指にかかる他にも、ベッドのシーツを濡らす。シーツが濡れたところからは愛液特有の異臭を放つ。
 俺は愛液のかかった指を舐めて綺麗にする。その際に愛液の味を確かめると、何とも言えない味ではあったが嫌いではなかった。
 そんなことはさておき、彼女に聞くことは聞かないとな。
「これで満足しただろ? さぁ色々と話して貰おうか。シャワーズの身の上の事とか――」
 俺が言ってる最中に、彼女は俺の事を押し倒して、言葉を中止させる。
 急に押し倒された俺にとっては正直戸惑う。彼女はまた何かやるつもりなのか。でも何だか彼女の様子が少し変な様な……。
 焦点の定まらない眼。ゼェハァ、と荒い息遣い。ここまでは先程絶頂したからと言う理由で説明がつく。しかし、雰囲気が先程と違う。上手く言葉には出来ないが。
「――っと――――る」
 彼女が小さな声でうわ言の様に呟く。その為、何を言っているのかが全くもって理解出来ない。
 何とか聞き取れた言葉だけで理解しようとする。しかしその瞬間、俺の思考は停止した。下半身から伝わる刺激によって。
「ぁああっ……」
 彼女が苦しそうに声をあげたので、下半身の方を見れば、彼女と俺が繋がっているではないか。彼女の肉と俺の肉とが触れ合っている。肉棒は秘部に飲み込まれていて、姿、形すらない。
 彼女の膣内は締め付けが強い。愛液が潤滑油の様な役割を果たさなければ、こんなにすんなりと入らなかったであろう。
 彼女が腰を浮かすと肉棒が姿を現した。しかし次の瞬間、再び秘部に飲み込まれて隠れてしまう。それの繰り返しを彼女は行う。
 俺の意志とは無関係に彼女との営みは始まっていた。
 彼女は前脚を力を入れながら、俺の肩に置いている為、身体が起こせない。更には肉棒から快感が伝わる為、力がちっとも入らず抵抗なんて専ら出来ない。
――最も、今更この快感から抜けたいなんて思わないが。
 自らも腰を動かして彼女の事を突いて快感を得る。俺は快感に対して貪欲だった。
 頭の中は既に真っ白になっていて余計な思考なんて停止してしまう。頭はただ快感を感じるだけの器官となっていた。
 ギシギシ、と鈍い音を立てながらベッドは軋む。ジュブジュブと淫らな音を結合部は発する。音と音とが重なって演奏となり部屋に響き渡る。
 身体が熱い、熱過ぎる。しかし彼女の身体は何故か俺よりも冷たくてひんやりとしている。俺は彼女を抱き寄せて、彼女の体温を感じる。俺と彼女の間は熱と冷の境界線。
「んぅ……っ……」
「んっ……っ……」
 彼女は下半身だけでなく、口も繋いでくる。続けて、彼女は舌を絡ませてくるから、俺も応える様に反応する。唾液を送ってやったり、口内を味わうかのように舐めたりと。
 ふたりだけの楽しい一時。しかし、そろそろ終止符が打たれようとしていた。
 俺はもう限界だった。彼女だって、先程と比べてぎこちない動きからして限界であろう。
 だから、次で終わらせる。ふたりで一緒に。
 彼女は宙に腰を浮かせてストンと降ろした。俺は秘部に目掛けて肉棒で挿した。
「あああああっっっ……」
「ぁぁあああっっ……」
 お互いに口を離して喘ぎ声をあげる。すると、口と口との間には虚しく唾液が垂れる。
 今まで感じたことも無い快楽が身体中に走る。それを全身で感じ、行為を終えた後の余韻に浸る。
 二回目なのにも関わらず、肉棒からは凄まじい勢いで精液が出てくる。膣内を精液で満たすのには充分な量だった。
 彼女は瞼を重たそうにしていたが、やがては閉じてしまった。
 俺の方も営みを終えた後の疲労の所為で瞼が重かった。彼女の事を抱いて、下半身をそのまま繋がらせたままにして、徐々に意識を現実から違う方へと移していった。

 
 鳥ポケモン達の囀りを聞いて、俺は瞼を開けた。すると彼女の姿は何処にも見当らなかった。ベッドの上で、しっかりとこの手で抱いて、一緒に寝た筈だったのに。
 あれは全て夢だったのだろうか。いや身体に染み付いている。あの時の感覚が。
「あれ……」
 何でだろう。不思議と涙が溢れてくる。たった一夜彼女と過ごしただけなのに、居なくなるとこんなにも虚しく感じるとは。
 ポタポタと涙が垂れてベッドのシーツを濡らしていく。涙は収まる気配も無かった。
「何泣いてるの? 旦那さん」
「……えっ?」
 気が付いたら彼女が目の前にいる。これは一体どういう事なのか。
「訳が分からないって顔をしているね。つまりこういう事」
 すると彼女の身体は次第に液状化していき、完璧に液体へとなってシーツに染みついていく。そしてシーツに染み付いた液体が浮き出て彼女の姿へと成形していく。
「どぉ? 私の技“とける”は? これで不法侵入とかしたんだよ」
 彼女は意気揚々に話すものだから、悲しんでいたのが馬鹿みたいに思えてくる。でも心に確かな温かみを感じた。
「万が一、孕んでいたら困るからね。中に出した責任はちゃんと取って貰わなきゃね、旦那さん」
「はは……」
 俺は思わず苦笑する。だけど内心は嬉しかった。彼女と一緒に過ごせるなんて。
 俺は彼女にあの事について聞く事にした。
「あのさ……」
「何?」

――どうやって助かったの? あの絶望の状況下でさ。
――助かったんじゃないよ。生きようとしたの。助けてくれた貴方に“恩返し”する為にね。


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Last-modified: 2011-02-06 (日) 00:00:00
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